「進路多様高校」における進路形成の現状
著者 藤村 朝子
雑誌名 筑紫女学園大学・短期大学部人間文化研究所年報
号 20
ページ 277‑307
発行年 2009‑08‑31
URL http://id.nii.ac.jp/1219/00000408/
要 旨
本稿は、 「進路多様高校」 における進路形成の現状に焦点をあて、 近年の社会変化が高校生の 進路選択および進路形成に与えた影響を考察し、 高校から社会への移行過程における学校の機能 不全の現状を明らかにしながら、 その機能を回復するための道筋を検討する。 その進路形成の現 状については、 先行研究 (耳塚ほか2000、 2003) の枠組み①高卒労働市場の逼迫、 ②高校生文化 の変容、 ③教育理念や進路指導の変容、 ④家庭的背景、 に依拠し、 それぞれの問題点に接近する。
そして本稿は、 高校生の進路が多様化した契機を社会の構造的変化にもとめながら、 同時に、 進 路形成の現状は、 高校生の意識や学校の教育理念、 家庭的な問題等が絡まりあって複雑化したも のであることを確認する。 さらに、 多様で複雑、 かつ流動的な社会の中で、 現在の学校が、 高校 生の社会への安定的移行を保障できなくなりつつある事態をより明確にする。 その上で、 就職斡 旋や進学促進という 「道具的機能」 (新谷) を低下させた学校が、 いかにして学校文化を再構築 するのかについて、 先行研究を検討しつつ提案する。
序章 「進路多様高校」 の定義と研究のスタンス
1. 問題意識
最新の学校基本調査 (2008) によれば、 2007年度の高等学校卒業者はおよそ109万人である。
これらの高校生の進路動向を図表1に示しているが、 半数以上を大学等進学が占め、 次いで就職、
専門学校等への入学、 無業、 公共訓練等入学となっている。 80年代までの高卒者の進路は主に、
進学、 就職、 専門学校への入学という3つの選択肢に分化していたが (耳塚2004)、 90年代以降 藤 村 朝 子