(2)流通実態 1)流通経路・輸送手段の現況と課題 香港における乾しいたけは、南北行に集積する卸売り業者が扱っている。日本からの 貿易量が多かった1970~1980 年代には、20~30 社の現地輸入業者が日本産乾しいたけ を取り扱っていたが、中国産品の増加に伴い現在では3社が扱っているのみとなってい る。 実際、既に示したように取扱量は激減しており、1960-80 年代は年間 2000t 以上輸入 されていたが、現在では100t に満たないのが現状である。2007 年 1-9 月の実績は、中 国3800t、韓国 38t、日本 35t となっていることからもわかるように、中国に圧倒されて おり、韓国をも下回っているのが現状である。 貿易業者が輸入した乾しいたけは、電車道に立地する仲卸売業者(約100 件)、一般小 売店等を中心に販売されている。乾しいたけは大型店でも売られているが、日本産はほ とんど販売されていない。また、大型店は生鮮ものが中心であり、乾しいたけについて は乾物屋での扱いが一般的である。 図表 香港における日本産輸入乾しいたけの流通システム 国内 香港 その他のきの こ貿易会社 最終消費者 ○個人 ・昔の味を 知っている 購入層 ・富裕層 ○法人 ・超高級レス トラン 一般小売店 中心部 新開地 大型小売店 生産農家 卸売市場 売買参加者 大型店調達 きのこ貿易 会社日本事 務所? きのこ貿易 会社 (在南北行) ○兆豊行有 限公司 ○天徳行陸 海産品有 限公司 ○廣林海陸 産品有限 公司 海外輸出促進機関:JETRO等 国内輸出促進機関:日本特用林産振興協会、 (財)日本きのこセンター 政府 補助事業、PR等 補助事業、PR等 大型店調達 部門 輸出 仲卸売業者 ○電車道の中 間卸売り業 者(約100軒) 香港の流通チャネルは現在3社を残すのみであることに加えて、日本側のチャネルも弱 体化している。産地の後継者難から生産物の確保、品種開発等に対する取組が滞っており、 輸出に対する意識が低いのが現状である。業界団体に対するヒアリングによれば、かつて
質が低下したとの指摘もあるらしい。後継者難から輸出量も減っており、現地輸入業者か ら、生産体制の強化の要請もあがっている。 2)日本産乾しいたけの販売と差別化の方法 (販売方法) ○普段の購入先 日本産乾しいたけの購入場所を見ると「購入しない」という人が 103 名、33.6%を占め ており、購入すると回答している人は全体の3 分の 2 にあたる 66.4%である。そして、日 本産乾しいたけを購入しているという 204 名が普段購入している所を聞くと、「デパート、 ショッピングモール内の高級スーパー(City Super, SOGO など)」(34.5%。購入するとい う人204 名を母数とすると 52.0%)に次いで「乾物街・専門の小売店(乾物屋)」(20.5%。 同30.9%)が多くなっている点が特徴である。 「量販店(ジャスコ)」(15.0%。同 22.5%)や香港内で多店展開している「一般的チェ ーン・スーパー(Wellcome, PARKnSHOP など)」(9.8%。同 14.7%)は相対的に低くな っている。 図表 日本産乾しいたけの普段の購入場所 34.5% 15.0% 9.8% 20.5% 3.9% 6.8% 2.0% 2.9% 33.6% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% デパート、ショッピングモール内の高級スーパー 量販店、家楽福 一般的チェーン・スーパー 専門の小売店(乾物屋) 市場(卸市場) 市場(小売) 日本から直接購入する その他 購入しない N=307 ○日本産とわかった理由 購入した日本産乾しいたけがなぜ日本産とわかったかについて聞くと、「包装の裏の産地 表示」によるとした者が69.6%を占めている。その他には、「店の人の口頭説明」(39.7%)、 「包装上のひらがななど日本語の印字」(16.7%)によるとしている。
図表 日本産乾しいたけであると判断した理由 39.7% 8.8% 69.6% 16.7% 3.9% 1.5% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 店の人の口頭説明 店の看板 包装の裏の産地表示 包装上のひらがななど日本語の印字 見た目 その他 N=204 ○日本産乾しいたけの用途 日本産乾しいたけ購入者(回答者数 204 名)の購入用途を聞くと、97.1%と殆どが自宅 消費(「自宅用」+「自宅、贈答用の両方」)であるが、一方で贈答用が 32.4%(「贈答用」+ 「自宅、贈答用の両方」)を占めている。日本産果実の場合(それぞれ98.4%、15.2%)と 比較すると贈答用に使われる比率が高くなっている。 図表 日本産乾しいたけの購入用途 自宅、贈答用 の両方 29.9% わからない, 0.5% 贈答用 2.5% 自宅用 67.2% N=204
図表 香港における乾しいたけの販売状況 安い中国産乾しいたけ 比較的高価な中国産 乾しいたけ 高価な日本産乾しいたけ (差別化の方法) 香港における乾しいたけの市場シェアは、輸入状況からも分かるとおり、中国産が大半 を占めており、高価な日本産の乾しいたけの市場シェアは限られているのが現状である。 他に韓国産品が輸入されているが、日本産と同様に数量は限られている。 日本産品は、価格は高いが、香りがよく高品質というイメージはまだ残っているようで ある。そのため、中国産品でありながら、ひらがなによる「しいたけ」との標記など、日 本語表示を行っている場合も散見される。こうした類似品が、日本産品のブランドイメー ジを損なっている可能性がある。 乾しいたけ以外では、百貨店、高級スーパーなどで、日本産のしめじ、マイタケ、エノ キダケ等が販売されている場合がある。
3)制度関連情報 (関係機関、関係法令) ①商品の定義 香港統計局によれば、「乾しいたけ」のHS コード(商品の名称および分類についての統 一システム)は以下の通りである。 ・ HS コード :0712-31000 ②関係法令
・ 輸出入条例第60E 章)(Import and Export Ordinance (Cap.60E)) ・ 輸出入(登録)規則(Import and Export (Registration) Regulations) ③関係機関 ・ Tradelink のオンラインでの輸出入申告 Tel:+852-25991700 (Tradelink のセールス・ホットライン) Fax: + 852-25060188 E-mail: [email protected] Website::www.tradelink-ebiz.com (顧客サポート) ・ 香港税関 問い合わせ一般 Tel:+852-28157711 Fax:+852-25423334 輸入申告書の記入と提出方法に関する問い合わせ Tel:+852-28523048 Fax:+852-25417739 輸入申告の照合と評価 Tel:+852-27077822 Fax:+852-23059729 E-mail:[email protected] ・ 食物環境衛生署 食物監視・監督 問い合わせ一般 Tel:+852-28680000 Fax:+852-28690169 ラベル表示に関する問い合わせ Tel:+852-28675581 Fax:+852-28933547
(手続きと所用日数) ①輸入手続き 香港は自由貿易政策を推進しており、原則的に貿易障壁は存在しない。香港に輸入され る物品には関税はかからず、輸入許可の手続も最小限に抑えられている。ほとんどの商品 は香港への輸入許可は必要なく、許可証や通知が求められる場合も、それは種々の国際的 な取り決めによる義務を果たす目的か、公衆衛生や安全性、保安のためにすぎない。 実際、香港輸出入条例第60 章にも野菜(乾しいたけ)の輸入に関する必須の規定はない。 主な手続は商品の輸入後 14 日以内に輸入申告を完了することである。中国から輸入する野 菜(ここでは乾しいたけを含む)には認識票と中国本土の所轄官庁が発行した農薬の申告 書を添付しなければならないが、日本から輸入する野菜(乾しいたけ)には、このような 書類は必要ない。 図表 香港における乾しいたけ輸入の流れ 出所)農林水産省「平成 16 年度 農林水産物貿易円滑化推進事業貿易情報海外調査報告書 - 香港編-」 注)上記の調査報告書では野菜として「乾しいたけ」を扱っている。 ②輸入申告
録)規則(Import and Export (Registration) Regulations)に基づき、香港に果物を輸入 する者はいずれも商品の輸入から14 日以内に、必要事項を正確に漏れなく記入した輸入申 告書を提出する必要がある。
輸入申告は、2000 年 4 月以降、すべて Tradelink Electronic Commerce Ltd(トレード リンク)を使って行わなければならない。この Tradelink のオンラインによる輸出入申告 サービスは、香港政府との契約のもとに提供されている。
オンラインで直接提出する方式に移行する体制ができていない貿易業者やその他の企業 は、最寄りのElectronic Trading Access Service(ETAS)センターに行って書類を提出す る。既にオンラインでの直接提出方式に切り換えている貿易業者やその他の企業は、 Tradelink が提供している電子データ交換(EDI)サービスで、輸入申告書を各々のパソコ ンから政府のコンピュータ・システムに送信することができる。 申告に必要な情報の種類は以下のとおりである。 ・ 輸入業者の基本情報 ・ 荷積み港 ・ 輸出国 ・ 輸送方法 ・ 商品の詳細(パッケージの数と種類、荷印とコンテナ番号、HS コードを含む) ・ 輸入数量と CIF 価格 一般的には、上記以外に公式な衛生・植物衛生証明書は必要ない。ただし、申告内容が 不正確な場合は罰金1万香港ドル(14.2 万円)が課される。 ※ 必要な書類
輸入申告書‐様式 1A (Import Declaration for food items classified in Appendix I of the current Hong Kong Imports and Exports Classification List (Harmonized System) (Form 1A))
http://www.censtatd.gov.hk/corner_on_trade_matters/import_export_declaratio n_lodgement_and_related_ma/index.jspを参照 ③販売 香港には、乾しいたけの販売に義務付けられた規定や方法はない。輸入業者は独自に販 売方法を定めることができる。 ④表示 包装済みの輸入野菜(乾しいたけ)は、食品および薬物(成分組成および表示)規則(Food and Drugs (Composition and Labeling) Regulations)の対象となる。
商品に商品表示がある場合は、いずれも香港商品表示条例第362 章(Hong Kong Trade Descriptions Ordinance (Cap. 362))の規定により、商品に記されているか商品に添付され ている、もしくは広告宣伝に含まれている商品表示や商標、記述は、すべて真実であり、
Regulation)により、いかなる消費財についても、安全な保管や使用、消費、廃棄に関す る警告や注意書きのすべては中国語と英語で併記しなければならない。さらにその警告や 注意書きは判読でき、その商品の目立つ場所、例えばパッケージ、パッケージに貼られた ラベル、あるいはパッケージに挿入した書類に記されていなければならない。 包装済みの野菜(乾しいたけ)に規定された商品表示は具体的に以下のとおりである。 食 品および薬物(成分組成および表示)第 132W 章に基づき、全ての食品製造業者と包装業 者は包装済み食品に、規定のとおり統一され、判読できる方法で、中国語または英語、あ るいは両言語で以下の詳細を表示することが求められている。 ・ 食品の名称 ・ 重量あるいは容量の多い順に並べた成分の一覧
・ 食用期限(“use by date”)あるいは賞味期限(“best before date”) ・ 保存方法あるいは使用方法(該当する場合のみ) ・ 製造業者あるいは包装業者の名称及び住所 ・ 食品の数、重量あるいは容量 ⑤サンプル品の輸入に関する規定 香港では、無料で配布されるサンプルと展示会後に輸出される展示商品の輸出入には物 品税はかからず、申告も必要ない。同様な慣習は他国に輸入される商業用サンプルでも見 られる。世界貿易機関(WTO)の「商業用サンプルと広告宣伝用資料の輸入促進のための 国 際 条 例 (International Convention to Facilitate the Importation of Commercial Samples and Advertising Materials)」では、加盟国は、その領土に輸入されるあらゆる種 類の商品のサンプルについて、そのサンプルの価値が無視しうるほど低く、かつそのサン プルが代表する種類の商品への発注を促すためにのみ使われる場合は、輸入税を免除する ことと規定している。
⑥その他特有の制度上の制約
個人あるいは企業が香港の野菜卸売市場に参加することを望む場合は、卸業者、バイヤ ーあるいは小売業者として Vegetable Marketing Organization に申請し、登録しなけれ ばならない。 卸業者 Tel: +852-23872793 バイヤー Tel: +852-23605062 小売業者 Tel: +852-23872793 (関税、手数料) ①関税 該当する規定はない。
②手数料 輸入申告にかかる経費は以下のとおりである。 ・ 輸出入申告 1 件につき、Tradelink に 12.2 香港ドル (173 円) ・ Tradelink のサービス・センター(ETAS)での書類提出で、さらに 30.5 香港ドル (432 円) (商慣行) 日本からの野菜(乾しいたけ)はほとんど輸入業者によって輸入されている。卸業者や 小売業者が直接輸入することは少ない。小売業者は書類手続や保管上の問題を避けるため に、輸入業者から商品を購入することを好む傾向がある。乾しいたけの場合は、香港の乾 物市場に近接した南北行に輸入業者が集積しており、ここが輸入の主要チャネルとして機 能している。輸入促進に当たっても、現在も日本産品を扱っている3社との連携のもとに 進める必要がある。 また、香港の消費者の特性として、新しい物を試すことを好むことがあげられる。した がって、日本フェア等を開催し、商品のイメージアップを行うことが消費を促進するため には重要である。現地のセールス担当を含め、営業体制を強化することが重要である。