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DSpace at My University: 核軍縮に関する国際情勢(11) : 核廃絶・北朝鮮・中央アジア・核軍縮

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核軍縮に関する国際情勢(11)

核廃絶・北朝鮮・中央アジア・核軍縮

大阪大学大学院国際公共政策研究科

教授黒澤 満

核軍縮をめぐる最近の動きとして、まず「核兵器 のない世界」に関する米元高官らの提案を取り上げ、 次に北朝鮮の新たな動きを検討する。さらに中央ア ジア非核兵器地帯の設置に関する問題にふれ、最後 に現在における核軍縮の課題を考える。

I 「核兵器のない世界」

(A Wor1d Free ofNuc1earWeapons)

「核兵器のない世界」と題する論文が、ウォー ル・ストリート・ジャーナルという新聞に今年のユ 月4日に掲載された。その著者は、ジョージ・シュ ルツ(George P.Shultz)元国務長官、ウイリア ム・ぺ一リー(Wilham J.Perry)元国防長官、ヘ ンリー・キッシンジャー(HenryKissinger)元 国務長官およびサム・ナン(Sam Nun)元上院軍 事委員会委員長である。その内容の骨子は以下の通 りである。 ’核兵器は今日途方もない危険となっているが、 歴史的な好機ともなっている。 ・米国の指導者は、核兵器への依存を逆転させるた め行動すべきである。 ・冷戦期には核兵器は国際安全保障を維持するため 不可欠であった。 ・抑止は、現在ではますます有害になっており、 効果も減少している。 ・北朝鮮やイランに示されるように、新しい危険な 核時代に入りつつある。 ・テロリストの手に核兵器が入る危険があり、彼ら には抑止はきかない。 ・核兵器国の指導者は、核兵器のない世界という目 標を共同の事業とすべきである。 ・核の脅威のない世界のための基盤として、一連の 緊急の措置に合意すべきである。 1 冷戦姿勢の核配備を変更し警戒時間を長く し、事故による核使用の危険を減少させる。 2 すべての核兵器国の核戦力の大幅削減を継 続する。 3 前進配備の短距離核兵器を廃棄する。 4 CTBTの批准に向けて上院での超党派協議 を開始する。 5 世界中の核兵器および兵器級プルトニウム・ 濃縮ウランを保管する。 6 燃料供給保証を伴うウラン濃縮プロセスを 管理する。 7 世界的に、兵器用核分裂性物質の生産を停 止する。 8 新たな核兵器国の出現につながる地域的対 立や紛争の解決に努力する。 この著者たちは、米国の核戦略・核政策を作成し 実施してきた人物であり、米国の核抑止論を主張し てきた人々である。いまでも核抑止論を正しいと考 えていると思われるが、現在では、北朝鮮やイラン などの諸国、またインドとパキスタンにおいても核 抑止がうまく働くとは考えられず、さらにテロリス トに対しては核抑止はまったく効果がないので、そ

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れらの問題に対処するには、核廃絶に進むべきであ

るという主張である。

さらにそれに続いて、ゴルバチョフ(Mikhail

Gorbachev)が1月31日の同紙に「核の脅威

(The Nuc1ear Threat)」と題する以下のような内

容の論文を掲載した。 ・1月4日の「核兵器のない世界」は、きわめて重 要な国際問題を提起している。私はこの緊急行 動の要請を支持する責務を感じている。 ・1985年に「核戦争に勝利はないし、決して戦わ れてはならない」と米国と合意し、新たな考え を示し、INF,STARTで進展した。そのまま続 いていたら、世界の核兵器は大部分廃棄されて いただろう。 ・米国、さらにロシアも核兵器を再び強調し、先行 使用から先制使用まで進んでいる。 ・N町は困窮しており、インド、パキスタン、北 朝鮮、イラン、テロの問題が生じているが、こ の問題は核兵器の廃絶を通じてのみ解決できる。 ’核兵器廃絶を、遠い将来ではなく出来るだけ早期 の議題に戻すべきである。 ・私は、N町の枠内で、核兵器廃絶に関するあら ゆる問題をカバーする議論が開始されるよう呼 びかける。目標は、核兵器のない世界へ向けて の共通の概念を作り出すことである。 ’核兵器国は核兵器を削減し究極的に廃絶する約束 を正式に再確認し、具体的措置として、CTBT を批准すること、軍事ドクトリンを変更し冷戦 時の高い警戒態勢を解除すべきである。 冷戦終結後、1990年代後半には多くの核兵器廃 絶の提案が出されたが、ブッシュ政権になってまっ たく影を潜めていたのであるが、今の時期にこのよ うな主張が表れたことは意義深いことであり、これ らの提案を基礎に議論を活性化させるべきであろう。

皿 北朝鮮の核問題

六者会合において、共同声明が合意され、その問題 の解決についての基本的な合意が達成された。しか しその直後に米国が北朝鮮に金融制裁を課したた め、交渉は1年以上行われなかった。その間に北朝 鮮は、ミサイル実験を実施し、さらに2006年10月 には核実験を行うに至った。その後、米国はそれま での方針を大きく転換し、北朝鮮との二国問交渉に 応じるようになり、2007年2月には「共同声明実 施のための初期段階の措置」に合意が見られた。 まず2005年9月19日の第4回六者会合に関する 共同声明の基本的内容は以下の通りである。 ・六者は、六者会合の目標は、平和的な方法による、 朝鮮半島の検証可能な非核化であることを一致 して再確認した。 ・北朝鮮は、すべての核兵器および既存の核計画を 放棄すること、ならびに、核不拡散条約および IAEA保障措置に早期に復帰することを約束し た。 ・米国は、朝鮮半島において核兵器を有しないこと、 および北朝鮮に対して核兵器または通常兵器に よる攻撃または侵略を行う意図を有しないこと を確認した。 ・北朝鮮は原子力平和利用の権利を有する旨発言し た。他の参加者は、軽水炉提供問題について議 論を行うことに合意した。 ・北朝鮮と米国は、国交正常化のための措置をとる ことを約東した。 ’北朝鮮と日本は、国交正常化のための措置をとる ことを約束した。 ・六者は、エネルギー、貿易、投資における経済的 協力を約束した。 ・六者は、「約束対約東、行動対行動」の原則に従 い調整された措置をとることを約束した。 この共同声明の実施のために、2007年2月13目 に六者は以下のような「共同声明実施のための初期 段階の措置」に合意した。 北朝鮮の核問題については、2005年9月19円に

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1.60日内に実施する初期段階の措置 (1)北朝鮮 1)寧辺の核施設(再処理施設を含む)を、 最終的に放棄することを目的として活動停 正および封印する。 2)すべての必要な監視および検証を行うた めに、lAEA要員の復帰を求める。 3)すべての核計画(抽出プルトニウムを含 む)の一覧表について、五者と協議する。 (2)経済・エネルギー支援 重油5万トンに相当する緊急エネルギー支 援を開始する。 (3)日 朝 日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算 し懸案事項を解決することを基礎として、国 支を正常化するための協議を開始する。 (4)米 朝 完全な外交関係を目指すための協議を開始 する。 2.作業部会の設置 初期段階の措置の実施および六者会合共同声 明の完全な実施のため、共同声明の要素に対応 する次の作業部会を設置し、30日以内に会合 を開催する。 1)朝鮮半島の非核化(議長:中国) 2)米朝国交正常化(議長:米国・北朝鮮) 3)日朝国交正常化(議長:日本・北朝鮮) 4)経済およびエネルギー協力(議長:韓国) 5)北東アジアの平和および安全のメカニズム (議長:ロシア) 3.初期段階の次の段階における措置 (ユ)北朝鮮 すべての核計画の完全な申告の提出および 既存の核施設の無能力化等を行う。 12)エネルギー支援 重油95万トンに相当する規模を限度とする 経済、エネルギーおよび人道支援を供与する。 4.六者閣僚会議 「初期段階の措置」が実施された後、六者閣 僚会議(外相)を開催する。 5.次回六者会合 3月19日に開催する。 初期段階の措置の実施に関して、マカオの銀行に 対する米国の金融制裁の問題がリンクされ、米国は 金融制裁の全面停止という大きな譲歩を行った。し かしその実施に手間取っており、初期段階の期限で ある60日以内には事態は前進しなかった。

皿 中央アジア非核兵器地帯条約

中央アジアの5カ国、カザフスタン、ウズベキス タン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス は、2006年9月8日に、中央アジア非核兵器地帯 条約に署名した。 カザフスタンのセミパラチンスクでは旧ソ連の核 実験が数多く実施され、それに伴う核汚染などの環 境問題が深刻であること、ロシアと中国の間に挟ま れた戦略上重要な地域であり、核紛争に巻き込まれ る可能性があることなどにより、1997年2月の5 カ国首脳会議は声明(アルマティ宣言)を採択し、 非核兵器地帯設置の必要性を認識した。 1997年9月のタシケント会議では外相声明を採 択し、各国に対し本構想の支持を求め、国連専門家 グループの設置を要請した。その12月に関連する 国連総会決議が採択され、国運アジア太平洋平和軍 縮センター(石栗所長)が支援することとなり、日 本政府も支援して、札幌で会議が開催されるなど交 渉が続けられ、2005年2月8日に条約に仮署名し、 2006年9月8日、カザフスタンのセミパラチンス クにて条約に署名した。 ここ数年、核軍縮にまったく進展がみられない中 にあって、新たな非核兵器地帯が設置されたことは 高く評価すべきであろう。これまで、ラテンアメリ カ(トラテロルコ条約)、南太平洋(ラロトンガ条 約)、東南アジア(バンコク条約)、アフリカ(ペリ ンダバ条約)で成立しており、中央アジア非核兵器

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地帯条約は5番目のものであるが、北半球では初め てのものである。

1V核軍縮の課題

2010年NPT再検討会議に向けて

1 ジュネーブ軍縮会議の状況 ユ996年夏に、CTBTを交渉して以来、軍縮会議は 実質的に活動していない。軍縮会議ではすべての決 定はコンセンサス方式であるため、1国でも反対す ると事態は進展しない。コンセンサスは、条約案の 採択の時に必要であるのみならず(CTBTの場合イ ンドが反対)、交渉を開始するためのアドホック委 員会の設置に関してもコンセンサスが必要である。 そのため、停滞したままである。 現在、軍縮会議で討議されている議題は、(ユ) FMCT(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)、(2) PAROS(宇宙における軍備競争の防止)、(3〕核軍縮、 (4)NSA(消極的安全保証)であり、どの議題を交 渉するかについてコンセンサスが成立していない。 FMCTの交渉開始には一般的な合意があるが、問 題はそれを単独で進めるか、他の議題の交渉あるい は協議開始とリンクするかである。米国はFMCTの みの交渉を主張し、ロシアと中国はそれをPAROS の交渉開始とリンクさせる主張を行っている。さら に非同盟諸国は核軍縮およびNSAとリンクさせる べきだと主張している。 2 包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効 CTBTの発効のためには条約で定められた44カ国 の批准が必要であるが、現在までにそのうち34カ国 が批准を済ませている。まだ残っているのは以下の 10カ国であるが、それは以下のように分類できる。 /1〕 12〕 (3) (4〕 (5) 米国、中国(核兵器国) イスラエル、エジプト、イラン(中東) インド、パキスタン(南アジア) 北朝鮮(北東アジア) インドネシア、コロンビア 15iのインドネシアとコロンビアは条約に反対して いるのではなく、国内での優先順位が低いことが影 響しているので、国際社会の働きかけで近いうちに 批准する可能性はある。(2)、(3)、(4)はそれぞれ、地 域的な安全保障の問題を抱えており、その問題と同 時並列的に取り扱う必要がある。条約発効に最大の 影響力をもっているのは米国であり、米国がCTBT の批准を拒否していることが、最大の問題である。 ブッシュ政権はCTBTに反対の意思を表明してお り、次期政権の下において積極的な対応が取られる ことが発効の第一条件であろう。米国が批准すれば、 中国も批准するであろうし、米国がその他の国々に 圧力をかけることも可能になり、条約発効への道が 開かれるであろう。 3 兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT) 兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウラン、プルトニ ウム)の生産に関しては、米国、ロシア、英国、フ ランスはモラトリアムを宣言し、長年生産していな い。中国は生産していないという情報もあるが、そ の宣言はない。他方、インド、パキスタン、北朝鮮 はそれらを生産中であり、イスラエルは不明である。 条約の内容に関して、今後の生産を禁止すること には一般的な合意があるが、これまでのストックは どうするかについては、それは規制対象外だとする 核兵器国と、それも含めるべきだとする非同盟諸国 の見解が対立している。 また、条約義務の履行をどう検証するのか、国際 的に効果的な検証が不可欠か、検証なしの条約なの かについても意見が対立している。米国は2年前か らFMCTの検証は不可能であるから、検証なしの条 約を主張しており、昨年提出したFMCT条約案にも 検証規定はない。他の多くの国は、軍縮条約に検証 は不可欠であると主張している。 4 核兵器の削減 (1)戦略核兵器に関しては、モスクワ条約(戦略 攻撃力削減条約(SORT))が署名・批准され 実施されているが、それによると米口は、 2012年12月31日までに実戦配備戦略核弾頭を

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1700−2200に削減することになっている。そ の意味では核削減は進展していると言えるが、 この条約は以下のような欠陥をもっている。 まずこの条約は米国の強い主張により検証規 定をまったく備えていない。そのため、条約義 務が遵守されているかどうかの検証は、この条 約では実施できない状況である。次にこの条約 は透明性に欠けており、削減のプログラムや段 階的規定もまったくなく、最終日に規定の数に 削減していればいいというもので、実施過程が まったく不透明である。さらにこの条約は不可 逆性の条件をみたしておらず、実戦配備でない リザーブが認められている。すなわち削減され る核弾頭は言うまでもなく、その運搬手段も破 壊されることなく、実戦配備から撤退するだけ であるので、いつでも元に戻せる状態となって いる。最後のこの条約は継続性がなく、最終日 に一定の数まで削減することになっているが、 その日に条約は失効することになっており、翌 日からは法的義務はまったくなく、自由に配備 できるものとなっている。 したがって、後継条約の交渉開始が緊急に必 要である。また戦略核弾頭を6000に削減する ことを規定したSTART I条約は、すでにその 内容は2001年までに実行されたが、条約は15 年の期限であるので、2009年に失効する。現 在のモスクワ条約の検証は主としてこの条約の 実施を通じて行われている。クリントン時代に

はSTART n条約がすでに署名されており、

START mの基本的内容にも合意があり、核削 減の継続性が維持されていた。ブッシュ政権は STARTプロセスを断絶しモスクワ条約を締結 したため、継続性が失われているのである。ロ シアは今後の削減に関してSTARTプロセスと して交渉を開始することを提案しているが、米 国は拒否している状況である。 (2)戦術核兵器に関しては、米口は冷戦終結直後 に一方的に大幅撤去を実施したが、それらは条 約ではないので履行が不明であり、条約作成の

必要性が長年主張されている。また西欧の

NATO非核兵器国に480の航空機搭載の戦術核 兵器が配備されているが、冷戦の終結や通常兵 器の削減条約などにより、それらの軍事的意味 合いはもはや存在しない。現在では、それは米 国と西側同盟国との連帯の証の政治的シンボル として重要であると考えられているが、ロシア に配備された戦術核兵器への規制と並行して、 撤去する方向に進むべきであろう。 ● ウ ■ , ● o ● , ‘ , ● ■ ■ ■ ● ‘ l IPPNW日本支部理事会・総会が4月21日(土)に広島全日空ホテルで開催され、各支部(広島、長 ミ : 崎、岐阜、大阪)の役員等が集まった。大阪府支部からは、小田支部長に代わり齋田幸次運営委員(大 : ; 阪府医師会・理事)が出席した。理事会の冒頭、凶弾に倒れた伊藤一長(前長崎市長)に黙祷を捧げた : あと碓井静照日本支部長が挨拶で、伊藤」 長前長崎市長に哀悼の意を示し、核廃絶に 向けた活動や取組みに敬意を表した。総会 アジア会議(モンゴル)で開催されプログ ラム等が紹介され、北東アジアの非核地帯 を目指して意見交換もなされた、.

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