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完全商品と不完全商品

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完全商品と不完全商品

その他のタイトル Complete and Incomplete Merchandise

著者 小西 善雄

雑誌名 關西大學商學論集

巻 19

号 3‑4

ページ 360‑378

発行年 1974‑10‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00021126

(2)

完全商品と不完全商品

(Complete  and Incomplete Merchandise) 

小 西

1.

は し が き

商品は生産財と消費財とに大別される。両者はさらに再分類,再々分類を 繰り返し,極めて多種多様の商品種類に細別される。生産財は派生需要であ り,産業の需要が非弾力的でも個々の会社の当面する需要は極めて弾力的な 場合が多く,そのため市場価格が成立するという一般的特徴をもっている。

消費財とは最寄品,買回品,専門品,耐久消費財,非耐久消費財などに分類 されるが,さらに同質的買回品は完全な弾力的需要曲線に当面し強力な価格 競争が期待できる商品であり,価格が適正でなければならない商品である。

異質的買回品は価格よりも品質が重視される商品であり,製品品質が適正で なければならない商品である。

このようにして,現在の商品理論やマーケティングにおいては,商品のも

つ価格と品質の両者が正常なる商品を把握し研究を行なう努力に欠けてお

り,上述のように価格と品質のいずれか一方が正常なる商品を商品分類別に

取り上げているに過ぎない。そこでわれわれは商品を完全商品と不完全商品

に分け,商品の品質と価格の両面に総合的な鋭いメスを入れることが,商品

と市場機構の正常化に重要なる役割を演ずるものであると考え,本稿ではそ

の試論的な概要を述べようとするものである。

(3)

完全商品と不完全商品(小西)

(361)  135 

さて,資本主義社会における国公営企業および社会主義社会(科学的社会 主義を含む)の企業は例外であるが,資本主義的企業においては,当然のこ とながら巨大企業,大企業,中小企業を問わず,また商品の生産的企業であ ると商品の流通ないしサービス企業であるとを問わず,すべての企業は利潤

(とくに最大利潤)を目的として経営活動を遂行する。この利潤第一目的の ために,商品の品質と価格の両面に種々な矛盾や不正が生起し,その最たる ものは有害商品,危険商品,欠陥商品,公害商品などの形態をとり,国民経 済と個々の消費者に重大な社会的,経済的,肉体的かつ心理的影善を及ぽし ていることは否定できない事実である。しかしながら,商品の実体にはこの ような種々の矛盾や欠陥を内包しながらも企業の経営活動を維持するために 不可欠な中心要素として,生産,流通の両過程を経て最終消費者によって消 費されているのである。資本主義社会の不完全競争市場における商品は如何 に優秀な製品であっても利益計上の見込のないものは製品アイデアの段階で 早くも葬り去られ,製品開発段階まで生き残れるのは利益計上の可能性があ ると評価されたもののうちのごく少数であり,さらにそのなかから商業的可 能性をもって新製品として市場に登場する商品は極めて少ない。商品は生産 者,流通業者および消費者のすべてに密接に閲連し,相互に影署し,経済社 会発展の基礎を形成するものである。即ち経済は,商品の生産,流通,消費 によって始まるのであって,経済の拡大はそれらの総合的展開によってもた らされた結果である。このような経済における商品の循喋と発展は資本主義 社会および社会主義社会の如何を問わず,文明社会においては止まることな

く継続している。

商品の価値は品質と価格によって構成され,両者の総合研究によって商品

の優劣が評価されるのである。ここでいう品質とは商品学的総合品質(市場

品質)を意味する。商品の価格に襲する研究は経済学の研究領域として広く

行われているが,品質に関しては商品学においても経済学においても未だ十

分な研究が行われているとは言い難い。もっとも,生産工学,技術学,諸種

の専門工学および自然科学などの領域においては深く且つ高度な商品の品質

(4)

研究が行われているが,それらは商品のー局面の品質を研究しているもので あって(例えば自然科学的局面のみから,或いは生産工学的局面のみからと いうように)商品としての総合的品質すなわち商品学的品質を研究している ものではない。商品学的品質というのは,商品の生産,流通,消費の全局面 を総合して評価する市場品質である。商品の市場品質およぴ価格が全く完全 な場合これを完全商品という。完全商品の諸条件のうち

1

つでも欠ける場合 が不完全商品であるが,その不完全の程度には各段階がある。最低のものは 欠陥商品,危険商品,有害商品,不良商品,偽称品,偽交品などであり,国 内および国際的諸法規に遮反する。いずれにしても悪質な不正商品であり,

これらは不完全商品の中で最も下位にランクされることはいうまでもない。

以下はまず完全商品の条件をさらに追究して行くことから本問題の考察を進 めたい。

2 . 完 全 商 品 の 条 件

消費者は商品の効用を最大にする目的で商品を購入し,企業は最大利潤を 獲得するために商品を生産し販売する。このような意味をもつ商品は前述の ように品質と価格によって構成される。品質も価格も時間の経過とともに変 化(変動)するが,ある一定期間内においては同じ品質の商品の価格が絶え ず変動することから明らかなように(とくに完全競争市場の商品), 短期的 には価格の変動は一般に品質の変化よりも速やかである。価格変動は数量的 条件(需要・供給量や景気変動)によって左右され,品質の変化は自然科学 的・技術的条件に左右されるが,長期的には価格と品質とは個々別々に動.く

ものではなく両者は密接に関連して変動する。ある場合には商品の価格変動 は品質変化よりもイニシアティプを取り,価格変動が品質変化を惹起する。

例えば価格の下落は品質の低下を引き起す場合がそれであって,不完全競争

市場の価格競争が激化した場合によく見られる。 (その一例として昭和30

代の前半から後半にかけての中級カメラの品質と価格を上げることができ

(5)

完全商品と不完全商品(小西)

(363)  137 

る。中級カメラの価格は昭和30年代の後半に暴落したが,それに対処するた め一部のメーカーは品質を下げて生産性の向上を行ない利潤の低下を防い だ ) 。 反対に品質変化がイニシアティプをとり価格に影善を及ぽすのは寡占 ないし独占産業における高級商品によく見られる。しかしながらこの場合に は,わずかな品質の向上が価格を非弾力的にし価格を異常に吊上げる場合が ある。市販汎用商品の場合には,商品別によって品質と価格との関係は種々 な形態に分類しうるし,生産財と消費財との区分によっても多くの細分化形 態を追究することができるであろう。

以上述べたように商品の品質と価格との関係は絶えず変動してやまない が,完全商品の条件は,ある一定期間における一定の商品の品質と価格の両 者が,ともに適正であることであり,この二つの条件が共に満たされている 場合に,この商品を完全商品と呼ぶことができる。次に完全商品の条件の一 つとしての適正価格についての若干の考察を行ってみることとする。

3.

適 正 価 格

独占禁止法(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に隣する法律」)の目的

は , 「企業が商品の品質および価格の両面において公正かつ自由な競争を行

なうことを促進させること」にあるのであるが,現実には企業の目的は最大

利潤の獲得にあり,したがって不完全競争市場においては価格および品質が

利潤目的のために独占化される場合がしばしば見られる。すなわち現代企業

の性格をもっとも典型的に代表する不完全競争市場下の独占的ないし寡占的

企業の特質は,最大利潤の追求を目的として,その遂行のために企業は生産

物差別化をともなう激しい種々な有効競争を行うが,そこでは価格競争の重

要性は次第に後退するのみならず,むしろ価格安定を目差して公然とまたは

暗黙の価格協定が存在し,価格競争を回避したいわゆる管理価格の実現を計

る場合が多いのである。またこの場合においては商品の品質は極度に差別化

されている。これを生産物差別化というが,同質的商品(例えば洗剤, 石

(6)

油,セメント,プラスチック,鉄鋼など)の場合においてさえ,差別化が行 なわれるのであって,異質的商品の場合においてはさらに極端にして高度な る差別化が行なわれるのである。

生産物差別化は商品の品質独占をもたらし,価格協定による管理価格は価 格独占を形成させるのであって,この両者によって独占利潤がもたらされる のであり,いずれも公正かつ自由な競争が阻害される重要な要因であること は言うまでもない。品質独占と管理価格は個々別々に達成されるのではな く,両者は密接に関連している場合が極めて多い。異質的商品による異質的 寡占すなわち耐久消費財の分野にしばしば見られるように各社が生産物差別 化によってわずかに異なる製品を生産する寡占の場合には,消費者の選好に よって銘柄への忠実が引起され,価格伸縮性がその商品に付与されるから,

屈折需要曲線の形態は 2カ所において屈折する。この場合には会社は消費者 の選好を得ている独占品質により価格を両屈折点の範囲内で最大利潤を求め る点に決定することができる。さらに二社以上の会社によって生産される商 品が自然科学的ないし技術的に品質が全く同一の商品であっても,強力な広 告戦略によって自己の会社の商品に対して消費者の選好を得ることができる のであって,この場合は需要曲線を右にシフトさせ利潤極大化のための市場 価格を決定しうる。このように消費者の選好を利用して或は他の種々な方法 によって,企業が最大利潤ないし独占利潤を獲得しうる商品価格とは,消費 者にとっては消費者の犠牲のもとに企業が不当な利益をむさぽる独占商品価 格のことであって,消費者の利益は侵害され,非常に無力かつ無知な消費者 の実態によって,かかる商品価格は広く形成されている。

適正価格とは,まず完全競争市場における商品価格があげられるであろ う。しかしながら,適正価格には適正なる利潤が確保されている価格でなけ ればならないということである。

今日,完全競争の状態はまれであると言われるが,若干の特定商品の場合

には完全競争に極めて近い競争状態が見出される。例えば,農産物の場合完

全競争に近いといえる。農産物(未加工品)は価格がきめられておらず,同

(7)

完全商品と不完全商品(小西)

(365)  139' 

質的商品,多数の売り手と買い手の存在という完全競争の主要条件が満たさ れており,したがって需要曲線は産業全体の場合には右下りであるが,個々 の売り手のそれは与えられた市場価格(均衡価格)においてフラットとな る。このような場合には,生産者が生産量の増加によって価格が急激に下落 しても,それにたいする有効な手段は何一つとしてない。ただ価格下落によ って損失をこうむるのみである。そして生産者は政府に救済を求めることと なりパリティ計画が実施されることになる。

上述のように価格下落によって生産者が損失をこうむるような商品の価格 は適正価格ではない。こうした高度な競争価格は農産物のみではなく,同質 財の寡占産業にも,異質財の独占的産業にも存在する。例えば繊維,化学,

石油,石炭,プラスチック,鉄,セメント,非鉄金属,機械,プラント,産 業用電機,家庭電器・部品,造船,自動車などの諸産業にも存在するが,こ れらの産業の場合には,完全競争の場合と異なり,生産者は生産量をコント ロールしうるから,農産物の価格構造とは類似したものではない。しかし たとえそうであっても企業間の協定は守られないので各企業は生産を拡大す る傾向があり,生産量増大によって市場価格は低落する。例えば最近におけ る諸物価の異常な高騰の場合でも,繊維製品や電子卓上計算機は価格下落に なやまされている。昭和

49

年度の電卓の需要予測は輸出

882

万台,国内

518

万 台であったが,

7

月末のメーカー在庫

170

万台,流通在庫

250

万台に達してい る。品質面については 3カ月毎のモデルチェンジでは新製品がすぐ旧型とな って値崩れがはげしい。小売価格はダイエー,東京・秋葉台,大阪・日本橋 などで

4

割引のものも出ており価格競争が激化している。

アメリカでは住宅産業は

1960

年には利益のある産業であったが,

1961

年に

大小の競争メーカーが出硯し価格が下落し,

1962

年に

200

の メ ー カ ー の う

ち ,

90

彩が倒産した。最近でもアメリカの住宅産業は極度の不振に落ち込み

1974

1

月から

3

月の間に

440

の建設業者が倒産した。

7

月の住宅着工数は

130

万戸で本年の最低を記録している。建設業界の失業率は約

47

万人

(10.6

彩)であり全産業平均失業率

5.5%

の約

2

倍に達している。

(8)

完全商品と不完全商品(小西)

日本においても昭和

30

年代に多数のオートバイメーカーが倒産し結局

3

社 に整理された。このように企業が倒産する場合の商品価格は激烈な競争によ って極度に下落している場合が通例であるが,かかる商品価格は上述のごと

<適正なる商品価格であるとはいいがたい。何故ならば,利潤の低下もさる ことながら,激しい価格競争によって多数の企業が倒産した後は,生き残っ た少数企業によって独占価格が形成されることは明らかであるかでらある。

いずれにしても,両極端の価格すなわち,激しい競争価格および独占価格は いずれも適正なる商品の価格ではなく,国民経済的利益にも反するものであ る 。

小売業の分野における激しい競争価格の一種である過当競争,安売り,乱 売などは消費者にとってはプラスであり極めて望ましいことであるから,乱 売は促進されるべきであり放置して•おけばよいという論説を唱える論者もあ るが,この論義には筆者は反対である。何故ならば乱売とか過当競争によっ て多くの小規模小売り商が倒産した後は,前述の例と同様に少数の大規模小 売商によって独占価格が形成されることは常識よりも明らかであり,消費者 にとってプラスになるどころか結局は大きいマイナスになるからである。

適正なる価格競争によって成立した適正なる商品価格こそ完全商品を成立 させる重要な条件の一つとなる。硯在の資本主義経済は,自由経済を主休と するものであるが,

19

世紀的な自由資本主義ではない。自由経済は強者の経 済であり,弱者が破れ去る運命にあるが,

A.H

.ハンセンや

P

A

.サミュエ ルソンも指摘するように,現在の資本主義社会には国家の干渉が加えられる 混合経済(二重経済)の形態でなければならないのである。これは民間企業 休制と国公営企業体制の共存形態であって,現在の日本においては,通産省 その他による商品価格の凍結もその一部に含まれるものである。

例えば,政府は昭和

49

8

9

日の閣議で,通産省が発表した価格凍結解 除後の見通しにより需給が大幅に緩和し逆に値下り品目もあることを指摘し

ている。すなわち,政府は 9 日の閣議で 3 月から実施してきた基礎物資•生

活関連物資の価格凍結措置(値上げの事前了承制)を大幅に解除するため通

(9)

完全商品と不完全商品(小西)

(367)  141 

産省(鉄鋼製品,アルミ加工品など), 農林省(しょう油, バターなど

8

目),大蔵省(ビール)三省所管の合計 3 2品目の価格凍結解除を決定し 1 0日 から実施するが,通産省は同省の所管3 2品目について解除後の需給・価格の 動向についての見通しを次のようにまとめている。

通産省の予測によると,総需要抑制の効果が出はじめ需給は大幅に緩和し ているから,凍結解除後も価格上昇の心配はないとし,逆に建材や住宅設備 機器,合成ゴムなどのように値下りする品目も出てきたことを指摘してい る。しかしこれらの品目の価格が上昇しないよう政府は解除品目の需給や価 格を厳しく監視し価格上昇の動きが出てきた場合には適切な対策を立てる,

などの方針を決定した。この凍結解除は,凍結措置が価格下降を妨げている という弊害を除去する目的のために実施されるのであって,今回凍結を解除 されなかった

19

品目(通産省所管物資1

4

品目,農林省所管物資 4品目,厚生 省所管物資

1

品目)についても

9

月上旬にはこの凍結措置を全廃する方針で

ある。また基礎物資•生活関連物資の凍結解除により,

3月以降実施してき た全国の百貸店・スーパーに対する生活関連商品

148

品目の価格抑制指導も,

8

月末で価格凍結を解除し,

9

1

日からは百貨店・スーパーが自主的に小 売価格を安定させる「価格安定協力制度」(仮称) に移行し実施する方針を 決定した。このほか家庭用灯油,

LPG

(液化石油ガス)を除く石油製品の 価格指導も近く廃止するので,昨年1 0月の石油ショック以来の広範な価格統 制という異常事態は一応終ることになった。

適正価格とは以上のような統制価格や凍結価格ではない。政府が末端の小

売り価格を凍結したり価格統制に介入するのはあくまでも石油ショックによ

って他品目に及ぼされる価格騰貴を防止するための緊急措置であって,これ

らを今後も続けることは望ましいことではない。価格統制ないし価格凍結は

経済の非常事態に対応するための措置であり,資本主義諸国においては戦時

中に広く行なわれたものである。もっとも,すぐ後で述べるように規模の経

済の存在する商品価格については独占価格を排除するために強力な国家の統

制が常に加えられなければならない。社会主義諸国においては,価格統制や

(10)

価格凍結は全面的に実施されているが,これは利潤の追求が第一目的の資本 主義的商品とはちがって国民経済的観点から,国民の生活向上のために利用

・消費されることを第一目的とするのであるから,こうした統制や凍結は当 然のことと言えるであろう。

適正価格とは利潤を第一目的にしない価格であり,つまり最大利潤あるい は極大利潤と呼ばれるものではなく,適正な利潤を獲得しうる価格にほかな らない。したがって完全競争市場における暴落価格(利潤は全く得られず,

生産すればするほど赤字が累積する価格)や,反対に独占市場における独占 価格は適正価格ではあり得ない。とりわけローレンス・アボットの指摘する

「完全独占」およぴ「価格の制限」が加えられた「可能的品質競争」,「寡占 的純粋品質競争」,「多占的純粋品質競争」,「無制限品質競争」などの諸市場 形態において成立する価格は適正価格であるとはいいがたいのである。

もっとも,規模の経済が存在する産業と商品の場合には,資本主義でも社 会主義でも企業の数を制限して少数企業による大量生産を行ない,供給独占 を認めた上で,価格統制を行なうのが小規模多数企業の生産よりも有利なこ とは明らかな事実である。しかしこれは資本主義企業の場合では独占企業に 独占価格を形成させないために独占企業が市場需要を十分に充足する生産量

と生産性を発揮する場合にのみ限られるのである。

商品の価格問題は商品学にも完全商品の成立条件として重要なものである が,元来,価格は経済学の中心的研究課題の一つであるから,さらに詳細な る価格の研究は経済学における価格理論の研究にゆだねられねばならない。

商品学において重要性の高い商品の品質問題は商品学の中心的研究課題とし て広く陳腐なほど人口に謄炎されているので,われわれは次に商品の品質に 関する諸問題を完全商品成立の最重要項目として論じなければならない。

4 . 適 正 品 質

商品の品質は第

1

次品質(性能,機能,加工仕上げの程度,材質,成分,

耐久性,特許など)と第 2次品質・(デザイン,装飾,包装,流行,銘柄,商

(11)

完全商品と不完全商品(小西)

(369)  1

標など)とに分けることができる。両者を総合した品質が十分な使用価値を 有し,その使用価値が使用者ないし消費者に確実に認識され,最高の市場性 を発揮し,最適の市場品質を有するとき,これを適正品質という。もちろん 適正品質は無公害かつ安全性が両者とも

100

%のものでなければならない。

1

次品質および第

2

次品質の諸項目は適正品質を成立せしめる諸要素と しての重要性をもつ。これらの諸要素は商品の使用価値を左右し,さらに市 場性に影響を与える。市場性を高めるためには(価格を下げれば当然のこと ながら市場性は高まるが,ここでは価格を捨象して,品質面のみとり上げ る),価格を一定として需要曲線を右にシフトさせねばならない。 需要曲線 の右へのシフトは,革新による製品差別化が必須の条件であり同時にマーケ

ティングの諸手段としての市場調査,製品計画,製品改良,広告・販売促進 などの諸種の機能の遂行も並行して進められねばならない。かくして,品質

→使用価値→市場性のプロセスを生産・流通・消費の総合的立場からィ ンターディシフ゜リナリー・アプローチ(学際研究)によって研究し,第

1

次 品質およぴ第 2次品質を総合して研究する広義の品質概念すなわち市場品質 を最高限度に確立せしめなければならない。

適正品質とは,需要曲線の右へのシフトによって社会的に国民経済の向上 に役立つ一定量以上の需要を満たすものでなければならないから,最適の市 場品質を備えた商品グループ(商品の品目・,ラインおよびミックス)が常に 市場に確保されていなければならない。かくして適正品質に到達するプロセ

スは品質_>使用価値ー→市場性一~市場品質ー→適正品質という経過をた

どることになるのであるが,いずれの段階においても社会の国民生活の向上 に資するための一定量以上の数量の存在が問題となるのである。

商品の第

1

次品質は商品学的な自然科学的方法によってその優劣を決定す

ることができる。第 2次品質については,自然科学および社会科学の両面か

らの研究が必要となる。このようにして商品の第

1

次品質と第

2

次品質の諸

項目を自然科学的および社会科学的両面から分析し検討を加え,その結果を

導き出す。

(12)

商品の適正品質には,水野良象教授の数多くの論文に見られる品質基準と テストに関する方法論,さらにイザベル

B.

ウィンゲート教授の「セリング

・ボイント=パイイング・ボイント」の内容,上阪酉三教授の「適正な商品 の要素」, ゼローム・マッカーシー教授の「完全製品の条件」などを付け加 える必要がある。すなわち,これらは適正品質つまり完全商品の条件として 商品学に深く関連するものである。

ウィンゲート教授のいわゆるセリング・ボイントとは,適否性,耐久性,

融通性,スタイルとファッション,魅力性,快適性,所有権の誇り,価格,

安全と健康,利用上の注意であり,これら諸項目も上記の方法により研究を 行ない結果を明らかにするのである。

ゼローム・マッカーシー教授の指摘する完全製品の条件もまた上に述べた 諸項目と関連するものである。すなわち,同教授は次のようにその内容を説 明している。 「顧客が製品を買い求めるのは満足が得られることを求めてい るのであり,製品の部品や原料を求めているのではない。すなわち顧客は完 全製品を購入することを絶えず望んでいる。完全製品とは自然科学的製品よ りもさらに広い範囲を包含するもので,その製品の関連機能および審美的特 徴を含むものである。かつ,それは付属品,装置,使用方法の解説,包装,

銘柄,保証などをも含むものである」。

次に上坂酉三博士の適正なる商品の要素も,適正品質の内容に関連する。

すなわち同教授によれば,適正な商品の要素としては,商品の優質性,保存 性,運搬性,代替性,適価性,広知性などがある。(なおここでの代替性とは

「その売買に際し同種同量の商品を常に提供できることである」と上坂教授 は説明されている)。

以上に述べた,商品の第

1

次品質と第

2

次品質, ウィンゲート博士のセリ ング・ボイントとパイイング・ポイント,マッカーシー博士の完全製品,上 坂酉三博士の適正な商品の要素などの諸項目をすべて備えた商品が適正品質

を有する商品であるということができる。

適正品質の時間的変化について考察を進めると,価格の変動と同様に,適

(13)

完全商品と不完全商品(小西)

(371)  145 

正品質も種々な条件によって変化する。前記したように,一般的には価格変 動は品質変動よりも一層速かであり,品質変化は価格変動その他の諸要因に よって影響を受けながら価格変動に追随して変化するものである。しかしな がら,これと逆に品質変化が価格変動に重大な影響をおよぽす場合も決して 少なくない。両者のいずれがイニシアテイプをとるかは,商品の種類別によ っても,またその時々の技術水準,需給関係,流行の変化その他諸種の情勢 によっても左右される。いずれにしても時間と価格,時間と品質は絶えず変 化して止まないものもあり,時間は価格政策に対しても品質政策に対しても 重要な結果を与えるものである。たとえば一般的には需要曲線は時間の経過

とともにより弾力的になる傾向がある。その理由は新規参入の企業が出現 し,代替商品や代替サービスが発展するからである。しかし例外として規模 の経済,製造革命,製品革命,流通革命,競争圧力,産業の需要曲線の左方 へのシフトなどは限界生産者を倒産させ競争的モデルから独占化への移行を 促進させることとなる。この場合には価格独占を形成し需要は非弾力的にな るから,前述のように国家の監視や統制によって適正価格を維持させるため の価格政策が必要となる。

品質は一般には時間の経過とともに技術水準や生産性の向上によって絶え ず改良され,消費者の要望を最大限度に満たす適正品質に到達せしめること を全ての商品は社会的責任として強く要求されている。消費者は絶えずより 良き品質の商品を求めており,企業の品質競争は企業の将来を左右する最大 のボイントとなっている。しかしながら不完全競争市場においては,企業は 利潤追求のための品質を一定にしてコストを下げる場合,コスト面その他の 理由から品質を下げる場合などがある。あるいは極端な場合には欠陥品や危 険・有害・有毒品を市場に供給することさえしばしば起って来る。

まず,コストと品質の関係から見ると,今日の価値分析(価値工学)は

1959

年にペンシルペニア大学で

VE

のセミナーが開催されて以来急速に注目され

てきたのであるが,これは商品の品質(主要機能)を下げないで最低のコス

トで生産を行なうシステムである。つまり品質を一定にしてコストを下げ商

(14)

品の付加価値を高めようとするシステムである。付加価値は利潤と賃金によ って構成されるから,結局のところ価値分析は利潤追求のシステイマテイッ クな方法であることは言うまでもないことである。コストが下がれば当然の ことながら,商品の最終消費者価格(小売り価格)を下げるのが適正価格の 条件の一つであるが,不完全競争市場においては価値分析を利用しコストを 下げても商品の付加価値を高めるために,その小売り価格を高くしようとす る矛盾が発生する。とくに非弾力的性格の商品ほどこの傾向は著しいと言わ ねばならない。要約すれば品質が一定で生産コストが下がっても商品の最終 価格は上昇するのである。

次にメーカーが品質を下げた場合はどうであろうか。ある商品の品質の低 下はその商品のメーカーが当面する需要曲線を左にシフトさせるのである が,不完全競争市場の場合にはすべての消費者は品質の低下を知ることはで きないから,企業の強力な広告戦略によって需要曲線はもとの位置にとどめ るか,さらに右にシフトさえさせることができる場合がある。すなわち,企 業は品質低下を覆い隠すのみか,広告によって消費者に品質を改良したかの ような印象を与え,品質競争に成功することさえ可能である。大多数の消費 者は品質の低下を神ならぬ身の知るところではないけれども,少なくとも商 品の品質表示が完全なものであれば,このような不正な品質競争はある程度 あるいは完全に防止することができるであろう。品質表示については後述す るが,品質表示法にもとずく硯在の品質表示は,全く不完全なものであって 品質表示によって消費者が商品の品質の優劣を判定することはほとんど不可 能の場合が多い。硯在の品質表示は単に構成物質の原料名,成分名,用途?

使用法,保管法,品位の等級などを示すのみで,例えば耐久消費財において

は最も重要な品質項目としての耐用年数を表示している商品はほとんど無い

といってよい。価格については消費者は敏感にその高低を知ることはでき

るが,品質の優劣を正確に判断することは極めて困難である。消費者が価格

と同様に品質についても的確な優劣の判断を下し得る完全な品質表示の実施

が完全商品の成立のためには不可欠な条件となるのである。

(15)

完全商品と不完全商品(小西)

(373) 147 

商品品質の欠陥は企業の命取りになる場合が多い。価格の高低すなわち価 格競争には直ちに対処しうるが,品質の優秀性を確立するためには絶えざる 研究と努力および高度な生産技術水準の導入と維持政策がなければ品質競争 に打ち勝つことはできない。上述のように現在は完全な品質表示は存在して いないけれども,消費者は価格にもまして品質を重視するから,国や地方公 共団体の試験研究機関,国民生活センクー,消費センクー,消費者協会,主 婦連などにおける商品品質のテスト報告や情報は消費者の買物の際のよすが として活用されるようになっている。完全な品質表示の実施と公式機関によ る科学的かつ完全な品質テストの情報は,商品品質の不当な差別化による不 当品質と不当利澗を解消し適正品質に導くものであり,完全商品の実現のプ ロセスとして重要な役割を果すことになるのである。 (品質表示および品質 テストについては,商品学における水野良象教授の多数の詳細な論文が発表 されているので,ここでは次にその概要を述べるにとどめる)。

上記の各テスト機関による商品の品質テストは適正価格と適正品質を休系 的に分析し総合的に市場品質を究明しなければならないが,そのためには同 一品目のうちから同一機種のものを少くとも数台以上そろえてテストし,統 計学的なデークによって科学的な結果を出して行く完全テストが要求される のである。この観点から見るならば,日本の各テスト機関の商品テストは多 くの場合においては

1

機種

1

台だけのテストであり,価格を無視し(すなわ ち商品の経済性を捨象し)かつ品質の一部分だけのテスト(簡易テストなど と称するもの)を行うなど甚だ問題点が多くテスト自身の欠陥が目立つので ある。

科学的商品テストは,商品の適正品質とその時間的変化を消費者が正確に

把握するために不可欠の条件であるが,わが国の商品テスト機関は欧米の水

準には達していない。すなわち,アメリカの消費者同盟は職員

350

人,大規

模な実験室の設備があって年間約

100

品目のあらゆる種類の消費財の優劣比

較テストを行なっている。これらのテスト結果はその品目の販売価格を基礎

として品質を評価し,その評定結果を機関誌のコンシュマー・レボート(月

(16)

完全商品と不完全商品(小西)

刊発行部数

200220

万部)に発表する。消費者同盟は機関誌の購読料金だけ で運営されており,政府や産業界からの助成金は受けていないから公平かつ 有能な仕事をすることができ,イギリス消費者協会やベルギー消費者協会も この部類に属する。日本の国民生活センクーは昭和

43

5

月に成立した消費 者保護基本法によって各県庁所在地に昭和

44

年度以降設置されてはいるが,

その規模が小さく完全なデスト能力が無いこともさることながら,国や地方 公共団体のテスト機関は行政上の理由からテスト結果を公表しない場合が多 いこと,またテストはただ単一品目の単ーテストであり同種多品目の商品品 質と価格との優劣比較テストもほとんど行なっていないことなどテスト機関 のシステムおよびテスト方法に多くの問題を内在しているのである。一方,

日本の主婦連の日用品試験室も極めて小規模で年間予算は数百万円にすぎ ず,テス・ト方法は前記の自治体と同じくすべて個々の品目の鑑別テストであ り,同種類の各商品の優劣を決定する品質比較テストを行なうまでには至っ ていない。また日本の消費者教育も欧米に比ぺて著しく立遅れている。

しかしながら,兵庫県生活科学審議会は昭和

49

8

12

日消費者保膜条例

案を兵庫県に答申したが,この内容は業者に商品規格,品質表示基準,取引

条件の基準および包装基準などの設定を義務づけるとともに,消費者の苦情

処理委員会を設置し消費者の苦情の調停を行なうなどの条例案が中心となっ

ており,

9

月県会でこの条例案を提案する。この条例を基礎として,昭和

51

年度までにわが国で最初の県立生活科学研究所を設置し商品の成分•原材料

の試験,性能・耐久性の実用試験,品質およぴ価格の検査と市場調査などを

実施し結果を公表するとともに消費者研修も行なう。同研究所の設置場所は

神戸港ポートアイランドの一角で,建設費は

5

6

千万円となっている。神

戸市はすでに消費者保護条例を制定しているが,都道府県のレベルでこのよ

うな専門のテスト機関を設置することは全国でも初めてであり,すでにわが

国で最初に昭和40 年から設立されている兵庫県立神戸生活科学センクー業務

とも密接な連携のもとに兵庫県は日本の消費者保護行政の最先端を行く中心

地として顕著な活動を行なっている。(兵庫県はすでに昭和40 年から神戸,姫

(17)

完全商品と不完全商品(小西) (

375)  149 

路,豊岡各市と氷上郡柏原町,津名郡一宮町の

5

カ所に県立生活科学センク ーを設置している)。適正価格と適正品質を備えた完全商品の実硯のために,

全国の都道府県に強力な消費者保護条例と生活科学研究所の設置が急務とい えよう。

以上のように兵庫県をのぞいては極めて貧弱な日本の消費者運動,消費者 の組織化,商品テスト,消費者教育,消費者保護行政などの実態によって,

日本の消費者は情報化社会の渦中に巻き込まれ,消費者の自主性は失われ,

企業の販売戦略のなすがままに引きづり込まれているのが現状というべきで あろう。すなわち日本でも情報化時代に入ったと言われているが,いろいろ の情報の中でも消費生活と密接に結びつく正しい商品情報は極めて少ない。

これは全く矛盾したことであるが,情報化社会における消費者が商品を買う 場合その商品についての正しい情報を得ることが困難である。広告を中心と するほとんどすべての商品情報は企業の販売戦略のための情報であり,消費 者が信用しうる公正な商品情報は少ない。すなわち企業が最大利潤獲得のた め,一方においては,、原材料を節約し,製造工程を短縮し,商品の品質を低 下せしめ(品質を下げた場合においても独占的企業は広告を中心とする非価 格競争によって需要曲線を右にシフトしうる), 他方においては, 必要以上 に品質水準を高めてコスト以上に最終価格を吊り上げ,不必要な付加機能や 付属品を取付けて価格を引上げ,外観デザインを必要以上に変化させ,流行 期間やライフサイクルを短縮させ,さらに市場統制と強力な広告戦略によっ て独占価格を形成し,絶えず極大利潤を追求するのである。そうした結果,

使用価値に欠陥のある欠陥商品や不正価格の商品が続々と市場に出回ること になる。

とくに不完全競争市場における異質的寡占商品の場合は前記したように広

告によって需要曲線を右方ヘシフトさせると同時に,特定銘柄への消費者の

選好による価格伸縮性の惹起により,需要曲線の形態は 2カ所で屈折するか

ら企業は商品の価格を両屈折間において最大利潤獲得のため最も都合のよい

価格を決定しうる。このような消費者の選好と価格伸縮性は,たとえ自然科

(18)

学的品質が各メーカーの商品間においてほとんど同じであっても広告やその 他の商品差別化によって社会科学的品質が著しく異なるもののように市場に 提供された結果として発生したものに外ならないのである。企業は競争に打 ち勝ち最大利潤を追求するため,たえず消費者の選好と価格伸縮性さらに需 要曲線の右方へのシフトを目的として強力な広告を展開する。こうして広告 費への多額の支出によって,一方では商品価格の騰貴がもたらされるととも に,他方では激しい広告戦による広告効果の相殺が起り,これが資本主義社 会における最も著しい浪費形態として顕著に具硯することになる。

5 .   不完全商品の追放

売り手が完全競争の状態および買い手が不完全競争の状態を除けば,一般 経済の構造は生産者と流通業者およぴ多数の消費者の存在によって特徴づけ られる。完全競争およぴ不完全競争の如何にかかわらず,売り手と買い手の 経済行動の論理は,それぞれ自分の側に最も有利な条件を求めて行動するた め利害が相反し一方の利益は他方の損失となって対立する。資本主義的な独 占ないし競争経済の特質は強者側の不正利潤の獲得,弱者側の損失招来を内 包するものであるが,かかる経済構造が正常なる経済の論理とはいい難い。

これを打破するためには,まずその最も大きい要因をなしている不正品質や 不正利潤の不完全商品を市場から追放することが先決問題となる。

この目的のために,商品の適正価格を基礎としての適正品質を評価決定し なければならない。その方法は,既述の第

1

次品質,第

2

次品質,

ウ イ ン ゲ

ート,マッカーシー,上坂酉三の諸博士らの適正商品の要素や諸項目を綿密 に調査かつ分析し,その結果を総合して評価決定することである。

以上の評価過程と密接に関連するものは商品の品質表示であって,商品の

評価に有用な材料や資料を提供するものであるが,前述のようにそれは決定

的なものではない。すなわち同質的生産財の場合を除いて,異質的生産財や

一般の消費財の場合には品質表示によりユーザーないし消費者がその品質に

(19)

完全商品と不完全商品(小西)

(377)  151 

ついて適確な判断を下すことは困難なことが多い。品質表示のうち,昭和

37

年に制定された家庭用品品質表示法(衣料,合成樹脂加工品,家庭用電気機 器,家具, 雑貨品などのうち特に表示が必要と恩められたもの), さらに同 じ昭和

37

年に制定の不当景品類および不当表示防止法(医薬品, 食料品な どに適用)などは一般消費者の商品購入に際してある程度の判断資料となる けれども,品質の優劣を完全に識別しうる表示ではない。北原三郎教授の品 質表示の分類によれば,品質表示は,明細表示ラペル(原料,成分,含有率,

正味重量,生産年月日などの表示),解説ラベル(用途,成分,使用法,保管 法などを示す),品位表示ラペル(品位の等級を示す),証明ラペル(検査に 合格したことを示す), 規格表示ラベル

(JIS, JAS, 

グッドデザインマー ク,計量器検定証印,電気用品型式承認マークなど) などに分けられる。北 原博士が指摘されるように

JIS

マークは一定の規格以上の品質を示すだけで 等級は示さない。

これらの品質表示のすべては商品の品質の一側面の表示にすぎず,消費者 に最適の表示であるとはいえない。品質表示のある商品の中にも危険商品や 欠陥商品が数多く存在している。さらに品質表示を利用して価格を引き上げ

るという価格面への影響も無視できないといえよう。

繊維製品については「 Q マーク制度」(よい品質を意味する)が通産省の

指導によって昭和45 年

1

月に発足したが,

4

年以上経過した硯在でもごく一

部の製品に使用されているにすぎない。

Qマークラペルを製品につける場合

は,メーカーが

Q

マーク管理委員会(東京都千代田区岩本町

2‑4‑9)

申請して所定の検査機関の検査を受けるのであるが,検査項目は裁ち方,縫

い方,生地などの良否の判定,

JIS

規格品はその規格どおりの寸法か,

JIS 

のないものは表示サイズどおりか,有害物質の有無,家庭用品品質表示法に

よる表示があるかなどである。これらの各項目の検査合格品に Q マークをつ

けることが承腿される。しかしながら,現在のところ,この Q マークを付け

ている商品は一部の百貨店で売られている一部の繊維製品にみられるにすぎ

ないこと,およぴ Q マーク付の商品が

20 50%

の高値で売られているなどマ

(20)

ークが実質価値以上に商品の最終消費者価格を吊り上げることにもなりかね ないという問題点も内包しているといえよう。

商品市場機構の正常化のためには,不完全製品が市場に投入される以前 に,未然にその商業的可能性を防止しなければならない。すなわち,以上の ような一面的かつ断片的な商品の把握ではなく,品質と価格の両面から総合 的に研究し,その商品が完全商品であるか,不完全商品であるかを,すべて の商品について明確に表示されていなければならない。結論として,それは 単なる品質表示ではなく,品質と価格を総合してとらえるインターディシフ゜

リナリー・アプローチ(学際研究)による完全・不完全の商品の表示でなけ ればならない。かくして,すべての不完全商品を市場から追放するのみなら ず,過剰品質商品(利潤追求の目的のため,異常に品質を高め高価格を付け た商品)およぴ欠陥商品(有害商品,危険商品)なども市場から駆逐しなけ ればならない。なお有害商品については昭和

48

10

月公布され

49

10

1

日 から施行された「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(家庭用 品規制法)」がある。 しかし下着などの伸び縮みを防ぐための樹脂加工に最 もよく使われるホルムアルデヒドの基準遮反に対する法の適用は

1

年間の猶 予期間が置かれており,厚生省のこのような手ぬるい行政に批判の声が高ま

っている。

安全性は全ての商品の初歩的かつ最重要の品質項目である。完全・不完全

商品の表示は完全な品質表示を基礎とするものであり,完全な品質表示とは

買い手がその商品の価格に対応する品質の優劣を的確に判断しうる正確無比

な表示にほかならないのである。

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