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氏名 阿部アベ

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Academic year: 2021

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氏 名 阿部

智恵子

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 地理環境科学域 学 位 の 種 類 博士(理学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

172

号 学位授与の日付 平成

28

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名 地方都市における市町村合併による保育サービスの変化と子育て 支援の課題

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 若林 芳樹 委員 准教授 滝波 彰弘 委員 准教授 矢部 直人

【論文の内容の要旨】

現代日本が直面する少子化問題は,核家族化や都市化にともなう社会構造の変化が一つ の背景となっている.つまり,核家族化による家庭内の子育て機能の低下が親の孤立や子 育て不安につながり,子どもの虐待などの問題を生じる一因といわれている.また,都市 化によって希薄になった人間関係が地域社会の子育て機能の低下をもたらしたことも指摘 されている.こうした問題を解消するために,政府や地方自治体は保育サービスをはじめ とする子育て支援に取り組んできた.

しかし,

1990

年代から進行した「平成の大合併」にともなう行政区域の再編は,地方自 治体が提供する子育て支援にも少なからず影響を及ぼしている.平成に入ってから合併し た市町村は地方圏に多いが,保育や子育て支援の研究では,地方都市はほとんど対象にな ってこなかった.その理由の一つは,保育所待機児童が大都市に比べて少ない地方都市で は,公的な子育て支援の必要性は小さいと考えられてきたためである.けれども,核家族 化や都市化は地方都市でも進行しており,大都市圏とは違った子育て支援に対するニーズ や課題が存在すると考えられる.

そこで本研究は,地方都市で平成の大合併を経験した石川県の

2

都市(かほく市,白山 市)を取り上げ,合併にともなう保育サービスの変化を明らかにするとともに,子育て支 援施設の利用状況を通して地方都市における子育て支援の課題を検討することを目的とす る.

第Ⅰ章では,子育て支援に関する地理学と関連分野での先行研究を概観し,研究成果と

残された課題を検討した.その結果,大都市圏を対象にした研究に比べて地方圏での研究

例は少なく,とくに保育サービス以外の子育て支援について検討した事例が乏しいことが

(2)

わかった.また,市町村合併に伴う福祉サービスの変化については,高齢者福祉に関する 研究は進んでいるものの,保育サービスに関する検討は立ち後れていることが明らかにな った.

第Ⅱ章では,本研究で用いる方法とデータを述べた上で,研究対象地域の特徴を概観し た.市町村合併にともなう変化は,各市の合併協議会の資料と子育て支援担当部署への聞 き取り調査から得た情報に基づいて分析を行った.子育て支援の課題については,各市の 子育て支援センター・子育てひろばのスタッフ(かほく市

7

人,白山市

25

人)と利用者(か ほく市

7

人,白山市

13

人)への半構造化インタビューから得た情報,ならびに子育て支援 センター・子育てひろばの利用者(かほく市

80

人,白山市

238

人)へのアンケート調査の 結果に基づいて,質的・量的分析を行った.その結果,以下の知見が得られた.

第Ⅲ章では,平成の大合併にともなう保育サービスの変化について,かほく市と白山市 を比較しながら地方自治体による対応の違いを明らかにした.かほく市は,平野部におけ る狭小な面積の

3

町が合併したのに対し,白山市は都市部から山間部にまたがる

1

2

5

村という広域の合併であった.そのため,かほく市の合併は比較的スムーズであったのに 比べて,白山市では異なる地域特性をもつ平野部の都市化地域と山間部との間での調整が 難しかったという違いがみられた.その結果,市内のアクセス条件に違いが小さいかほく 市では,既存の公立保育所を維持しながら統廃合を円滑に進められた.これに対し,白山 市は財政面での理由もあって,保育所の数は維持しながらも民営化に早々と着手した.こ のように,両市の合併前後における保育サービスへの対応には大きな違いがみられた.

第Ⅳ章では,地方都市における潜在的な子育て支援へのニーズと課題を検討した.子育 て支援施設の利用者へのアンケート結果から明らかになったニーズについては,かほく市 と白山市の間で大きな差は見られず,施設の利用者である母親たちは,各種子育て支援施 設を使い分けることにより,孤立化を防いだり,友だちづくりを行っていることが明らか になった.

アンケートの回答者の一部に半構造化インタビューを行ったところ,結婚や出産で仕事 を辞めた母親が多いものの,職場復帰への意欲も高いことがわかった.また,公的保育サ ービスでは充たされないニーズを子育て支援施設が補完していることも明らかになった.

こうした施設を支える職員に対しても同様のインタビュー調査を行ったところ,職務が明 確な保育所とは違って,職員の専門性が曖昧な子育て支援施設では,母子との距離のとり 方への戸惑いや不安を抱く職員も少なくないことがわかった.

以上の結果について,第Ⅴ章では,対象となった

2

都市の地理的条件や社会経済的特性

の違いについて考察を加えた.その結果,地方都市でも大都市とは異なる子育て支援への

ニーズが存在することから,地域の実情に応じた柔軟で多様な子育て支援策が必要である

ことが示唆された.

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