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第134回 部門別研究会(人事部門) 本音で語る働き方改革

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Academic year: 2021

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<企画趣旨説明―働き方改革関連法の概要> はじめに 最初に2018年7月に成立し,2019年4月から順次 施行される働き方改革関連法について,その内容を 整理して議論の共通理解をしておきたい。 巷間この法律の重要な項目として挙げられている のは,①時間外労働の制限,②同一労働同一賃金, ③労働時間規制をはずす新たな枠組みとしての高度 プロフェッショナル制度である。以下各論点をみて いく。 1 .時間外労働の制限 厚生労働省のリーフレットの図が簡にして要を得 ているので,それを参照されたい。 重要な点は二点ある。一つは月45時間,年360時 間という制限が従来大臣告示というレベルで発せら れていたことが,今後は法律本文に明記されたこと である。二つ目は,従来時間外労働協定の特別条項 で上限なく時間外労働の最高限度を決めることがで 第134回 部門別研究会(人事部門)

本音で語る働き方改革

長谷川 宏 二(丸紅新電力株式会社) 齋 藤 悠 介(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ) 森 井 利 和(弁護士 中央大学法務研究科) 小 林 良 暢(グローバル産業雇用総合研究所) 廣 石 忠 司(専修大学)

Work Style Reform-How can we do that? HASEGAWA Koji (Marubeni Power Retail)

SAITO Yusuke (Recruit Management Solutions) MORII Toshikazu (Lawyer, Chuo Law School)

KOBAYASHI Yoshiaki (Research Institute of Global Industrial Relations) HIROISHI Tadashi (Senshu University)

 第134回の部門別研究会は人事部門が主催し,2019年7月21日に筑波大学東京キャンパスにおい て「本音で語る働き方改革」というテーマで開催された。  この研究会の趣旨は,大企業において2019年4月1日より働き方改革関連法に基づく改正労働基 準法が施行されるなど,従来とは異なった人事・労務の運用が企業の実務には求められているが, 現場は「働き方改革」に対してどのように対応しようとしているか,情報を労使の実務家から提供 してもらい,今後の対応を検討することにある。法律が施行されたとしても,ただちに企業の現場 が変わるわけではないし,これらの法律が現場から必要とされない法制度であれば脱法行為が横行 することも考えられ,その実効性が問題視されかねないからである。  問題提起は使用者側から人事担当者として丸紅新電力株式会社人事課長長谷川宏二氏,経営者の 視点から株式会社リクルートマネジメントソリューションズ統括部長齋藤悠介氏,労働者側から労 働側弁護士の森井利和氏,労働組合としてグローバル産業雇用総合研究所(元連合総研,電機連合) 小林良暢氏にお願いした。企画及び司会は専修大学の廣石忠司が担当した。なお,研究会での発言 は各パネリストの所属団体とは無関係であり,本稿はそれを廣石がまとめたものである。従って文 責はすべて廣石にある。

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きたものが,特別条項で定める時間外労働の上限が 法律によって定められたことである。この特別条項 の上限に違反した場合には刑事罰が用意されている。 問題は,この「上限」が極めて厳しく設定されて いることである。この図では「複数月平均」と記さ れているだけだか,年2か月から年6か月まで一カ 月ごとに平均して月80時間を超えないようにせねば ならないのである。シミュレーションしてみればわ かることだが,一回月80時間を超える時間外労働を させた場合にはその前後6か月間は,再度月80時間 を超える時間外労働をさせることができない。これ を個人別に管理することは,記録に残さねばならな いことと相まって,企業実務にとって大きな負担と なる。 その他時間外労働においては次のような内容が規 定された。 〇1週間当たり40時間を超えて労働した時間が月 100時間を超えた労働者に対しては,医師の面接指 導をうけさせる事業者の義務(罰則あり) 〇使用者の労働時間把握義務が管理監督者,みなし 労働時間制適用対象者にも拡大 これにより,労働者の裁量によって労働するはず の裁量労働制適用者の労働時間も把握せねばならな い,という、見方によっては奇妙なことになった。 そして時間外労働の問題ではないが,労働者に年 5日の年休を取得させる使用者の義務が新設され, 年休取得管理簿を作成せねばならないとされた。 これらの諸制限はたしかに労働者の健康を保持す るものであるので,必要性は高い。しかしながら, こうした制限の仕方は複雑で企業実務に対して必要 以上の負担をかけるものではないかとの懸念がぬぐ えない。また,今回の改正によって設けられた限度 時間(月45時間・年360時間)はあくまで時間外労 働の限度時間であり,休日労働の時間は含まれない 一方で,今回の改正による,1か月の上限(月100 時間未満),2~6か月の上限(平均80時間以内) については,時間外労働と休日労働を合計した実際 の労働時間に対する上限であり,休日労働も含めた 管理をする必要がある。つまり「特別条項」分は休 日労働時間を含めるのだが,こうした規制もわかり にくさを増幅させている。 2 .同一労働同一賃金 有期・短時間労働者共に,いわゆる正社員との間 で職務内容,職務内容・配置の変更の範囲が同じ場 合には様々な処遇において差別的取り扱いを禁止す (改正前) (改正後) 上限規制の イメージ 上限なし (年6か月まで) 法律による上限 (特別条項/年6か月まで) 法律による上限 (原則) 法定労働時間 大臣告示による上限 (行政指導) 月45時間 年360時間 月45時間 年360時間 1日8時間 週40時間 年720時間 複数月平均80時間* 月100時間未満* *休日労働を含む 1年間=12 か月 (出典:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf) 図1 時間外労働の法的制限

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るという均等待遇規定と,処遇が異なる場合には職 務内容,職務内容・配置の変更の範囲,その他の事 情の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止するとい う「均衡」待遇規定が設けられた。従来も短時間労 働者には類似の規定があったが,有期労働者にも広 げられたのである。 さらに複雑になったのが派遣労働者である。派遣 労働者については基本的に派遣先事業所の労働者と の均等・均衡を求められることになった(その他、 労使協定で賃金を定める方式も選択できる)。派遣 元会社の負担は小さいものではない。 そして,有期・短時間労働者については雇い入れ 時に雇用管理上の措置の内容,待遇決定に際しての 考慮事項に関する説明義務,労働者から求めがあっ た場合には正社員との待遇差の内容・理由などを説 明する義務、説明を求めた労働者に対する不利益取 り扱いの禁止も同時に定められた。 ちなみに,いわゆるパート労働法は短時間労働者 のみを対象としていたが,今後は有期労働者も対象 に加え,名称も変更されることになっている。 3 .高度プロフェッショナル制度 かつてより大変議論されていたものであるが,今 回「時間でなく成果で評価される」労働者について は労働時間・休日・休憩などの適用を一切受けない とした制度が創設された。これがいわゆる「高度プ ロフェッショナル」制度である。つまり対象となる 労働者には「時間外労働」や「休日」の観念がない ため,時間外労働や休日労働の割増賃金の適用除外 となり,さらに管理監督者などとも違い,「深夜労働」 の観念がないため深夜労働割増賃金も適用除外とさ れる。 こうした制度が悪用されることは防がねばならな い。そのため,対象労働者も限定され,年収1,075 万円以上であることなどの要件の他,職種も金融機 関のトレーダーや商品開発,経営コンサルタント, 研究開発職に限定された。 4 .立法の影響 このような法律はできたが,実効性はどうか。時 間外労働の削減については業務を減らすか,人を増 やすかしないとできないはずである。それ以外の方 法は生産性の向上しかないが,その具体策は企業現 場に丸投げである。もし適切な具体策をとることが できなければ,さらなるサービス残業となることが 懸念される。 また同一労働同一賃金では「正社員と同じ職務の 非正規労働者」がどのくらいいるのか不明であるし, 「均衡」の説明も果たしてできるのか,という疑問 が残る。 高度プロフェッショナル制度に至っては制限が多 すぎ,適用申請がどれだけあるのか,首をかしげて しまう。 <企業の人事担当者から> 1 .はじめに 本日は日本人材マネジメント協会労働法研究会と して,人事担当者一般の感覚を述べる。従ってここ で述べることは当社とは関係がないことをお断りし ておく。 まず,今回の法律の3本柱である時間外労働の削 減,同一賃金同一労働,そして高度プロフェッショ ナル制度であるが,実務担当者の意識としては,時 間外労働の削減が最も注目されるテーマである。つ いで同一労働同一賃金である。高度プロフェッショ ナル制度にはほとんど関心がない。 ただし,経営者は大変コンプライアンスというこ とに気を使っている。この点は昔と大きく違うとこ ろだ。人事の現場からしても,法律が変わったから それに合わせて施策を展開するといえば経営者も理 解するようになってきている。 しかしながら法律が変わったからといって,現場 の意識や運用をいきなり変えるわけにはいかない。 そのため現場では混乱している側面もある。 2 .現場で起こっていること―時間外労働― 以上を前提として,まず時間外労働の問題を取り 上げる。コンプライアンスは絶対のものとしても, 現場の作業量が変わるわけではない。その結果上司 は「とにかく早く帰れ」というばかりでは上司・部 下の関係性は悪化するばかりである。会議を減らす など,仕組みと意識の変化が必要である。そもそも 日本企業には「仕事を止める」という発想がないの である。 一方,働き方改革で先行した企業ではたとえば, 営業職は事業場外みなし労働時間制を全廃し,すべ て勤務実績に基づく時間外労働割増手当を払い,他

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方では事務職には,テレワークや“中抜け”,つまり 中間の自由な休憩時間を大きく取るなどした結果, 残業(代)は全体として大きく減少した。柔軟な働 き方の一例である。 その反面,柔軟な働き方を導入した結果,個業化 が進んだとの実感が従業員内にあり,日本的働き方 の長所である助け合い・チームワークが希薄になっ たとの懸念がある。個人単位の仕事になると,チー ムで仕事をしていることに慣れた者に対するメンタ ルケアが必要になるかもしれない。 3 .同一労働同一賃金 この問題に関する人事担当者の理解浸透は今一つ のように思われる。現在の雇用区分の中で問題はな いという認識が支配的と感じられるからである。 その中で人事担当者が注目しているのは手当の問 題である。労働契約法20条では有期労働者と正社員 との不合理な待遇格差が禁じられており,この解釈 をめぐっては長澤運輸事件,ハマキョウレックス事 件(いずれも最二小判平30.6.1 労働判例1179号) といった裁判例を見る限り,一方の社員に手当を支 給しているのに,他方には支給しないというのは違 法であると判断されている。その重要な要素は手当 の趣旨である。意識の高い企業ではそれぞれの手当 が非正規雇用の職務内容・人材活用の仕組みの違い から説明できるものか否か検証にかかっている。た だし「合理性」が問題となる部分は最高裁など判例 の蓄積をまつことになろう。 なお労働者派遣事業を行っている会社にとって は,大変大きな問題となっていることを付言する。 4 .高度プロフェッショナル制度 これについてはまったく使うイメージが持てな い。立法者の意識としては全く労働時間の規制をし ない労働者という枠組みを作ってみた,というとこ ろにあるのではないだろうか。 <企業経営者の視点―コンサルタントの立場からの見聞―> 1 .総論 基本的には人事担当者の視点と同一のように感じ られる。大前提はコンプライアンスの徹底にあるこ とは疑いがない。しかし,その上でどのように「働 き方改革」を進めていくかについては,温度差があ るのが実態である。 2 .法対応とその次のステップ 経営者には「コンプライアンスの観点から「働き 方改革は必要である」という認識はある。しかしわ が社はどうか,となると,まだ手を付けていない会 社が多いだろう。いずれにしても法律が変わった以 上,法には従わざるを得ない。もっとも,時間外労 働の削減を例に挙げて言えば,経営者が具体的な施 策を命じることはないから,経営者は抽象的に人事 部,あるいは現場に「時間外労働を削減せよ」と命 じることになる。その結果どうなるか。人事の現場 で話があった通り,就労が地下に潜る,つまり表面 上の記録は時間外労働を削減したような形をとりな がら実態はタイムカードを押した後で仕事を継続す るような形をとるのか,もしくは無闇に仕事を減ら して結局企業の弱体化を招くのか,という問題が生 じうる。このことは経営者も認識している。 従って時間外労働削減の前段階としての業務の見 直しといったことから始めているのが実情ではない か。もっともそのことにより「何か対応している」 という安心感のようなものを抱いてしまっている可 能性もある。 3 .マクロの見方 それよりも経営者は少子高齢化対策が大きな課題 と認識されているように思われる。これは一言でい えば生産性の向上ということにつきよう。今後は数 少ない人数で大きな付加価値を生んでいくことが求 められる。その結果として時間外労働の削減といっ た効率化が果たされていくということになるのでは なかろうか。 4 .下部階層の意識 上述の通り経営層としては労務リスクを抑えなが ら,生産性を向上させていきたいところである。一 方人事担当としてはKPIマネジメント,すなわち重 要業績評価指標として時間外労働時間を設定する以 外に何ができるのか,時間外労働の削減は管理職に しわ寄せがいくのではないか,現場で若手層を育成 する余裕がなくなるのではないかという危惧を抱い ているし,現場は現場で人事から時間外労働削減を 要求されると,顧客対応がおろそかになってよいの か,突発事態にいかに対応するのかという不満もで

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てくるであろう。 5 .その他の論点に対して これまで時間外労働について述べてきたが,同一 労働同一賃金論については,定年延長や定年後再雇 用者の処遇問題として受け止めているように思われ る。人事としてはこうした階層への処遇を職務,あ るいは職責という形で対応したいところではある が,それでは定年前の社員層と整合性が取れない。 この点をいかにクリアするかが課題であろう。正社 員はあまり関心を持たないだろうが,非正規,ある いは再雇用者は注目しているのではなかろうか。 高度プロフェッショナル制度についてはほとんど 関心がない。先ほど人事担当者の声として述べられ たとおりである。 <労働者の立場から> 1 .2018年「働き方改革」関連法 前述された「3本柱」以外に注目されるのは,フ レックスタイムの単位拡大,年休の時季指定義務, 労働時間の適正把握義務(安衛法6条の8の3), 勤務間インターバルの努力義務(労働時間改善特措 法2条)といった点であるが,これらを含め,また 弁護士の立場からも所感を述べる。 2 .労働時間の上限規制の問題点 労働時間の上限規制は,ないよりはあった方がよ いという意味では評価できるが,これは残業時間を いかに規制するかの発想である。そもそも本来は1 日8時間,週40時間,週休が原則ではないのか(労 基法32条,35条)であって,例外(36協定による時 間外労働)が恒常化していることが問題なのである。 労働者としてはこの「本来働くべき時間」以外に働 かねばならないこと自体を問題視したい。 また,規制の手法として,より重要なのは勤務間 インターバルではないのかという疑問を持つ。それ は今回のような規制の仕方は煩雑に過ぎることによ る。 前掲の図で概要は説明されているが,特に「2~ 6か月の上限(平均80時間以内)」というところでは, 月時間外45時間超6回,休日・時間外合計 単月 100時間未満という前提のもとに休日・時間外合計 2か月平均80時間,3か月平均80時間,4か月平均 80時間,5か月平均80時間,6か月平均80時間とい うことになる。さらに,深夜時間,休日労働時間を 把握する必要がある。これだけのポイントがあるの に,各人別にどうやって時間管理をするのだろうか。 そして今後は,休日・時間外を合算した時間も管理 する必要がある。これは労働者というより,企業の 現場にとって大変な負担となるだろう。そして,企 業がきちんと時間管理をしているか,労働者個人も チェックせねばならないとするならば,これは過重 な負担ともいえる。 3.刑事罰との関連 また時間外労働のこの部分は違反すると罰則が用 意される刑事規定となっている。それでは「罪とな るべき事実」はどのように記載すればよいのか。ま た労働者が労基法違反として申告(労基法104条) するにしても,告訴するにしてもどのように違反事 実を特定すればよいのだろうか。一言でいえば労働 者も使用者も正確に上限規制違反かどうかを判断で きるのか,疑問が残るのである。 割増賃金(労基法37条)請求なら,時間的ポイン トとしては,1日8時間,1週40時間,1週60時間, 休日,深夜の点なので,まだ楽なのだが,それでも 本格的にやりだすと大変な作業になる。 4 .パート・短時間労働者の均等待遇・均衡待遇 (パート・有期法8条,9条) 待遇に不合理な差をつけることの禁止が規定され たが,これでは抽象的すぎて,何が不合理な相違な のか判断ができない。指針でも,まだ抽象的である。 前述された長澤運輸事件やハマキョウレックス事件 のように手当の有無などでは機能するかもしれない が,基本給,賞与ではどうだろうか。職務内容に相 違を付けた場合,均衡があるかどうかの判断は,か なり主観的なものになりそうである。 5 .その他諸制度 高度プロフェッショナル制度は要するに残業代の 節約条項ととらえられる。ただ,この制度には面倒 な要件が必要であるし,そもそも労使委員会を構成 せねばならないが,この委員会での労働者側委員(過 半数労働組合,その労働組合がない場合には過半数 代表者が指名)が使用者と独立した立場で動くこと ができるのだろうか。特に無組合企業ではこの懸念

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は強くなる。 なおフレックスタイム制については,そもそも労 働時間の把握が現実に行われているのか疑問の余地 なしとしない。 また,労働時間の適正把握義務が条文化されたの はよいが違反に対する罰則がない。一方,勤務間イ ンターバル制度は実施されれば有効な制度となりう る。例えば,勤務と勤務の間は11時間の休息時間を 確保するとすれば,1日の時間外労働は4時間に抑 えられる。ただこれも努力義務にとどまっているの で,普及は望み薄である。 7 .年休の時季指定義務 最後に使用者に対して年次有給休暇中5日の時季 指定義務を課した点であるが,年休を現実に取得し ている労働者にとっては迷惑な制度ともいえる。年 休を取得できるような人員配置の整備の方が重要な のではないだろうか。 <労働組合の立場から> 1 .長時間労働規制 そもそもなぜ時間外労働を,なぜ規制せねばなら ないのか。それは労働者の健康の保持と,ワークラ イフバランスの維持であろう。その観点からすると, 今回のような時間外労働の規制より,勤務間イン ターバル制度の導入の方が効果的ではないだろう か。ちなみに,高度プロフェッショナル制度につい ては,裁量労働制の柔軟な導入で足りるのではない かと考えている。 2 .勤務間インターバル 今回の改正では,欧州のEU指令並みの「11時間」 は明記せず,「努力義務」にとどめている。これは 大変中途半端である。先ほどのお話の通り,11時間 のインターバルを導入した場合には時間外労働も必 然的に少なくなり,問題の多くは解消できるように 思う。 そう考えるのも,勤務間インターバル制度の労使 協定をみてみると,11時間の協定は少なく,中には 8時間のインターバルで労働協約を締結している例 もみられる。これではインターバルの意味がなく なってしまう。午前9時出勤を命じていた場合,そ の日の午前1時まで働かせることができてしまうか らである。 この観点からすると連合が主張する「原則11時間 ドイツ 単位: 時間:分 出所:企業文化研究会「企業文化に関する国際アンケート調査」(労働調査 協議会「労働調査」2009年3月号) 14:43 チェコ 14:38 スロバキア 14:51 エストニア 15:05 中  国 14:32 日本 12:11 15:21 14:52 14:24 13:55 13:26 12:57 12:28 12:00 11:31 11:02 10:33 図2 1日の「休息時間」の国際⽐較

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のインターバル制度」は,国際労働運動の場では, 恥ずかしい(図2は休息時間の国際⽐較である)。「原 則」ではなく,「11時間以上の義務付け」とすべき だろう。 この勤務間インターバル制度の重要性と有用性を この場を借りてぜひ強調しておきたいところである。 3 .年次有給休暇 年次有給休暇は欧州では労働者の希望を聞いて, 会社が決めるが,日本では労働者が自己決定すれば 足りることになっている。しかし年休取得すると仕 事が溜まるから,取らないというのが現状であろう。 これに対して「使用者に対して労働者に年休を取ら せる義務」を課すというのが今回の法改正である。 ただこれは一歩進めて,労使での「計画年休取得運 動」を推進することが求められるように思う。 4 .同一労働同一賃金 規則のあり方として,法律の条文で明記すること なくガイトラインで例示して,決定は労使協議に委 ねていることは,現実にマッチしているところと評 価できる。しかし決定的な欠陥は,当初の「均等」 が「均等・均衡」に化けたことである。これで何を もって「均等」とするのか,「均衡」とは何か明確 ではなく,主観が入ってしまうことになってしまっ た。 基本給について,⽐較対象とする労働者として会 社は「同じ仕事の正社員」の下の方を当ててくるこ とになろう。訴訟になると,非正規格差の判例では 過去3年の⽐較ということになるが,これもわかり にくい。結局はケースバイケースになろうか。 賞与について正社員に支給して非正規労働者には 支給しない,というのは通らない。ただ,「均衡」 の観念からすると,若干でも「お印程度」を支給す ればよいのか,という問題も出てくる。 5 .派遣労働者の扱い 派遣労働者の扱いも一律には言い難い。派遣や製 造請負の職場には正社員がいないケースも多くあ る。その場合には近い職務の者を提示することにな るだろう。こうした場合,派遣に限って認められて いる労使協定方式を用いることも有用ではないか。 その場合,派遣労働者のヴォィスをどう反映するか が課題である。労使協定の当事者として従業員代表 すなわち労働組合の出番があるからだ。その際,連 合で示している「2019春季生活闘争 代表銘柄・中 堅銘柄(職種別賃金主要銘柄)」,いわゆる「銘柄賃 金」を活用することが考えられるところである。

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参照

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