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情報端末機器を用いた基礎英語学習の効果 : e-Learning を活用したリメディアル学習の可能性

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Academic year: 2021

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要旨  基礎学力の補充を必要とする大学生の数は年々増加しており,入学前の学生に補習課題を課す大学も増えている。 こうした低学力化には,様々な要因が指摘されているが,数多くの教育機関及び教員は時間的制約などでリメディ アル教育を施すことが困難と考えている。本実践研究では,情報端末機器を用いた基礎英文法の学習効果の検証を 目的とし,大学生が PC やスマートフォンで e-Learning システムを利用し,自律学習を行うことを促した。常時, 学習システムを利用していた 25 名の結果によると,指導後テストにおいて,対象とした文法 10 項目のうち文型, 分詞,関係詞,法などの7項目で文法力の有意な伸びが確認された。また,指導後の質問紙回答からは,利便性で 概ね前向きな評価を得ることができた。 キーワード リメディアル教育,e-Learning,言語習得,基礎英文法 Abstract

 The number of university students required to compensate basic academic skills has been increasing over the years, making it necessary for more universities to provide preparatory assignments to incoming students. This deterioration of academic performance has been attributed to various factors such as the decline in the candidate population and the relaxed education policy, or yutori-kyouiku. However, once underprepared students are enrolled, most faculty and staff may find it difficult to offer remedial classes due to time constraints. This case study examined effect of learning of basic English grammar by information terminal devices. University students were directed to make study hours by using a multi-platform e-Learning system, which was accessible on both computers and smartphones. During the semester, a total of 25 students regularly used the e-Learning system, where they were learning basic English grammar. The results showed that students’ performance on the post-test was generally better than that on the pre-test. The group of students with a desire for learning showed a statistically significant improvement in seven out of ten categories(e.g. verbals, participles, relatives, and moods). Furthermore, the current system was rated high on usability in the post-test questionnaire.

Key words

remedial education, e-Learning, language acquisition, basic grammar of English

情報端末機器を用いた基礎英語学習の効果

- e-Learning を活用したリメディアル学習の可能性-

長橋 雅俊

Leaning Effectiveness of Basic English through Information Terminal Devices:

A Possibility of Remedial Education through e-Learning

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わけ選択科目として受講した彼らの学習意欲の後押しもあり, 指導後テストにおける伸びがみられた(42.20% → 59.33%)。 今回の学習効果の達成には,学生自身の努力が何よりも大きい ことは否めないが,教育ツールが彼らに概ね受け入れられてい た点も結果に繋がったのかもしれない。今回のe-Learningシス テムは,コンテンツを独自に作成でき,学習者レベルに適合し た教材提示ができる点が主な利点に挙げられる。また,マルチ・ デバイスに対応していることから,従来のようなコンピュータ 上だけでなくスマートフォンを活用し,場所を選ぶことなく, 隙間時間に利用できる点も大きな要因だったと振り返る。しか し,こうした教育システムを導入すれば確実に学力の伸長が約 束されるわけではなく,指導の中で利用促進の仕掛けづくりが 重要となる。以下で報告者自身が配慮した点を補足して述べて いきたい。 4.1 教育的示唆  まず,教室内の活動で結末を敢えて与えない授業づくりを提 案する。往々にして経験の浅い教員に陥りがちな授業パターン として,授業時間内の指示が多く,内容を詰め込みすぎる傾向 がみられる。むしろ学習者が自己責任の感覚を身につけること を念頭に,能動的に教材と向かい合わせる一貫した指導が重要 であり,学生から自ずと結末にたどり着けるなら,その好機を 妨げてはならない。こうした自律学習の基本理念を踏まえつ つ,今回の実践では基礎英文法の再教育にe-Learningを導入し た。効果として,質問紙での回答状況を考察した限り,対象に は概ね受け入れられたと評価したい。  第二の留意点として,学生の自律を強調する一方,彼らの学 習経過に無干渉であってはならない。基礎学習の習得が途上の 学習者にとって,遅かれ早かれ独習の行き詰まりに直面するこ とは,中條ら(2012)が既に指摘している。本実践では特に「仮 定法」や「態」の学習成果が不振だったことからも,漫然と自 律学習ツールを与えるだけでは不充分であり,補強指導のタイ ミングを予測できたかもしれない。つまり,授業活動と課題提 示の進捗を連動させ,時機に合った指導を行う等,教室内外で の学習で相乗効果を狙った準備をしておくことが望ましいだろ う。 4.2 今後の展望  本実践では,リメディアル教育を目的としたe-Learningシス テム運用の可能性を検証した。しかしe-Learningの用途は幅広 く,反復の必要な語彙学習やリスニング等,他の知識や技能習 得の補助に運用できる。また,近年の大学教育ではTOEIC・ 英検といった資格試験など,授業時間の制約で問題対策の網羅 が難しくも,教育需要の高い領域への利用にも期待が持てる。 今後は,こうしたコンテンツの実現にも着手する必要がある。 一方,技術的な観点から,スマートフォンの利用における操作 やストレス対策に考慮する必要もある。学習効果の向上を目指 す上で,ユーザーの直感に合ったインターフェイスの追求,そ して質問項目や解答・解説の明快さを探求した研究が望まれる だろう。 注 (1)モバイル端末には,iOSやAndroidといったオペレーティング・システ ム(OS)によって利用可能なアプリも異なるが,THiNQ-Makerでは 両方のOSにも対応している。 (2)指導前テストの実施と結果については,(a)成績評価材料に加えず,(b) 学生の苦手箇所を把握するため,と説明した。そして採点の完了した 翌週にスコアシートを配布し,補強すべき箇所(正答率の低いセクショ ン)の重点学習を勧めた。 引用文献・資料 阿野幸一(2009)「大学での授業開き:教養英語の最初の授業」,『英語教育』, 58(1),34-35. 奥井裕(2010)「『実用英語教育』偏向の批判的考察」 藤田崇夫・鈴木繁幸・ 松倉信幸 編『英語と英語教育眺望』(pp. 35-51)東京: DTP出版 小野博(2008)「内外のリメディアル教育におけるICTの活用の現状と展望」, 『メディア教育研究』5,1-10. 河本敏浩・佐々木隆生・赤堀侃司(2012)「高大接続問題と学士力を保証す る大学教育」,『リメディアル教育研究』7,17-32. 國吉丈夫・神保尚武・石田雅近・木村松雄・酒井志延・笹島茂・生内裕子・ 河内山晶子・染谷泰正・Renée A. Sawazaki・Elizabeth J. Lange・中原淳・ 小野博(2005)「大学生のための英語リメディアル教育e-Learning教材 “University Voices” の開発」,『メディア教育研究』2,121-135. Saida, C. & Hattori, T.(2008). Post-hoc IRT equating of previously

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文部科学省(2013)「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グ ローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」[Website] http:// www.mext.go.jp/ b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/ attach/1352464.htm 安河内哲也(2003)『ゼロからスタート英文法』東京: Jリサーチ出版 安河内哲也(2008)『ゼロからスタート英文法問題集』東京: Jリサーチ出版 ロ ゴ ス ウ ェ ア(2012)THiNQ Maker version 1.9 [Computer Software].

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参照

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