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Academic year: 2021

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 日進月歩の技術革新を見る現代社会において,これを支える化学の知識は以前にも増して重要に なっている。今日,化学を学んで,物質の構造・性質・変化の論理を知ることは,工学,理学,医 学,生命科学をめざす学生には必要不可欠であるし,文科系の学生にとっても価値のあることであ る。化学を学ぶことで,身近に起こった現象を理解することができるようになり,化学の知識が増 えるにつれ,社会において物質が果たす複雑な役割がもっとよく分かるようになる。  現代のさまざまな化学の領域は,ますます大きく広がって多くの分野と融合しつつあり,科学者 は日々新規の物質や現象を見出し,その発見に対して有効な新しい応用を見出すべく奮闘してい る。化学を学び始めることは,基礎科学のみならず,工業,農業,医療そして環境といったさまざ まな分野における新しい発見への最初の扉を開けることになる。  多くの大学の理系学部において,教養のための基礎科目として「化学」が開講されている。三重 大学工学部分子素材工学科ではカリキュラムの改訂に伴い,大学 1 年生向けに「化学基礎」を開講 し,約 100 名の学生を 10 名程度のグループに分け,講義と PBL(Problem Based Learning)を組 み合わせたユニークな取り組みを行っている。教科書として,国内で出版されている入門化学や基 礎化学に関するほとんどすべての本を検討したところ,少人数で執筆することによる 2 つの弊害が 見出された。第一に,執筆者の専門分野は詳しく記述されているが,専門分野外はほとんど執筆さ れていない場合が多く,分野のバランスが片寄っている。第二に,高校の教科書と同じぐらい平易 か,専門書なみに難しいかの両極端であり,高校と大学専門教育との間に位置するレベルの本がほ とんど無い。以上のような背景から,すべての分野をその専門家が執筆するという考えに至り,分 子素材工学専攻の教員全員で教科書を執筆することになった。したがって,本書は,物理化学,無 機化学,分析化学,有機化学,高分子化学,生物化学の化学すべての分野を,その専門家が網羅す るという特徴をもった教科書である。内容のレベルは,高校と大学専門教育との間に位置するよう, 教科書全体に細心の注意を払った。高校と大学とをつなぐ,特色のある使いやすい本となっていれ ば幸いである。本書が,化学の知識を深めようとする多くの学生に役立てられることを願ってやま ない。  最後に,東北大学大学院理学研究科の今井正幸教授には,原稿の段階で丁寧にお読みいただき, 数々の貴重なご指摘を頂戴した。分子素材工学科の学部生や卒業生には通読の上,多くの意見を頂 いた。図の作成は大学院工学研究科分子素材工学専攻の博士前期課程の大学院生に担当してもらっ た。また,共立出版株式会社教科書課の清水隆氏には本書を出版する機会を与えて頂いた。本書の 完成は以上の方々に支えられたものであり,ここに深く感謝申し上げる。  2012 年 12 月 著者一同 

まえがき

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