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河成段丘を用いた隆起量評価による地殻変動の解明

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

高レベル放射性廃棄物処分場の選定に際し、過去 10 万年程度の隆起量評価が求められているが、海岸部に 比べて内陸部の研究が遅れている。内陸部では、約 10 万年周期で繰り返す氷期毎または間氷期毎に各々同じ 縦断形状の河川が出現することを前提とし、異なる 2 つの氷期または間氷期に形成された河成段丘(過去の河 原)同士の比高を約 10 万年間の隆起量と見なす手法(以下、河成段丘を用いた手法)が提案されているが、 その検証が課題である。

目 的

隆起量評価の基礎をなす地形・地質の対応関係を重視した段丘対比・編年の考え方を提案する。続いて、河 成段丘を用いた手法により見積もられた隆起量が、過去 10 万年程度の内陸部隆起量評価として妥当であるこ とを実証する。さらに、この手法を用いて得られる隆起量分布から、内陸部の地殻変動を明らかにする。

主な成果

1.地形・地質層序を重視した段丘対比・編年の考え方 「段丘の形成年代は被覆層最下部の堆積年代と同じかそれより古い」の大原則(図 1 の B)に基づき、空 中写真判読調査から得られる段丘面の形態・分布・地形層序と地質調査から得られる段丘を構成する地質層 序から想定される編年に対して、被覆層や段丘堆積物の中から得られる年代既知の火山灰の層序や数値年代 データを整合的に説明できるかという観点で対比・編年を行うことを提案した。さらに、事例研究により、 この考え方に沿って従来の知見よりも形成年代が古く見積られた段丘が、従来見積られていた形成年代より も古い時代の火山灰に覆われることを発見し、この考え方に沿った段丘対比・編年が妥当かつ実用的なもの であることを示した。 2.河成段丘を用いた手法による過去10万年程度の隆起量の見積り 活断層の両側では、活断層の落差に相当する隆起量差がある。本研究では、2 つの活断層において過去 10 万年程度の落差と河成段丘を用いた手法により見積られた断層崖の両側での隆起量差が等しいことを示し、 河成段丘を用いた手法で見積られた過去 10 万年程度の隆起量が妥当であることを明らかにした(図 2)。見 積られた隆起量については、河成段丘の形成プロセスに起因する誤差を考慮した取り扱いが必要であるが、 その精度に見合った議論に用いる限りは十分な信頼性を有している。したがって、この手法は、今後の高レ ベル放射性廃棄物処分場の精密調査地区選定時の概要調査等における内陸部の隆起量評価への適用が可能と 考える。 3.隆起量の分布から明らかにされる第四紀後期の地殻変動 河成段丘を用いた手法を「長期的な時間スケールでの測地学」として面的に展開して、過去 10 万年間程 度における隆起量分布を求めることにより、活断層周辺の変形帯、山地の傾動運動とその規模などを検出し た(図 3)。これらのことは、これまで捉えられなかった第四紀後期の地殻運動像を検出・実証できる可能 性を示す。

今後の展開

段丘対比・編年の信頼性・精度・実用性の向上を目指して、段丘地形の侵食形態、段丘礫層の風化性状、数 値年代測定手法の開発を行う。また、より広域的な内陸部隆起特性評価に向けて、GPS や水準測量等の短期間 の変動や、100 万年オーダーの造構運動など、時間スケールが異なる変動との関係等について検討する。 主担当者 地球工学研究所 バックエンド研究センター 上席研究員 幡谷 竜太 関連報告書 「河成段丘を用いた第四紀後期の隆起量評価手法の検討(1)」電力中央研究所報告: N05005(2005 年 9 月)、「同(2)」電力中央研究所報告: N05016(2006 年 3 月)、「同(3)」 電力中央研究所報告: N05017(2006 年 3 月) 44

河成段丘を用いた隆起量評価による地殻変動の解明

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C.エネルギーと環境の調和

45 図3 栃木県・茨城県の那珂川・箒川沿いにおける過去約10万年間の隆起量の分布からみた地殻変動 図1 本研究の段丘対比・編年の考え方 (A)被覆層最下部の堆積年代を段丘の形成年 代と見なした場合の段丘対比。火山灰層序の 発展以降、既往研究においてしばしば見られ る。(B)同じデータセットに対し、被覆層最 下 部 の 堆 積 年 代 は 段 丘 形 成 年 代 の 上 限 と 考 え、地形の連続性と段丘礫層の性状を重視し た段丘対比の作業仮説。Bでは、露頭a、bの 段丘をより古く評価する。 図2 河成段丘を用いた手法により見 積られた隆起量の検証(宮城県 仙台市広瀬川の河床縦断図) 図1(B)の考え方に沿って対比・編年 された河成段丘を用いて見積られた断 層崖両側の過去10万年程度の隆起量 ( T T 値 : 2 つ の 氷 期 の 河 成 段 丘 の 比 高)の差が、最終氷期の1つ前の氷期 の河成段丘(紫線)の変位から見積ら れた過去10万年程度の落差にほぼ等し い。落差は断層両側での隆起量差(相 対的隆起量)と見なせるため、河成段 丘を用いた隆起量の見積りは妥当であ ると考えられる。 第四紀後期には、関谷断層以東の幅約80km区間で1つの地塊(ブロック)を成しており、那須野原付近に対 して水戸側が相対的に大きく隆起して西へ傾く地殻変動(傾動運動)があることが明らかとなった。

参照

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