長崎大学工学部研究報告第四号 昭和
5 7
年1
月1
片脚立脚期における歩行モデルの関節ばねの踏力への影響
其武友一*・御手洗忠*.今井康文*
I n f l u e n c e o f J o i n t S p r i n g s o n t h e S t e p F o r c e o f W a l k i n g M o d e l i n t h e M o n o p e d a l P e r i o d
by
T o m o k a z u MA T AKE , T a d a s h i MIT ARAI a n d Y a s u f u m i IMAI
(恥
1 e c h a n i c a lE n g i n e e r i n g )
Two s t e p f o r c e p e a k s
,b r e a k i n g and d r i v i n g
,a p p e a r i n t h e f o r c e diagram during a monopedal p e r i o d o f a normal w a l k i n g . As a f i r s t s t e p t o understand t h e mechanism o f peak a p p e a r a n c e , t h e i n f l u e n c e o f t h e j o i n t s t i f f n e s s on t h e s t e p f o r c e v a r i a t i o n has been s t u d i e d u s i n g t h e b i p e d a l walking model proposed b e f o r e .
A f t e r t h e t r i a l and e r r o r method , i t has been c l e a r e d t h a t r a n g e o f v a l u e s o f s p r i n g c o n s t a n t s o f j o i n t s i s q u i t e l i m i t t e d t o be chosen f o r t h e model t o move c o n t i n u o u s l y a l i k e human w a l k i n g . Within t h a t p r o p e r r a n g e o f c o n s t a n t s , f o l l o w i n g s have been c o n c l u d e d : I n c r e a s e o f t h e k n e e ‑ j o i n t s t i f f n e s s i n c r e a s e s t h e d r i v i n g peak and i n c r e a s e o f t h e h i p ‑ j o i n t s t i f f n e s s d e c r e a s e s t h e d r i v i n g p e a k . The b r e a k i n g peak i s not s o much i n f l u e n c e d by t h e j o i n t s t i f f n e s s a s t h e d r i v i n g p e a k .
1 .
緒 言踏力計
( f o r c ep l a t e )が考案されて,正常歩行の一
歩の中に踏力のピークが2
つできることが明らかにな った1)‑4). それは,制動期および駆動期にそれぞれ発 生している.すなわち後脚が地面を離れた直後と,前 方lζ
着地する前のいずれも片脚立脚期における現象で ある.この最大値の発生原因やその解析は,生理学的 にも物理学的にも全く明らかにされていないし,深く 言及されたこともない.とれは歩行の推進力を与える 筋活動やその制御機構が複雑で,単純な考えでは解釈 できないからである.ただ歩行解析で明らかになった のは,とれがいずれも片方が遊脚になっている乙とで あるの.歩行はヒトの身体を前方に運ぶ乙とであるから,重 心は着地した足裏の後方から足裏を通って前方へ移動 する. したがって,重心が足の直上に来たときに下方
昭和5
6
年9
月30
日受理*機械工学科
踏力が最大になるようにみえるが,実際にはそのよう になっていない. とれは制動,駆動に用いる力と関節 による屈伸運動,腕の振幅運動および遊脚の運動など が,互いに干渉した連成運動の結果と考えられる.腕 の運動による影響については前報6)に報告したが,こ れは大した影響のようにはみえない.
本論文では踏力の最大値が発生する現象を解明する ために,ばね関節をもっ歩行モデjレ7)を用いた計算か ら,遊脚の運動中の垂直下方踏力に及ぼす関節ばね定 数の影響についての研究によって,新な知見を得たの でこ乙に報告する.
2 .
歩行モデル本論文で用いたのは一般化された歩行モデル
7 )
で, 各リンクは質量をもち,各関節は回転ばね継手になっ ている.Fig.l 1 ζ ζ
のモデルのリンクの寸法,関節番の mOSS
oo joint
12 ki4
16
λ 、 14 15
13
k15 k13
e
ζ IO
lI
9
γ ゴ
。
2 6 α o
Fig,1
8
η
klO
7 kg
κ
4
β、
lkbkf 一α5
ひ
zz房笏 zづz3厭
General view and dimensions of the bipedal model.
となる.
股(こ)関節(以下Hjointと呼ぶ)および上体継 手のばねは,それぞれκ軸とεおよびμの角度に取 付けられている.したがって,ばねの反発力は,この 角度からの偏差角に比例して発生する.
計算を簡単にするために,モデルの運動に制限をつ けた.すなわち,腰リンクは水平に回転し,脚の各リ ンクおよび上体リンクはつねに垂直な平面内で運動す るものとする.また,θoを腰リンクの最大振幅,ω を腰リンクの回転角速度,時間をtとすると腰リン
クの回転角θは次式で表わされる.
CGse 5 CGse i Cose 2
号を示した.脚の番号は立脚側を奇数,遊脚側を偶数 にしている.また,ばね定数にはその関節の番号を添 字として付けた.ただし足関節では,立脚の足りンク と下腿(たい)リンクのなす角が一定の角aeを境に してばね定数を変える.すなわち,
β一α≦記 のとき 々5=毎,
β一α>aeのとき 馬=島
Z
X /〃Z /// // Z//ンZ ZZZZ〃; / Fig.2 Postures of Case 5, Case l and Case 2.
Table l Dimensions used in the present calculation 大腿リンク長さ
下腿 〃 足前部 〃 足後部 〃
腰
〃上体 〃 大腿重心から
膝関節までの長さ 下腿重心から
足関節までの長さ 歩 幅
下腿質量 大腿〃
上体〃
下腿リンク慣性モーメント
大腿
〃上体
〃足関節ばね定数
〃
α
6
c
4
θ
∫
h
γ
∫
翅7,η28
〜11, 112
〃216
乃,乃
看1,ム2
五6
ゐノ
ゐb
0.4125御 0.4496 〃 0.2000〃
00500 〃 01568 〃
0.2640 〃
02392 〃 02393 〃 07800 〃 4.56 ゐg 582 〃 39.24 〃
0.4312 たg・〃〜20.4158 〃
27349 〃
1002V・〃2/γα4
50 〃
上体継手ばね定数 重力加速度 足関節限界角 股関節 〃 上体継手〃
腰リンク最大振幅 腰リンク回転角速度 立脚下腿リンク初期角度 立脚大腿
〃上 体
〃遊脚下腿
〃遊脚大腿
〃立脚下腿リンク初期角速度 立脚大腿
〃上 体
〃雨脚下腿
〃山脚大腿
〃ゐ15
9
ae
ε
μ
θo
ω
β
γ
λ
η
ζ
β
ナ
え
⇒
ξ
13002V・翅/γα4
9.80ητ/5θ621.5708 γ04 19000 〃 15708 〃 01047 〃
5.236γα4/∫θ6
1.6406 γα4
19199 〃
15708〃
09238 〃
09238〃
一2.00γ04/∫ε
一151 〃
00 〃
一280 〃
350 〃
眞武友一・御手洗忠・今井康文 3
θ=θoCOS(ωt)
歩行モデルは1歩行区域を5区間にわけた形態で歩 行すると考えて,各区間での運動を論ずるのであるが,
このうち片脚立心心は,Fig.2に示すようにCase 5→
Case 1→Case 2と移行する3区間である. Case 1〜
5の歩行区分は前払7)に従った.Case 5の区間は後脚 が床から離れ,遊心となった瞬間に始まり,立脚の膝
(ひざ)関節(以下Kjointと呼ぶ)が伸び切るまで で,それからCase 1へ移行する。 Case 1の区間は反 力の中心が立脚の爪先に移るまで,Case 2の区間は前 方に振り出された遊脚が一定の歩幅Sになって着地す
るまでで,これで片蓋立脚期が終る.
Table 1にこのモデルの歩行の計算に用いた諸元を 示したが,リンクはヒトの寸法および質量に近い値で ある.変数はKおよびHjointのばね定数で, Kおよ びHjointのばね定数が左:右脚同じ場合および遊民側 のばね定数が同じ場合を考えた.すなわちゐ13=ゐ14と ゐ10=転の2つの場合について計算を行なった.
5.ばね定数の範囲の決定
垂直馬力の計算には,一般化された歩行モデルの Case 5,1および2の各運動方程式7)を用いる.式中 の諸元はTable 1の他に, KおよびHjointのばね定 数たg,ゐ10およびゐ13,々14の値を入れて計算するの であるが,これらのばね定数の概数としては,先ず前 の報告5)8)9)の値を参考にし,試行錯誤によってばね定 数の有効範囲を求めていった.有効であるか否かの判 定はCase 5,1および2の連続した運動が行なわれ るか否かで決めた.
Table 2はみ13=ゐ14の場合の結果で,先ずモデル が最も安定した運動をすると考えられる中間値,
ゐg=1120,ゐ10=75,ゐi3=た14=175(N・翅/γαのを基準
値とした.KあるいはHjointいずれか1つのばね定 数のみを変化させる場合には,他のばね定数は基準値
に固定している.
計算はTable 1に示した所定の初期値によって,こ のモデルがCase 5→Case 1→Case 2の片忌立脚の歩 行を連続的に行なうのを条件としているために,この 連続運動が確保されないばね定数は不適である.この ような見地から各ばね定数について検討を試みる.す
なわち,
たgについて:たg≦1065(N・〃2/γα4)では立脚の下腿
(たい)リンクの倒れる速さに比べ,大腿(たい)リ ンクのそれが遅く,Kjointの伸長に時間を要し,
Case 5あるいはCase 1の終了時で既に片脚立三期終 了の移行条件を満足してしまっている.1070〜1165
(2V・〃〜/γα4)の範囲でぽ全行程の計算が可能で,
Table 2 Spring constants of jgints allowable for the continuous walking(エ〉・7π/γαの.
In the case ofゐ13=ゐ14.
ゐ9
980 1065 1070 1120 1165 1170 1200
1120
〃
〃
〃
〃
〃
1120
〃
〃
〃
〃
〃
〃 ゐ10
75
〃
〃
〃
〃
〃
〃 ゐ13,ゑ14
175
〃
〃
〃
〃
〃
〃
95 175 80 75 45 10 0
75
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
250 235 230 200 175 170 150
remarks Disappearance of Case l and 2
Disappearance of Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Ca3e 2
Disappearance of Case l and 2
Disappearance of Case l and 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
値が大きいほどCase 5に要する時間は短くなる.
馬>1170(N・〃2/γα4)では,Case 2において立脚側の かかとが角度α>9.873rad(50。)も下がって実情に合 わないし,踏力も1削〉に達して不適となる.よって 適正な値は1070≦たg≦1165(N・〃2/γα4)の範囲である.
たioについて:0〜75(N・〃2/γα4)の範囲ではモデル は歩行するが,ゐ10の値が大きいほど歩行に要する時間 は短い,ゐ10≧80(N・吻/γα4)では,遊脚の前方への振 り出しが速すぎて,手前に振り戻してくるため,重心 が後方へ移る.このため,上述のCase 2と同様にか かとが,α=0.873rad(50。)近く下がり,3たN・近い才 力となり不適となる.よって,0≦た10≦75(N・〃2/γα4)
の範囲が適正値である.
ゐ13=ゐ14について: ゐ13=ゐ14≦170(2V・〃2/γα4)の場 合,ばねが弱いため遊脚があまり前に出ずにすぐ戻っ
⑧
てくる、前述同様Case 2でかかと下がりが起こり不 適となる.ゐ13一ゐ14』175ん230(N・規/γα4)の範囲では,
モデルは歩行するが,値が大きくなるにつれてCase 5 に要する時間が少し長くなり,逆にCase 1の所要時 間は短くなる.このため全体としての時間は短くな
る.ゐ13=ゐ14≧235(N・〃z/γ磁)になると,Case 5で既 に片子立脚;期終了の移行条件を満足してしまうので,
Case 1およびCase 2はなくなる.よって175≦た13=
ゐ14≦230(N・初/γα4)が適正な範囲となる.
次に主脚のHjointとKjointのばね定数が等し
い場合,すなわちゐ10=ゐ14の場合について前と同様に
して計算を行なった結果をまとめると,Table 3のよ うになる.この一覧表からわかるように,ゐ13=ゐ14の 場合とほとんど同傾向であるので結果だけ述べると,
ゐgについて: 1085≦馬≦1135(N・初〃α♂)
ゐ10=ゐ14について: 15≦ゐ10窪々14≦75(N・〃2/γα4)
ゐ13について: 175≦ゐ13≦195(N・〃2/γα4)
これらが適正な値であるが,いずれも為3=碗の 場合より適正範囲が狭くなっている.
Table 3 Spring constants of joints allowable for the continuous walking(N・η/γα4),
in the case ofゐ10=た14 remarks
4.ばね定数の踏力による考察
計算結果の一例をFig.3に示した,ほぼ基準のばね 定数を有する場合,遊脚のKjointがピン結合でばね の力がない場合(ゐ10−0),およびHjointのばねが 硬い場合を同一図面に表わした.いずれも2つの最大 値が現われて,ヒトの歩行に似ているが,第1のピー クが大きく,第2のピークが小さい.特にHjointの ばねが硬くなると,第2のピークは極端に小さくなり,
倒立振子のような歩行をすることがわかる,また,遊 脚のKjointをピンにしてブラブラさせると,第1の
1000
800 2
600 ) 8
お
ゆ
◎.400 ε ω
200
為9
1070 1080 1085 1100 1135 1140
1120
ゐ10,ゐ14
75
〃
〃
〃
〃
〃
10 15
た13
175
〃
〃
〃
〃
〃
175
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Disappearance of Case 1
k9=165,k!o冒75,k13=175 Nm/rqd 一一一
汲〟≠撃P20,klo=O,k13=175 〃 一一一一一汲〟≠撃P20,klo=75,k」3=230〃
〃
〃
〃
1120
〃
〃
〃
〃
〃
20 75
〃
〃
〃
80
煤h75
〃
〃
〃
〃
〃
160 170 175 190 195 200
Unreasonable movemeut in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 2
Unreasonable movement in Case 5
鼻、 、・\
も
\\
、 、
嵐
k13=k14
、
、 、
溜il l・
__ノ
ノ
00 0」 02 0.3 0,4 0。5
Time (sec)
Fig.3 Typical step−force diagrams obtained in the present study.
ピークが大きくなって第2のピークが小さくなる.す なわち,Hjointのばねは第2のピークに, K j6int のばねは第1,第2のピークに影響することがわかり,
基準値の状態では第1,第2のピークが最もよく現わ れてヒトの歩行に近づく.
これらの状態を系統的に解析するために,Kおよび Hjointのばね定数を変化させて垂直二二の第1,第 2のピークの状態を調査した.このとき,モデルは立 脚でも遊脚でもHjointのばね定数は左右脚で変わら ない場合と,立脚側はそのままにして三脚側のKjoint とHjointが同じばね定数になる場合にわけて考えた.
(1) 為13=ゐ14の場合
計算結果を図示したのがFig.4,5および6であ
る.Fig.4は立脚のKiointのばね馬を変化させた
もので,この図を見ると第1ピークはほとんど変化し
ないが,第2ピークはばねが硬くなると踏力が増加し
ている.すなわち,立脚のKjointのばねが制動側に
与える影響は小さく,むしろ駆動側に対する影響が大
きいことがわかる.前傾の姿勢になったとき,硬い
Kjointのばねの反力が前方への推進力になり,それ
眞武友一・御手洗忠・今井康文 5
600
A
z》 δ
9
ε Ω.400
2
ω£
← も
窪石
:>200 着
£
0
O−O
OO o
×__※_xノ/×
O firs†peαk
× second pe(】k klo=75, k13=k14=175 Nm/rGd
io80 ・llOO l120 1140 1160 Spring cons拍n↑, kg(Nm/rod)
Fig.4 Variation of the peak step forc6 with the spring cons皇ant, た9, in the case of ゐ13=ゐ14,
600
S00
0 0 0 0
×
\x\×
200
@0
kg=目20, kloニ75
Ofirs†peqk second peGk
@ Nm/rqd
A
Z
》 氏
69
ε ε α
oo
£
← も 三 〇
〇
着
8
⊇ と δ
2
ε
$ 筑
£ こ
。 雪
至 蓄
i80 200 220 SPring cons↑αn†, k重3昌k14(Nm/rGd)
Fig.6 Variat孟on of the peak step force with the spring constant, ゐ13, in the case of ゐ13=ゐ14.
6000〜O〜
@ O〜O〜O
レノ「)く/×
400
Q00
X レ_r※:一一一×
Ofirs†peσk
@ ×second peGk
汲奄R=k14=175 Nm/rqd kg・月20,
OO
20 40 60 80
Spring cons拍n†, k1o(Nm/rod》
Fig。5 Variation of the peak step force with the spring constant, ゐ10, in the case of 1〜13藁ん14.
が踏力を大きくするものと考えられる.
Fig。5は遊脚のKjointのばね定数差10を変化させ たものである.ばねが硬くなることによって,第2ピ ークの上昇がみられるのはFig.4と同様であるが,第 iピークが若干下がっている.すなわち,ばね定数の 変化が制動側にも駆動側にも影響を与えていることが わかる.これは,遊脚のKjointが硬くなるほど遊脚 は屈曲が少なく,慣性抵抗が増し三三は小さくなる.
しかし,速度が増しているCase 2では,遊脚の遠心 力のため駆動側の踏力は大きくなる.
Fig.6はHjoin嫉13(=ゐ14)のばね定数を変化させ た場合である.Hjointのばねが硬くなっても第1ピ ークはほとんど変化しないが,第2ピークは小ざくな っている.これはHjointのばねが硬いと,駆動期に 入っても遊脚を前方に振り出す運動が拘束されて,遠 心力による踏力効果が現われないためと考えられる.
(2)ゐ10=ゐ14の場合
遊脚側のばね定数を同一にして計算した結果をFig.
7,8および9に示す.Fig.7は,立脚のKjoint』の
ばね定数々gを変化させたもので,Fig.4とほとんど
A
Z.600) δ
2
ε
2
α4000
盤
← も
工学
200 着
&
O io80 1100 1120 1140 目60 Spring cons拍耐, k9(Nm/rαdl Fig.7 Variation of the peak step force with 亨he spr三ng、constant, ゐ9, in the case of ん10=た14.
O−O O−O
/
涛/x1/
ofirs†peqk
w second peok ki3=175, klo=k14375 Nm/rod
同じ傾向を示している.すなわち,遊脚側の影響はあ まりないと考えてよい.
Fig.8は遊脚側のKおよびHjointのばね定数たユ。
および々14を同時に変化させたものである.Hjoint のばねを一定としたFig.5と比較すると,為10の値の 増加とともに減少していた制動側の踏力,第1ピーク がここでは一定の値を示していることに特色がある.
これは,:遊脚のKjointのばねとともにHjointの ばねも柔かい場合,遊心の大腿(たい)リンクの前方へ の振り出し運動が遅れていたものが,四脚のKおよび Hjointのばねが硬くなれば屈曲が少なく,振り出し 運動が速くなり遠心力が増加して,第1ピークは一定 値を示したものと考えることができる.第2ピークの 上昇理由はFig.5と同様である.
Fig.9は立脚側のHjointのばねゐ13を変化させた ものである.この図もFig.6とほぼ等しい傾向を示 しており,遊脚側の状態にはあまり影響をうけていな
い.
以上,ゐ13一ゐ14とゐ1=ゐ14の2つの場合について個 別に考察したが,遊脚側のばね定数を等しくしたFig.
7.〜9で言えることは,遊脚の耳jointのばねを柔か くしたことによって,第1ピ「ク,すなわち制動側の
A
Z
) δ
2
ε
600
Ω,400
2ω
£
Φち
〇 三
〇
200
x》o巳
o0
O
oO
O firs†PeGk × second peGk k9=II20, k15=175 Nm/rαd
0 20 40 60 80 Spring cons↑Gnちk盲03k量4(Nm/rod)
Fig.8 Variation of the peak step force with the spring constant,為10, in the case of l自10=為14.
(
Z》 氏 δ
2
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2 に
ω£ や も
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600
o−o−o一〇
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@ x\x\ ×
ofirs†peGk secondρeσk
@ Nm/rGd
200
@ 0
kg=l120,klo=k14=75
180 200 220 Spring cons↑on†, k13(Nm/rGd)
Fig.9 Variation of the peak step force with
the spring constant,靖〜13, in the case
of 為10=ゐ14.
眞武友一・御手洗忠・今井康文 7
出力の最大値はほぼ一定で,ばねの硬さには無関係な ことである.また,全般的に駆動側の第2ピークでは,
ばね定数のわずかな変化が,大きな踏力の変化をもた らすということがわかる.
これらの結果を坂道歩行の場合に適用してみよう.
下り坂では駆動力は小さくてよいが,制動力を大きく しなければならない.この場合には立脚のK,Hjoint のばねを硬く,遊脚のK,Hjointのばねは柔かくて よい.次に,上り坂では制動力は小さくてよいが,駆 動力に大きな力が必要である.そのときには,立脚の Kjointのばねは硬く,Hjointのばねは柔かくし,遊 脚のK,Hjointのばねは硬い方がよい.したがって,
このように関節ばね定数を変化させることによって,
坂道歩行も可能になることがわかる.
(3) ヒトの歩行との関係
Fig.10は,60kgの体重の人の正常歩行(歩幅一 80cm;cadence=120steps/min)のときの垂直踏力と,
基準ばねをもつ全質量60kgのモデルのものを比較し たものである.標準化するために,横軸には時間比を とっている.ヒトの歩行時間は8ミリカメラ撮影によ り計測した.よく知られているように,ヒトの歩行で は普通自分の体重よりも大きな踏力が制動時と駆動時 に出ている.他方,モデルの方も制動,駆動側に最大 値は出るがその値は小さく,特に第2ピークは小さい.
IOOO
一一一 @ mαn
modeibody weigh†
絶対値としては小さくなるのはやむを得ない.その他 の理由としては,計算を簡単にするために仮定したモ デルの歩行条件の影響も考えられるが,この点につい ては今のところ明らかでない.
また,この図でも明らかなように,ヒトの踏力線は 円滑であるのに,モデルの方はCase 5→1→2の運 動方程式の切換え時に不連続曲線になっている.これ はこのモデルが制御機構をもたないためである.
800
Z
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6008巨
8・400
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、
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モ一一一/瓜ぐ
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0。 α2。.4。.6 。.8 、。
Time rαio of↑he swing period Fig.10 Comparison of step force diagrams of man and the model.
その一つの理由は,初速度の問題である.計算に採 用した初;期値は,実際のヒトの正常歩行で計測された 値である.本モデル歩行は,初期値のみで歩行するの に反し,ヒトの歩行は適正に制御された筋力が刻々に 作用し,歩行力が補給されるので,歩行モデルの方が
5.結論
上体,大腿(たい)および下腿(たい)の各リンク に質量をもち,関節部に回転ばね継手をもつ一般化さ れた二脚歩行モデルを用いて,片脚立脚期におけるば ね定数の踏力に及ぼす影響を調査した,その結果,関 節継手のばね定数を適当に選べば,このモデルはヒト の歩行に類似の感力線図を描くことがわかった.
この歩行モデルは,運動の初;期に与えられる外力だ けで連続歩行するようにしているため,関節のばね定 数の採りうる範囲は,極めて狭い範囲に限られること が,試行錯誤の計算によって明らかになった.すなわ ち,ゐ13=た14の場合,1070≦た9≦1165(N・御/γα4),
0≦た10≦75(2>・〃〜/γα4),175≦た13=為14≦230(.Z>・〃2/γα4)
で,ゐ10⇒14の場合,1085≦ゐ9≦1135(2V・〃2/γα4),15
≦ゐ10=ゐ14≦75(2>・〃2/γα4), 175≦ゐ13≦195(N・〃2/γα4)
である.この範囲のばね定数をもつばねの組合せであ れば,モデルは連続歩行をする.
この範囲内のばね定数と踏継との関係の調査では,
立脚および旧道のいずれの膝(ひざ)継手のばね定数 が増加しても駆動力は増加し,股(こ)関節継手のば ね定数が増加すれば,逆に駆動力は減少する傾向にあ ることがわかった.また,制動力は,ばね定数の大小 にはあまり影響されない.
これらの結果は,生理膝(ひざ)をはじめ,ヒトの 歩行に近い快適な義足の開発に大きな示唆(さ)と重 要な資料を与えるものと考えられるので,今後この方 向の研究と調査を続ける必要がある.
なお,数値計算には長崎大学情報処理センターの電
子計算機FACOMM−180∬ADを使用した.文 献
1) Asmussen, E.;Biomechanics V(ed. Paavo V.
Komi, University Park Press,1970), p. A−23。
2)Matake, T.;ibid., p. B−426.
3)Winter, D. A;Biomehanics of Human Move−
ment(John Waley&Sons,1979), P.8.
4)Dag9, A.1;Running, Walking and Jumping
(Wykeham Publication,1977), p.38.
5)眞武,今井,波左聞,山口;長大工研究報告,
Vo1.12, P.1,(昭54−2).
6) 眞武,今井,松本,高瀬;長大工研究報告,Vol.
14,p.1,(昭55−1).
7)眞武,今井,御手洗;長大工研究報告,Vo1.16,
P.1,(日召56−1).