「地域から求められる在宅特化型診療所になるための改善プログラム:アクションリサーチ」
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(2) 背景 2007 年 か ら 2010 年 ま で 浜 松 地 域 で は 地 域 を 対 象 と し た 大 規 模 な 地 域 緩 和 ケ ア プ ロ グ ラ ム( 緩 和 ケ ア プ ロ グ ラ ム に よ る 地 域 介 入 研 究:OPTIM プ ロ ジ ェ ク ト )が 実 施 さ れ た. 1, 2. 。OPTIM. プロジェクトでは、自宅死亡率が主要評価項目のひとつとして設定された。4地域全体で も全国平均と比較して有意な意味のある増加が見られたが、特に、浜松市においては早く か ら 在 宅 医 療 の 先 駆 的 な 取 り 組 み を 行 っ て き た 仙 台 市 を 上 回 る 自 宅 死 亡 率 と な っ た( 図 1 )。 し か も 、 自 宅 死 亡 は 患 者 の 90% 以 上 が 望 ん だ も の で あ り ( 図 2 )、 家 族 の 介 護 負 担 も 増 加 が な く 、 患 者 ・ 家 族 の 評 価 し た 緩 和 ケ ア の 質 や quality of life も 自 宅 で は も っ と も 高 い こ と が 明 ら か と な っ た ( 図 3 )。 地域緩和ケアプログラムでは、地域全体の多職種での複数のネットワーキング、教育、 専門家の支援を主な介入として行ったが、浜松市におけるこれらの望ましいアウトカムが 得られた要因の一つに在宅特化型診療所が既存のリソースと連携して機能したことが挙げ ら れ る 。 OPTIM プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 期 間 中 、 ① 多 職 種 で の グ ル ー プ ワ ー ク や セ ミ ナ ー を 行 い 退 院 支 援・調 整 プ ロ グ ラ ム の 改 善 を 行 っ た. 3-5. 、② 介 護 保 険 の 迅 速 化 を 行 っ た 、③ 一 般 型. 診療所からなるドクターネットと在宅特化型診療所のネットワーク化を行った、④診療所 の個別訪問を行い診療所間連携のためのネットワーキングを行った、⑤特化型診療所の遺 族を対象としてケアの改善点や評価を得て地域の多職種で共有した. 5. 、などの活動を通じ. て、在宅特化型診療所をふくめた地域全体の在宅医療の改善をおこなった。 在 宅 特 化 型 診 療 所 は 、 GP( General Practice) 制 度 を 有 さ な い 我 が 国 の 在 宅 医 療 に お い て在宅医療を提供する1つの形態であり、実際に、在宅特化型診療所または病院の在宅診 療部門が高い機能を有している地域では自宅死亡率が高い傾向にある。その一方で、在宅 特化型診療所と、医師会など既存の医療福祉リソースとの連携が課題とされることがしば しばある。在宅特化型診療所の地域の在宅医療におけるあり方の明確化が求められている にもかかわらず、 「 在 宅 特 化 型 診 療 所 に は ど の よ う な 課 題 が あ り 、課 題 を ど の よ う な 方 策 で 解決できる(できない)のか」を明らかにした研究や活動はない。 今後の我が国での在宅医療の展開を考えるうえで、在宅特化型診療所の自発的な質改善 が可能となる枠組みを構築することは非常に重要である。本研究の目的は、浜松市の在宅 特化型診療所1施設において、在宅医療についての課題を明確化し方策を抽出し実践し評 価するまでの一連の過程を明らかにすることである。.
(3) 対象・方法 浜松市の在宅特化型診療所を含む複数の医療福祉施設の医療福祉従事者を対象とした ( 患 者・家 族 は 直 接 の 研 究 対 象 と は な ら な い )。ア ク シ ョ ン リ サ ー チ の 枠 組 み を 用 い て 研 究 を行った。. 1. 課題の抽出 最初に、研究者(地域緩和ケアプログラムの実践経験のある看護師)が在宅特化型診療. 所と連携のある複数の医療福祉機関の医療福祉従事者を対象としてインタビュー調査を行 っ た 。 イ ン タ ビ ュ ー は 半 構 造 化 面 接 で 行 い 、「( 対 象 か ら 見 た ) 在 宅 特 化 型 診 療 所 に 求 め る こと・要望・実際の事例について困ったこと・問題・改善案」をたずねた。インタビュー 内容は同意を得て録音した。浜松市内の病院医師、病棟看護師、地域連携看護師、訪問看 護ステーション看護師、介護支援専門員、保険薬局薬剤師各1名から聞き取り調査を行っ た 。回 答 内 容 を 数 行 の 意 味 単 位 と し て 、内 容 分 析( thematic analysis)を 行 っ た 。分 析 は 、 地域の緩和ケアプロジェクトに関わった医師1名、看護師1名でおこなった。おおむね理 論飽和が得られるまでサンプリングを行った。 2. 課題の同定・解決策の計画 得られた要望をもとに、在宅特化型診療所の看護師と研究者とで課題の意味を解釈し、. 要望に応えるための行動計画を作成した。行動計画では、理論的に実施可能なものをなる べく多くあげ、そののちに実施可能なものを選択できる経過がわかるように記述した。 行動計画を策定する時点で、医師による患者への対応の違いをどうするかという課題が 挙げられたため、医療福祉従事者に対するインタビューを追加した。 3. 行動計画の実践 実践期間中に生じたプロセス(生じた困難・問題、解釈、対応と結果)を研究者が定期. 的にインタビューを行い記述した。. 結果(1)課題の抽出 ひ と り あ た り 平 均 し て 約 1 時 間 、 合 計 61215 語 の デ ー タ が 得 ら れ た 。 対 象 者 は 、 在 宅 特 化型診療の果たしている役割と改善が求められる点をいずれも述べた。結果のまとめを表 1 に示す。 表1. 在宅特化型診療所の役割と改善の求められる点. 在宅特化型診療所の果たしている役割 1)症状緩和の技術の必要とされる患者に対応してもらえる 2)医療処置が多い患者・医療依存度の高い患者に対応してもらえる 3)頻回に往診に来てほしい患者に対応してもらえる 4 ) 24 時 間 い つ で も 迅 速 な 対 応 を し て も ら え る 5)在宅診療のリソースが少ない地域の患者に広範囲に対応してもらえる.
(4) 6)患者を断らないので心強い・たよりになる 在宅特化型診療所がさらに改善が必要な領域 1)診療所内の情報共有 2 )診 療 所 と 在 宅 チ ー ム 間( 訪 問 看 護 、居 宅 介 護 保 険 事 業 所 、保 険 薬 局 な ど )で の 情 報 共 有 3)在宅か病院かの場所の意思決定の支援 4)死亡した患者の関係者への連絡 5)紹介時のかかりつけ医師への連絡. 6)費用についての懸念. 在宅特化型診療所の果たしている役割 在宅特化型診療所の果たしている役割として、1)症状緩和の技術の必要とされる患者 に対応してもらえる、2)医療処置が多い患者・医療依存度の高い患者に対応してもらえ る 、3 )頻 回 に 往 診 に 来 て ほ し い 患 者 に 対 応 し て も ら え る 、4 )24 時 間 い つ で も 迅 速 な 対 応をしてもらえる、5)在宅診療のリソースが少ない地域の患者に広範囲に対応してもら える、6)患者を断らないので心強い・たよりになる、ことが挙げられた。. 「 い い と こ ろ は い っ ぱ い あ り ま す よ 、あ れ だ け 症 状 コ ン ト ロ ー ル し て く れ る 先 生 はいないですよ。せん妄のコントロールを在宅であれだけする先生はいないですね。 見 たこ とな い。前 もって レス キュ ーをち ゃんと 準備 しと いてく ださる 先生 もほ かに はいない。 ( た い て い の 先 生 は )症 状 が 起 き て か ら 出 す ん で す 。 (特化型診療所では) 可能性がありそうだったら、出してくれているんです。いま初めてこんな状態にな っ た け ど 、「 こ の 薬 使 っ て 」 っ て 先 生 か ら 言 わ れ る ん で す け ど 、「 え ?. そんな薬ま. だ 処 方 し て ( も ら っ て ) な い で す 」 っ て 、「 い や 、 あ る あ る 。 冷 蔵 庫 の 中 に 入 っ て るから使って」って。そしたら夜間でも土日でもいつでも対応できるんです、先生 がいなくても、私たち(訪問看護師)がいくとき、それはいい。すばらしい。早い 症状コントロールができるから、だから家にいれるんです。少しでも遅れて、苦し い思いをさせてしまうって家族が思っちゃったら、病院になっちゃうんですよ。徹 底してるんで、あんだけ家にいれる。症状のコントロールこんな感じでっていった ら、「ああ」ってすぐ対応してくれるし。ほかの先生だとやっぱり、もっともっと 詳しく説明しないと、なかなか伝わらないところがある。症状コントロール的なと ころっていうのは、何かぴったしくる感じがするんですよね」. 「在診をしてるところが各地にあれば、そんなに困らないのかもしれないけど、 今は診てくれる先生が少ない地域があるから、それは在宅特化型診療所だったら広 範 囲 に カ バ ー し て く れ て る か ら 頼 め る っ て い う こ と で 、そ こ に 頼 も う っ て 。あ と は 、 いろんな手技が多い人。例えば、ポンプを使うとか、腹水穿刺とか胸水穿刺とかい.
(5) ろんな手技があったりすると、なかなか普通の先生だと手間がかかったり、トラブ ルがあったときにすぐ対応できない、そういうのもあって、特化型に頼もうって思 いますよね。特殊な手技とか医療行為が必要な人、頼みやすいね。できるだけ頻回 に往診とか来てほしいひとも、(一般の診療所で)外来の合間にしか出れないとか だと、家族とか本人が不安になるから、在宅特化型診療所のほうがやっぱり患者さ んも安心するっていうとこがあるかなと思います」. 「基本的に依頼されたらみんな断らずに取ってもらえてるっていう評価は高い と思います。頼むのに敷居が高いとかもほかの地域ではあるみたいだけど、浜松の 場合だと、どんな大変そうな人でもまず受けてくれるっていうところでは、病院側 からすれば、すごく頼りになるというか、在宅で診ていってもらえるっていうとこ ろでは安心できると思います」. 在宅特化型診療所がさらに改善が必要な領域 在宅特化型診療所がさらに改善が必要な領域としては、1)診療所内の情報共有、2) 診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事業所、保険薬局など)での情報共有、 3)在宅か病院かの場所の意思決定の支援、4)死亡した患者の関係者への連絡、5)紹 介時のかかりつけ医師への連絡、6)費用についての懸念、が語られた。. 1. 診療所内の情報共有 複数の医師がかかわることや、診療所内で患者の情報を集約している担当者が明確でな. いことにより、診療所内で情報共有が十分できていないように思われることが語られた。 一方で、多数の職員がかかわることで地域全体を対象にできていることから、診療所内で の多数の患者の情報共有をすることのむずかしさも理解されていた。. 「例えば、(まず)担当の先生(がひとり診察した後に)、次にはまた違う先生 が来る、どうしてもそれがある中でちょっと心配というか、どこまで伝わっている んだろう、この前お願いしたことがまた「あれ?. そうなんですね」ってところが. (あります)。われわれが伺ったところを連絡をしたこともご本人には、どこまで どういうふうな流れで伝わって連携が図られているのかがなかなか見えにくくて 不安になってしまうっていうような声はちょっと、ちょっとというか、結構聞くこ とがあります。困ったというよりは、どこまでどういうふうに伝わっていくのか、 お 願 い し た こ と が ち ゃ ん と 伝 わ っ て い る の か( 伝 わ っ て い な い か ら も う 一 度 言 っ た ほうがいいのか)、見えなさのところでの不安になるってところはありました。実 際に診療に来てくださってる時に、「わかりました。じゃあそこは確認して、また お返事します」っていうことだったんですが、そこが次のところになかなかうまく.
(6) 多 分伝 わっ ていた のかも しれ ない んです が、こ ちら のほ うには 明確な 返答 がな かっ た り が ち ょ っ と あ っ た ん で 、そ こ が 。わ れ わ れ と し て は 、も と の 先 生 に( も う 一 度 ) そこをお伝えしていったらいいのかなっていうところで。先生も大勢の方を分担で 診てくださるからこの(浜松の広域の在宅診療の)支援ができるっていう(いい) ところ(もあるので)、情報の連動っていうのがどこまでできるかって言ったらな か なか 難し いとこ ろがあ ると は思 うので 、主と なる 方が だれと か伝達 窓口 がは っき りしていれば、それだけでかなり改善されるというか」. 「いろんな先生が来て、毎回、毎回その先生方に説明をしなきゃいけないってい うことで、(診療所を)変えてほしいということがありました。患者さん(からみ てみると)、来る先生、来る先生に毎回一から十まで言わなきゃいけなくなってし まうっていうものが(あったんだと思う)。なので、(特に一貫した対応が必要な 患者さんには)、「この患者さん、こういうことがあるから先生たちそんなに変わ らないようにしてほしいんだけど」って依頼をしたこともあります。3 人くらいで せめて固定してほしいとお願いしたことがあります。私たち、あなたのことわかっ て ま す よ っ て い う こ と を 示 す こ と に も な る の で 、「 こ の 前 は こ う い う ふ う な こ と で 、 こうやりましたよね」、「痛み止めの状況をこう変えましたけど、どうですか」と かいうようなかたちで入っていけば(違うかも)と思うんです。ちょっとそういう ところが強化してほしいかな」. そ れ ぞ れ の 判 断 に 任 せ て る と 思 う 。あ る い は 、も う 担 当 の 医 師 が 決 ま っ て る と 、 ほかの先生は、だから実際に診察とかに行ってないから、実際にどんな状況か は、その先生とか看護師さんからの情報しかないから、そこまで判断がしにく いかもしれないですよね、実際に診てなかったらね。だから、共有するってい う の が 、病 棟 み た い に 総 回 診 と か が で き る わ け じ ゃ な い か ら 、1 人 ず つ が 行 く の で、行かない人にとっては、また聞きでの情報だけだから、確かに。もうその 主治医に任せるっていうふうになるのかなと思うけどね。. 2. 診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事業所、保険薬局など)での情報共. 有 診療所と在宅チーム間での情報共有について、訪問看護ステーションと診療所看護師間 での計画について一緒に顔を見て考えられる機会、入院のタイミングについて患者を在宅 で見ている多職種―医師・看護師・介護支援専門員で相談しあう機会、保険薬局からは処 方 変 更 に 関 す る 理 由 や 検 査 デ ー タ を 共 有 し た い と い う 希 望 が 語 ら れ た 。 OPTIM プ ロ ジ ェ ク ト中に顔の見える関係ができていったが、その後職員の交代や増員により、顔の見える関 係が希薄になっていることが語られた。福祉職からは、紙媒体以外の主旨を伝えやすい連 携するためのツールがあればよいという希望がきかれた。.
(7) 「( 在 宅 特 化 型 診 療 所 の )看 護 師 と い っ し ょ に 連 携 と り な が ら 一 緒 に や っ て い かなきゃいけないんだけれども、向こうの看護師のやることとうちらのやること がまた違ったりするんで。この曜日はこっち、向こう、こっち、向こうって日で 分けているので、なるべく同じ役割でいくといいだろうっていう感じはするんで すけど、そのへんの合わせるのが、よくよく連絡とっていかないと難しい。毎日 の記録は連携しているとどこのステーションも記録を送ってると思うんですよ。 向こうからも、毎日。だから、一応やってることとか、こういうことをやりまし たとかっていうのは、わかるんです。こういう状態でしたとかっていうのは。で も、一緒に合わせて計画立ててっていうのは、また違う話。どうしていくのがい いのか、ケア内容をいかに継続性をもたせていくかとか、そういうところがもう 少し話し合いしていかなきゃいけないんだろうなと思うところかな。前はアウト リーチとかで本当によくよくいってて、利用者さんのことも話をよく知ってた、 顔合わせて。今はそこまでしてないんで、電話でちょこっと話しするぐらい。1 人 1 人 に つ い て 、じ っ く り 話 を す る ほ う が い い ん で し ょ う ね 。「 何 回 い く ?こ こ 何 曜日、こっちとる、あっちとる」っていう話はするんだけど、方針とか看護計画 とかも話をしながらいけるといいだろうな。あまりにもでかくなり過ぎちゃって るもんでね。どんな人がどうやって働いてるのかも全然わからなくなっちゃう。 まだこぢんまりとしているころは、大体わかってた。こういう人がいる、ああい う人がいるちゅって。今は本当にわかんないし、先生もわかんないし。だから、 本当に顔の見える関係作りっていうのが、難しくなってきてる」. 「困ったことと言えば、入院のタイミングが、診療所のドクターと訪問看 護 師 と ケ ア マ ネ と の 中 で 統 一 さ れ て な く て 、例 え ば ケ ア マ ネ さ ん か ら「 早 く 入 院 さ せ て ほ し い 」と か と 言 っ て 、こ ち ら か ら ド ク タ ー の ほ う に 聞 い て み る と「 い や 、そ こ ま で で は な い 」と か 、ち ょ っ と 一 致 し て な か っ た り と か っ て い う こ と が あ っ て 。な か な か こ ち ら で ど う い う 状 況 な の か 実 際 に 見 て な い か ら 、わ か ら な い 。で き れ ば カ ン フ ァ レ ン ス と か 、定 期 的 に し て も 緊 急 の と き に は 難 し い の か も し れ な い け ど 。ち ょ っ と 職 種 間 で 見 解 が 違 う っ て い う と こ ろ が た ま に あ り ま す 。そ う い う 医 療 者 側 の ず れ は 、ま ず( 在 宅 チ ー ム で )カ ン フ ァ レ ン ス か 何 か を し て 統 一 し て 連 絡 を も ら え れ ば い い な 、と は 思 う ん で す け ど 。同 じ 日 と か 、 1 日違いぐらいで、別の内容でこちらに直接連絡が来てしまうと、こっちはど う し て い い の か わ か ら な く な る の で ・・・ 。例 え ば ケ ア マ ネ さ ん が そ う 思 う だ っ た ら 、そ れ を 在 診 中 の 医 師 に 言 っ て 、ま と め て「 そ う だ ね 」っ て い う こ と で ( 誰 か 決 ま っ た 人 か ら )連 絡 を も ら え ば い い と 思 う ん だ け ど 。思 っ た と こ ろ で 連 絡 が 来 た り と か 、「 こ う し た ほ う が い い 」っ て 言 わ れ て 、医 師 に 確 認 す る と.
(8) よ く わ か っ て な か っ た り が あ っ た り す る か ら 。そ の 人 は 緊 急 性 が あ る と 思 っ て 最 優 先 に 連 絡 を し た と は 思 う ん だ け ど 、で き れ ば 、と り ま と め て か ら の 連 絡 っ ていうのもいいのかなと思うんですね」. 「 処 方 だ け じ ゃ な く て 、検 査 デ ー タ と か そ う い っ た の を い た だ け る と わ か り. や す い 。わ か り や す い っ て い う か 、こ ち ら も い ろ い ろ と 何 で そ う い う 処 方 変 更 が 行 わ れ た と か わ か り ま す し 。同 じ 症 状 を 見 て も 、先 生 は 病 状 の 変 化 を ま ず 考 え て 、薬 剤 師 は 副 作 用 を 疑 う っ て い う 見 る 視 点 が 違 っ て く る の で 、そ う い う 有 用 な デ ー タ が 欲 し い か な と 。処 方 の 変 更 の 時 は 、な ぜ そ う な っ た か が わ か る と うれしいっていうことです」. 「 特 に 終 末 期 と か 医 療 依 存 度 が 高 い 方 を 診 療 す る 時 は 、紙 ベ ー ス だ け で は な い 情報共有、例えば先生のほうからちょっとこういうところをもう少しフォローし てあげてっていうような指示がいただけたりとか、そういうコミュニケーション ツールというか、何か手法を作っていけるといいのかなっていうふうには思って います。いま医師会のほうで情報共有を電子カルテでっていうのやっていて、あ れはあれで別ソフトというか別枠になってしまうので、どこまで活用ができるの かっていうのはわからないですが、手法としては多分ああいうことだと思うんで すね。なかなか必要な部分の情報が・・・。紙でわれわれから相談用紙で送付を させていただく中には、どうしても紙で文章に起こして送付をすると、今の状況 だとニュアンスが馬着く伝わらない、違ってしまうこともあるので」. 3. 在宅か病院かの場所の意思決定の支援 患者が最期を迎える場所を決めるときの診療所と患者・家族の認識の違い、診療所と訪. 問看護ステーションとの認識の違いが語られた。患者・家族との認識の違いについては、 患者・家族が相手によって希望を違うように伝えている可能性が指摘された。診療所と訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン と の 認 識 の 違 い に つ い て は 、理 念 で の 違 い も あ る の で 、 (理念での対立 ではなく)現実的な対応をするほうがよいという意見が述べられた。. 「 医 療 者 側 と 家 族 と の 思 い で ず れ て た り 。医 療 者 は 入 院 さ せ た い っ て 思 っ て る の で 、こ ち ら( ホ ス ピ ス 病 棟 )に い ろ い ろ 連 絡 が 入 っ て く る ん だ け ど 。家 に 電 話 し て み た ら 、( 患 者 と 家 族 が )「 ま だ も う ち ょ っ と 家 に い た い 」っ て 言 っ て 。「 い や 、ま だ 入 り た く な い 」っ て い う 人 も い た の で 。ち ょ っ と そ の 辺 で 医 療 者 側 の 思 い が 、ほ ん と に 患 者 さ ん と か 家 族 の 思 い を 代 弁 し て る か と 言 う と 、そ う で も な い よ う な 感 じ が す る 事 例 が あ る 。多 分 、第 三 者 的 に 見 る と 、こ ん な 状 態 だ っ た ら 入 院 し た ほ う が い い っ て 思 う 状 況 な ん だ と 思 う け れ ど も 、本 人 と か 家 族 に と っ て は.
(9) 家 で み た い と か 過 ご し た い っ て 思 っ て い る 人 も 中 に は い る っ て い う( こ と だ と 思 う)。 逆 も あ っ て 、こ ん な に 恵 ま れ て る ん だ か ら も っ と 在 宅 で で き る だ ろ う っ て 医 療者は思ってるけど、家族は「もうとても限界で早く入れてほしい」と言って、 家 族 か ら 直 接 ホ ス ピ ス に 連 絡 、「 い つ に な っ た ら 入 れ て も ら え る ん だ 」み た い な 感 じ で 言 わ れ て 、医 療 者 の ほ う に 聞 い て み る と 、「 い や 、ま だ そ ん な に 入 る 必 要 は な い 」っ て い う よ う な と こ ろ も あ っ て ・・・ 。そ う い う と こ ろ で の ず れ が あ っ たり、そんな多くはないけど時々ありますかね。 多 分 家 族 も 言 う こ と が 相 手 に よ っ て 変 え て る 可 能 性 は あ る と 思 う ん で す ね 。だ か ら 、家 族 も 、そ の 人 に は「 も う 入 院 さ せ た い 」と か「 入 院 し て ほ し い 」と か 言 っ て る け ど 、こ ち ら か ら 聞 く と 、「 い や 、そ れ ほ ど で も 」と か っ て 言 っ て る 可 能 性 も あ っ て 。だ か ら 、絶 対 間 違 っ て る と か ね 、意 見 を 組 み 上 げ て な い っ て い う わ け で は な い 。も し か し た ら 、家 族 が そ れ ぞ れ の 役 割 に 応 じ て 何 か 自 分 の ち ょ っ と 言うことを変えたりとかしているかもしれないですけどね」. 「 在 宅 特 化 型 な ん で 、多 分 在 宅 で な る べ く 過 ご せ る よ う に と い う 方 向 で 話 を す る じ ゃ な い で す か 。で も 、よ っ ぽ ど サ ポ ー ト し て い か な い と 、在 宅 に い よ う っ て 家 族 は す ぐ に 思 わ な い と 思 う ん で す よ 。普 通 は 難 し い と 思 う で し ょ う か ね 、家 族 っ て 。だ か ら 、す ご く 一 生 懸 命 説 明 す る ん で し ょ う け ど 、そ れ が ち ょ っ と 強 い と き が あ る( よ う に 思 う )。実 際 症 状 の コ ン ト ロ ー ル と か と れ て た と し て も 、家 族 だ け で 最 後 を 見 る っ て す ご く 不 安 が 強 い じ ゃ な い で す か 。で も 、「 そ の と き は 呼 ん で く れ た ら い つ で も い き ま す か ら ね 」と か っ て い う と 思 う け ど 、い つ で も い け る っ て い う 対 応 だ け じ ゃ 不 安 で し ょ う が な い ん で す 、 ま だ 。 24 時 間 い る わ け じ ゃ な い か ら 。な ん で 、そ の へ ん を 何 か も う 少 し こ う 、す す め る の は も ち ろ ん い い ん で す け ど 、家 族 の 気 持 ち を く み 取 っ て( ひ と つ ひ と つ 丁 寧 に サ ポ ー ト し て )い ただけると助かるなということもある。 私 た ち は な る べ く 中 立 に っ て 思 っ て る ん で 、こ う や っ た ら 家 に い れ る で し ょ う っ て い う 情 報 は 私 た ち も 知 っ て る と 思 う ん で す よ 。け ど 、い ろ い ろ 聞 い て い っ た ら、やっぱり病院という結果になりましたって報告するときもあるんですけど、 「 う ー ん 。も う ち ょ っ と 在 宅 を 勧 め て ほ し か っ た 」と い う 話 に な っ た り も す る ん で す よ 。そ の へ ん は 違 う ん で し ょ う ね 、考 え 方 が 。( 在 宅 特 化 型 診 療 か ら 見 る と ) も う ち ょ っ と 足 り な く 見 え る ん で し ょ う ね 。私 た ち に と っ て は 勧 め す ぎ な 感 じ が す る ん で す よ 。だ か ら 、そ こ の へ ん が 事 業 所 の 成 り 立 ち が 違 う も ん で 、な か な か 理 解 し 合 え な い と こ ろ な ん だ ろ う な 。こ の 悩 み が 0 に な る こ と は な い で し ょ う け ど 、そ れ よ り も 一 緒 に や っ て い く メ リ ッ ト の ほ う が 高 い か ら 一 緒 に や っ て る っ て 感じかな」.
(10) 4. 死亡した患者の関係者への連絡 ホスピス科の医師からは、診療所で見ていた患者が死亡した時に、連絡がない場合に、. 家族に連絡をしてしまう経験が語られた。. 「診療所から直接ホスピスを予約した人だったら亡くなった場合に連絡がも ら え る ん だ け ど 、ほ か の 病 院 か ら ホ ス ピ ス を も う 予 約 し て 在 宅 に 移 行 し た 人 の 場 合 に 、ホ ス ピ ス を 予 約 し て る こ と を 知 っ て る の か 、知 ら な い の か わ か ら な い け ど も 、在 宅 で 亡 く な っ て も 、な か な か 連 絡 が も ら え な か っ た 。あ る い は 逆 に 、非 常 に ま れ だ け ど 、( 患 者 さ ん の お 宅 に 」「 そ ろ そ ろ 順 番 だ け ど 、ど う し ま す か 」み た い な 連 絡 を し た ら 、も う 亡 く な っ て た っ て い う こ と が あ る の で 、亡 く な っ た 人 の 連 絡 が ホ ス ピ ス に 欲 し い 。こ ち ら か ら も 確 認 し て い る ん だ け ど 、1 カ 月 前 ぐ ら い に 亡 く な っ て た 人 と か も い る の で 、誰 が ホ ス ピ ス を 予 約 し て る の か ど こ ま で 把 握 し て る か が わ か ら な い ん だ け ど 、も し 把 握 で き る ん だ っ た ら 、亡 く な っ た ら 連 絡 が 欲 し い な っ て 。初 診 の 時 に は 、「 分 か っ た 」っ て 思 っ て も 、半 年 と か 1 年 た っ て る 人 だ っ た ら 忘 れ て し ま っ た り と か( は あ る と 思 う )。だ か ら 、カ ル テ に「 ホ ス ピ ス 予 約 済 み 」と か 何 か 開 け ば わ か る と か 、そ う し て れ ば 事 務 の 人 で も 亡 く な っ た ら 連 絡 で き る の で 。例 え ば 、う ち の 地 域 連 携 室 は 亡 く な っ た ら 必 ず「 こ の 患 者 さ ん 亡 く な っ て 紹 介 元 に 返 事 書 い て く だ さ い 」っ て 紙 が 回 っ て く る か ら 、抜 け が な く 報 告 が 行 く ん だ け ど 。何 と か そ う い う の が 、亡 く な っ た 人 だ け で も 教 え て も ら え れ ば 。滅 多 に な い け ど 、ま れ に ち ょ っ と 家 に 連 絡 し て ま っ た ら 、も う 亡 く なってたとかだと申し訳ないので). 5. 紹介時のかかりつけ医師への連絡 紹介時に、病院医師や介護支援専門員が患者にかかりつけ医師がいることに配慮せずに. 在宅特化型診療を紹介した時に、かかりつけ医師から病院連携室に懸念の連絡があること が 語 ら れ た 。何 回 か あ っ た が 最 近 で は 、在 宅 特 化 型 診 療 で 初 診 の 患 者 を 引 き 受 け る と き に 、 かかりつけ医師がいるかを確認していることが語られた。. 「( 病 院 医 師 や ) ケ ア マ ネ ー ジ ャ ー が 在 宅 特 化 型 診 療 所 の こ と を 説 明 し て す す めていっちゃうのは、連携室としては一番困るパターンですね。良かれとしてや っ て く れ て る ん で す け ど 、か か り つ け 医 が い る に も か か わ ら ず 連 絡 も し て な く て 、 在宅特化型診療所に「ここがいいよ」って連絡が伝えられちゃった後のやりとり は難しいです。家族もその気になってるし、病院とかかりつけ医師との関係を壊 すわけにはいかないしってなると・・・。(最近は)、以前はすぐに受けてけど も、(初診の段階で)「かかりつけ医がいたようだけども、かかりつけの先生へ.
(11) の連絡は病院のほうからしてもらってますか」という確認が入ります」. 6. 費用についての懸念 患者・家族が訪問を希望していない時の在宅診療、往診回数、長期間の処方について、. 費用がかかるとの意見があった。一方、地域全体を支えるためのインフラを維持するため にはやむおえないのだろうと考える意見もあった。. 「 医者 って( 在宅 特化型 診療 所に)限っ たこと じゃ ない んです けど、何か 困っ たよっていう報告があったら、「じゃあ、この時間にいきますよ」って言って、 別にきてほしいと思わなかったことでもいったりする。先生は気を利かしてなん で し ょ う け ど 。先 生 が 必 要 だ と 思 っ た ら「 今 か ら い き ま す ね 」っ て い っ た り と か 。 なので、多分一部の人たちには、呼んでないのにきたという声もだから聞くんで すよね。お金がかかるんですよ。先生がきてくださるのはあり難いんで、そんな に皆さん言わないですけど、中にはそうやって(費用のことを)言ってくる人が いるんで」. 「 訪問 診療 の回数 だって 、患 者さん たち が「来 なく ても いい」って言 って るの に来ちゃうっていうはなしがをきくでしょう。必要性があったとしても、望んで な い の に そ こ ま で し て・・・。臨 時 の 往 診 が 困 る か ら っ て い う の は あ る と 思 う し 、 数の多さをこなしてなきゃいけないっていうところからかもしれないし」. 「人がいっぱい過ぎちゃって、疲れる、毎回来るから。あと費用面も、費用が 掛 か る と い わ れ た こ と が あ り ま す 。自 分 た ち は そ ん な に 往 診 来 て ほ し く な い の に 、 積極的に来てくれちゃうっていうのは、ちょっとということで。以前、薬のこと も 、「 高 い 薬 な の に 予 備 の 量 が 多 過 ぎ る 。ほ と ん ど も う 1 日 ~ 2 日 で 亡 く な り そ う なくらいの状態の患者さんなのに 1 カ月に近い分の薬をボッと出した」っていう ようなことも(聞いた)」. 結果のまとめ 以上から考えて、浜松市における在宅特化型診療所は、症状緩和の技術の必要とされる 患者に対応してもらえる、医療処置が多い患者・医療依存度の高い患者に対応してもらえ る 、頻 回 に 往 診 に 来 て ほ し い 患 者 に 対 応 し て も ら え る 、24 時 間 い つ で も 迅 速 な 対 応 を し て もらえる、在宅診療のリソースが少ない地域の患者に広範囲に対応してもらえる、患者を 断らないので心強い・たよりになる、点で地域全体の在宅医療に大きく貢献していると考 えられる。.
(12) 一方、組織を維持するうえで大規模化することが必要であり、それに伴う施設内・施設 間の連携と多数の患者の情報共有についての課題が次の課題であると考えられる。具体的 には、1)診療所内の情報共有、2)診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事 業所、保険薬局など)での情報共有、3)在宅か病院かの場所の意思決定の支援、4)死 亡した患者の関係者への連絡、5)紹介時のかかりつけ医師への連絡、6)費用について の懸念、がある。. 結果(2)解釈・改善策の策定と実践の経過 以上の結果をもとに改善策を策定するにあたって、実際の文脈でなぜこれらの現象が観 察されるのかについての解釈を行った。 表2 1. 特化型診療所に求められる機能に対する改善案 診療所内の情報共有. 診療圏の縮小・対応人員の縮小 主治医制の導入 申し送り時間の充実 専従のコーディネーター 多職種を同じフロアに配置 電子カルテのクラウド化 患者データベースの作成 非常勤医師へ診療の連続を意識した診療を助言 2. 診 療 所 と 在 宅 チ ー ム 間( 訪 問 看 護 、居 宅 介 護 保 険 事 業 所 、保 険 薬 局 な ど )で の 情 報 共 有 適宜のFAX・電話での連絡 患者ごとのプチメーリングリスト 静岡県地域共有電子カルテ 訪問看護ステーションとのあいだの定期的なテレビ会議ミーティング ケアマネの日のような多職種での患者情報共有ミーティングの定期的な開催. 3. 在宅か病院かの場所の意思決定の支援 療 養 場 所 の 移 動 の 決 定 を 行 う 前 の 多 職 種 ミ ー テ ィ ン グ( そ れ ぞ れ ど ん な 希 望 を 聞 い て い. るのかの確認) 4. 死亡した患者の関係者への連絡 ホスピス科待ちの患者リストの作成と死亡時に連絡をする業務手順. 5. 紹介時のかかりつけ医師への連絡 紹介時に事務職から申込者に「かかりつけ医がいるか」を確認する業務手順. 6. 費用についての懸念 患 者 の 希 望 、 予 備 薬 剤 の 必 要 性 、信 頼 を 構 築 す る た め に 必 要 だ と 考 え て い る こ と を 共 有.
(13) 1. 診療所内の情報共有 診 療 所 内 の 情 報 共 有 に つ い て は 、 も っ と も 大 き い 原 因 は 、 広 い 浜 松 市 ( 人 口 80 万 人 ). の 全 体 の エ リ ア を カ バ ー す る た め に 、1 )常 勤 医 師 3 名・常 勤 的 非 常 勤 医 師 1 名 に 加 え て 、 5 名以上の非常勤医師で仕事を行わなければならないこと、および、2)主治医制をもつ と主治医が遠方に往診に行っている場合に他の医師が全く対応できなくなるリスクを減ら すことができること、3)夜間当番をする医師が全く知らない患者にあたる頻度を減らす ことができることから、もともとなるべく複数の医師が担当するようにしている(あえて 主治医を決めていない)ことによるものだと解釈された。医師のみならず看護師も同様の 対応としていた。患者の希望や患者の状態(生命予後が切迫している、苦痛や不安が強い など)によって固定した医師が持ったほうがいい患者はなるべく少数になるように設定し てはいるが、やむをえず複数名になる場合に問題になると解釈された。 それに代わる情報共有手段として、専従のコーディネーターを複数名配置し、患者の状 態を朝・夕のカンファレンスで医師・看護師全員に共有できるような仕組みは運用されて いた。医師・看護師は同じフロアに机が並ぶように設計されており、物理的なコンタクト も容易なように設計されていた。しかし、実際に診療する患者数と変化のスピードから考 えて、これらの対応でも情報の共有が十分ではない場合があると解釈された。 診療する患者数を限定して主治医制にすれば診療所内の情報共有は向上することが見 込まれたが、一方、浜松市全体の在宅を希望する患者に応じることができなくなる(在宅 を希望する患者がいても在宅医療を提供できなくなる)ことが推測された。したがって、 浜松市全体の在宅医療を提供するためにある程度の情報の分断化はやむ負えないと考え、 以下の可能な対策が検討された。 1) 診療所電子カルテのクラウド化 現在診療所に戻らないと患者のことがわからない情報システムを亢進し、往診先・ 訪問看護先でも患者情報がみれるように診療所の電子カルテをクラウド化する計画 とした 2)患者データベースの作成 これまで複数あったデータベースをひとつにまとめ、患者情報を一元管理とした 3)非常勤医師へ診療の連続を意識した診療を助言 医師によっては、 「患者さんが多数で見ることを不安にしないためのインストラクシ ョン」を行っていた。すなわち、状況が初診でわかりにくいこともあるが、あまり細かい ことをいちいちききなおさないなどの方法で行っている方法を診療所の非常勤医師に対し てインストラクションすることとした。関連する事項として、看取りの時にもこれまでに 見ていない医師が診察するときに一定の方法を書いたものが有用かもしれないとの意見が 出された。.
(14) 2. 診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事業所、保険薬局など)での情報共. 有 診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事業所、保険薬局など)での情報共有 についても、FAXによる情報交換に加えて、状態が変わるたびに電話で連絡が行われて いた。 これ以外の選択肢として、IT系ツールの導入はいくつかが検討・試みられた。電子メ ールなどのITツールについては、 「意見を伝え合うときにはメールではなくて会って話を するか電話のほうが伝わりやすい」という理念があるため積極的には検討されなかった。 以下の2つが試験的に採用された。 1)患者ごとのプチメーリングリスト 患者ごとに関係者でメーリングリストを作成して情報共有を行うことが提案されたが、 「直接話すほうがその場での気持ちが伝わる」という意見があり実施はされなかった。 2)静岡県地域共有電子カルテ 地域医療再生計画で作成された静岡県地域共有電子カルテも試験運用されたが、ログイ ンできる施設に限りがあること、二重記録になるといったこれまでの電子カルテにいわれ たことと同じ理由で運用の労力をうわまわるメリットは体験されなかった。 その他、連携の多い訪問看護ステーションとのあいだの定期的なテレビ会議ミーティン グ、ケアマネの日のような多職種での患者情報共有ミーティングの定期的な開催も検討さ れたが、実際に、患者への診療を行う予定となっている日が多く日程をつくること自体が 困難と考えられ、研究期間中の実施は見送られた。関連する事項として、在宅での緩和ケ アのためのリハビリテーションのあり方について提案された。. 3. 在宅か病院かの場所の意思決定の支援 在宅か病院かの場所の意思決定の支援については、そもそも、患者・家族が相手に応じ. て希望が変わる(違う希望を述べる)可能性、病院からの退院時には決定していないこと が多いこと、決まっていても状態によって変わることから、具体的な改善策としてシステ ム的なことは挙げられなかった。場所の移動の際には多職種での検討をして、誰に対して どのような希望が表明されているのかを確認して先にすすめるようにしているが、患者・ 家 族 が 相 手 に よ っ て 希 望 は 変 わ る 現 象 が あ り う る と 解 釈 さ れ た 。今 後 の 課 題 と し て 、患 者・ 家族から見た適切な意思決定の時期についてインタビュー調査・質問紙調査をする必要が あるとの意見が述べられた。. 4. 死亡した患者の関係者への連絡 死亡した患者の関係者への連絡については、ホスピス科待ちの患者を把握するリストが. なかったため、リストを作成して死亡時は連絡をする業務手順が作成された。これ以降、 おおきな問題はないことが確認された。.
(15) 5. 紹介時のかかりつけ医師への連絡 紹介時(初診時)に専従コーディネーター(事務職)から申込者に対して必ず「かかり. つけ医がいるかどうか」を確認し、いる場合には了解を得て紹介してもらう業務手順とし た。これ以降、おおきな混乱はないことが確認された。. 6. 費用についての懸念 費用の説明については、実際に在宅診療を始めてから「費用がこんなに高いとは聞いて. いなかった」という事例が多かったことから、なるべく早い時期に説明するようにしてい ると解釈された。また、予備の薬剤については夜間など出せない時もあるのでなるべく説 明しておかしてもらうようにしていると解釈された。さらに、診療回数については、報酬 を 得 る こ と よ り も 、「 ま っ た く 見 て い な い 患 者 ( 信 頼 関 係 も な い 患 者 ・ 家 族 )」 と い き な り 状態の悪いときにあっても対応しにくいため、なるべく状態が比較的安定している時でも 信頼関係ができるまでは訪問をお願いしていると解釈できた。以上の結果はすでに連携の 取れている各病院の連携部署と情報共有をした。. まとめ 1年間の特化型診療所を対象としたアクションリサーチによって以下のことが示唆され た。 在宅特化型診療所は、果たしている役割として、1)症状緩和の技術の必要とされる患 者に対応してもらえる、2)医療処置が多い患者・医療依存度の高い患者に対応してもら え る 、3 )頻 回 に 往 診 に 来 て ほ し い 患 者 に 対 応 し て も ら え る 、4 )24 時 間 い つ で も 迅 速 な 対応をしてもらえる、5)在宅診療のリソースが少ない地域の患者に広範囲に対応しても らえる、6)患者を断らないので心強い・たよりになることで、地域の在宅医療に貢献し ていると評価されていた。 一方、在宅特化型診療所がさらに改善が必要な領域として、1)診療所内の情報共有、 2)診療所と在宅チーム間(訪問看護、居宅介護保険事業所、保険薬局など)での情報共 有 、3 )在 宅 か 病 院 か の 場 所 の 意 思 決 定 の 支 援 、4 )死 亡 し た 患 者 の 関 係 者 へ の 連 絡 、5 ) 紹介時のかかりつけ医師への連絡、6)費用についての懸念が挙げられた。 し か し 、 そ の 多 く は 本 質 的 に は 「 メ リ ッ ト ( 他 に 優 先 す る こ と ) と の trade off」 で あ った。診療所内の情報共有は、地域全体の多数の患者に対応するために人員・時間を分け て 対 応 せ ざ る 負 え な い 結 果 と 考 え ら れ た 。診 療 所 と 在 宅 チ ー ム 間 で の 情 報 共 有 に つ い て は 、 ITリテラシーやコミュニケーションに関する直接話し合うことの大事さという理念があ った。在宅か病院かの場所の意思決定の支援については、本研究で詳細を明らかにはでき なかったが、おそらく、患者・家族の希望自体が相手に応じて表現を変えている可能性も 示唆された。死亡した患者の関係者への連絡、紹介時のかかりつけ医師への連絡について.
(16) は業務手順を作成することで問題の解決が可能であった。費用についての懸念は、事情か ら考えれば納得できるものだと解釈できたため、これを関係者内で共有した。 本研究で行われた関係者のヒアリング→結果の解釈と対応策の策定・実施→評価、とい う方策は、全国各地の個々の在宅特化型診療所が地域から求められる役割を果たすための PDCAサイクルの方法モデルとなる可能性がある。 本研究の限界として、研究期間内に再評価まで行うことができなかったこと、研究期間 が短くアクションをすべて行うことができなかったこと、1施設の結果であり一般化でき ない可能性があることがある。 公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成による。. 文献 1) Morita T, Miyashita M, Yamagishi A, et al. Effects of a programme of interventions on. regional. comprehensive. palliative. care. for. patients. with. cancer:. a. mixed-methods study. Lancet Oncol 14:638-646,2013. 2) OPTIM Report 2012.. エ ビ デ ン ス と 提 言 . http://gankanwa.umin.jp/. 3) 森 田 達 也 , 野 末 よ し 子 , 宮 下 光 令 , 他 . 在 宅 緩 和 ケ ア を 担 う 診 療 所 と し て 在 宅 特 化 型 診 療 所 と ド ク タ ー ネ ッ ト は 相 互 に 排 除 的 か ? . Palliat Care Res 7(1):317-322,2012. 4) 伊 藤 富 士 江 , 井 村 千 鶴 , 森 田 達 也 . が ん 在 宅 緩 和 医 療 の 課 題 と 解 決 策 に 関 す る 診 療 所 医 師 を 対 象 と し た 訪 問 調 査 . 緩 和 ケ ア 20(6):641-647,2010. 5) 佐 藤 泉 , 小 野 宏 志 , 細 田 修 , 他 . 在 宅 特 化 型 診 療 所 と 連 携 す る 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン の 遺 族 評 価 . 訪 問 看 護 と 介 護 17(2):155-159,2012..
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