『現代の経営工学に関する考察』
AStudy on Modern Industrial Engineering.
吉 永 雄 毅
(経営経済学)
1.まえがき
現代の高度情報化社会とコンピュータ化社会においては,経営工学が重大な 意義と役割とを果たしているものであることは容易に理解できる事柄であろう。
その経営工学(industrial engineering:略称IE)は現代の経営学の研究のた
めに重要な意義と役割とを遂行しているだけではなくて,さらに現代的マーケティング学(Modern marketing science)や現代会計学(modern accounting)
や計量経済学(econometrics)やミクロ経済学(microeconomics)や行動科学
(behavioral science)や経営数学(business mathematics)や情報科学(informa−
tion science)やコンピュータ科学(computer science),等々の研究とその発展
のためにも多大な貢献を果たしていると言っても過言ではないのである。この現代の経営工学(IE)は経営と工学とが融合されて生成し発展して確立 された学問であって,そのIEの発端はアメリカのF. W. Taylorの科学的管
理法に求められうるものである。
つまり,現代の経営工学(IE)の端緒はF. W. Taylorの科学的管理法,す
なわちテイラー・システム(Taylor system)に求められるものであって,その
IEはテイラー・システムとともに生成し発展して,現代においてはテイ ラー・システムをそのIEの巨体の中に吸収してますます高度な管理技術学と なってアメリカ経営管理学の中心的存在となってきたといわれている(〔49〕
P.6)。
ここで考察している経営工学(IE)の「工学」は一般的に日本語で呼ばれて いる従来からの機械工学や電気工学等で用いられている「工学」とはその意味
内容が異なることを銘記しなければならないのである(〔49〕p.3)。
アメリカでは,その合理的思考や理念の形態を総称してPhilosophyと呼び,
このフィロソフィに対応して,その合理的想考や理念,練達技能(skill),ある
いは経験的知識などの実践形態を総称してengineeringと呼ぶ傾向があるとい われている(〔49〕p.1)。そこで,以下においてエンジニアリングやサイエンス(science)の意味を考
慮しつつ,現代の経営工学(modern industrial engineering)の定義や概念と研 究対象などを考究してみることとしたい。
そのうえで,現代の経営工学は,現代経営学や現代的マーケティング学や現 代的生産管理論などの研究上で重視されてきている消費者志向理念に立脚した ところのIEの研究と体系づけを考察しなければならないと考えるのである。
そして,マーケティング戦略と生産計画とに関する経営工学モデル(IE model)
を考察してもみたいのである。
皿.現代の経営工学の特質
現代の高度情報化ならびに国際化の時代の現代経営学や現代会計学や現代 マーケティング学などの研究上において,経営工学はその意義と役割とがます ます重大視されてきており大きくクローズアップされてきていることは周知の 事柄である。
そこで,ここにおいて経営工学(Industrial engineering)の生成と発展を考察
して,そのうえで現代の経営工学の特質や研究課題を考究してみたいと考える。この経営工学(IE)は経営と工学とが融合せしめられて確立されたもので,
その起源はF.W. Taylorの科学的管理法(the Scientific Management)に求め
られると考えるのが至当であろう(〔42〕p.102,〔41〕p.243)。IE(industrial engineering:経営工学)は経営工学とか産業工学とかと邦訳
されることもあるが,一般的には「経営工学」と訳出されているものであるの で,本稿においてはIEを経営工学として考察してみたい。経営工学(IE)はそれと類似の学問分野としての管理工学や管理科学や工業 経営学などとはいささか異なる学問であると考えるべきであろう。
特に,管理工学(management engineering)と経営工学(IE)は異なる学問 であるし,そしてまた管理科学(management science:MS)と経営工学とも異 なる学問であると考えるのである。この管理科学(MS)については別書におい
}て考察している(〔41〕pp.253〜263)。
ところで,経営工学といわれているIEの生成と発展とそしてその定義や概
念や経営学的意義などを考究してみたいと思う。
インダストリアル・エンジニアリング(IE)はアメリカ産業の豊かな資源,
恵まれた立地条件,最適な環境などを基盤として,生い立ち成長し,しかして 成長発展しつつあるアメリカ経営管理技術の体系をさすのである,と指摘され ているのである(〔49〕p.2)。
アメリカのFW. Taylor(1856〜1915)は工場労働者の生産能率向上に関す る研究から出発して,工場管理論(shop management)を確立し,そして科学
的管理法(the Scientific Management)を数多くの同僚や後継者の協力を得て
体系づけて確立したものであって,彼は「科学的管理法の父」とか「アメリカ 経営学の創始者」とかといわれて今日までも高評価されてきているのである(〔42〕 pp.196〜206)。
FW. Taylorの主要な論文と著書として次のものを挙げられる。即ち
①APiece Rate System,1895.
②Shop Management,1903.
③The Principles of Scientific Management,1911.
このうちで,FW. Taylorの課業管理を骨子とする科学的管理法が②におい て体系づけられており,その課業管理と職能化の組織原理との2大原理によっ
て構成されるテイラー・システム(Taylor system)の全容が提示されていると
いわれている(〔42〕pp.196〜207)。
なお,著述③は『科学的管理の諸原則』というものであって,テイラー・シ ステムを工場管理研究だけではなくて,科学的管理法が一般性と普遍性を具備 することによって,その適用範囲を管理部門,全体経営,そして産業界などへ
拡大しようとする意図が認められる。
ところで,既述のIEはテイラー・システムの生成にその発端を求められる ものであって,現代のIEはテイラー・システムをそのIEの巨体の中に吸収
してますます高度な管理技術学となったものであるといえるのである。
テイラー・システムとしての科学的管理法もテイラーの1912年の証言にみら
れる精神革命(mental revolution)の理念もIEの殿堂の中にあって不滅の光を 放ち続けていると考えられるのである。
F.W. Taylorは工場管理論(1903)において課業管理の諸原則としての,①
大なる毎日の課業,②標準的諸条件,③課業達成者に対しての高率賃金支給,④課業未達成者に対する損失負担(低率賃金支給),そして,⑤さらに,組織 が発達すると,課業は一流労働者だけが達成可能な程度に重荷なものでなけれ ばならない,などの4〜5原則を提唱することによって課業管理(task man−
agement)を中心とした職能化の組織原理の重要性を主張しているのである
(〔41〕 pp.98〜100)。
また,F. W. Taylorは『科学的管理の諸原理』(The Principles of Scientific Management,1911)において,次の4大原則によって科学的管理法が遂行され
るという(〔41〕pp.100〜101)。即ち,①真の科学(true science)を発展させ
ること,②労働者の科学的選択,③労働者の科学的な教育と能力開発そして④管理者と労働者を友好的かつ親密に協働せしめること,これらであるという。
そしてそのうえで,FW. Taylorは科学的管理法を形成する諸要素として下 記の5要素を列挙している。即ち,①科学(science)を目指し,目の子算法
(the ruleべ)f−thumb method)を除去すること,②協調を主として,不和を排除
すること,③協働を主として,個人主義をやめること,④最大の生産高を目標とし,生産量の抑制をやめること,そして⑤各労働者を開発してその最大能率
と繁栄とを実現すること,これらである。
そうして,管理の主目的は使用者の最大繁栄と従業員の最大繁栄をもたらす
ことにあると主張しているのである(〔42〕p.204)。
以上において,テイラーの科学的管理法,即ち,テイラー・システムの大要
を考察してきたのであるが,真の科学(tru science)の研究のためには推測作業
や伝習的方法ではなくて,観察・分析・記録などの科学的アプローチが重要となるのである。
Taylor systemが今日のIE(経営工学)の生成と発展の基盤を提供してき た事柄を銘記しておいて,次にIEの定義と概念とを考察してみたい。
IEはアメリカ経営管理技術の体系をさすものであって,アメリカ経営管理
学の諸流諸派の中の1つである(〔49〕p.2)。
アメリカの指導と援助によって,昭和30年3月に日本生産性本部が発足した が,それが国際交流の基本方針の下に,数多くのアメリカ的なもの一思想・
学問・技術および流行等一を日本へ導入することになったという(〔49〕p.
2)。
現在の訳語の乱脈や不統一はこの導入時の混乱に基因していると言えるので
あるという (〔49〕P.2)。
つまり,アメリカの通念においては,エンジニアリング(engineering)とい う用語は,テクノロジィ(technology)の応用とか,応用科学としての工学
(日本語での)とかという,自然科学の狭く限られた分野のみを指すものでは ない。そのエンジニアリングはtechnologyとその応用を包含したところの生 産技術から商業や工業の経営管理技術や,はては家庭における生活手法などに
までもおよぶ広範囲な領域を指すものである。
それ故に,このエンジニアリングに在来の日本の学術用語の「工学」を直訳 的に適用してみると不自然な専門用語を造語してしまうことになると指摘され ている(〔49〕pp.3〜4)。
今日,社会科学の領域内に数多く見られるエンジニアリングを結びつけた諸 学が,その主体の学と工学との融合体であること,例えば,IEが経営管理学
と工学との融合体であることは理解できるとしても,IEはその内的実体に関 する限り,社会科学の1分野であるという。
かつての「社会工学」に関する論争において,「科学が実利を超えた真理研 究の活動に対して,工学は生活の実利的欲求に基づいている。……工学は科学 的法則により裏付けられた応用技術の集積体系であり,科学的方法により技術 の発展を目指すものである。このような観点からみれば,工学は物理的科学に
対応する分野だけに限られるものではない」と指摘されている(〔49〕p.4)。
工学という概念は,一般的に,伝統的な学問領域にとらわれることなく,実 践につらなる目標をもって諸科学を統合し,技術化し,組織化しようとする,
新たな学問内容を盛るのに最も適していると指摘されている(〔49〕p.4)。
斯様な工学の概念の拡大とか新概念の樹立のために,IEを「経営工学」ま たは「産業工学」と直訳することは概念や用語の混乱を惹起することとなる。
もしも,未成熟な訳語を直訳的に持ち出してきて,新しい概念の規定を盛る ことは学問上純粋的に妥当性が持てるかどうか疑問であると,恩師の田中斉元
明治大学大学院教授は指摘されている(〔49〕p.5)。
次に,Websterの「新国際辞典」によれば「エンジニアリングは,本来では
機械管理の技術(art)である。近代的にして,かつ拡大された意義においては,
それは自然物の属性および自然力の源泉を,建築物,機械および製造品におい
て,人間に有用なようにする技術(art)であり科学(science)である。………エ
ンジニアリングはまた1つの産業,あるいは1つの企業を組織し経営する技法
(前者はindustrial engineering,後者はadministrative engineering),並びに商
品交換の技法(commercial engineering)に適用される,と解説している
(Webster s New International Dictionary,1934, p.848)。
また,Edwin R. A. Seligmanの百科辞典によれば,「エンジニアリングは,
法則の探求を通じての発見,並びに機械およびその他の装置の設計,建設,保 全,操作を通じて,それらの法則を活用する原理および方法の定式化などを包 含する総括的な用語である。……後になって,それが拡張されてサービス(用 役)やそのような装置の経済的諸問題を包含するようになり,現在ではその内
容がより拡大されて,人間の便益のために人間団体行動のシステムさえをも包 含したところの機構の探求やその原理の公式化やその設計等を包含する組織を 操縦(エンジニア)すること指称するようになった。……帰納的科学,或いは より明確に言えば,エンジニアリングの基本原理を最初に工場管理に応用した
人はFW. Taylorであった」と解説しているという(〔49〕p.6, Person, H.
S., Encyclopaedia of the Social Sciences, edited by Edwin R. A. Seligman,
(1931,The MacMillan Co.)pp.541〜546.〕。
以上の如くに,「エンジニアリングは,半身を自然科学の領域からはみ出し て,その本質の工学とは別の新しい社会科学の概念を身につけた生産技術学と いう側面をあわせ持つ用語として,国際的にも通用するようになった。この端 緒となったのはテイラー・システム(Taylor system)であって,この概念の拡 大と産業への導入に対する主体性はテイラーの科学的管理法であるという
(〔49〕 P.6)。
FW, Taylorはマネジメント理論の研究とそれの産業への適用を行うことに よって,管理論とその実践とを結合することによってIEの生成と発展に貢献 したものでありアメリカ経営管理学の創始者として高評価されてきている。
既述のIEは,今やMethods Engineering(方法工学)とProduction
Engineeringを重要な柱として,これにCost Engineering, Sales Engineering,
Human Engineering, Systems Engineering, Process Engineering, Value
Engineering等々,数多くものをその殿堂内に包括しながら,オートメーション(automation)の新天地を開拓することによって限りなく発展するのである,
と指摘される(〔49〕pp.6〜7)。
斯様にして,IE(経営工学)はアメリカ経営管理技術学の一大集成である として特質づけられているが,しかしながら,アメリカ本国においてはIEに
対する概念は完全に一本化されてはいないといわれている(〔49〕p.7)。
アメリカの学風は実用主義(pragmatism)であるといわれているように実行 ないし実践(practice)こそ第1義的であって,定義の規定などは末端のことで あろうと指摘されている(〔49〕p.7,〔41〕p.13)。
次に,IEの定義と概念とを考察して,その経営学的意義を考究してみたい と思う(〔41〕PP.102〜103,〔49〕PP.7−14)。
まず,①アメリカIE協会(American Institute of Industria1 Engineers,
AIIE)は1956年に次の定義を公認したのである。即ち,「IEは,人と資材と 設備とが統合されたシステムの設計,改良および採用に関するものであって,
そのようなシステムから得られるべき諸結果を明確にし,予測し,評価するた めにエンジニアリング的分析や設計の原則および方法と共に,数学,自然科学
(特に物理学)および社会科学における専門知識や技能を用いる」と定義して
いる。
ただし,この定義は公認協会の定義であるから一応の権威は認められるが,
斯様な抽象的定義は多数の協会員の立場や意見を要約したようなもので,その IEの具体的内容は解釈するのに困難をともなうのである。
②アメリカ機械技術者協会(American Society of Mechanica1 Engineers,
ASME)はテイラー(F W. Taylor)以来,経営管理の科学的研究に従事してい る技術者FW. Taylorを含めて, Frank Bunker Gilbreth, Lillian Moller
Gilbreth, Lawrence H. Gantt, Harrington Emerson等々に,研究の場を提供し その後のIE技術者養成に尽力してきたといわれている。そのASMEはASME標準語法を公表したのであるがそのIEの定義は次 の如くである。即ち,「IEは,特定時に適正価格で,欲求の量および質の生 産を達成するために,人,設備,および資材を利用しかつ整合する技術(art)
であり,科学(science)である。これは,建物および施設,工場,レイアウト,
人的組織,作業手続き方法,工程,時間企画,標準時間,賃金率,賃金支払い 方法,原価しかして財およびサービスの質と量を管理するシステムなどに附随 する諸事実の収集,分析および行動を包むものである」と定義しているという
(〔49〕 pp.10〜11)。
この定義は英,加,豪等の英語圏の用語委員会で承認されたもので,かなり 公的にも権威を認められるものであるといわれている。
次に,1953年に,イギリス生産性協議会からアメリカへ派遣されたイギリス
IE専門調査団はその報告書(Productivity Report on Industrial Engineering)
において定義を下している。即ち,「IEとは,基礎科学とエンジニアリング 的知識並びにある種の解析方法を,産業組織の用途方法やその他の適当な分野 に応用することである。それには,ある政策と他の政策に対する経済的利益に 関する研究,生産能率を向上さすためのもっとも適切な手続きの道具立てを必 要とする。この目的を達成するためには,成果とコストを絶えずチェックする 必要がある」とし,「イギリス標準協会は,これをIE定義の基準として採用
すべきである」と強く勧告していると指摘されている(〔49〕pp.9〜10)。
また,アメリカにおけるIE学者のH. B. Maynardは「IEは人間的要素 と共に,生産物あるいはサービスの生産および流通配給に包含されるすべての 要素に対し適用されるエンジニアリング・アプローチである」と定義しており,
さらに「IEのてびき」(Industrial Engineering Handbook)において,彼は IEの領域に関して広狭そのいずれかをとるかは,当事者の任意である,と前 置きし,「IEは本来には,産業問題に対し,エンジニアリング的,数学的,
統計的 しかして,あるいはまた,それが経験的なものであるならば,シス テマティックな アプローチを適用することであるが,いずれの場合でも人 間的要素は見逃されてはいない。IEの殆んどすべての面にわたって,人間一 一即ち作業者達とその作業によって影響される人々との両方一が介在してい るのである。IEは,この技術応用を働かせる人間的要素を正当に取り扱うも のである」と解明し,人間関係管理のエンジニアリングに大きなウェイトをお
くのであると指摘されている(〔49〕pp.11〜12)。
斯様に,IEの定義や概念は各種各様のものが挙げられるが,これらを簡潔 に要約すれば,IEは企業の生産活動や経営活動に関連する人間的要素と物的 要素に対し数学的並びに統計的,自然科学的および社会科学的原理および法則
を適用する技術的アプローチであるとすることができようと考えられる(〔49〕
P.12)。
このような概念の規定はIEが経営管理の全領域にわたって適用され実践さ
れることを意味することになるといわれる。
そこで,アメリカのIEセミナー講師団の発表によると,現代のIEは,F
W.Taylor著の The Principles of Scientific Management, (1911)によって学 問的に確立され,その後,さらにF.B. Gilbreth, Lawrence H. Gantt, Harrington
Emerson,そしてF. A. Halsey等によって深化・拡大され,1912年に管理科学
協会が結成されて確固たるものとなり,学理と実践とに裏付けられた高度の管 理技術学となって,これが今日のIEと称される科学の本流となったのであるという (〔41〕、PP.207〜208)。
次に,IEの諸領域に関するアプローチの特質としては,①学際的アプロー チ,②科学的アプローチ,そして③システムズ・アプローチ,これらの諸研究
法であると言えるが,詳細は別表参照していただきたい(〔42〕p.210)。
次に,IE(経営工学)の研究対象と領域を考察してみるのであるが,その 概念の混乱から,はなはだ不明確であり,経営管理における諸分野との境界も 不鮮明であるという。ことにアメリカにおいては,IEは製造工業から,商業 や金融や交通などの業種にも適用されている現状であって,例えば百貨店,通 信販売店,商事会社,銀行,保険会社などにまで,IE技法が適用されている 現況から考えてみて,IEの適用範囲とか担当領域とかの間に明確な区分線を
引くことはますます困難となってきている(〔49〕pp.16〜17,〔49〕p.4)。
そこで,アメリカにおいて実施されているIEの諸機能を総合して,以下に
その領域と応用技法および手法について考究してみたい(〔49〕pp.17〜20,
〔42〕pp.210〜211)。(**は著者の追加の領域を示す)。
①作業方法ないし方法工学(method engineering)……これには,⑦生産計画,
◎作業分析,◎動作研究,◎標準化研究,◎単純化研究,◎専門化研究,
㊦安全管理,◎資材管理,等々に関するものが包含される。……FB.
Gilbrethの動作研究からの発展したものが主である。
②作業測定(work measurement),……これには,⑦時間研究,◎規定時間 標準法(PTS法),事務手続き管理,等が包含される。……F W. Taylor
のtime studyから発展したものを主としている。
③賃金管理(wages management),……これには,◎奨励金制度,◎利益分
配制,◎職務評価,θ人事考課,◎賃金・給料政策,等が包含されている。
④諸管理(controls)……これには,◎生産管理(production control),(ここ には生産計画が入り,production engineeringおよびPlanning engineer−
ingの機能によって担当される)等が包含される。
@在庫管理,◎品質管理,◎原価管理(これにはcost enginnering或いは
Process engineeringの機能によって担当される。)◎予算統制,◎経営管 理統制,㊦管理会計。
⑤工場施設および設計……これには次のものが包含される。⑦工場配置,
(これはplant engineeringの機能によって担当される)。◎設備購入およ
び更新,◎製品設計,工具および計測器の設計,(これはdesign en−gineeringの機能によって担当される)。
⑥その他として,……これには⑦労務管理,◎労使関係,◎人間関係管理 ◎従業員提案制度(ブレーン・ストーミングbrainstormingを含む),㊥
ヒューマン・エンジニアリング(人間工学),㊦システム・エンジニアリ
ング(system engineering,体系工学),㊦シミュレーション(simulation),
◎情報管理,◎オペレーションズ・リサーチ(operations research),③オ
ートメーション(automation),◎作業環境管理,◎包装管理,⑦宣伝およびPublilc Relations,**◎計量経済学,等である。
もちろん,これらすべてがIEの研究領域に包含されて,その統制や支配を
受けねばならないというものではないという(〔49〕p.18)。
そして,IEの中心機能はあくまでも生産技術の導入であり,経営管理技法 の応用であって,これらの技術や技法を駆使して,人間関係の調整,生産性の 向上,事務効率の増進等を達成してコスト・ダウンを勝ち取ることであるとい
う(〔49〕P.18)。
かくして,IEは,その概念の学問的構成がどうであろうとも,今後におい
てさらにその研究対象領域を拡大して行くのである。
していると言っても過言ではないようにも考えられる。
しかしながら,従業員提案制度とか,宣伝およびPRとかがIEの領域内に 包含されるとしても,それらがコスト面に反映される領域だけをIEが取り扱 い,それに対するエンジニアリング的データを作成することとなるといわれて
いる(〔49〕p.18)。
あるいは,セールズ・エンジニアリングの名の下に市場調査や販売促進をI E機能によって研究するとしても,それも生産とコストに影響する局面に限ら
れるべきであると考える。
それ故に,IE技術者はスタッフ的職能の遂行者であって,ラインにおける
業務または作業の執行者ではないのである。
次に,現代の経営工学の課題につき考察したい。
皿.現代の経営工学の課題
ここにおいて,現代の経営工学(IE)の重大な課題に関して考察してみたい。
現代をマーケティング時代(the Marketing Age)とさえも呼称されているよ
うに,現代の企業経営並びに産業界においてはマーケティング志向理念が極めて重大視されてきているのである(〔33〕p.7)。
恩師の清水晶博士によれば,今日問題とされ重視されているマーケティング 論は昭和31年頃以降に本格的に研究されはじめたところの米国から移植された
学問であるといわれる(〔33〕p.3)。
その現今のマーケティング論は企業経営者の観点からのマーケティング論で
あり,マネジリアル・マーケティング(managerial marketing)であってミクロ
的観点に立脚しているマーケティング経営論(marketing management)であると指摘されている(〔33〕p5)。
現代的マーケティング(modem marketing)は日本生産本部が昭和31年に マーケティング実業視察団を米国に派遣して,アメリカにおけるこの問題を調 査せしめ,翌年にその視察報告書を公刊するとともに,専門家に依頼してセミ
ナーを開催するなどによって,アメリカのマーケティングを我が国に導入した ことがマーケティング学の生成の発端であると清水晶博士は指摘されている
(〔33〕 p,7, 〔41〕 p.143)。
日本においても昭和30年代に入ると技術革新による大量生産された商品を,
なんとかして大量販売しなければならなくなってきて必然的要求としてマーケ ティング論の研究が開始されたと指摘されている(〔33〕p.7,〔42〕p.97〜
100)。
当時では生産しさえすれば商品は売れてゆくという売り手市場ではなくて需 要に対して供給過剰の状況であったので,そこに生産面の革新に対応するとこ ろの流通面の革新こそが現代的マーケティングの生成基盤となったと考えられ るのである。
マーケティング革新(marketing innovation)は生産技術革新による大量生産
とそれに引き続いての過剰生産のために惹起されたものであり,また他方では 不況や経済的恐慌の発生等のために生起してきたものと考えられる。しかるに,このような大量生産,その後に大量販売そしてさらに大量消費と いう考え方は生産を中心に考えたところの生産志向的経営理念として特質づけ られるのである(〔33〕p.15)。
現代的マーケティング論は消費並びに消費者を出発点として考えて,消費者 達を中心として考えての理論構成をなし,またその実践を指導するところの消
費者志向理念(consumer℃riented philosophy)を強調するものである。
それ故に,新しい現代の経営工学はマーケティング理念を採用したところの アプローチをなすべきであって,しかも関連諸科学もを活用したところの学際
的研究方法(interdisciplinary approach)を採用しなければならないと考える。
つまり,現代の経営工学は現代経営学や現代的マーケティング学や現代会計 学,等の研究と同様にして,消費者志向理念に立脚したところの,理論的体系
を研究することを重大課題として負っているのである。
もっとも,現代の企業経営理念はまず最初に消費者志向理念が強調されるも のであるので,現代の経営学総論もマーケティング経営論も生産管理論も経営
工学も経営労務論も経営財務論なども消費者志向理念を第1義的に重視したと ころの理論的研究と体系化をすべきであることを強調できるのである。
ところで,既述の経営工学の研究対象と領域のところで例示しているように,
IEの研究対象と領域とが他の関連諸科学,例えば人事労務管理論,生産管理 論,原価管理論,品質管理論,情報管理論,オペレーションズ・リサーチ
(operations research),計量経済学,等々の研究領域とオーバーラップしてい
ることが多いのであるから,学際的アプローチないしマルチディシプリナ リィ・アプローチをしなければならないことは多言を要しないのであって,この事も極めて重大な課題といえる。
そこで,現代の経営工学は新しい品質管理も研究対象としているのは既述の
如くである。新しい現代の品質管理論は全社的品質管理(total quality control
:略称TQC)であると同時に統計的品質管理(statistical quality control:SQC)
であるという2大特質を有しているのである。
その品質管理(quality control:C)は消費者志向理念を強調しているもので
あることを以下のQCの定義や概念から理解できるのである。例えば,JISZ8101によれば,「品質管理とは,買い手の要求に合った品質の 製品を経済的に作り出すためのすべての手段の体系」であると定義される
(〔42〕 p.274)。
ト
また,W. E. Deming博士によれば,「統計的品質管理(SQC)とは,最も有
用でしかも市場性のある製品を最も経済的に生産するために,生産のあらゆる段階に統計的な手法を適用することである」と定義している。(〔42〕p.274)。
さらに,A. V. Feigenbaumによれば,「総合的品質管理(TQC)とは,顧客
を十分に満足させるということを考慮して,最も経済的な水準で生産しサービ スできるように,社内の各部門の品質開発・品質維持および品質改良の諸努力 を統合するための効果的なシステムであると定義してよいであろう」と定義し ている(〔42〕p.274)。なお,現代的品質管理はその1つの重大な特質としての統計的品質管理
(SQC)であるということであるが,そのSQCの発端はW. A Shewhart博士
が1924年に管理図法(control chart method)を創案してQCへ数理統計学の理 論を導入したことに求められるのであり,彼のSQCの2大著述によってその
骨子を理解できる(〔42〕pp.275〜276)。
さらに,製品計画論においても,消費者志向理念が強調されていることを次
の定義により理解されうる。即ち,
製品計画(product planning)とは,企業の主要目的である長期的利潤の最大
化の確保という課題にそって,消費者の欲求や要求に対して製品を質的・量的 に適合せしめる計画活動であり,その主内容は新製品開発,既存製品の改良,既存製品の新用途開拓,製品多様化,製品単純化,製品削除,さらに商標や
パッケージの管理などの諸問題を包括しているのである(〔41〕p.331)。
以上において考察してきたように,現代の企業経営は第1義的に消費者志向 理念を考慮しなければならないのであるから,まず消費者の要求や欲求
(needs and wants)を調査して知る必要がある。
消費者や顧客のニーズ(needs)や好みや願望などを市場調査によって知った うえで,製品の研究と開発(R&D)や,製品計画策定をすべきであると考え る(〔41〕pp.331〜338)。
製品開発の手順の1例としては,探求→選別→評価→開発→テスト→生産→
商品化のプロセスと考えてよい(〔42〕p.97)。
現代では消費者や需要者などの生活水準や所得水準が向上しているので商品
に対する要求や欲求(needs and wants)とそして好みや願望などが高度化して 複雑化してきているのである。
このような事柄に関する研究はマーケティング学の理論において最も良く研 究され調査されているものであるから,それらの諸文献や論文を参照していた だきたい(〔41〕p.165)。
以上の論点から現代の経営工学は現代経営学総論や現代マーケティング学や 生産管理論や品質管理論や経営目標論や経営戦略論や経営者論(企業の社会的 責任論を包括している理論),等々と同様にして消費者志向理念をまず第1義 的に考慮したうえで理論的研究並びにその実践への適用を遂行しなければなら
ないということを重大な課題として持っていることを強調しておきたいのである。
そして,当然のことながら,現代の経営工学(IE)はインターディシプリナ リィ・アプローチ(interdisciplinary approach)ないし多分野的アプローチ
(multidisciplinary approach)を活用することと科学的方法の採用とシステム
ズ・アプローチの採用とによって高度情報化時代でありコンピュータ化時代で ある現代の新しい学問として研究され体系づけられなければならないという重 大な課題を持っていることも強調しておかなければならないのである。y.マーケティング戦略と生産計画との経営工学モデル
さて,経営工学モデルをP.Kotlerのモデルに関して考察してみたい(〔29〕
pp.163〜189)。
ここでの問題は,現期間の利益を最大化するであろうところの来期間に対す る製品ラインの全製品の同時価格水準の組合せとマーケティング努力の組合せ
と生産量とを見い出すことである。
この問題には次の制約条件がある。即ち①所与の総マーケティング予算,② 所与の総生産能力,③生産量・価格・マーケティング経費とコストに関する所 与の最低水準,そして④その製品ラインでの諸製品間の明確なる需要と費用の 相互関係である。問題を表1に数学的プログラミング用語で表現する。
表1.複数マーケティング戦略問題
次のZを最大とすること;
zニΣ(P「のQ一ΣXrF………・…・………①
(1)玩≦B }予馴約雑
(2ぽ輪≦κ }生産能力制約条件
(3)
Qi≧0すべてのづに対して,
P ≧0すべてのゴに対して,
尤≧0すべてのiに対して,
τ之0すべてのiに対して,
非負条件
注記
Z二全製品ラインの期間当たりの総利益,
Q、=製品 に対する期間当たりの需要
P,=製品 の価格,
品=製品 に対する期間当たりのマーケティング努力,
c輌=生産量ρ輌の単位コスト,
、F=固定費
β=マーケティング努力のための期間当たりの総予算,
κ=期間当たりの総生産能力(即ち,機械時間),
〃,=製品iの単位生産量のために使用された生産能力の量。
この問題は,現実の生産ライン状況について解決することは複雑なものであ
る。ヒューリスティック・モデル構築(Heuristic modeling)と解答手続きがあ る援助を提供しよう。
各特殊ケースを解決するために利用可能な諸手段を示し,若干のケースを解 決することによって,より経営者的問題を作成したい。
次に三つの特殊ケースを示す。即ち,
①需要とコストの相関を現わす事によって二つ或いはそれ以上の諸製品間
の最適な価格決定。
②需要とコストとの相関を表わす事により二つ或いはそれ以上の諸製品の マーケティング予算の最適配分の決定。
③限定される生産諸資源とマーケティング諸資源に直面している二つ或い はそれ以上の諸製品の生産高水準の決定。
(1)相互作用のある諸製品の最適価格決定
最初に,二製品があり二製品間で価格の相互作用がある場合に対する複数製 のマーケティング戦略問題の単純化を考える。二製品は添字iと∫で記述され
て区別される。
その価格相互作用は若干の方法で表現可能であるが,より一般的方法は次の
二方法である。
①線形価格相互作用モデル,
Q,=〃‡一のP」十bgP2
………・…・………・………②
Q∫二瓦ノーαゴP∫十bゴ」巧
②指数価格相互作用モデル
Q、ニ〃,P、一〃・P,b・
{
・………・………・…………・・……・…………・……③
Qノニん、P,一のP,b・
この両モデルにおいて,ん項は規模の影響を示し,α項は自社製品の価格 感度を示し,そしてb項は横断的製品価格感度を示す。
指数モデルでは,広と拡は全体的感度の代りに文字どおりの弾性を示す。
そのモデルは諸製品が代替的であるならこのままの式で表せる。補完的製品の 場合にはb項の符号を逆転させればよい。
もし,二製品の生産とマーケティングが需要相互作用と同様に費用相互作用 をもっていると,一つの有用な総費用関数Cは次式となる。即ち,
CニF+c Q +ρ(X+6 ゴ(Q Q∫)−4……・・…………・……・…………・④
この総費用関数は各生産量水準とは独立である固定総費用Fと,そして製
現代の経営工学に関する考察 145
品iとゴとの生産一定限界費用と流通一定限界費用(但し,6∠≒6ゴ),そして 二製品の生産水準が指数化されて各製品別に分割された一定費用要素(cのによる費用相互作用要因の三要素から成立する。
一方,特殊な費用相互作用の定式句(Q Qゴ)の使用は費用相互作用状況を 広範に表現できるが,しかし一般的問題の解を求める事は数学的複雑性のため
以下では省くことにしたい。
すなわち,費用相互作用がある場合には,句=0と仮定すると,費用相互 作用要素が導入され操作されることになるのであるが,それには問題点も残ろ
う。
〔例〕 ここで費用相互作用がなくて,価格相互作用に直面している場合の 現在利益率を最大とする価格組合せ(P ,君)を見い出すことを考えてみよ
う。
まず第一段は利益関数(profit function)のZを定式化すること。即ち,
z=PゴQ 十PゴQ」一(F十c8Q,十6∫Qゴ)
∴ z=(Pゴーc,)砧+(P∫一のQrF…………・……・…………・…・…・⑤ 式⑤へ式②を代入すると,
z=(P「o )(〃一のP +b輌Pゴ)+(乃一εゴ)(〃ゴーα∫P元+b,P,)−F………⑥
式⑥をP と君とで微分して,最初のものを○に等しくなるように誘導する
と,乃に対する次の解を得る。即ち,
群一晒仇一c焙票篇1♀ + −Qω・…・…………・…・・⑦
((注9)製品ゴの最適価格はこのPゴを代入する事により導出できる。)
線形価格相互作用の仮定下では,製品ノの最適価格は需要関数と費用関数と に関する情報に依存している。もし費用相互作用要因をも導入すると複雑とな
ろう。
式⑦は式の値が正の価格乃*を提供する場合に有意義であるから,次の条件
が一般的に満足されなければならない。
即ち,
4α α」〉(b 十bゴ)2………・……・………・…・……・…………・…・…・…・……⑧
(2)相互作用のある製品間のマーケティング努力の最適配分
さて企業が継続生産しようと望んでいる諸製品間の価格組合せを考慮中と仮 定しよう。
その企業は,当期間に対して販売促進予算Bをもっており,製品iとゴの数
量によって二製品間で予算を分割する。但し,
x +濁二B……・…・……・一………・……・………・………・………⑨
さらに各製品に対して消費される量は両製品販売高に影響されるだろうと仮 定しよう。このマーケティング経費の相互作用は次の指数需要方程式で表わされると仮 定しよう。
Q」二傷悉α 晃一b
………・・………・……・…………・・………・…・……・・…⑩
Q戊=κゴ濁の陥一b∫
この場合には,一つの製品に対して資金を増加させると,もう一つの製品が
需要が減少することになり,二製品は競争する。(補完的製品の場合には,b/s の負の記号を除去するとよい)。
式⑨と⑩を使用して利益関数の式⑤のラグランジアン展開を定式化すると,
次式になる。
L=(Prc、)(ん,x、α嘱一bり十(君一の(κゴ晃α x−b )
−F+λ(B−x,−x})…・………・・………⑪
この式を微分すると,濁の最適水準に対する暗黙解を得ることができる。
髪婿覧i顎;轍鵠i:蒜;一聯・・…………・…一⑫
式⑫は解を単純化することは複雑であるが,右辺は定数であり,左辺の変数 は濁であって,製品ノに対するマーケティング予算の量であることを注目し
たい。
実際問題としては,全パラメーターが現実の数値であれば濁の各値を導出 できるであろう。それは,最適な掲と尤を見い出すことになるのである。
(3)相互作用のない製品間のマーケティング努力の最適配分 記述の二問題は,生産高と投入の連続性と代替性とを仮定している。
線形計画法(linear programming;L. P.)は,ある方法では,複数製品問題を
取り扱うには有益な代替的アプローチである。LP.の解決法の一例を示した いo会社XYZは製品1と2を販売しており,需要刺激のマーケティング手段と
して広告(A)と販売(D)を活用する。各計画に期間において,会社は二製品に対し
て奉仕するための広告と販売の諸資源の量(A、,A2, D1, D2)を決定しなければならない。
計画期間に対する会社の総広告資源と総販売資源はA=$22,600.そしてD
=6000人一時間(man−hours)である。
歴史的記録と経験的判断の基準で,管理者は両製品に対する広告努力および 販売努力についての試験的生産性係数を見い出す事ができる。
広告費1ドルは,製品1に対して消費されれば利益6ドルを生み,製品2に 対して消費されれば利益10ドルを作り出すとしよう。
この仮定が広告予算の全範囲にわたって保持されると仮定しよう。
人的販売(personal selling)では,広告の影響は収益を減少することにより 複雑化され特性化されると仮定する。
もし会社が製品1の販売に2,000千時間以下を奉仕すれば販売時間当たりの 利益マージン(profit margin)は24ドルであり,製品1にたいして2,000時間
から6,000時間(man−hours)を活用したとすれば販売時間当たりの利益マージ
ンは18ドルであるとしよう。
この生産性の下降を記述するために,生産性の高水準と低水準における製品 1に対する販売努力量を表現するために助変数D1、とD12とを導入する。
そうすると助変数の範囲は次のようになる,
1::1::淵…・・………・…………・…一…一…・………⑬
もし全販売時間が製品1に対して奉仕されれば,D、1+1)、2=6,000人一時間 が利用可能時間である。
式⑬の条件は図1に示されるような 図1凸面関数への折線近似 凸面関数に対して・折線ミ近似をなさ $120・000…一一・一一……一一折線近似
しめる. 遭$96・°°°1 現実⌒
同様にして,製品2の販売に対して紗72・°°°
1,500時間以下を使用すると販売時間
$48,000
$24,000
当たりの利潤利幅は40ドルであり,も 2 0004 0006・000
し製品2の販売に対して1,500百時間から6,000時間を奉仕したならば販売
販売時間(man−hours).
時間当たりのマージンは20ドルに低落する。記号で示すと,
1:::::認一一一一…・一……一……一⑭
最後に,管理者は各製品に奉仕すべき広告量と人的販売量との最大量とに関
して若干の政策的制約条件(policy constraint)を課すると仮定しよう。
管理者がどちらの製品に対しても販売時間と広告費とを少くとも2,200時間 と5,000ドル以上を奉仕し,そして4,500時間と18,000ドル以下とを奉仕すべ
きだと主張したと仮定する。
以上の諸条件によって,全問題は表2で数学的プログラミング用語で記述さ れている。
この問題はL・P・シンプレックス法によって解の近似値を得る。
現代の経営工学に関する考察 149 最適プログラムは次のようになる。
表2.マーケティング資源配分問題のL.Pモデル 次の利益関数Zを最大とするマーケティング努力の配分
(A、,、42,D、、,D12,1)21,1)22)を求めよ:
Z=6/11+10/12+24D、、+18.D12+40D2、+20D22}利益関数。
ただし,次の条件に従うこと,
_+D蕊::2::lllトケティング資源制撒
liiilli騰一
Dll十D12≧2,200
D21+1)22≧2,200 1)11→−1)12≦4,500 D21十1)22≦ 4,500
/41Σ≧ 5,000,ノ42≧ 5,000
∠41≦18,000,、42≦18,000 A,A2,1)、、,D、2,D2、,D22
すべて≧0,
政策制約条件
厭纏胃罐と)
}非負制約条件
ノ11 ニ$5,000 /12 =$17,600 {
1)11=2,000H 1)12= 200H D21=1,500H 1)22= 2,300H
そうすると,この結果から総利益は363,600ドルを生じ,さらに他の資源配
分の戦略までも提供することになる。
このL・P・技法は若干の製品とマーケティング決定変数をもカバーする ために簡便な方法で拡大され得る。人的販売の場合には非線形販売反応として
取り扱うことになる。
以上で考察したとおり,数学的プログラミングは線形で不連続的反応,多く の制約条件,そして製品間の相互作用の処理において効果的な方法である。
線形計画法や数理計画法の活用によって,種々の価値ある副産物を生むこと もできる。
LP技法は最適配分(⇒第一義の解)だけでなく,各資源への配分費用に 関する情報と政策的制約条件をも提供できるので,極めて有益な方法である。
その情報(infomation)は,管理者が次のような設問に回答することを援助
する。
①会社のマーケティング資源に関して,追加的販売のための必要時間と必 要広告費との相対的価値はどうか?
(表2の問題では,追加的販売の必要時間は20ドルを要し,広告費は10ド ルを要求する。)
②使用する資源の制約条件の最大と最小とを緩和することにより,会社の 獲得利益はどうなるか。(効果的制約条件は1)11とD21の水準で製品1と 2を販売して,A1,は最小とすること)。
③会社の総マーケット予算(total market budget)の少量増額によって,何
を獲得可能か。(会社はもう一つの製品販売の所要時間の限界費用に対して純利益20ドルを獲得できる)。
L・Pの第二の便益は,L・P法は広告と販売の相対的効果性に関して代
替的推定値(alternative estimates)の最適解の感度の検定が容易なことである。
なお,最後に以上の経営工学モデルの改良や諸適用や検討は紙幅の制約上か
ら次の機会に試みる。
一現代の経営工学に関する考察一吉永雄毅 (平成2年12月23日稿)
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