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対応事態における「状況判断」に関する研究 ~小学校6年生の場合~

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Academic year: 2021

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(1)

対応事態における「状況判断

j

に関する研究

小学校6年生の場合 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース(保健体育) 石 田 佳 二

I

研究目的

バスケットボールゲームは,一般に開放系の技能 (オ ープン・スキノレ)に関するスポーツであり,学習 者は絶えず条件が変化する中で外部情報の予測・判 断・処理能力が要求される。これは,比較的安定した 状況下で運動を滋子ずる樹或運動,水泳陸上運動の ような閉鎖系の技能(クローズド・スキル)とは大き く異なる点である。したがって,変化するゲームの状 況にうまく対応できるためには,まず,様々な状況を 処理できるようなスキルを習得しておくことが必要と なる。しかも,それらのスキルは,動作の形態が固定 したものではなくて,状況の変化に応じられるような 柔軟性のあるものでなければならない。また,状況に 応じてこのようなスキルを発揮して,ゲームの特定の 状況下で有効となる動き方僧櫛)を身に付けておく こともボールゲームにおけるプレイにとって必要とな る。このような戦術怜動きを身に付けるためには, 個々の有効な動きに習熟するだけでは不朽士であり, 周囲の様子を見て,今ここではどんな動きが有効かを 実践の中で瞬時に判断し,プレイあるいは技術を選択 しなければならない。これは,状況澗断能力といわれ るもので,ボールゲームのスキル習得にとって欠かす ことのできない大切な能力である。 そこで,本研究では小学校

6

年生のバスケットボー ル授業のスキル習得において,個々の異なった運動要 素が系列的に秩序化され,学習者にそれらを系列的情 報として与えることにより,学習者の運動南方がより 車邸哉化・秩序化するという仮説に基づいて,学習者の 変化する事態への対応能力として重要と思われる状況 判断的なスキル習得,及び,学習者のスキル習得と認 知的方略との関連について明らかにすることが目的で ある。

E 研究方法

1 対象者 香川県

N

小学校

6

年生

2

クラス

60

名 (実験群 30名,対照群 30名) 指導教官 坂 本 和 丈 2 授業者 実験群・・・実験者 対照群・・・体育専科教員 3 実験期間 実験群及び対照群ともに3か月間

側泊

1年11月 笈)()2年1月) 4 実験の手続き 学習回数は

1

0

(

1

回の学習時間は

45

分間), スキルテストは学習前(事前),学習直後(事後), 学習終了後1か月(最終)の3回である。 1) 実験群における単元目標 「学習者は

1

O

のシュート場面をつくってから

1

0

回中

5

固までシュートを行い,

50%

の確率で得点 することができる」である。 2) 実験群における教授ー学習計画 本計画の特徴は,対応事態を中心とし

t

d

軍動課題 を学習することにより,バスケットボール州国々の 異なった運動要素を系列的行動によって学習し,一 連の行動が種々の学習事態の過程で,事態解決の意 志決定,あるいは予知・予測耐子動の習得を目指す ものである。つまり,⑪坊御者の動きに対応してプ レイを行うこと,~糠方同士の動きに注意し,適切 な状況判断とプレイの選択を行うこと,③個々の運 動パフォーマンスの失敗はある程度認め,連続酌に プレイを知子することなどが学習過程で強調されて いる。 3) 対照群における教授一学習計画 運動課題及び学習活動の時間配分,留意事項等す べて対照群の体育授業担当者の伍意とした。 5 スキルテストの実施 1) 系夢桁動におけるスキルテスト(餅惜合) 2) 対応事態(3対 3)におけるスキルテスト(相互関 係) 6 スキルテスト・方略調査の分析 1) 系夢i附動におけるスキルテスト (1) 課題遂行時間 (2) 運動要素の結合 (3) シュート成功率

(2)

-428-2)対応事態(3対 3)におけるスキルテスト (1)相互関係の成立 (2)シュート頻数 (3)状況判断 3)方略調査 (1)学習過程における方略選択の変化 (2)課題遂行時間と方略使用との関車 (3)状況判断と方略使用との関連 E 結果及て拷察 1 系卵胞揚鯨題の謝子時間と運動要素の結合 1)課題遂行時間 事前においては両群の聞にほとんど差がみられな かったが,事後になると,実験群が対照群に比べて 約 1秒短縮されており, T検定における有意な差が みられ,学習効果が認められた。最終においても, 実験群は

0

.

1

秒の時間短縮があり,単元終了後

1

ヶ 月が経過しても学習したことが保持されているとい える。 2)運動要素の結合 両群ともに事前から事後にかけて学習の成果がみ られる。最終においては,事後に比べると若干の減 少傾向を示しているが,学習結果が保持されている。 3)シュート成功率 両群ともに事前から事後,最終にかけて害j合が増 加している。特に,最終において,実験群の学習者 の3人に1人がシュートを成功させている。 2 対応事態(3対3)における相互関係の成立と状況 判断 1)相互関係の成立 実験群は,対照群に比べて,学習の樹首こ伴って, 3者関係が増加し, 2者 1者関係が減少している ということが明らかである。 2)シュート頻数 シュート出現率は,両群ともに増加しているが, 特に実験群においては,事前から事後にかけて2倍 近く高くなっているo また 1対Oのシュート場面は,実験群が対照群 の約5倍近くまで増加している。この結果は,単元 目標を達成していることが明らかである。 3)状況判断 実験群においては,事前の曾}合がω.7%,事後が

ω

.

()OJ6となっており,

T

検定の結果,有意な差が認 められた。また,最終の曾

J

合が

9

1

.

0

%

であり,学習 結果が保持されているといえる。一方,対照群

i

こお いては,事前の割合が57.9%,事後が73.5%となっ ており,伸びがみられたものの有意な差は認められ なかった。これらのことより,対応事強における学 習を継続することによって,学習者は,防衛堵との 対応を苅己する予測ヰ溜抑桁為に関する状況判断 的なスキルを習得できることが明らかになった。 3 学習過程における方略選択 1)方略選択の変化 上位方略の処痩レベルからみた使用傾向について は,両群ともに運動スキルの習得の過程において感 覚・知覚レベルの方略を多く使用していることが明 らかである。実験鮮においては,学習の樹首こ伴っ て中枢レベルの方略を多く使用する傾向がみられた。 2)課題滋子時間と方略使用との関連 両群の課題遂行時間の速い者はスキルの習得に 伴って,方略6の「情報の処狸jを多く選んでいる。 実験群下位グループも方略6に高い使用傾向を示し たのは,教授一学習過程の反映であると考えられ, 学習過程における『姉忘事態jという学習条件の中 で,運動スキル習得のための情報処理についての意 識化によるものであると推察できる。 3)状況判断と方略使用との関連 実験群は,上位,下位に関係なく,課題謝

7

時間 の場合と同様に方略6を多く使用する傾向がみられ た。このことから,学習者の方略に対する意識は, 運動の経験量や繋練の程度の差によって多少異なる が,それ以上に学習の進行に伴って,その使用傾向 に反映するものと考えられる。 W 結愉と今後の陳題 対熔事態における学習を継続することによって, 学習者は防衛堵との対応を支配する予襖尺場動度術 やプレイの選択に関する状況期断的なスキルを習得 することができるということが明らかになった。 今後の課題は,今回はバスケットボールの授業を 通して研究を進めてきたが,状況単勝円相互関係の 分析基準に唆味さが残った。 そこで,より客樹生の高い分析基準について検討 すると同時に,これまでに得られた知見に基づいて, 知覚一運動スキル学習の適応過程を考え,既存の能 力と新しい課題との関係キ弛のボールゲームの運動 教材における状況判断と運動スキル震構の関係につ いて検討していきたい。

参照

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