琵琶湖の堆積物の研究 (Ⅻ) : 南湖表層堆積物中のマンガンと亜鉛について

75

琵 琶 湖 の 堆 積 物 の 研 究(距)

南 湖 表 層 堆 積 物 中 の ・

マ ン ガ ン と亜 鉛 に つ い て

立

川

正

久

        Studies-on  the Sediments  Deposited  in Lake  Biwa(x川

一Manganese  and

.zinc  in the  interstitial  waters  of  the  surface  sediments  in  Nanko一

MasaWsa  TATEKAWA

      Abstract

  From  fifty  points  in the  Nanko  which  is the  subsidiary  basin  of  Lake  Biwa,  the samples  of su㎡ace  sed㎞ents  were  taken  with  E㎞an  sampler,丘om  which  the  inter・ ・titi・1 w・ters _{. w・ ・e squeezed・ut  with  th・ ・queezer  d・"・ed  by  Sasse曲 ・・D・R・ ・A・P・} Takacs  and  S:へNorton(1974),  and  they  were  analyzed-for  manganese  and  zinc  ions (Table  1).  And  the  following  two  evidences  were  found,  and  some  discussions  were

tried  about  them. _{』』・      1,}

1.The  manganese  and  zinc  concentrations  in the  interstitial  waters  are  roughly  in proportion  to  the  values  of  the  ratio  the  manganese  and  zinc  concentrations  in the 血terstitial  waters  to  those'in  the  surface  sediments(Fig.2,  A  and  B).

2.The  interstitial  waters  which  are located  near  the estuaries  of a皿rivers  are enriched in  manganese  relative  to  those  which  are  located  off  the  estuaries(Fig.6and  B).

研 究 目 的

  前 報(立 川 正 久,1958)で,南 湖 が 水 深8m 以 浅 の 極 め て 浅 水 性 の琵 琶 湖 の 副 湖 輩 で あ り, 風 浪 に よ っ て,全 湖 底 表 層 が 擾 乱 を 受 け て,湖 底 表 層 が 水 中 に ま き上 げ られ,そ の 際 表 層 泥 中 に 存 在 し て い た 各 種 重 金 属 イ オ ン が 湖 水 中 に 戻 、 り,直 ら に 湖 水 の 重 金 属 イ オ ン 含 有 量 に 影 響 を 及 ぼ す こ と を 指 摘 し,実 際 に マ ン ガ ン と 亜 鉛 と を例 と し て7そ の 影 響 を 定 量 的 に 見 積 っ た 結 果 を 報 告 し た が,今 回 は,そ の 際 に 得 られ た 間 隙 水 中 の マ ン ガ ン と亜 鉛 の 含 脊 量 に 関 す る デ ー タ ー を 用 い て_{,表 層 堆 積 物 中 の 間 隙 水 の マ ン ガ ン}

と亜鉛 の含有 量 と表 層 泥全 体 の それ ら との間 に

存 す る関係 な らび に南 湖全域 に わ た る間 隙 水中

の マン ガ ン と亜鉛 との地 理 的 分布 にう いて考 察

を試 み たの でそ の結 果 に つ いて報 告 す る。

乳.資 料 と 分 析 方 法   第1図 に 印 し た地 点 の 表 層 約10伽 の 堆 積 物 50試 料 をEKman採 泥 機 で 採 取 し,こ れ か ら, SassviHe等(1974)の 考 案 し た 湖 の 堆 積 物 か ら 多 量 の 間 隙 水 を 絞 り出 す 装 置 を 使 用 し て,間 隙 水 を絞 り出 し て 後,0.1N塩 酸 溶 液 と し て, 通 常 の 方 法 で 原 子 吸 光 分 析 法 に よ っ て 分 析 を 行

※ 滋 賀 大 学 湖 沼実 習施 設業績 第222号

    ※ つ た 。

2分

析結 果

※  原 子 吸 光 分 析 は,京 都 科 学 研 究 所,分 析   セ ン タ ー の藤 堂 が 行 な っ た 。

  間 隙 水 に 含 まれ る マ ンガ ンと亜鉛 の原 子吸 光

分析 結 果 は第1表 の通 りで あ る。なお 表 中の}h

欄 の数 字 は第1図 の 試 料採 取 地 点 の番号 と同 じ

で あ る。

ノ

T

 

緻

035

0

45

0

43

0

47

0

49

』

    50

0

48

0

46

0

33

σ 44 A ×

0

19

0

旭

 

O

腫

9

＼

斐 鴻  

go9、9・

     %

0

15

0

14

0

13

    0     12   5 6  ×      3     C47       2   D  聖王53 52       1 51    59 _{0      1km.} 一L」

琵 琶 湖 の堆 積 物 の 研 究㎝)南 湖 表 層堆 積 物 中 の マ ン ガ ン と亜 鉛 につ い て(立 川) 77

Table  1,  Manganese  and  zinc◎oncentrations  in intetstitial  waters  in Nanko

No.         lement Sam.  No. Mn Zn

Water

depth

(m)

52 17-3 2.76 0,078 4.0 53 5 0.72 0,041 ・ 4.0 7 9 0.72 0,041 3.7 6 10 0.82 0,026 3.5 4 12 1.88 0,055 2.5 3 13 2.70 0,040 2.1 12 16 2.43 0,035 2.0 54 18 1.72 0,019 2.0 2 20 1.73 0,039 2.0 1 ・   22 1.88 0,035 2.4 59 23 1.99 0,022 2.1 15 24-02 1.45 0,044 4.5 16 3 1.26 0,030 3.9 17 4 1.61 0,024 3.8 18 5 0.36 0,028 5二〇 14 6 1.50 0,026 4.8 19 7 2.78 0,024 4.5 50 8 1.78 0,024 8.0 49 9 2.45 0,022 7.0 48 10 1.87 0,022 2.5 47 11 0.80 0,056 4.2 46 12' 1.50 0,039 1.9 45 13 1.73 0,024 5.5 43 14 1.06 0,018 5.1 44 15 2.62 0,051 4.1 ・ No.       Element Sam.  No. Mn Zn

Water

depth

(m)

33 24-16 3.12 0,019 5.0 20 17 1.84 0.027' 5.1 13 18 1.17 0,028 5.0 55 18-1 3.85 0,038 4.0 21 2 5.70 0,006 1.9 31 5 3.42 0,011 3.7 30 6 3.28 0,047 3.8 29 7 3.15 0,036 3.7 26 8 3.36 0,035 3.6 25 9 2.85 0,040 4.2 24 10 1.92 0,010 4.5 5 11 2.40 0,046 2.3 51 12 5.43 0,058 1.0 56 29-2 2.99 0,013 5.0 57 3 3.42 0,018. 5.0 34 4 3.14 0,037 4.7 58 5 8.38 0,030 5.0 39 6 8.27 ・0 ,042 1.9 35 7 7.07 0,048 3.8 36 8 8.27 0,046 4.0 37 9 4.22 0,050 3.7 38 10 4.99 0,020 3.5 40 11 5.56 0,042 3.6 41 12 2.99 0,039 4.2 . 42 13 2.62 0,012. 5.3 σn 1.94 0,014 6.64 On・1 1.96 0,014 6.71 av. 2.91 0,033 3.56 n. 50 50 50 On=Standard  deviation av.:Average n.:Number  of samples

a  考    察

  第1表 の 分 析 結 果 に つ い て,次 の2点 か ら考 察 を 試 み る こ と とす る 。 泊.堆 積 物 中 に 含 ま れ る 全 マ ン ガ ン と亜 鉛 の 含 有 量 と,間 隙 永 中 の そ れ ら との 間 に 存 す る 関 . 係6      ・   b.南 湖 底 表 犀 堆 積 物(用 い た 試 料 は す べ て 泥 で あ っ たp)の 間 隙 水 中 で の マ ン ガ ン と 亜 鉛 との 地 理 的 分 布 。   1.南 湖 表 膚 堆 積 物 中 の 間 隙 水 の マ ン ガ ン と 「 亜 鉛 含 脊 量 と堆 積 物 の そ れ ら と の 関 係:   先 づ 第2表 に 示 し て あ る 表 層 堆 積 物 中 に 含 有 せ られ て い る マ ン ガ ン と 亜 鉛 の 含 有 量 と間 隙 水 の そ れ ら との 間'ζは,第2,A,B図 に 示 され た 通 ・ り何 等 の 相 関 々 係 も見 ら れ な い 。 然 る に,堆 積 物 に 含 有 せ1られ る 両 元 素 の 含 有 量 中 に 占 め る 間 隙 水 中 の 商 売 素 の 含 有 量 の 割 合 と間 隙 水 中 の そ れ ら と の 聞 に は,第3,A,B図 の 通 り明 瞭 な 相 関 関 係 が あ る 。 従 っ て,、『間 隙 水 中 の マ ン ガ ン と1 亜 鉛 の 含 有 量Q大 小lt,堆 積 物 中 の そ れ らの 含 有 量 の 絶 対 値P大 小 解 よ っ て 定 ま る もの で は な: く,堆 積 物 中 の 亜 鉛 含 有 量 に 占 め る 間 隙 水 中 の 亜 鉛 含 有 量 の割 合 の 大 小 に よ っ て定 ま る の で あ る。』'※・と言 う1こ之 が 出 来 る。 な お,こ の 傾 向 は マ シ ガ ンで 特 に顕 著 に 見 られ る 。   次 に こ の 様 な 関 係 炉,意 味 す る乏 こ ろ は 何 か を 考 察 す る こ と が 必 要 と な る が,そ れ を明 らか に す る に は,そ1れ そ れ の 堆 積 鞠 が 湖 底 に 奔 るま ま の 位 置 で の 、pH, Eh値,間 隙 水 中 の 各 種 イ オ ン の 含 有 量,堆 積 物 の 化 学 組 成,鉱 物 組 成,有 機 物 質 の 量 と種 類 等;を明 らか に し て,こ れ ら両 元 素 の 堆 積 物 中 で の 形 態 を 知 らね ば な らな い 。 1然 う`硯 碑 姪 る ま で 混 琶 削 醸 層 堆 積 物 「 κ つ い て,こ 、れ らの 特 性 に つ い て,充 分 に 調 べ ら れ た もの は 皆 無 で あ るd従 っ て,こ れ か らの 議 論 は,推 論 に な ら ざ る を 得 な い が,こ の 方 面 の研 究 の 今 後 の 進 展 を期 す る た め に,今 の 時 点 で,一 つ の 推 論 を 試 み て お くこ とが 重 要 で あ る と 考 え る の で,あ え て これ を な す こ と と し た 。   さ て,先 づ 南 湖 で のPH,  Ehを 推 定 す る た め にR。R.Weiler(1973)が,  Western  LakeOn一

tarioで,湖 底 堆 積 物 に つ い て 測 定 し た そ れ ら を 見 る と第3表 の 通 りで あ っ て,pH=7.61∼ 7.82,「Eh=一280±70∼+270±110(何 れ も表 層10伽)で あ る 。 そ こ で,こ れ よ ・り少 し 1〈bHもEhも 巾 を広 く と っ て,南 湖 で は, PH =7 _{.4∼8.7と し,  Eh=+700∼400mV} の 値 を想 定 し,K.B.Krauskopf(1958)のPH -Eh図(Fig _{.4)に よ っ て,堆 積 物 中 に 含 ま・} れ る 可 能 性 の あ る マ ン ガ ン 化 合 物 の 安 定 形 を 推 定 す れ ば,無 水 化 合 物 と し:ては,・Mn O2,Mn島, Mn304・MnO  MnC(為,Mn  8 iOsで あ り,含 水 ・ 化 合 物 は,Mn(OH)3,焔(OH)2,MnSで あ る 。 不 幸 に し て,前 述 の 通 り南 湖 の 堆 積 物 中 の マンガン化 合 物 に つい ての 研 究 が 行 な われ て い な い の で,上 記 の 化 合 物 の 何 れ の 存 否 も不 明 で あ う 。 亜 鉛 に つ い て は ジ マ ン ガ ン の様 なEh-pH図 解)報告 せ ら れ た もの は 無 い の で,確 か な こ と は わ か ら ぬ が,.前 記 のEh,  pHの 範 囲 で は,ZnS, ZnO,  Zn(OH)2,'Zn(金 属)の 形 が 安 定 で は な い か と 考 え る 。 し か し な が ら∫こ れ ら の 化 合 物 の 存 否 に つ い て も未 だ 報 告 せ られ た もの は 無 い 。,. 「次 に 堆 積 物 中 で の 各 種 陽 イオ ン の 宿 主 と し て 重 要 な る もの は,粘 土 鉱 物 で あ る が,特 にmO蟻 一 moriHoni6eは,.置 換 の た め に 陽 電 荷 の 不 足 を 来 し て い る こ とが ジ し ば し ば あ り,そ の た め `こ,そ の 表 面 やclay  sheetsのedges上 に 陽 イ' オ ン を 吸 着 す る 性 質 が 強 い 。 ま た粘 土 鉱 物 は, 何 れ も コ ロ イ ド状 態 に な って い る ヒ と が 多 く,9 そ の 表 面 積 が 極 端 に 大 き い の で,そ の 表 面 に 陽 イ オ ン を吸 着 す る性 質 が あ る。   他 方,南 潤 の表 層 堆 積 物 中 の 粘 土 鉱 物 の 含 有 量 は 第4表 の通 りで あ り,粘 土 の 含 有 量 が33 ∼43重 量%て ㍉montmorillon董`eの 量 が 多 恥 従 って 南 湖 の 堆 積 物 中 の粘 土 鉱 物 が 吸 着 し て い る マ ン ガ ン と亜 鉛 の 量 も看 過 し 得 ぬ 量 で あ る と 考 え られ る 。 な お 更ICR.M.  GarrelsとC.L. Christ(1965)に よ るpH-Eh図(第5図) か ら堆 積 物 中 の 鉄 の 水 酸 化 物 の 安 定 形 が,Fe (OH)3,Fe(OH)2の 何 れ か で あ ろ う と推 定 せ ら れ る の で,こ れ らの 化 合 物 が,コ ロ イ ド状 で あ る た め,マ ン ガ ン お よ び 亜 鉛 イ オ ン の 幾 ら か が こ れ に 吸 着 せ られ て い る 筈 で あ る 。 更 に ま

:琵琶湖 の堆 積 笏 の 研 究偲)南 湖 表 層 堆 積 物 中 の マ ンガ ン と亜鉛 につ い て(立 川) 79

Table  2.  Ma㎎anese  and  zinc  contents  in surface  sediments  in Nanko  and  the  values  of  the ratio

        ma㎎anese  and  zinc  concentrations  in  interstitial  water  to  those  in surface  sediment.

      Mn(PPM)'・"・ 、 ・・. ・…      「      』      Zn(PPM)

No. 1.W. Sed.

1.W./Sed.

17-  9 0.72 ブ76 9.28x10-4 10 0.82 720 11.4 12 1.88 410 45.8 13 2.70 815 33.1 16 2.43 1237 19.6 22 1.88 776 24.2 24-02 1.45 556 26.1 3 1.26 723 17.4 脚      4 1.61 939 17.1 5 1.36 800 17.0 6 1.50 1028 14.6 7 2.78 1162 23.9 8 1.78 791 22.5 9 2.45 817 30.0 10 1.87 857 21.8 11 0.80 949 8.43 12 1.50 395 38.0 13' 1.73 896 19.3 14 1.06 833 12.7 15 2.62 670 39.1 16 3.12 838 37.2 17 1.84 838 22.0 18 1.17 780 15.0 28-  2 5,70・, 419・ 136.0 5 3.42 1189 28.8 6 3.28 908 36.1 7 3.15 703 44.8 8 3.36 838 40.1 9 2.85 962 29.6 10 1.92 1162 16.5 ..11 2.40 227 106.0 29-  4 3.14 804 39.1 6 8.27 402 206.0 7 7.70 711 108.0      " 8 8.27 857 96.5 9 4.22 875 48.2       .噂 10 4.99 746 66.9 11 5.56 661 84.1 12 2.99 643 46.5 13 2.62 696 37.6 Range 0.72∼ 8.27  227∼ 1237 8.43∼ 206.0 n. 40 40 40 av. 2.85 793 42.4

No. '1.W. Sed. 1.W./Sed.

17-  9 0,041 134 3.06×10魅4 10 0,026 203 1.28 12 0,055 128 4.30 13 0,040 173 2.31 16 0,035 343 1.02 22 0,035 117 2.99 24-  2 0,044 496 0.89 3 0,030 394 0.76 4 0,024 355 0.68 5 0,028 173 1.62 6 0,026 236 1.10 7・ 0,024 307 0.78 8' 0,024 217 1.11 9 0,022 166 1.33 10 0,022 155 1.42 11 0,056 121 4.63 12 0,039 93 4.19 13 0,024 205 1.17 14 0,018 135 1.33 15 0,051 170 3.00 .  16 0,019 182 1.04 17 0,027 147 1.84 18 0,028 190 1.47 28-  2 0,006 71 ,0.85. 5 0,011 217;, 0.51 6 0,047 227 0.21 7 0,036 174 2.07 8 0,035 187 1.87 9 0,040 239 1.67 10 _、 0,010 276 0.36 11 0,046 144 3.19 29-  4 0,037 269 1.38 脚    6 0,042 100 4.20 7, 0,048.. 320 1.50 8 0,046 660 0.70

9

「0 .050 185 2.70 10 0,020 390 0.51 11 0,042 217 1.94 12 0,039 130 3.00 ・13 _{0,012 220 0.55} Range 0.006∼ 0,056 .71∼ 496 0.21∼ 4.63 n. 40 40 40. av. 0,033 222 1.76 .

Fig.2,A. The  relation  between・the  manganese  concentrations  in the  interstitial  waters  and  those in the surface  sediments.               "・ 陣111 「,.〔m 麗.【翼, 7.1剛 6.oo 5.oo 4.α, 3.oo }.oo 「.α} o.oo B .旧 5 函 ● , ● ● ● ■ ● ● ● ● ● ・ ● ● ■ ● .乞 ● ● ● ● o ● ● ● ● ● ● ● ● O ● ● ■ ● ● O ● ● レ' P 脚 .脚 欄 500 胸 脚 脚     蜘  M.翼d, 10.0 1「oo 「脚 「.脚rμ髄

F旭.2,B. The  relation  between  the,zinc  concentrations血the  inteエstitial  waters  and  those  in the

sりrface  sediments. ,   o'⊃rFn ∵ ﹁ . 4 ﹂ .撃 .ε N ● う 響 ● ● ● ■ ● ●● . ● ● ● ● ● ● ● ●    ● ● ● ● ● ● ● ● ● ■   ● ■ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ■ ● ● ρ ● 0 0 ●   100 ユolb 燭 z胸 管` . 柵 蜘 侵箕} 7mPM .

琵 琶 湖 の 堆 積 物 の 研究 舳)南 湖 表層 堆 積 物 申 の マ ンガ ン と亜 鉛 に つ い て(立 川) 81

Fig.3,A.  The  relation  between  the  manganese  concentrations  in  the  interstitial  waters  and  the

          values  of  the  ratio  the manganese'concentrations  in the  interstitial  waters  to those  on  the

          surface  sediments. 陣m り 誘 7 " 璽 . . 碗 旧 巳 冒' 4 -. 、 冒 ,  ● ●●      、 ● ・ ・ ● 〆 ノ ● ノ ! !   , !   !   / .   ! ● ●         ●      彰!                              !                             /                           /                          !                         /                       !                      ! ●       /!                  /                /               !              !            ノ           !          /         !        !      /     /        ○   !  ! / 0 0  幽O P  jo  40  冊  ω   70  恥   ㎎                      ノ                   /b                  !                /               /             !            /           /         /        !      !     !    !  ! !   !  ! / iron   110   120   ■遡   ■覗    ■M   iron   170   }帥0   「冊    潤   210        _.暫'Mn鷺6. 翼10'`Mq ' 噺

F董g.3,B.  The  relation  between  the  zinc  concentrations  in the  interstitial  waters  and  the values  of

          the  ratio  the zinc  concentrations  in the  interstitial  waters  to those  in the  surface  sediments.

翼10-1ppm 6 5 4 ユ ,三 唱 N 、 匿 1 ● ● ● ● ● ● ● ● ■ ● ● ● ● ●  ●       ● ●              ● ●  ● ●●     ●● ● ● ■ ● ● ● ● ● ■ ● ● ● ● ● ● ・ ● ● ● o   o 1 ﹁, z.,.臥'Zn"`. , 4 ∼lo一.

Table  3, A. PH  and  Eh  in interstitial  waters  of surface  sediments  in Western

lake,  Ontario(R.  R.  Weile∫,  Lim.  Ocean.,18,1973)

No.  of  Stations 1 5 13 21

L:O.

0.W、 0-5 5-10 r 6.2・10-4 0.067 3.8 4.3 0.75 3.9 3、4 0.19 3.2 3.6 0.007 0.42 0.083

L.0.refers  to Lake  Ontario  concentrations  from  Chau  et al.1970.

0.W.'is  the concentration  of.the  water  in the  cores  above  the sediment.

0-5etc.  refer  to distance  in cm  of core  sections  from  water-sediment  inter」Face.

Table  3, B. Manganese  concentration  in  interstitial  waters  and  lake  waters

and  surface  sediments』in  Western  lake  Ontario(R.  R.  Weiler,

Lim.  Ocean.,18,1973)

pH

No.  of  Stations 1 5・ 13 21

L.0.* 0.W. 0-5 5-10 7.9 7.24±0.5 7。68±0.3 7.66±0.3 7.02±0.4 7.61±0.1 7.61±0.6 7.25±0ぎ6 7.62±0.4 7.81±0.3 7.3±0.5 7.81±0.1 7.82±0.3 Eh.

No.  of  Stations 1 5 13 21

470±200 ノ 0.W. 0_5 5-10 490±100 一85±130 一180±90 450±200 一280±70 一260±120 440±185 』十135±200 一170±110 +270±110 +260±60

*Data  from  Weiler  and  Chawla

,1969.

、

二 '

ヤ

﹁ , , 合3 琵 琶 湖 の堆 積 物 の 研 究(XI)南 湖 表層 堆 積 物 中 の マ ン ガ ン と亜鉛 に つ い て(立111) ﹂ . ・         .         ︻. O り .負 い .一 '5 .隅 o 、鮎 昏 o 老 5 田 図 .笛 .図 一 .〇 三 ε 認 りo 目 。ら 咽   向( = O )口 芝 旨 o 質 弼 口 8 0 旨 唱 お " ロ コ                                                 . 慧 5 9 8 嘱℃ ヨ   働( 国 O 冒 屠 目 ε "。 o 旧註 " 口 5 0 ρ う 目 腐 ぢ bo 賃 2 邸 閉 国 鳥 目 口 o 買 切0 5 σ   .寸 . コ o 峯 bo 崖 属 ・,邸 o 日 。墨 の 3 0 ρ 9 h の .切 ⑪ 逗 × 9 唱 h ` 霧 o 日 }bo 日 ⋮日 No ﹄ § 秘 。u 石 出 画 -昌 国 エ q .    層  . 。国 ぜ .想 ﹄ ' n・

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た,生 物 起 原 の 炭 化 物 質 に も両 元 素 が 吸 着 せ ら れ て い る で あ ろ う。 さ て,以 上'こ考 察 し て 来 た 両 元 素 の堆 積 物 中 で の 形 態 は,何 れ も前 述 の, pH,  Ehの 範 囲 で は,極 め て 安 定 で あ る の で, 間 隙 水 の 両 元 素 の 含 有 量 を,上 述 の 両 元 素 の安 定 化 合 物 並 び に 吸 着 物 質 と間 隙 水 と の 閲 の 化 学 平 衝 に よ っ て説 明 す る こ と は 出 来 な い 。 即 ち化 学 平 衝 の み か ら間 隙 水 中 に 溶 存 す る 両 元 素 の量 を 考 え る と余 りに も少 量 過 ぎ て,間 隙 水 中 に 実 存 す る多 量 の 両 元 素 の 存 在 量 を 説 明 出 来 な い ・ 即 ち,間 隙 水 中 の マ ン ガ ン と亜 鉛 の 含 有 量 の 大 小 と,堆 積 物 中 の そ れ とは,そ の大 部 分 が 全 く 独 立 の 原 因 に よ る もの で あ る と考 え られ る 。 そ の 原 因 に つ い て は,次 項 で 更 に 言 及 す る こ と と す る 。   ※ 間 隙 水 中 の 両 元 素 の 含 有 量 は,堆 積 物 中 の そ れ に 比 べ て,極 め て 小 さ い の で,こ こ で 述 べ た こ とは,堆 積 物 の 両 元 素 の 全 含 有 量 か ら間 隙 水 の 両 元 素 の 含 有 量 を 引 き 去 っ た残 り の量 と間 隙 水 中 の 両 元 素 の 含 有 量 と の 間 で も成 立 す る 。   2.間 隙 水 中 の マ ン ガ ン お よ び 亜 鉛 の 地 理 的 分 布   南 湖 の 表 層 堆 積 物 中 の 間 隙 水 中 の マ ン ガ ン と 亜 鉛 含 有 量 の地 理 的 分 布 を 第6,A,  B図 に 示 し た 。 こ の 図 か ら大 宮 川 お よ び 草 津 川 の 流 入 方 向 の 線 上 に 選 ば れ た 前 者 の5地 点(Nos.39,58,54, 57,56)と 後 者 の3地 点(Nos.21,55,20)で は,何 れ も河 口か ら沖 に 向 うに 従 って 間 隙 水 の マ ン ガ ン 含 有 量 が 減 少 す る の が わ か る 魁 亜 鉛 で は,マ ン ガ ン程 に 顕 著 な 関 係 は 見 られ な い 。 次 に 上 記 の2河 川 の 河 口 を 中 心 と し て,そ れ ぞ れ の 沿 岸 に 並 行 し て 選 ば れ た 前 者 の6地 点, (Nos.37,38,39,40,41,42)  と後 者 の7:地 点 (Nos.24,25;26,21,29,30,31)で は,何 れ も 間 隙 水 中 の マ ン ガ ン 含 有 量 が,河 口 か ら遠 ざ か る`こ従 っ て 減 少 す る 傾 向 が あ る 。 他 方 亜 鉛 に つ い て は,同 様 な 傾 向 を 伺 う こ とが 出 来 な い 。 次 に 西 岸 で は 大 宮 川 お よ び そ の 南 方 の 一 河 川 め 河 口 附 近(Nos.35,39),東 岸 で は,草 津 川 お よ び そ の 南 方 の 四 河lllの 河 口 附 近(Nos.21,12, 5,3,51)の 間 隙 水 の マ ン ガ ン 含 有 量 が,そ れ ぞ れ,そ の 附 近 の 他 の 場 所 の も の よ り 多 い こ と が わ か る 。 亜 鉛 に つ い て は,こ の 様 な顕 著 な 傾 向 は見 られ な い 。 更 に,間 隙 水 の マ ン ガ ン含 有 量 は,西 岸 の 大 宮 川 の 河 口 を 中 心 と し た 三 角 洲 の 方 が,東 岸 の 草 津 川 河 口 を 中 心 と し た 三 角 洲 よ り高 い 。 亜 鉛 に つ い て は,こ の 様 な 関 係 は 見 られ な い 。   さ て,上 述 の 諸 事 実 は,間 隙 水 の マ ン ガ ン 含 有 量 が,河 川 水 お よ び 河 川 の 伏 流 水 な らび に 河 川 の 搬 入 物 申 の マ ン ガ ン イ オ ン の 含 有 量 と密 接 な 関 係 が あ り,更`こ 河 川 の 流 入 後 の 湖 中 で の 分 散,湖 中 のEh-pHの 変 化 に よ る イ オ ン の 酸

化状 態 の変 化 と緊 密 な関 係 が あ る こ とが わか ろ夢

亜 鉛 の 場 合 に も マ ン ガ ン の 場 合 の 様 に 顕 著 で は な い が,河 川 水 の 流 入 が 間 隙 水 の 亜 鉛 の 含 有 量 に,多 少 の影 響 を 与 え て い る様 で あ る 。   勿 論Western  lakeの マ ン ガ ンの 場 合 に 見 ら れ る様 に 湖 の 表 層 堆 積 物 中1こ閉 じ こ め られ た 間 隙 水 の 両 元 素 の含 有 量 と,そ の 肩 上 に あ る湖 水 の そ れ等 と が,密 接 な 関 係 に あ る こ と は,南 湖 で も見 られ る はず で あ る 。(第3.B表)   さ て,'上 述 し た 所 は,前 項 の 最 後 に 述 べ た 推 論 即 ち,南 湖 の表 層 堆 積 物 中 の 間 隙 水 の マ.ンガ ン と 亜 鉛 の 含 有 量 の 大 小 と,堆 積 物 中 の そ れ と は,そ の 大 部 分 が 全 く独 立 の 原 因 に よ る も の で あ る と考 え られ る と述 べ た こ と とは 相 符 合 す る 所 で あ る 。 即 ら間 隙 水 中 の マ ン ガ ン と 亜 鉛 の 含 有 量 に 寄 与 す る もの は 殆 ん ど が 流 入 河 川 水(河 川 伏 流 水 を 含 め)で あ っ て,堆 積 物 申`こ安 定 な 形 態 で 存 す る 両 元 素 を 含 有 し た 物 質 か ら の 溶 出       ※に よ る寄 与 は 極 め て 小 さい と言 っ て よ か ろ う。 し か し な が ら流 入 河 川 水 中 の マ ン ガ ン と 亜 鉛 と が 間 隙 水 中 に 捕 獲 せ られ る機 構 が 如 何 な る も の か は,現 在 の 所 全 く不 明 で あ る こ と を 付 言 し て お か な け れ ば な らな い 。

  ※ 河川 水 の長 期 間 に わ た るマ ン ガ ン含 有 量 の'

測 定 は困 難 であ るが,代

りに河 口附 近 の間 隙 水

(表層 の)マ ンガ ン含有 量 を知 れ ば,各 河 川 の

長 期 間 にわ た るマ ン ガ ン流 入量 の大 小 を知 り得

る で あ ろ う。

琵 琶 湖 の 堆 積 物 の研 究㎝)南 湖 表 層堆 積物 中 の マン ガ ン と亜 鉛 につ い て(立 川) 85

Table  4.  Clay  minerals'contained  in surface  sediments  in Nanko

  No. 735501     03     05     07     08     09     Clay   Content 42.7we.% ,42 _.7 .39.8 45.7 33.3 42。7 MontmorMonite     Content    '7.we.%   12.3,   10.6     8.4     7.7、 ' _・9 .5 Kaor血ite Content    ・・ 5.2wt.% 4.1 5.1 8.1 6.6・ 8.0 ▼ +1.0 +0.8' +0.6・ .+0.4 +0.2' EH. 寺0.0、 ・FO.27' ・・0 .4'・ 一 〇.6' '三 〇 。8 ・ .1.0" 魅、   陶、                           、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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      、  . ＼. 、 ∴ . ＼ ミ   、 劉 、   ＼ ・ 叉 . ＼ 急 、 、 鴨   、・  .

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＼ ・   、     鴨     、 ＼   ・ ＼.・ 、     ＼、 、'  、     、、、   噂、 亀       、、、、       、 2 4 _{pH  8} 10 12 14

・ Fig・5・St・bility  field・ ・f u・ ・.・xid・・ 細 魚 ・・do㎡ ・ 。f Eh・nd  pH・ ・隻25。C・Od

        Iatmosphere  total  pressure.  Dashed  line indicates  lows  stability  limit,

        of magnetite  in presence  of metastable  water.(R..M.  Garrels  and  C. L.

178 」 5 ● 4 2 7 ● 8 1 ・ 80 3 ● 7 1 O O 5 1 %血 、     鉱.

%

  ㌦.

     (39)●    (38)、99(34 ・鴇;422 7 (3 7:; (42}*262    (41)■299 (40)●556 827    838 (58)●    4        342' 6 ● 0 1  299    `56} 2 ● -・ 弓 ﹂ 2 ● 6 2 8 ● 7 2 (20}  ● 184 (55)    3 85 342●(31) 328●(30)_禦 廻 31 凸 Kusatsu  River

36,150etc  refer  to  manganese  concentration in int・ ・sti楓w・t・ 山 鉾10-app瓜

(41),(42)  etc.  refer  to  No.  in  the  table  1. 336 285・(25) 192・(24) 1 ● ρ0 1 ● 6   3 126  ● 45 τ ● 1 ● 150 7 ●. 1 1 172● ● ₂₄₃● 240  ● Oba  River 〆 82● 72● 276● 18827  ●    ● ● 17 ?2●     ●188 ●19 5439 0 1㎞

琵 琶 湖 の堆 積物 の研 究㎝)南 湖 表 層 堆 積 物 中 の マ ン ガ ン と亜鉛 につ い て(立 川っ 87 1 '    L' 24 ・畳 叩 ● 2   2 ● 6 5 ● 24 ● 39

o蛎

    %,

鮎 ∂

   駕

偽

5(    (38)●20 (37)x50' (3%46

馨端・

    (42)●12 ・・繊 ●39 42  ド

糠,,

残

● 18 13 ● (56) ● 、 ' ● 51 11●(31) 47●(30     ● (簿)(誓) 38 Kusatsu  River ● 鮒 (20)   ●. 27 635艦26)        40(2s) 10(z、,

36,  150・etc。  refer  to  zinc  concentration  in ㎞terstitial  water  in x 10-3ppm.

(41),(42)etc.  refer  to  No。 ㎞the  table  1.

19● ● 24 、   8 ● 2 ● 30 ● 44 ● 26 ● 28 ● 35 46 ●

哩

Ob3  Riveτ   26● 41● 41● ?8● き8● 5

ρ

9 ● '  F 0 1㎞ 馳

Table  5.  Solubilities  of manganese  and  zinc  and  their  compounds.

Mn Zn

Com. So1. S.P. Com. Sol. S.P.'

PPM _{ZnS 7  ppm} 8・10-28 MnSO4 6.4x105 ZnSO4 5.4x106』 MnCO3 6.5x10 1x10'10 ZnCO3 2.1x102 6・10-11

Ml1Q2

i ZnO 1.6

Zn(OH)2

5.2 MnC12 7.4x105 ZnC12 3.7x106 'M n Int. Zn i

i':insoluble  Int:Interaction  with  water  S. P.:Solbility  Product

F

  謝  辞    本 研 究 の 費用 の一 部 は,琵 琶湖 湖

南 中 部流 域 下 水道 に関 す る アセ ス 〆 ン トの費 用

と,文 部省科 学 研究 費補 助金 に よ った ので,こ

こに明 記 して謝 意 を表 す る。       '・

      文         献

    Chau,  Y.  K:., V.  K.  Chawla,  H.  F.  Nicholson,

1and  R

. A.  Vollenweide1.  Distribution  of  trace

elements  and  chlorophyll  a in lake  Ontario.  Proc.

12th  ConL  Great  Lakes  Res.(lnt.  Ass.  Great,

Lakes  Res.)1969:659-672,1970.

  Gavels,  R..M.,  and  C.  L.  Christ:Solutions,

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  橋 本 雅 明 ・立 川 乖 久:  琵 琶 湖 の 堆 積 物 の 研 究(粗)一 琵 琶 湖 表 層 堆 積 物 の 粘 土 成 分 と 鉱 物 組 成(予 報)一 、 滋 大.教 育.紀

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