– 1 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更新日:2012/4/23 石油調査部:市原 路子
企業:国際石油・ガス企業に変貌へ -Kogas, KNOC の躍進-
'KNOC, Kogas ホームページ、Energy Intelligent Group 他(
・韓国勢は、2012 年も油・ガス田資産の取得を積極的に行う見通し。国営会社の KNOC や Kogas による 海外での E&P 活動は先行する他のNOCを追随している。 ・これは、資源価格の高騰が与える国内経済への影響を軽減する狙いとみられる。また国内のインフレ 対策の一助。 ・資源・エネルギー価格の高騰を背景に国営石油会社'需要国/産油ガス国(は国内外のE&P投資を 加速している。 1.国営石油会社の海外進出 近年、E&P事業において韓国の官民による世界進出は目を見張るものがある。政府は野心的な目標 を掲げ、KNOC と Kogas を主体に総力を挙げて上流事業への参画を加速させている。 国営企業による海外進出は、90 年代、ノルウェーの Statoil やマレーシアの Petronas のように国内油ガ ス開発の技術を活用するものであったが、2000 年代に入り、インドや中国のように石油やガスの輸入の 増加に対処するために安定調達を目指す国営企業が現れた'図1(。加えて、大水深、オイルサンド、シ ェール開発事業など先進技術を習得することで自国や他地域での開発推進に繋げていくこともその目 的となっている。韓国でも現政権'2008 年以降(誕生以降、国外進出が目覚ましい。 図1.NOCの生産規模と生産目標 各社ホームページ等の資料より作成 生産目標'国外あるいは 全体( KNOC '韓国( 2012年 30万boe/d'国外( 2019年 60万boe/d'国外( Ecopetrol 'コロンビア( 2020:130万boe/d Petrobras 'ブラジル( 2015:400万boe/d 2020:640万boe/d Statoil 'ノルウェー( 2020:250万boe/d CNPC '中国( 2011年'国外( 100万boe/d Sinopec '中国( SIPC分'国外(: 2011年 46万boe/d 2015年 100万boe/d 0 100 200 300 400 500 CNPC Sinopec CNOOC Petrobras Statoil Petronas Ecopetrol KNOC 国外 国内 国営石油会社の2010生産量 '万boe/d(
– 2 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 現下の輸入原油及び LNG の価格高騰は国内産業を直撃し、国内経済は悪影響を受けるリスクにさら されている。そうした中、E&P活動の海外進出を果たし、海外での事業収益を挙げて、国内経済へのイ ンパクトを緩和する狙いがあるとみられる。 韓国は、日本と同様で自国内に油・ガス資源がほとんど賦存しない。韓国全体でみると、M&A 専門機 関である IHS 社によると,2008 年から 2011 年の過去 3 年間で約 150 億ドルのM&Aを行って油・ガス資 産の取得を行ったと推計されており、KNOCを中心に政治や経済情勢が比較的安定した米国、カナダあ るいは欧州'北海(において資産を取得している。 国営石油会社 KNOC は、2008 年時点で生産量は 5 万 boe/d であったが、現政権誕生以降、高い目 標を掲げ 2012 年中に 30 万 boe/d という政策目標の達成に向けてまい進している。2010 年末で 20 万 boe/d 弱で, 現時点において 20 万 boe/d を超える。将来的には 2019 年までに 60 万 boe/d という野心 的な目標を標榜する'図3(。このような事業の拡大が続けば、近い将来、KNOC は海外進出で先行する Petronas、Statoil や中国NOC等に肩を並べるほどに成長していく可能性がある。
これまでの成長拡大のマイルストンとしては、KNOC は 2009 年にオイルサンド開発や在来型油・ガス 田を中核資産としたカナダ企業 Harvest Energy'現在 5 万 boe/d(を約 40 億ドルで買収し、2010 年には 北海で主に活動する英国企業Dana Petroleum'現生産量約5万boe/d(を約29億ドルで買収している'図 4(。その後もこれらを拠点に当地域での資産を拡充させている。2011 年頃からは民間企業と一緒に上流 資産の取得機会が増えており、サムソンや SE Energy といった石油・天然ガスの需要家との共同取得も 見受けられる。 図3.KNOC の埋蔵量・生産量の推移と数値目標
埋蔵量
生産量'自主比率(
2008年
5.5億boe
5.7万boe/d '6%(
2010年
11.3億boe
18万boe/d '11%(
目標
2012年
20億boe
30万boe/d
2019年
60万boe/d
– 3 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 図4.KNOC の最近の資産獲得 対象国 事業内容 取得資産 発表時期 規模 クルド '政府間合意( 陸上 5探鉱鉱区' 3鉱区オ ペレーター( 2007年 2008年 - ペルー 沖合 Petro-Tech 2009年 10億ドル カナダ オイルサンド Harvest Energy 2009年 40億ドル 欧州・アフリカ 北海、アフリカ の油ガス Dana Petroleum 2010年 29億ドル カナダ 生産ガス田 カナダ西部ガス田群 2010年 5億ドル カザフスタン 陸上油田群 Altius Holdings'95%( 2011年 5億ドル アブダビ '政府間合意( 陸海未開発 3探鉱鉱区 2011年 - 米国 シェールオイ ル
Eagle Ford Shale 2011年 16億ドル コロンビア '政府間合意( 陸上重質油田 Llanos Basin油田群 2011年 - 米国' 複数件( 陸上・浅海の 油・ガス田 El Paso上流資産、メキ シコ湾浅海他 2011年末~ 2012年初 未詳 各種資料より作成 下線は企業買収 KNOC が石油中心であるのに対して、ガス供給を担うのが Kogas である。ガス国内卸売を独占的に行 ってきた Kogas も同様に近年、E&P部門での権益取得を急増させ、自主開発比率の引き上げを目指し ている'図5(。 図5.Kogas の目標と事業分野'Kogas ホームページより( 目標 2012年 2017年 自主開発比率 10% 17% 国際事業からの収入 40% 60%
伝統的事業
1.LNG調達
2.国内インフラ整備
3.ガス卸売り'独占(
新事業展開
1.上流開発
2.LNG基地等建設
3.LNG Trading
4.新エネルギーR&D
– 4 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Kogas は 1983 年に設立され、1986 年よりLNG輸入を開始、国内へのガス販売を独占的に行ってきた。 また、国策事業として国内ガスパイプラインや LNG 基地建設も Kogas が推進している。同社は 1999 年に 一部を株式上場し部分民営化したが、現在でも政府系機関が株式の 60%以上を保有する'図 6(。世界 的にみれば、同社は年間 3100 万トンを輸入する世界最大のLNGバイヤーでもある。 現政権以降、Kogas はガスバリューチェーンを志向して上流開発への進出を事業の中心に据えており、 メジャー等との間でのLNG購入を前提に同事業の上流参画を企図している。10 年前まで、Kogas は数 件のLNG事業に民間企業とともにマイナー権益を保有するのみで国外の資源開発への関心は薄かっ たが、2009年以降、イラク、カナダ、豪州、インドネシアにおいて単独で上流権益を取得している'図7(。 個々には、豪州やインドネシアの LNG 開発'CBM-LNG や F -LNG(において、LNG購入契約とあわせた形で上流権益を獲 得しており、その事業権益の参加比率も二ケタ台と従来よりも高 い傾向にある。またオペレーターとしてイラク油・ガス田開発に参 画したり、カナダのシェールガスに大型投資を行った。現在、E &P活動のみならず、国外でのLNG基地及びパイプライン敷設 への参画、さらにLNGトレーディング事業への進出を視野に入 れている'図 5(。 図6.Kogas の株式保有者 事業内容 事業名'地域( 参画時期 シェア 主要事業者 オマーン LNG* Oman 1997 1.2%'液化( Shell カタール LNG* RasGas 1999 3% QP, ExxonMobil ミャンマー ガス田 A-1, A-3 2001 8.5%、4.17% 大宇'韓( イエメン LNG* Yemen LNG 2005 7.7% Total ウズベキスタン ガス田(石化( Surgil 2006 22.5% Uzbekneftegazとの 共同開発 イラク ガス田 Akkas 2010(3次( 75% Kogas Mansuriyah 2010(3次( 15% TPAO
カナダ シェールガス他 Horn River 2010 50% EnCana
カナダ シェールガス Cordova 2011 5% Penn West
豪州 CBM-LNG* GLNG 2011 15% Santos
インドネシア LNG* Donggi-Senoro 2011 15%(液化( 三菱商事
豪州'合意のみ) FLNG* Prelude 2011 10% Shell
– 5 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2.韓国 E&P 事業展開の傾向と達成目標 韓国では、李明博現大統領'任期5年:2008 年 2 月~2013 年 2 月(が就任し、政府主導によるE&P事 業への進出及び拡大政策が始動した。企業経営者であった現大統領は、そのアプローチにも大きな転 換を求めた。その拡大路線の特徴としては、
・中期的な高い目標設定 例:KNOC 2012 年 30 万 boe/d (なお、2008 年 5.7 万 boe/d) ・現政権は国営企業である KNOC と Kogas の CEO に民間企業の経営者を起用
・従前の政府間合意に基づく鉱区参入でなく、M&A市場を使った油・ガス資産の取得が主体となって いる。KNOC は国家予算のみならず、社債発行等によって市中からの資金調達を行っている。 ・比較的リスクの少ない開発あるいは生産段階の案件に参画することによって確実に保有埋蔵量及び 油・ガス生産量を増やしている。 ・企業買収による人材・開発ノウハウを含めた資産買収も散見される。 ・SK Energy やサムソンなど民間企業が上流資産を取得したり、あるいは韓国投資ファンドが上流権益を 取得するなど、参加事業者や進出方法が多彩である。 2012年の上流投資政策は、全体の投資計画規模である118億ドル'前年比*34%(のうち政府系企業 が 78 億ドル規模で、民間企業が残りの 40 億ドルに及ぶ見通しと、管轄する MKE'知識経済省(が示した。 これらを投じて韓国企業による生産量を現在の約 46 万 boe/d 水準'自主開発比率 14%(から、1年で 17 万 boe/d の上積みを目指す。
おそらく KNOC が自社目標の 30 万 boe/d の達成にむけて 10 万 boe/d 近くの増産を担うことになると みられるが、他方で民間によるE&P投資に関しても政府は融資等を通じて資金支援を行っていく。これ らの政府主導を強める背景に、原油/LNGの輸入価格が高騰あるいは乱高下し、これが国内産業に重 い負担を課しており、国外での油・ガス生産を増やすことで自国経済への負担を軽減させる狙いがある とみられる。あわせて、消費者物価の上昇が続いていることから高止まるインフレ期待'期待インフレ率 4%台(を抑制したいところである。 現在、韓国は 2020 年までに自主開発比率 35%の達成目標を掲げている。
– 6 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 参考1:世界のエネルギー消費大国上位 13 社'韓国は第 8 位( BP統計より 参考2:韓国の一次供給エネルギーの資源比率'2010 年( BP統計より 石油 ガス 石炭 原子力 水力 再生エネ ルギー 韓国 40 17 25 13 0.3 0.2 日本 41 15 30 13 4 1 参考3: 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 '参考(日本の石油消費量 韓国の石油消費量 '参考(日本のガス消費量 韓国のガス消費量 (千boe/d) 韓国の石油・ガス消費量 データ出所:BP統計
– 7 – Global Disclaimer'免責事項( 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に 含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何ら かの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一 切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 参考4: マレーシア 11% イ ンドネシア 22% 豪州 2% ブルネイ 2% ロシア 8% カ タール 22% オマーン 12% イ エ メン 7% ペルー 2% エ ジプト 1% 大西洋L NG 11% 米国 0% 2011年、韓国のLNG輸入'3,670万トン( データ:KITA