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高度の腹水を合併せる胃癌の一剖検例

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Academic year: 2021

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高度の腹水な合併黙る腎癌の一剖検例

東京女子購學專門學校病院内科敏室 ︵童盤 今村教綬︶

    太  田

 入院當時の主訴  家族歴 在なり。 認められすQ  既往歴 幼時より健康にして、十九歳に輕き淋疾馬二十歳に横寺を経過せる他は罹患せしことなし。  嗜好品 酒は嗜ます。煙草はカメリヤを一騨二箱位用ひた套と云ふ。    太甥蒔山高度の腹水あ合併ぜるM胃癌の一劃検⋮例      四幽 患 者 下○元0郎、六十七蔵塾男葱無職。 出生地 本籍地、現住所共に東京市。 入院昭和七年五月二十七“。 死  皆軸 昭和馴レ匁b牛山ハ月山ハ日〃丁晶騨山ハ時⑪ 解  剖  山ハ月レ∼日午後二時。         杢身俘腫及腹部.膨満。     爾系租父母共老衰にて弊∼れ、父は騰盗血.母は動版硬化症にて死亡せり。寒入の弟妹及び妻は健    子供は総てで六人にして.長女は肺結核.次男は生後間もなく死亡せしが他は健存す。癌の遺傅は

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   太田H高魔の腹水秘合併¢る需癌の一剖検例       四二  現症歴 藪年來便秘の傾向ありしが、昨年五月孚ばより頑固なる下痢を起し、治療するも長く輕快せざり き。然るに八月頃より下腹部の膨隆、食慾の減退を宿し、曖氣、庭藤あり、且便秘を起せし爲帝大物療内科 を訪れしに胃癌の診断を下されたり。この頃より次第に巌痩し、腹鳴激しく、且蠕動不穏も時々は興じ覚り と云ふ。叉胃部膨満感はありしも,腹痛は殆んどな︽、悪心嘔吐もなかりき。  今年一月四日に至り全身に俘腫を認め、腹部は膨満して強度の緊張感を畳ゆるに至れり。爾來買藥を服用 し居たるに、俘腫は時に塘減あるも一般に増加を騙し、尿量亦漸次減少せり、、便逓は依然として秘結し、灌 腸により僅かに黒色硬便の小品を排泄するを例とせしが、五月頃より普通便となれり。  三月廿六日食事の不意生と憂事あり、その故にか翌廿七日一時意識湖濁せるも、五−六時間にして自然に 恢復せり。この時一回嘔吐ありき、吐物は食物の転寝にして、多少酸味あり、直轄々黒色を帯び居たりと云ふ。  入院當時の所見 望見して先づ著明なるは全身の俘腫にして、殊に下方に面せる部位に於て露量高度に存 す。顔貌は俘腫性苦僑朕にして、皮膚は甚しく蒼白なるも、黄疸、静脈振張を認めす。身長は申等大、膿位 は仰臥位、動作は安静、榮養は甚しく不良、骨無の轟轟は申出度、意識は明瞭、精算、智力異常なし。膿温 三六・ご度、脈脾七五、大いさ普魎、緊張良、規則正し。呼吸二五、比較的召電、整規、胸腹型。頭部 眼、 鼻、耳謡歌なし。舌には自色の苔少しくあり、多少乾燥す。口腔、咽頭、扁桃腺異質なし。頸部、腋下及其他 に淋巴腺の腫脹を認めす。心臓は大きさ達見にして、雑音なく、叉音響の強盛なし。肺臓は打診にて攣化な く、聴診するに奥秘尖に呼氣の延長鏡利あり、他部に於ては呼吸晋弱し。腹部は球形に膨隆して、贋窩を認 めす。腹壁の浮腫、緊張著しく、叉波動著明にして、腹園九四糎、慶痛なく、肝、脾、其他腫蕩、硬結物等 を亙れす。胃、腸の蠕動不穏なく、叉腹鳴なし。上下肢共に高度の俘腫あり。膝蓋腱反射は漁失せるも、知

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畳異常、腓腸筋屡痛を認めす◎  入院後の経過 尿は黄色にて少しく漏濁し隔酸性にして比重は一〇一五!一〇二〇、尿量は二一二〇蛇前後 蛋白はズ〃フォサリチ冒川砂試験⋮法にて痕跡を認むるのみ。沈渣には赤血球勤自血球、膀胱上皮稀⋮にあり。他 に特別の事なし◎  排便は入院の日︵五月半七日︶と六月四覇とにあむしのみ.何れも外見上異常なかりしが、血液反鷹は申 等度陽性なりき.寄生轟卵なし。  血趣七五!一一〇  入院以來利尿湖、至心剃等を與へしも.尿量塘補せざる爲.五月廿九目穿刺を行ひて五二〇〇蠕の腹水を 排出せり。穿刺液は淡き帯緑黄色にして,透朔,反物中性.比重一〇〇八.リメルタ及ウムベル雨湿鷹共に 陰性、蛋白量は0・七五%、細胞性成分としては赤血球及び内皮纒胞を少数謹明せしのみ、穿刺後腹囲八七 糎、腹腔内には腫瘍を鯛れ得す。穿刺の翌三十隷には尿量幾らか増擁しても六七〇蛇となれるも三十一日よ bは再び減少し、毎日三ご○蝿前後なりき。  三十日よリカレル氏牛筑療法の獲法を始め愚一半牛乳二〇〇屍、重湯及葛湯三三〇9死を四回に分配して與 へしも、食慾なく、嫁取量少き爲,完憂に之を行ひ得ざりき。かくて浮腫減少せす、尿量亦増加せす。六月 四日アビタンの静二百注射を試みしも成功せす。入院中嘔氣嘔吐を催せる事なし。  入院挿毛麗々孚睡状態にあむしが.六月二騨頃よ6時な厩立あむたむ。脈搏は大王に於て九〇前後を示し 呼吸藪はこ〇前後なり。謄⋮温は三六・五度前後なりしも、死の前な興六月四日午後よりは三五・五度となり ムハ 試Rハ日午汕酬六時豫︸に死亡せ参。    太団H高度の腹旗鳶合併せる冒癌の一講検纏       四銭

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   太’田H肯阿魔の晦脚水たA口併ぜろ胃癌の一剖検⋮例      四四  著明症歌。高度の全身浮腫、腹水及貧血。  診断。以上の所見、殊に身膿の下方に適せる部位に津腫高度なりし熟より診断上品づ第一に考ふべきは心 臓性煙腫なりとす。然るに心臓には異言なく、脈搏又普通にして、心機不全の徴候を認め得す、虚血歴のみ は年齢に比して梢々低しと難も、此黙のみを以て直ちに本心を心臓性浮腫とは診断し難し。  次に顔面の浮腫及尿の所見より、腎性俘腫に非ざるかといふに、尿の蛋白は僅かに痕跡にして、本例の如 き高度の浮腫を起す程の攣化が腎臓にありとは考へ難き所なり。  次に貧血の著明なりし黙より、貧血性の俘腫に非ざるかといふに、浄腫が下りに高度なるの戚あb。殊に 腹水迄も貧血にて説明し得るや否やは疑問とする所なり。  次に嘗て東京帝國大証物療内科に於て胃癌なりと診断されしことありと云へば、悪液質及貧血に依れる浮 腫に非ざるかと云ふに、これ叉浮腫の絵りに高度なるの威あり。且又吾人は胃液の槍査、胃のレソトグン槍 査、食餌の完全なる制限によれる糞便の潜血槍査をもなし得す、腹水穿刺直後にも腹腔内に腫瘍を鯛れ得 す、癌の轄移と認むべき淋巴腺腫をも謹明し得ざりしため、惜に癌が潜伏して居るとも断言し難し。併し帝 大に於て胃癌の診断を下すには相當確乎たる根面のあること\考へらる㌧が故に本例は或は癌腫に依れる悪 液質の俘腫なるやも計り難し。  然らば他に浮腫を起すべき疾病なきやと云ふに、浮腫病あり、脚氣あり、浮腫病は飢餓時貸榮養歓乏に因 りて起り、主徴は浮腫にして、概ね下肢に始まる。且時には腹水を俘ふことあり。本患者は前述の如く長き 間頑固なる下痢に苦しみ元るが故に、榮養不良に煽りしことは疑なき所にして、從って浮腫病の起る可能性 あう。然りと雛も浮腫病の副症妖なる徐脈、多尿、血歴低下等を示さす。從って浮腫病とは考へ難し。

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 次に本患者に於ては膝蓋腱反射潰失し、一旦脚氣の際にはかなむ高度の津腫を起すことあれば、本例は脚 氣に非ざるかと云ふに、誘導の際には遇常高度の腹水を起すことなく.又膝蓋腱反射の消失以外に脚氣の症 朕をも謹明し得ざれば.脚氣とは考へ難し。  以上の如く本例は未だ確實なる診断を下し得ざるに不幸の韓蹄を取夢たる者にして、浮腫の早態より見る 時は心臓性のものに似たうと錐も.稀に無言自性腎炎なるものあらと云へば、それも否定し難く、叉胃癌を も否定し難ければ解剖によ・9て其翼因を究めんとす。 病理解剖的翫見  身長一七〇糎、登身に高度の浮腫あ套。腹部は膨隆し、明らかに波動を離明し得たり。淺在血管の籏張は 見られす、耳翼は僅かに手アノκぜを呈せるも指趾端には貧血あ参。角膜は漏濁す。  切開するに皮下脂肪萎縮し.且つ浮腫牲な聾。腹腔内には約四〇〇〇蝿の瀕濁せる黄色の腹水あり。腹膜 は次自色、多少肥厚せるも卒滑な参◎大網膜は上方に癒責し.脂肪組織萎縮す悩腸管は膨満し、腸漿膜は蒼 自なb。腸問膜脂肪萎縮す。 腸問膜淋巴腺.及後腹膜淋巴腺は大豆大に腫毒するも轄移なし。胃は膨満し.漿膜は蒼白なう。幽門部漿 膜に於て次自色の肥厚部あ参。此部に雀卵大の腫瘍を鰯れ。肝臓は萎縮す。特に右葉に著明なり。謄嚢ば鶉 卵大に充満す。脾臓は萎縮し癒養なし。横隔膜高位は爾側共第五漏壷に梢撫す。筋肉は萎縮し、蒼白にして 浮腫性なむ。左肋膜は散在性に繊維性癒濤あり.約六〇〇靖の黄色透霧の液膿あり。右肋膜には癒着なし。 約三五〇蝿の液膿を容る。    太田郵宵一度の腹轟小をム澗併せろ榊胃癌の凶剖粉購劔      四五

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   太田打肯同度の腹轟小な合⋮併ぜろ胃癌の一細削給協偏閃       一四六 胸部臓器 心臓 心尖は右室より形成され、金巾形心臓なり。大さの×おxα糎二七〇琵、営々の表面に唱言あり。後面 に存する腱班には石友沈着あり。心外膜下脂肪織は膠様にして冠状動脈は蔓駿にうねり、硬写せり。心臓を 開くに凝血なし。肺動賑欝欝大動脈欝は有窓、三塁砦口は三指を癒す、乳騰筋は萎縮せb。左室は求心性に 肥大す。心筋は褐色を帯ぷ。 肺臓 特認は輕度の膨脹不全あも。從て硬度増加す。肋膜は繊維性にして葉問肋膜は癒着す。輕度の炭粉沈 着あり。割面に於て炭粉沈着あり。水腫著明氣管枝粘膜は浮腫性なり。  右肺は代償性に肥大し、葉問肋膜癒着す。肋膜は畢滑二度の炭粉沈着あう。 腹部臓器 胃内容として有形食物約二〇〇靖を容る。粘膜は貧血性にして搬壁少なし。幽門より約四海上方に於て直 穫約五二の圓形の癌性潰瘍あり。周園堤歌にして潰瘍面は出血あり。輕度の幽門狭窄あり約一指を通す。 十二指腸 粘膜は浮腫性蒼白にして、粘液を以て被はる。 小腸 一般に貧血性、上皮は假性メラノ﹃ぜに着色す。 、・蜥ー 貧血あり。 肝臓 萎縮せり。大さ鵠O×目b。×崔糎 六四〇%、扁李にして硬度弛緩せう。被膜は一般に肥厚し、左下の表 面は疲痕様なり。割面に於て一般に禍魅す。小葉豫は小、謄瞥は肥厚す。ヂストマなし。 謄嚢 淡き膿汁を以て満さる。輸謄管には掩蔽なし、唯僅かに籏臆す。 膵臓 普通大にして柔軟、表面には斑紋散の脂肪壊死あり、割面は一般に浮腫あり。

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脾臓 萎縮す。蒼自な套。被膜は肥厚し奄鍛壁あむ、舗面は貧血し.脾材は著明にして髄質及淋巴濾胞は萎縮す 腎臓 左側匿×轍転×轍叉 硬度硬く蒼白な今。割面にて被膜剥離容易ならす。然し腎表面は李下なり。小嚢 腫散在す。腎圓錐は短く.腎孟の脂肪組織は膠様に養化す。皮質は狭く末梢の小血瞥は硬化す。  右側、一般に硬く.留面に於て被膜剥離容易ならす○表面は屠蘇、皮質狼く、圓錐短かし。 副腎 普通大。皮質は類脂肪及色素に富む。 膀胱 蒼自、獲化なし。 頸部臓器 舌 舌苔なし、蒼白なう。扁桃腺二化なし。食滋.上唇部は蒼白.下牛部は静脈の旗張あり。後方に輕度の 靡欄あり。喉頭粘膜は蒼白、甲散軟骨は蓑素読撒骨す。甲駿腺は普瀧の二倍大にして膠様質はよく登育す。 大動脈 内膜に種々の大さの硬獲斑あ参◎ 解剖的診漸 一、幽門部に於ける癌性潰瘍 二穐心臓及肝臓の裾⋮色“委縮 一﹃問鷲﹃性腎炎 四、腔水腫︵腹水、胸水︶ 五 水血症 山ハ、左側の繊維性癒着性肋膜炎 一七.脾臓の老人性萎縮 八,繊維性譜面膜炎 九、膿血の振張 十、腹膜に於ける籔痕及腹水 十一適甲駅腺腫 組織的所見 心筋 筋繊維細く褐色顎粒に富む。 肝臓 小葉像は多少不規鍵にして籏記せる中心艀脈は血液を騒て充され.或は繊維素の析出ある所あ参。叉 艀脈周回の結締織塘撫せる駈あむ。    太開πゆ鍋山皮の帖阪繭小なムM耕ぜろ個掃癌の 覇絵伽麹       四丁℃

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   太田劃一禺度の腹水か合併せろ胃癌の一剖槍例      四八 列リソン氏鞘は僅に増加し、肝細胞柱は離解し、毛細管の籏張あり。肝細胞の褐色萎縮あり。 脾臓 被膜及脾材の結締織増加し、髄質は萎縮し血量少なし、淋巴濾胞の萎縮著明なり。 胃 圓柱歌上皮癌之は筋層の深部に迄浸潤せるも、結締織塘加し、癌索は散在性に萎縮し、硬性癌の像を呈 す。 腎臓 皮質の問質結締織は僅かに増殖せるのみにして曲細尿管上皮は染色不良なるも恐らく死後融化なるべ し。荷曲細尿管に極僅かの脂肪あb。書癖膿は大にして細胞に富む、ボーマン氏嚢の肥厚殆ど認められす。  髄質、間質結締織の壇殖殆ど無く、直細尿管の磁化も殆どなし。  し∪ミ逡ぎ§書氏法によりて絡子駿繊維の歌態を旅するに毛細管周壁の格子櫃繊維は増殖し且太く、帥ち綜 毬膿硬凝の像あり。  本例の試練的所見として腹水が著明にして穿刺を施す可き程度にして肝臓の濁音界の減少の如き萎縮性肝 硬獲症に類似の公命あり。而して本山の如く尿量の著減或は苗圃に潜在血液を離明することは術肝硬憂症に も遭遇する症候なりとす。  剖年上、此腹水は腎嘉事膿の病礎によることが確められたり、即ちビ翅シ。ウスキー氏染色によって腎綜毬 膿の病毒を害せしに各綜毬髄の毛細血管が著しく肥厚し、所謂、毛細血管硬化症の像を呈し少藪の硝子様に 墾化せる綜愈愈あう。而して一般に曲細尿管の病憂は輕度の如く問質の増殖も亦著明ならす。是等の綜毬膿 の病.礎が以前より存在せることは心筋の釈態にて推定することを得ん。穿ち心臓は二七〇琵を算し萎縮の程 度少なきも、此褐色萎縮は一度肥大なる心筋に起り痴るものたることは其心臓の形より知るを得たり。

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 偶を本病に胃癌を合併せるも潰瘍を形成し易き例なむし爲め書林上,腫瘍として到底亘る、ものに葬らす。  併し此癌性潰瘍により塗樽の藁養障碍を起し髭る謹として肝臓及心臓に褐色萎縮を惹起せしめたるものと 考ふ。而して本割に着て斯く腹水の著購ならしは腎練毬燈の病攣によるものなるも,心篇の褐色萎縮によっ て高度とな塾たるものと思推し.爾鷺癌による嬉野鍛血は本例の水血症を輝度にせるものと考ふ。 終りに隙み今村教授の御懇篤なる御指導と御校閲の勢為深謝す。 ︵終︶ 太鑓”高慶の腹水為合併鉱る胃癌の 罰撚槻栂 四九

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