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精神衛生と健康の関連について

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Academic year: 2021

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精神衛生と健康の関連について

山 田 加奈子,井 上 靖 久

Relationship between Mental-hygiene and the condition of Health

Kanako Yamada, Yasuhisa Inoue

Summary

     The moral fatigue which comes from various stress causes various condition and illnesses.

Therefore, the healthy problem which occurs by stress is a big social problem. Own condition management and mental management are very important for those who perform health and nutrition management especially. It is dangerous that a person without the capability to manage self participates in the others' healthy problem, or to teach. The flicker measuring instrument used as an index of moral fatigue was used. As for the subject of the degree of fatigue, 244 female students of the dietitian training facilities of Nagasaki Prefecture were chosen. In order to observe the degree of fatigue, the subject divided into two, the group which does favorite work, and the group which does the work which he does not like. When stress is received for a long time, in order to know whether relation is between tastes and the degree of fatigue, the contents of work which performed experimental measurement were simple calculation and logic thinking, simple work, creation, etc.

Data analysis to which investigation data analyzed after the total using SPSS statistics processing software used Arrangement distribution analysis and multiplex comparison. Consequently, moral fatigue was not decided by the contents of work, but that work lover or whether his liking and the thing for which it therefore opts intentionally became clear. About recovery of moral fatigue, it remained as a future subject.

キーワード:疲労、フリッカー、ストレス

Ⅰ.緒 言

 ストレスから引き起こされる様々な問題は今や大きな社会問題となっている1).過度のストレス による精神的疲労や肉体的疲労,特に日常的に避けることができない日々の仕事や人間関係からく る精神疲労は湿疹,偏頭痛,めまい,うつ病,高血圧などの症状を引き起こし,重症化すると胃炎,

胃潰瘍,狭心症などの疾病を引き起こすため,健康問題としても広く注目されている2)3)4).しかし,

これらストレス刺激は様々な環境の中で生きている人間にとってなくすことは不可能であり,上手 くストレスや疲労と向き合い,どのように付き合っていくかが重要になってくる3)

 栄養士養成施設では,講義だけではなく調理実習や栄養指導などを行う.長時間立位のまま半日,

もしくは1日中作業を行うため過度の疲労を伴うことが多く,日頃からの体力・体調管理が大切で

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ある.健康や栄養管理に携わる業務に就く者にとって,自身の体調管理や精神面のケアは重要事項 であり,自己管理能力なしに他者の健康問題に関与したり指導したりすることは危険である.各人 がそれらに対処するには,各々が自身の精神疲労の感じ方の相違を理解し,自身のストレスや疲労 について論理的に把握しておくことが非常に重要である1)5)

 本研究では,長崎県の栄養士養成施設の女子学生244名に,精神疲労の指標として用いられるフ リッカー測定器(図1)を用いて疲労度を測定した.疲労度の相違を観察するために,1.自分の 好きな作業,2.自分の嫌いな作業の2つに分け,ストレスに長時間曝露することにより好嫌度と 疲労度にどのような関連がみられるかの試験的測定を行った.

Ⅱ.方 法

1.調査対象者

  長崎県活水女子大学の管理栄養士養成施設の女子学生244人(年齢19〜20歳)

2.調査期間

  H19年〜H22年の前期授業開講期間 3.測定

 ⑴ 測定準備

 測定に入る前に被検者はその操作に慣れるために3回予備測定を行った.また検者も各測定 時の条件を一定にするために,これに習熟した者を1名決め,一連の測定を行った.

 ⑵ 測定・作業内容

 フリッカーの測定は,作業を始める前,作業経過90分後,20分休憩の後の計3回測定した.

測定は1回あたり5回行い,その平均値を記入した.

 作業内容は以下の6つとした.

 1.単純計算,2.論理思考,3.単純作業,4.創作,5.何もしない,6.測定  ⑶ 好嫌度測定

 1から6までの作業内容を記入した用紙を学生にランダムに配付し,その作業について『好 き(得意)または嫌い(苦手)』(好嫌度)であるかを質問した.測定終了後にもその作業につ いて同様の質問を行った.

  ・A群(作業前に好き(得意)と回答し,作業後も好き(得意)と回答)

  ・B群(作業前に好き(得意)と回答し,作業後に嫌い(苦手)と回答)

  ・C群(作業前に嫌い(苦手)と回答し,作業後も嫌い(苦手)と回答)

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表1 フリッカー測定内容

 ⑷ フリッカー測定

 光を短い周期で断続的に点滅させて,それが連 続光と見えるか,断続光と見えるかの境界におけ る閾値を,そのときの周波数(1秒当たりの断続 回数)をもって示し,これをフリッカー値(ちら つき値)と呼ぶ.精神的な負担の変化を調べる方 法として優れていると考えられており,労働衛生 学や人間工学の分野で精神疲労の指標として用い られている.基準値より低値になるほど精神的負 担が高いと考える.

       図1 フリッカー測定器  ⑸ 統計処理

 調査データは集計の後,SPSS(ver.18)統計処理ソフトを用いて解析を行った6).データ解 析は2元配置分散分析及び多重比較を用い,有意水準をp<0.05とした.

Ⅲ.結 果

 作業内容と好嫌度の詳細を表2に示す.

表2 対象者の作業内容と好嫌度

 「単純計算」は54名,「論理思考」は53名,「単純作業」は35名,「創作」は41名,「何もしない」は29名,

「測定」は32名であった.

(4)

表3 作業内容・好嫌度別作業前後のフリッカー値変化量の平均値(mean)と標準偏差(SD)

 作業内容・好嫌度別作業前後のフリッカー値変化量の平均値(mean)と標準偏差(SD)につい て検討すると(表3),作業後のフリッカー値変化量では,「創作」のA群の数値以外は全て負の数 値を示した.最も大きい数値を示したのは「論理思考」のB群と「単純作業」のA群の-1.8であった.

 休憩後のフリッカー値変化量では,「何もしない」のC群と「測定」のC群の数値以外は全て負 の数値を示した.最も大きい数値を示したのは「単純作業」のB群の-2.6であった.

図2 好嫌度別フリッカー値変化量(全体)

 次に好嫌度別フリッカー値変化量(全体)について検討すると(図2),作業後のC群のフリッカー 値変化量は他の群と比べ低い値を示し,A群との間に有意差(p<0.05)がみられた.また休憩後 のC群のフリッカー値の変化量は他の群と比べ高い値を示し,A群とC群,B群とC群,どちらと もに有意差(p<0.05)が認められた.

(5)

図3 作業・好嫌度別フリッカー値変化量

 さらに作業・好嫌度別フリッカー値変化量のグラフ(図3)に見られるように,「単純計算」,「創 作」,「単純作業」,「何もしない」,「測定」作業では,フリッカー値変化量①(作業後)と変化量②

(休憩後)は,どちらも有意差は認められなかったが、「論理思考」では作業後A群とB群に有意差

(p<0.05)が認められた.

Ⅳ.考 察

 以上の結果より,作業実施前にその作業に好感を抱いているかもしくは得意としている場合で,

作業後もその作業を変わらず好きと答えた被検者(A群)と,作業実施前からその作業に嫌悪感を 抱いているかもしくは不得意にしている場合で,作業後も変わらず嫌いと答えた被検者(C群)の 結果に有意差が見られた(図2)ことから,作業の得意・不得意と疲労度感には明らかな関連があ ると考えられる.

 作業の種類別のグラフをみたとき(図3),A群,B群,C群の中で,C群はどの作業種別にお

(6)

いても作業前に比べ作業後の数値は最も低値を示している.そして休憩後を見たとき,作業後に比 べ数値は3群の中で最も上昇している.これは,人は自分の好まない作業を行うと精神疲労度が高 くなるが,作業後に休憩を入れることでストレス(作業)から解放され,回復効果が顕著であった.

つまり好きな作業をしているときよりもストレス・疲労度は高いが,ストレスから解放されると休 憩は効果が大きく自己回復力が働くと考えられる7).測定値は作業前に近い状態まで回復したこと を示している.次にA群の作業後の数値を見ると「単純作業」「何もしない」以外では,ほとんどフリッ カー値は低下しておらず(図3),あまり疲労感は無いように考えられる.また,その後に休憩を 入れたのにも関わらず数値は低下し続けている.これは,好きな作業をしている最中は精神的な疲 労は見られないが,作業の中断をむしろ精神的に受け入れていないかもしれないし,あるいは長時 間の作業に特に熱中したために気付かないうちに精神的疲労が蓄積し,自覚がないまま疲労回復に 至らない可能性もある.楽しい作業の後の疲労はいずれにしろ休憩を入れたのにも関わらず回復し にくいことが示唆された.

 今回の研究は好嫌度別疲労度の測定のみを行ったが,被検者の疲労度は作業内容だけではなく睡 眠時間に対しても影響があるといわれている.今回の研究では前日の睡眠時間については調査を行 わなかった.また被検者にはフリッカー測定による数値記入のみを行ってもらった.疲労には機器 による測定の他にも心情も深く関わるため,機器測定以外に疲労度に関するアンケート調査を実施 することで,より詳細なデータが収集できたかもしれない.また疲労には食生活が大きく関わって いるといわれている.栄養摂取の偏りにより疲労の感じ方は異なってくる.これら結果と被検者の 栄養摂取調査を照らし合わせることも今後重要になってくる2)

 今回の研究により,好きな作業・嫌いな作業により疲労の感じ方,また自己回復力についての関 連が確認できた.これらのことから作業に対して嫌悪感や苦手意識がある場合の精神疲労に対する 対処の重要性と休憩の有効性が示された一方,好きな作業をしている時は疲労を感じないものの,

その後の回復効果が得られにくいことが考えられたので,作業後の疲労回復についても今後研究調 査していく必要性が示唆された.

参考文献

1)島 悟:ストレスとこころの健康,pp.13-15,196,ナカニシヤ出版,2000 2)飯田恭子:ストレスに強くなる心の健康学,pp.16-17,74-86,山海堂,1995

3)鴨下一郎:女性が「心のストレスに負けない」ための本,pp.16-38,196-212,新講社,2009 4)和田豊種:精神衛生入門,pp.85-104,創元社,1986

5)Fマクナブ:ストレス・マネジメント,pp.339-344,北大路書房,1992 6)坂本元子 他:栄養情報の統計解析,朝倉書店,1990

7)フランソワ・クルーチェ:心の健康 −精神衛生−,pp.30-31,白水社,1967

(2011年1月31日受理) 

参照

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