120 上葉と背部壁側胸膜との癒着が認められたため,右上 葉切除と右胸壁(第3,4,5肋骨後部)切除を一塊に して行なった.切除標本にて悪性所見をみたため,同 時に縦隔リンパ節までの郭清を行なった.なお,右背 部胸壁はメッシュにて修復した.病理学的病期はT3 N。Moで,巨細胞を含む大細胞癌であった. 術後経過は良好で,術後2ヵ月の現在,外来観察中 である. 7.温熱化学療法により腫瘍の縮小と痙痛の軽減の みられた脊索腫の1例 (第1外科) ○中島 秀嗣・横山 正義・田原 士朗・ 曽根 康之・小野 真・和田 壽郎 脊索腫は脊椎の発生原基であるnotochordの遺残 から発生する腫瘍であり仙骨部に好発する.腫瘍は椎 体部を破壊し,周囲組織に対して圧迫性に増大し,神 経根性の癖痛をしぼしば認める.治療としては完全切 除が最も望ましいが,不可能のことが多い.今回我々 は切除不能とされた脊索腫の症例に対し抗癌剤を併用 した全身温熱療法を行ない,腫瘍の縮小及び疹痛の軽 減を得られたので報告する. 症例:76歳,男性 主訴:仙骨部痛及び仙骨部腫瘤 既往歴及び家族歴:特記すべきことなし 現病歴:昭和58年2月頃より仙骨部痛を感じるよう になり,8月頃より癖痛が強くなり近医受診,骨盤部 X・Pにて異常を指摘され,同12月1日東芝中央病院受 診する.同12月7日半骨腫瘍の診断のもとに切除術施 行,病理にて脊索腫と診断される.その後他院ペイン クリニックで柊痛のコントロールを行なっていたが, 昭和60年11月頃より落掌が強くなり温熟療法を希望し て当科受診,同12月12日入院となる. 入院時骨盤部CT, MRI−CTで仙骨部に約6.2× 5.5×3.7cmの腫瘍を認め,骨シンチでは骨盤内にRI 集積を認めるも遠隔転移は認めなかった.昭和60年12 月24日大腿動脈脱血,大腿静脈還血の体外循環全身温 熱療法を施行する(CDDP 101ngアドリアシン50mg 併用)昭和61年1月24日同様に第二回目の全身温熱療 法を施行する(CDDP 50mgアドリアシン50mg併用) 術後の骨盤部CT, MRI−CTでは腫瘍の明らかな縮 小を認め,口癖痛も殆んど消失し,現在外来にて観察 中である. 8.電子スコープの使用経験 (成人医学センター) ○森吉百合子・川村 雅枝・中井 階子・ 三輪 洋子・町上 晃・山内 大三・ 前田 淳・山下 克子・横山 泉 (消化器外科)鈴木 博孝 我々は,従来の内視鏡とは全く異る原理を応用した 電子スコープ(Toshiba・Machida製)を使用する機会 を得た.このスコープは微細観察面で優れた力を発揮 するが,近接観察時のブレ,操作製などで改良すべき 点がある.今回は我々の経験した臨床面での応用に若 干の考察を加えて報告する.
9.Coomassie brilliant blue G−250色素法による 尿・髄液中蛋白定量の自動化への応用 (中検) ○田中 富子・水越 貴秀・岡崎 郷江・
荻三男・清水喜八郎
日常検査に広く用いられている尿・髄掌中の微量蛋 白定量法として,アルカロイド試薬によるKingsbury− Clark(KC)比筆法やBiuret法などがあるが,前者は 温度差や蛋白質の種類により粒子形成濁度が異なるた め測定精度,正確性に欠ける問題点があり,後者は原 理的には極めてすぐれているが,微量蛋白を除蛋白試 薬で沈殿精製させた後に呈色反応を行なうなど操作が 煩雑で自動化への応用ができない問題点があった. これらの問題点を回避することのできるBradfordによるCoo癒assie Brilliant Blue G−250(CBB・G250) 色素結合法を用いた尿,髄液中微量蛋白定量をオリン パスAN・500自動分析機へ応用する事を試みた結果 希釈直線性,測定精度,および共存物質の影響等によ る基礎的検討において十分満足する良好な結果を得た ので報告する. 10.肝保存法の研究一単純冷却とOxypherolを用 いた灌流保存一 (腎外科) ○藤田 省吾・唐門原 全・中島 一朗・ 中川 芳彦・林 武利・本田 宏・ 渕之上昌平・寺岡 慧・高橋 公太・
東間 紘・阿岸鉄三・太田和夫
目的:肝保存法に関する研究は多く,灌流保存で24 時間以上生存したという良好な成績も散見される.し かしながら,現在もなお,保存方法,灌流町などにつ いて,問題点が多い.今回,我々は,単純冷却保存と, Oxypherolを用いた低温持続灌流による肝保存を行ない以下の点を検討した.1)肝移植後の経過と
Activated clotting time(ACT).2)肝組織所見.3) 一916一121 保存肝のviabilityの評価. 方法:雑種成犬20頭より肝摘出を行ない,単純冷却 保存と,Oxypherolによる灌流保存を,10頭分ずつ行 なった.即興流は,肝下部下大静脈を遮断し,門脈と 肝上部下大静脈にカニュレーションして行ない,それ ぞれの酸素分圧を測定して酸素消費量を算出した.一 定時間保存した後,肝移植を施行し,その後,動脈圧 をモニターしながら,ACTを移植犬が死亡するまで, 数時間毎に測定した.また,門脈デクランプ前後と, 1時間後に,肝生検を行なった. 結果:1)単純冷却は,全例,術後数時間で死亡した. 2)Oxypherolを用いた回流保存では,術後胆汁排泄 を認め,良好な経過をたどった例もあった.また術後 経過とACTの間に,明らかな相関を認めた。3)Oxy− phero}を用いた灌流保存則の組織所見で肝細胞への 侵襲を少なからず認めた.4)酸素消費量は,個体によ る変動が大きく,肝移植後の経過と一定の関係はみい だすことができず,保存肝のViabilityの評価に役立 つまでには至らなかった. 11.異種肝体外潅流が肝性昏睡に対して著効を認め た1例 (腎外科) ○船越 陽一・本田 宏・寺岡 慧・ 大島 直・渕之上昌平・河合 達郎・ 中島 一朗・中川 芳彦・高橋 公太・ 阿岸 鉄三・太田 和夫 末期肝不全例において頻回の血漿交換療法で覚醒せ ず,男望体外下流を施行し完全覚醒が得られた症例を 経験したので報告する. 症例:39歳,男性.昭和50年6月に劇症肝炎に罹患, その後肝障害は徐々に進行し昭和61年1月には著名な 腹水・黄疸を認めた.同年2月18日,急激に増悪する 肝玉昏睡IV度に陥り, BCAA投与,グルカゴンインス リン療法,連日血漿交換療法を施行した.昏睡は一時 改善したが再度IV度まで上昇し,上記療法に反応が見 られないため家族の強い希望で豚肝体外灌流を施行し た. 方法:1)肝灌流装置および回路;本田らが報告し たELP−1(ニプロ医博製)の改良型ELP−2を使用した. 灌流は門脈からのみ行ない,肝灌流量を保証するため の再循環回路と膜型人工肺(テルモ冷製CAPIOX・II) を併用した.2)異種肝;体重約20kgのspeci丘。 path− ogen free swineより摘出した肝臓を使用した.3)患 者;右大腿動脈より脱細し上記回路を通過させて左大 腿静脈に返血した. 結果:1)体外肝灌流;等流開始後から胆汁排泄は 良好(平日5.5ml/時)であったが6時間目に2.5ml/時 と減少したため中止した.ビリルビン排泄量は平均 12.8ml/時であった,灌野中,流量・門脈圧はほぼ一定 に保たれた.2)灌野僧;下流5時間くらいから肉眼的 に暗赤色を呈した.3)患者;体外灌流亡全身状態はほ ぼ安定しており,血清ビリルビンは灌流前の28.Omg/ dlから16,2mg/d玉へ低下した.末梢血中の白血球は等 流中に低下したが終了前に再上昇し,血小板は減少し た.昏睡度は灌駅前にIV∼V度であったが,灌流弊は IVからIII度へと軽快した.さらにこの後に連日理学交 換療法を併用することによって1度まで軽快した.本 治療後12日目に患者は再度悟性昏睡が増悪し,食道静 脈瘤破裂を併発し14日目に死亡した. 考察:頻回の血漿交換によっても覚醒,救命しえな い肝不全症例に対して,異種肝体外当流は有用と思わ れた. 12.小児急性虫垂炎における超音波断層法の意義 (小児科) ○大竹 優江・兼松 幸子・早川 武敏・ 大沢真木子・泉 福山 幸夫 (放射線科) 山田 (外科) 瀬下 明良・安部 星野 光治・馬淵 達郎・横田 和子・ 恵子・河野 敦 龍一・加藤 一彦・ 原吾・織畑 秀夫 急性虫垂炎は小児の腹痛の原因として鑑別すべき重 要な疾患である,しかし小児の急性虫垂炎は必ずしも 典型的な所見が現れるとは限らず協力が得られないな どの理由で成人のそれに比べ診断が困難であり時には 炎症が進み穿孔に至る事が多い, 今回超音波,断層検査によって膿瘍形成を認めた2 例の急性虫垂炎を経験したのでその問題点や超音波断 層診断の意義に関して若干の検討を行なった. 症例1:3歳男児.入院2週間前より間欠的腹痛が あり,抗生剤を投与されていた.当科外来初診入院時 38℃代の発熱,白血球22200(好中球76.5%,リンパ球 15%)腹痛は間欠的であったが徐々に右下腹部に限局 してきた.しかし明らかなMcBurney点の圧痛はな かった,また腹単純レ線ではイレウス像は認められな かったが腹部エコーにて右回盲部に膿瘍形成が認めら れ急性虫垂炎の診断で外科転科となった. 症例2:11歳男児.腹痛及び6日間の便秘を主訴に 一917一