エネルギー環境論4 もんじゅ運転再開から今日(2010年5月12日)まで I.もんじゅ関連ニュース もんじゅ運転再開のまとめ ■経緯 5 月 6 日もんじゅ再開し、5 月 9 日に臨界に達した。 ■故障 ・原子炉内アルゴンガス内放射線検知器の警報鳴る→検出器2/3 故障停止へ ・ナトリウム温度が一時上限値超え→管への圧力増があったということ ・制御棒挿入ミス→制御棒の挿入により運転の静止を行うので、極めて重大なミス。 ■もんじゅ目的 ・核燃料サイクル ・温暖化防止→長期目標(2050)にも間に合わない→CO2削減効果ない ■もんじゅの意義 ・日本政府の方針である核燃料サイクルに不可欠 ・計画が停止すれば、核兵器転用可能な大量のプルトニウム貯蔵の説明不可能 1)5 月 6 日もんじゅ再開 高速増殖炉もんじゅ、運転再開 事故から14年ぶり http://www.asahi.com/national/update/0506/OSK201005060010.html 1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦 賀市)が6日午前10時36分、運転を再開した。燃料のプルトニウムを燃やした以上に 生み出す「夢の原子炉」とされ、国が核エネルギー政策の中核に位置づける巨大事業が1 4年5カ月ぶりに動き出した。順調にいけば、8日午後には核分裂反応が連続して起きる 臨界に達する見通しだ。 事業主体の日本原子力研究開発機構は午前10時半すぎ、もんじゅの原子炉の制御棒を 炉心から引き抜くボタンを押した。中央制御室に詰めた運転員らは、炉心の核反応を確認 しながら、計19本の制御棒を順次動かす作業に取りかかった。各段階の試験が順調なら、 2013年春に本格的な運転に入る予定。 もんじゅは91年に試験運転を開始したが、95年末にナトリウムが漏れる火災事故が 発生。現場ビデオの改ざんなどが発覚し、安全性への不信を高めた。その後もナトリウム 漏れ検出器などでトラブルが相次いだ。運転再開を目指す国は今年4月、地元・福井県か ら北陸新幹線の延伸などの地域振興策を条件に再起動の了承を得た。 2)5 月 6 日、7 日 ガス検知器警報 2 回鳴る もんじゅ、原子炉内ガス検知器の警報鳴る 計2回
http://www.asahi.com/national/update/0507/OSK201005070042.html 6日に運転再開した高速増殖原型炉「もんじゅ」で、6日深夜と7日午前の2度にわたり、 原子炉内のガスを監視する検知器の警報が鳴った。事業主体の日本原子力研究開発機構な どが報道各社に伝えた。 検知器は、原子炉下部にある炉心の核燃料から上部に注入されたアルゴンガスに放射性 物質が漏れた際に検知する機能をもつ。しかし、経済産業省原子力安全・保安院が調べた ところ、実際に放射性物質が漏れた形跡は認められていないという。 保安院によると、6日午後11時9分に1度目の警報が鳴り、7日午前10時1分に2 度目の警報が鳴った。 1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していたもんじゅは6日午前、14年5カ月 ぶりに原子炉を再起動したばかりだった。 3)5 月 8 日ナトリウム温度が一時上限値超
2010 年 5 月 9 日 21 時 48 分 http://mainichi.jp/select/today/news/20100510k0000m040091000c.html 日本原子力研究開発機構は8日、試験運転中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、 28万キロワット)の原子炉建物(管理区域)で同日午後4時45分ごろ、原子炉を冷や す1次系ナトリウムの温度が一時的に上限値を超え警報が作動したと発表した。警報は午 後5時1分に解除し、周辺の環境や試験継続に影響はなかったという。 温度が上昇したのは、原子炉を止めて点検する際に原子炉を冷やす1次メンテナンス冷 却系配管。ナトリウムは220~230度の間に制御しているが、上限値の250度を超 えると警報が鳴る。【酒造唯】 4)5 月 9 日 もんじゅ臨界 高速増殖原型炉、もんじゅ、地球温暖化対策 http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1293409.htm 1.高速増殖原型炉「もんじゅ」について、5 月 6 日に原子炉の起動作業に着手し、本日 10 時36 分に、最初の重要な節目である臨界状態に達したとの報告を受けました。 2.資源の少ない我が国において、長期的なエネルギーの安定供給を確保するとともに地球温 暖化対策を同時に達成するためには、高速増殖炉サイクルの確立に向けた取組が極めて重 要です。 「もんじゅ」はこのための研究開発の場の中核であり、その運転再開は、我が国の原子力 政策の中で、大きな一歩として評価されるべきものと考えます。 3.平成 7 年以来停止していた「もんじゅ」が、地元をはじめとする多くの方々のご理解とご 支援をいただき、困難を乗り越えて、本日、臨界に至り、世界的に高速増殖炉開発に向け た取組が加速する中で、我が国においても重要な国家プロジェクトが再始動したことを、 感慨深く感じております。 4.引き続き、安全確保と情報公開に万全を期しつつ、「もんじゅ」が運転され、高速増殖炉 サイクルの確立に向けて、着実に所期の成果が挙げられるよう努力してまいります。 平成22 年 5 月 8 日 文部科学大臣・科学技術政策担当大臣 川端 達夫 5)5 月 9 日 原子炉内のアルゴンガスの放射線量検出機 2/3 停止 「もんじゅ」検出器を停止、2台目…異状増え点検へ http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100510-OYO1T00184.htm?from=main4
日本原子力研究開発機構は9日、試験運転に入っている高速増殖炉「もんじゅ」(福井県 敦賀市)で、原子炉内の放射性物質検出器が異状を示すデータを表示する頻度が増えてい るため、使用をやめて点検すると発表した。この検出器は、運転再開した6日深夜から7 日にかけて6回誤作動し、使用停止中の検出器と同型。3台しか設置していないため、同 系統の監視は1台だけになる。原子力機構では、別の系統での監視も行っているため、安 全性や運転管理に影響はないとしている。 検出器は、原子炉内のアルゴンガスの放射線量を監視しており、放射性ガスを検知する と、警報が鳴る。問題の検出器では警報は作動していないが、9日午前から、別の検出器 より高い数値を示すようになったという。 このほか、2次冷却系のアルゴンガス浄化装置で9日朝、警報が鳴るなど、8日午後1 時~9日午後1時に計7回の警報が作動した。 (2010 年 5 月 10 日 読売新聞) 6)5月10日 制御棒挿入ミス もんじゅ:制御棒挿入ミス 試験一時中断 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100511ddm041040051000c.html 日本原子力研究開発機構は10日、試験運転中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市) で同日、制御棒1本の挿入操作にミスがあり、試験を一時中断したと発表した。制御棒は 約2時間後、正常に挿入された。環境への影響はない。 原子力機構によると、この日の試験終了時、19本ある制御棒の2本を全挿入しようと したが、運転員が操作を誤り全挿入から3ミリ手前で制御棒が止まったため、午後8時5 0分に試験を中断。再び挿入操作を始め、同日午後10時38分に全挿入を完了した。経 済産業省原子力安全・保安院によると、運転員は今回、制御棒を初めて操作しており、全 挿入の手前で制御棒のスピードが落ちることを知らなかったという。 原子力安全・保安院は「運転員は熟練者だが、14年間運転していなかった影響で操作 マニュアルの習熟が徹底されていないのかもしれない。制御棒の操作は非常に重要な手順 で、基本を徹底する必要がある」として、日本原子力研究開発機構に注意、指導するとい う。【酒造唯、関東晋慈】 【制御棒】制御棒要素は、外径約 17mmのステンレス鋼管(被ふく管)の中に、炭化ホウ 素のベレツト(吸収材ペレツト)を約0.8~0.9m積み重ねて入れたものである。ホウ素には 中性子を吸収する性質があるので、炉心に制御棒を挿入すると、中性子を吸収して、核分 裂連鎖反応を減少させるため、原子炉の出力が低下し、さらに挿入すると原子炉が停止す る。(http://www.geocities.co.jp/Technopolis/6734/monju/seigyobou.html)
II NPT 関連ニュース NPT 再検討会議 主な議題 ①イスラエルのNPT 非加盟 ②イラクの核開発疑惑 ③北朝鮮のNPT 脱退問題 1)NPT 再検討会議 核軍縮議論スタート NPT http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201005090015.html '10/5/9 【ニューヨーク金崎由美】核拡散防止条約(NPT)再検討会議は7日、米ニューヨー クの国連本部で、核軍縮問題を扱う第1委員会の討議を始めた。日本政府代表の須田明夫 軍縮大使は、2000年の再検討会議が最終文書に盛り込んだ核兵器廃絶への「明確な約 束」を再確認し、戦略核や非戦略核をともに削減するよう保有国に求めた。 米国やイランも発言。イランは「米国と北大西洋条約機構(NATO)は、非保有国に 対し公然と核兵器による威嚇や使用をする忌まわしい教義を持っている」などとあらため て欧米批判を展開した。 再検討会議の三つの主要委員会のうち、核不拡散、原子力の平和利用をテーマとする残 り二つの委員会は10 日から討議を始める。 ■NPT NPT の概要 (1) 条約の成立及び締約国
(イ) 核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)は、1968 年 7 月 1 日に署名開放され、70 年 3 月 5 日に発効(我が国は 1970 年2 月署名、1976 年 6 月批准。)。 (ロ) 締約国は 189 ヶ国(2003 年 9 月現在)。主たる非締約国はインド、パキスタン、イ スラエル。 (2) 条約の目的と内容
(イ) 核不拡散: 米、露、英、仏、中の5 ヶ国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散 を防止。 (ロ) 核軍縮: 各締約国による誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定(第6 条)。 (ハ) 原子力の平和的利用: 右は締約国の「奪い得ない権利」と規定するとともに(第4 条 1)、原子力の平和的利用 の軍事技術への転用を防止するため、非核兵器国が国際原子力機関(IAEA)の保障措置を 受諾する義務を規定(第3 条)。