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医療情報学 34(4): 総説 厚生労働省標準規格 標準歯科病名マスター について 齊藤孝親 * 1,2,3 江島堅一郎 * 4 佐々木好幸 * 5 鈴木一郎 * 6 多貝浩行 * 7 玉川裕夫 * 8 冨山雅史 * 9 日高理智 * 10 森本徳明 * 11 紀山枚 * 1

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厚生労働省標準規格「標準歯科病名マスター」について

齊藤 孝親*1,2,3 江島堅一郎*4 佐々木好幸*5 鈴木 一郎*6 多貝 浩行*7 玉川 裕夫*8 冨山 雅史*9 日高 理智*10 森本 徳明*11 紀  山枚*12 岡峯 栄子*12 遠藤  明*13  標準歯科病名マスターは,歯科電子カルテやレセプト電算処理システムに対応した歯科用の標 準病名マスターとして,MEDIS-DC から公開されている.本マスターは,ICD10 標準病名マスター から歯科で使用する病名を抽出するとともに,歯科略称,ICD-DA など歯科独自項目を追加収載 し,歯科で使いやすいマスターとなるようまとめたものである.本マスターは,平成23 年 12 月 に「厚生労働省における保健医療情報分野の標準規格」として認められ,使用が推進されている. 本稿では,本マスターの開発経緯や概要について説明する. ■キーワード:標準歯科病名マスター,ICD10 対応標準病名マスター,標準化

Standard Dental Disease Code Master: Saito T*1,2,3, Ejima K*4, Sasaki Y*5, Suzuki I*6, Tagai H*7, Tamagawa H*8, Tomiyama M*9, Hitaka M*10, Morimoto N*11, Ji S*12, Okamine E*12,

Endo A*13

 MEDIS-DC has released the Standard Dental Disease Code Master, a disease code master for dental use that is compatible with Electronic Dental Records and the Electronic Medical In-surance Receipts System. This master, compiled for ease of use in dentistry, extracts disease

*1 一般財団法人医療情報システム開発センター 歯科分 野の標準化委員会 〒162-0825 新宿区神楽坂 1-1 三幸ビル 2 階 *2日本大学松戸歯学部 〒271-8587 松戸市栄町西 2-870-1 *3日本大学松戸歯学部 口腔科学研究所 〒271-8587 松戸市栄町西 2-870-1 *4日本大学歯学部 *5東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 *6新潟大学医歯学総合病院 *7一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会 *8大阪大学歯学部附属病院 *9公益社団法人日本歯科医師会 *10デンタルクリニック大橋 *11矯正歯科森本 *12 一般財団法人医療情報システム開発センター 標準化 推進部 *13公益社団法人生駒会松戸診療所 E-mail:eokamine@medis.or.jp 受付日:2014 年 2 月 5 日 採択日:2014 年 8 月 22 日

*1Medical Information System Development Center

  Sankou Building 1-1, Kagurazaka, Shinjuku, Tokyo, 162-0825, Japan

*2Nihon University School of Dentistry at Matsudo

  Sakaecho-nishi 2-870-1, Matsudo, Chiba, 271-8587, Japan

*3 Nihon University School of Dentistry at Matsudo,

Research Institute of Oral Science

  Sakaecho-nishi 2-870-1, Matsudo, Chiba, 271-8587, Japan

*4Nihon University School of Dentistry

*5Tokyo Medical and Dental University

*6Niigata University Medical & Dental Hospital

*7 Japanese Association of Healthcare Information

Sys-tems Industry

*8Osaka University Dental Hospital

*9Japan Dental Association

*10Dental Clinic Ohashi

*11Morimoto Orthodontic Office

*12Medical Information System Development Center

*13Matsudo Clinic

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薬品,臨床検査,看護,医療機器などの標準マス ターの開発に着手し,歯科分野についても, ME-DIS-DC に「歯科分野の標準化委員会」が設置さ れ,標準病名マスターの一部として歯科病名マス ターの開発が行われることとなった.  標準病名マスターには2 万を越える病名が収載 されているが,歯科で頻用される病名を調査した ところ,歯科診療所で約600 病名,病院歯科で も約2,500 病名であることがわかった.そのため, 歯科病名マスターの開発にあたっては,標準病名 マスターの膨大な病名の中から歯科分野の病名を 容易に選択でき,利用しやすい環境とすることが 求められた.   ま た, 標 準 病 名 マ ス タ ー は 国 際 疾 病 分 類 ICD10 に対応しているが,歯科では,ICD10 を さらに細分化した国際疾病分類歯科学および口腔 科学への適用(ICD-DA)14)が用いられるため, ICD10 とは別に ICD-DA への対応も求められた. 1. はじめに  歯科病名は,病名と共に歯種を数字等で表す歯 式が必要な場合が多い,冠や義歯など補綴物・修 復物に関する病名(人工物の状態表現)が多い, 診療録やレセプトに略称を用いる場合が多い,な どの特徴がある(表1).そのため,一般財団法 人医療情報システム開発センター(以下,ME-DIS-DC)では,ICD10 対応標準病名マスター1)(以 下,標準病名マスター)とは別に,歯科の特徴を 踏 ま え, 歯 科 電 子 カ ル テ や 歯 科 レ セ プ ト コ ン ピュータ,レセプト電算処理歯科システムに対応 した標準病名マスターとして,標準歯科病名マス ター2)(以下,歯科病名マスター)を提供している. 歯科病名マスターは,平成23 年 12 月には「厚 生労働省において保健医療情報分野の標準規格と して認めるべき規格(厚生労働省標準規格)」と しても認められ3),歯科の診療情報基盤となる標 準的な用語・コードとして,その実装が推奨され ている標準マスターである.  本稿では,歯科病名マスターの更なる普及を図 るため,これまでの報告4)~12)に加筆し,歯式マ スターを含めた歯科病名マスターの特徴をより詳 しく解説する. 2. 歯科病名マスターの開発経緯  平成13 年 12 月に「保健医療分野の情報化に むけてのグランドデザイン」(厚生労働省)13)が 公表され,情報化の第一段階として「医療用語・ コードの標準化」が進められることとなった. MEDIS-DC では厚生労働省の委託を受け,医療 用語・コードの標準化として病名,手術処置,医

codes used in dental field from an ICD 10-based Standard Disease Code Master, and addition-ally lists Dental Abbreviations, ICD-DA entries and other dentistry-specific items. This master was recognized in December 2011 as a standard in the field of health informatics by the Minis-try of Health, Labour and Welfare, which is promoting its use.

 This paper provides an outline and chronology of this master’s development.

Key words: Standard dental disease code master, ICD10-based standard disease code master, Standardization 表1 歯科病名の特徴 ・病名と共に歯式が必要な場合が多い. 7654321 1234567 慢性歯周炎軽度 7654321 1234567 ・歯など補綴物,修復物に関する病名(人工物の状 態表現)が多い. 7654 67 義歯不適合 ・診療録,レセプトに略称を用いる場合が多い. 7654321 1234567 P 7654321 1234567

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版を公開した.平成20 年にはレセプト電算処理 歯 科 シ ス テ ム に 対 応 し た 歯 科 病 名 マ ス タ ー Ver1.00 を公開し,平成 23 年の厚生労働省標準 規格としての採用を経て,平成26 年 1 月公開の Ver1.24 では 2,923 語を収載するに至っている(表 2).標準病名マスターと歯科病名マスターとの関 係イメージを図1 に示す.  歯式についても,右上・左上・左下・右下の4 象限を1~4 の数字で表し,それと歯種数字を組

み 合 わ せ て 表 現 す るFDI 方式(Two-digit sys-tem)16)(図2)を応用した歯式マスターを開発し,  歯科では「歯科の診療録及び診療報酬明細書に 使用できる略称について」(厚生労働省通知)15) によって一部の病名,処置については略称記載が 認められている.例えば,「う蝕」は「C」,「歯 周病」は「P」,「欠損歯」は「MT」,「口内炎」 は「Stom」などと略称で表すことが多いが,標 準病名マスターには歯科略称は収載されていな い.そのため,これら歯科略称への対応が求めら れた.  さらに,歯科病名として頻用される「義歯不適 合」,「インレー脱離」,「ブリッジ破損(Br ハソ ン)」,「全部金属冠過高(FMC 過高)」,「全部金 属冠脱離(FMC ダツリ)」など歯科補綴物・修 復物の状態を表現した病名の収載や,歯科診療報 酬請求上の算定要件として必要とされる記載(現 在でいう「C 選療」,「周術期口腔機能管理中」な ど)の収載も求められた.  病名と共に用いられる歯式については,上下左 右4 象限を分割線で分け,中切歯は 1,第 1 大臼 歯は6 などと歯種を数字で記載する Zsigmondy-Palmer 方式16)の歯式表記法(例:右側上顎第1 大臼歯6 )が一般的で,さらに,ブリッジの支 台歯では○付き数字表記(例:⑥5 ④ )も用い られるため,これら表意内容も含めてコード化し た歯式マスターが求められた.  これらの歯科的な要件を踏まえ,標準病名マス ター,レセプト電算処理システムの傷病名マス ター(社会保険診療報酬支払基金,以下,レセ電 算傷病名マスター),大学歯科病院のマスター, 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)医 事コンピュータ部会歯科システム委員会から提供 を受けたマスター,学術用語集歯学編や歯科の学 会用語集等から歯科関連病名をできる限り収集 し,厚生労働省通知による歯科の略称や歯科診療 報酬請求上の算定要件となる記載も収載した.そ して,分類コードとしてICD-DA を付加し,病 名表記(リードターム)および同義・類義関係や 異字体等の整理を行い,日本歯科医学会歯科学術 用語委員会および日本歯科医師会社会保険委員会 の監修を経て,平成16 年に歯科病名マスターβ 表2 標準歯科病名マスターの開発経緯 2001 年 (平成13 年) 「保健医療情報分野における情報化に 向けてのグランドデザイン」(保健医療 情報システム検討会提言:厚生労働省) MEDIS–DC:厚生労働省より診療情 報の「用語・コード」の9 つの標準マ スターの開発委託   (病名,手術・処置,医薬品HOT, 医療機器DB,看護用語,症状・所見, 歯科分野,画像検査,J–MIX) MEDIS–DC:「歯科分野の標準化検討 分科会」   標準病名マスター,学術用語集歯学 編・歯科の各学会用語集,大学歯科 病院のマスター,保健医療福祉情報 システム工業会(JAHIS)から提供 を受けたマスター,歯科略称などを 収 集 整 理.ICD10・ICD–DA 付 番. 日本歯科医学会・日本歯科医師会監 修.(歯式マスター,歯科手術・処 置マスターも同時開発) 2004 年 (平成16 年) 標準歯科病名マスターβ版公開 2008 年 (平成20 年) 標準歯科病名マスターVer. 1.00 公開 (レセプト電算処理歯科システムに対 応) 歯式マスター公開(レセプト電算処理 歯科システムに対応) 2011 年 (平成23 年) 厚生労働省標準規格採用(HS013) 2014 年 (平成26 年) 標準歯科病名マスターVer. 1.24 公開

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ターから歯科で使う病名を抽出したもので,その テーブル構造は,標準病名マスターの「病名基本 テーブル」に歯科独自の項目を追加したテーブル 構造となっている(図3).追加した項目は,歯 科変更区分,カルテ表記略称名,カルテ表記略称 名カナ,レセプト表記略称名,ICD-DA,歯科使 用分野,傷病名欄記載不適,歯科変更履歴番号, 歯科更新日付の9 項目である.  歯科病名マスターは,標準病名マスターをテー ブルの一部分として含んでいるので,標準病名マ スターと同様の機能を持ち,「索引テーブル」お よび「修飾語テーブル」を連携して使用すること ができるようになっている(図4).  2)歯科索引テーブル  歯科索引テーブルは,標準病名マスターの「索 引テーブル」から「歯科病名基本テーブル」の病 名に対応した索引語のみを抽出したもので,平成 26 年 1 月公開の Ver1.24 では同義語,類義語, 異字体など12,855 語を収載している.レセ電算 傷病名マスターの「歯科傷病名省略名称」と完全 一致する「レセプト表記略称名」や「カルテ表記 略称名」も収載されている.  歯科索引テーブルの構造は,標準病名マスター の索引テーブルと同一である.  歯科索引テーブルの対応用語コードと歯科病名 基本テーブルの病名交換用コードおよびレセ電算 レセプト電算処理歯科システムの基本マスターの 一つとして平成20 年から社会保険診療報酬支払 基金17)と診療報酬情報提供サービス18)で公開さ れ,電子的な歯科診療報酬請求に用いられている. 3. 標準歯科病名マスターの構成  歯科病名マスターは,「歯科病名基本テーブル (dmain)」と「歯科索引テーブル(dindex)」で 構成されている.MEDIS-DC からダウンロード したdent_byomei.zip ファイルには修飾語テーブ ル(mdfy)も含まれるが,これは標準病名マスター 収載の修飾語テーブルと同一ファイルで,ユーザ の利便性のため同封されている.  1)歯科病名基本テーブル  歯科病名基本テーブルの病名は,標準病名マス 図1 標準歯科病名マスターと標準病名マスターの関係

図2 FDI 方式(Two-digit system)の歯式(永久歯)

FDI 方式(Two-digit system):4 象限の数字(右上;1,左上;2,左下;3, 右下;4)と歯種数字の計 2 桁で表記

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されているので,まず,①「歯科索引テーブル」 で必要な病名の存在を確認する,②見つかった病 名の「対応用語コード」を知る,③「歯科病名基 本テーブル」に戻って「病名交換コード」と②で 見つかった「対応用語コード」とを紐付けし,歯 科病名基本テーブルの病名表記,あるいはレセ電 算傷病名マスターの傷病名基本名称を得ることが できる.  このように,電子カルテやレセプトコンピュー タあるいはレセプト電算処理歯科システムで歯科 傷病名マスターの病名交換用コードが完全一致し ていることで,歯科索引テーブルと歯科病名基本 テーブルおよびレセ電算傷病名マスターの連携が 確保されている(図5).  この連携を利用し,必要な病名が「歯科病名基 本テーブル」で見つからない場合は,図6 の手順 で病名(病名表記)を見つけ,傷病名の未コード 化(コード0000999 で診療報酬請求される傷病 名)を防ぐことができる.病名表記の同義語,類 義語,異字体などは「歯科索引テーブル」に収載 図3 歯科病名基本テーブルの構造 図4 標準歯科病名マスターと他の病名マスターとの関係

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して,歯科病名マスターとは別に社会保険診療報 酬支払基金および診療報酬情報提供サービスにて 公開,提供されている.その構造は,歯種パート 4 桁,状態パート 1 桁,部分パート 1 桁,の合計 6 桁で構成されている(図 7).歯種パート 4 桁 の う ち の3 桁 目 と 4 桁 目 は FDI 方 式 の 2 桁 (Two-digit)を応用しており,歯種パートの 3 桁 目は,上下左右の4 象限を表し,永久歯では右上 「1」,左上「2」,左下「3」,右下「4」,乳歯では 右上「5」,左上「6」,左下「7」,右下「8」となっ 病名を使う場合,歯科病名マスターを利用して歯 科病名マスター収載の病名を選べば,歯科で必要 な病名を実装できるよう設計されている.  なお,歯科索引テーブルにも必要な病名が見つ からない場合は,MEDIS-DC のホームページか ら病名・修飾語の追加要望をすることができる. 4. 歯式マスター  歯科診療報酬請求用の歯式マスターは,レセプ ト電算処理歯科システムの基本マスターの一つと 図5 歯科索引テーブルと他の病名マスターとの関係 図6 病名表記を得る手順

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Palmer 方 式:6 , 歯 式 マ ス タ ー で の コ ー ド: 101600(右側上顎第 1 大臼歯現存歯部分指定な し),修飾語マスターでの交換コード:69MD). 5. 標準歯科病名マスターの特徴 (主な歯科独自項目)  1)歯科略称に対応(カルテ表記略称名とレセ プト表記略称名)  歯科略称に対応するために設けた項目が「カル テ表記略称名」と「レセプト表記略称名」で,厚 生労働省の通知による略称を収載した(図8). 収載した「レセプト表記略称名」の略称は,レセ 電算傷病名マスターの「歯科傷病名省略名称」と ている.また歯種パートの4 桁目は歯種を表し, 永久歯は中切歯「1」から第 3 大臼歯「8」,乳歯 は乳中切歯「1」から第 2 乳臼歯「5」,過剰歯は 英字「A~H」で表している.このように FDI 方 式を応用し,2 桁の組み合わせで上下左右と歯種 の歯式を表現している.そして,さらに状態パー トと部分パートを合わせることで歯科診療報酬請 求に必要な表現が網羅できるようになっている.  また,歯種パート,すなわち上下左右と歯種に ついての歯式の表記内容は,標準病名マスターの 修飾語マスターにも収載されており,歯科診療報 酬請求以外でも歯式が活用できるようになってい る(右側上顎第1 大臼歯の表記例:Zsigmondy-図7 歯式マスターのコード仕様 図8 歯科略称

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科として必要なもので,歯科口腔外科を主とした 病院歯科や大学歯科病院で使われることを想定し ている(図11).用途に応じたフラグの病名を選 べば,必要な歯科病名は,ほぼ充足できるように なっている. 6. 歯科病名マスターの改訂作業  改訂は,レセ電算傷病名マスターおよび標準病 名マスターと同じく年4 回(1/1,3/1,6/1,10/1)で, MEDIS-DC 歯科分野の標準化委員会が日本歯科 医師会,日本歯科医学会の協力も得ながら,標準 病名マスター作業班,レセ電算傷病名マスター作 業委員会と連携して改訂作業を行っている.改訂 完全一致しているので,歯科診療報酬請求に使用 できるようになっている(図9).  2)歯科の国際疾病分類に対応(ICD-DA)  標準病名マスターは,国際疾病分類ICD10 を 病名の分類コードとして採用したことが特徴の一 つとなっているが,歯科病名マスターでは,さら に,ICD10 の補助分類で歯科および口腔疾患の 国際疾病分類であるICD-DA も採用した.ICD-DA は,ICD10 における歯科及び口腔疾患につい ての分類を細分化したものとなっている.例えば, ICD10 の分類では「K00.6 歯の萌出障害」まで であるが,ICD-DA の分類ではさらに「K00.60 出生歯」や「K00.63 乳歯の晩期残存」までに細 分類されているため,歯科としての統計や疫学的 な調査がしやすくなっている(図10).  3)歯科医療機関の違いに対応(歯科使用分野)  歯科では,一般の歯科診療所,矯正歯科診療所, 病院歯科など歯科医療機関によって使用する歯科 病名に違いがある.そこで,歯科の用途に応じて 病名を選ぶときの一つの目安となるよう「歯科使 用分野」を設けた.歯科使用分野のフラグは,“1” が一般歯科診療所用,“2”が矯正歯科診療所用, “3”が一般歯科診療所と矯正歯科診療所の両方で 使われることを想定している.無印は,その他歯 図9 レセプト表記略称名 図10 歯科の国際疾病分類(ICD-DA)

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情報システム工業会(JAHIS)医事コンピュー タ部会歯科システム委員会,元歯科分野の標準化 委員会委員であった稲垣明弘氏,奥村弘一郎氏, 中山均氏,成澤英明氏,西田悟氏,萩原芳幸氏, 山田卓也氏,ならびに関係各位に感謝申し上げま す.  また,開発当時よりMEDIS-DC の理事長でい らした故開原成允先生には,多大なご尽力をいた だきましたことを心より感謝申し上げます. 参 考 文 献 1)一般財団法人医療情報システム開発センター. ICD10 対応標準病名マスター.一般財団法人医療 情報システム開発センター,2013.   [http://www2.medis.or.jp/stdcd/byomei/index.html (cited 2014-Jan-21)] 2)一般財団法人医療情報システム開発センター.標 準歯科病名マスター.一般財団法人医療情報シス テム開発センター,2013.   [http://www2.medis.or.jp/master/sika/byoumei/ (cited 2014-Jan-21)] 3)厚生労働省政策統括官(社会保障担当).「保健医 療情報分野の標準規格として認めるべき規格につ いて」の一部改正について.厚生労働省,2011.   [http://www2.medis.or.jp/master/sika/byoumei/ hyojun20111221.pdf(cited 2014-Jan-21)] 4)齊藤孝親,中山 均,佐々木好幸,他.ICD-DA 対応歯科標準病名マスターについて(ワークショッ プ「歯科の標準化の方向と進捗状況について」). 内容はすべて,歯科病名マスター,標準病名マス ター,レセ電算傷病名マスターに同時反映され, 完全一致している. 7. まとめ  学会による違い,歯科と医科の違い,保険診療 と自費診療の違い,保険診療用語と学術用語の違 いなど,更なる整備の必要な部分もあるが,歯科 病名マスターは,標準病名マスターやレセ電算傷 病名マスターと比べて,歯科略称,ICD-DA,歯 科使用分野,収載病名数,索引テーブルが歯科に 特化しており(図12),歯科で使いやすいよう様々 な工夫が施されている(表3).  歯科病名を使うのであれば,ぜひ歯科病名マス ターをご使用いただきたい. 謝辞  厚生労働省,日本歯科医師会,日本歯科医学会, 口腔保健協会,社会保険診療報酬支払基金, ME-DIS-DC 標準病名マスター作業班,保健医療福祉 図11 歯科使用分野 図12 標準歯科病名マスターの利点 表3 標準歯科病名マスターの特徴 1.厚生労働省標準規格の一つ   (病名表記はレセ電算傷病名マスターの傷病名基 本名称と完全一致) 2.一般財団法人医療情報システム開発センター (MEDIS–DC)が提供 3.ICD10 対応標準病名マスターから歯科で使う病名 を抽出 4.歯科病名だけでなく,歯科で使われる医科病名も 網羅 5.歯科病名は,日本歯科医学会,日本歯科医師会が 監修 6.ICD10 対応標準病名マスターの病名基本テーブル に,歯科略称など歯科独自項目を追加

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スター」の現状.月刊基金 2012;53, 5:2-4. 13)石川 准,井上通敏,大山永昭,開原成允,齊藤 孝親,坂本すが.保健医療分野の情報化にむけて のグランドデザイン.厚生労働省保健医療情報シ ステム検討委員会提言,2003. 14)厚生労働省大臣官房統計情報部.国際疾病分類歯 科学および口腔科学への適用 第 3 版 ICD-DA.財 団法人厚生統計協会,2001. 15)厚生労働省保険局歯科医療管理官.歯科の診療録 及び診療報酬明細書に使用できる略称について. 厚生労働省,2012.   [http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/ kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/tuu-chi3-5.pdf(cited 2014-Jan-21)] 16)寺中敏夫.歯式.保存修復学 第 5 版(平井義人, 寺中敏夫,寺下正道,他編).医歯薬出版株式会社. 2010:65-66. 17)社会保険診療報酬支払基金.歯式マスター.社会 保険診療報酬支払基金,2013.   [http://www.ssk.or.jp/tensuhyo/kihonmasta/kihon-masta_09.html(cited 2014-Jan-21)] 18)診療報酬情報提供サービス.歯式マスター.厚生 労働省保険局,2013.   [http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/(cited 2014-Jan-21)] 医療情報学2002;22, Suppl.:3-4. 5)齊藤孝親,中山 均,佐々木好幸,他.歯科医療 情報の標準化作業―ICD-DA 対応歯科標準病名マ スターについて―.医療情報学2002;22, Suppl.: 537-538.

6)齊藤孝親.NEW COMPUTER DENTISTRY「保 健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」 と歯科分野の用語・コードの標準化作業.ザ・ク インテッセンス 2002;21, 11:137-141. 7)齊藤孝親,中山 均,佐々木好幸,他.ICD-DA 対応歯科標準病名マスターとその課題.医療情報 学 2003;23, 1:114. 8)齊藤孝親,中山 均,佐々木好幸,他.ICD-DA 対応歯科標準病名マスターの概要.医療情報学 2003;23, Suppl.:161. 9)齊藤孝親,佐々木好幸,玉川裕夫,成澤英明,森 本徳明,山田卓也.電子カルテ用歯科標準病名と その活用について.日本歯科医師会雑誌 2004; 57, 4:148. 10)齊藤孝親,中山 均,佐々木好幸,他.歯科標準 病名について.医療情報学2004;24, Suppl.:197-198. 11)齊藤孝親.歯科病名の標準化と ICD-10 対応電子 カルテ用標準病名マスターへの対応について.日 本歯科医師会雑誌 2006;59, 6:47-57. 12)齊藤孝親.厚生労働省標準規格「標準歯科病名マ

図 2 FDI 方式(Two-digit system)の歯式(永久歯)

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