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「保育課程」と各種「指導計画」の連続性に関する一考察 -- 保育所保育指針(2008)に対応した教科書分析Ⅱ 利用統計を見る

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研究紀要25-W 号(2011 年度)-6

「保育課程」と各種「指導計画」の連続性に関する一考察

―保育所保育指針(2008)に対応した教科書分析Ⅱ―

庭野 晃子

The Study about the Connection of the Childcare Course and the Guidance Plan

The Analysis of Textbook for Day Nursery Childcare Indicator in 2008 Ⅱ

NIWANO, Akiko

Ⅰ.はじめに 本稿は、2008 年に改定された保育所保育指針に対応した教科書における、「保育課程」と各種「指導 計画」の連続性に着目し、両者の連続性がどのように明示されているかについて考察することを目的と する。 2008 年の改定前の保育所保育指針(以下、保育指針と略す。)では、「保育計画」としていた保育の全 体計画を「保育課程」という名称に改めた。「保育課程」と「指導計画」をあわせたものが「保育の計画」 であり、「保育課程」は、他の短期・長期の指導計画の上位に位置づけられ、各種「指導計画」との連続 性を保ち、編成されることが求められている。保育指針では、保育課程に基づいて指導計画が作成され ること、長期的・短期的指導計画は、互いに関連づけられた内容とすることが、留意点として明記され ている。 「保 育 課 程 に 基 づ き 、 子 ど も の 生 活 や 発 達 を 見 通 し た 長 期 的 な 指 導 計 画 と 、 そ れ に 関 連 し な が ら 、 よ り 具 体 的 な 子 ど も の 日 々 の 生 活 に 即 し た 短 期 的 な 指 導 計 画 を 作 成 し て 、 保 育 が 適 切 に 展 開 さ れ る よ う に す る こ と 。 」( 保 育 指 針 第 4 章 ) 「保育課程」に関する先行研究を概観すると、余公(2011)が保育指針と保育課程の関連について考察 している。余公は、保育課程について、「前『保育所保育指針』でいうところの「保育計画」に相当する ところが「保育課程」ということになる。」(余公 2011:49)「保育課程は他の計画の上位に位置づけら れるものであり」、その内容は、「ほどんど『保育所保育指針』に含まれている内容である。」(余公 2011: 51)と論じている。 清水ほか(2011)は、2009 年 10 月、全国の保育所を対象に保育課程の編成状況を調査している。調 査時点(2008 年 10 月)で、すでに保育課程の編成がおこなわれていても、画一的なものが多く、保育 の内容を評価するまで至っていないと論じている。横松(2011)は、「保育課程」へ改められたことは、 保育の一貫性、体系性、組織性、計画性をより重視していることの表れであり、保育の質を向上させる ために「保育課程開発」が求められていると指摘している。「保育課程開発」とは、「保育課程の編成→ 指導計画の作成→保育の実践→評価→改善」という一連の営みのことをいい、この営みを通じて保育の

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質的向上が期待できると論じている。そして横松ほか(2009)は、この保育課程開発の考えに基づいて、 保育所における質的向上のための実践的な研究を行っている。 以上のように、これまでの保育課程に関する研究は、保育指針との関連についての考察、保育課程の 編成状況の調査、保育の質的向上をめざした保育課程開発に関するものであり、「保育課程」と各種「指 導計画」の連続性に着目したものはない。「保育課程」と各種「指導計画」が連続しているかどうかに注 目し、分析することは、子どもが保育所へ入園してから卒園するまでの保育所生活全体のねらいと、一 人一人の発達過程や状況に応じた具体的なねらいが多方面にぶれず一貫しているかどうかとかかわるも のであり、保育の計画性、ひいては保育の質にも影響する極めて重要な課題である。 そこで本稿は、「保育課程」をタイトルに含める教科書の「保育課程」と各種「指導計画」の事例を分 析対象とし、それらの連続性について分析を行う。両者の連続性について詳細に分析する研究は、「保育 課程」と各種「指導計画」を一貫した内容にする上で有益であるとともに、保育の質的向上にも示唆を 与えることができるだろう。 Ⅱ.研究方法 ここでは、研究方法について述べる。まず、分析対象となる教科書の選定基準について説明し、次に、 分析する際の視角について以下に示す。 1.研究対象と分析視角 分析対象となる教科書は、庭野(2012)と同様の基準とするが、ここで再度説明する。まず、2008 年の保育指針の改定の内容を反映し、2011 年 11 月までに日本国内で出版され、タイトル(サブタイト ルを含む)に「保育課程」という言葉を含むものとした。教科書を検索する際、国立国会図書館のデー タベース「NDL-OPAC」を利用し、検索用語「保育課程」と入力した。検索の結果、合計 19 冊がヒッ トした。このうち、同じタイトルの教科書は最新版のみを対象とした。その結果、18 冊となった。さら にこのうち、すでに絶版となっている教科書が3 冊、他国の保育を主題としている教科書が 1 冊、特定 の保育園の保育を主題としている教科書が 1 冊、1970 年代に出版された図書の復刻版が 1 冊含まれて いた。本稿では、2008 年の改定後の保育指針を反映し、特定の保育ではなく、日本の一般的な保育所保 育について考察するため、これらの条件に該当する12 冊の教科書を分析対象とした。対象教科書を表 1 に示す。 教科書名(出版社名) 最新発行年(刷)・初版発行年 1. 教育課程・保育課程論(東京書籍) 2011 年 9 月(第 5 刷) 2008 年 12 月 2. 保育課程・教育課程総論(ミネルヴァ書房) 2011 年 9 月(第 3 刷) 2010 年 10 月 3. 新保育課程・教育課程論(同文書院) 2011 年 10 月(第 2 刷) 2011 年 4 月 4. 幼児教育・保育課程論(建帛社) 2011 年 4 月(初版) 5. 保育課程論(北大路書房) 2011 年 3 月(初版)

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6. 教育課程・保育課程論(光生館) 2010 年 12 月(初版) 7. 乳幼児の教育保育課程論 (建帛社) 2010 年 12 月(第 2 刷) 2010 年 4 月 8. 保育課程の研究(萌文書林) 2009 年 5 月(初版) 9. 新保育所保育指針サポートブック 保育課程から指導 計画作成まで 今日から使える! (世界文化社) 2010 年 4 月 2008 年 12 月 10. 新指針・新要領イラスト図解ガイド : 保育課程の参 考例も解説 (ひかりのくに) 2009 年 2 月(初版) 11. 豊かな保育をめざす教育課程・保育課程 (みらい) 2011 年 4 月(第 2 版) 2008 年 4 月 12. 独自性を活かした保育課程に基づく指導計画 : その 実践・評価 (ミネルヴァ書房) 2011 年 6 月(初版第 3 刷) 2010 年 8 月 表1 教科書名、発行年 次に、本稿では、「保育課程」と「指導計画」の連続性に関する分析を行うため、12 冊の教科書のう ち、本文のなかで「保育課程」と「指導計画」の事例が明示されている教科書に限定する。該当する教 科書は、12 冊のうち、表 1 に示した教科書番号の 3,5,6,7,8,9,10,11,12 の計 9 冊であった。 「指導計画」の種類には、通常、年間指導計画、期間指導計画、月間指導計画、週間指導計画、日案 (デイリープログラム)がある。ほかに、異年齢、食育、安全、健康等の分野別の指導計画があり、こ れらは1年に1案という大まかな内容のものがほとんどである。また、通常これらの指導計画は年齢別 に作成されているものが多い。保育指針では、指導計画を作成する際、子どもの発達に配慮することが 重視されているからである。しかしながら、教科書の事例によっては、保育課程と各種指導計画の対象 年齢が一貫していなかったり、保育園が統一されていない場合もある。つまり、A 保育園の保育課程の 事例と B 保育園の 1 歳児の年間指導計画、2 歳児の月間指導計画、3 歳児の週間指導計画といったように ひとつの教科書のなかで様々な保育園や年齢の指導計画の事例を示している教科書があるということで ある。「保育課程」と各種「指導計画」の連続性を分析する際、年齢と保育所は同じである必要がある。 もし異なる年齢と保育所の事例を分析したら、両者の連続性を把握することはむずかしい。 本稿は、「保育課程」とその下位に位置づけられる各種「指導計画」(年、期、月、週、日等)の連続 性に焦点をあてるため、対象年齢と保育所を限定して分析を行う。表 2 は、保育課程の事例が明示され ている 9 冊の教科書を対象に、それぞれの保育課程の事例の対象保育園名、年間指導計画の対象年齢と 保育園名、期間指導計画の対象年齢と保育園名・・・というように示した。保育園名が不明の場合、不 明と示した。年間指導計画の保育園名が保育課程の保育園名と同じ場合、(同)と示した。これと同様に、 期、月、週、日の指導計画について示した。最後の列では、年、期、月、週、日以外の指導計画の種類 を示した。ない場合は「―」と示した。

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番号 保育課程の事 例の保育園名 年 間 指 導 計画 期 間 指 導計画 月 間 指 導 計画 週 間 指 導 計画 日案(デ イリープログ ラム) その他の 指導計画 3 公立A 保育園 0 歳(同) ― 4 歳(同) 4 歳(同) ― 個別 5 D 保育園 A 保育園 3-5 歳(不 明) ― 年齢、保育 園名が不明 ― 年 齢 、 保 育 園 名 が 不明 健全なからだ、 個 別 、 延 長 ・夜 間、合同卖元学 習、食育 6 品川区立保育 所 0 、 1 、 4 歳 (同) ― ― 3 歳(同) ― 個別 7 赤間保育園 ― ― ― ― 0、1 歳 個別、預かり保 育、食育、子育 て支援 8 概念図(不明) 0 、 4 歳 児 (安良保育 園) 4 歳(不 明) 0、1 歳(不 明) 4 歳(不明) ― 障 害 児 保 育 月 案、個別、支援 センター、一時 保育 9 プリプリ保育 園 ― ― ― ― ― 個別、保健、交 通安全、避難訓 練、食育、子育 て支援、園外研 修 ワンダー保育 園 0、1、2、3、4、 5 歳(同) ― 1、5 歳(同) 1、5 歳(同) ― 10 参考例① 参考例② ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 11 参考例N県3 歳児用(不明) 2 歳(K 保育 園)、5 歳 (M保育 園) 5 歳(不 明) 2、5 歳(不 明) 2、5 歳(不 明) 0-2、4 歳 (不明) 異年齢保育、部 分指導、個別 12 たんぽぽ保育 園 0-5 歳(同) 2 歳(同) 0、1、3-5 歳 (同) 3-5 歳(同) ― 食育、延長保 育、一時保育、 接続期(5 歳児) かもめ保育園 ― ― ― ― ― 異年齢保育 芦穂崎保育園 太陽保育園 青戸福祉保育 園 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 表 2 指導計画の種類、対象保育園、対象年齢 ※ 保育課程の対象年齢は、0 歳から 5 歳までとなっている。

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表 2 に整理した結果、教科書 9 は、保育課程と年間、月間、週間それぞれの指導計画の事例があり、 それらはワンダー保育園という同一名の園である。それぞれ 1 歳と 5 歳の事例がある。教科書 12 は、保 育課程と年間、期間、月間、週間それぞれの指導計画の事例があり、それらは、たんぽぽ保育園という 同一名の園である。対象年齢にかんしては、期間指導計画を除く 3 つの指導計画が、すべて 3、4、5 歳 を対象年齢に含んでいる。そのほかの教科書は、指導計画によって対象年齢や保育園名が異なっていた り、保育園の名称が不明である等した。また、保育課程のみが明示され、指導計画が明示されていない ものであった。 本稿は、「保育課程」と「指導計画」の連続性に焦点をあてた分析をするため、教科書 9 は、対象年齢 を 1 歳とし、ワンダー保育園の「保育課程」と各種「指導計画」の事例を、教科書 12 は、対象年齢を 3 歳とし、たんぽぽ保育園の「保育課程」と各種「指導計画」の事例を分析対象とする。 2. 分析視角 さて、ここでは本稿の分析視角について論じる。分析視角は次の 4 つである。第 1 は、「保育課程」と 各種「指導計画」の内容の連続性である。第 2 は、各種「指導計画」における連続性である。つまり、 年間指導計画と月間指導計画の連続性、年間指導計画と週間指導計画の連続性、月間指導計画と週間指 導計画の連続性というように、指導計画どうしの連続性である。第 3 は、「保育課程」と各種「指導計画」 には様々な項目があるので、両者の連続性を分析する際、保育目標、養護(生命の保持と情緒の安定) と保育の内容(健康、環境等の領域)に注目する。第 4 は、連続性の具体的な意味についてである。こ こでは、連続性を、言葉と言葉、また文と文において意味の繋がりがあるかどうか、内容が概念的に類 似したものかどうかの有無とする。 Ⅲ. 分析 ここでは、Ⅱ-2 で示した視角に注目して分析する。なお、以下の分析では、教科書の該当ページ数を 以下のように明示する。 例)(教科書 9:30) 【教科書 9】 (1)保育目標 「保育課程」に明示された 1 歳児の保育目標は、「年間指導計画」の保育目標とまったく同じ内容であっ た。「未知の世界に興味をもち活発になる。」(教科書 9:20)という目標である。では、「保育課程」と 各種「指導計画」において連続性があるかどうかに注目する。 ねらい 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 保育者との信頼関係を築き、初めての体験に喜んで取り組もうとする。 保育者や友だちとのかかわりから好きな遊びを見つけ十分楽しむ。 月間指導計画 (4 月) 保育園の生活リズムに慣れる。 戸外に出かけ、春の自然を全身で感じる。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 戸外で、自分の好きな遊びを十分楽しむ。 保育者やお友達と、仲良く過ごす。 「保育課程」に明示されている「未知の世界に興味をもち活発になる。」という内容は、「年間指導計 画」の「ねらい」にうまく反映されている。「初めての体験に喜んで取り組もうとする。」は、保育目標 の内容を具体化した内容である。また、対象年齢が 1 歳児、4 月の計画であることを想定すると、保育

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園の生活自体が初めてであり、保育園内外での活動すべてが新しい取り組みである。したがって、月間 指導計画、週間指導計画の内容すべてが「未知の世界」との出会いであり、1 歳児の「興味」に結びつ くと考えられる。 年間指導計画の「・・・・好きな遊びを見つけ・・・」は、月間指導計画の内容に直接結びついてい るといえないが、週間指導計画で、「自分の好きな遊びを十分楽しむ。」に具体化されている。「年間指導 計画」の「保育者との信頼関係を築き」も、月間指導計画の内容に直接結びついているといえないが、 週間指導計画で「保育者やお友達と、仲良く過ごす」に具体化されている。 (2)養護(生命の保持・情緒の安定) ここでは、養護にあたる「生命の保持」と「情緒の安定」について分析する。 生命の保持 情緒の安定 保育課程 快適な生活や生理的欲求の充実 人と物との関わりの理解 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 家庭との連携を取りながら、一人一人 の健康状態や発育・発達状態を把握し、 無 理 な く 園 生 活 を 過 ご せ る よ う に す る。 保護者との連絡を密にし、信頼関係を築 くことにより子どもの心の安定が図れる ようにする。 月 間 指 導 計 画 (4 月) 家庭との連携を密にして、子どもの様 子を把握する。 優しい言葉がけや、スキンシップによ り、信頼関係を築く。 好きな遊びを保育者とじっくり楽しむ。 子どもの心の変化を感じ、抱きしめたり 言葉をかけたりして、安心感を感じられ るように接する。 週 間 指 導 計 画 (4 月第 4 週) 記載なし 記載なし まず、生命の保持についてみていく。保育課程では、「快適な生活や生理的欲求の充実」と抽象的な内 容であり、年間指導計画と月間指導計画の内容と照らし合わせると、連続性のある内容ではない。だが、 保育課程の下位概念に位置づけられる年間・月間指導計画の内容から保育課程の内容をみると連続性が 保たれていると読み取れる。つまり、年間・月間指導計画の「家庭との連携」や「優しい言葉がけや、 スキンシップ」は、保育課程の「快適な生活」を送るために必要な内容と理解することができるという ことである。 年間指導計画の「家庭との連携を取りながら」という文言は、月間指導計画の「家庭との連携を密に.. して..」と若干表現を変えて、時期に適した言葉にしている。4 月の年度初めは、とくに家庭との連携を 密にする時期ということが読み取れる。年間指導計画の「一人一人の健康状態や発育・発達状態を把握 し」という内容は、月間指導計画の「子どもの様子を把握する。」に反映されている。 次に、情緒の安定についてみていくと、保育課程の「人と物との関わりの理解」は、月間指導計画の 「保育者とじっくり楽しむ」や「抱きしめたり言葉をかけたり」に直接反映しているが、年間指導計画 の内容との直接的な関連はあまり読みとれない。だが、先と同様、年間指導計画の内容で、保育者が「保 護者との連絡を密にし、信頼関係を築く」ことによって、保育者がより子どもの状態を把握でき、これ を通じて、子どもが「人と物との関わりの理解」をするという間接的な結びつきがあると理解すること もできる。 年間指導計画の「子どもの心の安定が図れる」は、月間指導計画の「子どもの心の変化を感じ、抱き

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しめたり言葉をかけたりして、安心感を感じられるように接する。」と、具体的に反映されていることが 読み取れる。 (3)保育の内容(領域) ここでは、保育の内容について分析する。教科書9 では、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」 に加え、「食育」の領域が設けられているため、6 つの領域についてみていく。なお、参考までに、脚注 において、保育指針に明記されている各領域の内容を明示する。 1)健康1 健 康 保育課程 歩行の確立など運動機能の発達 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 身近な人や物に自発的に働きかけ、好きな遊びを見つけてじっくり遊ぶ。 室内の探索活動を楽しむ。 月間指導計画 (4 月) 保育園の生活リズムに慣れる。 戸外に出かけ、春の自然を全身で感じる。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 健康の項目はない。「予想される子どもの活動」という項目のなかで、「固定 遊具遊び」「砂場遊び」「誕生会」「滑り台遊び」「ボール遊び」「ブロック遊び」 があり、それぞれの具体的な内容が明記されている。 保育課程の「歩行の確立など運動機能の発達」は、年間指導計画の「遊ぶ」と「探索活動」を通じて、 運動機能を発達させ、月間指導計画の「戸外に出かけ」てさらにそれを発達させるという連続性がよみ とれる。週間指導計画では健康の項目はなく、「予想される子どもの活動」の項目のなかに「固定遊具遊 び」「砂場遊び」等が明示されている。具体的には、「固定遊具遊び」の一段階具体化した内容には、「保 育園の生活リズムに合わせて過ごす」や「砂場遊び」では、「保育者とともにトイレで排泄しようとする。」 と明記されている。この内容は、月間指導計画の「保育園の生活リズムに慣れる」に対応している。 2)環境2 保育課程の環境の内容「象徴機能の発達や応答的な大人への関わり」については、象徴機能の発達が 視聴覚機能の発達とすれば、「戸外遊び」や「見たり触れたり」「戸外散歩」という具体的な言葉で、年 間・月間・週間指導計画に反映されている。一方、「大人への関わり」を具体化した内容は、指導計画に 明記されていない。 環 境 保育課程 象徴機能の発達や応答的な大人への関わり 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 戸外遊びを通して、花や昆虫と触れ合う。 月間指導計画 戸外散歩に出かけ、草花や昆虫など自然を見たり触れたりして楽しむ。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 「予想される子どもの活動」という項目のなかで、「戸外遊び(園庭で探索活 動を楽しみ、虫や草花に触れる。)」という内容が明示されている。

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3)人間関係3 保育課程では、人間関係を通じて、「自立心の育成や好奇心の満足」をすうことがねらいとすれば、保 育者が第 1 に関わる人間であることが年間・月間・週間指導計画から読み取れる。保育者と子どもの具 体的なかかわりが、週間指導計画の内容の「トイレで排泄」や「眠る」という活動であることがわかる。 4)表現4 保育課程の表現の内容「色々な素材への興味」は、年間指導計画には反映されておらず、月間指導計 画の「紙」に具体化されている。「色々な素材や遊びや運動への興味」とすれば、年間・月間指導計画と の連続性のある内容となる。 5)言葉5 保育課程の言葉の内容「言葉のやりとりの楽しさや二語文の話し始め」は、年間・月間指導計画の内 容へ連続性が保たれている。保育者の言葉を子どもが「真似」し、「模倣し」、「伝えようとする」ことで、 「やり取りの楽しさ」を感じると読み取れば、一貫した内容である。だが、年間指導計画の内容は、月 間指導計画とほぼ同じ内容になっている。より具体化したかたちで月間指導計画へ盛り込んだほうが、 人間関係 保育課程 自立心の育成や好奇心の満足 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 保育者等の身近な大人にかかわり、興味や親しみを持つ 月間指導計画 担当保育者に慣れ、親しみを持ってかかわろうとする。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 人間関係の項目はない。「予想される子どもの活動」という項目のなかで、「保 育者とともに、トイレで排泄しようとする」、「保育者の傍で安心して眠る」 という内容が明示されている。 表 現 保育課程 色々な素材への興味 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 自由な表現を保育者と一緒に楽しむ。 友だちの行動に興味を持つ。 月間指導計画 リズム遊びや体操をみんなで一緒に楽しむ。 紙を使った様々な遊びを楽しむ。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 表現の項目はない。 言 葉 保育課程 言葉のやりとりの楽しさや二語文の話し始め 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 保育者のゆっくりとした発音を真似て、模倣しようとしたり、片言や身振り で自分の思いを伝えようとする。 月間指導計画 保育者が話す言葉を真似たり、自分の気持ちを身振りなどで伝えようとする。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 言葉の項目はない。

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実践するうえで役立つものになるだろう。 6)食育6 保育課程の食育の内容「様々な食事を楽しむ。」は、年間・月間指導計画の内容へ反映されていない。 より詳しく言えば、「様々な食事」は、具体化されていないし、年間指導計画で明示されている生物との 触れあいや苦手なものを食べることについて、月間指導計画の内容にも反映されていない。逆に、月間 指導計画の内容から年間指導計画、保育課程をみたときに連続性があるかというとほとんどない。 【教科書 12】 (1)保育目標 「保育課程」に明示されている 3 歳児の保育目標は、以下の通りである。 ①生活に必要な身の回りのことを自分でする ②保育者や友だちと対話が楽しめるようになり、関心のあることなら聞ける ③いろいろな体験をし、自分なりの思いを体・言葉・描くことなどで表現する ④めあてに向かって行動しようとするが、阻まれると反抗したりトラブルになり、人との思いの違いに 気づく 「年間指導計画」では、下記の内容となっている。 1 生活リズム、食事のマナー、着脱などの基本的生活習慣がほぼ身につく。 2 戸外遊びを十分にし、体を動かす楽しさを味わう。 3 保育者に支えられながら、周りの親しい人と会話をしたり、自分のつもりを伝えられる。 4 さまざまな経験をとおして、感じたことや創造したことを表現する。 5 友だちとぶつかりながら、相手の気持ちに気づいたり、一緒に遊ぶことの楽しさを知 る。 保育課程と年間指導計画の連続性に注目すると、①の内容は、1 に反映されており、②の内容は、 3 に反映されている。③の内容は、4 に反映されており、④の内容は、5 に反映されている。これら は、「保育課程」の内容と各種「指導計画」の内容が連続性を保持しているといえる。また、教科書 12 の本文において、年間指導計画の目標が保育課程の目標と対応していることが指摘されている (教科書12:102)。 (2)養護 教科書 12 の保育課程のなかに、生命の保持と情緒の安定の項目は設定されているが、年間指導計画で 食 育 保育課程 様々な食事を楽しむ。 年間指導計画 (Ⅰ期 4-6 月) 種や苗の生長過程を見聞きする中で、触れあう機会をもつ。 苦手なものも励まされて頑張って食べようとする。 月間指導計画 椅子に座り、食事前後の挨拶を元気よく行う。 食事前は手を洗うことを知る。 手づかみやスプーン、フォークを使って食べる意欲を持てるようにする。 週間指導計画 (4 月第 4 週) 食育の項目はない。

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は、生命の保持と情緒の安定の項目はなく、「養護と教育」という項目、月間・週間指導計画では「内容」 という項目が設定されている。 生命の保持 情緒の安定 保育課程 気候の変化や子どもの状況を把握し、 気持ちよく活動できるよう環境を整え る 大人との信頼関係のなかで、自分の気持 ちやつもりを理解してもらい、快活にな る 年間指導計画 (2 期 6-8 月) ・保育者に手伝ってもらったり見守られながら。身の回りのことを自分からやろ うとする 月 間 指 導 計 画 (6 月) ・保育者に見守られながら身の回りの始末を自分でやる 週 間 指 導 計 画 (6 月第 4 週) 記載なし 保育課程の「生命の保持」の内容は、保育者が行う活動が明記されているが、「情緒の安定」の内容は、 子どもの活動について明示されている。年間・月間指導計画では、それぞれ「保育者に手伝ってもらっ たり見守られながら」「保育者に見守られながら」と明示されており、保育課程の「生命の保持」に明示 された保育者の活動を反映している。だが、年間・月間指導計画の「身の回りのことを自分からやろう とする」「身の回りの始末を自分でやる」という内容は、保育課程の「情緒の安定」の内容を反映してい ない。「身の回りのことをする」、「気持ちやつもりを理解してもらう」、「快活になる」それぞれの内容の 連続性は読み取れない。 (3)保育の内容(領域) 教科書12 の年間指導計画では、5 領域の項目があるが、月間・週間指導計画には、5 領域の項目 の代わりに、「先週の子どもの姿」「内容」「環境構成」「予想される子どもの姿・活動」「配慮」とい う項目が設けられている。このうち「内容」の項目において、養護と5 領域に相当する内容が明記 されている。そこで、月間・週間指導計画の 5 領域の内容を分析する際、「内容」に明記されてい る5 領域に相当する内容を抜粋し、分析する。なお、教科書 12 では、月間指導計画は 6 月、週間 指導計画は6 月第 4 週の内容が明記されているため、年間指導計画における 6 月に該当する部分を 引用する。 1)健康(食育) 教科書12 は、健康と食育を同じ領域としている。 健康(食育) 保育課程 ・遊びながらいろいろな体の動きを体験し、体を動かす快感を味わう。 ・食事のマナーを理解する。 年間指導計画 (2 期 6-8 月) ・保育者に手伝ってもらったり見守られながら。身の回りのことを自分から やろうとする。 ・夏に注意しなければならないこと 水分補給、帽子をかぶることなど保育 者に促され気をつけるようになる。 ・嫌いなものでも尐しずつ食べる。

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・箸や食器の正しい持ち方を知り、食べる。 ・排泄後の始末を保育者に援助してもらいながら自分でやってみる。 ・衣服の前後、裏返し、靴の左右などに気づき、自分で着脱する。 ・一人で布団に入り、静かに眠る。 ・遊びの後、午睡の前など、保育者に手伝ってもらいながら、手や足をきれ いに洗う。 月間指導計画 (6 月) ・自分からすすんで食卓につき喜んで食べる。 週間指導計画 (6 月第 4 週) ・友だちを誘い合って一緒に座り、おしゃべりを楽しみながら食べる。 保育課程では、健康と食育にかんするねらいが、それぞれ1つずつ明記されている。年間指導計画で は、8 つのねらいが列挙されている。このうち、食育に該当するのは、上から 3 つめ、4 つめのねらい である。この2つのねらいは、保育課程にある「食事のマナーを理解する」と連続性がある。しかし、 年間指導計画の他の6 つのねらいは、保育課程の「遊びながらいろいろな体の動きを体験し、体を動か す快感を味わう」と連続性のある内容ではない。 月間・週間指導計画の内容は、食育の内容であるが、年間指導計画の内容と連続性のある内容とは言 い難い。また、月間・週間指導計画に健康の内容が明示されていない。一見すると、この保育課程と各 種「指導計画」は、健康ではなく「食育」についての内容に読み取れる。「健康」という領域を明示し ているならば、それに相応しい内容を各種「指導計画」のなかに盛り込むべきだろう。 2)環境・表現 環境・表現 保育課程 ・感じたことや創造したことを描いたり歌ったり、体を動かしたりして表現 する 年間指導計画 (2 期 6-8 月) ・夏の遊び(砂、どろんこ、ぬたくり、フィンガーペインティング、ボディ ペインティング、しゃぼん玉、色水遊びなど)を楽しみ開放感を十分に味わ う。 ・戸外やプール遊びで体を十分に動かして遊ぶ。 ・園の飼育動物にあげるえさを取ってきたりあげたりして親しむ。また飼育 動物が出てくる絵本を読んでもらい生態に関心をもつ。 ・園庭の草花や栽培している野菜、そこに集まってくる虫などに興味をもち 収穫や虫取りを楽しむ。 ・いろいろな歌やリズム遊びに関心を示し、歌ったり踊ったりすることを楽 しむ。 ・さまざまな打楽器に触れ、リズムに合わせて打つ。 ・好きになった絵本やお話、紙芝居など、気に入った部分を再現して遊ぶ。 ・自分の好きな遊びを楽しみながら自分なりのイメージをもち描いたり、し ぐさで表現する。 月間指導計画 ・砂、泥、水などの自然物に親しみ遊びの快感、解放感を十分に味わう。

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(6 月) ・身近な小動物に触れ、親しみや興味をもつ。(かたつむり カメ 金魚) ・雨の日、傘をさしたりカッパを着て園庭に出て過ごす。 ・クレヨンや絵の具で描く楽しさを味わう。 ・鋏やのりを使って雨のようすを表現する。 週間指導計画 (6 月第 4 週) ・砂、土、水を使って泥遊びの快感を味わう。 ・かたつむりやだんご虫をとりにいき、野菜などを食べさせて飼ってみる。 ・雨の日、傘の扱い方に慣れ、園庭で雨を楽しむ。 ・絵の具で描くことを楽しむ。 (下線は筆者による) 次に、「環境・表現」の内容をみていく。5 領域のなかの「表現」と「環境」をひとくくりにして明記 している。保育課程の「感じたことや創造したことを描いたり歌ったり、体を動かしたりして表現する」 という内容は、年間指導計画の 8 つの内容に具体的に表現されている。また、年間指導計画の内容は、 月間・週間指導計画にさらに具体化されて明示されている。年間指導計画の上から 3 つ目の内容は、月 間指導計画の上から 2 つ目、週間指導計画の上から 2 つ目の内容にそれぞれ具体化されている。教科書 12 では、指導計画の内容を設定する際、ねらいとの関連性について次のように明記している。 「内容は、ねらいを達成するために、どんな経験を積み重ねているかを見通すこと。すなわち、ねらい をより具体化した「経験する必要のある事柄」です。子どもたちの興味や関心は、経験することによ り実現していきます。このように、生活のなかで具体的に経験していく事柄を見通したものが「内容」 を設定することです。」(教科書 12:59) そして、「内容」の後に「経験させたい」という言葉を補って矛盾がないかどうかをみるとよいことが 明記されている。 3)人間関係・言葉 人間関係・言葉 保育課程 ・気の合う友だちに自分からかかわりぶつかりあいながらも一緒に活動する たのしさを知る。 年間指導計画 (2 期 6-8 月) ・保育者や友だちと一緒に遊び、思うようにならずに怒ったり、すねたり、 楽しさを味わうなどさまざまな感情体験をもつ。 ・自分の近くで遊んでいる友だちに関心をもち自分もしようとする。またそ こで一緒に遊ぶ楽しさを知る。 ・異年齢児と一緒に生活し交わりながら、年長児や年中耳のやることに関心 をもったり憧れたり、畏れたりする。 ・自分のことを代名詞で話す。 ・ごっこ遊びのなかで日常生活での言葉を楽しんで使ったり興味をもった言 葉を盛んに使ってみる。 ・絵本や紙芝居などの内容がわかり、イメージをもって楽しんで聞く。 ・生活のなかで身近な事柄を表現している詩を聞き一緒に口ずさむ。 ・保育者にしてほしいこと、困ったことなどを言葉で伝える。

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月間指導計画 (6 月) ・トラブルが生じた時は、保育者が仲立ちとなって互いのつもりを聞いても らい、相手の思いを知る。 ・気の合う友だちと同じ場所ですごすことを喜ぶ。 ・生命あるものや植物にふれ、発見の喜びや命の不思議さなど感じたことを 保育者や友だちに伝える。 ・人とかかわる生活に必要な「おはよう」「ありがとう」などの挨拶をし、言 葉や挨拶をかわす心地よさを知る。 週間指導計画 (6 月第 4 週) ・友だちとイメージやつもりのちがいからトラブルになる。 ・「いただきます」「ごちそうさま」「おいしかった」「ありがとう」などの挨 拶をし、人と気持ちをわかちあう。 次に、「人間関係・言葉」の内容をみていく。5 領域のうちのふたつ「人間関係」と「言葉」を同じ領 域にしている。 「保育課程」では、人間関係にかかわるねらいが明示されており、年間指導計画の上 3 つの内容は、 それを反映した内容である。つづく月間指導計画の上2 つの内容は、年間指導計画の上 3 つの内容を反 映し、週間指導計画の上から1 つ目の内容は、それをさらに具体化した内容となっている。 「言葉」に関しては、年間指導計画の上 4 つ目から 8 つ目までの内容に明示されている。つづく月間 指導計画の 3 つ目、4 つ目の内容がそれを反映し、週間指導計画の 2 つ目はそれをさらに具体化した内 容となっている。 Ⅳ.まとめと考察 本稿は、2008年に改定された保育所保育指針において新しく設けられた「保育課程」と各種「指導計 画」の連続性に着目し、両者の連続性がどのように明示されているかについて、教科書を対象に分析し た。ここで、分析から明らかになったことを整理し、考察する。 まず、「保育課程」と各種「指導計画」の連続性を分析するにあたり、保育目標、養護と保育の内容の 各領域をみてきた。その結果、3 つのパターンが浮かび上がった。 1つめは、保育の計画の全体的な位置づけにある「保育課程」から、各種「指導計画」の方向でみ た 場合、連続性が保持されているものである。さらにこのパターンには、「保育課程」と各種「指導計画」 すべてにおいて連続性がみられるものと、「保育課程」と「年間計画」は連続性がみられないが、「保育 課程」と「月間指導計画」や「週間指導計画」との連続性は保持されているものがあった。前者は、保 育の計画全体を通して一貫性のあるものであるが、後者は、全体を通して一貫性があるとはいえない。 2 つめは、1 つめの方向からみた場合、連続性が保持されていないが、各種「指導計画」から「保育課 程」の方向でみた場合、連続性が確認できるものである。3 つめは、1 つめ、2 つめのどちらの方向から みても連続性がないものである。これに該当する事例は、保育課程で明示されている内容が、各種「指 導計画」でまったく触れられていない、教科書 9 の食育と、教科書 12 の健康(食育)の領域にみられ た。これは、保育課程の内容は、健康と食育についてそれぞれ1 文ずつ明示されていたが、各種「指導 計画」の内容は、食育に関する事項であり、健康について明示されていなかった。 次に、各種「指導計画」における連続性をみると、すべての指導計画において連続性が保持されてい るものがある一方で、年間指導計画と週間指導計画は連続性を保持しているが、年間指導計画と月間指 導計画は連続性がみられないものもあった。これについても、全体を通して一貫性がある計画になって

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いないということがいえる。 最後に、教科書のなかで「保育課程」と各種「指導計画」が対応しているかどうかを、具体的に指摘 しているのは教科書 12 のみであった。両者の連続性があるかどうかが、保育の計画性や評価、質的向 上にかかわるとすれば、その指摘は重要であるだろう。 以上、分析から明らかになったことをふまえ、本稿の限界と今後の課題について論じる。まず、保 育 課程と「指導計画」の事例が掲載されている教科書は 2 冊であった。これと関連して、対象年齢は、1 歳と3 歳であり、限定された範囲の分析であったことが限界のひとつである。 さいごに、課題を述べると、本稿の冒頭で触れたように、「保育課程」と各種「指導計画」が、全体を 通して一貫し、それぞれの内容に連続性が保持されているかどうかは、理念的には、保育実践や評価、 質的向上にかかわるとされている。しかし、実践的には、どれほど影響があるかはあまり明確にされて いない。そこで、「保育課程」と各種「指導計画」が全体を通して一貫している場合と、非一貫している 場合を比較して、保育実践や保育の質にどのように影響するのかについて調査する必要があるだろう。 その場合、保育所が編成した「保育課程」と各種「指導計画」を対象に分析をする必要がある。以上を 今後の課題としたい。 【文献】 阿部和子・前原寛編著,2009,『保育課程の研究 : 子ども主体の保育の実践を求めて』萌文書林. 榎本眞実・金澤妙子・亀崎美沙子・北村都美子・永倉みゆき共著,2011,『幼児教育・保育課程論』建帛 社. 林秀雄編,2011,『豊かな保育をめざす教育課程・保育課程』みらい. 保育とカリキュラム編集部編,2009,『新指針・新要領イラスト図解ガイド : 保育課程の参考例も解説』 ひかりのくに. 保育総合研究会監修,2008,『新保育所保育指針サポートブック : 保育課程から指導計画作成まで : 今 日から使える!』世界文化社. 今井和子・天野珠路・大方美香編著,2010,『独自性を活かした保育課程に基づく指導計画 : その実践・ 評価』ミネルヴァ書房. 河邉貴子編著, 2008『教育課程・保育課程論 : 新・幼稚園教育要領/新・保育所保育指針対応』東京書籍. 神長美津子・塩谷香編著,2010,『教育課程・保育課程論』光生館. 亀谷美代子・永倉みゆき・師岡章・溝口綾子著,金村美千子編著,2011, 『新保育課程・教育課程論』同文書院. 北野幸子編著,2010,『乳幼児の教育保育課程論』 建帛社. 北野幸子編著,2011,『保育課程論 : 保育の内容・方法を知る』 北大路書房. 厚生労働省,2008,『保育所保育指針』. 柴崎正行・戸田雅美・増田まゆみ編,2010,『保育課程・教育課程総論』ミネルヴァ書房. 清水益治・小椋たみ子・鶴宏史・单憲治,2011,「保育所における保育課程の編成に関する研究」帝塚山 大学現代生活学部紀要7:117-132. 余公敏子,2011,「保育所保育指針の変遷と保育課程に関する考察」 九州大学大学院教育学コース院生論 文集11:41-57. 横松友義・渡邊祐三,2009,「各保育園におけるこれからの保育課程開発のための園文化創造アドバイザ

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ーの支援に関する考察」岡山大学大学院教育学研究科研究集録 141:29-42. 横松友義,2011,「保育課程経営研究の提唱」岡山大学大学院教育学研究科 146:1-6. 庭野晃子,2012「教科書における「保育課程」の内容に関する一考察―保育所保育指針(2008)に 対応した教科書分析―」静岡県立大学短期大学部研究紀要 第 25 号(印刷中) 1 保育指針では、「健康」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 ア 健康 健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。 (ア) ねらい ① 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。 ② 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。 ③ 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。 2 保育指針では、「環境」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 ウ 環境 周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持って関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。 (ア) ねらい ① 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。 ② 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。 ③ 身近な事物を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かに する。 3 保育指針では、「人間関係」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 イ 人間関係 他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。 (ア) ねらい ① 保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。 ② 身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ。 ③ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。 4 保育指針では、「表現」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 オ 表現 感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を 豊かにする。 (ア) ねらい ① いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。 ② 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。 ③ 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。 5 保育指針では、「言葉」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 エ 言 葉 経 験 し た こ と や 考 え た こ と な ど を 自 分 な り の 言 葉 で 表 現 し 、 相 手 の 話 す 言 葉 を 聞 こ う と す る 意 欲 や 態 度 を 育 て 、 言 葉 に 対 す る 感 覚 や 言 葉 で 表 現 す る 力 を 養 う 。 ( ア ) ね ら い

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① 自 分 の 気 持 ち を 言 葉 で 表 現 す る 楽 し さ を 味 わ う 。 ② 人 の 言 葉 や 話 な ど を よ く 聞 き 、 自 分 の 経 験 し た こ と や 考 え た こ と を 話 し 、 伝 え 合 う 喜 び を 味 わ う 。 ③ 日 常 生 活 に 必 要 な 言 葉 が 分 か る よ う に な る と と も に 、 絵 本 や 物 語 な ど に 親 し み 、 保 育 士 等 や 友 達 と 心 を 通 わ せ る 。 6 保育指針では、「食育」の領域の目標とねらいについて、次のように明示されている。 3 食育の推進 保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを 目標として、次の事項に留意して実施しなければならない。 (一) 子どもが生活と遊びの中で、意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽 しみ合う子どもに成長していくことを期待するものであること。 (二) 乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう、食事の提供を含む食育の計画を 作成し、保育の計画に位置付けるとともに、その評価及び改善に努めること。 (三) 子どもが自らの感覚や体験を通して、自然の恵みとしての食材や調理する人への感謝の気持ちが育つよ うに、子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮すること。 (四) 体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、 かかりつけ医等の指示や協力の下に適切に対応すること。栄養士が配置されている場合は、専門性を生か した対応を図ること。 (2012 年 2 月 12 日 受理)

表 2 に整理した結果、教科書 9 は、保育課程と年間、月間、週間それぞれの指導計画の事例があり、 それらはワンダー保育園という同一名の園である。それぞれ 1 歳と 5 歳の事例がある。教科書 12 は、保 育課程と年間、期間、月間、週間それぞれの指導計画の事例があり、それらは、たんぽぽ保育園という 同一名の園である。対象年齢にかんしては、期間指導計画を除く 3 つの指導計画が、すべて 3、4、5 歳 を対象年齢に含んでいる。そのほかの教科書は、指導計画によって対象年齢や保育園名が異なっていた り、保育園の

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