• 検索結果がありません。

理学療法(士)教育について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "理学療法(士)教育について"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 649 ~ 650 頁(2015 年) 理学療法(士)教育について. 649. 合同シンポジウム 2(日本医学教育学会). 理学療法(士)教育について* 居 村 茂 幸**. 日本に理学療法士が誕生して 50 年の節目にあたり,理学療. 加えて,当時の国による教育の目標は,「国家試験に通るの. 法あるいは理学療法士教育の卒前から卒後について,その内容. は当然で,卒後,リハビリテーション医療の担い手として即通. と教育システムの再構築が必要であるとの切り口で論ずる。. 用する療法士」であった。国では,とにかく「使える療法士を. ご存じのように,国は,理学療法士・作業療法士法が公布さ. 可能な限り早期に世にだしたい」というのが本音であったので. れた昭和 40 年の 2 年前より,現在は廃校となったが国立療養. あろうと推測している。. 所東京病院附属リハビリテーション学院を設置して,理学療法. さて,過去にはこのような療法士の養成を目途に教育がなさ. 土や作業療法士の養成を開始した。我が国における理学療法士. れてきた歴史はあるが,50 年経った現在,まだまだ残っては. の養成に際しては,旧厚生省が招聘した,WHO(=世界保健. いるもののひとり職場の占める割合もかなり低下しており,療. 機関)の顧問であったメイズ女史,および WCPT(=世界理. 法士の入職後における職場教育も少なからず充実してきた今. 学療法士連盟)事務局長のニールソン女史が来日し,それぞれ. 日,卒前教育の「目標の変更」と新たな「教育内容の構築」が. に我が国の理学療法士制度創設のあるべき姿について勧告いた. 必要と考える。現在,医療職である我々の職域が保健・予防,. だいた。いずれの方も,教育年限に関する要旨は「理学療法士. 急性期・回復期・維持期医療から生活期(一般的ではないが終. の国家試験および養成機関の教育のレベルは,国際水準を下ま. 末期まで)と広範な領域に進展しており,あくまで医療の分野. わらないように維持すべきである」ということであった。つま. が中心ではあるとはいえ,もっと広範囲の,かつ深い人間力を. り,然るべき教育内容で,当時の世界基準である「3 年以上の. 必要とする職種としての療法士像が求められるようになってき. 養成期間を確保しなさい」ということであり,この時点で我が. ているのは間違いのない所と考える。すなわち,医学の場面で. 国の理学療法士教育年限が確定し,養成がはじまったのであ. も,新たな医療技術の登場で比較的急性期の医療が発展するの. る。ちなみに,現在の WCPT では 4 年制の大学教育が望まし. に加え,一方では高齢期障害者数の増加が重なり,慢性期や療. いと謳っている。理学療法士免許保持者数が世界第 1 位である. 養期における障害の医学がクローズアップされてきている訳で. 日本では,3 年制・4 年制専門学校,3 年制短期大学,4 年制大. ある。このような世情の要請もあって,対応すべく理学療法士. 学と各種の養成機関が混沌としており,このいい加減な現状は. の数も増加しているが,1900 年代の終わり頃から医療専門職. 目を覆うばかりである。. としては類い希な,急激な増加を見たことから,年齢構造とし. また,我々の教育に必要とする教育科目は,法に縛られてい. て底辺の広い先細りのピラミッド構造になり,先細りの先にあ. る訳だが,法策定時の必須教育科目内容の決定された詳しい経. る年寄りとしてはなはだ失礼ないい方ではあるが,上・中に位. 緯について,私は捕まえ切れていない。ただ,当時の身体障害. 置する経験豊かな療法士のみでは,理学療法士全体の品質を支. 者における起因疾患の分析が旧厚生省によってかなりなされて. えきれない状況が続いているように思えている。理学療法士協. おり,それらを基盤に,教育の成果として判定する理学療法. 会も専門職職能団体として,自主管理による質の維持向上を図. 士・作業療法士国家試験科目の分野を見てみると,①解剖学,. る目的で,しばらくは底辺の底上げを狙っていたようだが,成. ②生理学,③運動学,④病理学,⑤医学的心理学,⑥臨床医学. 果には時間がかかるためか,最近は年齢的にピラミッド上・中. 大要,・理学療法(実技試験附加)となっており,これらに対. 位に位置する会員の,より発展を願った対応に変化しつつある. 応すべく必須の教育科目内容がつくられたということは想像に. ように思える。理学療法士協会の,会員療法士に対する資質向. 難くない。その後,我が国の必要とされる理学療法の内容は大. 上の教育的手管としては,生涯学習による自主管理の推進を求. きく変化したにもかかわらず,多少のうねりはあるものの,私. められているようであるが,当然それを維持しながらも,今一. にいわせれば基盤には大きな変更もなく,50 年たった現在も. 度,理学療法士協会の広い底辺会員になる一歩手前の在り方. 大枠継続されていると思える。. に,深く関与するのはいかがであろうか。すなわち,法制度と. *. About Physical Therapy Education in Japan ** 植草学園大学保健医療学部理学療法学科 教授 (〒 264–0007 千葉県千葉市若葉区小倉町 1639–3) Shigeyuki Imura, PT, PhD: Department of Physical Therapy, Faculty of Health Sciences, Uekusa Gakuen University キーワード:理学療法教育,理学療法士教育,大学教育の問題点. して縛りのある卒前教育の部分まで,理学療法士協会として, 国と随時協議できる経路の構築も必要であろうと大きな期待を もつ。 現在,私は設置されて 8 年目の若い私立の大学に所属してい る。ここに赴任してからは 2 年目であるが,大学生の学力基盤.

(2) 650. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. の低さ,また人としての在り方の低下が著しいと強く感じてい. 私は,日本の理学療法士教育は大学・大学院制度の中で行. る。教授する側として,とても責任をもって,また医療職にな. い,かつ修士課程程度の教育を必要とすると訴えてきたが,免. るための教育の提供をためらうことがままある。現場にいて考. 許取得後の理学療法士としての教育を大学教育とは別枠で外に. えるこの理由としては,18 歳人口の減少と,多分,大学進学. だすとしたら,大学教育 4 年に 1 ~ 2 年間の,必須研修制度を. 率の急上昇ではないかと思っている。高校側では,進学実績の. 構築するのがよいかな,と今は考えている。医療職である我々. 向上を狙い,加えて大学側が多様な選抜方法を設けて定員確保. の職域が,前述した広範な領域に進展してきていることを考え. に精をだしはじめると,勉強したこともないような生徒を進学. ると,コア・カリキュラムによる教授法の推進・徹底のみでは. させる高校も増えてきたのだろうと推測する。また大学は,専. 領域を網羅するにも限界があり,近未来には,技術的な専門性. 門知識の伝達に終始する受動的な授業が多く,過去,本来の大. 習得を外にだした 4 年以上の教育期間延長も必須であろうと強. 学教育では当然のことであったと考えるアクティブラーニング. く提案したい。. を文科省が推進しなければならないほど,大学は学生の能動的. これに加え,疾病や高齢などがもたらす障害に取り組むこと. な仕草を引きだす場になっていないとも考える。そういうこと. を課せられている我々の職業に,今まで踏襲されてきた医学モ. もあってか,高校と大学教育の在り方や,両者をつなぐ大学入. デル,すなわち治療医学を中心にした教育ピラミッドのシステ. 学者選抜の一体的な改革について(現在行われている,大学入. ムで,果たして我々に適切な教育モデルといえるのか,大いに. 試センター試験の廃止の件),昨年末にだされた中央教育審議. 議論する余地もあろうかとも思えてくる。理学療法士協会の教. 会の答申での,新たな「大学入学希望者学力評価テスト(仮. 育ガイドラインでは“学ぶために,学ぶための基本的な姿勢や. 称)」の新設に,一定水準以上の高校生が大学教育に則るので. 態度を早期に身につけること”を重視し,卒前の到達目標を. はないかと,私は期待している所でもある。この答申の具体的. 「理学療法の基本的な知識と技能を習得するとともに,自ら学. な内容を纏めて提示すると,①高校・大学教育の見直し,②大. ぶ力を育てる」はいい得て妙と私は考える。同時に,この目標. 学の入学者選抜における多角的評価,③「高等学校基礎学力テ. 達成には,現在の卒前臨床実習や国家試験の立つ位置も再考す. スト(仮称)」(高校での基礎学力を評価する=到達度テスト). る必要があるようにも考え,理学療法士協会や国に対しても提. を新設,④現在の大学入試センター試験を取りやめ,新たな. 案したく思っている。. 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の新設である。. 以上,理学療法士教育の問題点を,課題として取り上げた。.

(3)

参照

関連したドキュメント

金沢大学学際科学実験センター アイソトープ総合研究施設 千葉大学大学院医学研究院

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

の改善に加え,歩行効率にも大きな改善が見られた。脳

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

入学願書✔票に記載のある金融機関の本・支店から振り込む場合は手数料は不要です。その他の金融機

一高 龍司 主な担当科目 現 職 税法.

5月 こどもの発達について 臨床心理士 6月 ことばの発達について 言語聴覚士 6月 遊びや学習について 作業療法士 7月 体の使い方について 理学療法士

高村 ゆかり 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 寺島 紘士 笹川平和財団 海洋政策研究所長 西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科 准教授 三浦 大介 神奈川大学 法学部長.