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「東日本大震災関連倒産」(発生から4年)の内訳と今後の見通し

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Academic year: 2021

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はじめに

東日本大震災の発生当日、当時の内閣府特命担当大臣(金融)と日本銀行総裁は連名で「貸出 金の返済猶予等被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずること」などを金融機関に要請し た。それから 4 年が経過しようとしている。今年 2 月に金融庁が公表した「東日本大震災以降に 約定返済停止等を行っている債務者数及び債権額」によると、被災 3 県で条件変更契約を締結し た債務者は 2 万 3374 先(住宅ローンを除く、23 年 3 月 11 日~26 年 11 月末)にのぼり、26 年 11 月末現在で約定弁済を一時停止している債務者はわずか 144 先(同)にまで減少した。被災地の 企業がこうした金融支援を受けながら復興していることが数字からも裏付けられている。 しかし一方で、未曾有の災害で大きな打撃を受けた企業は、被災 3 県の企業ばかりではない。 物流の混乱や原発事故による風評被害の影響は日本全国に及んだ。今でも震災の影響を受けた企 業倒産は、広範囲かつ断続的に発生している。 帝国データバンクでは、東日本大震災により直接的な被害(物理的損傷等)、または間接的な被 害を受けたことが取材で判明した企業倒産を「東日本大震災関連倒産」と定義し、震災直後から 集計を開始している。今回調査の対象期間は 2011 年 3 月から 2015 年 2 月の 4 年間。前回調査は、 2014 年 3 月 3 日「特別企画:『東日本大震災関連倒産』(発生から 3 年)の内訳と今後の見通し」。

調査結果(要旨)

1. 東日本大震災発生から 4 年間で、「東日本大震災関連 倒産」は累計 1726 件発生。4 年目(233 件)もなお、 「阪神大震災関連倒産」の 1 年目(194 件)を上回る 2. 都道府県別に「東日本大震災関連倒産」の件数を見 ると、東京都が 409 件で最多。以下、宮城県 146 件、 茨城県 94 件、北海道・静岡県 92 件と続く。年別に 件数の推移を見ると、4 年目には西日本を中心に 1 件も判明しなかった県も散見されるなど、徐々に影 響が薄まっている様子がうかがえる 3. 「東日本大震災関連倒産」のなかでも、福島第一原 子力発電所事故の影響を受けた「原発関連倒産」は、 4 年間で 180 件判明。構成比は、4 年目には 15.5% に上る

特別企画:「東日本大震災関連倒産」(発生から 4 年)の内訳と今後の見通し

東日本大震災関連倒産、4 年で 1726 件

~ うち原発関連倒産は 180 件、1 割強を占める ~

※阪神大震災関連倒産は3年間で集計終了 震災発生後の倒産件数推移 650 489 354 233 194 142 58 11.7 15.5 11.3 7.2 0 100 200 300 400 500 600 700 1年目 2年目 3年目 4年目 (件) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 (%) 東日本大震災関連倒産 阪神大震災関連倒産 原発関連倒産構成比

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1.件数・負債総額推移

2011 年 3 月から 2015 年 2 月までの「東日本大震災関連倒産」は 1726 件、負債総額は 1 兆 5619 億 1900 万円となった。 年別で見ると、2012 年 2 月までの震災発生後 1 年間では 650 件、2 年目は 489 件、3 年目は 354 件、4 年目は 233 件と、毎年 30%前後の比率で減少を続けており、震災による影響が徐々に薄れ てきていることがわかる。しかし、今なお月間 20 件前後の倒産が判明しているという事実には注 意を向けなければならない。 1995 年の阪神・淡路大震災の影響を受けて倒産した「阪神大震災関連倒産」は、震災発生から 3 年間で 394 件判明した(集計は 3 年間で終了)。比較可能な 3 年間で比べると「東日本大震災関 連倒産」は「阪神大震災関連倒産」の約 3.8 倍に上る。また、「東日本大震災関連倒産」の 4 年目 の件数(233 件)は、「阪神大震災関連倒産」の 1 年目(194 件)を上回っており、東日本大震災 の影響の大きさを物語っている。 東日本大震災関連倒産 (上段:倒産件数/下段:負債総額[百万円]) 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 計 14 57 80 61 50 72 41 48 55 46 65 61 650 17,951 22,015 34,665 24,596 31,957 480,051 14,779 16,191 42,158 46,549 147,365 18,834 897,111 63 51 57 39 38 36 44 51 34 17 29 30 489 172,915 16,811 27,429 22,271 30,977 18,190 35,290 24,763 34,012 3,710 9,064 22,899 418,331 35 33 41 31 30 26 36 28 24 21 24 25 354 9,432 25,124 11,625 8,705 5,001 12,098 25,434 7,914 19,074 5,367 12,263 5,652 147,689 24 19 20 21 22 16 23 16 26 15 14 17 233 5,614 7,734 3,994 15,031 3,643 15,927 5,556 11,515 10,981 7,026 7,620 4,147 98,788 1,726 1,561,919 阪神大震災関連倒産 (上段:倒産件数/下段:負債総額[百万円]) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 計 0 22 29 32 19 21 10 17 15 9 10 10 194 0 13,083 6,560 8,437 3,673 9,753 3,688 2,264 4,318 4,620 1,865 1,813 60,074 10 7 9 16 17 9 11 18 13 6 11 15 142 1,491 2,788 3,225 2,360 5,934 4,170 3,113 3,396 3,162 780 1,098 2,430 33,947 6 10 7 3 4 8 4 5 8 1 0 2 58 2,680 5,975 3,940 265 848 1,157 430 1,094 2,020 70 0 130 18,609 394 112,630 累計 2年目 3年目 3年目 累計 2年目 1年目 4年目 1年目      ※阪神大震災関連倒産は発生後3年間で集計を終了している 震災発生から4年間の件数推移 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 当月 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 (カ月目) (件) 東日本大震災関連倒産 阪神大震災関連倒産 1年目 2年目 3年目 4年目

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2.都道府県別

都道府県別に「東日本大震災関連倒産」の 4 年間の累計件数を見ると、東京都が 409 件で最も 多かった。以下、宮城県 146 件、茨城県 94 件、北海道・静岡県 92 件と続く。件数は決して多く はないものの、被災地から遠い地域でも「東日本大震災関連倒産」が判明しており、日本全国に 影響が及んでいることがわかる。 しかし、年別に件数の推移を見ると、4 年目には西日本を中心に 1 件も判明しなかった県も散見 されるなど、徐々に影響が薄まっている様子がうかがえる。

3.業種別

業種別に「東日本大震災関連倒産」の 4 年間の累計件数を見ると、トップはサービス業の 380 件となった。以下、卸売業 349 件、製造業 337 件の順で続く。 年別の推移を見ると、建設業は 1 年目に 120 件 にのぼったが、復興需要などのプラス要因も働き、 4 年目には 29 件と約 4 分の 1 に減少した。 一方、震災後に自粛や風評被害により低迷した 需要が戻らないなどの理由から、小売業やサービ ス業などの業種では、全体に比べ減少幅が小さか った。 地域別件数推移 地域 都道府県 11年3月 ~ 12年2月 12年3月 ~ 13年2月 13年3月 ~ 14年2月 14年3月 ~ 15年2月 累計 地域 都道府県 11年3月 ~ 12年2月 12年3月 ~ 13年2月 13年3月 ~ 14年2月 14年3月 ~ 15年2月 累計 北海道 北海道 44 28 14 6 92 滋賀県 1 3 0 0 4 青森県 10 6 4 4 24 京都府 2 2 2 2 8 岩手県 16 6 4 8 34 大阪府 26 7 3 2 38 宮城県 28 47 46 25 146 兵庫県 13 4 4 0 21 秋田県 6 9 10 5 30 奈良県 7 1 2 3 13 山形県 11 4 16 7 38 和歌山県 2 0 2 0 4 福島県 30 15 4 6 55 計 51 17 13 7 88 計 101 87 84 55 327 鳥取県 1 0 0 0 1 茨城県 11 25 33 25 94 島根県 0 0 0 0 0 栃木県 21 17 9 15 62 岡山県 2 3 1 0 6 群馬県 14 6 5 3 28 広島県 6 1 3 1 11 埼玉県 37 21 10 10 78 山口県 0 0 1 0 1 千葉県 14 19 19 4 56 計 9 4 5 1 19 東京都 157 139 69 44 409 徳島県 3 2 1 0 6 神奈川県 25 35 12 8 80 香川県 1 1 0 1 3 計 279 262 157 109 807 愛媛県 6 1 1 1 9 新潟県 20 5 8 2 35 高知県 1 0 0 0 1 富山県 2 2 3 2 9 計 11 4 2 2 19 石川県 11 4 1 0 16 福岡県 31 13 10 8 62 福井県 0 7 1 1 9 佐賀県 4 2 4 0 10 計 33 18 13 5 69 長崎県 1 2 3 2 8 山梨県 6 7 1 1 15 熊本県 5 5 2 0 12 長野県 12 4 2 0 18 大分県 8 3 1 0 12 岐阜県 2 1 1 0 4 宮崎県 1 1 0 1 3 静岡県 19 21 26 26 92 鹿児島県 1 0 0 0 1 愛知県 29 7 14 8 58 沖縄県 2 1 1 0 4 三重県 1 2 1 2 6 計 53 27 21 11 112 計 69 42 45 37 193 全国 650 489 354 233 1,726 中部 北陸 関東 東北 九州 四国 中国 近畿 業種別件数推移 11年3月 ~ 12年2月 12年3月 ~ 13年2月 13年3月 ~ 14年2月 14年3月 ~ 15年2月 累計 建設業 120 69 40 29 258 製造業 125 119 57 36 337 卸売業 135 94 73 47 349 小売業 89 64 53 40 246 運輸・通信業 28 25 35 18 106 サービス業 137 106 83 54 380 不動産業 7 6 8 5 26 その他 9 6 5 4 24 計 650 489 354 233 1,726

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4.被害区分別

震災により受けた被害区分別に見ると、社屋の倒壊や津波による浸水被害などの「直接的被害」 を受けた倒産は、155 件と、全体の 1 割未満にとどまった。他方、「間接的被害」を受けた倒産は、 1571 件にのぼった。「間接的被害」を内容別に見ると、「消費マインドの低下」が 970 件と過半数 を占めた。次いで、物流網の混乱による調達難などの「流通の混乱」が 117 件、工期や納期の延 期などの「生産計画の変更・頓挫」 が 106 件となった。 年 別では、「 消費マ イン ドの低 下」は、4 年目にも 155 件判明する など全体に比べ減少幅が小さい。一 方、被災地優先の予算による「公共 工事の減少」は、全国的な公共工事 の増加を背景に、4 年目には 1 件も 確認されなかった。

5.原発関連倒産

「東日本大震災関連倒産」のなかでも、 福島第一原子力発電所事故の影響を倒産 要因とするものを「原発関連倒産」と定義 し集計すると、4 年間の累計で 180 件判明 した。 「東日本大震災関連倒産」に占める構成 比を年別に見ると、構成比は 4 年目には 15.5%に上った。風評被害による影響が他 の震災による影響に比べ根深いことが原 因とみられる。 「原発関連倒産」のなかでも、事故その ものが要因ではなく、事故後に各地の原発 が稼働停止したことによる影響を受けた ものは、22 件判明した。これらは、稼働 停止により発電所からの受注が得られな くなったり、地元から作業員が引き上げた ことによって来客数が激減したりしたケ ースである。全体からすれば件数は少ない ものの、原発に依存している企業が一定数 あることを示している。 被害区分別件数推移 11年3月 ~ 12年2月 12年3月 ~ 13年2月 13年3月 ~ 14年2月 14年3月 ~ 15年2月 累計 直接的被害 55 45 35 20 155 間接的被害 595 444 319 213 1,571 消費マインドの低下 304 273 238 155 970 流通の混乱 68 35 10 4 117 生産計画の変更・頓挫 44 37 14 11 106 得意先被災 44 16 12 17 89 連鎖倒産 51 28 3 2 84 市場価格の混乱 12 7 13 3 35 仕入先被災 10 9 6 4 29 公共工事の減少 12 9 2 0 23 その他 50 30 21 17 118 650 489 354 233 1,726 合計 原発関連倒産の件数・構成比推移 11年3月 ~ 12年2月 12年3月 ~ 13年2月 13年3月 ~ 14年2月 14年3月 ~ 15年2月 累計 原発関連倒産 47 57 40 36 180 構成比(%) 7.2 11.7 11.3 15.5 10.4 母数 650 489 354 233 1,726 ※母数=「東日本大震災関連倒産」 事故要因:風評被害等の事故そのものが要因 停止要因:各地の原発稼働停止による影響が要因 要因区分別原発関連倒産 事故要因 158件 87.8% 停止要因 22件 12.2%

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【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク 産業調査部 石田卓也、早川輝之 TEL 03-5775-3073 FAX 03-5775-3169 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的 以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。

今後の見通し

2014 年 3 月から 2015 年 2 月に判明した「東日本大震災関連倒産」は 233 件。震災発生直後の 1 年間(650 件)と比べ 64.2%減少するなど、当初の想定通り、年々沈静化してきている。ただし、 沈静化とはいってもひと月あたり約 19 件の倒産が発生しているというのも現実である。 「クラブハウスやコース自体が被害を受けたほか、2011 年には来場者数が前年と比べ 1 万人程 度減少したことが、以前からの経営不振に拍車を掛けた」(岩手県、ゴルフ場経営)、「ツアーバス 事業において、震災以降、東北方面路線の運行ができなくなったことなどで売上が大幅に減少し、 この頃から租税公課を徐々に滞納するようになった」(東京都、高速ツアーバス企画・主催)、「震 災発生時、茨城県大洗町に置いてあったトレーラー、シャーシが津波で流され、それ以降毎月赤 字続きに陥った」(北海道、貨物自動車運送)といった倒産事例が、直近 1 年間にも確認されてい る。震災発生から 4 年目に入って発生した「東日本大震災関連倒産」は、「震災による何かしらの ダメージを受けつつも営業を続けてきたが、遂に行き詰まる」というケースが目立つ。 1995 年 1 月に発生した阪神・淡路大震災の影響を受けた「阪神大震災関連倒産」は、2 年 10 カ 月後の 97 年 11 月に判明件数ゼロになるなど、約 3 年で倒産の発生は収束したと言える。一方、「東 日本大震災関連倒産」は減少傾向を示してはいるものの、発生から 4 年が経とうとしている今も 収束と言える状況ではない。今後も、東日本大震災をきっかけに大きく財務を毀損した企業を中 心として、「東日本大震災関連倒産」は散発するとみられ、収束には今しばらく時間が必要なよう である。

参照

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