長野工業高等専門学校紀要 ・第
2 4
号( 1 9 9
1)4 7
溝 形 断 面 柱 の 相 関 座 屈 実 験
永藤壽宮 小林清
Interaction Buckling Experiment of Channel Columns Toshimiya NAGATO and Kiyoshi KOBAYASHII
Cha n n e ls e c t i o n spr e s e n tve r yi n t e r e s t i n gpr o pe r t i e si n t hef i e l do fc o mp r e s s e d e l e me n t s . Thep u r po s eo ft hi se xpe r i me n t si st os u p p l ye xpe r i me nt a l da t ao fi n t e r a c t i o n bu c kl i n g( o ve r a l la n dl o c a lb u c kl i n g) .Te s tc o l u mn sa r ec l a s s i 丘 e di nt ova r i o ust y p e s a c c o r di n gt ot ho s ec o l umn s 'l e n g t h.
Su p po r tc o n di t i o nsa r epi n‑ e n d e dt y p eb yus i n gne wd e v e l o p e dbo wls ho e .
1 . ま え が さ
近年,構造解析 において,電子計算機の発達 に伴い,橋梁本体及 び,各部材の力学的合理 化断面 が,多 く用いられ,薄肉軽量化が進められている. しかしながら
1 9 6 9
年11月におきた 第4Dan ube
橋の落橋事故か ら始 ま り次々の事故に会い,その中で圧縮板の耐荷力持性 につ いて指摘 された.近年 において耐荷力における大 きなファクターである初期不整等を考慮 し た局部座屈問題や,全体座屈問題 についてや,局部 と全体座屈の相関性については,取 り扱 われてきたが,薄形断面については,一般的に浜 じれなどの問題 もあ り構造部材 として重要 視 されなかった. しか しなが ら構造2
次部材 として広 く使用 されその有用性 は高い.本研究 に於いては清形断面柱 の座屈問題 における複雑 な力学的特性を解明 し, よ り広範囲な使用 に 供するべ く行われた.従って本研究 は,相関座屈の耐荷力に対 しての影響を3
つのタイプつ ま り(1)局部座屈が先行 し,全体座屈 を生 じるもの(2)局部座屈 と全体座屈の同時発生(3)全体座 屈が先行 し,局部座屈 を誘発 させ るもの3
種に分類 しそれぞれ供試体を作製 し,圧縮耐荷力 実験を行い,極限強度 と達成強度 について考察 した結果を報告 し,理論適用の材料 とす る.また,実験 の際の両端 ピン支承 とい う条件 に対 し著 者が開発 した
2
軸方向回転可能な経済的な球面支承 を使用 した.2.
供 試 体 の選 定鋼種 は
,SS4 1
とし箱形断面 についての局部座屈 図1
断面諸元 強度は,小松等による圧縮板の耐荷力曲線,全体座 屈 はE.C.C.S.
の複数柱強度曲線 を参考 に し●土木工学科 助教授
= 文部技官
原稿受付 平成
3
年9
月3 0
日4 8
永頗韻宮 .小林 枯写共 1 ピン支承
襲 1 4H:L加齢肘枕
写洗 2 実験状況
0'yu 0'yI qL 冗
て短柱供試体
A‑D
お よび長柱供試体E〜P
を作成 して能力1 0 0
L,‑ ツドク リアランス1. 5
mの制約条件 を満たす様 に,基本供試体 の断面構成 お よび長 さを決定 した.長柱 供試体
E
〜
Pは,基本供試体 と同一断面で長 さを9 0 c m,1 ] 0 c m,1 2 0 c m,1 3 0 c m,1 4 0 c m,1 5 0 c m
と して作成 した.支持条件 は,上述 の通 り,両端 ピン支承で,弱軸,強軸 とも回転可能 な球面 ピン支承 を設計荷重1 0 0
tとして設計及 び作成 した.溝形断面諸元 を問 1に示す.載荷 は図 心載荷お よびせ ん断中心載荷 の2
つで行われた.上郡,下部支承 を写真 1に示す.実験用供試体 (長柱) を球面 ピン支承 に取付け,変位計等を設置 した圧縮耐荷力試験状況 を写真
2
に示す.3.
材 料 実 験引張試験片 は,圧縮実験用供試体 と同一鋼材 か ら切 り出 したJIS5号片を用いた.その結 果は,表 1に示す通 りである.それぞれの値 は, 4本ずつ試験 を行 った平均値 であ る.
4. 残留応 力度測定
残留応力度 は,試験用短柱供試体 で,切断法によ り,測定 した.それぞれ熔接後 に,鋼球 を打 ち込み,切断 した後,鋼球の距離 を コンタク トゲージ
( 1 / 1 0 0 0 mm)
で測定 し,算 出 し た ものであ る.切断後 の供試体 を写真4に, また,その結果 を図2に示す.消 形断面柱の相関拒Ja実輸
」
写真3 残留応力度供試体
川
I . 0
図2 残留応力度分布図
袋2
†特別体のWl
pjた13人供試体C 仮
納
付jたわ. I A n m
托UJl朋た)フ八mm 供駅体 E 仮肋
はjたわ}*mm 柁初期たわみrnmC 50cm 2.3(1′87) 3.81′53) 3.41r352)
D(
50rm) 2.1(1 95) 2.3r1′215ー 2.5(180) 2.2(1′545)F(
90cm) 3.2(1/63) 2.3.9(i(ー1//313504)) N(130cm) 5.1(1/39) 3.5(1/371) G(110cm) 3.1(1/65) 0(140cm) 3.8(1/53) 3.5(1/400)nu
nU
0n U n U
nU55nUl一lW m c L X =‑ 2. 2
図3 柱初期たわみ分布図 (供試体 L)
W
rn c L X =‑ 2. 5
Vo
〔rEIm]図
4
板初期たわみ分布図 (供試体Lノ
5() 永頗串宮 ・小杯描
5. 初期 たわみ測定
初期たわみ測定 は,測定用 ジグを開発 し,柱 の初期たわみ (弱軸,強軸方向)及 び,仮 の 初期たわみをそれぞれ変位計
( 1 / 1 0 0 mm)
を用いて測定 された.その結果 を表 2に示す.また供試体
L
の柱 の初期たわみを図3
に,板 の初期たわみを図4
に 1例 として示す.6
.本 実 験
荷重偏心が,発生 しない様 にスペーサーで調並 した.局部
雌
Idが,先生 ナる箇所 を変位計 で,ある程度予測 し,その部分 に変位計等 を.
災中 させTE‑J部仲川性状 を税黙 した.7. 実験結果及び考察
供試体
G, I,K,L
は局部座Idと全体座屈 の迎成座Jdを生 じて崩壌 し,供試体E,
ド, Hは局部座屈優先 による全体姥屈肋機 とな り,供試体J,N,0,Pは全体座屈 によ り局部 座屈 を誘発 して韻域 に至 った.短柱供試体A, B,C,Dは,局部座屈 を生 じて崩壊 した.それぞれの破域後 の供成体
F
を写共 4
,供試体 Ⅰを写真5
に示す.本誌では局部座屈 と全体座屈の達成座屈 を生 じた供試体
L
について考察 してい く.第4
節 の残留応力の図2
を見 ると各断面内にそれぞれ残留応力の平均 を取 るとほぼ降伏応力に対 し0. 4 ‑0. 5
位生 じている事がわか る. また第5
節 の初期 たわみの図3,4
で明 らかなよ うに供 試体作成 に よ り板及 び柱 にそれぞれ正弦波 がオーダー的 には少 ないが生 じてい る事 がわかる.
まず荷重‑ ひずみ曲線 についてい く.
図
5
は,溝側 のそのゲージが貼 ってあ る部分が凹部 に徐々に曲げを生 じP/ P, ‑0. 7 0
に至 って大 きな曲げ変形,すなわち局部座屈 を生 じた と観察 される.図6
は図5
の点の近傍 にあ る為P/ P, ‑0. 7 0
以降図5
の点の曲げ変形 に引 きず られひずみ反転現象誘発が,観察 され る.写真4 座屈後供試体 写真5, 6 座屈後供試体
清形断面柱の相関座屈実験
0・5 11 0
1・5 (E/E
y12・0 図5
荷重‑ひずみ曲線 (供試体L)
0
.
00・ 5 1・0
1 ・S lE/E
y】2・0
図7 荷重一ひずみ曲線 (供試体L)
0
.
00, 5 1・ 0 1・ 5 ( E/Ey)2・0
図
8
荷重‑ひずみ曲線 (供試体 Ⅰ)
5 1
図
7
は,図5
の点の張 出 し部分 の点 なのでその 影響を受 けて曲げを生 じ ている事がわか る. した がって,図5
の点 におい て局部座屈モー ドを生 じ その点 の近傍郡 は,それ かと連 なって図6
の様 な凸 状 に反転現象を生 じ,そ の変形 によ り張出 し部 も 図7
の様 に曲げ変形 を起 こ した もの と考 え られ る.以上 の荷重‑ ひずみ 曲線 は供 試 体L
につ い ての図であったが,他の 供試体 についても同様 な 性状 を示 していた.図8
も同 じく達成座屈現象を 起 こした供試体 Ⅰでの局 部座屈を生 じ他点での荷 重‑ひずみ曲線であ り,
P/Py‑0.70付 近 で 発 生 している事が,観察 され る.達成現象 は,下記の 図
9
お よび図1 0
で確認する事がで きる.
一方,図
9
は荷重一板 変位曲線であるが図5
の 点すなわち局部座屈 を起 こした場所に設置 されて いた変位 計 で測 定 され た. こ の 図 か ら もP/P
, ‑0. 7 0
付 近 か ら徐々 に大 きな板の変位 の増大 を示 していることか ら, 局部座屈発生を照査 して いるもの と考 えられ る.次 に図
1 0
は,荷重一柱 たわみ曲線であるが荷重5 2
に よる柱 のたわみ を変位計
P / P l
を使 用 して測定 された もの1・0
であ る.前 と同様 に終局段 階 の一 歩 手 前 す な わ ち
P/ P
y‑0.5
0. 7 0
で3
次 モー ドの全体座 屈 を生 じてい る事 が観 察 され る. 0.0
以 上 の様 に供 試 体
G
,D
Ⅰ
,K,L
は,局部座 屈 と 全体座 屈 の達成座 屈現 象 を 生 じた.ま た 供 試 体 E, F,H は,始 め に局部座 屈 を生 じ てそれ に よる剛性 低下 に よ り全体 変形す なわ ち全体座 屈 を発生 させ て崩壊 した.
また供 試体
J
,N,0,P
は,全体座屈 を優 先 して 全体 変形 を生 じて, 中央部 の曲 げ に よ り,局部座 屈 を 生 じて崩壊 に至 った.今 まで は,載荷 点 が図心 上 にあ るケースのみ で あ っ たが,本研究 で は更 にせ ん 断中心上 で載荷 して も行 わ
永藤毒宮 ・小林 清
St 】
V
++2
図
9
荷重一板変位曲線 (供試体L)
1
00Vo【ctn]
0. 4
ーT圭
⁝E3
0
00 0
‑fq10. IO a l l
○1日図
1
0 荷重一柱たわみ曲線V
nc t x=
15.5図
1
1 残留たわみ図 (供試体L)
表3 座屈強度比較表
供試体 P 荷重載荷点 座屈荷重(t) 状 態 供試体 A 荷重載荷点 座屈荷重(t) 状 態
A(3 0 c m)
重 心 載 荷2 7. 6 C I
局部‑全体 Ⅰ( 1 2 0 c m)
重心載荷2 6. 0 0
達成B(3 0 c m)
葬断中心載荷1 9. 3 0
局部‑全体 ∫( 1 2 0
cm) 重心載荷2 7 . 5 0
全体‑局部C(5 0
cm)重 心 載 荷2 6. 4 0
局部‑全体K( 1 2 0 0 0
) 重心載荷2 5. 5 8
達成D(5 0 c m )
努断中心載荷1 7. 1 0
局部‑全体L( 1 2 0 c m)
重心載荷2 5. 5 0
達成E(9 0 0 0)
重 心 載 荷2 7. 1 0
局部‑全体M( 1 3 0 c m)
重心載荷2 7. 9 5
全体‑局部F(9 0 c m)
勢断中心載荷1 4. 0 0
局部‑全体N( 1 3 0
cm) 重心載荷2 7 . 5 1
全体‑局部G( 1 1 0 c m)
重 心 載 荷2 5. 5 8
達成0( 1 4 0 c m)
重心載荷3 1 . 6 3
全体‑局部満形断面柱の相関座屈実験 53 れた. しか しなが ら,支点上 に曲げがかかる為に,かな りの大 きな耐荷力不足 にな り,かつ 挙動性状が非常 にセンシテ ィブな為 に報告するには至 らなかった.
今後 は,そのセンシテ ィブな挙動 と載荷条件 との関係性 について新たにそれを考慮 した形 で進行中である.
図11に残留たわみ図を示すが,正弦の全体座屈波形を全体的に示 し中央部 に局部座屈波形 性状を示 していることがわかる.
表3に供試体A〜 Pの短柱や長柱供試体 の座屈の最終強度比較 とそれぞれの座屈性状 の比 較を示す.供試体A‑Dは短柱供試体である二
8. 結
論(1)全体座屈 と局部座屈 との達成座屈問題の理論適用データーを提供 した.
(2)本研究室で開発 した全方向回転可能 ピン支承 は,有効的に稼働 した.
(3)本供試体 において局部座屈 と全体座屈 の達成 により8% の座屈強度低下が認め られた.
( 4 )
局部座屈優先の供試体 は,局部座屈発生後直 ちに全体座屈 につなが らず, 5‑1 1 %
の後 局部座屈強度を有 している.参 考 文 献
1) 小松定夫,北田俊行 :初期不整を有する圧縮板の極限強度特性に関する研究,土木学会論文報 告集 第270号 昭和53年2月 Pl〜P14
2) 永藤詩宮,小林 清 :薄肉箱形断面柱の相関座屈実験及び固有値計算法の比較,長野工業高等 専門学校紀要 第21号 平成2年8月 P23‑P33