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大学院教育の実態からみた課題と展望

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Academic year: 2021

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53:1147

<シンポジウム (2)-10-5 >神経内科教育の continuum

大学院教育の実態からみた課題と展望

吉良 潤一

1) (臨床神経 2013;53:1147) 日本神経学会教育委員会では,我が国の神経内科における 大学院教育の実態について,平成 24 年度末に直近 4 年間の アンケート調査をはじめて実施した.55 大学(69%)から 回答がえられた.その調査結果を紹介し,神経内科における 大学院教育の課題と展望について述べたい. 平成 21 年度から平成 24 年度にかけての大学神経内科の入 局者数は,1 大学平均 2.29 人から 1.96 人へと漸減傾向にあっ た.その一方で大学院進学者数は,1 大学平均 1.24 人から 1.67 人へと漸増傾向だった.女性の占める割合は,入局者の 32.3%,大学院進学者の 31.3%と,とくにいずれかの性で大 学院進学者が少ないということはない.外国人の大学院生は 全体の 10%程度を占めていた.全体の 34.5%の大学では, 医師資格をもたないものの受け入れがあった. 大学院進学の時期は,卒後 3 から 5 年目,または入局後 1 から 2 年目がもっとも多く,次いで卒後 6 から 8 年目,また は入局後 3 から 5 年目が多かった.したがって,専門医試験 は大学院在学中に受けていることがもっとも多かった.大学 院では,診療従事期間は 1 年が最多で,次いで 2 年から 3 年, 4年とほぼ同じくらいの割合だった.大学院の前半は 8 割近 くの大学で入院もふくめた診療業務に従事し,2 年目からは 研究が主体となることがうかがわれた.全体の約 3/4 では入 院患者の診療に従事していた.約半数の大学はなんらかの給 与を支給していたが,それは 5 万円から 50 万円と幅が大き かった(20 万円から 30 万円が約半数).しかし,主たる収 入源は,アルバイトとするものがもっとも多かった. 研究場所は,約 8 割は入局した神経内科医局で,同じ大学 内を併せると 9 割以上であった.対象疾患では,脳卒中,認 知症,神経変性疾患,神経免疫疾患,遺伝性疾患で約 8 割を 占める.てんかんなどそれ以外は比較的少ない.研究手法は 多様であまり偏りはないが,相対的には分子生物学的手法が 多かった.82%は,院生の希望を優先して研究分野や研究手 法を決めていた(18%は組織的に配属していた).大学院修 了後は約半数が大学神経内科医局で勤務し,約 4 割が病院勤 務,約 1 割が他施設留学となっている.全体として約 6 割は 研究を継続できる環境にあった. 以上より,神経内科教室における大学院進学者数は漸増傾 向にあり,入局した教室で多様な研究手法をもちいて主たる 神経疾患の研究に取り組んでいることがわかる.その一方で, 診療に従事しながら在学中に専門医を取得している.大学院 修了後は,過半数は何らかの形で研究を継続している. 課題として,入局者数が漸減傾向にあることから,将来は 大学院生が減少に転じる可能性があること,研究にのみ打ち 込める環境ではなく,大学での診療やアルバイトに時間を割 かざるをえないこと,研究場所が入局した教室が大部分で基 礎医学分野での学習機会が乏しいことなどが考えられた.将 来的には,入局者数を増やし,大学院在学中の安定した経済 環境を実現し,基礎医学分野との交流を増すことなどが望ま れる.現状では全体の 60%は卒後 3 から 5 年目,または 6 年から 8 年目に大学院に進学しているが,新内科専門医制度 が実施されると進学時期がさらに遅れる可能性があることか ら,研究を志向する入局者には早めに大学院に進学できる コースの設定も必要であろう. ※本論文に関連し,開示すべき COI 状態にある企業,組織,団体 はいずれも有りません. Abstract

The current status and problems in neurology education at graduate schools in Japan

Jun-ichi Kira, M.D, Ph.D.

1)

1)Department of Neurology, Neurological Institute, Graduate School of Medical Sciences

(Clin Neurol 2013;53:1147)

1)九州大学大学院医学研究院神経内科〔〒 812-8582 福岡市東区馬出 3-1-1〕 (受付日:2013 年 5 月 30 日)

参照

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