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特集 滋賀大学からみた近江 特集4 「美しい近江 : 四季折々の楽しみ」

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Academic year: 2021

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しがだい 14

滋賀大学からみた近江

「美しい」という言葉を日常会話で使うことは少なくなっているのかもしれませんが、琵琶湖線(なんと優 雅な響きでしょう)にゆられながらの通勤で、窓によりかかり外を眺めていると、独り言のようにこの言葉 をつぶやいてしまいます。滋賀大に着任して二年たらずの間に、私は すっかりこの近江の土地の四季折々の美しさに魅了されてしまいまし た。ここでは、そんな「近江新人」の私の目からみた近江の魅力を、 ご紹介させていただきたいと思います。 滋賀といえばまず琵琶湖。私のお気に入りは安土・八幡の水郷めぐ りです。ヨシが風にそよぐ西の湖周辺の水郷地帯を、ひっそりと手漕 ぎ舟がすすんでゆきます。同じコースをたどっても、水辺の風景は毎 日表情を変えるので、何度乗っても飽きることはありません。どの季 節に訪れても、新しい発見があります。野バラの香りにつつまれる春、カイツブリの親子に出会える初夏、 多種の渡り鳥を観察できる冬。雨の日も雪の日も休むことなく、舟は静かにすすみます。雪化粧した水郷に は、俳句の会の方などが、冬景色を求めていらっしゃるそうです。 時代劇の映画やTVドラマの撮影にも使われるこの地域は、日本情緒たっぷりです。なかでも和舟からな がめる花火は、優雅な体験だといえるでしょう。地元(安土と近江八幡)の花火の日に合わせ、夕暮れ時か ら舟を出し、花火のみえるスポットへ。心地よい揺れに身を任せ、水面からみる花火は、地上から大勢の人 にまみれながら見物する花火とは、一味違った趣があります。水面は驚くほど涼しく、エンジン音がない世 界がいかに静かであるかも痛感できます。暗闇にぽっかりと浮かん だ舟に乗り、ビール片手に聞こえてくる花火の音に耳をかたむけれ ば、日頃の喧騒も忘れてしまいます。 友人や恋人同士で舟を貸しきることも可能です。舟上での食事を 予約することもできますし、ビールや食べ物の持ち込みもできます ので、気の合う仲間でプチ宴会をしながら、夏を味わうのも一興で しょう。船頭さんはたっぷりと時間をとってくださいますから、の んびり心ゆくまで、花火はもちろんのこと、花火まえの舟上宴会や、 花火後の余韻を堪能することができます。特に、花火のあと、岸へ とむかって深い藍色の世界をすべるようにすすんでゆく舟で過ごす 時間は、贅沢なひとときです。 巧みに舟を操る船頭さんたちの語りも、水郷めぐりの楽しみのひ とつです。地元の漁師さんたちから聞く、水質汚染と水質改善の問 題、モーターボートによる網の破損、ブラックバスやブルーギルに よる被害をはじめ、今はとれなくなってしまったシジミ、希少に

美し

しい

い近

美しい近

―四季折々の楽しみ

―四

四季

季折

折々

々の

の楽

楽し

しみ

特集 4

菊 地 利 奈

(経済学部助教授) 初夏、風にそよぐヨシ 夏、水郷をゆく和舟

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しがだい 15 なったモロコなどの湖水魚の話は、身につまされるものがあります。地道に、そして丁寧に、ヨシの間に魚 の産卵場所を整え、近江ならではの自然と環境という財産を守り、次世代へ残そうと努力している地元の 人々の郷土愛。船頭さんたちの近江の動植物に対する豊富な知識。これらを通して、私も近江について学び、 近江を発見し、近江を好きになったのだと思うのです。 水の郷、近江では、水郷地域に限らず、あちこちに舟がでています。桜のトンネルをくぐる八幡堀の舟は、 今年も花見観光客でにぎわっていました。安土城址を半周ほどする和舟で、櫓をこぐ体験をさせていただい たこともあります。近江観光のすばらしさは、ただ見るだけ、ただ楽しいだけではなく、実にいろいろなこ とを体験し、学べることにもあると思います。 私は櫓をこぐ体験を通して櫓の仕組みを学び、その困難さだけではなく、水や風に対する用心深さや思慮 深さが必要なことを学びました。水郷地帯から、西の湖へ、西の湖から琵琶湖へと、水路はつながっていま す。しかし、手漕ぎ舟では、西の湖へでることも難しく、琵琶湖にでることは危険です。琵琶湖上をふきつ ける強風のせいです。実際に、安土の信長祭の時期に、エンジンつきのボートで西の湖上を案内していただ いたときには、風の強さに驚きました。人力ではとてもかなわない風です。自然と接することで、自然の厳 しさや自然と共生することの大切さを体験できることも貴重です。 あちこちの舟に乗り、水面から近江を楽しみ、船頭さんたちから琵琶湖談を聞いているうちに、それまで 興味のなかった湖水魚を食べてみる気になり、今では、機会あるごとに新しい魚を口にするようになりまし た。味だけではなく、捕まりそうになるとギギッとなくのでギギと呼ばれるなど、見たことも聞いたことも なかった魚たちの名前の由来、生態や調理法などを知ることは、純粋に楽しいものです。魚にはじまり、肉、 米、酒、野菜、果物にいたるまで、新鮮でおいしいものが地元にあふれていることも、近江の魅力です。滋 賀に来てはじめて食べたものや、滋賀にきて好きになったもの、「近江ならでは」と魅了された季節の味もた くさんあります。 まずは、ガラスのはまっていない窓から風景写真でもみるよ うに伊吹山を望む場所にある鮎茶屋。自分で鮎を焼きながら 食します。風が吹き抜けるため、暑さをまるで感じない半屋外 で、だんだんと暮れゆく景色をみながら、きらきらと輝く鮎を 自ら焼いて食べるおいしさは格別です。塩焼きだけではなく、 鮎の刺身や握りずしなど鮎メニューも豊富で、鮎を生で食べら れることを知りました。つぎは、鱒。醒ヶ井の清水を活かした 鱒料理店には、鱒づくしのコース料理があります。刺身、からあげ、塩焼き、吸い物と、すべての料理に鱒 が使われています。同じ魚でも、調理法によって、まったく違った味があることに驚きます。梅花藻の季節 に合わせて訪れると、花も食事も楽しめるうえ、お土産に清水を汲んでくるというおまけまでついてきます。 時がとまっているようなこの宿場町は、なんともノスタルジックな空間です。せせらぎに耳をかたむけ、ぶ らぶら歩いていると、子供時代にタイムスリップしたような気分になります。 魚ならなんでもござれの近江八幡の寿司処では、魚だけでなく、肉の刺身を取り入れたメニューもありま す。地元のものをとりいれようとの板前さんの工夫から誕生した、近江牛ロールです。近江牛の刺身と、エ ビやカニ、香ばしいガーリックスライスなどが、カリフォルニアロールのようにまかれている、味も見た目 も楽しめるユニークな一品です。地元の素材をいかした特色のある伝統的な食文化を大切にすると同時に、 積極的に新しい味に挑戦する姿勢には、いつも好奇心を刺激されます。 しかし、なんといっても近江のすばらしさは、どこかへわざわざで かけずとも、美しさが日常生活の中にあふれていることです。車窓か ら眺める田畑や山々が、季節ごとに表情を変えること。通勤途中のみ ごとな桜はもちろん、蓮の花でいっぱいになる堀(とそこで巨大に 育っている蛙たち)。旬の食べ物を通して感じる季節感。毎日の生活 のなかで、四季折々の息吹を感じられることは、非常に贅沢です。 彦根城と琵琶湖とに挟まれている滋賀大学経済学部。この最高のロ ケーションのおかげもあり、上記でふれた私の近江体験はすべて生活 圏内にあるものです。仕事帰りに立ち寄ったり、天気が良い週末の午 後からちょっとでかけたり、といった行動範囲内に、これだけの楽し みがあるのですから、近江の美しさに魅了されないはずがありません。 春、八幡堀の桜 お皿の下に敷く紙に描かれた鮎

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