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トラス構造の座屈(続報)
奥 田 克 己
1 はしがき
トラス構造とは多数の直線部材の結合より成る構造であって,節点はすべて剛節であ り,且つ節点以外の点に作用する外力は存在しない構造である。
したがって,トラス構造における各直線部材の軸力は,節点をすべて滑節であると仮定 して求めたときの軸力の値と完全に一致するはずである。このような構造が弾性座屈を生 ずると,全部材が一斉に座屈し,座屈後の各部材の弾性線は一斉に曲線に変る。それ故ト ラス梼造全体の座屈を考える代りに,任意の一部材のみに着目し(これを基本部材と呼ぶ)
この部材だけの単独座屈の問題と見倣して,座屈の限界荷重を求めることができる。
ただし,図一1のABを基本部材とすれば,節点A,Bには必ず何本かの隣接部材が接 続しているので,基本部材ABの両端末・4, Bにおける変形の条件は,単なる固定または 支持ではなく,一般}C・A, B両端はある曲げ剛さを持つ弾性支持であると考えられる。
O c=X
硫
図一1 2 基本部材の座屈公式
一般に基本部材ABが座屈して,図一1の点線のごとく変形し, A, B両節点の近くで は・Mo4・MOBなる曲げモーメントが発生し, A, B節点はそれぞれρ似,90Bだけ回転し たとし,図一1に示す矢印の方向を正とすると,
MoA=kOA gOA, MoB=leOBfPOB (1)
で,添字の最初の文字は部材を,後の添字は節点の記号を示す。ただし,kは直線部材の 端末における曲げ剛さで,kOA, kOBの値は隣接部材によって定まる。次に図一2に示すご とくB端にi本の隣接部材が接続している場合について考える。隣接部材iのB点におけ る曲げ剛さktBは,
80
k、B_M・・
¢)tB
ピcLa
(2)
c
\ Pi
図一2
で,これはB端末における隣接部材としてはi部材だけが単独に存在する場合の,B端六 における曲げ剛さであり,その値は弾性論によって求めることができる。 (次節)
またB節点は剛節であるから
%万=9tB (3)
モーメントの釣合いから ゴ
M。B=ΣA・f,. (4)
ii−t1
式(3)に,式(1),(2)を代入して,式(4)によって,MoBとA6,Bを消去すると, B点の曲げ副 さkOBは,
ゴ
k。B一Σk,。 (5)
i=1
同様に,A端にj本の隣接部材が接続する場合のA点の曲げ剛さkOAは,
i
k。。一Σk,., (6)
i=1
基本部材の単独座屈の限界荷重をPOOとすると, POσは基本部材の固有の常数Hoと曲 げ剛さkOA, koBによって決まり,数式でかけぽ,
1)oσ=F(kOA, kOB, Jlo) (7)
ただし Ho=lo/Eolo (8)
ここで,koA, kOBは次元を持つので,取り扱いを簡単にするために次式のごとく無次元 の7770A, MOBとに書き換え,
fnOA=たOAHo, 7210B=夫OBHo (9)
この〃zを座屈係数と呼ぶことにする。式(9)を用いて式(7)を書きかえると,
P・σ一島。ゾ(m…m・・) Od
さらに,
α6a=∫(MOA, MOB) ⑪ とおけば,式⑩は,
81
P・・一・b・』浮゜ ・
くの
となる。式⑪のα0σとMOA, fnOBとの間には,第一報の式㈱が成立する。この式を本報の 記号を用いて書き直すと,
αbe・inα。σ+α。σ(・inα。。一α。σC・・α。σ)(M・A+m・B)
+{2(1−c・・α。σ)一α。σsinα。,}fn・A・m・B−0 ⑬
o。
ドA
v
誌
41 2ー ー
口
4c ダ
弘
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0 8 6 4 2 0ー 烏ピ
|
縫s 1
ぞ、
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グ
写
舎マ
.
ぺP
辱
2 4 6 8 iO 12 /4
一一→>tMcA 図一3
この式⑬のグラフを図一3に示す。MOA,物βが知れると,上式(i9によってαoσが定ま り,これを式QZVこ代入することによってPocが求まる。また,図一1で, A端が固定とす れぽ,MOA=。。であるので,上式に代入すると,
・。。(・i・α。σ一・。。c・・α。,)+{2(1−…α。。)一・。・sinα・・}M・B=0 04
この式⑭のグラフを図一4に示す。
式(IZIこおいて
。a。−7z。π・ as
とおけば,式㈱は,
82
・。
ざ→
。20
18
16
1 1
14 2 0 1 ー
8
6
%
図一4
83 Poσ=770r・2Eolollo2
で,通常オイラーの公式と呼ぼれているものと一致する。
c.rs・
.v.
3 端末における曲げ剛さk
図一2は・縫の部分図一(・ ・ ABCtg屈を考え磋本部材・を, BC麟翻枷を,点 線醜屈後の難曲線の波形を示す・隣接部」1・t・iの儲cが支持暢合と,固定暢合、こ 分けて曲げ剛さktBの導き方を説明する。
(1)隣接部枷の他端が支持の場合
tr−一一一‖i
QiB
g
図一5 Qic
図一5はpm−2の翻 撒を励出したもので, C端が端の場合己る.先ず,力
の釣合上QtB=QtO,かっMεσ=0であるから,
ハ4tB=QtBlt Mx=Q,BX+Po したがって,
2+ξ・・…iiz−・一・
ただし, Pf=ξ♂E必 これを解くと,
・−A…ξ針B…ξ1・一警ex
x==0 で Nニ0 とおくと, .Bニ0
x=ltで y= O とおくと,
ただし・ αt=ξ,1,
式⑳に,式㈲,と助を代入して,
A= MεB Ptsinαt
う0
⑱
⑲
ツー警(sinξtX xSlnα包 1ε)
次に,x・=ltでdN/dx == 一 {otB,式(2)から,
AtftB= ktBPεBとすると,
一鷲τ一劉α・c筆:1蓑inα・)
⑳
⑳
⑫
⑳
整理して,
ll乙)慧;ll}
この式臼のφ、(α)を図一βに示す。
図一6
85 次に,部材iの軸力が引張の場合には,図一5のPtを引張に改めて,同様にすればよ
い。
その結果は,
で,この式⑳のφ11(α)を図一6に示す。
(2)隣接部材iの他端が固定の場合
図一2のC端を固定とすると,図一7になる。
宿
←一一一Ri
QB
︐
、 ほ
M
\
t
一一一一 _ 一 〆
斗
一一■
v
む 苫
Vd
Qic
図一7 したがって,
霊ゴ蕊ξ+,,, )1
これより,
;裟噺・(一・it・+QIBX)/EI・・一・
これを解くと,
y=AsinξtX+BCOSξ,X−(一M包σ+QtBx)/P,
x=o で3,=o とおくと,
B=M・B;Q・・ち
Pt
x=o で d5,/dx=o とおくと,
A=Q8
1)tξ《
x=ttでS, =o とおくと,
Asinαt+Bcosα一(−Aa,c+q.x)/Pt=o 上式に,式θ,㈱と㈲を代入して整理すると,
⑳
3D
3z
86
QεB= Z也Bξε(1−cosαt)
Slncrt一αtcoscrt
x=ltで, dor/dx=−COtB,式(2)で{OtB=A41tB/ktBとすると,
鷲一一Aξ・C・・crt+Bξ・S・・α・+一晋
上式に,式eg, BDと鱒を代入して,
:竃曇悉監}
この式6Sのφ,(α)を図一6に示す。
9
s﹇D
B9
65
次に,部材iの軸力が引張の場合には,図一7のP,を引張に改めて,今と同様にすれ
ぽよい。
その結果は,
:ごタ蕊畿
で,この式⑯のφ、!(α)を図一6に示す。
} 60
4 座屈荷重の求め方
図一2において・座屈を考える基本部材0と部材iとの軸力PoとPtとの関係は,静力 学的釣合の条件によって決定されるから,一殻に
Pt=CtPo BZi
で,C包は既知の定数である,式助の関係を図一8に示す。
一般にすべての隣接部材の軸力が零である場合には,前論文1)2)の手順によってktBを 求め,これを式(5)に代入することによってkOBを,また同様にしてkOAを求め,式(9)に
よってMOA,彿OBが求まるから,式⑬または図一3を用いて,αoσを,さらに式⑮⑯に よって720およびPOσを求めることができ, POと与えられた荷重との関係Wは,静的釣 合の条件によって最初から既知であるから,結局臨界荷重▽を求めることができる。と
ころが隣接部材の軸力が必ずしも零でない場合には,Pψが未知である以上, letBの値を 決定することができないから,その後の計算を進めることができない,そこでこの場合に は.巳σの値を適当に仮定し,試算法によって臨界荷重を求めなけれぽならない。図一8は 試算法の手順を示すもので,先づ斜線は式⑰の関係を示す。
→
0
関係
一一ラP{
図一8
87 この式⑰は座屈の瞬間まで成立し,
1)tC=C,1)oo
B⑨
但し・添字C願界座屈鐘(cri・ical・b・・kli・g 1・ad)を示し式68姻一8の点Cを示
す。
そこで,座屈鯨の求め方の手順の例として,図一2の部枷の他端c澱持で,舗
iが圧縮を受ける場合,すなわち,前節の(1)llついて説明する。
求める座屈荷重Poc, PtCは式⑫と0θから
P・σ=n・・2E・1・/L・2−・・σ2E・∫・/i・2 ω P・・=n・π2Etlt/1・2・・tEllt/II2 ㈹
である・座屈樋P… P・σを求める・とと…。,・,C又は7Z。鋤を求める・とは同臆 味である・先ず部JH−iの・・σを・1・・と仮定して,蜘からP、a、を求める.次、.。,σ、を式 臼に代入し・さらに式(・)・(・)1・・代入して…9・を求め,又,同樹・してA点での,。。Aを 求め・このm・At m・Bを式⑬e・代入して…σカ・求ま》砥・の時の部材・とi、、DiEig Poa1, PtOiは
㌃:蕊別 eD
上式9Dを図一8での点1とする.・の上式力・式晒満たせぼ,すなわち点1カ・縮線上に 乗ればこれが求める座屈荷重.Poσの値である。もし,式臼を満たさない時は,更に部材i
のαtσをαtC2として今と同様に計算をして,
鴛:㌻巖;} (e
を得たとする。上式を図一8での点2とする。
上式が式B8を満たせば,これが求める座屈荷重1)ooの値である。
まだ,満たさない時は,満たすまで計算を試みる代わりに,図一8での点1と2を結ぶ 直線が式励直線と交わる点C(P・σ・P・c)よ腱屈荷重P・σ鰍定する・ともできる。
また,他端Cが固定の場合も全く同様な手順にて,座屈荷重を求めることができる。
5計算例
図一9に示す二辺からなるトラス構造に圧縮荷重Wが作用した時の座屈荷重W,を求め
る。
ただし,A, C点は固定とする。
部材0と1の軸力1)o,P、は
P・ =・1/百Po ㈹
P・一コW P・一警 @
座屈の瞬間まで・鵡と鱒1誠立すると考える.部材0と1の座屈樋P。。, P、。は式(、Z,.
⑯から
;ll:蕊㍑き㍑8} 臼
88
4
↑2
7
0
図一9
①
5 2
2 2 3
→・n lc
図一10
89 式⑬と倒から
銘。σ=ンー{i n、σ ㈹ 上式のグラフを図一10に示す。
先づ,部材1は,一端固定で他端支持の棒に近いから,フ7、c、≡2と考え,これを式⑮に 代入すると,α、c、=4.439となる。これをround numberに直して,α、σ、=4.40と仮定
した。従って,これに相当するn、σ、は1.964と仮定したことになる。従って,式臼から
φ、(α10)=φ、(4.40)=0.259 禦力
上式を式θと式(6)に代入して,更に式(9)に代入して,
MoB = RoBHo=RエBHo:=0.4486 ⑱
を得る。基本部材0のA端が固定であるから式⑭によって,αoσ、=4.65を得る。これを式
㈲に代入して,フZo、=2.193を得る。このnoo、=2.193とフ1、ot=1.964を図一10の点1とす る。次に部材1のα、σの値を変えたα、c2=4.70すなわちIZ,c,=2.24と仮定して全く同様に 計算すると,αoσ、=4.03すなわちnoe、=1.647を得る。このnoσ2=1.647とn、c、=2.24を
図一10の点2とし,点1と点2を結ぶ直線が式㈹の直線と交わる点が求める座屈のnoσ,
7Zlcで
noσ=2.83 7Z1σ:=ユ.64 ag)
上式と式㈹から
} 6・) 1)oσ==2.83π2Eolo/lo2
P,c=1.64π2E111/1,
を得る。上式を式⑭に代入すると 求める座屈荷重Woは
II7e == 5.66π2Eo∫o/lo2
又は
IIIc==1.895π2Eili/112 となる。
参 考 文 献
く1)奥田克己:構造部材の座屈について,明星大学研究紀要理工学部第3号1997年3月 く2)塩崎恵一:トラス構造の座屈(第1報)日本機拡学会論文集No 720−10(1972)