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資科
英海上保瞼謹券に於ける損害防止約款
久木久一
陸上保瞼に於てはもとより海上保瞼に於ても︑危瞼の襲生したる場合に之に因る損害を防止輕減すべき何等
の手段を講することなく︑損害の損大するに任せ以て保瞼者の填補責任額を増大せしむるが如きは︑膏に保瞼
春の利釜を害するのみならす︑徒らに天物を暴珍せしむる結果となつて公釜上許すべからざる事である︒鼓に
於てか各國共法律を以て︑,被保瞼者に封し保瞼事故襲生に際しては︑及ぶ限り其の損害を防止し輕減すべき義
務を課してゐるのである(商法四一四條︑英海上保瞼法七八條四項︑猫商法︑八一九條︑佛商法三八一條・三八八
條・三九五條︑伊商法四三六條︑白商法保瞼一七條h和商法六五五條等)◎之を損害防止義務(∪仁蔓ε碧︒昌負 ︑
甘三喜窒奮嚇︒げ麿け宮住︑§魯葺︒包践§二こ︒§⁝︒︒9聾§ぎ睾貸旨・Qω"穿εと云ふ︒︑
一九〇六年の英國海上保瞼法は︑同國從來の判例並に慣習を法典化し︑同法附則に掲ぐるところの標準保瞼
誰券としてのロイヅ誰券申に︑古くより存する損害防止約款(◎︒きき傷冨げo霞o冨岳o)をとりあげ以て被保瞼者
の損害防止義務に就て規定したのであるが︑今便宜上其の約款内容を掲ぐれば次の通りである︒
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粒ωい二qO傷︒と昌)
此の損害防止約款は世界最古の保瞼澄券として稜見せられたる一五二七年のフロレンスの誰雰には未だ見出
されなかつたのであるが由一五八四年のo︒"蜜ユ︒號に封するマルセイユの誰券には﹁前記積荷同復の爲には︑.
保瞼者の承諾を要することなく︑之を買戻し同牧し費用を投じ叉交渉をなし契約を締結し其の他適當と認むる
あらゆる手段を講する﹂乏ころの穫限を船長に賦與してゐる嚇渦英國の誰券にては一六=二年のロンドンの謹
わ雰に存在せ葛のが最初であつた︒︑㌦﹃
に而して此の約款が行はる﹂に至つた理由は︑﹁被保瞼物件の全損の脅威となるべき損失の磯生したる際︑被
保瞼者叉は其の代理人等が其の物件の同復同牧の爲に積極的手段を講するとせば︑これが爲に被保瞼者は委付
おを行使する穫利を失ふものとめ観念が一時行はれてゐたので︑之を打消す爲に挿入されたものであるゆ﹂され
英海上保瞼謹券に於けろ狽害防止約款へ久木)一四一
1)・ 我 國 の 英 丈 置 券 に にeachone以 下 な 除 い て 英 國 謹 券 と同 様 の 規 定 とな つ
。)魏 る搬,i。 。1。 、u,ahce,5、hEd.byKi。gP。g。,・93・,P.・22.但 しG・w博
士 は 損 喜 防 止 約 款 な 最 初t:挿 入 ぜ る に 英 國 で あ,う と言 ヘ リo(M証Insっ4th
Ed.,1gog,p.互20.)
3)Am。uld,M・ ・i・・1・ …ance,1ithEd・byd・Hart&Sim・y・ ・9・4・Sect・22・
一四哺.一
ぱ此の約款により被保瞼者の損害防止の努力は︑委付櫨を確保されで不安なく行はれ︑︑同時に之に要する費用
を保瞼者よψ填補せしめ得る保誰を得たことになるのである︒﹁此の約款の前丈が聴許的ρ(H︾O同59尻gり一ぐO)な規定た
る特質を持つのは此の理由に擦るのであみ︒戸而して更に其の注意を喚起しそして此の約款を補充的に完成せし
めんが爲に︑一八七四年に至つて委付拡葉約款(≦︑9く巽︒一器︒・︒)を手記し附加したのである︒即ち曰く︑︑.b巳皆貯省8置ぐ畠o色即婦巴碧年濃器&穿彗昌o碧窃o州昏oぎ︒・霞︒吋o﹃冒︒・舞且ぎ器8︿oユ昌σq嘘︑¢9二謁o婦
︑肩︒︒・oミぎσq島o凛8︒昌矯ぎ︒・謹aq・ぎ岸げ︒8鼠岱︒月巴9・ω薗ミ翫く鐙臼碧g営9昌80h菩騨巳εヨ窪け・讐.へ
曜然し乍ら︑損害防止約款の存在する以上は特に斯る約款を存するの必要を見ないものであるから︑一八六九
年の︒︒酔旨σq舞係国畠嵜7脅ρレド同場舞彗800ヨ冨昌事件に於て︑択言σq︑︒・団招9は此の約款を以て蛇足なゆ
(切ξ・艶ぎ琶と観察したのである︒もとより此の拡棄約款と錐も︑内容的には直前の損害防止約款に封する補
充的規定たるを失はないのであるから︑それ自身猫自の存在理由を認め得るものであるが︑損害防止約款の成
立史的考察に於てのみ蛇足たるの結論に到達し得るものであることは注意を要するのである︒從つて損害防止
約款の研究にありては?此等二約款を一括考察するにより始めて其の眞意を明かにすることが出來るので
の
あるo智',・㌧〜∴.い
一一
既に其の丈言により之を承知し得る如く︑損害防止約款は其の内審に於て二つに分つことが出來る︒即ち一
は被保瞼者の損害防止であり︑他は保瞼者の庇の防止輕減費用の員捲である︒・此の爾者の匠別は損害防止を考
4)A曲ic・ の 詮 勢 に"lt・h・llbel・wfuland'necessaryt・andf・tth・ 斧 ・u・ed・
...,'と し て 、 損 害 防 止 の 必 要 性 な 強 調 し て ゐ ろo庇 の 黙 佛 のPolice flangai『sdd,assurancemaritimesFr血archan鵡esoh£acult壱s,lg28, ,art;17及
び 我 船 舶 保 瞼 約 款 第 十 五 條 も 同 檬 で あ る0 5)Gow,ibid,,P.1.23.・
ラ察する上に於て法理的にも必要なのであ都︒蓋しそれは保瞼者が損害防止費用を員澹せざることあるも︑被保
瞼者としては軍に保瞼者の利釜に於てのみならす公盆上の理由よゆ之を必要とするを以て︑依然此の義務履行
は冤れ得ないものだからである︒
損害防止約款は︑其の前文に於て被保瞼者は損害防止に從事し得る旨を規定し︑即ち損害防止は被保瞼者の
権利に属し︑その義務とはしてゐないのである︒然るに此の約款を法文化せる海上保瞼法第七八條は︑其の第.
四項に於て損害の防止輕減を以て被保瞼者の義務としてゐるのである︒即ち曰く︑..Hけ凶¢匪︒含蔓oh昏︒器ω弓o山潜&葺︒・9σq︒暮ωぎ"ロ$oβ8雷冨霊︒7ヨ︒器霞8器日"矯ぴ︒器器o藍甑︒
・{o㎏昏6噂̀弓800断遷2けぎσqo﹃巳一三ヨ置瓢σq9一8¢・.噂
然らば本規定の立法上の根擦は何うであるか︒英國並に米國に於て斯る義務の存在せることは法律的に竜認
められてゐたのであり︑﹀旨︒巳住氏も一八四八年の其の著第﹂版に於て︑差押へられ叉損傷したる財産を同復
わ同牧する爲に努力すべきは︑被保瞼者の義務なることは既に確立されてゐると述べてゐるが︑これに何等の読
明をも加へてゐないし︑叉被保瞼者は保瞼者に樹して其の嚴格なる法律上の意味に於て︑斯る義務を員捲すべ︑
きものとの決定を要したる判決は見受けられないもの﹂様である︒
亦U︒︿窪氏は﹁此の約款は保瞼者に封して損失を回避し輕減せん爲に︑出來る限りのことを鑑すと云ふ被
の保瞼者の普通法上の義務(↓冨3Bヨo昌冨ミ魯蔓︒冷昏︒霧き器住)を強調し︑云々﹂トと言へるが如く︑此の義
務を普通法上の義務としてゐるが︑事實被保瞼者に封して何等の損害とならない危瞼の襲生を阻止しその援大
を防止する爲に︑多大の時間を失ふことを要求し時には莫大の額に達すべき防止費用を︑被保瞼者に員憺せし
英海上保瞼謹券に於けろ慣害防止約款(久木)一四三
1)瀬 戸 彌 三 次.海 上 保 瞼 盟 系(被 保 陰 者 の 据 保 義 務 篇)昭 和 六 年178頁 。 2)3)Arnould,ibid・,Secし799a・
4)A.IlandbooktoMarineInsurance,4thEd・,1936,P・99。
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むる惹とは不可能であるゆこれは衡平(浮島巳の原則を破ること玉なつて︑保険者のみの利釜を招來する結果
乏なるのである︒亦℃8♂茂は此の義務を以て︑被保瞼者の善意(08ら幽・︒一9)を維持する上に必要とすると
ラ り 稻してゐるが︑島・︒︒B9氏の言へるが如く︑﹁軍に被保瞼者にとり現實の困難を冒すことなく叉殆んど費用を投
することなくして︑被保瞼者が誰かの干渉をなすにょり損害を伺避し叉な輕減し得る場合に之を看過し去り得
ないと言ふ丈ならば︑若し被保瞼者が之を行はすとせば契約の履行を支配すべき善意を訣くものとの理由に依
り︑被保瞼者として拡干渉を必要とするものであると言ひ得るのである︒然し乍ら︑損害を防止する爲に被保
瞼者に時間を費さ七め叉時には多額の費用の支出を要するが如き場合に︑そして亦大なり小なりの損害が嚢生
しても︑之が被保瞼者に何等の害を生じないものであるから︑被保瞼者としては殆んど問題とならない場合
に︑術且つ善意を主張することは充分の理由とはなちないのであゐ︒それ故に被保瞼者は何故に損害の稜生を
防止しその擾大を阻止する爲に從事すべきであるかつ﹂として善意読を排してゐる︑蓋し當然であらう︒
而bて一般に被保瞼者の損害防止義務に就て言ふ時は︑保瞼者は被保瞼者が之が爲に要したる費用を償還す
べきを當然のものと考へられてゐる様であるが︑英法は損害防止義務に就ては之を規定すると難も︑其の防止
費用の保瞼者員捲に關しては︑何等規定するところがないのである︒米國にては一九二二年の︾ヨ〇二︒§
旨︒3ぎ具冨潜二昌︒困霧員9昌809<.団げ⑦旨ざ留民曾O轟く巴09事件に於て︑損害防止約款の判決上︑被保
瞼者の損害防止輕減の爲の干渉を以て﹁義務的なもの﹂としてゐるけれど︑費用の償還に就て之を言はす︑明
示の特約なき限り︑保瞼者は費用償還に關しては責任を員はすと判決されたのであるゆ亦O冨ぎ・誘氏も︑.月冨
8箕冒〇三巴h980日げo岱鴇昏轟8昌象臥o霧o冷}o︒︒醤ぎ砂q︑租傷ドげ8ユ昌σQo罫揚oり.ωo昏盤ロ巳o聴昏8⑦8曾︒︒昏o