Title
酸化スズ半導体薄膜における導電率変化現象の解明とその
応用化研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
金森, 正晃
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第020号
Issue Date
1995-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1741
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。'r-■■=-一- -一--一一---岬一一 t・-¶〉一---一丁【--→一号=-・-マーt¶「-コーーーーヒー・1----_---中一 金 森 正 晃(岐阜県) 博 士(工学) 甲第 20 号 平成 7 年 3 月 24 日 物質工学専攻 酎ヒスズ半導体薄膜における導電率変化現象の解明とその応用化研究 (主査)教 授 高 橋 康 隆 (副査)教 授 箕 浦 秀 樹 教 授 山 添 晃 助教授 大 矢 豊 教 授 塗 師 幸 夫 氏名(本籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委貞 論文内容の要旨 削ヒスズをはじめとする金属酸化物半導体を感応材とした、種々のガスセンサ素子が開 発されており、近年では極低濃度ガスの検知、選択性の付与および特性の経時安定性の向 上などが求められている。さらにセンサのマイクロチップ化を目指し、薄膜型センサの研 究が活発である。本研究ではCVD法とゾルゲル法によって得られた酸化スズ薄膜を用い て、義元性ガスに対するセンシング機構の解明を試みている○すなわち、膜厚、膜構造と
ガス感度との閑吟把握を行ない、さらに電子物性的な解析手法を用い、ガスセンシング時
における導電率変化現象を定量的に説明している。また削ヒスズと同じn型半専休である 削ヒ亜鉛等の光導電機構とガスセンシング機構との比較を行なっている。さらにガスセン サ特性の経時変化原因の究明を行い、添加剤などの効果を検討している○本論文はその研 究結果をまとめたものであるが,主要な結果及び結削ま次の通りである。 1)ガス感度の腕厚依存性を調べ、センシング機削こついての考察および極薄膜の構造 推定を試みた。ガス感度は膜厚の減少に伴い指数関数的に増加した○さらにこの現象は単 に膜犀の減少だけによるものではなく、それに伴って起きる括晶子径の減少により、薄膜 の空気中における抵抗車の増加に起因していることを明らかにした○またこの知見から、 膿厚10nl以下の超薄膜の内部構造を探る手段として、センサ特性が応用できる可能性を示 2)1)の知見から、ガス感度の支配要因として薄膜構造の重要性が推測された。従来 バルク型のガスセンサについて、いくつかのセンシングモデルが提案されている。そこで 薄膜型センサに対して、これらモデルの妥当性を検証するため、薄膜の括晶子径とガス感 度との関係を調べた。その結果、1)の知見が検証され、薄膜におけるガスセンシングが 超微粒子モデルで説明できることを示した。さらに通常のセンサ抵抗の測定方法である2 端子法と、4探針法とによる抵抗事を比較検討することで、桃子化によるガス感度の向子が開 性の向 サの研 を用い 構造と ング時 である スセン その研 造単膜、示 構 は薄 ら を ) .Jト ヽ 巨 従来 こで ス感 グが る2 の向 加的
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な寄与によるものであることを明らかにした。 3)削ヒスズと同じn型半尋休である酸化亜鉛の光電気的挙動は、その雰囲気に大きく 依存しており、これはガスセンシングの際の電気的挙動と類似性がある。酸化亜鉛薄膜の 暗状愚やの導電事は膜厚の減少とともに低下するが、光(350皿■)照射下での導電率は膿 厚に無関係であることを示した。さらに膜厚が削、ほど光照射に対する導電率変化すなわ ち応答が速くなった。このような濃厚依存性`ま膜厚の変化に付随した結晶子径の変化と電 極→薄膜界面のScbottkyバリアによる付加的な効果の変化とに起因すると推測された。以 上より、削ヒ亜鉛の光導電機構と酸化スズのガスセンシング機構との剛こ共通性を藷めた。 4)三尊電車をキャリア濃度と移動度とに分離することでセンシング時の導電率変化現象 を定量的に把握することを試みた。さらに電子スピン共鳴法による解析からキャリア電子 の主要な供給源が吸着酸素ではなく(表面層の)格子酸素に局在する電子であることを明 ら如こした。さらにこの知見から、ガス感度を決定する実験式を導きガス感度向上に対す る指針を示した。 き51ガスセンサ特性の騒疇不安定化雪国ヒなる粗成長を闇制するため、庵加翔の効果を感僻した。ここ刊まとくに、原子価紺による電子物性的変化なしに、添加細長よる構造
的な効果のみを分離して評価するため、Ⅳ族元素の酸化物を使用した。その結果、粒成長 抑制に効果的な添加剤としてGeO2をみいだした。さらにⅩ繰回折法等の結果からGeの存在 状態について考察し、この効果が一般の削ヒスズガスセンサに適用可能であることを示し た。また10血0はの酸化ゲルマニウムを添加した鼓化スズ薄膜では、結晶子径がそろった均 質な薄膜となり、良好なガスセンサ特性が得られることを明らかにした。 6)薄膜におけるガスセンサ特性の経時不安定性の原因解明を行なった。水蒸気を含む 空気中および遵元性ガスを含む空気中でのセンサ抵抗車の経時変化は、薄膜の構造的な変 化ではなく、主に組成的な変化に起因していることを明らかにした。すなわち、水蒸気を 含む空気中における抵抗率の経時的な増加は、薄膜の表面分析および重量分析から、吸着 水あるいは表面水酸基の増加だけではなくむしろ結晶格子の空孔の消失(あるいは酸化) によることを示した。一方、還元性ガスを含む空気中における抵抗睾の経時的な減少は、 還元性ガスとの接触による酸化スズ表面酸素の脱離が原因であることを示した。以上より、 前者の雰囲気条件に対しては、あらかじめ加湿削ヒを行ない酸化スズ中の空孔濃度を減少 させること、また後者に対しては、削ヒスズ表面を改質し、表面層の格子酸素を安定化す ることが有効であると推測された。 以上の本研究で待られた結果および括論をまとめて、高感度でかつ安定性の削\酸化ス ズ薄膜ガスセンサの設計指針を示している。 (以上)欄55-論文審査の結果の要旨 本論文は、高感度で安定な薄膜ガスセンサの開発に有効な情報を得るために、CVD法 及びゾルゲル法によって得_られた酸化スズ薄膜を基本材料として用い、還元性ガスに対す るセンシング機構の解明(膜厚、脱構造とガス感度との関係の把握、及びセンシング時の キャリア濃度と移動度の変化の定量)、センサ特性の経時変化の原因究明及びセンサ安定 化の条件の把握を直接の目的として行われた研究括果がまとめられたものである。第1章 ではこの研究の意義、目的が述べられ、第2草以降で具体的な研究結果がまとめられてお り,それぞれの草では次の重要な結論が得られている●。 (1)ガスセンシング時のキャリア濃度と移動度の珊定及び電子スピン共唱法によ卑解析 から、キャリア電子は、従来から提唱されている吸着酸素からだけではなく、表面層の格 子酸素欠陥から供給されることが明らかとなった。 (2)ガス感度は膜厚の減少に伴って指数関数的に増加するが、これ畔膜厚の減少ととも
に結晶子径が減少することにネり、薄膜の空気中における抵抗率が著しく増加することに
基づいている。またこの知見は、膜厚10nm以下の超薄膜の内部構造を探る手段として、セ ンサ特性を利用できることを示す。 (3)薄膜型センサの特性は超微粒子モデルで説明できる。また、微粒子化によるガス感 度の向上は薄膜それ自件の物性変化によることに加えて、さらに電極一薄膜界面に生じる Schottkyバリアの付加的な寄与による。 (4)酸化スズと同じn型半導休である酸化亜鉛薄膜の光電導はその雰囲気、膜厚及び結 晶子径に大きく依存しており、酸化亜鉛の光導電機構と酸化スズのガスセンシング機構と の聞に幅広い共通性が認められる。したがって、薄膜の光電尊を検討することによりその 膜のガスセンシング挙動を推定できる。 (5)酸化ゲルマニウムは酸化スズガスセンサ特性の経時不安定化要因となる粒成長を抑 制するための非常に有効な添加剤となる。また、1仙011の酸化ゲルマニウムを添加した一酸 化スズ薄膜では、結晶子径がそろった均質な薄膜となり、良好なガスセンサ特性が得られ る。 (6)薄膜型ガスセンサ特性の経時変化は薄膜の構造的な変化ではなく、主に組成的な変 化に基づいている。水蒸気を含む空気中における抵抗率の経時的な増加は、吸着水あるい は表面水酸基の増加だけではなく、むしろ結晶格子内部の空孔の消失■(あるいは酸化)に よる。・-一方、還元性ガスを含む空気中における抵抗率の経時的な減少は、還元性ガスによ る酸化スズ表面酸素の脱離が気相酸素の再吸着に勝るために起きる。したがって、前者の 雰囲気条件に対しては、あらかじめ加湿酸化を行なって酸化スズ中の空孔濃度を減少させ ること、また後者に対しては、格子酸素の脱離を抑制することが有効である。■ こ ■ l = ■ 以上のように、本論文の内容は薄膜センサ開発に非常に重要な結果を含んでおり、学術 的、工学的に価値あるものと思われる。また、これらの内容の大部分は審査員つきの学術 雑誌に5鍼の研究論文として掲載されており(さらに1軌ま投稿準備中である)、本論文 は博士論文として充分な内容を含むものと判定した。 -57は