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全文

(1)

大腸がんの手術を

受けられた方へ

編著:東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学 助教 石黒 めぐみ氏

監修:東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学 教授 杉原 健一氏

(2)

あなたの受けた手術

年 月 日

手術を行った日

お腹の創

手術で切除した範囲

術式名

(受けた手術の名称)

きず

(3)

病理検査の結果

大腸(断面)

←粘膜

←粘膜下層

←固有筋層

←漿膜下層

←漿膜

リンパ節

深達度

大腸癌取扱い規約【第8版】

□ Tis(粘膜まで)

□ T1(粘膜下層まで)

□ T2(固有筋層まで)

□ T3(漿膜下層まで)

□ T4a(漿膜に露出)

□ T4b(ほかの臓器に浸潤)

リンパ節転移

□ なし

□ あり ➡ 個

(□N1 □N2 □N3)

ほかの臓器への転移

□ 術前の検査では認めていません

□ ほかの臓器への転移が疑われます

➡(臓器)

以上の結果を総合すると

あなたの大腸がんの病理学的進行度(ステージ)は

と診断されます。

3

0

Ⅲa

Ⅲb

(4)

漿膜下層

【参考】大腸がんの進行度(ステージ)

・がんが粘膜の中にとどまっている

・がんが粘膜下層あるいは固有筋層

までにとどまっている

・リンパ節転移がない

・がんが固有筋層を超えている

・リンパ節転移がない

・リンパ節転移がある

・ほかの臓器への転移や

腹膜播種がある

Ⅲa:リンパ節転移が1~3個

Ⅲb:リンパ節転移が4個以上

肝転移

肺転移

腹膜播種

粘膜

粘膜下層

固有筋層

漿膜

リンパ節転移

ステージ0

ステージⅠ

ステージⅡ

ステージⅢ

ステージⅣ

(5)

今後の治療について

① 大腸がんの「再発」とは?

② 大腸がん手術後の定期検査

③ 術後補助化学療法

④ 一時的人工肛門の閉鎖

⑤その他のがんの検診について

☑:あなたに当てはまるもの

5

(6)

a)大腸がんの「再発」とは?

・手術でがんをすべて取りきったと思っても

一定の割合で再発

が起こります。

1cmくらい

手術前

手術後

再 発

大腸から離れた場所に

❝飛び火❞した目に見えない

大きさのがん

徐々に

増えてきて

画像に写る大きさの

しこりになったもの

①大腸がんの「再発」とは?

(7)

・手術のときのステージが進んでいるほど

再発する確率(再発率)は高くなります。

2.7

12.1

24.3

5.7

16.7

43.2

0

10

20

30

40

50

ステージⅠ ステージⅡ ステージⅢ

3.7%

13.3%

30.8%

(%)

再発率

結腸がん

直腸がん

大腸癌研究会・プロジェクト研究 1991~1996年症例

大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変

b)大腸がんの再発率

①大腸がんの「再発」とは?

7

(8)

【参考】大腸がんの5年生存率

(%)

大腸癌研究会・大腸癌全国登録 2000~2004年症例

大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変

94.0

91.6

84.8

77.7

60.0

18.8

0

20

40

60

80

100

ステージ0 ステージⅠ ステージⅡ ステージⅢa ステージⅢb ステージⅣ

(9)

・大腸がんの再発には、以下のようなものがあります。

遠隔再発

ほかの臓器に再発

・肝再発

・肺再発

・その他:脳や骨など

腹膜再発

(腹膜播種)

お腹の中(腹腔内)に

種をまいたように

散らばって再発

吻合部再発

腸をつなぎ合

わせた部分に

再発

局所再発

もともとがん

があった周囲

に再発

c)大腸がんの主な再発形式

①大腸がんの「再発」とは?

9

(10)

・大腸がんの再発は、

手術で取りきれれば治る可能性があります。

・再発が起こっていないかどうかをチェックするために

手術後には定期的な検査が大切

です。

・手術のあと、

5年間

は定期検査を行います。

a)定期検査はなぜ必要?

②大腸がん手術後の定期検査

大腸がんの再発のうち、96%が手術後5年以内に起こります。

(11)

・以下のようなスケジュールに従って定期検査を行います。

問診・診察

直腸指診【直腸がん】

腫瘍マーカー

胸部・腹部CT

骨盤CT【直腸がん】

大腸内視鏡検査

3ヵ月ごと

6ヵ月ごと

6ヵ月ごと

3ヵ月ごと

6ヵ月ごと

6ヵ月ごと

6ヵ月ごと

1~2年ごと

※ステージや患者さんのからだの状態によって多少異なります。

大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版. 大腸癌研究会編(金原出版)より改変

b)定期検査のスケジュール(例)

②大腸がん手術後の定期検査

1年

2年

3年

4年

5年

11

(12)

・からだの中に残っているかもしれない

見えないがん細胞を攻撃し、

再発を防ぐ

あるいは

再発を遅らせる

ことを

目的として、

手術のあとに行う抗がん剤治療

のことを

「術後補助化学療法」

といいます。

・原則として術後1~2ヵ月を目安に開始し、

6ヵ月

行います。

・ステージⅢの患者さん

・ステージⅡのうち再発する危険性が高いと思われる患者さん

【術後補助化学療法の対象となる患者さん】

・通常は

2~3週おきの外来通院

で治療します。

a)術後補助化学療法とは?

③術後補助化学療法

(13)

・大腸がんの術後補助化学療法で使用されるレジメンには、

以下のようなものがあります。

※レジメンとは、使用する薬剤とその組み合わせ、投与する量やスケジュールなど

治療の「レシピ」のようなものです。

レジメン

剤型

投与方法

投与スケジュール

・5-FU+LV療法

注射薬

2時間かけて点滴

その後2週間休む

週1回×6回

・UFT+LV療法

飲み薬

内服(1日3回)

その後1週間休む

4週間内服

・カペシタビン療法

飲み薬

内服(1日2回)

その後1週間休む

2週間内服

・FOLFOX療法

注射薬

48時間かけて点滴

2週間おき

・CapeOX療法

飲み薬

+

注射薬

点滴は約2時間

カペシタビンは内服(1日2回)

その後1週間休む

点滴+2週間内服

b)術後補助化学療法で使用されるレジメン

③術後補助化学療法

13

(14)

④一時的人工肛門の閉鎖

・今回の手術では、以下のような目的で、

一時的な人工肛門を造設しました。

□ 腸のつなぎ目を安静に保ち、縫合不全*を予防するため。

□ 術後、縫合不全*が起こったため。

*縫合不全:腸のつなぎ目がほころびること

・腸のつなぎ目が落ち着いたころを見計らって

人工肛門を閉鎖する(もとに戻す)手術を行います。

・1~2時間程度の手術です。

・今回の手術と同様、全身麻酔で行います。

・おおよその入院期間: 日程度

・手術を行う時期の目安: 年 月ころ

口側の 腸管 肛門側 の腸管 皮膚 筋層 腹膜 お腹の壁 (腹壁)

(15)

・大腸がんの手術後には、再発のチェックを目的とした定期

検査を行いますが、ほかの臓器のがんの検査としては

必ずしも十分ではありません。

※大腸がん手術後の患者さんがほかの臓器のがんにかかる頻度は

1~5%と報告されています。

・大腸がんにかかったあとも、

ほかの臓器のがん

にかかる可能性があります。

・自治体

など

で実施されるがん検診は、積極的に受けましょう。

大腸がん手術後の定期検査では

見つかりにくいがん

大腸がん手術後の定期検査で

見つかりやすいがん

・胃がん ・食道がん

・乳がん ・子宮がん

・前立腺がん

・肺がん ・肝臓がん

a)ほかの臓器のがんの検診について

⑤その他のがんの検診について

15

(16)

・5年間の「手術後の定期検査」が

終了したあとも、

2~3年に1回の大腸内視鏡検査

受けることが勧められます。

※大腸がん手術後の患者さんで、大腸の別の部分に別の大腸がんができる頻度は

1~3%と報告されています。これは一般集団に比べておよそ1.5倍高い頻度です。

・大腸がんの手術を受けたあとも、

大腸の別の部分

別の大腸がん/大腸ポリープ

ができる

可能性があります。

b)別の大腸がんができる可能性があります

⑤その他のがんの検診について

(17)

退院後の生活について

① 退院後の食生活

② 退院後の日常生活

③ 退院後の仕事復帰

④ 退院後のスポーツやレジャー

17

(18)

①退院後の食生活

・原則として食事の内容に制限はありません。

規則正しく食事をとりましょう。

ゆっくり、よくかんで食べましょう。

一度にたくさん食べすぎないようにしましょう。

バランスよく、消化の良いものを中心にとりましょう。

水分をしっかりとりましょう。

アルコールはほどほどに。

腸閉塞のサインを知っておきましょう。

「ゆっくり、よく噛んで、腹八分目」

を心がけましょう。

【食事のとり方の基本】

詳しくは24ページ

(19)

【参考】一度にたくさん食べ過ぎるとよくない食品

・原則として食事の内容に制限はありません。

・ただし、以下のような

消化されにくい食べ物を一度にたくさん食べると、

つまったり流れにくくなったりして、

腸閉塞を起こすことがあります。

こんぶ・わかめなどの

海藻類

きのこ類

まめ類

ごぼう・れんこんなど

繊維質の根菜類

こんにゃく

食べ方や調理法を工夫して

適量を食べるようにしましょう

・よく噛む

・こまかく刻む

(繊維と垂直に切る)

・やわらかく煮込む

など

19

詳しくは24ページ

(20)

②退院後の日常生活

・退院後2ヵ月ほどはあまり無理をしないほうがよいですが

自分の体力の回復に合わせて、

徐々に行動範囲を広げていきましょう。

・まずは散歩や、軽い家事などがよいでしょう。

おとなしくして創を大事にしていたからといって、

創の治りやがんの治りがよいわけではありません。

・適度に体を動かしましょう。

適度な運動は体力や筋力を回復させ、胃腸の活動を活発にします。

血行をよくし、手術の傷跡の治りもよくします。

疲れ具合に応じて、出かける時間や距離、作業の量や程度を

増やしたりしてみましょう。

病院への通院もよいリハビリになります。

きず きず

(21)

③退院後の仕事復帰

・デスクワーク中心の仕事

であれば、

手術後1ヵ月程度

・からだを動かす仕事

であれば、

手術後2~3ヵ月程度

が復帰の目安です。

・軽めの仕事から徐々に始めていくのがよいでしょう。

・ご家族や職場の人たちのサポートが心身とも

に大切です。

ひとりで悩まずに、周りの人たちと協力して、

手術後の回復期を乗り切りましょう。

いきなりもとの仕事の内容・量を目指すのではなく、

時短勤務や、一時的に仕事の内容を変更すること(外回り→内勤)なども

考慮しましょう。

21

(22)

④退院後のスポーツやレジャー

・体を鍛え上げるような激しい運動をする必要はありません。

・お腹に力が入るような運動は、

手術後2~3ヵ月は控えましょう。

・もちろん旅行だって楽しめます。

自分の体力に合わせて、好きな運動を生活に取り入れて楽しみましょう。

腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。

腹壁瘢痕ヘルニアの原因になることがあります。

とくに制限はありません。

はじめのうちはあまり無理のない範囲で楽しみましょう。

詳しくは25ページ

2~3ヵ月は…

(23)

今後起こりうる手術の影響

① 腸閉塞(イレウス)

② 腹壁瘢痕ヘルニア

③ 排便習慣の変化

④ 排尿機能障害【直腸がん】

⑤ 性機能障害【直腸がん】

☑:あなたに当てはまるもの

□【結腸がん】

□【直腸がん】

□【人工肛門】

23

(24)

①腸閉塞(イレウス)

・お腹の手術を受けた後は、癒着などにより、

何らかのきっかけで便の通りが突然悪くなることがあります。

これを

「腸閉塞(イレウス)」

といいます。

軽いお腹の張りを感じても、便やガス(おなら)が出ている場合は、

食事の量を減らして様子を見てください。

便やガス(おなら)の出が悪くなり、

お腹が張ったり、お腹が痛くなったり、嘔吐したりします。

強い腹痛、嘔吐、排便・排ガスがない などがある場合は、

飲食はせずに、ただちに病院に連絡してください。

・軽い場合は食事をしばらくお休みすれば改善します。

それで改善しない場合は、鼻から管を入れて腸の内容物を

吸い出したり、手術が必要になる場合もあります。

(25)

②腹壁瘢痕ヘルニア

・お腹の壁(腹筋)を縫い合わせた部分のうち、

筋肉に弱いところがあると、そこから

腸がお腹の外に脱出することがあります。

これを

「腹壁瘢痕ヘルニア」

といいます。

あおむけに寝たり、お腹の力を抜くことによって、簡単に腸がお腹の中に

戻る場合は、日常生活に支障がなければ、治療を急ぐ必要はありません。

・腹壁瘢痕ヘルニアを予防するため、

手術後2~3ヵ月は、腹圧のかかる作業は避けてください。

脱出した腸がねじれて血行が悪くなったりした場合には、強い痛みが起こります。

この場合はただちに手術が必要ですので、すぐに病院に連絡してください。

腹筋運動、重いものを持ち上げる、ゴルフ、相撲、柔道など。

お腹に力を入れたり長時間立っていたりすると、お腹の創の付近が

ポコッと盛り上がり、押すとペコペコします。

✔ 太りすぎないように気を付けてください。

25

皮膚 筋層 腹膜 小腸・大腸 きず

(26)

③排便習慣の変化【結腸がん】

・結腸がんの手術では、日常生活に支障が出るような変化は

ほとんどありません。

手術後2~3ヵ月は、やや便通が落ち着かないと感じることもあると思います。

時間の経過とともに、少しずつ落ち着いてくるのが一般的です。

便を柔らかくする薬や下痢止めなど、

いろいろなお薬で改善する場合があります。

・便秘・下痢が続くなど、便通にお悩みのときは

主治医に相談してください。

規則正しい食生活が大切です。

とくに朝食はきちんととりましょう。

散歩などの適度な運動も効果的です。

(27)

③排便習慣の変化【直腸がん】

・直腸がんの手術では、肛門が残っても、直腸の大部分が切り

取られているので、十分に便をためられないために、

以下のような排便習慣の変化が見られます。

・便の回数が増える

・残便感がある

・便意をがまんできない

・寝ている間やお腹に力を入れたときに便やガスが漏れてしまう

・夜間や外出時の漏れが心配な場合は、生理用品や尿取りパットを使う。

(トイレットペーパーはお尻が荒れてしまうので避ける!)

・外出直前の食事は避ける。

・駅や外出先では、あらかじめトイレの場所を確認しておく。

・シャワートイレがおすすめ(携帯用のものもあります)。

・半年~1年くらいの経過で、徐々に改善してきます。

※程度には個人差があります。

・排便のパターンをつかんで、上手に付き合っていきましょう。

27

(28)

③排便習慣の変化【人工肛門】

・人工肛門に関する悩みやトラブルがあるときは、

「ストーマ外来」

で専門の医師・看護師に相談してみましょう。

・永久人工肛門になった患者さんでは、「直腸膀胱機能障害」

(通常は4級)として

身体障害者手帳

を取得できます。

【ストーマ外来のリスト】「日本創傷・オストミー・失禁管理学会」ホームページ

http://www.etwoc.org/stoma.html

「日本オストミー協会」ホームページ

http://www.joa-net.org/

日常生活に役立つさまざまな情報が得られます。

・人工肛門・人工膀胱をもつ患者さんの会もあります。

・装具の給付、税の控除などのサービスを受けることができます。

・患者さん自身(またはご家族)による申請が必要です。

・申請以降に助成が開始されるので、早めに申請の手続きを。

・詳しくは、市区町村の福祉担当窓口や、病院の社会福祉士

(ソーシャルワーカー)に問い合わせてみましょう。

(29)

④排尿機能障害【直腸がん】

・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、

がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより

排尿機能に障害が出ることがあります。

・尿意がよくわからない

・膀胱に尿がたまりすぎてあふれる

・膀胱の壁が固くなって伸びが悪い

→あまり尿をためられずにあふれてしまう

・押し出す力が弱く、“残尿”が増える

・尿意がなくても、一定の時間ごとにトイレに行く。

・男性の小用も座ってゆっくりと。

・排尿時に下腹部を圧迫する(手で押す+前かがみ)。

・症状に応じたお薬で症状が改善する場合があります。

・自己導尿(自分で尿道に管を入れて尿を出す)

泌尿器科

の医師に相談

● 膀胱のセンサーの障害

● 膀胱が収縮する機能の障害

膀胱

尿道括約筋

29

(30)

⑤性機能障害【直腸がん】

・手術操作による一時的な自律神経のダメージや、

がんを取りきるために一部の自律神経を切除したことにより

性機能に障害が出ることがあります。

【男性の場合】

・勃起障害

・射精障害

※女性の場合の性機能への影響は

よくわかっていません。

・手術の影響による症状です。

恥ずかしがらずに主治医に相談しましょう。

・お薬で改善する場合が

あります。

・専門の医師への相談も

できます。

対策

泌尿器科

の医師に相談

膀胱への神経枝

直腸への神経枝

骨盤内臓神経

(勃起神経)

骨盤神経叢

(下下腹神経叢)

下腹神経

上下腹神経叢

腹部大動脈

下大静脈

参照

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