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わたしたちのやりたいケア 介護の知識50

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Academic year: 2021

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わたしたちのやりたいケア 介護の知識 50

食事姿勢のポイントⅠ(イスとテーブルの場合)

食事ケアの第一歩は、高齢者が食事しやすい姿勢の確保です。 正しい食事姿勢で食べることは誤嚥予防にもなります。 きちんとした食事姿勢がとれるようにケアをすれば、それまでよ りも食事の摂取量が増えることがあります。 今回は、イスとテーブルで食事をするときの、正しい食事姿勢の ポイントについて紹介します。 1.ずっこけ座り・仙骨座りに注意 施設でよく見る『ずっこけ座り』。 大げさかもしれませんが施設に入居されている要介護度の高い方 は、施設職員のケアがなければほとんどの方が『ずっこけ座り』に なるといってもいいかもしれません。 『ずっこけ座り』は、股関節が 90 度まで曲がらない方や体幹の 筋力が低下している高齢者に多く見られます。 円背(えんぱい)の高齢者は骨盤が後ろに傾いている(1)ことか ら、自然と『ずっこけ座り』になってしまいます。私たちも研修が 長くなったり、映画館で映画を見るときに『ずっこけ座り』になる 場合があります。これは、体幹の筋肉を使わず座れるため“楽”だ からです。 この『ずっこけ座り』が高齢者には危険なのです。 褥瘡の原因となったり、食事摂取量減少の要因となったり、誤嚥 の要因となったりします。 『ずっこけ座り』になると、首の筋肉が張ってしまって、食べ物 が飲み込みづらくなります。 食事をお皿から口元に運ぶ動作もしづらくなります。食事時間も 長くなります。食べこぼしも増えます。 【ずっこけ座り/斜め上から】 【ずっこけ座り/横から】 (1)骨盤が後ろに傾 くとは 〉〉〉 骨盤 正常な座位姿勢時の骨盤の位 置 骨盤 円 背 高 齢 者 の 座 位 姿 勢 時 や 『ずっこけ座り』時の骨盤の 位置

介護の知識

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2.かかとをつける 大腿部を床に平行にし、なるべく膝の角度を 90 度にした状態で 足裏をしっかりと床につけます。 足に体重がかかり筋肉が緊張することで、覚醒が促されます。 かかとが床についていないと、食べ物をかむ力が弱くなります。 食べ物をしっかりとかんでもらう(咀嚼)ためにも、床にかかとが ついていることが大切です。 3.やや前傾姿勢をとる(自然な前傾姿勢) 嚥下をしやすい前傾姿勢は、人により異なります。 約5度くらいのほんのわずかな前傾姿勢が適している人もいれ ば、円背の方などは、約5度の前傾姿勢を保持することが難しい人 もいます。その人にあった自然な前傾姿勢を保持できるようにして ください。 前傾姿勢になったときにチェックして欲しいのが、首の筋肉のは りです。首の筋肉が張っていると、食事摂取がうまくいかない場合 があります。 また、前傾になることで、体重が足に分散させることができるた め座位姿勢が安定します。 4.正しい姿勢を保持できるイスを選ぶ 食事ケアの第一歩は正しい姿勢の保持です。 正しい姿勢を保持するためには、まず、利用者の体格にあったイ スを選ばなくてはなりません。 利用者の体格に合っていないイスを使っているのをよく目にしま す。施設に入居している今の高齢者は小柄な方が多いです。小柄な 入居者に合っていない大きなイスを使っているケースがよくありま す。 ① イスの高さ まず、最初にチェックしたいのがイスの高さです。 座ったときに、かかとが床につく高さのものを使います。 目安としては座面の高さ=下腿長(2)マイナス 1cmです。 特別養護老人ホームに入居している高齢者の座面の高さは、小柄な 女性の方が多いことから 38cm程度が適していると言われていま す。あくまでも目安なので、人により異なります。 大切なことは、「足裏全体」がしっかりと床につくような高さのイ スを選ぶことです。 (2)下腿長とは 〉〉〉 大腿骨下部の突起部からくる

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② イスの奥行き つぎに注意したい点が座面の奥行きです。 正しい姿勢が とれるイス 一般的な車イス (JIS規格) 高さ 38cm 45cm 奥行き 38cm 40cm 幅 38cm 42cm イスの奥行きは、座ったときに背中が背もたれにぴったりとくっ つき、姿勢が安定するものを選びます。 特別養護老人ホームに入居している高齢者の座面の奥行きも、小 柄な女性の方が多いことから 38cm程度が適していると言われて います。これもあくまでも目安なので、人により異なります。 また、背もたれは、体をあずけたときに 1 度か 2 度、かすかに前 傾にするようになっていることが大切です。 【クッション使用により奥行き調整】 ※写真のイスは座面の高さ=38cm、奥行き=38cmです。 奥行きが身体に合っていない場合は、右の写真のようにクッショ ン等で調節します。 奥行きが長いと背中が背もたれにつかず、「ずっこけ座り」になっ てしまいます。「ずっこけ座り」になったときの結果は、「ずっこ け座り」の項目で説明した通りです。 ③ イスの左右幅 イスの左右幅も広くないものを選びます。左右幅が広いと横倒れ してしまいます。 左右幅も 40cm以下のものを選びます。もちろんこれも目安です。 ※ 目安は38㎝。高さ、奥行き、幅すべて38㎝くらいと覚えます。

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(横倒れの場合) 横倒れする場合は、クッションなどで倒れないように支えます。 支える場合は、必ず骨盤からまっすぐにします。 骨盤が曲がった状態でクッションを入れると状態は一見まっすぐ になったように感じますが、骨盤から上(上肢)と骨盤より下(下 肢)がねじれた状態になります。 姿勢を直す場合は、骨盤をまっすぐにしてからクッションを入れ ます。骨盤がまっすぐになっているかは、必ず確認してください。 ※ 姿勢を直す場合は、まず骨盤から直す。 下の左の写真に横倒れしている状態で、右側にクッションを入 れただけでは、右の①の写真のようにからだ全体が正面を向きま せん。 上肢は、まっすぐでも、足は右を向いている(骨盤が右倒れして いる)ため、ねじれた状態になります。 ②の写真のようにからだ全体の姿勢を正して(骨盤をまっすぐ にして)からクッション等を使用してください。 【横倒れ/正面から】 【姿勢を正さず、クッション使用】 【姿勢を正して、クッション使用】 また、骨盤で安定した体重支持が行えるよう、クッションには、 こしのあるものを使用します。 ① ②

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④ イスと車いすで食事をすることの違い 車いすに座って食事している入居者をよく見かけます。 食べこぼしが多い、食事時間がかかる、食事摂取量が減ってきた、 ムセがあるといった状態の場合は、できるだけイスで食事する方が 状況が改善される場合が多いです。 古いタイプの車いすは、食事するための条件に合っていないもの がほとんどです。 自分の施設にある車いすの座面の高さ、奥行き、横幅をはかって みましょう。適合しているか、いないかがよく分かります。 なかでもその違いがよくわかるのが、座面の奥行きです。古いタ イプの車いすは、座面の奥行きが深いものがほとんどです。座面の 奥行きが長い車いすに座ると、「ずっこけ座り」になります。 どうしても、車いすで食事をする場合は、背もたれと背中の間に クッションをはさむなどして、「ずっこけ座り」にならないように調 整してください。 車いすと食事用のイスに座り比べてみることを、食事ケアの研修の 中に取り入れてください。イスと車いすの違いが実感としてわかり ます。 できれば、食事に適したサイズのイスに座りかえて食事をしてい ただくよう支援してください。 5.正しい高さのテーブルを選ぶ (テーブルの高さ) イスに合わせてテーブルも低くしないと、座位姿勢は安定しま せん。 イスの高さが 38cmであれば、テーブルの高さは約 65cmくらい が適しています。もちろん、これも目安です。家庭で一般的に使わ れているテーブルは 70cmくらいの高さです。 テーブルの高さは、座ったときに、机の上に置いた前腕が自由に 動かせる高さがいいです。机の高さの目安は、おへそのあたりと覚 えておくといいでしょう。 左の写真は 机の高さ=66cm 座面の高さ=38cm

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テーブルの高さの調整は、座位姿勢の安定以外に、食事の器の中 が見える高さでなければ、食べづらいということを理解しなくては いけません。 6.イスとテーブルの高さを合わせる イスとテーブルはセットです。片方だけを低くするとさらに食べ にくい状況を生んでしまうこともあります。 ○ テーブルが高すぎるときの影響 ・ お茶碗や皿の中身が見えない。 ・ 前傾姿勢をとりづらくなり、あごが上を向いた食事姿勢にな る。 ・ 食べ物をお皿からすくい、口に運ぶまでの動作が大変にな る。 (食べこぼし増加、お皿を太ももの上において背中を丸めて食べる) 〈70cmテーブルの足を 5cmカットすると一目瞭然〉 【これでは、お茶碗やお皿の中が見えません】 70cm 65cm

参照

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