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2015-2016年の資源探査

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(1)

2015-2016

年の資源探査

正路徹也

*

161

資 源 情 報

1.

はじめに

2015年はギリシャの債務不履行問題で開け,その解 決策探しでEU首脳が飛び廻っている間に,トルコ・ ギリシャ経由のバルカン ルートで移民/難民がどん どんヨーロッパを目指して来る.前者は,8月14日,

EUが欧州安定メカニズム(ESM = European Stability

Mechanism)に基づき,3年間で最大860億ユーロの新 たな金融支援を承認して,一応落ち着く.後者は,2016 年3月,EUがトルコに移民対策費として60億ユーロ を提供し,6月からトルコ国民にビザなしでシェンゲン 圏Shengen area[注1]を移動できる権利を与えるのと 引き換えに,移民をトルコに強制送還する協定が締結 され,表面的には静かになった.さらに,2016年,日 本では2月16日から日本銀行がマイナス金利を実行, イギリスでは6月23日に行われた国民投票でイギリ スのEU離脱(Brexitは混成語portmanteauで,正式に はWithdrawal of the United Kingdom from the European

Union)の賛成が過半数となった. 上記の項目は歴史的には注目すべきであるが,本展 望が扱う分野に直接には関係していない.鉱物およびエ ネルギー資源関係では,やはり2015年から続く資源価 格の下落が最大の問題であった.この下落の終わった 時期に関し,髙井裕之(2016) (http://mric.jogmec.go.jp/ kouenkai_index/2016.html)の図によると,ブルームバー グ商品指数(BCOM = Bloomberg Commodity Index)が

2016年1月に極小値72.33を示した.この値は,2008 年7月に記録した極大値238.52の約30%で,それ以前 の1999年2月に記録した極小値74.24とほぼ同じであ る.ということで,この1年間は,資源価格の底であっ たと言える. 資源価格の底のため,探査からの撤退および開発の遅 延の話題が多かった.しかし,これまでのプロジェクト からの成果もある.例えば,南アフリカのWaterbergウ ォーターバーグ白金族JVプロジェクトでは,資源量の 再評価を行った結果,精度の高い概測鉱物資源量で白金 族金属量が392 tから743 tへと2倍近くになった.チリ のアントコヤ銅鉱山では最初の銅カソードを生産した. また,イギリス領北海に位置する高温高圧のCulzeanカ リーン ガス田は開発移行を決定し,政府機関の承認を 得た.アンゴラとコンゴ共和国のユニタイゼーションエ リアで,アンゴラ沖のLianziリアンジ油田では原油の生 産が始まり,オーストラリアのGreater Enfieldグレータ ーエンフィールド プロジェクトでは最終投資決断が下

Exploration of Mineral and Energy Resources in and by Japan from 2015 to 2016

By Tetsuya S

HOJI*

Abstract: On early 2016, the BCOM (Bloomberg Commodity Index) seems to pass over the bottom where the value

was nealy equal to the one recored on middle 2008. Many remarkable results have been reported, however, in the exp-lolation and production fields of minerals and energy resources as follows: 1) the indicated resources became almost two times in the Waterberg PGM project, South Africa, 2) the production of copper cothod started at the Antucoya mine, Chile, 3) the field development plan was approved for the Culzean high pressure and high temperature gas con-densate field in UK North Sea, 4) it commenced oil production from Lianzi field situated in a unitized offshore zone straddling Angola and the Republic of Congo, 5) the North West Shelf Project has made a final investment decision on the Greater Western Flank Phase 2 gas fields development project off the north-west coast of Australia, 6) Japanese companies joined exploration projects opareting in offshore oil and gas fields, NE Brazil, and 7) the official opening was held at the Maules Creek coal mine, Australia. A long term LNG sale and purchase has been signed using U.S. Henry Hub natural gas-linked prices, and other following agreements adopted the system. In the geothermal devel-opment, offering a type of insurance has been begun in order to ease the concern of hot springs operators about the impact of new geothermal power stations.

2016 年 8 月 30 日受付,同年 9 月 12 日受理

*東京大学(The University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan)

(2)

され,ブラジル北東沖の石油・ガス田探査に日本企業も 参加することになった.オーストラリアのMaules Creek モールス クリーク炭鉱開発事業では,本格生産が開始 された.さらに,国際価格に較べて割高だと言われてい たガスの購入に,Henry Hubヘンリーハブ価格が導入さ れることになった.地熱開発の分野では,東京海上日動 火災が新しい型のE&O保険を導入した.これらを中心 に,日本が関係した鉱物およびエネルギー資源に関する 探査活動のこの1年間を振り返る. JBICの「円高対応緊急ファシリティ」は2013年3月 末で終わり,以後は「海外展開支援融資ファシリティ」[注 2]が続いている(正路,2013).以下の記述では,後者 による融資は「海外展開支援案件」と記す.また,企業 の買収等で使う「ドル」は,断らない限り「米ドル」を 指し,カナダドルとオーストラリアドルはそれぞれ「加 ドル」と「豪ドル」と書く.投資金額,買収金額の円換 算値,さらに鉱量等の数値は,有効数字がせいぜい2桁 であることを念頭に,特別な場合以外「約」は付けない. また,「今後○○する予定/計画・・・」とある場合,「予 定/計画」以下は書かない, 以下で紹介する多くの企業や組織の名称のうち,あ まりにも長いものは略記し(例えば,石油天然ガス・金 属鉱物資源機構→JOGMEC),その正式名称は末尾の付 1に記す.また,正式名称の一部が通用している場合, あるいは略記が正式名称になっている場合も付1で紹 介しておく(例えば,BP p.l.c.→BP).さらに,用語も 一部略記する(例えば,Feasibility Study→FS,Project

Finance→PF).なお,会社名にしばしば用いられてい

る“Exploration and Production”は“E&P”と略す.地 名は原則として現地語のラテン文字表記あるいは英語 で表し,引用原文にカタカナ書きが用いられている場 合はそれも併記する.ただし,この場合,“v”は通常 「ヴ」で表し,ポルトガル語とスペイン語は「ベ」で表 す.組織の名称のすぐ後ろの括弧内にホームページ(HP = Homepage)のアドレスが書いてある場合,それ以下の 記述は当該HPからの引用を示す.

2.

鉱物 ( 主として金属 ) およびウラン資源

JOGMEC (www.jogmec.go.jp)が2015年度に決定した 探査・開発関係の資金の融資を第1表に示す.

2.1.

ヨーロッパ・アフリカ JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2016年3月4日, カナダの探査会社Mundoro Capital Incとセルビア東部,

Borボール市の東方から北方にかけて位置するTimok

ティモク地域において,共同探査を実施する契約を締 結した(公表16/4/15).Timok地域は,Bor (Cu 0.84%,

Au 0.39 g/t;資源量 + 埋蔵量 = 800 Mt),Majdanpeckマ イデンペック(Cu 0.5%,Au 0.35 g/t;資源量 + 埋蔵量

= 1 Gt)のほか,近年高品位銅・金鉱化帯が捕捉された

Cukaru Pekiチュカルペキプロジェクト(Cu 2.6 %, Au 1.5g/t;資源量 = 65.3 Mt)と隣接する3 つの鉱区(108 km2) からなり,これらの鉱床と同様の高品位銅鉱床の賦存が 期待される.Tethysテチス海の収束により白亜紀に活動 したTimok複合貫入岩体に関連する上述の斑岩型銅・ 金鉱床および高硫化系浅熱水性銅・金鉱床が複数知られ ている.また,既往探査により銅,金,モリブデンの鉱 徴も確認されていることから,同型の鉱床の存在が期待 される.JOGMEC は,2 年間で300 万ドルを拠出する ことで,当該鉱区の51 %の権益オプションを得る.ま た,3 年目以降も探査を継続する場合,8 年以内にFS (上限3200 万ドル)を完成させることで24 %の追加 権益オプションを取得することが可能となり,この場 合,権益オプション比率の合計は75%となる.これま でにMundoro Capitalによって行われた初期調査により, Timok地域で複数の銅・金鉱徴が確認されている.共同 探査では,既存の探査結果を参考に,地質調査,物理探 査および試錐調査等を実施して,新たな鉱床の発見を目 指す. 日鉄鉱業(株)と豊田通商(株)は,モロッコにおけ る錫鉱山開発Achmmach Tinプロジェクトに関して, Kasbah Resources Ltd (オーストラリア)と2014年4月 に合弁契約を締結し,合弁会社の株式をそれぞれ5%と 第1表 JOGMECが2015年度に決定した探鉱・開発関係の資金の融資. 事業の概要 貸付先 [1] 種類 [2] 償還期間 貸付契約額 / 億円 契約締結日 菱刈鉱山(鹿児島県)探鉱事業  (対象種:金 , 銀) 住友鉱山 国内探鉱 7 年 (うち据置 2 年) 7.30 2016/3/22 Los Gatos ロス ガトス プジェク  (メキシコ)の亜鉛探鉱事業 DOWA 海外探鉱 7 年 (うち据置 2 年) 32.5 2016/3/16 [1] DOWA = DOWA メタルマイン㈱,住友鉱山=住友金属鉱山㈱ [2] 海外探鉱=金属鉱物海外探鉱資金,国内探鉱=金属鉱物国内探鉱資金

(3)

20%取得した.2014年までの探査で資源量9.2 Mt,平 均品位0.77%が確認されており,開発のための協議に移 っている(正路,2015).なお,この1年間,探査の実 績はない. 海外ウラン資源開発(株)が25%出資するニジェール のCOMINAKのAkouta鉱山では,2015 年から2016 年に掛けて,保有する鉱区のうちAkouta南採掘鉱区と Ebba 採掘鉱区で探査を続けた.Akouta南では可採鉱量 に組み入れられていなかった小規模衛星鉱体およびその 周縁に対して再度試錐を行ったところ,当初の推定の2 倍を上廻る鉱量が確認された.今後も探査を継続すると ともに,採掘計画の策定を行う.また,2013 年初頭に 採掘が開始されたEbba 南鉱床の東縁部および南縁部に おいて鉱床の拡大が確認された. 丸紅(株) (www.marubeni.co.jp)は,オーストラリアの

Syrah Resources Ltdと,同社がモザンビークのBalama

バラマ黒鉛プロジェクトで採掘する天然黒鉛(=石墨) 鉱石を原料とした球状化天然黒鉛を,リチウム電池の 負極剤として日本および韓国で独占的に販売する契約を 締結した.契約によると,丸紅は,2018年に生産開始 予定の球状化天然黒鉛を最大50 kt/y販売する.球状化 天然黒鉛はリチウム イオン電池の主原料で,エコカー や大型モバイル機器の普及による蓄電需要の増加によ り,リチウム イオン電池とその原料市場の急拡大が続 き,新規供給元の出現が望まれていた.モザンビーク北 部,Namuno District,Cabo Delgado Provinceに位置す るBalamaプロジェクト(鉱区面積106 km2)では,2017 年6月に鱗状黒鉛の生産を開始する.黒鉛鉱石(10-20% C)を採掘・選鉱して得られた黒鉛精鉱(95-98%C)はア メリカに送られ,塩酸とフッ酸で処理して球状黒鉛(直 径10-20 μmの粒状,99.5%C)に変えられる.球状黒 鉛の生産量は世界で100 kt/y,すべてリチウム電池負極 剤用で,天然起源の価格は500∼1000 $/tである(完全 な合成球状黒鉛も存在するが,本プロジェクト産の製品 より割高).Balama 鉱床付近はPanafrican Mozambique Beltの中原生代(1600∼1000 My)から新原生代(1000 ∼540 My)の高度変成岩を主とし,鉱床は鉱染型と縞状 型に分けられる.鉱染状鉱床は,散点状に黒鉛を含む片 岩ないし片麻岩で,古い堆積中に存在した有機物が広域 変成作用で黒鉛に変わったと考えられている.一方,縞 状型鉱床は古い石炭層が広域変成作用を受けた結果,黒 鉛化して生成したと考えられている.なお,Balama 鉱 床は,周辺の石炭よりも明らかに古いことが判明してい る.より詳細な情報を得たい場合は,Syrah Resources のHP のアドレス(http://www.syrahresources.com.au/)の 後ろに“overview”,“balama-project”,“geology”など を付けてインターネットにアクセスするとよい.球状黒 鉛spherical graphiteは,鱗片状黒鉛を球状化したもので, 異方性の鱗片状黒鉛を球状にして,等方的にしてある. そのため,球状黒鉛は鉱物粒子間の接点が増えて導電性 がよくなり,また球状のため摺動性もよくなる.このた め,摺動材や導電材など特化した材料として使われる. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は, 南 ア フ リ カ の Bushveldブッシュフェルト地域北部でカナダのPlatinum

Group Metals Ltd (PTM:Vancouver)と共同で白金族金

属プロジェクトを推進しているWaterbergウォーターバ ーグ白金族JVプロジェクト(正路,2009,2010,2011, 2012,2013,2014,2015)において資源量の再評価を 行った結果,白金族金属量は904 tから1189 tへ増加し た(公表2015/9/17).JOGMEC は2011年にこの地域で 初めて白金族鉱床を発見,その後の探査を通じて,2014 年6月に693 tの含有金属量(3PGE+Au)を報告, 2015 年5月に211 tの金属量が把握されている北部隣接鉱区 を統合したことにより,904 tに拡大した.また,2014 年度実施した試錐調査の結果を加えて資源量の再評価を 行ったところ,中心部では,概測鉱物資源量indicated

mineral resourceの白金族金属量(2PGE+Au)が392 t (カットオフ品位2.5 g/t;Pt = 118.3 t,Pd =244.0 t,Au = 29.7 t),周辺部では予測鉱物資源量inferred mineral resourceの白金族金属量(2PGE+Au)が797 t (カットオ フ品位2.5 g/t;Pt = 239.8 t,Pd = 497.8 t,Au = 59.8 t) がそれぞれ計上され,合計で1189 t (2PGE+Au)となっ た.さらに,2015度実施した試錐結果を加えて資源量 の再評価を行ったところ,中心部では概測鉱物資源量 の白金族金属量(3PGE+Au)として743 t (カットオフ 品位2.5 g/t;Pt = 223.4 t,Pd = 458.5 t,Rh = 5.4 t,Au = 55.9 t),周辺部では予測鉱物資源量の白金族金属量 (3PGE+Au)として364 t (カットオフ品位2.5 g/t;Pt = 109.7 t,Pd = 221.5 t,Rh = 2.5 t,Au = 30.5 t)を把握し, 白金族金属量は合計で1107 t (3PGE+Au)となった(公 表2016/5/16).今回の再評価で特に注目されるのは,精 度の高いカテゴリーである概測鉱物資源量の白金族金属 量が392 tから743 tへと89%増加したことである.今 後は,2016年7月末に完成予定のPre-FSに基づき,日 本企業への権益の引き継ぎを目指す. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は, ブ ラ ジ ル の 亜 鉛生産大手であるVotorantim Metaisの子会社である

Votorantim Metais Zinco S.A.と,ナミビアのOtaviオタ ビ西地域におけて,亜鉛・鉛・インジウムを対象とした 新たな共同探査契約を2015年8月10日付で締結した. Otavi西地域はナミビア北部,首都Windhoekヴィント フックの北方350 kmに位置し,面積は817 km2の探 査鉱区で,鉱物資源ポテンシャルが高いとされるOtavi Mountainlandに位置する.周辺にはTsumeb (Zn,Pb,V),

Tschudiツジ(Cu,Ag)などの多金属鉱化を示す鉱床が

(4)

として300万ドルを負担することで,Votorantim Metais Zincoから49%の権益を取得することができる.探査で は,衛星画像解析と空中物理探査データに基づいて有望 地を選定し,地質調査,地化学探査,地上物理探査を実 施して試錐対象地を抽出,将来的に開発可能な鉱床の発 見を目指す.

2.2.

アジア

Tanaka and Kay Khaing Min (2016)は,ミャンマーに

おけるJOGMECの最近の探査活動をまとめた. 日鉄鉱業(株)と双日(株)は,ラオスのビエンチャン 県西部に位置するMouneムン地区(面積226 km2,首 都ビエンチャンの西100 km)に関して,ラオス政府と銅 探鉱・探査協定を2009年9月に締結,同年12月から 2011年4月まで地質・地化学探査をJOGMECの海外地 質構造調査スキームおよび自社資金により実施した(正 路,2010,2011).その結果,有望鉱徴地3ヵ所を見出 すことができたため,2011年9月にそれまでの概査ラ イセンスを探査ライセンス(面積168 km2,期間3) へ変更し(正路,2012,2013),JOGMECの海外地質構 造調査スキームと新海外地質構造調査スキームを利用し て,2013年度までに3次にわたり試錐探査(51本,総 掘進長13,936 m)を行った(正路, 2014).2014年度はさ らなる鉱量の獲得を目指し,精密物理探査を実施した(正 路,2015).2015年度は,前年度の物理探査結果をもと に試錐計画を立案,試錐探査(34本,総掘進長7,471.9m) を行った.現在はその結果を取りまとめている. 日鉄鉱業(株)は,カンボディアのPreah Vihearプレ アヴィヒア州∼Siem Reapシェム リアップ州に跨る Srayanスロヤン地区(面積97 km2,首都プノンペンの 北北西350 km)において,現地民間パートナーとの間で 共同探査に関する基本合意書を2015年1月に交わし, 同年2∼3月に地質調査および地化学探査を行った.そ

の結果,同地区の南端において多金属鉱徴(Cu, Au, Ag,

Pb等の地化学異常)を抽出した.

三菱商事(株) (www.mitsubishicorp.com)は,インド

ネシアにてWeda Bayウェダベイニッケル プロジェク

トを推進しているPT Weda Bay Nickelの株式90.0%を 保有するStrand Minerals (Indonesia) Pte Ltd (シンガポ ール)の持株30%のすべてをStrandの筆頭株主である

ERAMET (フランス)に売却する(公表16/4/25). 住友商事(株) (www.sumitomocorp.co.jp)は,出資先 であるNusa Tenggara Mining Corpを通じて保有するPT Newmont Nusa Tenggara (PTNNT;インドネシア)の株 式18.2%すべてを,PT Amman Mineral Internasional (イ ンドネシア)に譲渡することに合意し,2016年6月30

日に株式売買契約を締結した.PTNNTは,インドネシ

アのSumbawaスンバワ島にBatu Hijauバツヒジャウ銅

金鉱山を含む鉱区を有しており,住友は1997年に出資

参画した(正路,1995,1997).本件譲渡は,PTNNTの 最大株主であるNewmont Mining Corp (アメリカ)とと もに実施する予定で,規制当局の承認取得および株式譲 渡契約上の発効条件を充足した後,閉山は2016年7∼ 9月と見込んでいる.

2.3.

オセアニア 住友金属鉱山(株) (www.smm.co.jp)のソロモン諸島 現地探査子会社SMM Solomon Ltd (SMM )は,2014年 10年24日付発表の通り,ソロモン国際入札訴訟の第1 審での敗訴判決について上訴裁判所に上訴した(正路, 2014).2016年3月21日に同上訴裁判所において判決 が言い渡され,SMM Solomonの上訴は一部認められ, 被上訴人アクショムKB (Axiom KB)に付与された探査 権は取り消された.しか,SMM Solomonが無効を求め ていた国際入札により取得した権利の取消処分は認めら れなかった.今後については,判決を精査した上で対応 を検討する. 住友金属鉱山(株) (www.smm.co.jp)は,出資先である

SUMIC Nickel Netherlands B.V.を通じて保有するVale Nouvelle Calédonie S.A.Sの株式7.6%すべてを,Vale

Canada Ltd (本社トロント)に譲渡することに同意し,

2016年3月29日に株式売買契約を締結した.住友は

SUMICを通じて2005年からGoro Nickel Cobalt Project

ニッケルプロジェクトに参加していたが,Vale Nouvelle

Calédonieが2015年12月末までに商業生産目標を達

成 で き な い 場 合 に は,Vale CanadaにVale Nouvelle

Calédonieの株式を売却することとしていた.譲渡金額 は80億円である.なお,住友は長期ビジョンの中で, ニッケル生産量150 kt/yをターゲットに掲げているが, 本件売却にかかわらず,既存プロジェクトの拡張や新規 プロジェクトの実現等により,ターゲットの達成に向け て引き続き取り組む. 2001 年1 月からフィジーのNamosi ナモシ探査鉱区 (723.52 km2) で斑岩銅鉱床の探査を進めてきた日鉄鉱 業(株)(正 路,2002,2003,2004,2005,2006,2007) は,2007 年11 月30 日,三菱マテリアル(株) とオー ストラリアのNewcrest Mining Ltdと新オプション共同 探査契約を締結して共同探査を開始した(正路,2009, 2010, 2011,2012,2013).その後,2009 年5 月に両社 がオプション権を行使した結果,権益比率はNewcrest Mining Ltd が69.94%,三菱マテリアル(株) が28.06%, 日 鉄 鉱 業(株) が2% と な っ た(正 路,2012,2013). Waisoi ワイソイ地域では,2008 年から2013 年に69 本, 32,229 m の深部試錐調査を行い,Waisoi地域深部と周 辺部の鉱床賦存状況を把握した.その結果,Waisoi 地 域の埋蔵量は1.341 Gt (Cu 0.37%,Au 0.12 g/t) となっ

(5)

た.また,2009 年1 月に開始したWaisoi 地域南方の Waivaka Corridor ワイヴァカコリドー地域の深部試錐 調査(掘進長800∼1000 m) では,2014 年6 月末まで に60 本,34,109 mの試錐を掘削した(本地区の深部延 長を対象とした試錐を含む).本地域内にあるWainaulo 地区では,2010 年時点で資源量94 Mt (Cu 0.72%,Au 0.12 g/t)が確認されている.さらに,Waivaka Corridor 地域周辺部の鉱化状況も確認中である.これらと並行し て,Waisoi 地域を対象にPre-FSの再検討と環境社会影 響評価を行っている. 三井物産(株) (www.mitsui.co.jp)と新日鐵住金(株) (www.nssmc.com)が, Rio Tintと共同で保有する西オー ストラリア州の鉄鉱石事業Robe River Iron Associates (Robe J/V:Rio Tinto 53%,三井33%,新日鉄14%)は,

鉄鉱石の積出港であるCape Lambertケープランバート

港の出荷能力を200 Mt/y以上まで増加させる拡張フェ

ーズ2を,当初計画(正路,2014)通り完了した(公表

15/9/3).これに先立ち,Robe J/VはWest Angelasウエ

ストアンジェラス鉄鉱山の未開発鉱区Deposit Bの開発

と,生産能力の29 Mt/yから35 Mt/yへの拡張を完工し ている.

丸紅(株) (www.marubeni.co.jp)が15%出資する西オ ーストラリア州のRoy Hill Holdings Pty Ltd (RHH) は,

Roy Hill鉄鉱山開発プロジェクトから生産された鉄鉱石 を,2015年12月10日にPort Hedlandの専用バースで 出荷第1船となるMV Anangel Explorerに船積み後,初 出荷した.RHH は本事業の開発費用を株主からの資金 拠出および国際協力銀行,日本貿易保険をはじめとする 銀行団からの総額72億ドルのPFで調達し,2013 年か ら開発を進めてきた.今後はフル生産体制構築に向け, 操業の効率化,安定化を進める.生産・出荷能力は5.5 Mt/yを予定しており,単一の鉄鉱山としてはオースト ラリア最大規模で,高いコスト競争力を有している.ま た,生産される高品位鉄鉱石には日本をはじめアジアの 製鉄会社から強い期待が寄せられており,既に生産量の 90%以上は長期契約によるり販売が決まっている. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2015年8月24 日 付でオーストラリアの探査会社Minotaur Exploration Ltd と締結したクイーンズランド州Osborneオズボーン地域 での亜鉛・銅・インジウム等を対象とした新規の共同探 査を開始した(公表2015/11/27).Osborne地域はクイー ンズランド州の西部,Mount Isaの南東200 kmに位置し, 付近には稼行中のOsborne鉱床(Cu,Au)やCannington

鉱床(Pb,Zn,Ag)などが存在する.12の探査鉱区(う ち 1つは申請中)からなり,総面積は1800 km2であ

る.地域には,15億年以上前に形成された地層からな

るMount Isa内座層[注3]が分布すると考えられる.

Mount Isa内座層の分布地域には,酸化鉄銅金(IOCG =

Iron-Oxide-Copper-Gold)型鉱床や噴気堆積型鉱床などを 採掘対象とした多数の鉱山が存在している.Osborne地 域の近傍にもIOCG型銅・金鉱床や上述のCannington 鉱床といった多数の金属鉱床が存在する.JOGMECは 4年間で350万豪ドルの探査費用を負担することにより, 本プロジェクトの権益51%を取得する.2015年10月 19日付で共同探査契約に対する豪州外国投資審査委員

会(FIRB = Foreign Investment Review Board)の承認が 得られたため,同日付けで共同探査を開始した.これま でにMinotaurが実施した物理探査を主とする探査によ り,金属鉱床の胚胎を示唆する物理探査異常が把握され ている.今後,追加で物理探査を実施して有望地区を絞 り込み,さらに試錐調査等を実施することにより,新た な鉱床の発見を目指す. 三菱マテリアル(株) は,2012 年8 月からオースト ラリア,ニュー サウスウェイルズ(NSW) 州の探査企

業Clancy Exploration Ltd (Orange) とオプション探査

契約を締結し,共同で3 プロジェクトを対象に探査を

行ってきた.三菱は3 年間で300万豪ドルの探査費用

を負担することで各プロジェクトの権益49% を獲得

する.3 プロジェクトは全てNSW 州の中央部にあり,

Cadia Ridgeway 銅金鉱山,Northparkes 銅金鉱山を含む

Lachlan ラクラン褶曲帯中に位置する.鉱区面積は合計 で417.1 km2である.2014 年から2015 年にかけて,RC (Reverse Circulation)およびコア試錐を中心に探査を行 ってきた(正路,2014,2015).オプション探査契約で 規定される探査活動を完了した後に, 両社で過去の探査 結果の総合的解釈を実施した.その結果, 本プロジェク トに関し大規模鉱床発見の可能性は低いと判断され,三 菱は権益獲得権の行使を行わずに,本プロジェクトから 撤退することをClancyへ通知した. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,オーストラリア の探査会社Peel Mining Ltdと共同探査を進めている Cobar superbasinコバー超盆地地域(正路,2015)で実 施した試錐調査の結果,掘進区間長2.82 m 間で銅21.8 %を含む,優勢な銅鉱化帯を捕捉した(第2表;公表 2016/2/1).Cobar superbasin地域はニューサウスウェイ ルズ州の中央部に位置し,周辺には稼行中のEndeavor エンデヴァー鉱床(Pb,Zn ,Ag;オーストラリアの

CBH Resources Ltdが操業)やCSA 鉱床(Cu,Pb,Zn,

Ag;スイスのGlencore plcが操業)があり,2011 年 にはMallee Bullマリーブル鉱床(Cu,Au,Co;Peel MiningとCBH Resourcesが共同探査)が発見されてい る.2014 年から開始した本プロジェクトでは,土壌地 化学探査,物理探査(空中磁気,地上重力,地上電磁, IP)により,順次鉱徴地を抽出してき,2015年11 月か ら有望な鉱徴地において開始した試錐調査の結果,うち 2本で優勢な銅鉱化帯を捕捉した.現在,今回捕捉した

(6)

銅鉱化帯の延長部を確認する試錐を実施するとともに, 今後は,過年度調査で抽出された有望地についても評価 を継続する.

2.4.

北アメリカ

JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,DOWAメ タ ル マイン(株)の子会社DMMパルマー(株)がアラスカ

州で推進中の亜鉛・銅探査事業(正路,2013,2014,

2015)に 対 し,2015年8月10日 に2回 目,2016年7

月26日に3回目の出資を行った.DOWAは,操業者の

Constantine Metal Resources Ltdがアラスカ州南東部に 有する探査権益について,2013∼2016 年の4 年間に探

査費用220万ドルを支出することで,事業権益の49%

および鉱山から生産される精鉱を引き取る権利を獲得す

ることができるJV契約(探査オプション契約)を締結

している.JOGMEC は,DOWA の要請を受け,2014年 度からDMMパルマーが海外子会社のDowa Metals & Mining Alaska Ltdを通じて負担する作業費の45%につ いて出資を行ってきた.これをもって,探査オプション 契約の中で必要とされている資金は全額支出される見込 みである.

JCU (Canada) Exploration Co Ltd (カナダ,Vancouver)

は,2015年,カナダに権益を有する15案件のうち10

件でウラン鉱床の探査を行った.サスカチュワン州

Athabasca 盆地のWheeler Riverプロジェクトでは,既 知のPhoenix鉱床(27ktU)に加え,2014年に発見され たGryphon鉱床で集中的に試錐を行い,2015年末に予 想鉱量17 ktUを得た.Gryphon鉱床では2016年も試錐 を継続しており,鉱床は拡大中である.プロジェクトで はPhoenix,Gryphonの2鉱床開発によるシナジー効果 を検討し,ポジティブな結果を得たため,2016年春に

Pre-FSを開始した.同じくAthabasca盆地においてJCU (Canada)が権益を100%保有していたChristie Lakeプロ ジェクトでは,2016年1月にUEX Corp (UEXは正式名

称)とオプション契約を締結し,3月から19年ぶりの試 錐探査を開始した.ヌナブット準州のKiggavik プロジ ェクト(推定鉱量48 ktU) では,2014年に発見した浅部 鉱化帯において2015年も探査を継続,鉱床の拡大を確 認した.本プロジェクトの最終版EIS (= Environmental Impact Statement:環境影響評価報告書) に対する公聴 会は2015 年3 月に開催され,連邦担当大臣の最終判断 が2015 年後半に下される見通しであったが,連邦議会 選挙の影響などもあって,2016年7月現在も最終決断 が得られていな.この状況を受け,またウラン市況の低 迷も考慮して,2016年からKiggavikプロジェクトは探 査活動の一時中止を決定した. 海外ウラン資源開発(株) のMcClean Lake 鉱山(サス カチュワン州)では,鉱区内のMcClean North鉱床(深 度170 m)を地表からのボアホールジェットボーリング

borehole jet boringで採掘すべく,採掘効率の向上を目 指して技術改良・採掘機器の改修を進めている.同鉱山 のJEB製錬所(JEBは正式名称)では,近隣で採掘操業 中のCigar Lake鉱山の超高品位鉱石の受託製錬を2014 年後半から行っており,製錬設備を拡張して製錬容量 ライセンスを5 ktUから9.2 ktUに変更する許可をカナ ダ原子力安全委員会から取得した.McClean Lake 鉱山 の西15 km のMidwest プロジェクトは2012 年に露天掘 採掘法によるEA (Environmental Assessment)承認を取 得している.しかし,露天掘採掘法は環境面でも経済性 でもインパクトが大きく,開発を進めている地表からの

borehole jet boring による採掘の適用性を検討している. 住友金属鉱山(株) (www.smm.co.jp)の100%出資会社

第2表 オーストラリア,Cobar superbasinでの試錐で得られた試料の分析結果.

区間 /m 長さ /m 試料 Cu/% Ag/g t-1 Au/g t-1

試錐コード:WLDD001 430.00 - 436.00 6.00 コア 1.2 5 < 0.01 450.00 - 488.00 38.00 コア 1.1 4 < 0.01 616.00 - 625.00 9.00 コア 8.0 17 0.21  うち 619.68 - 622.50 2.82 コア 21.8 46 0.62 643.00 - 647.00 4.00 コア 1.1 3 < 0.01 試錐コード:WLRCDD015 332.00 - 354.00 22.00 カッティングス 1.0 4 < 0.01 402.10 - 407.00 4.90 コア 4.3 13 < 0.01  うち 402.10-403.00 0.90 コア 19.5 58 < 0.01 451.00 - 454.00 3.00 コア 2.1 6 < 0.01 524.00 - 526.00 2.00 コア 1.8 13 < 0.01

(7)

でアメリカ法人のSumitomo Metal Mining America Inc は,アメリカ最大手の産銅会社Freeport-McMoRan Inc (本社:アリゾナ州フェニックス)が経営するMorenci モレンシー銅鉱山(アリゾナ州)の権益を現有の12%に 加えて,13%追加取得した.住友は,1986年から30年 間にわたり経営に参画しているMorenci銅鉱山では,長 年の協業実績を持っており(正路,2013),北アメリカ で最大のコスト競争力に優れた同鉱山の権益を追加取得 することとした.取得対価は総額10億ドルで,2016年 2月15日に契約,5月31日に手続きを完了した.住友 は,長期ビジョンの中で権益シェア分銅生産量300 kt/y を目標に掲げており,この追加取得による6.2 kt/yの増 加で目標の約80%が確保でき,目標達成が視野に入っ た.必要な資金は,JBIC (www.jbic.go.jp)と(株)三井住 友銀行,(株)三菱東京UFJ銀行,三井住友信託銀行(株), (株)みずほ銀行,三菱UFJ信託銀行(株),(株)伊予銀行, (株)常陽銀行,(株)京都銀行,(株)百十四銀行との協調 融資による(JBIC分7億ドル).この融資はJBICの「海 外展開支援融資案件」である.

Sunshine Silver Mining & Refining Corp (SSMRC)がメ

キシコのチワワ州に保有し,DOWAホールディングス

の子会社,DOWAメタルマイン(株) (www.dowa.co.jp)が,

2014年12月から参画し,FSを進めているLos Gatosロ

スガトス銀・亜鉛・鉛プロジェクト (正路,2015)に関

し,DOWAはSSMRCの子会社でプロジェクト権益を

保有する Minera Plata Real, S. de R.L. de C.V. (MPR)へ の5000万ドルの費用の拠出を完了し(第1表),同社 株式の30%の取得条件を満了した(公表16/6/8).今 後,関連書類の登記をもって正式に権益が確定する.な お,FSでは,2016年3月までに208本の追加試錐を行 って,既存鉱脈の連続性を再確認するとともに,埋蔵 鉱量が合計で12.8 Mt (銀品位243 g/t, 亜鉛品位5.4 %),

Measured & Indicated(確定・推定鉱量)で9.2 Mt(銀品 位 289 g/t, 亜鉛品位 5.7%)と確度が上がり(第3表), 開発へ向けて条件が整いつつある.今後も引き続き試錐, 斜坑掘進,選鉱試験,環境評価,採掘設計,経済性評価 などを進め,開発・操業へ向けて2016年末を目途にFS を完了させる.当プロジェクトで生産される亜鉛精鉱は DOWAグループの秋田製錬(株)向け原料として全量引 き取ることを予定しており,DOWA製錬事業の自山鉱 比率の向上に大きく貢献する.

2.5.

南アメリカ 三菱マテリアル(株) は,2013 年6 月にペルー南部 のZafranal サフラナル銅鉱山プロジェクトを所有する

Minera AQM Copper Peru S.A.C (Lima) の株式40% を取

得し,本プロジェクトに参画した(正路,2013).権益比

率は,Teck Resources Ltd (Vancouver) が50%,Minera AQM Copper Peru S.A.C が30%, 三菱マテリアル(株) が

20% である.2014 年1月に予備的経済性評価が終了し, 埋蔵量414 Mt (Cu 0.40%,Au 0.08g/t)と計算された(正 路,2014).その後,Pre-FS の一環として,鉱量確度の 向上を目的に39 本の追加試錐の結果に基づき,地質モ デルの修正および埋蔵量の再計算等を行い, 埋蔵量401 Mt (Cu 0.40%,Au 0.07g/t)を確認した.また,環境影響 評価に資する環境社会基礎調査等も進めている. 丸紅(株) (www.marubeni.co.jp)とAntofagasta plcは, 両社が共同で運営するMinera Centinela (丸紅30 %, Antofagasta 70 %)を通じて,後者が100%保有するチ リ第II州のCentinelaセンチネラ地区に位置する新規銅 鉱床Encuentroエンクエントロを取得し,共同開発す ることに合意した(公表15/9/3).Centinela地区の南15 kmに位置するEncuentro鉱床は上部の酸化鉱と下部の 硫化鉱からなる.上部酸化鉱は,Centinelaの既存プラ ントで処理して,2016年後半に生産を開始する予定で, 50 kt/yの銅地金の生産が見込まれる.下部硫化鉱は,現 在Pre-FSを実施中で,1.2 Gt (銅品位0.43%)の資源量 を有する大規模鉱床であり,Antofagastaと推進してい るCentinela地区総合開発計画において,2020 年以降の 主力鉱山と有望視されている.なお,Centinela地区全 体は7 Gtの資源量を有している. 丸紅(株) (www.marubeni.co.jp)が,Antofagasta plcと 共同出資するチリのMinera Antucoya アントコヤ(丸紅 30%,Antofagasta70%)のAntucoya銅鉱山では,2015 年5月に鉱石の堆積を開始,9月に最初の銅カソードを 生産した(木原ほか,2016).なお,木原ほか(2016)には, 第3表 Los Gatosプロジェクトの埋蔵鉱量(http://www.dowa.co.jp/jp/ir/news/2016/20160608.html)

範疇 鉱量 /Mt Ag/g t-1 Pb/% Zn/% Au/g t-1 Ag/t Pb/kt Zn/kt Au/t 確定 Measured 3.4 318 2.6 5.4 0.37 1,081 88.4 183.6 1.26 推定 Indcated 5.8 273 2.8 5.8 0.35 1,583 162.4 336.4 2.03 小計 9.2 289 2.8 5.7 0.36 2,665 250.8 520.0 3.29 予想 Infered 3.6 124 3 4.6 0.27 466 108.0 165.6 0.97 合計 12.8 243 2.8 5.4 0.33 3,111 358.8 685.6 4.26

(8)

Antucoya鉱山の開発に関係した広域地質と鉱床地質が 紹介されている. 日鉄鉱業(株) (www.nittetsukou.co.jp)は,100%子会 社である日鉄鉱チリ有限会社を通じてAtacama Kozan アタカマ鉱山の北東15 kmの位置にするSol Nacienteソ ルナシエンテ鉱山を所有している.2007年に鉱区を取 得,2015年度末の操業開始を目指して進めていた開発 (正路,2014)は,許認可取得の遅れなどにより工期が 延びていたが,2016年3月にも工事が完了する目途が 立ち,当初の計画通り操業に移行できる体制が整った. しかし,銅価格の低迷を受けて操業開始の延期を決定し た(公表2016/2/26).これまでの調査実績は,地表地質 調査,各種物理探査,坑外試錐(57本,総掘進長23,495 m), 探査および生産準備坑道(総掘進長5,527 m),坑内試錐 (67本,総掘進長14,736 m),長孔穿孔試錐(444本,総 掘進長15,081 m)であり,確定埋蔵鉱量1.8 Mt (可採鉱 量1.3 Mt),銅品位0.99%を確認している(正路,2007, 2008,2009,2010,2011,2012,2013,2014,2015). 日鉄鉱業(株)の連結子会社であるS.M.C. Atacama Kozan (アタカマ コーザン鉱山特約会社:チリ共和国第

III州Tierra Amarillaティエラアマリージャ)は,2003

年6月の商業生産開始以来,安定的な操業を続けており (正路,2015),2015年の銅粗鉱生産は1.7Mt/yである. 日鉄鉱業(株)と双日(株)は,チリ共和国第IV州に位 置するArquerosアルケロス鉱区群(面積50 km2,州都 Serenaセレナ市の東北東35 km)について,チリ側鉱業 権者との間で2011年7月に銅を対象とした探査・開発 に関するオプション契約を締結した(正路,2012).2011 年9∼12月のJOGMEC海外地質構造調査制度を利用し た地質調査および概査試錐(14本,総掘進長2,972 m), ならびに2015年7月までに企業探査として実施した精 査試錐探査(181本,総掘進長52,749 m)により,埋蔵鉱 量40 Mtクラスの層準規制型銅鉱床の賦存を確認するに 至り,2016年3月より事業化可能性検討FSを進めている. 伊藤忠商事(株) (www.itochu.co.jp)は,①日本の製鉄 会社と設立した日伯鉄鉱石(株)と韓国,台湾の大手製 鉄会社で形成する日韓台コンソーシアムが40%(うち 伊籐忠分21.95%)を保有するブラジルの鉄鉱石生産・ 販売会社NAMISAと,②ブラジル鉄鋼大手Companhia Siderurgica Nacional (CSN)が保有する鉄鉱石事業関連資 産Casa de Pedra鉱山(CdP)およびロジスティクス(鉄道・ 港湾)との資産統合に関し,2014年11月25日に基本 合意し(正路,2015),2015年11月30日に統合の手続 きを実行した.本統合により,日韓台コンソーシアムは 保有するNAMISA発行済株式の40%を,CSNは保有 するNAMISA発行済株式の60%とCdP鉱山および鉄 道会社株式・港湾使用権を,それぞれ新設の統合会社に 移管する.CdPは世界有数の良質かつ大規模な鉱山で, 今後,統合会社は優良鉱山と整備されたインフラ施設を 保有し,同地域で最も競争力を有する鉄鉱石供給者とな ることが期待される.なお,日伯鉄鉱石(株)の構成員は, 伊藤忠,JFEスチール(www.jfe-holdings.co.jp),神戸製鋼, 日新製鋼である.

3.

石油と天然ガス

3.1.

日本国内 経済産業省(www.meti.go.jp)の資源エネルギー庁は, 「平成26∼28年度国内石油天然ガス基礎調査」の一環 として,島根県・山口県沖(山口県の北沖140 km,島 根県の北西沖130 km)で石油・天然ガスの存在の確認を 目的とした掘削を2016年6月5日∼8月に行う(公表 16/6/7).委託先は事業実施者が国際石油開発帝石(株)

(INPEX: www.inpex.co.jp),事業管理者がJOGMECで

ある.なお,事前調査は2015年8月に行われた(正路, 2015).INPEXは,この試掘調査事業の効率的かつ円滑 な推進を目的に「基礎試錐推進事業所」を新設した(公 表15/12/9). 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は, 秋田県秋田市の八橋油田北部地区(旧北秋田油田)にお いて,低浸透性砂層を対象に,残存する油・ガスの確認 と生産性改善のための技術的検討を目的に,2016年前 半に調査井1本を掘削する.掘削地点は,秋田市の北北 西7 kmに位置し,経済性の観点から原油・ガスの生産 を40年以上前に停止ている.INPEXは,当該地区にお ける低浸透性砂層に賦存する原油・ガスの従来の累計生 産量実績を踏まえ,原油・ガスの回収率は数%と極め て低いと推定していた.今回実施する調査井の掘削で取 得されるデータを基に,近年大きく進歩した掘削・仕上 げ技術および生産技術の最適な応用を検証するなど,同 地区に残存する油・ガスの確認と生産性改善のための技 術的検討を行う.

3.2.

ヨーロッパ・アフリカ JX日 鉱 日 石 開 発(株) (www.nex.jx-group.co.jp)が

100%出資するイギリス法人JX Nippon E&P (U.K.) Ltd (JXNEPUK)は,北海のUtgardウトガルド(旧称Alfa

Sentral)ガスコンデンセイト田を構成する英国側P.312

16/18a鉱区に保有する権益45%全部をStatoil (UK) Ltd

に売却することで合意した(公表16/6/3).1980年代に 発見されたUtgardガス コンデンセイト田は,北海の英 国・ノルウェイ両海域に跨る中規模ガスコンデンセイト 田である.権益売却先のStatoilは,イギリス側鉱区のパ ートナーで,ノルウェイ側の操業者である. JX日 鉱 日 石 開 発(株) (www.nex.jx-group.co.jp)が 100%出資するイギリス法人JX Nippon E&P (U.K.)

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Ltd (JXNEPUK)は,34%の権益を有するイギリス領北 海の22/25a鉱区に位置するCulzeanカリーンガス田(正 路,2011,2013)について,パートナーであるMaersk Oil (操業者)およびBPの子会社Britoil Ltdとともに開 発移行を決定し,その開発計画に対し英国政府機関で ある石油・ガス公社(OGA = Oil and Gas Authority)の承 認を得た(公表15/8/31).Culzeanカリーン ガス田は, 2008年に発見された高温高圧のガス田で,可採資源量 は原油換算で250∼300 Gbbl = 35∼40 Gt(含コンデ ンセイト)と算定されている.イギリス領北海では,過 去10年間に発見された最大のガス田であり,開発移行 に至ったガス田としては1990年以降最大である.生産 開始は2019年,以後13年間の生産が見込まれている. 2020∼2021年に生産量のピークに達し(原油換算で60 ∼90 kbbl/d = 8.1∼12 kt/d),その量はイギリスのガス 消費量の5%に相当する.Culzeanガス田とその周辺の エリアは,2015年に導入された高温高圧油ガス田に対 する優遇税制の初の指定案件となっており,良好な経済 性が見込まれる.なお,JXNEPUKは,Culzeanガス田 について保有する権益のうち16%をBritoil Ltdに売却 し,JXNEPUKの保有権益比率は18%となった(公表 16/5/16).このCulzeanガス田に導入されるFSOは三井 海洋開発(株) (MODEC: www.modec.com)に発注された (公表15/9/16).FSOの受入れ能力は2.5 kbbl/d = 0.34 kt/d,貯蔵能力は350 kbbl = 47 ktで,MODECの子会 社のSOFEC, Inc (アメリカ)が設計・建造するInternal

Turretと呼ばれる方式で,アバディーンの沖233 km, 水深90 mの海上に係留される. 石油資源開発(株) (JAPEX:www.japex.co.jp)は,連 結子会社のJAPEX UK E&P Ltdを通じて探査権益をも つイギリス領北海のP1621/P1622 (Seagullシーガル) 鉱 区において,評価井でテストを行い,原油および天然ガ スの産出に成功した(公表15/11/2).石油資源は,2014

年3月に,Seagull 鉱区の権益15%をApache Corpの子 会社 Apache North Sea Ltdから取得した(正路,2014)後, 操業者のTalisman Sinopec Energy UK LtdおよびApache

North Sea Ltdとともに資源量確認のための評価井の掘削 とこの評価井での産出テストを行った結果,8.7 kbbl/d = 1.2 kt/dの原油と1.6・106 ft3/d = 46103 m3/dの天然ガ スの産出をみた.今後,操業者を中心に,今回のテスト 結果や地震探査データにもとづき,同鉱区の評価作業を 継続する. 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は, フランスのTOTALとの合弁会社であるAngola Block

14 B.V.通じて操業者のShevronなどとともに,アンゴ ラ沖のBlockブロック14の開発・生産事業を行ってい る.このBlock 14に含まれるLianziリアンジ油田から の原油の生産を開始した(公表15/11/4).Lianzi油田 は,アンゴラとコンゴ共和国の境界地域に跨るunitized offshore zoneユニタイゼーションエリア内(両国で折半) に存在し,アンゴラのカビンダ州沖105 km,水深900m に位置する.原油生産は40 kbbl/d = 5.4 kt/dを見込んで おり,生産された原油は鉱区内で操業しているプラット フォームに送られ,需要家に販売される.

3.3.

アジア JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,サハリン石油ガス 開発(株) (SODECO = Sakhalin Oil & Gas Development

Co Ltd)がロシアのサハリン島大陸棚で推進するサハリ ン−1 プロジェクト(正路,2001,2004,2005,2007, 2010)におけるOdoptuオドプトStage-2 開発事業を債務 保証対象事業として採択し,2016年3 月22 日に関連契 約を締結した.SODECOは,サハリン−1プロジェクト に30%の権益を有している.当該プロジェクトにおいて は,2005年にChayvoチャイウォ,2010年にOdoptu, 2015年にArkutun–Dagiアルクトン−ダギの3油ガス田 で原油およびガスの生産を開始している.本案件では, Odoptu油ガス田の北部を中心とする第1次開発に続き, 南部を含む構造全体を対象とする第2次開発(Stage-2) を実施する.なお,サハリン−1プロジェクトはこれま でに550 Mbbl = 75 Mt以上の原油を出荷した. 三井石油開発(株) (MOECO:moeco.co.jp)は,100% 子会社MOECO ASIA PSCG Pte LtdとMOECO ASIA EP2 Pte Ltdを通じて,PTTEP South Asia Ltd (タイ国 営石油開発会社PTT Public Co. Ltdの100%子会社)か

ら,それぞれミャンマーの陸上PSC-G鉱区とEP-2鉱

区の権益を取得した(公表15/8/31).それぞれの鉱区の

権益比率は,PTTEP (操業者)が70%,Palang Sophon Offshore Pt Ltdが10%,Win Precious Resources Pte Ltd

が10%,MOECOの子会社が10%である.三井石油開 発は,タイをはじめとする東南アジアをコアエリアと位 置づけ,ミャンマーでは上記の両鉱区を含めて6鉱区に 参画している(正路,2013,2015). JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2015年7月6日, 出資対象事業の1つであるJX日鉱日石半島マレーシア 石油開発(株)のマレーシア海上PM308A鉱区(正路, 2008,2009,2014)における探査事業の終結を承認した (公表15/8/24).同社は,JX日鉱日石開発(株)の子会社 で,同鉱区に40%の権益を有していた.JOGMECは, 2012年11月に同鉱区における探査事業を75%出資の 対象として採択した.これまでの探査の結果,十分な経 済性の確保は困難と判断し,撤退することになった.な お,JOGMECはこれまでに43.34億円出資した. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2015年9月16日,

Vietnam Petroleum Institute (VPI)と,ヴェトナムにおい て低塩分濃度水攻法の適用可能性を評価する共同研究

(10)

契約を締結した(公表15/9/29).両者は,ヴェトナムの 特定油田における低塩分濃度水攻法の適用可能性につい て,2年間かけて評価作業を行う.なお,低塩分濃度水 攻法は油層水よりも低い塩分濃度水を油層に圧入して原 油回収率を増加させるEOR技術の1つで,圧入水が低 塩分濃度水という点以外は通常の水攻法と同じである. 他のEOR技術と比較して操業コストが安く,環境への 負荷が少ないという点で,現在注目されている. 出光興産(株) (www.idemitsu.co.jp)と住友商事(株) (www.sumitomocorp.co.jp)は,2015年8月11日,ヴェ トナム南西海上39および40/02鉱区に関する生産物分 与契約をPetrovietnamと締結した.当該鉱区は,ホー チミン市の南西500 kmの沖合に位置し.面積は1.162・ 104 km2,水深は5060 m,権益比率は出光が75% 住 友 が25%で あ る. 第1探 査 期 間 は2015年8月 ∼ 2018年7月の3年で,地震探査および試掘井1本の掘 削を行う.なお,JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は両社 が負担する探査費のそれぞれ50%を上限に出資する(公 表2015/8/12).JOGMECは,2010年に出光の提案を受 けて,Petrovietnamと当該鉱区の共同スタディ契約を締 結,2011年10月∼2013年8月の間に「知見活用型海 外地質構造調査」として,物理探査データの取得と地表 地化学調査を行い,有望性を確認した. 石 油 資 源 開 発(株) (JAPEX:www.japex.co.jp)は, 100%子会社のJAPEX Block A Ltdを通じて権益を有す るインドネシアのアチェ地域に位置するBlock A鉱区 の権益16.6667%を,同鉱区の操業者であるPT Medco E&P Malakaへ譲渡することで2016年4月28日に合意 した.なお,この権益譲渡は,インドネシア政府の承認 等を経て完了する.アチェBlock A鉱区は,インドネシ アのスマトラ島北部に位置する鉱区で,Medco Energiを 中心にガス田の開発準備作業が進められている.今回の 同鉱区の権益の譲渡は,全体的なポートフォリオの最適 化を目指すなかで決定した.なお,Kangeanカンゲアン 鉱区(正路,2014)など,他のインドネシア国内におけ る事業は,引き続き推進する. 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)が, TOTAL (操業者)と原油・天然ガスの開発・生産を行っ ているインドネシア,カリマンタン島Mahakamマハカ ム沖鉱区は,2017年末に鉱区期限を迎えるため,その 権益延長と更新を目指して,TOTALとともにインドネ シア政府およびインドネシア国営石油会社Pertaminaと 協議を進め,2018年以降の本鉱区への参画に向けた基 本的な考え方等に関してPertaminaおよびTOTALと基 本合意書を締結した(公表15/12/21). 国 際 石 油 開 発 帝 石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp) が,子会社のインペックス マセラアラフラ海石油(株) (INPEX Masela Ltd)を通じ,操業者として実施してい るインドネシアのArafuraアラフラ海,Maselaマセラ鉱 区のAbadiアバディLNGプロジェクト(正路,2011, 2012,2013,2015)では,Abadiガス田の天然ガス埋蔵 量の増大などを踏まえて,改定開発計画をインドネシ ア政府へ提出した(公表15/9/3).改定計画では,液化 天然ガスLNGを7.5 kt/y規模生産する処理能力がある FLNGを採用する.この改定開発計画に対して,2016 年4月1日,インドネシア政府から,陸上LNGによる 開発計画の再検討を求める通知を受け取った. TangguhタングーLNG事業に携わる企業連合[注4] は,インドネシアの西パプア州,Bintuniビントゥニ湾 に所在し,BPを操業者とするとするパートナーシップ が,SKK Migas (インドネシア石油ガス上流事業監督執 行機関)との契約に基づいてその操業を請け負っている Tangguh LNG基地におけるLNG拡張プロジェクトに対 する最終投資決定を行った(公表16/7/1).このプロジ ェクトは,現在7.6 Mt/y生産している液化設備2系列 に,3.8 Mt/yの生産能力を有する第3液化系列を増設す るもので,2020年中の生産開始を目指す.液化設備に 加え,2つの海上プラットフォーム,LNG運搬船用の 桟橋の新設,合計13本の生産井の掘削等を予定してい る.このプロジェクトで産出されるLNGは,その生産 能力の75%相当分がインドネシア国営電力会社である PT PLNに供給され,今後も増加が予想されるインドネ シアのエネルギー需要を支える.また,生産能力の25% 相当分は関西電力(株)へ供給される.本プロジェクト は,2012年にインドネシア政府により開発計画が承認 され,2014年に環境影響評価の承認を取得した.今後, 主要施設に関するエンジニアリング−資機材調達−建設 (EPC = Engineering-Procurement-Construction) に関す契 約を2016年第3四半期にエンジニアリング会社と締結 し着工する.

3.4.

オセアニア JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2015年8月31日, 出資対象事業の1つであるマーレイ石油(株)のパプア ニューギニア陸上PRL14鉱区における探査事業の終結 を承認した(公表15/11/25).同社は,同鉱区に26.497% の権益を有していた.JOGMECは,2010年9月に同鉱 区における探査事業を50%出資の対象として採択した. 同社は,これまでの探査の結果,十分な経済性の確保は 困難であると判断し,撤退することにした.JOGMEC はこれまでに13.1億円出資した. 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は, 子会社のINPEX Alpha, Ltd (アルファ石油)を通じて 保有する西オーストラリア州沖に位置する WA-155-P(Part1)鉱区(正路,2008)の参加権益28.5%をオース トラリアのCarnarvon Petroleum Ltdへ売却することで

(11)

合意した(公表16/1/28).

国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は, 子会社であるINPEX BROWSE E&P Pty Ltdを通じて 西オーストラリア州沖のWA-341-P鉱区(INPEX 60%,

TOTAL 40%;正路,2008)で操業者として探査を行っ

てきたが,2016年3月2日付で撤退した.これに関連

して,INPEXはオーストラリア政府とGood Standing

Agreement (GSA)を締結した(公表16/7/4).このGSA

では,WA-341-P鉱区での探査作業を通じて取得したデ ータを政府に提供することや,将来オーストラリアで実 施される予定の探査鉱区の公開入札を通じてINPEXが 取得する沖合探査鉱区での探査に830万豪ドルを支出す ることなどが定められている. 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)が操 業者として西オーストラリア州で進めているIchthysイ クシスLNGプロジェクト(正路,2007,2009,2010, 2012,2013,2014,2015)では,生産開始予定を当初の 2016年末から2017年第3四半期(2017年7∼9月)に 改め,また,LNG生産能力を当初8.4 Mt/yから8.9 Mt/y へ6%増加させる見込みとなった(公表15/9/11).2012 年1月に行った最終投資決定後,世界各地で開発作業 を進め,2015年6月時点での開発作業進捗率は74%に 達しているが,今後の建設作業スケジュールを詳細に検 証した結果,生産開始予定を上述のように変更した.こ の変更のために,投資額も10%程度増加すると見込ま れる.2015年9月19日に主要施設の1つである沖合生 産・処理施設(CPF = Central Processing Facility)が建造

地の韓国Geojeゴジェのドライドックから進水した(公 表15/9/24).CPFの建造は2013年1月から進められて おり(正路,2014),CPFの土台となるハルブロック(hull block)の組立て,および世界各地で製造された主要上載 機器の据付けが完了して,進水した.今後,他の機器や 作業員の居住施設の据付け等を行った後,CPFをGeoje からIchthysまで5600 km曳航し,洋上に係留する.さ らに,Ichthysと北部準州に建設中の陸上ガス液化プラ ントを結ぶ全長890 km,口径42 in (107 cm)のガス輸送 パイプラインの敷設が完了した(公表15/11/5).今後は, 耐圧試験などパイプラインの供用に向けての各種作業を 継続する.本パイプラインの敷設を終えたことで,プロ ジェクトの実現に向けた重要なマイルストーンが達成さ れたと考えられる. 三井物産(株) (www.mitsui.co.jp)と三菱商事(株) (www. mitsubishicorp.com)が折半で出資するJapan Australia LNG (MIMI) Pty Ltd (MIMI)を通じて参画し,西オー ストラリア州沖で操業を行うNorth West Shelf Project (NWSプロジェクト)は,Greater Western Flankガス田

群フェーズ2 (GWF-2)開発プロジェクトに係る最終投資 決定を行った.GWF-2開発プロジェクトは,開発エリ ア内に属する6ガス田において合計8本の生産井を掘削 して天然ガスを生産し,35 kmに亘って敷設した海底パ イプラインを通じて当該ガスを既存のGoodwyn Aプラ ットフォームに繫ぎ込む.生産されたガスは,プラント でLNG化して顧客に出荷・販売されるとともに,一部 はオーストラリア国内に供給される. 三井物産(株) (www.mitsui.co.jp)は,100%子会社の

Mitsui E&P Australia Pty Ltd (MEPAU)を通じて40%の 権益を有する西オーストラリア州沖の未開発油田群の 商業開発(Greater Enfieldグレーターエンフィールドプ ロジェクト)について,60%の権益を有する操業者の Woodside Energy Ltdとともに,最終投資決断を下した (公表15/12/11).今後19億ドル(三井分8億ドル)を 投資し,生産井の掘削や海底設備工事などを行い,2019 年央の原油生産開始を目指す.三井は2004年に,西オ ーストラリア州沖60 kmに位置するEnfieldエンフィー ルド油田およびVincentヴィンセント油田の権益を取得 し(正路,2004,2005),現在生産中である.本プロジ ェクトはこれら油田と同じエリア内に存在する既発見油 田群の開発である.本プロジェクトはVincent油田で使 用されている生産設備Ngujima-Yin FPSOを活用して, 大幅に初期投資と操業費を抑えた上で一体操業を行う. 三井物産(株) (www.mitsui.co.jp)は,オーストラリア のエネルギー大手Santos Ltdが保有するヴィクトリア州 Kipperキッパーガスコンデンセイト田の権益35%を,

Mitsui E&P Australia Pty Ltd (三井物産100%子会社)を

通じて取得することで合意し,2015年11月6日に権益 売買契約書に署名,2016年3月3日にオーストラリア 政府承認を含む契約上の先行要件が充足されて権益譲 渡が完了した.Kipper田はヴィクトリア州沖45 kmの Gippslandギプスランド堆積盆地に位置している.2016 年中に天然ガス コンデンセイトおよびLPGの生産を開 始し,日本国内向けに販売する予定である.東オースト ラリアではクイーンズランド州で3つのLNGプロジェ クトの操業が開始されることに伴い,域内ガス需要の急 増が見込まれ,中長期的に新たなガス供給源の確保が求 められている.

3.5.

北南アメリカ JOGMEC (www.jogmec.go.jp)と国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は,INPEX子会社のINPEX Gas British Columbia Ltd (IGBC)およびNexen Energy

ULC (Nexen)とともに,ブリティッシュコロンビア州の

Horn Riverホーン リヴァー,Liardリアード,Cordova

コルドバ地域での頁岩ガス開発技術に係る共同研究を 開始した(公表15/ 8/19).JOGMEC,INPEX,IGBC,

Nexenは,本地域における頁岩ガス開発対象層準から採

(12)

地質性状の評価に関する共同研究を実施することで合意 し,2015年3月に共同研究契約を締結した.本共同研 究では,分析の対象とする岩石試料の選定はすでに終え ており,7月に分析作業に着手した.今後,1年の研究 期間を通じて,これらの試料の詳細な分析と地質性状の 評価を行う. 石油資源開発(株) (JAPEX: www.japex.co.jp)は,著 しい油価下落に対応するため,連結子会社であるJapan

Canada Oil Sands Ltd (JACOS)による,アルバータ州

Hangingstone 鉱区3.75 セクション地域(DEMOエリア) における,ビチューメン(油砂[注5]層から採取され る超重質油)の生産(正路,2008,2010,2012,2013, 2014)を一時休止する(公表16/5/12).なお,2016年5 月1日にアルバータ州Fort McMurrayフォートマクマ レーで発生した山火事による被害はないが,山火事の影 響で,操業要員の移動や販路の確保に制約が生じたため, 操業を一時的に見合わせた.また,今回の決定により, 山火事の鎮静後も操業休止を継続し,油価が回復した折 には速やかに生産操業が再開できるよう,準備を進める. 石油資源開発(株)は,上記の生産操業を一時休止す るDEMO エリアに隣接する未開発エリアでの拡張開発 事業(正路,2013)で,20 kbbl/d = 2.7 kt/d規模のビチ ューメン生産が可能となる設備の建設工事を進め,2016 年中に完工,2017年の生産操業開始を目指している. 現在,山火事のため,作業員の安全確保優先で建設作業 を一時的に中断しているが,DEMOエリアに較べて効 率的な生産操業が期待できるので,山火事が鎮静した後, 速やかに作業を再開するとともに,予定通りの生産操業 開始を目指している. 東京ガス(株) (www.tokyo-gas.co.jp)は,2016年6月 21日(現地時間6月20日),100%出資子会社である

Tokyo Gas America Ltd (TG America)を通じて,VirTex

グループがテキサス州南部のWebb郡とLa Salle郡に保

有するEagle Fordイーグル フォード層などにおける頁

岩ガス開発事業の権益を取得した.東京ガスにとって,

この権益取得は,Barnettバーネット堆積盆における頁

岩ガス開発事業(正路,2013)に続き2件目である.こ

の権益は,VirTexがLewis Energyグループ(操業者)お よびBP US Lower 48 (BPのアメリカ子会社)が共同で 保有していた.TG Americaが設立した子会社TG Eagle Ford Resources LP (TGER)を通じて権益を取得した.本

事業に必要な支出額は最大で80億円,TGER分のガス

生産量はLNG換算で200 kt/y (20年平均)である.なお, 面積は34 kac (140 km2)である.

2015年10月16日(フランス時間),東北電力(株) (www. tohoku-epco.co.jp)はフランスのENGIE S.A. (旧名GDF SUEZ)と,アメリカのCameron LNGプロジェクト(正路, 2013,2015)からのLNGに係る長期売買契約を締結し た(公表15/10/19).両社は2015年5月に基本合意書を 交換,契約の詳細について協議を進めてきた.この本契 約はENGIEにとっては,日本の買主と締結する初めて の長期売買契約である.東北電力は,2018年から20年 間にわたり,ENGIE等が出資するCameron LNG液化施 設において,頁岩ガス等を原料から生産されるLNGを, Henry Hubヘンリーハブ価格(ルイジアナ州でパイプラ インが交差するガス集積地であるHenry Hubでのスポ ット価格)に連動する価格で購入する.さらに,2016年 3月2日,東京ガス(株) (www.tokyo-gas.co.jp)は,三菱 商事(株)の100%子会社Diamond Gas International Pte Ltd (DGI)と,アメリカのCameronプロジェクトからの LNGの売買について基本合意書を交わした.このプロ ジェクトは,三菱商事が参画するCameron LNG (会社 名;正路,2015)が,ルイジアナ州のCameron LNG受 入基地に天然ガス液化プラントを新設し,アメリカ内 で生産される頁岩ガスを含む天然ガスを精製・液化し, 1.2 Mt/yのLNGを輸出する.このうち,DGIは4 Mt/ yのLNGを引き取り,東京ガスはDGIから200 kt/yの LNGをアメリカの天然ガス市場(Henry Hubヘンリーハ ブ)価格リンクで購入する.また,東邦ガス(株) (www. tohogas.co.jp)も,6月6日,Cameron LNGプロジェク トからのLNG購入に関してDGIと売買契約を締結した. この契約は,2015年4月23日の基本合意書締結以降, 詳細について協議を進めた結果である. (株)日本総合研究所(www.jri.co.jp),三菱重工業(株) (www.mhi.co.jp),国際石油開発帝石(株) (INPEX:www. inpex.co.jp)は,経済産業省が実施する「平成27年度地 球温暖化対策技術普及等推進事業『メキシコ南部におけ るCCS-EOR事業実現可能性調査』」に係る公募に応じ て,当該調査を受託した(公表15/10/23).この調査事 業では,コンソーシアムを組んだ各社が有する技術・ノ ウハウを活用し,メキシコ南部におけるCCS-EORの事 業可能性を調べる.工場や発電所等から回収した二酸化 炭素CO2を油田へ圧入することで原油の回収率を高め る技術であるCCS-EORは,大量のCO2を油田に埋め 戻すため,原油増産のほか,CO2の大気圏放出を大幅に 削減させる効果も期待されている.調査では,石油化学 プラントや製油所等のCO2発生源の評価を初め,EOR 対象油田の調査や事業経済性の試算などCCS-EORの実 現に欠かせない項目について,2015年10月∼2016年 3月の期間で調べる.また,今回の調査結果に基づいて CCS-EORに関する事業スキームの検討を行うとともに, 政府が地球温暖化対策の一環として推進する「二国間ク レジット制度」の活用方法等についても検討する.なお, 事業は,コンソーシアムが,(株)三井住友銀行の協力を 得て実施し,各社の担当分野は次のとおりである:日本 総研が実施統括,二国間クレジット制度に関連した政策

(13)

検討,排出削減方法論の検討,三菱重工がCO2発生源 の評価,CCS-EOR設備の検討,INPEXがCCS-EOR事

業に関する知見の提供,CO2-EORの適用可能性評価,

三井住友銀行がCCS-EOR事業に関する資金調達・資金

支援方策の検討.

JX石油開発(株) (www.nex.jx-group.co.jp)が実質的 に100%出資するブラジル法人JX Nippon Oil & Gas Exploration (Brasil) Ltdaは,Ecopetrol S.A.の子会社 であるEcopetrol Óleo e Gás do Brasil Ltdaから,ブラ ジル北部,Amapáアマパー州沖,Foz do Amazonasフ

ォス ド アマゾナス堆積盆の浅海探査鉱区FZA-M-320

鉱区(面積192 km2)の権益の30(Ecopetrol Óleo e Gás do Brasilが70%)を取得することで合意した(公

表15/8/26).この権益取得は今後,ブラジル国家石油

庁(ANP ≈ National Agency of Petroleum, Natural Gas and

Biofuels)の承認を経て確定する.今回の権益取得は, JXにとって初めてのブラジル進出であるが,これまで 数年に亘り調査を行った結果,本鉱区が位置する一帯は, 今後の探査にとって期待できると考えている. 三井物産(株) (www.mitsui.co.jp)と三井石油開発(株) (moeco.co.jp)は,共同で設立した投資子会社Mitsui

E&P Brasil Ltda (MEPBR)を 通 じ て, イ ギ リ スBG Groupの傘下BG E&P Brasil Ltda (BG)がブラジル北東

部沖Barreirinhasバヘイリーニャス盆地に保有する深海

探査鉱区群(4鉱区:BAR-M-215,BAR-M-217,

BAR-M-252,BAR-M-254)の権益10%を取得することで, BGと合意し,2015年4月14日に権益売買契約を締 結,ブラジル政府の承認を含む契約上の先行要件が充足 されて,2015年12月8日に権益譲渡が完了した(公表 15/12/11).なお,BGは引き続き操業者として65%の権 益を保有する.本鉱区は,面積が3077 km2 (東京都の 1.4倍)で,BGおよび既存のパートナーであるタイの

PTTEP Brasil Investimentos em Exploração e Produção de Petróleo e Gás Ltdaとともに探査を行う.本鉱区は石油・

ガス資源開発の進んでいないフロンティア エリアに位

置しており,今後4年間で石油・ガスの存在を確認する

ための地震探査等の地質調査と試掘井の掘削を行う. 国際石油開発帝石(株) (INPEX: www.inpex.co.jp)は, 子会社であるINPEX Petróleo Santos Ltdaを通じて権益 を有するブラジル南東沖Espírito Santoエスピリトサン ト堆積盆BM-ES-23鉱区(正路,2010,2015)で評価井 を掘削した結果,深度4300 m付近で良好な油層を発見 した(正路,2015).さらに,深度4850 m付近で新たに 厚さ計70 mの油層を発見した(公表15/12/16).本評価 井の掘削は,本鉱区において一昨年より継続して進めて いる新たな原油・天然ガスの胚胎の可能性を調査する評 価作業の一環である.

4.

石炭

JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2016年6月15日, 「平成27年度事業石炭開発部成果報告会」を開催した. 各発表の件名は次の通りである([]内は発表者).(1)「我 が国への石炭供給にかかるリスク分析等調査」[日本エ ネルギー経済研究所の佐川篤男],(2)「モザンビークに おける石炭開発状況及びモザンビーク炭の市場競争力等 調査」[JOGMECの奥園昭彦],(3)「インドネシアにお ける石炭資源開発に係る環境保護,森林保全や跡地処 理・利用政策動向調査」[国際緑化推進センターの仲摩 栄一郎],(4)「中国における脱石炭の動きと石炭需給及 び石炭輸出入動向調査」[JOGMECの國吉信行],(5)「イ ンドにおける石炭需給動向等調査」[石炭エネルギーセ ンターの上原正文],(6)「韓国,台湾及び東南アジア諸 国の一般炭需要動向と輸入動向調査」[JOGMECの奥園 昭彦],(7)「世界及びアジアにおける石炭市場の取引動 向と石炭コモディティ化への対応」[Argus Mediaの三田 真己].各報告の資料はHP (http://coal.jogmec.go.jp/info/ index.html )からダウンロードできる. JOGMEC (www.jogmec.go.jp)は,2012年から実施し ているモザンビーク鉱物資源エネルギー省との石炭の共 同調査(海外地質構造調査)に基づき,2016年3月3日, モザンビークのMaputoマプト市で同省の関係者を対象 として,マニカManica州で行った試錐調査に関する技 術ワークショップを開催した(公表16/3/10).2014年1 月には,鉱物資源エネルギー省地質・鉱山総局(Direcção

Nacional de Geologia, Moçambique = DNGM)および鉱業 研究所(National Institute of Mines ≈ INAMI)と覚書を交

換し(正路,2014),本格的調査を行っている.2014年 度には,ニアサNiassa州とマニカ州を対象に,新たな 石炭ポテンシャル地域の抽出等を目的とした衛星画像解 析および空中磁気探査を実施し,有望地区を選定した. 2015年1月からは,選定した有望地区で試錐調査を実施, DNGMおよびINAMI関係者を対象にマニカ州における 調査結果を報告した. NEDO (www.nedo.go.jp)は,モンゴルの鉱業省と共 同事業を実施することで合意,2016年2月16日に基本 協定書(MOU)に署名した.本事業では,モンゴルの南 ゴビ地域に位置するる世界最大級の原料炭炭田のTavan Tolgoiタヴァントルゴイ炭鉱に,従来の湿式選炭システ ムと同等の選別能力を有する水をまったく使用しない乾 式選炭システムを世界で初めて導入し,システムの実証 を行って,従来の湿式選炭システムに較べて20%の省 エネルギーを目指す.従来の湿式選炭システムは,最新 の省水技術を適用しても相当量のプロセス水が必要であ る.南ゴビ地域は,年間降水量が150 mm以下と極端に 乾燥している寒冷地であり,プロセス水の安定確保が大

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