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Ⅲ OJT を効果的に進めるためのポイント 1 OJT を実施する上でのスキル (1) コミュニケーションスキル OJTの多くは コミュニケーションを通して行われます OJTを推進する上で コミュニケーションは重要なツールと言えます 双方向のコミュニケーションを円滑に行うために 最も大切なのは 互い

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1 OJTを実施する上でのスキル

(1) コミュニケーションスキル OJTの多くは、コミュニケーションを通して行われます。OJTを推進する上 で、コミュニケーションは重要なツールと言えます。双方向のコミュニケーションを 円滑に行うために、最も大切なのは、互いの信頼関係と言えるでしょう。信頼関係を 築き、その上でお互いの考えを話したり、聴いたりすることができれば、OJTの効 果もより高まることが期待できます。 A 信頼関係 B ア 信頼関係を築くポイント (ア) 信頼関係を築く基本は、お互いを知ることから始まります。日頃からあいさつ を交わしたり、会話を重ねたりすることが大切です。その中で、相手に親近感や 安心感を抱かせることがコミュニケーションの第一歩です。 (イ) 心理学では自分の心を開くことを「自己開示」と言いますが、自分の心を開く と、相手もそれに応じて心を開いてくれるという「返報性の法則」があります。 まずは自分の心を開いて相手と接することが重要です。 イ コミュニケーションのポイント (ア) 心構え ○ 積極的な心…話す方も聴く方も、積極的な心で相手に働きかけます。 ○ 共感的な心…お互いの考えや思いを共感的な心でとらえ、尊重します。 ○ 柔軟な心…自分の考えに固執せず、柔軟な心で話したり、聴いたりします。 (イ) 話すポイント ○ 相手の聴く心の準備ができている時に話します。 ○ 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を用います。 ○ 要点を絞り込み、簡潔に話します。 (ウ) 聴くポイント ○ うなずき、相づち、アイコンタクト、繰り返し等を用いながら聴きます。 ○ 途中でさえぎらずに聴きます。(相手の言いたいことを最後まで聴く。) 一口メモ 「座席もちょっと一工夫」 二人で話し合う時、どのような配置で座りますか?座り方 の一つに、「90度法」(右図)というものがあります。メ リットとして、両者がリラックスして話ができ、お互いが共 通のものを見ることができたり、必要によっては相手のこと を見たりすることができます。場合に応じて、活用してみてください。

Ⅲ OJTを効果的に進めるためのポイント

対象物 聴く 話す 話す 聴く

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(2) 効果的なほめ方・叱り方 OJTを行う上で、管理職や先輩教職員は、若手教職員に対し て、ほめたり、叱ったりする場面も出てきます。ここでは、効果 的なほめ方や叱り方について整理します。 ア 効果的なほめ方 「ほめて伸ばす」という言葉があるように、人はほめられるとやる気が湧いてき て、後輩教職員の更なる積極性や自主性を引き出すことが期待できます。しかし、一見 簡単そうに見える「ほめる」という行為が、なかなかできないのも現実です。ほめる規 準をもち、ほめるべき行為を見過ごさないように、常に心がけておくことが大切です。 イ 効果的な叱り方 「叱る」というと、どうしても「怒る」ことをイメージしてしまいがちですが、実際 は「怒る」と「叱る」は違います。「叱る」とは、「部下の行動を望ましい方向に変え ていくための、建設的なフィードバックを行うこと」と位置付けてみましょう。そうす ることで、叱ることへのためらいが減り、意味のある叱り方になります。 ◆ 叱り方のポイント ○ 感情的に叱らない ○ 「一緒に~しよう」という気持ち ○ 端的に要点のみで叱る ○ 行為を叱り、人格を叱らない ○ 直接本人を叱る ○ 他人と比較しない ○ 相手の成長を認めてあげる姿勢 ○ 過去の失敗を蒸し返さない ○ 成功のイメージをもたせる ○ 叱った後は、必ずフォローする 一口メモ 「ほめるための3種類のメッセージ」 ほめる時に次の3種類のメッセージを使うと効果的です。 ○ YOU メッセージ:「あなたの仕事は○○だ」と相手に伝える ことです。 ○ I メッセージ:相手の行動や存在が自分へどんな影響を及ぼし たかを伝えるメッセージです。 ○ WE メッセージ:私たちというスタンスで、自分たちにどんな 影響が及んだのかについて言及するメッセージです。 ただし、形式的なほめる言葉では相手に伝わりません。どんなメッセージでも、気 持ちを込めて伝えることが大切です。 ◆ ほめ方のポイント ○ 具体的な事実に基づいてほめる ○ その場で、タイミングよくほめる ○ プロセスをほめる ○ ほめた後、次の目標を示す ○ 人前でほめる ○ 第三者への感謝の気持ちを伝える

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(3) コーチング コーチングは、人材育成の手法の一つで、「問題の解決策や答えは、全てその人の中に ある」という前提で、適切な支援を行うことによって、相手のやる気や能力、可能性を引 き出していこうという考え方に基づいています。もともとはビジネスの世界で用いられて いた手法ですが、OJTの一つの手法として、学校でも用いられます。コーチングの手法 は数多くありますが、ここでは、「傾聴」、「質問」、「承認」の三つのスキルについて 説明します。 ア 「傾聴」のスキル まずは、若手教職員の考えや意見を引き出すことが大切です。若手教職員が、話しな がら、現状や課題、解決策に自ら気づいていくことをねらいとしています。相手に安心 感を与え、相手の言いたいことを最後まできちんと聴き、その発する言葉の本質は何な のかを聴き分け、正しく理解することが求められます。 イ 「質問」のスキル 解決策について、相手に考えさせることや相手が自分で答えを見つけることが大切で す。そのために、「質問」することで、若手教職員が自分の考えをまとめたり、解決策 を自ら見つけたりすることがねらいです。相手が置かれている状況を的確に判断し、ど のようなタイミングや目的での質問が効果的であるかを判断することが求められます。 ◆ 「傾聴」のポイント ○ 「聴くこと」に集中する。 話を聴く時は仕事を中断し、相手に話をさせる環境をつくります。 ○ 相手の話の先読みや、結論の先取りをせず、最後まで聴く。 途中で口を挟まず、自分の先入観で話を聴かないことが大切です。 ○ 相手の様子をよく見る。 相手の表情やしぐさ、声のトーンなどをとらえることも大切です。 ○ 「聴いている」というサインを送る。 タイミングの良い相づちやうなずき、また、表情や目線で相手を安心させること で、より多くの情報を共有することができます。 ○ 話の内容をフィードバックする。 相手の話が終わったら、自分の理解が正しいかフィードバックして確認しま す。きちんと伝わったことが分かれば、相手も安心します。 ○ 沈黙を共有する。 会話は、言葉と沈黙によって構成されます。相手が沈黙している時間は、新 しいアイデアや正直な気持ちに向き合うために必要な「間」としてとらえる視 点が必要です。

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ウ 「承認」のスキル 「承認」とは、相手のことを認めるという意味です。教職員の自己成長に対する認知 を促進する技術として、コーチングの中で重要な柱になります。若手教職員が、自分の 行動から自身の成長や変化を自ら実感していくことがねらいです。そのため、教職員に 現れる日々の違いや変化、成長、成果を管理職や先輩教職員がいち早く気づき、伝える ことで、教職員は達成感とともに、次に起こす行動を促進するエネルギーが備わります。 ◆ 「質問」の目的 ○ 問題点をはっきりさせる ○ 考えを整理する ○ 物事を具体的にする ○ 視点を変える ○ 目的を設定する ○ 他の選択肢を出させる ○ アイデアを出させる ○ 価値観を知る ○ モチベーションを上げる ○ 気づき、発見を促す など ◆ 「質問」の種類 ○ 「クローズド・クエスチョン」と「オープン・クエスチョン」 クローズド・クエスチョンは、Yes/No で回答可能な質問で、オープン・クエス チョンは、5W1H の疑問詞を使った質問です。 ○ 限定質問と拡大質問 「いつ」「どこ」「誰」など、物事を特定していく「限定質問」と、「なぜ」「ど うやって」を使う「拡大質問」があります。前者は行動プランをより明確にし たり、目標を具体的に設定したりする際に有効で、後者は考えを広げ、深める場合 に有効です。 ○ チャンクダウンとスライドアウト 受け答えの内容に関して、さらに細かい質問をすることで、情報を掘り下げ ていくことを「チャンクダウン」といいます。話が具体的になればなるほど、 若手教職員は行動を起こしやすくなります。 一方、受けた答えから、さらに新しい発想が生まれるのを促していくことを 「スライドアウト」と言います。アイデアのバリエーションを増やしたり、原因を リストアップしたりする際に有効です。 ◆ 「承認」の種類 ○ 存在承認:相手の存在に気づいていることを伝える。 あいさつや、相手の状態を具体的事実として伝えます。 ○ 成長承認:成長点を的確に伝える。 相手の変化や成長に関わる事実を伝えます。 ○ 成果承認:成果を伝える。 成果を伝える「成果承認」は、「ほめる」こととも言えます。

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2 OJTを効果的に進めるメンタリング

(1) メンタリングとは メンタリングとは、OJTを行う上での人材育成の一つの手法で、先輩教職員と後 輩教職員の良い関係を学校組織の中でより多くの教職員に広げ、組織的・計画的・継 続的により良い教職員としての成長へ導くための人材育成プログラムの一つです。 (2) メンタリングの重要性 近年、教職員の年齢構成の偏在化や児童生徒数の減少に伴う学校の小規模化によっ て、教職員が校内でお互いに学び合い、刺激し合いながら成長していくといった同僚 性が発揮しづらい環境になってきています。 中央教育審議会「教員の教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方 策について」(答申)では、「職務上の悩みなどについて相談できるような学校の雰 囲気づくりや教員のサポート体制を充実すること」が必要であるとされており、OJ Tを効果的に進めるためには、全ての教職員が、安心して働ける環境をつくることが 大切です。そのため、人と人との関係性を意図的、計画的につくり出すメンタリング が、OJTを行う上で重要となってきます。 (3) メンタリングの方法 メンタリングは、基本的に1対1の関係で、 信頼関係をつくりながら、メンター(支援す る者)が、継続的、定期的にメンティ(支援 を受ける者)を支援していくことになります。 支援を行う中で、仕事上の相談に応じたり、 仕事を進めるに当たっての助言を与えたりし て、メンティの精神的、人間的な成長を促していきます。学校内における初任者研修 対象者への指導も、メンターとメンティの関係であると言えます。 また、メンタリングを用いることで、メンターも自分の指導等を振り返ることがで き、メンター自身の資質能力の向上につなげることもできます。つまり、先輩教職員 として支援をしていくことで自分自身への励みとなり、動機付けともなります。 さらに、信頼できる1対1のメンタリングの積み重ねで相乗効果が高まると、メン ターの効果が学校組織にも大きな波及効果として現れてきます。 メンタリングとは スキルや経験が豊富な人間が、スキルや経験が少ない人間のキャリア形成と心 理的・社会的側面に対して一定期間継続して支援を行うこと。 一口メモ 「メンターの語源」 メンターとは、ギリシアの詩人ホメロスの叙述詩『オデュッセイア』の登場人物である「メン トール(Mentor)」という男性の名前に語源があり、良き指導者、良き理解者、良き支援者等と いう意味があります。メンターから助言・支援を受ける者をメンティといいます。 メンタリングに基づいたOJT 信 頼 支 援 メンター メンティ 継続的、定期的な関わり

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(4) メンターの役割 メンターは、経験の少ないメンティが教職員の一員として 仕事をしながら、一人前の教職員に成長していくことを支援 します。その支援は、学習指導や生徒指導といった仕事その ものにかかわる「キャリア支援」と、その仕事をしていく上 でメンティの精神的な面を支え、手本を示す「心理的・社会 的支援」の二つに大別されます。 「キャリア支援」は、単に仕事ができるようになるためのものだけではなく、メンティ が教職員としての理想像を確立していくための支援も含まれています。 「心理的・社会的支援」では、校内での他の教職員との良好な人間関係を保っていく ことや、様々な不安や悩みの相談に乗ること等が考えられます。 そのため、メンターの役割は、メンティの思いや考えを引き出したり、先輩教職員とし て手本を示したりするといったように、場面に応じて、助言者や支援者、教育者的役割等 を担うなど、広範囲にわたります。 (5) メンタリングのポイント メンターの役割は、メンティの意欲や態度を引き出すことです。一般的に次のような 点がポイントとなります。 (6) メンターチームとしての取組 メンターチームとは、複数の先輩教職員が複数の後輩教職員等を メンタリングすることで、相互の人材育成を図るOJTのシステム の一つです。 メンタリングは、基本的に1対1の関係で人材育成を図ることで すが、メンターチームは、メンターとメンティを複数対複数の関係 にし、経験のある先輩教職員と経験の浅い後輩教職員の「タテ」の関係と、同期や同じキ ャリアステージにある者の「ヨコ」の関係を相互に組み合わせ、メンター役となる先輩教 職員が中心となってメンタリングを進めます。 ○ メンティは、メンターとの人間関係を通して成長していく ため、意識的に信頼関係の構築に努める。 ○ メンティをよく観察し、どのような能力や適性があるのか、 また、現在どのような心身の状況にあるのか等を把握する。 ○ メンティが話しやすい雰囲気づくりを心がけ、傾聴する。 ○ メンティが具体的に答えられることができるような質問をする。 ○ 日頃の努力や成功を見つけることで、メンティの意欲を高め、次への動機付け となるフィードバックを行う。 ○ 自然発生的なメンタリングだけではなく、学校全体として組織的に取り組む。

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学校は、学習指導や生徒指導、進路指導等に加えて、朝の会、帰りの会等での指導、小・ 中学校であれば給食指導等、様々な場面で児童生徒への関わりがあります。さらに、保護 者や地域の方との関わりもあります。それら教育活動全般を通して、共に学び合う同じ職 場の先輩、後輩、同僚で構成された「メンターチーム」を機能させることで、自ら課題に 気づかせ、自ら解決する力を身に付けさせることができます。 メンターチームは、主幹教諭や主任級の教職員が中心となって運営するもの、5年経過 の教職員、10年経過の教職員が中心となって運営するもの、学年が中心となって運営す るもの、分掌部が中心となって運営するもの等、バリエーション豊かに運営することが考 えられます。 次ページは、「教職員の資質向上実行プラン」に示してある、メンターチームの取組例 です。

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【メンターチームの実施体制のイメージ】 (「教職員の資質向上実行プラン」P29参照) メンターチームとは、複数の先輩教職員が複数の若手教職員等をメンタリングすることで相互 の人材育成を図るOJTの一つのシステムです。 若手教職員のメンターチームが機能するためには、管理職、主幹教諭、指導教諭、主任級教職員 等で構成するサポートチームの支援が必要不可欠です。校内へのメンターチームの導入や、活性化 のための支援を全体責任者である校長が積極的に行います。 また、主幹教諭や指導教諭、主任級職員等が推進責任者となり、校内において若手教職員へ呼び かけて組織化を図ります。さらに、年間計画や実践等の指導や助言を積極的に行います。その際、 管理職に相談し、助言を受けることも大切です。 若手教職員等で構成するメンターチームでは、先輩教職員が若手教職員のメンターとしての役割 を果たします。OJTを進める際、サポートチームに相談をしながら進めることが大切です。 また、組織的にOJTを進めるため、ベテラン教職員等から助言を得ることも大切です。 メンターチームのサポートチーム [管理職] ・ メンターチームの校内への導入 ・ メンターチーム活性化のための支援 ・ 直接的な指導 等 全 体 責 任 者 推 進 責 任 者 [主幹教諭、指導教諭、主任級教職員 等] ・ メンターチームの組織化 ・ 年間計画等の指導・助言 ・ メンターチームへのアドバイス 等 相談 助言 相談 指導 助言 メンターチーム 先輩教職員Aさん 先輩教職員Bさん 先輩教職員Cさん 相談 助言 若手教職員Eさん 若手教職員Fさん 若手教職員Dさん 若手教職員の育成を図るメ ンターチームの取組例

参照

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