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技術報告集第 30 号平成 28 年 3 AWSCJ 月 下水道管路施設における効率的な点検 調査計画の事例と今後に向けた提案 極東技工コンサルタント松原浩 1. 事例業務の概要 本業務では 長寿命化支援制 度の交付金を活用した事業促進 を図りつつ 膨大な管路ストッ クを適正に管理するために状態 監

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図 2. A市の年度別管路整備延長 図 1. 業務フロー

下水道管路施設における効率的な点検・調査計画の事例と

今後に向けた提案

㈱極東技工コンサルタント 松原 浩 1. 事例業務の概要 本業務では、長寿命化支援制 度の交付金を活用した事業促進 を図りつつ、膨大な管路ストッ クを適正に管理するために状態 監視保全を前提とした経済的か つ効率的な点検・調査を実施す るとともに、当該業務で行った 調査結果を踏まえた今後の調査 方針について提案した。 本業務の流れは、図 1 に示す とおりであり、老朽化による潜 在リスク評価から管路の調査優 先順位付けを行い、調査に関し ても効率的に広範囲の調査が実 施できる簡易調査(管口カメラ 調査)を活用した詳細調査箇所 の絞り込みを行った。さらには、 管口カメラ調査結果および詳細調査結果の傾向を分析し、今後の調査方針に活かす計画と した。 2. 業務の背景および目的 A市では、昭和 28 年から下水道事業 に着手し、平成 26 年度末時点で下水道 管路施設は概成した。分流式汚水・雨 水および合流式の既設管路施設のスト ックは図 2 に示すとおり約 318km に達 し、標準耐用年数である建設後 50 年を 超過する管路が約 12.5km となり、さら には今後 10 年以内に標準耐用年数を 迎える管路を約 178.3km 保有している。 調査対象管路抽出 簡易調査 詳細調査 調査結果検証 今後の 調査方針提案 机上による調査優先度 評価と調査対象管路の 絞り込み 管口カメラ調査による詳 細調査対象管路の抽 出 展開広角カメラによる異 常箇所の把握 管口カメラから詳細調 査までの調査結果傾向 分析により、スクリーニ ング調査の適正検証 詳細調査結果を踏まえ た今後の調査実施方針 の検討 ストックマネジメント計画 に基づく点検・調査アク ションプランの立案・実施 後続予定業務 事例業務 6 ある。ひび割れ保証モーメントを求める方法として、 実験により求める方法、「コンクリート標準示方書」14) により求める方法等があるが、各メーカー、製品、 地盤条件ごとの実験は困難であること、鉄筋コン クリート管の標準のコンクリート強度、鉄筋量が決まって いないことから、側圧(地盤反力)をばねで評価 する方法を採用した。 図 6 に示すように中心から45°の範囲にばね を考慮する。このモデルで、ひび割れ荷重PCを載荷したとき に発生する曲げモーメントMCGと従来通り薄肉弾性リングの式で 算出したひび割れ保証モーメントMCの比CCを補正値とし,この 補正値CCをひび割れ保証モーメントMCに乗じて、周辺地盤を考 慮したひび割れ保証モーメントMC’を算出する方法とした。これ により、実態に近い耐震計算結果が得られた。 8.おわりに 2015 年版では、2001 年版では考慮することができなかった周面せん断力等を考慮した計 算方法を提示することができ、より実情にあった計算方法を確立することができた。 地中埋設物、特に管きょのような線状構造物の地震時挙動は、明確になっていない点が 多くあり、現在も多くの研究が行われている。さらに、近年のコンピュータの急速な発展により、 非線形計算等の高度な計算が容易に行うことが出来る環境が整いつつある。 大規模地震時に、下水道管路施設が要求される機能を損なわないように、今後も2015 年 版をベースに、内容をブラッシュアップし、安全な下水道管路施設の構築に努めていく必要がある。 <参考文献> 1) 社団法人日本下水道協会:下水道施設耐震計算例-管路施設編-、2001 年版 2) 社団法人日本下水道協会:下水道施設の耐震対策指針と解説、1997 年版 3) 社団法人日本下水道協会:下水道施設の耐震対策指針と解説、2006 年版 5) 公益社団法人日本下水道協会:下水道施設耐震計算例-管路施設編-、2015 年版 6) 佐藤 清、中村敏晴、竹内幹雄ほか:非線形 FEM 解析による地中構造物の周面摩擦の影響検討、社団法人土木学会 地 下構造物の合理的な地震対策研究に関するシンポジウム、2006 年 6 月 7) 小西 康彦、福島 真一、岡田 健司:小口径管における耐震計算省略化の実務的研究、一般社団法人全国上下水道コ ンサルタント協会 平成18 年度技術報告集、平成 18 年 8) 森崎 啓、佐藤清、竹内幹雄ほか:地中埋設管の寸法と周面せん断力に関する研究、社団法人土木学会地下構造物の 合理的な地震対策研究に関するシンポジウム、2006 年 6 月 9) 高田至郎、上田智宏、岡田健司:管路横断面に作用する周面せん断力の影響評価、社団法人土木学会第 57 回年次学 術講演会、pp.1407-1408、平成 14 年 9 月.. 10) 社団法人日本道路協会:駐車場設計施工指針・同解説、平成 4 年 11 月 11) 社団法人日本下水道協会:下水道用鉄筋コンクリート管 JSWAS A-1-2001、平成 23 年 12 月 1 日 12) 社団法人日本道路協会:道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編、平成 24 年 3 月 13) 社団法人土木学会地震工学委員会:トンネル耐震設計の方向と基本課題 トンネル耐震性研究小委員会報告、平成 10 年 14) 社団法人土木学会:2012 年制定 コンクリート標準示方書 [設計編] 、2013 年 3 月 ひび割れ荷重 Pc 9 0 ゚ 9 0 ゚ 地盤反力 地盤反力 90 ゚ 90 ゚ kr Pc w 図 5 ひび割れ保証モーメントの補正の考え方 図 6 算定モデル

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図 4. 管口カメラ調査概要図 図 5. 管口カメラ調査結果 写真 1. 管口カメラ調査による主な異常箇所 本体の異常等の管路内不良箇所を調査した。この管口カメラ調査は、延長 2,603.01m(全 125 スパン)を対象とし、スパン単位での詳細調査箇 所を絞り込む目的で行なった。 管口カメラ調査では、調査全体スパン数の 89%で異 常が確認され、ほとんどの管路で何らかの不良が発生 していた。また、この調査ではクラックが多く確認さ れたが、国土交通省の統計データからもクラックは管 口から 0~3m の区間に 60%の不具合が集中していると の結果があり、下水道管路の構造上、管口付近に応力 が集中するためと考えられ、管口付近を適正に調査す ることで、管路の劣化の概況を判断するス クリーニングが有効であると推察される。 また、取付け管の突き出しが非常に多く 確認された。その取付け管は、鉄筋コンク リート管であり、本管との接続に支管を設 けていないことから、施工当初からある程 度の突き出しがあった可能性があるものの、 取付け管が突き出したことによる取付け管 の継手ズレやそれに起因した土砂の取り込 み、さらには土砂を取り込むことによる道 路陥没事故の発生も懸念されることから、 取付け管の突き出しの程度が大きい箇所は、 別途、取付け管の調査を行うことも必要であると考える。図 5 に管口カメラ調査結果を示 すとともに、写真 1 に主な異常箇所の写真を示す。 <クラック> <取付け管突出> <土砂堆積> 4-2. 管口カメラ調査結果を踏まえた詳細調査箇所の絞り込み 管口カメラ調査の結果を踏まえ、詳細調査を実施する管路を絞り込んだ。その選定箇所 は、まず滞留、土砂堆積等により管内が管径比で 15%以上閉塞している管路を対象とした。 図 3. 簡易(管口カメラ)調査選定フロー このような背景からA市では、老朽管路を起因とした道路陥没事故の防止や大規模地震か ら重要な管路を守る危機管理対応が求められた。また、古くなった管路全てを対象として 順次老朽化状況を詳細調査により確認することは、時間と調査費用が膨大となるばかりで なく、その間にも不特定箇所における道路陥没事故の発生といった危険が潜在し続けるこ とになる。そこで、“いかに時間と費用を掛けずに老朽化を起因とする事故発生のリスクを 低減していくか”を命題として、A 市における実務を通じて、今後の適切な維持管理に向 けた効率的な調査方針について提案することを目的とした。 3. 合理的な点検優先度の設定 当業務では、はじめに異常の 潜在リスクが高い管路を抽出す るための計画を図 3 に示すとお り立案した。まず、管種や施工 年次を整理することにより、調 査優先順位を決定するための基 礎資料とするとともに、A市で 進められている総合地震対策計 画で改築対象に位置付けられて いる管路施設を除外した。当業 務で位置付けた調査対象管路は、 建設後の経過年数が管路の標準 耐用年数である 50 年を超過す る施設とした。なお、この優先 順位は、当業務での詳細調査に 先行する簡易調査対象管路を抽出 するために行なったものであるため、調査優先度Ⅱに該当する管路の延長が約 237.2km で 相当あることから、腐食発生リスクや施工年代による優先順位の細分化等、劣化の潜在リ スク評価による次期以降の調査計画を別途立てる必要があると考える。 当業務での優先順位が高い管路は全て合流式下水道であり、管径がφ300mm からφ600mm の約 2.6km を簡易調査(管口カメラ調査)の対象管路とし、この中からさらに詳細調査を 実施する管路を抽出することとした。 4. 管口カメラを活用した簡易調査によるスクリーニング 4-1. 管口カメラ調査の概要と調査結果 管口カメラ調査では、図 4 に示すように地表からマンホール内にロッド付きテレビカメ ラを挿入し、十分な照明のもとに上下流管路の布設状況、流水状況、堆積土砂状況、管の

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図 4. 管口カメラ調査概要図 図 5. 管口カメラ調査結果 写真 1. 管口カメラ調査による主な異常箇所 本体の異常等の管路内不良箇所を調査した。この管口カメラ調査は、延長 2,603.01m(全 125 スパン)を対象とし、スパン単位での詳細調査箇 所を絞り込む目的で行なった。 管口カメラ調査では、調査全体スパン数の 89%で異 常が確認され、ほとんどの管路で何らかの不良が発生 していた。また、この調査ではクラックが多く確認さ れたが、国土交通省の統計データからもクラックは管 口から 0~3m の区間に 60%の不具合が集中していると の結果があり、下水道管路の構造上、管口付近に応力 が集中するためと考えられ、管口付近を適正に調査す ることで、管路の劣化の概況を判断するス クリーニングが有効であると推察される。 また、取付け管の突き出しが非常に多く 確認された。その取付け管は、鉄筋コンク リート管であり、本管との接続に支管を設 けていないことから、施工当初からある程 度の突き出しがあった可能性があるものの、 取付け管が突き出したことによる取付け管 の継手ズレやそれに起因した土砂の取り込 み、さらには土砂を取り込むことによる道 路陥没事故の発生も懸念されることから、 取付け管の突き出しの程度が大きい箇所は、 別途、取付け管の調査を行うことも必要であると考える。図 5 に管口カメラ調査結果を示 すとともに、写真 1 に主な異常箇所の写真を示す。 <クラック> <取付け管突出> <土砂堆積> 4-2. 管口カメラ調査結果を踏まえた詳細調査箇所の絞り込み 管口カメラ調査の結果を踏まえ、詳細調査を実施する管路を絞り込んだ。その選定箇所 は、まず滞留、土砂堆積等により管内が管径比で 15%以上閉塞している管路を対象とした。 図 3. 簡易(管口カメラ)調査選定フロー このような背景からA市では、老朽管路を起因とした道路陥没事故の防止や大規模地震か ら重要な管路を守る危機管理対応が求められた。また、古くなった管路全てを対象として 順次老朽化状況を詳細調査により確認することは、時間と調査費用が膨大となるばかりで なく、その間にも不特定箇所における道路陥没事故の発生といった危険が潜在し続けるこ とになる。そこで、“いかに時間と費用を掛けずに老朽化を起因とする事故発生のリスクを 低減していくか”を命題として、A 市における実務を通じて、今後の適切な維持管理に向 けた効率的な調査方針について提案することを目的とした。 3. 合理的な点検優先度の設定 当業務では、はじめに異常の 潜在リスクが高い管路を抽出す るための計画を図 3 に示すとお り立案した。まず、管種や施工 年次を整理することにより、調 査優先順位を決定するための基 礎資料とするとともに、A市で 進められている総合地震対策計 画で改築対象に位置付けられて いる管路施設を除外した。当業 務で位置付けた調査対象管路は、 建設後の経過年数が管路の標準 耐用年数である 50 年を超過す る施設とした。なお、この優先 順位は、当業務での詳細調査に 先行する簡易調査対象管路を抽出 するために行なったものであるため、調査優先度Ⅱに該当する管路の延長が約 237.2km で 相当あることから、腐食発生リスクや施工年代による優先順位の細分化等、劣化の潜在リ スク評価による次期以降の調査計画を別途立てる必要があると考える。 当業務での優先順位が高い管路は全て合流式下水道であり、管径がφ300mm からφ600mm の約 2.6km を簡易調査(管口カメラ調査)の対象管路とし、この中からさらに詳細調査を 実施する管路を抽出することとした。 4. 管口カメラを活用した簡易調査によるスクリーニング 4-1. 管口カメラ調査の概要と調査結果 管口カメラ調査では、図 4 に示すように地表からマンホール内にロッド付きテレビカメ ラを挿入し、十分な照明のもとに上下流管路の布設状況、流水状況、堆積土砂状況、管の

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写真 2. 展開広角カメラ調査の展開画像(一例) 図 7. 詳細調査結果 5-2. 詳細調査結果 展開広角カメラ調査 の結果、図 7 に示す結 果が得られた。この調 査では、管口カメラ調 査では確認されなかっ た管の腐食A(鉄筋露 出)が 8 スパン、管の 破損a(地山露出)が 3 箇所、継手ズレa(継 手脱却)が 1 箇所という道 路陥没の発生を及ぼす可能性がある異常が確認された。また、管口カメラ調査でも確認さ れていたとおり、取付け管の突き出しが非常に多いことが確認された。 管口カメラ調査で分類した管内が 15%以上閉塞している管路を細分化し、①15%以上閉 塞かつ異常が確認された管路、②管内が 15%以上閉塞で異常が確認されなかった管路、③ 異常のみが確認された管路の 3 ケースで調査結果を比較した。その比較は、スパン単位の 対策の必要性の高さを測る緊急度で行ない、結果を図 8 に示す。緊急度の比較の結果、① および②の土砂堆積等が確認された管路は、緊急度が高い傾向であった。また、土砂堆積 等がない③は、①および②に比べて緊急度が低い傾向であった。なお、③の緊急度の傾向 は、管口カメラ調査で不良ランク c 程度の軽度の異常を含めて詳細調査対象としているこ とも緊急度が低くなっている一因であると考えられる(後掲図 9 参照)。ただし、当業務で の一例ではあるものの、道路陥没事故を誘発する可能性があるような腐食A(鉄筋露出) や破損a(地山露出)、管ズレa(継手脱却)が全て①および②に含まれていたことを考慮 すると、詳細調査の絞り込み時に想定していた地山の露出による土砂堆積等の発生や土砂 堆積等を起因とした腐食の発生スパンを捉えることができたと考える。また、①より②の 方が緊急度が高い傾向にあったが、②の方が土砂堆積深率が高く可視範囲が狭くなり、管 口カメラ調査で異常が確認されていなかったためと考えられる。 図 6. 詳細調査箇所絞り込みフロー これは、これらの異常が発生している場合、程度の大きい破損や継手ズレ、浸入水等によ り土砂を取り込んでいる可能性や管路内に流下を阻害する何らかの障害物がある可能性が 高いと判断したことによる。また、滞留や土砂堆積を起因とした腐食の発生も想定される ことを考慮した。なお、閉塞の割合 を 15%以上に設定したのは、委託団 体の実績でこの割合以上の堆積等が 確認された管路を対象に管路内清掃 を実施していたことによることと、 (公社)日本下水道協会出版の「下 水道維持管理指針・実務編-2014 年 版-」の清掃着手基準の例に汚泥・土 砂堆積深率が 5~20%以上と記載さ れていたことから、発注者との協議 により決定した。 さらに、管口カメラ調査により、 破損、クラック、継手ズレ、腐食、 浸入水、たるみの不良が 1 項目以上 確認された管路も詳細調査の対象と した。この詳細調査管路の絞り込みには、管口カメラ調査の判定において、診断における 不良ランク c 程度の軽度の異常を対象外とすることも考えられたが、このような異常のみ が確認された管路に問題が潜在していないかも含めた検証を行うため、当業務では異常が 確認された全ての管路を詳細調査対象とすることとした。これらに該当しない管路は、重 度の異常が発生している可能性が低いと判断し、詳細調査対象外とした。図 6 に、詳細調 査箇所を絞り込むフローおよび詳細調査を実施した延長を示す。なお、管内が 15%以上閉 塞している管路に対しては、管路内清掃を実施し、それ以外は管路内洗浄とした。 5. スクリーニング調査結果を踏まえた今後の点検・調査に向けた提案 5-1. 展開広角カメラを活用した詳細調査概要 詳細調査は、従来のテレビカメラ調査における直・側視切り替えを行わずに、日進量が 大きい自走式による展開広角カメラ調査を行なった。この調査は、従来のテレビ調査と同 等の調査適用範囲および適用条件(現場環境)で行うことができ、日進量が従来の約 1.5 倍程度と作業効率が良い特徴がある。また、調査結果は、一枚の管内展開画像で確認でき、 どこにどのような異常があるかわかりやすい特長を持つ。ただし、取付け管の突き出し、 樹木根の侵入、モルタル付着の異常程度や動きのある浸入水の程度をこの管内展開画像で 判定することは難しいため、これらの異常に対しては、直視画像や動画によって確認した。 写真 2 に、展開広角カメラ調査の展開画像の一例を示す。  START NO YES NO YES 管口TVカメラ調査 (全125スパン:2,603.01m) 滞留、土砂堆積、異物により、 管内が15%以上閉塞している管路 異 常 あ り 清掃工+詳細調査 29スパン:643.54m (24.7%) 洗浄工+詳細調査 51スパン:975.99m (37.5%) 現状維持 45スパン:983.48m (37.8%) 詳細調査対象 : 1,619.53m (62.2%)

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写真 2. 展開広角カメラ調査の展開画像(一例) 図 7. 詳細調査結果 5-2. 詳細調査結果 展開広角カメラ調査 の結果、図 7 に示す結 果が得られた。この調 査では、管口カメラ調 査では確認されなかっ た管の腐食A(鉄筋露 出)が 8 スパン、管の 破損a(地山露出)が 3 箇所、継手ズレa(継 手脱却)が 1 箇所という道 路陥没の発生を及ぼす可能性がある異常が確認された。また、管口カメラ調査でも確認さ れていたとおり、取付け管の突き出しが非常に多いことが確認された。 管口カメラ調査で分類した管内が 15%以上閉塞している管路を細分化し、①15%以上閉 塞かつ異常が確認された管路、②管内が 15%以上閉塞で異常が確認されなかった管路、③ 異常のみが確認された管路の 3 ケースで調査結果を比較した。その比較は、スパン単位の 対策の必要性の高さを測る緊急度で行ない、結果を図 8 に示す。緊急度の比較の結果、① および②の土砂堆積等が確認された管路は、緊急度が高い傾向であった。また、土砂堆積 等がない③は、①および②に比べて緊急度が低い傾向であった。なお、③の緊急度の傾向 は、管口カメラ調査で不良ランク c 程度の軽度の異常を含めて詳細調査対象としているこ とも緊急度が低くなっている一因であると考えられる(後掲図 9 参照)。ただし、当業務で の一例ではあるものの、道路陥没事故を誘発する可能性があるような腐食A(鉄筋露出) や破損a(地山露出)、管ズレa(継手脱却)が全て①および②に含まれていたことを考慮 すると、詳細調査の絞り込み時に想定していた地山の露出による土砂堆積等の発生や土砂 堆積等を起因とした腐食の発生スパンを捉えることができたと考える。また、①より②の 方が緊急度が高い傾向にあったが、②の方が土砂堆積深率が高く可視範囲が狭くなり、管 口カメラ調査で異常が確認されていなかったためと考えられる。 図 6. 詳細調査箇所絞り込みフロー これは、これらの異常が発生している場合、程度の大きい破損や継手ズレ、浸入水等によ り土砂を取り込んでいる可能性や管路内に流下を阻害する何らかの障害物がある可能性が 高いと判断したことによる。また、滞留や土砂堆積を起因とした腐食の発生も想定される ことを考慮した。なお、閉塞の割合 を 15%以上に設定したのは、委託団 体の実績でこの割合以上の堆積等が 確認された管路を対象に管路内清掃 を実施していたことによることと、 (公社)日本下水道協会出版の「下 水道維持管理指針・実務編-2014 年 版-」の清掃着手基準の例に汚泥・土 砂堆積深率が 5~20%以上と記載さ れていたことから、発注者との協議 により決定した。 さらに、管口カメラ調査により、 破損、クラック、継手ズレ、腐食、 浸入水、たるみの不良が 1 項目以上 確認された管路も詳細調査の対象と した。この詳細調査管路の絞り込みには、管口カメラ調査の判定において、診断における 不良ランク c 程度の軽度の異常を対象外とすることも考えられたが、このような異常のみ が確認された管路に問題が潜在していないかも含めた検証を行うため、当業務では異常が 確認された全ての管路を詳細調査対象とすることとした。これらに該当しない管路は、重 度の異常が発生している可能性が低いと判断し、詳細調査対象外とした。図 6 に、詳細調 査箇所を絞り込むフローおよび詳細調査を実施した延長を示す。なお、管内が 15%以上閉 塞している管路に対しては、管路内清掃を実施し、それ以外は管路内洗浄とした。 5. スクリーニング調査結果を踏まえた今後の点検・調査に向けた提案 5-1. 展開広角カメラを活用した詳細調査概要 詳細調査は、従来のテレビカメラ調査における直・側視切り替えを行わずに、日進量が 大きい自走式による展開広角カメラ調査を行なった。この調査は、従来のテレビ調査と同 等の調査適用範囲および適用条件(現場環境)で行うことができ、日進量が従来の約 1.5 倍程度と作業効率が良い特徴がある。また、調査結果は、一枚の管内展開画像で確認でき、 どこにどのような異常があるかわかりやすい特長を持つ。ただし、取付け管の突き出し、 樹木根の侵入、モルタル付着の異常程度や動きのある浸入水の程度をこの管内展開画像で 判定することは難しいため、これらの異常に対しては、直視画像や動画によって確認した。 写真 2 に、展開広角カメラ調査の展開画像の一例を示す。  START NO YES NO YES 管口TVカメラ調査 (全125スパン:2,603.01m) 滞留、土砂堆積、異物により、 管内が15%以上閉塞している管路 異 常 あ り 清掃工+詳細調査 29スパン:643.54m (24.7%) 洗浄工+詳細調査 51スパン:975.99m (37.5%) 現状維持 45スパン:983.48m (37.8%) 詳細調査対象 : 1,619.53m (62.2%)

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図 10.今後の効率的な調査に向けた提案フロー 6. 今後の効率的な点検・調査管路の絞り込みに向けた提案 当業務の調査で実施した管口カメラ調査では、管断面の変形等が視認できる範囲が 15m 程度、クラック等の異常が視認できる範囲が 3m 程度と限られるため、可視範囲に異常が確 認されず、詳細調査が不要と判断した管路に大きな異常が潜在することも想定されること を再認識した。しかしながら、 土砂堆積等や管口カメラ調査で 表 1 に示す異常が確認された管 路を詳細調査の対象とすること により、高い確率で対策の緊急 性が高い管路を抽出できるデー タも得られた。よって、全ての 管路に対して詳細調査を行うの ではなく、広範囲で管口カメラ による簡易的な調査を行い、対 策の緊急性が高いと想定される 管路を抽出して詳細調査を実施 することにより、コスト縮減と 効率的な調査が実現できるため、 有効な調査手法であると考える。なお、今後の効率的な調査に向け、当業務の調査結果を 踏まえた管口カメラ調査から詳細調査管路を絞り込むフローを図 10 に示す。ただし、地震 対策上で重要な幹線等に位置付けられた管路や標準耐用年数を超過した更新時期を迎える 管路等は、簡易調査のみとした場合の残存リスクや事故発生等の影響を考慮し、最初から 詳細調査を実施することも検討すべきである。また、点検・調査の優先順位付けに管理レ ベルを設け、古い管路施設等が既存する区域を重点地区とすることや耐震上の特に重要な 幹線等、合理的な条件設定と選定が求められると考える。さらには、後続業務に携わるこ とがあれば、ストックの量や管路調査への年間可能投資額から調査手法を選択し、その手 法も含めた点検・調査の計画を具体的に立案したいと考える。 今後は、老朽化対策のみならず、昨今の大規模地震に対応した耐震化を視野に入れた耐 震性評価、増径や遮集管・増補管による機能高度化を検討するための排除能力評価といっ た多角的な総合評価に基づいた将来的な基本構想案として、中長期計画を立案することも 考えなければならない。今後の事業計画のあり方として、長寿命化対策、耐震補強、排除 能力の増強を総合的に勘案し、遮集幹線設置も視野に入れながら、コスト縮減、事業の平 準化、潜在するリスクの低減、運用面での有効性、持続可能な基本構想の推進を図る機能 拡充計画の立案手法等も提案していきたい。 以上 参考数量   NO YES NO YES 管口TVカメラ調査 滞留、土砂堆積、異物により、 管内が15%以上閉塞している管路 腐食 :骨材・鉄筋露出 破損 :縦クラック、欠損 クラック :円周方向に管半分以上 継手ズレ:段差、全周にわたる隙間 浸入水 :流れ、吹き出している ⇒上記異常が1項目異常ある 清掃工+詳細調査 洗浄工+詳細調査 現状維持 詳細調査対象 29スパン:643.54m (24.7%) 22スパン:440.66m (16.9%) 74スパン:1,518.81m(58.3%) 該当しない異常または 異常なしは詳細調査対 象外 図 9. 詳細調査検証結果 表 1. 管口カメラ調査結果から 詳細調査対象とする異常 図 8. 詳細調査による緊急度判定結果 5-3. 詳細調査結果を踏まえた今後の調査実施方針 当業務における管口カメラ調査および詳細調査結果を踏まえ、今後の調査実施方針を提 示した。 今後の調査方針としては、管路自体に発 生する異常を表 1 に示す程度とし、詳細 調査箇所をさらに絞り込むことを提案し た。この絞り込みでは、①管内が 15%以 上閉塞している管路、②表 1 の異常が確 認された管路とした。なお、この方針で 詳細調査箇所を絞り込んだ場合、図 9 に 示すとおり緊急度が高い管路を絞り込め ると判断した。この結果 では、土砂堆積等がなく 異常のみが確認された管 路のうち、表 1 に示す異 常がある管路に緊急度Ⅰ およびⅡが全て含まれ、 表 1 に該当しない異常の み確認された管路は、全 て緊急度Ⅲ以下となった。 このことからも今後の調 査を効率的に行うために、 管口カメラ調査で視認で きる異常の程度により詳 細調査箇所を絞込み、表 1 に該当しない軽度の異常のみが確認された管路は詳細調査対象 外とすることを提案した。 異常項目 異常の程度 腐食 骨材・鉄筋露出 破損 縦クラック、欠損 クラック 円周方向に管の半分以上 継手ズレ 段差、全周にわたる隙間 浸入水 流れている、吹き出している ※たるみは、滞留・堆積に含まれる。

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図 10.今後の効率的な調査に向けた提案フロー 6. 今後の効率的な点検・調査管路の絞り込みに向けた提案 当業務の調査で実施した管口カメラ調査では、管断面の変形等が視認できる範囲が 15m 程度、クラック等の異常が視認できる範囲が 3m 程度と限られるため、可視範囲に異常が確 認されず、詳細調査が不要と判断した管路に大きな異常が潜在することも想定されること を再認識した。しかしながら、 土砂堆積等や管口カメラ調査で 表 1 に示す異常が確認された管 路を詳細調査の対象とすること により、高い確率で対策の緊急 性が高い管路を抽出できるデー タも得られた。よって、全ての 管路に対して詳細調査を行うの ではなく、広範囲で管口カメラ による簡易的な調査を行い、対 策の緊急性が高いと想定される 管路を抽出して詳細調査を実施 することにより、コスト縮減と 効率的な調査が実現できるため、 有効な調査手法であると考える。なお、今後の効率的な調査に向け、当業務の調査結果を 踏まえた管口カメラ調査から詳細調査管路を絞り込むフローを図 10 に示す。ただし、地震 対策上で重要な幹線等に位置付けられた管路や標準耐用年数を超過した更新時期を迎える 管路等は、簡易調査のみとした場合の残存リスクや事故発生等の影響を考慮し、最初から 詳細調査を実施することも検討すべきである。また、点検・調査の優先順位付けに管理レ ベルを設け、古い管路施設等が既存する区域を重点地区とすることや耐震上の特に重要な 幹線等、合理的な条件設定と選定が求められると考える。さらには、後続業務に携わるこ とがあれば、ストックの量や管路調査への年間可能投資額から調査手法を選択し、その手 法も含めた点検・調査の計画を具体的に立案したいと考える。 今後は、老朽化対策のみならず、昨今の大規模地震に対応した耐震化を視野に入れた耐 震性評価、増径や遮集管・増補管による機能高度化を検討するための排除能力評価といっ た多角的な総合評価に基づいた将来的な基本構想案として、中長期計画を立案することも 考えなければならない。今後の事業計画のあり方として、長寿命化対策、耐震補強、排除 能力の増強を総合的に勘案し、遮集幹線設置も視野に入れながら、コスト縮減、事業の平 準化、潜在するリスクの低減、運用面での有効性、持続可能な基本構想の推進を図る機能 拡充計画の立案手法等も提案していきたい。 以上 参考数量   NO YES NO YES 管口TVカメラ調査 滞留、土砂堆積、異物により、 管内が15%以上閉塞している管路 腐食 :骨材・鉄筋露出 破損 :縦クラック、欠損 クラック :円周方向に管半分以上 継手ズレ:段差、全周にわたる隙間 浸入水 :流れ、吹き出している ⇒上記異常が1項目異常ある 清掃工+詳細調査 洗浄工+詳細調査 現状維持 詳細調査対象 29スパン:643.54m (24.7%) 22スパン:440.66m (16.9%) 74スパン:1,518.81m(58.3%) 該当しない異常または 異常なしは詳細調査対 象外 図 9. 詳細調査検証結果 表 1. 管口カメラ調査結果から 詳細調査対象とする異常 図 8. 詳細調査による緊急度判定結果 5-3. 詳細調査結果を踏まえた今後の調査実施方針 当業務における管口カメラ調査および詳細調査結果を踏まえ、今後の調査実施方針を提 示した。 今後の調査方針としては、管路自体に発 生する異常を表 1 に示す程度とし、詳細 調査箇所をさらに絞り込むことを提案し た。この絞り込みでは、①管内が 15%以 上閉塞している管路、②表 1 の異常が確 認された管路とした。なお、この方針で 詳細調査箇所を絞り込んだ場合、図 9 に 示すとおり緊急度が高い管路を絞り込め ると判断した。この結果 では、土砂堆積等がなく 異常のみが確認された管 路のうち、表 1 に示す異 常がある管路に緊急度Ⅰ およびⅡが全て含まれ、 表 1 に該当しない異常の み確認された管路は、全 て緊急度Ⅲ以下となった。 このことからも今後の調 査を効率的に行うために、 管口カメラ調査で視認で きる異常の程度により詳 細調査箇所を絞込み、表 1 に該当しない軽度の異常のみが確認された管路は詳細調査対象 外とすることを提案した。 異常項目 異常の程度 腐食 骨材・鉄筋露出 破損 縦クラック、欠損 クラック 円周方向に管の半分以上 継手ズレ 段差、全周にわたる隙間 浸入水 流れている、吹き出している ※たるみは、滞留・堆積に含まれる。

図 2. A市の年度別管路整備延長 図 1. 業務フロー  下水道管路施設における効率的な点検・調査計画の事例と 今後に向けた提案  ㈱極東技工コンサルタント  松原  浩 1
図 4. 管口カメラ調査概要図  図 5. 管口カメラ調査結果  写真 1. 管口カメラ調査による主な異常箇所  本体の異常等の管路内不良箇所を調査した。この管口カメラ調査は、延長 2,603.01m(全125 スパン)を対象とし、スパン単位での詳細調査箇所を絞り込む目的で行なった。   管口カメラ調査では、調査全体スパン数の 89%で異常が確認され、ほとんどの管路で何らかの不良が発生していた。また、この調査ではクラックが多く確認されたが、国土交通省の統計データからもクラックは管口から 0~3m の区間に
図 10.今後の効率的な調査に向けた提案フロー 6. 今後の効率的な点検・調査管路の絞り込みに向けた提案    当業務の調査で実施した管口カメラ調査では、管断面の変形等が視認できる範囲が 15m程度、クラック等の異常が視認できる範囲が 3m 程度と限られるため、可視範囲に異常が確認されず、詳細調査が不要と判断した管路に大きな異常が潜在することも想定されることを再認識した。しかしながら、土砂堆積等や管口カメラ調査で表 1 に示す異常が確認された管路を詳細調査の対象とすることにより、高い確率で対策の緊急性が高い
図 10.今後の効率的な調査に向けた提案フロー 6. 今後の効率的な点検・調査管路の絞り込みに向けた提案    当業務の調査で実施した管口カメラ調査では、管断面の変形等が視認できる範囲が 15m程度、クラック等の異常が視認できる範囲が 3m 程度と限られるため、可視範囲に異常が確認されず、詳細調査が不要と判断した管路に大きな異常が潜在することも想定されることを再認識した。しかしながら、土砂堆積等や管口カメラ調査で表 1 に示す異常が確認された管路を詳細調査の対象とすることにより、高い確率で対策の緊急性が高い

参照

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