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和菓子用米粉の物性と調理法に関する研究 ながら弱火で 8 分間練って調製した 2) 練りきり白練りあん 2 g にぎゅうひ 2 g( 練りあん重量の 1%) を加え弱火で 5 分間加熱してぎゅうひを均一に練りまぜ, 手に付着しなくなったら乾いた布巾に包んで 5 分間混捏する この生地を小分けにして

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Academic year: 2021

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緒  言  米粉を用いる和菓子には団子や草餅,大福餅などの餅菓 子類,ぎゅうひや練りきり,こなしなどの練りもの,そし て蒸して作るういろうなどさまざまである1)。これまで多 くの専門家が長年の経験を元に和菓子の調製法についての 書籍を出版している2-5)。その中で和菓子は素材の種類や混 合材料,調製法により物性が大きく異なることが記されて いる。例えば練りきりは練りあん(生あんに砂糖類を加え て練り上げたもの)6,7)に「つなぎ」としてぎゅうひを加え ることで,成形加工しやすくなる6)。また薄く伸して成形 するういろう生地の場合は材料を蒸した後,熱いうちに混 捏することにより,こしのある生地が得られる2)といわれ ている。しかしこれらを裏付ける研究報告は見当たらない。  米粉の特性については多くの報告8,9)がある。また団子の 食味特性や粘弾性10,11),ういろうの品質特性に関する報告12) も多く,近年は特に微粒子化された米粉を用いた団子の性 状についての報告13)もある。しかし寒梅粉,上南粉,新引 き粉などの α 化もち米粉の特性に関する報告,また和菓子 の調製法と物性に関する報告は少なく,練りきりの物性に ついては保存方法との関連からの研究14)を見るに過ぎない。  そこで本研究では和菓子用米粉として,市販の生米粉お よび α 化もち米粉の調理特性を明らかにする目的で,ラ ピッドビスコアナライザーを用いた加熱・冷却時の米粉懸 濁液の粘度および得られた糊液のテクスチャーをテンシプ レッサーにより求め,ショ糖添加の影響と併せて検討した。 実際の調理面からは,練りきりおよびういろう伸ばし生地 を取り上げ,素材や調製法が物性に及ぼす影響について検 討し,若干の結果を得たので報告する。 実験材料および方法 1. 試料  生米粉は市販のうるち米粉の上新粉・上用粉,もち米粉 の白玉粉・もち粉の 4 種,α 化もち米粉の寒梅粉・上南 粉・新引き粉の 3 種の計 7 種((株)富澤商店)を用い,群 馬製粉(株)製の上新粉,上用粉,もち粉および寒梅粉の 4 種と比較した。その他,上白糖(三井製糖(株)),ショ糖 (スクロース:和光純薬工業(株)),くず澱粉・小麦澱粉 ((株)富澤商店),白練りあん(亀澤堂製;配糖率15)63%, 水分 31.5%)を用いた。 2. 試料の調製法 1) ぎゅうひ  もち粉 90 g,上白糖 90 g,水 100 g を混ぜ合わせ,さら しを敷いた目ざるに流し入れて蒸し加熱法により,中火強 で 15 分間加熱後,生地に切り込みを入れてさらに 20 分間 加熱した。これを鍋に移し上白糖 45 g を 3 回に分けて加え * 共立女子大学

(Kyoritsu Women’s University) ** 愛国学園短期大学

(Aikoku Gakuen Junior College)

§ 連絡先 共立女子大学家政学部

〒 101-8437 東京都千代田区一ツ橋 2-2-1 TEL 03(3237)2492 FAX 03(3237)2492

和菓子用米粉の物性と調理法に関する研究

Physical Properties and Cooking Methods of Rice Flour for

Making Traditional Japanese Sweets

高 橋 節 子* 近 堂 知 子*

§

平 尾 和 子**

Setsuko Takahashi Tomoko Kondo Kazuko Hirao

The characteristics of seven types of raw and gelatinized rice flour used in making traditional Japanese sweets, and the effects on the physical properties of nerikiri and uiro caused by different cooking methods were investi-gated. The physical properties of shiratama- flour and mochi- flour were similar, as were those of joshin- flour and

joyo- flour. The temperature that showed the maximum viscosity for shiratama- flour was 75°C, this being lower

than that for joshin-flour and most easily gelatinized at that temperature. The physical properties of jonan- flour were similar to those of shiratama- flour and mochi - flour, while kanbai- flour had a lower viscosity and less starchiness. Sweetened an added to gyuhi resulted in, the hardness, cohesiveness, fabrication characteristics and sustainability of nerikiri being dramatically increased. When uiro was mixed at a high temperature, and kuzu starch was used, the rupture properties and rupture energy of uiro both had high values, and a chewy dough resulted.

キーワード:米粉 rice flour;α 化米粉 gelatinized rice flour;テクスチャー特性 texture properties;破断特性 

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ながら弱火で 8 分間練って調製した。 2) 練りきり  白練りあん 200 gにぎゅうひ 20 g(練りあん重量の 10%) を加え弱火で 5 分間加熱してぎゅうひを均一に練りまぜ, 手に付着しなくなったら乾いた布巾に包んで 5 分間混捏す る。この生地を小分けにして 3 分間放冷,再び 3 分間混捏 を 2 回繰り返し,室温まで冷却した。  白練りあん,調製後のぎゅうひおよび練りきりはテクス チャー測定用シャーレ(Ф 24×6 mm)に入れ,1 時間お よび 3・5・7 日間室温(25℃)に保存したのち測定に供し た。 3) ういろう伸ばし生地  上用粉 100 g,もち粉 30 g,くず澱粉 15 g,上白糖 210 g,水 175 g を混ぜ合わせ,ステンレス製の型(150×150× 43 mm)に流し入れ中火強で 25 分間蒸した。加熱直後に 10 分間混捏した生地を通常製法とし,内部温度 50℃まで 冷ましてから通常製法と同様に混捏した生地と比較した。 なお,副材料のくず澱粉の代わりに,小麦澱粉を用いた生 地についても比較検討した。混捏後の生地は厚さ 2 mm に 圧延し,10×40 mm に切断した試料を測定に供した。 3. 測定方法 1) 米粉の水分含量  米粉はポリエチレン製の袋に入れ,冷蔵(5℃)保存して いたものを室温にもどした。水分含量は電子水分計(チョ ウバランス(株)製 MC-30 MB)を用いて,粘度測定前に 各々3 回測定し平均値を算出した。 2) 米粉の平均粒径  米粉の粒度分布は,レーザーマイクロサイザー LMS-2000e(センシン企業(株))を用いて乾式測定法で測定し た。測定条件として,分散圧力は 0.3 MPa,分散ユニット はワンショットノズルとした。平均粒径はメディアン径d50 の値として示した。なお,白玉粉は JIS 標準篩いの振動篩 い分けにより粒度分布を測定した。 3) 米粉懸濁液の加熱・冷却時の粘度  ラ ピ ッ ド ビ ス コ ア ナ ラ イ ザ ー(以 下 RVA と い う) (RVA-3D,Newport Scientific Pty. Ltd.)により,試料濃 度 12.3%について求めた。測定は初期温度 50℃で 1 分間保 持後,10.7℃/分で 93℃まで昇温させ,93℃で 7 分間保持 したのち,昇温時と同一速度で 50℃まで降温し,50℃で 3 分間保持した。撹拌スピードは 160 rpm とし,ショ糖 20% 添加についても同様の測定を行った。  α 化もち米粉の場合は,試料濃度 12.3%をホモジナイ ザーで 3 分間,寒梅粉は 10 分間撹拌後,RVA を用いて 25℃で 60 分間,160 rpm で撹拌しながら測定した。 4) 糊液のテクスチャー測定  粘度測定後の冷却 50℃の糊液をドラフティングテープを 巻いたシャーレ(Ф 24×6 mm)に流し入れ,30 分間室温 に放置後,5℃で 2 時間保存し,その後室温に 40 分間放置 したのち測定に供した。測定時はドラフティグテープを取 りはずしシャーレ上部の端に合わせてステンレス製の定規 で平らにすりきり,測定に供した。  テクスチャーはテンシプレッサー((有)タケトモ電機製 TTP-50 BX)に よ り,Ф 11.25 mm の 円 柱 型 プ ラ ン ジャーを用いて,測定スピード 2 mm/sec,圧縮率は試料 の高さの 90%とし,得られたテクスチャー曲線から硬さ, 付着性,凝集性およびねばさを求めた。 5) 白練りあん,ぎゅうひ,練りきりのテクスチャー測定  テンシプレッサーにより,糊液のテクスチャー測定と同 様の条件で白練りあん,ぎゅうひ,練りきりの硬さ,付着 性,凝集性およびねばさを測定した。 6) ういろう伸ばし生地の破断測定  クリープメーター((株)山電 RE-3305)により,プラン ジャーはくさび形を用い 1 mm/sec のスピードで破断特性 を測定し,破断応力,破断エネルギーおよび破断歪率を求 めた。 実験結果および考察 1. 米粉の水分含量および平均粒径  米粉の種類,水分含量及び平均粒径を表 1 に示した。  米粉の水分含量は,α 化もち米粉の新引き粉以外は 12.4~13.1%を示したのに対し,新引き粉は 5.9%と低い 水分含量を示した。  米粉の平均粒径から上用粉は上新粉の 1/2 と小さく,も ち粉はこれら 2 種の中間の大きさと言える。α 化もち米粉 の寒梅粉は上新粉に近似し,上南粉は寒梅粉の約 3 倍の大 きさであり,新引き粉は上南粉の 4 倍と大きい平均粒径で あった。  白玉粉の粒度分布を表 2 に示した。白玉粉は不定形の塊 のため,篩いにより粒度分布を測定したところ,80%が 24 メッシュ(目開き 710 μm)上に残った。 2. 米粉懸濁液の加熱・冷却時の粘度  RVA を用いて測定した米粉濃度 12.3%の加熱・冷却時 の粘度変化を図 1A に示した。この図から,生のもち米か ら作られる白玉粉・もち粉はうるち米からの上新粉・上用 粉に比べて粘度が低く,最高粘度で約 260 RVU 低い。また 白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉のそれぞれの粘度の差は 少ないといえる。さらに白玉粉の最高粘度を示す温度が 75℃と上新粉の 93℃に比べて低いことから,白玉粉は上新 粉に比べて低い温度で糊化しやすいといえる。  斎藤8,16)は上新粉および白玉粉は粒が細かくなるにつれ て最高粘度,ブレークダウンが大となり,セットバックは 小さくなると報告している。本研究で用いた上新粉と上用 粉,白玉粉ともち粉はそれぞれ粒度に差が認められたが, 粘度に大きな違いは認められなかった。 3. 米粉糊液のテクスチャー  米粉糊液のテクスチャーを図 2 に示した。この図から上

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新粉,上用粉の糊液の硬さは 56~61 gw/cm2を示し,付着 性は 23~26 gw・sec,凝集性は 0.67~0.70,そしてねば さは 9.5~10.3 mm を示した。これらに対し白玉粉,もち 粉の硬さ,付着性はうるち米粉の約 1/3 と小さい値で,軟 らかくべたつきの少ない糊液といえる。しかし,ねばさと 凝集性についてみると,上新粉,上用粉よりも大きい値を 示し,有意にねばさがあり,内部結合力の大きい糊液とい えた。 表 1.  米粉の種類,水分含量及び平均粒径 米 粉 試 料 水分含量(% ) 平均粒径(μm) 原 材 料 名 備   考 生米粉 うるち米粉 上 新 粉 12.9 105.5 うるち米(アメリカ) 厳選された良質のうるち米を非加熱でひいたもの。 上 用 粉   12.4 46.7 うるち米(国内産) 薯蕷まんじゅう用のきめの細かい米粉。 も ち 米 粉 白 玉 粉 13.1 - もち米(国内産) 白玉だんごやぎゅうひに。 も ち 粉 12.9 73.5 もち米(国内産,アメリカ) 厳選した良質のもち米だけを加工。 α 化もち米粉 寒 梅 粉 13.1 116.5 もち米(国内産,タイ),ワキシースターチ(アメリカ) もち米を蒸して餅生地を作り,更に煎餅状に焼き上げ澱粉をα化してから製粉。 上 南 粉  12.9 343.4 もち米(国内産,アメリカ), 澱粉,食用植物油脂,炭酸カ ルシウム,膨張剤 もち米を粒状に焼き上げたもの。 新引き粉 5.9 1333.8 もち米(国内産) もち米を蒸して乾燥した後,粉砕して 煎ったもので,落雁などの和菓子や揚げ 物の衣に。 表 2.  白玉粉の粒度分布 メッシュ 目開き(μm) ON(%) 24 710 80 32 425 6.8 42 355 4.4 60 250 3.8 83 180 1.3 100 150 0.6 140 106 0.9 200 75 0.8 235 63 0.3 235PASS 63 1.1 合計 100 図 1.  米粉懸濁液の加熱・冷却時の粘度 1-A 生米粉 0 100 200 300 400 500 600 0 5 10 15 20 温度(℃) 上新粉 上用粉 白玉粉 もち粉 50 93 93 50 50 1-A 生米粉 (試料濃度12.3%) 0 100 200 300 400 500 600 0 10 20 30 40 50 60 1-B α化もち米粉 (試料濃度12.3%) 粉 梅 寒 上南粉 新引き粉 時間(分) 時間(分) 粘度(RV U) 粘度(RV U) 0 100 200 300 400 500 600 0 5 10 15 20 温度(℃) 上新粉 上用粉 白玉粉 もち粉 50 93 93 50 50 1-A 生米粉 (試料濃度12.3%) 0 100 200 300 400 500 600 0 10 20 30 40 50 60 1-B α化もち米粉 (試料濃度12.3%) 粉 梅 寒 上南粉 新引き粉 時間(分) 時間(分) 粘度(RV U) 粘度(RV U) 1-B α化もち米粉 寒梅粉 上南粉 新引き粉 上新粉 上用粉 白玉粉 もち粉 生米粉(ショ糖無添加) ショ糖20%添加 α化もち米粉(ショ糖無添加) 0 2 4 6 8 10 12 14 ね ばさ (m m ) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 凝集性 0 20 40 60 80 100 120 付着性 (g w ・ se c) 0 40 80 120 160 200 硬さ (g w / cm 2) 生米粉 α化もち米粉 a-h:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) 上新粉 上用粉 白玉粉 もち粉 寒梅粉 上南粉 新引き粉 c b c a de de d de f f de e f f c b c a e de de d f f de de f f a ab b c e dcd cd cd cd e ef e f cd bc e e bca b a h h d d g f 図 2.  米粉糊液のテクスチャー 生米粉(ショ糖無添加)  α化もち米粉(ショ糖無添加) ショ糖 20%添加 a-h:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05)

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 斎藤8)は上新粉および白玉粉の粒度と団子の硬さについ て,粒度の細かいほど軟らかい団子が得られると報告して いる。今回は試料濃度が 12.3%と団子調製時の濃度よりも 希薄な溶液を糊化させて得られた糊液であるためか,上新 粉と上用粉,白玉粉ともち粉の測定値に差は認められな かった。 4. 寒梅粉,上南粉,新引き粉の粘度とテクスチャー  α 化もち米粉の粘度を図 1B に示した。α 化もち米粉は 水を加えて撹拌するとすぐに粘りが出るので加熱せずに室 温で撹拌した。この図から,製法の似ている上南粉と新引 き粉は近似の粘度曲線を描き,上南粉が僅かに高い粘度を 示した。寒梅粉はこれらの 1/2 以下と低い粘度であった。  糊液のテクスチャー(図 2)から,上南粉の測定値は白 玉粉,もち粉に近似の値を示した。寒梅粉と新引き粉はと もに硬さ,付着性の小さい糊液であったが,ねばさと凝集 性には差が認められ,新引き粉はねばさがあり,凝集性が 大であった。  なお,米粉の原料米の種類や調製法により製品の性質に 差異が認められるか否かを知る目的で,群馬製粉(株)製の 上新粉,上用粉,もち粉および寒梅粉の 4 種を用いて粘度 および糊液のテクスチャーを同様に測定したところ,図に は示していないが,2 社の米粉の特性には大きな差は認め られなかった。 5. ショ糖の添加が米粉懸濁液の粘度および糊液のテクス チャーに及ぼす影響  ショ糖添加が米粉糊液の粘度に及ぼす影響を図 3 に示し た。上新粉にショ糖を 20%添加した場合,最高粘度が約 83 RVU 大となり,ブレークダウンは小となり,冷却 50℃の 粘度は無添加の 2.5 倍と粘度の上昇が認められた。また得 られた糊液の硬さは約 2 倍,付着性は約 2.5 倍と増大した (図 2)。  上新粉にショ糖を 30%添加した場合,最高粘度で約 1.5 倍,冷却時で約 3 倍の粘度上昇が報告12)されており,これ は本報告と同様の結果といえる。  白玉粉の場合,ショ糖 20%添加により,粘度が僅かに上 昇を示し(図 3),糊液のテクスチャーではねばさの増加が 有意に認められた(図 2)。  なお,上用粉ともち粉の粘度は図には示していないが, 各々上新粉,白玉粉と同様の傾向であった。  次に α 化もち米粉の場合,図には示さないが新引き粉, 上南粉はショ糖 20%添加で粘度の上昇が認められ,寒梅粉 は僅かに低下を示した。α 化もち米粉類の糊液のテクス チャーでは,ショ糖の添加により新引き粉のねばさの増加 が有意に認められた(図 2)。これらの結果から, 1) 白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉はそれぞれ懸濁液の 加熱・冷却時の粘度に差は少なく,糊液のテクスチャー の違いも僅かであった。 2) 白玉粉の最高粘度を示す温度は 75℃と上新粉の 93℃に 比べて低く,もち米粉は低温で糊化しやすいことが明ら かであった。 3) ショ糖 20%の添加は,白玉粉,もち粉,そして新引き 粉において,糊液のねばさを有意に付与することが確認 された。 6. ぎゅうひおよび練りきりのテクスチャー  ぎゅうひ,練りあん,練りきりのテクスチャーを図 4 に 示した。この図から調製直後のぎゅうひは硬さ,付着性, 凝集性およびねばさはともに大きい値で,これらは練りあ んの 2.8~3.5 倍の値であった。練りきりの硬さは練りあん の 1.7 倍,凝集性は 1.5 倍と有意に増加が認められた。付 着性およびねばさは各々1.4 倍,1.2 倍と値は増加したもの の有意の差は認められなかった。ぎゅうひはもち粉のアミ ロペクチン分子が加熱により糊化して粘りのある伸びの良 い生地となり,ゲル化したものである。このぎゅうひをつ なぎとして練りあんに加えた結果,練りきりの硬さ,凝集 性が有意に大となることが明らかであった。  室温保存がぎゅうひ,練りあん,練りきりのテクス チャーに及ぼす影響を図 5 に示した。室温保存日数が増す にしたがい,練りあんの付着性は 220,76,34,16,12 gw・sec,凝集性は 0.32,0.13,0.09,0.07,0.06,そし てねばさは 3.7,1.3,0.8,0.3,0.2 mm とそれぞれ急激 に減少したのに対し,ぎゅうひおよび練りきりは保存によ るテクスチャーの変化が緩慢であった。  これらのことから,練りあんにぎゅうひを加えることに より硬さ,凝集性が増したことは,一般に言われている成 形し易くなること,またその形状を保持できるなどの効果 を裏付けるものと考えられた。これはぎゅうひを加えるこ とにより,粘性をもった粒子間物質が豊富な練りあん粒 子17)が,粘性のあるぎゅうひ生地中に分散して内部結合力 が大となり,硬さを増して成形しやすくなると推察された。 また,ぎゅうひの程よい粘りと伸びは練りきりを細工しや すくすると考えられた。ぎゅうひにはもち米粉重量の 1.5~2.0 倍の上白糖が加えられており,ぎゅうひの物性変 0 100 200 300 400 500 600 700 0 5 10 15 20 50 93 93 50 50 上新粉 白玉粉 上新粉 白玉粉 ショ糖20%添加 温度(℃) 時間(分) 粘度(RVU) 図 3.  ショ糖添加が米粉懸濁液の粘度に及ぼす影響 上新粉  白玉粉 ショ糖 20%添加  上新粉  白玉粉

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0 2 4 6 8 10 12 14 16 ぎゅうひ 練りあん 練りきり ね ばさ (m m ) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 ぎゅうひ 練りあん 練りきり 凝集性 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 ぎゅうひ 練りあん 練りきり 付着性( g w ・ se c) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 ぎゅうひ 練りあん 練りきり 硬さ (g w / cm 2 ) a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) a c b a b a a b b b b a 図 4.  ぎゅうひ,練りあん,練りきりのテクスチャー a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 0 1 3 5 7 硬さ (g w / cm 2) 0 500 1000 1500 2000 付着性( g w ・ se c) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 凝集性 0 5 10 15 ね ばさ (m m ) 保存日数(日) ぎゅうひ 練りあん 練りきり ぎゅうひ、練りあん、練りきり各々で検定を行なった。 a-f:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) b b c b b b a a b b a a a a b a a a b b b a bc b a c c a c c a b bc c c a ab bc c c a b bc bc c a b bc c c a a a b b b b b b b 図 5.  室温保存がぎゅうひ,練りあん,練りきりのテクスチャーに及ぼす影響 ぎゅうひ  練りあん  練りきり ぎゅうひ,練りあん,練りきり各々で検定を行った。 a-f:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05)

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化は少ないことが知られている8)。練りあんにぎゅうひを 加えた練りきりは,糖濃度が増し老化は防止されて室温保 存によるテクスチャーの変化が緩慢になったと考えられる。 小口ら14)はぎゅうひを用いず,白餡,大和芋を材料として 調製したねりきりの物性変化について,調製後 24 時間で硬 さは 1.8 倍となり,付着性は 40%低下と,物性変化の大き いことを報告しており,素材や配合割合,作り方などが製 品の物性に大きく関与していると考えられた。  一般に 練りきりの「つなぎ」には,ぎゅうひが用いられ るが,α 化もち米粉の寒梅粉を練りあん重量の 6~8%,ま た白玉粉の場合は練りあん重量の 1.5~2%程度18,19)を「つ なぎ」として用いる場合もある。白玉粉は 75℃で最高粘度 が示され糊化のしやすさが明らかなことから,水で溶きの ばした白玉粉を練りあんに加え,撹拌しながら中火強の火 加減で練り上げる過程で,白玉粉のアミロペクチン分子は 糊化されて粘性のある生地となり,「つなぎ」の役割を果た すと考えられ,白玉粉のつなぎは簡便法として活用できる と推察される。 7. ういろう伸ばし生地の破断特性  図 6 にういろう伸ばし生地の破断特性を示した。熱いう ちに混捏した生地は,内部温度 50℃まで冷ましてから混捏 した生地に比べて,破断応力は 27×104 N/m2,破断エネル ギーは 36×103 J/m3大きい値であり,こしのある生地が得 られた。このことは一般に冷めてからの混捏はこしがなく なるといわれていることを裏付ける結果といえた。  副材料のくず澱粉の代わりに小麦澱粉を用いたういろう 伸ばし生地の破断特性を図 7 に示した。小麦澱粉を用いた 生地は,破断応力,破断エネルギーともに小さい値でその 差が明らかであった。  生地の混捏については,ショ糖を添加した上用粉の加熱 時の粘度の結果(図 3)から,降温時の粘度上昇が認めら れ,冷却 50℃では老化に伴う澱粉分子の再配列が進行して いると考えられる。このことから蒸し加熱直後にショ糖を 添加して生地を混捏することにより,緻密な構造となりこ しのある生地が得られると考えられる。一方,内部温度が 50℃に低下する頃には澱粉分子の再配列が進み,混捏に要 する力は大となり操作しにくくなる。これを無理に混捏す ると組織は一部破壊され,こしのない生地になったと推察 された。  くず澱粉は小麦澱粉に比べて最高粘度が約 100 RVU 高 く,くず澱粉ゲルの硬さは小麦澱粉ゲルの 1.7 倍,凝集性 は約 1.5 倍である20)。このことからくず澱粉を用いた生地 は,破断応力が 120×104 N/m2,破断エネルギーは 138× 103 J/m3と大きい値となり,歯ごたえのある生地になった と推察された。  品薄なくず澱粉の代替として小麦澱粉の利用を試みたが, 小麦澱粉を用いた場合には破断応力,破断エネルギーとも にくず澱粉に比べて低い値であった。また小麦澱粉を使用 したういろう伸ばし生地は,歯切れがよくなる効果が得ら れるが,早く硬くなる21)といわれており,使用量や調製に も配慮が必要と考えられた。  要  約  生米粉および α 化もち米粉の和菓子用米粉 7 種の特性 は,ラピッドビスコアナライザーによる粘度およびテンシ プレッサーによるテクスチャー測定から求め,ショ糖 20% 添加の場合と比較した。また練りきり,ういろう伸ばし生 地の物性に及ぼす混合物ならびに調製法の影響について検 討し,次のような結果を得た。 1) 白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉は各々近似の粘度曲 線を描き,ショ糖 20%添加により上新粉・上用粉の最高 粘度および冷却時の粘度上昇が顕著であった。白玉粉の 粘度は 12.3%濃度の場合,上新粉に比べて約 260 RVU 低いが,最高粘度を示す温度は 75℃と上新粉の 93 ℃に 比べて低く,低温で糊化しやすいことが明らかであった。 2) 白玉粉・もち粉糊液のテクスチャーでは,硬さ,付着 性は上新粉・上用粉の約 1/3 と小さい値であるが,凝集 性,ねばさは有意に大きい値を示し,内部結合力が大で ねばさのある糊液といえた。 3) α 化もち米粉の上南粉糊液のテクスチャーは,白玉粉, 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 破断応力  ( ×1 0 4N / m 2) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 破断エ ネ ル ギー ( ×1 0 3 J/ m 3 ) a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) a b a b 蒸し加熱直後に混捏 内部温度50℃時に混捏 図 6.  ういろう伸ばし生地の破断特性 蒸し加熱直後に混捏  内部温度 50℃時に混捏 a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 破断応力  ( ×1 0 4N / m 2) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 破断エ ネ ル ギー ( ×1 0 3J/ m 3) a b a b a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05) くず澱粉 小麦澱粉 図 7.  副材料の異なるういろう伸ばし生地の破断特性 くず澱粉  小麦澱粉 a-b:異なる文字は有意差のあることを示す(p<0.05)

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和文抄録  生米粉および α 化もち米粉の和菓子用米粉 7 種の特性は,ラピッドビスコアナライザーによる加熱・冷却時の粘度およ び糊液のテクスチャー測定より求め,ショ糖添加の場合と比較した。また練りきり,ういろう生地の調製法の違いが物性 に及ぼす影響についても検討した。その結果,白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉はそれぞれ近似の粘度および糊液のテク スチャーを示した。白玉粉の粘度は上新粉に比べて低いが,最高粘度を示す温度は 75℃と上新粉よりも低く,低温で糊化 しやすいことを示した。α 化もち米粉の上南粉は白玉粉,もち粉に近似のテクスチャーを示し,寒梅粉は粘度が低く,軟 らかい糊液であった。練りきりは練りあんにぎゅうひを加えることにより,硬さ,凝集性が大となり成形性を増し,保型 性を高める効果を示した。ういろう生地は,熱いうちに混捏したものが,また副材料は小麦澱粉に比べてくず澱粉を使用 したものが,破断応力,破断エネルギーはともに大きい値を示し,こしのある生地が得られた。 もち粉に近似の値を示したのに対し,落雁などに用いら れる寒梅粉は低い粘度で,その糊液は軟らかかった。新 引き粉は凝集性が大で,ねばさは上南粉に次いで大きい 糊液であった。 4) 練りきりのテクスチャーから,練りあんにぎゅうひを 「つなぎ」として加えることにより,硬さ,凝集性が有意 に大となり,成形性を増すことで練りきりの細工しやす さに関与すると考えられる。また室温に 7 日間保存した 際のテクスチャーの変化は僅かであり保型性が大であっ た。 5) ういろう伸ばし生地の調製において,熱いうちに混捏 した生地は冷めてから混捏したものに比べて,破断特性 が大で,こしのある生地となることが明らかになった。   また副材料としてのくず澱粉使用は小麦澱粉使用に比 べて,破断応力,破断エネルギーともに大であり,こし のある生地が得られた。  本研究を行うにあたり,試料をご提供いただきました群 馬製粉株式会社に,米粉の粒度分布測定でお世話になりま した株式会社波里の河本祥久氏に厚く御礼申し上げます。  なお,本研究の一部は日本調理科学会平成 23 年度大会お よび日本バイオレオロジー学会平成 24 年度大会において発 表した。 文 献 1) 早川幸男(2004),和菓子の種類,「菓子入門(改訂版)」, 日本食糧新聞社,東京,p. 12 2) 仲 実(2006),「プロのためのわかりやすい和菓子」, (株)柴田書店,東京 3) 森山サチ子(1989),「NHK きょうの料理 和菓子」,日本 放送出版協会,東京 4) 堀 正幸(1995),「和菓子 技とこつ」,(株)柴田書店, 東京 5) 辻 燻監修,佐川 進制作(2001),「基本の和菓子づく り」,ジャパンクッキングセンターⓒ(辻学園出版事業部), 大阪 6) 早川幸男(1981),和菓子類の製法,練りあん,「製菓事 典」,小原哲二郎,岩尾裕之,鈴木繁男,渡辺長男編,(株) 朝倉書店,東京,pp. 248-252 7) 武井 仁(1979),練りアン,「餡」,55 周年記念出版,的 場研二編,(株)的場製餡所,東京,pp. 206-207 8) 斎藤昭三(1979),米粉の特性とその麺状化について,日 本調理科学会誌,12,74-84 9) 勝田啓子(1994),米粉,「調理科学講座 3 植物性食品Ⅰ」, 島田淳子,下村道子編著,(株)朝倉書店,東京,pp. 50-64 10) 勝田啓子(1987),団子の食味特性に及ぼす米粉粒度と, 米粉配合比(糯:粳)の影響,日本家政学会誌,38,711-718 11) 勝田啓子(1988),団子の粘弾性に及ぼす糯米粉,粳米粉, 加水量の相互作用,日本家政学会誌,39,289-295 12) 佐藤生一,中島千秋,山澤正勝(2009),各種原料粉で調 製したういろうの品質特性,名古屋文理大学紀要,9 号, 7-15 13) 吉井洋一,中村幸一(2008),農林水産技術研究ジャーナ ル,31,22-27 14) 小口悦子,永山スミ(1995),ねりきりの物性について, 東京家政学院大学紀要,35,55-61 15) 鎌田克幸(2000),練りあん,「菓子の事典」,小林彰夫, 村田忠彦編,(株)朝倉書店,東京,p. 202 16) 斎藤昭三(1977)「澱粉科学ハンドブック」,二國二郎監 修,(株)朝倉書店,東京,p. 388 17) 田村咲江,山本奈美(1999),アズキ,インゲンマメ, ラッカセイおよびダイズから得た餡のテクスチャーと顕微鏡 的構造,日本家政学会誌,50,323-332 18) 名取宏晃(2000),練りあん類,「菓子の事典」,小林彰夫, 村田忠彦編,(株)朝倉書店,東京,p. 249 19) 高橋節子(2012),米粉を用いた和菓子のおいしさ,練り きり,「和菓子の魅力―素材特性とおいしさ―」,(株)建帛 社,東京,p. 62 20) 濱西知子(2002)共立女子大学大学院博士論文,pp. 92-94 21) 早川幸男(1981),和菓子類の製法,ういろう伸ばし生地, 「製菓事典」,小原哲二郎,岩尾裕之,鈴木茂男,渡辺長男 編,(株)朝倉書店,東京,p. 281 (平成 24 年 5 月 21 日受付,平成 25 年 1 月 10 日受理)

参照

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