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エアコンによるCO2削減に向けた方策:アンケート調査に基づく分析

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. エアコンによる CO2 削減に向けた方策: アンケート調査に基づく分析 背 景 省エネルギー技術の大きな課題として、経済性が優れているように見えても、思うようには普及が進展しな いことが挙げられる。本格的な省エネの実現に向けては、そのような理想と現実のギャップを生じさせる障壁 (省エネルギーバリア)を除去する対策が不可欠である。従来の家庭用暖房機器(ストーブ・ファンヒー ター・電熱ヒーターなど)からヒートポンプ技術(エアコン)への代替も、その例外ではない。CO2 削減対策 として、国や研究機関による各種シナリオにおいて大きな期待が寄せられているが、普及過程に関する議論は 不十分である。. 目 的 暖房機器の保有・利用実態に基づいて、省エネバリアがエアコンによる CO2 削減ポテンシャルに与える影響 を明らかにし、暖房分野の省エネ技術普及に向けた方策、および温暖化対策のあり方に関する知見を得る。. 主な成果 1.暖房機器の保有・利用実態 全国約2500世帯へのインターネット・アンケート調査により、暖房機器の保有・利用実態を明らかにした。 (1)居間の主暖房機器のシェアは、石油・ガス燃焼式の暖房機器と、電気系の暖房機器とでほぼ二分され、 エアコン主暖房のシェアは約 3 割となっている。5 年前には石油暖房が約半分を占めていたが、特にエ アコンへの代替が進んでいる(図 1)。 (2)エアコン主暖房のシェアの上昇傾向は、安全性や快適性の追求、住宅断熱性能の向上、原油価格上昇な どを促進要因として、今後も継続すると予想される。一方で、光熱費への不満などによりペースが鈍化 する可能性があり、一層の CO2 削減を目指す上では、普及方策の議論が不可欠である。 2.暖房機器の選択にかかるバリア(障壁)と方策 エアコンへの代替を妨げる省エネバリア(表)を、アンケートを活用して体系的に抽出した。さらに、 CO2 削減ポテンシャルを推定し(図 2)、省エネバリアの影響度を同定した(図 3)。主な示唆は以下のとお りである。 (1)現状の技術水準を前提とすると、全世帯がエアコン利用に変更することで、家庭部門の暖冷房からの CO2 排出量を約 6 割削減できる(=技術ポテンシャル)。 (2)しかし、経済性が優れているとされる削減余地(=経済ポテンシャル)の約 2/3 が、現実には、様々な 省エネバリアの存在により放置されるおそれがある(=経済ポテンシャル―市場ポテンシャル)。特に、 光熱費に関する理解不足の影響が大きく、正確で信頼でき、わかりやすい情報提供が求められる。各々 のバリアについて、経済的インセンティブ・規制・情報提供など異なる対策のあり方を整理した。 3.温暖化対策のあり方 優れた技術であっても、活用できるポテンシャルが部分的にとどまるおそれに直面する。温暖化対策を進め ていくためには、普及のバリアを特定し、バリア除去に向けた適切な方策を講じていくことが不可欠である。. 今後の展開 各種技術の普及阻害要因を除去するための方策に関して、事例分析などを通じて、知見を提供していく。 主担当者 関連報告書. 社会経済研究所 エネルギー技術政策領域 主任研究員 西尾 健一郎 「エアコンによる CO2 削減に向けた方策―アンケート調査による実態把握と省エネルギーバ リアの分析―」電力中央研究所報告: Y08026(2009 年 5 月). 36.

(2) 1.社会・経済 表 抽出した省エネバリアの概要. 増減: +7% +2%. +5%. +4%. +2%. 省エネバリア 情報不足. 0%. -10%. エアコン (32%). ガス暖房 (9%). 各種床暖房 (4%). -14%. -15%. Imperfect information. -1%. 動機の分断 Split incentives. 限定合理性 Bounded rationality. その 他 (0%). 増減要因:. 石油暖房 ガス暖房 各種床暖房 エアコン 電気ヒーター その 他. 電気ヒーター (18%). -5%. 石油暖房 (36%). 5年前からのシェア増減. +10%. 資金調達力 Access to capital. 隠れた 費用 Hidden costs. 調査時期: 居間主暖房機器 (現在のシェア) 2008年12月. リスク Risk. 事例:家庭部門 家庭部門におけるエ アコン普及 普及 何が省エネかよくわから ない …光熱費に関する誤解 省エネの利害が一致しない …備え付け機器や、光熱費込の契約 時間や気持ちの余裕がな い …その場しのぎの判断 お金の余裕がない …機器代に対する予算制約 機器代や光熱費だけではない …暖房性能などに対す る効用の低下 先のことはよくわからない …高い割引率= 短い投資回収年数. 図1 居間の主暖房機器のシェア 全国を対象にしたアンケート調査によると、居間で 主に利用する暖房機器について、最もシェア増加が 大きかったのはエアコンで、調査時点では32%で あった。一部の世帯が床暖房へと移行しているが、 石油暖房からの変更が主な増加要因として効いてい る。一方で、石油暖房機器のシェアは、36%へと減 少していた。. エアコンの保有・利用を妨げる省エネバリア(障 壁)を、6つの要因として、体系的に整理した。 各々のバリアについて、アンケートデータを活用 しながら、影響下にある世帯の比率、および、バ リアによるCO2削減ポテンシャルへの影響を、定 量的に推定した。. CO2削減単価 (円/t-CO2). 200,000. 情報不足. 市場ポテンシャル. 150,000. 現行の市場下での普及. 100,000. 省エネバリアの 除去. 50,000. 光熱費に関する誤解. 動機の分断. 経済ポテンシャル. 備え付け機器や、光熱費込の契約. 経済性のある技術が普及. 限定合理性. その場しのぎの判断. 削減単価の例: 3000円/t-CO2. 資金調達力. 機器代に対する予算制約. 隠れた費用. 0. 暖房性能などに対する効用の低下. -50,000 0 -100,000 -150,000. 省エネバリアの 影響. 1,000. 2,000 3,000 技術ポテンシャル. リスク. 4,000. 高い割引率=短い投資回収年数. 省エネバリア全体. 経済性によらず想定技術が普及. 0% 10% 20% 30% 省エネバリアの影響を受けるCO2削減ポテンシャル (削減単価3000円/t-CO2以下). 物理ポテンシャル 究極的な革新技術が普及. -200,000 家庭部門暖冷房のCO2削減ポテンシャル (万t-CO2 / 年). (100%=家庭暖冷房のCO2 排出量 (約4000万t-CO2 /年)). 図2 エアコンによるCO2削減ポテンシャル. 図3 省エネバリアの影響度. 曲線が左側に位置するほどCO2 削減ポテンシャルが 減少し、上側ほど削減単価が高くなる。省エネバ リアの影響が放置されると仮定した市場ポテン シャルは、現状CO2 排出(=物理ポテンシャル)の 約2割にとどまってしまう(一例として削減単価 3000円t-CO2以下の場合)。経済ポテンシャルを活用 していくためには、省エネバリアを除去する方策 を講じていくことが不可欠である。. 省エネバリアのうち、最も影響が大きいのは「情 報不足」であり、21%分の削減ポテンシャルの活 用が困難となる可能性がある。特に普及促進策に 着目して、各々のバリアの除去に向けた政策の考 察を加えた。このような影響の把握や対策の検討 については、我が国における温暖化対策におい て、十分に議論されてこなかった点である。. 37. 1.

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