調 査
フィリピン海外雇用促進政策に
1関する調査報告
布 りII 日′佐 史
は じめ に
4月 初旬、大統領選挙に揺れるフィリピンヘ調査に1出かけてきた。第二に、海外雇 用庁(POEA)や州政府などの諸官庁を訪1問し、フィリピンの海外雇用促進政策の現状、
とりわけ日本への送 り出しシステムの新たな展開をあとづけてみる。第二に、輸出加 工区や工業1団地への日系企業の進出と、フィリピンから日本への専門労働者の送 り出 しとが相互にどのような関係にあるのかを検討する。 この二つを課題 として、乾期、
しかも停電続きのうだるような暑さの中、マニラ市から南べ車で一1時1間ほどの工業地 域を中心に1回つてきた。■ヽまだ入手した資料の充分な分析を終えていないが、ここで はヒアリングのまとめ―をもとに、日本の労働市場むけの労働力送 り1出しシステムづく りが送 り出し国各国1間の国1際競争の申で│どのように進んでいるのか、中1問報告として 概要をまとめておきたい。
第一1章 専門技術者 (エンジニア)送り出 しの促進
第一節 選抜・送 り出 しシステムの概要 とその特徴
入管法改正など日本政府の外国人労働者導入政策の展開をにらみ、私たちが訪れた
4Jllllは行政機1間をあげて、海外雇用庁 とも協力しつつ日本へ専Pl労働者を送 り出すシス
テムを整備 してきた9)フイリピンと聞 くとエンターテナーとイメージしがちだが、 こ の州からは既│に 50人 ほどの若し`優秀なエンジニア (理工系大卒で1国家資格を有する)
が海を越 え、静1岡県東部の中堅精密電子企業へ就職 している。州の自治体と教育乗員 会などからなる選抜・ 送 り1出しシステムは第 1図 の通 りであるも応募者はバランガイ (206)ノ
法経研究 (1992年
第1図 州の専門技術者選抜・ 送 り出 しシステム
(区)長、市町村長、副知事、知事の順に身元保証が必要であり、その上でアドホッ ク・ セレクション・ コミティの試験を受け、選抜、登録される。求人の申込みは同州 の日本連絡事務所 (静岡県内に設置)が受け、フィリピンに連絡、それに合つた人材 をアドホック0コ ミティが登録された者の中から選出する。候補者に対し日本企業の
担当者が現地で試験及 び面接 を行ない、内定者 を決定する。雇用契約書の作成や入管 事前審査・ 在留許可 0ビ ザ申請、 さらに海外雇用庁への申請等の手続 きは日本連絡事 務所が行な う。技術者たちは出発前 に海外雇用庁でチェックと事前指導を受 け、ア ド ホック・ コミティが主催する短期の日本語講座 を受講 し、 フィリピンを出国する。以 上が専門技術者が 日本国内企業で就労するまでのプロセスである。
このシステムの第一の特徴 は、フィリピン側が地方公的機関をあげて本人の身元保 証責任 を負 っている点 にある。それは出発前 に応募者の資格や能力 を保証するだけで な く、 日本で就労 してか ら労働者側 に起因する何 らかの トラブルが起 きた場合、責任 を負 う体制 を明示 しているということである。第二の特徴 は、送 り出しの過程 に現地 の民間斡旋業者(エージェンシー)がまった く関与する余地がない ということである。
エンターテナーに限 らず、ほとんどのフィリピン海外労働者は民1間斡旋業者 に多額の 手数料 を支払わざるをえず、莫大な負債 を負つた出国が、受 け入れ国での切 り詰めた 生活や無理な就労 を引 き起 こしてきた。 ここではそうした民間業者に手数料 を支払 う 必要がないばか りか、公的機関 を通 じているため海外雇用庁への申請費 (5,000ペ ソ) の支払 も免除されている。
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ア ドホ ック 0セ ンクシ ヨン。 コ ミテ ィー
(委員)州商工会議所会頭 州P.ToA会長 州教育連盟会長 州教育長 知事 スタッフ
バ ランガイ (区)長
フィリピン海外雇用促進政策 に関する調査報告
第二節 受 け入れ条件・ ニーズ
これ らの若い技術者は日本へ専門技術者 として正規の就労 ビザで入国している。当 然直接雇用であ り、 日本国内で も派遣・ 請負業者な ど介在せず、 日本人 と同 じ給与体 系、労働条件が保証 されている。現在 まだ受 け入れが始 まったばか りであ り、彼 らに 支給 されているのは日本人なみの初任給水準の給与である。仕事 は母国で修得 した専 門技術 と知識 を生かす ことがで きる内容である。一年 ごとの雇用契約であるが、会社 としては雇用契約 を更新 し続 けることを前提 としている。 ビザの更新手続 きが必要で はあるが、帰国するか日本に定住するかも本人の意志にまかされている。働 き手の立 場からみて、充分高い評価のできる受け入れ方だと言えよう。
中堅 とはいえ、 この企業にとつて新規大卒者を一定数採用・確保するのは非常に困 難である。フィリピンの一流大学を出て高い専門能力と英語力を持つ彼らは同社が技
術 開発 を進 め る貴重 な戦力 で ある。将来 日本 の先端技術 を修得 し特許 を とる者 もでて くる ことを受 け入 れ企 業 は期待 してい る との ことで ある。 また、彼 らは今後 同社 が海 外進 出す る場合 の幹部要員 で もある。
そ もそ も専 門技術 者 の入 国手続 きを簡略化 す る こ とは90年改 正 入 管 法 の精 神 で あ った。送 り出 し側 が公的 システム を整備 し、責任体制 を明 らか にす るな ら、 また受 け入 れ企業が国内で は こうしたエ ンジニアを採 用で きない点 を説得 的 に述べ る ことが で きるな らば、 リジッ トだ と言われ る入管、 日本政府 にして も、彼 らの入国 と就労 を 拒否 す るこ とはで きない。 こうした形 の受 け入れルー トの整備 は急速 に進 むで あろう
し、 その際 の ノウハ ウ も早急 に確立 されてい くもの と思われ る。
(1)フィリピンの海外雇用促進政策については く参考文献〉にあげた菊池、桑原氏の研究 がある。菊池氏は 1970年 代、マルコス政権下に本格的に開始された海外雇用促進政策 の実態 と送 り出しの構造を明 らかにした。今回の我々のヒアリングで、海外雇用庁が(1)
Pre‐emplo「nent services Office(PSO),(2)Welfare and Employment Office cWEO),
(3)Licensing and Regulation Office(LRO),(4)AdiudiCatiOn Officeの 四部局に再編 さ
れたことな どを知 ったが、同庁の本務が、民間の斡旋業者への許認可権限を通 じて斡旋 業者を監督 し、正規の雇用契約に基づ く雇用機会の拡大 と、労働条件水準の確保 をめざ していることは氏の指摘 された通 りである。なお現在、公認斡旋業者(エージェンシー)
は約600、 3業界団体がある。
海外雇用促進政策の成果に関して菊池氏 は、外貨 を獲得するという国家 レベルの目 標に関する限 り、ある程度成果 を達成 した とはいえ、(1)国内の失業問題の解消、(2)外貨 獲得 による国内経済の立て直 し、(3)新技術の導入 という二つの命題 とも、為政者が意図
したほどの実績 をあげていない と結論 している。
(204) θ
法経研 究41巻 (1992年
桑原氏 は海外出稼 ぎ労働の本国への影響 として、(1)稼得 された所得が貯蓄 もされず 生産力拡充につながる投資 もされない、(2)海外出稼 ぎでの労働経験、スキルが帰国後ほ とんど役 にたっていない、(3)国内労働市場の需要改善 に何 も課 さなかった と結論 して いる。
日本が外国人労働者、 または研修生を受 け入れてもそれが送 り出し国に何のメリッ トももた らさない という状況にあるとの分析結果か ら、それゆえ受け入れに消極的な 立場 を主張するのか、それ とも受 け入れ・送 り出しシステムの改善をはかれ と主張する のか、意見の別れるところである。我々は後者の立場から調査を行なった。
また日本側の受け入れ形態がどの様な ものになろうと、受 け入れ枠がどの程度にな ろうと、それをめぐってアジアの労働力送 り出し国各国間の競争が行われている事態 をフィリピンを事例に検討したいというのが、今回の調査の目的である。
第二章 研修生送り出しに向けて 一「技能実習制度」への対応―
第一節 技能実習制度の概要
専門技術者の送 り出しだけではない。私たちが訪れた州は、 日本政府が実施 をほぼ 確定 して きた「技能実習 (研修+就労)備J度」 に向け、 フィリピン側の送 り出しシス
テムを先取 り的に確立する作業を進めていた。
先の入管法改正 にともなって研修生受 け入れの基準が変更 されたのは周知の通 りで ある。静岡県下では入管法改正前後か ら浜松市周辺 において日系人の受 け入れが急速 に進んだが、他方、富士、富士宮など県内の商工会議所 を窓口とする研修生の受 け入 れ も進められてきた。人手不足対策 と重なって進 められかねない外国人研修生制度が 含 む問題点については、多 くの論者が指摘 している通 りである,)入 管法改正前か らこ の研修生制度の拡充、改革について様々な論議が積み重ね られ、省庁間の調整 も行な われてきた。研修生制度の改革に関する提案 には次のようなものがある (表1)。
こうした流れの中で「技能実習制度の創設」が昨年 12月 の1臨時行政改革推進審議会
「世界の中の日本」(稲盛和夫部会長)に提言 として盛 り込 まれ、さらに本年 5月 末に 法務省がはじめて策定 した「出入国管理基本計画」のなかで もその具体化を検討する 方針が打ち出されている。在留資格 をはじめ現時点ではまだ明 らかではない点が多々 あるが、新聞報道 によると労働省が まとめ、 自民党労働部会 (加藤卓二会長)も既 に 了承 した「技能実習制度」の概要は次の通 りであるF)
1)滞在期間は研修期間 と技能実習期間を合わせて最大2年間、延長 は認 めない。
2)現状 の技能検定制度 を見直 し外国人研修生むけに未熟練労働 を対象 とした「基 礎級」 を設 ける。
3)研修期間は原則 として座学 3カ 月、実務研修 (OJT)6カ月。
イ (203)
フィリピン海外雇用促進政策に関する調査報告
4)研修後、技能評価 をし、一定の水準 に達 した研修生 に技術の熟練度 を高めるた めに、最長1年3カ 月の技能実習 として就労を認める。
5)技能実習中の研修生 は賃金 を受 け、労働関係法規が適応 される。
6)研修生受 け入れは「財団法人国際研修協力機構」が実施する。
7)研修期間の短縮:a)日本語 を修得 した者 は、座学 を 1カ 月短縮、b)座学 に 公共職業訓練施設 を利用 した者は、 2カ 月短縮.
8)対象業種 は、造園、金属プレス加工など、133の 技能検定対象業種 と、地域工芸 な ど 16の 認定技能審査対象業種 とする。
第二節 研修生送 り出 しに向けたシステムづ くりのね らい
日本への研修生送 り出しを希望するのはフイリピンに限 らない。 日本が受 け入れる 人数 には当然上1限があ り、各国が自国の枠 として どれだけの人数を確保するか、競争 は既 に始 まっている。で きる限 り日本政府 の意向に合 うようにスムーズなローテー ションを保証するシステムを準備 し、少 しで も多 くの研修生枠 を獲得 しようとする動
き、また、できるだけ優秀な人材を選び実績を積もつとする動きが送り出し側各国に
おいて始 まっているのである。
フィリピン政府 は日本の研修生制度拡充 をめぐる論議 に注目し,)他 のアジア労働力 輸出国 との競争 を強 く意識 しうつ、 これに対応する送 り出 しシステムの準備 を進 めて きた。その際の競争条件 は何か ?フ イリピンの大学進学率は高 く、優秀な若年男女の 大卒者 を提供で きる。 しかしそれはさはど有利な条件 とはならない。 また、 日本 は出 身国別の給与水準 を決めているわけで もな く、国内で支払 う研修費0給与は出身国に 関係 な く一率である。出身国の賃金格差 は競争条件 とならない。法務省・ 外務省 によ る厳 しい管理 を前提 にした日本の労働市場へ参入する際の競争条件 は、労働者の賃金 や、資格、能力ではな く、実は日本の入国管理政策 にどれだけ適合できるか、 日本側 が不安材料 とする点に明確な解決策 を提示することがで きるか どうかにある。我々が 訪れた州政府が先駆的 に進 めていたシステムづ くりのポイン トは以下の二点 にある。
第一 は、送 り出 しにあたって、第一章で述べた州の公的機関 (ア ドホック・ セレク ション 0コ ミテ ィ)と海外雇用庁 との連携体制 をつ くろうとしている点である。海外 で就労する者 を対象 とする海外雇用庁は、従来、研修生の海外渡航 には関与 していな
かった。しかし研修終了後に就労がプラスされる技能実習制度が具体化されるなら、
そこでいう研修生は海外雇用促進政策の対象 となる。研修生の選抜プロセスは先に述 べた専門技術者のそれに準じるものであり、アドホック・ コミティが身元保証 0選抜 を行 うが、加えて希望者の面接を海外雇用庁で行 うなど、同庁 もこの選抜に関与する ことを計画 している。また、同庁は研修生への出発前の事前指導を開始し、同庁のデー (202) 」
法経研究41巻2号(1992年)
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フィリピン海外雇用促進政策に関する調査報告
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(200)
法経研究41巻
タベースヘ研修生の登録 も始めようとしている。 こうした海外雇用庁 との連携はア ド ホック・ コミティを通 じた研修生送 り出しの公的性格 を一層つよめるものであ り、州 サイ ドとして も歓迎するものである。
オーバー :ス テイ等の問題 を生 じさせないための厳格な人物選抜、 もし問題が生 じ た場合の責任体制の明確化、 これが他のアジア労働力輸出諸国 との間で激化するであ ろう日本への研修生送 り出し競争で、 フィリピンが優位 にたつための第一の課題 なの である。
第二 は、2年間の 日本での研修・就労期間が終了 した後の帰国の受 け皿づ くりであ る。 日本国内に研修生受 け入れへの疑間が多々あるのは周知の通 りである。 とはいえ 研修内容や賃金・ 生活保証、 また在留資格や移動・ 転職の自由などの問題 は日本側が 解決すべ き課題 であ り、 フィリピン側のあずか り知 らぬ ところである。送 り出し国 と
して強 く意識 しているのは次のような日本側の懸念である。
「海外か らの労働者が受 け入れ国において修得 した熟練が帰国後本国において役に たたないな らば、研修制度 による技術移転 の効果 はきわめて小 さ くなって しま ぅ。」(4)
2年間の研修 (技能実習 も含む)が終了 し帰国 した後 に、 日本で修得 した技能が生 かせ るとの保証がなければ、 日本政府がフィリピンか らの研修生受 け入れに消極的な 姿勢 をとりかねない。帰国後 に技能が生かせるとの保証 を明示できなければ研修生の 送 り出しを阻む壁 にな りかねないのである。 こうした状況 を強 く意識 し、送 り出し側 として州が現在準備 しているのは、 日本で技能実習を終 えた者 を一括 して管理する機 構づ くりである。 この受 け皿 を通 じて帰国後、(1)修得 した技能 に応 じて国内フィリピ
ン企業へ就職する、(2)技能 と日本語能力 を生か して国内日系企業 に就職す る、(3)技能 に応 じて日本以外の労働力輸入国へ再出国する、 という道が開かれる。(1)、 9)のルー トによるフィリピン国内への技術移転効果 は国内の経済動向に規定 されて しまうが、
それだけでな く日本で技能実習を受 け技能・ 資格が向上 した者 を、再度他国べ送 り出 す とい うシステムを作 ろうとしているのである。 これが実際に実施 されるなら、技術 移転効果 も日本 とフィリピンニ国間だけの問題 として論 じることはで きな くなる。
ともか くこうした形の受 け皿 を作 り、研修生が研修終了後すみやかにフィリピンヘ 帰国 し、 日本で修得 した技能 を生か した職 につ くこともできるのだ と明言 してお くこ
とが 日本への参入の第二のポイン トなのであるP
(1)静岡市及び県東部の実状については、労働経済論ゼミナール「国際協力における外国 人研修生の位置づけ」静岡大学法経学会『法経論集(学生)』 第 28号、1992年3月を参 照の こと。
∂ (199)
フィ リピン海外雇用促進政策 に関す る調査報告
(2)『毎 日新聞』1992年4月 11日づけ、『日本経済新聞』1992年6月 22日づけ。
(3)フィリピン政府サイ ドが日本の研修生政策の展開を分析 した もの として、Reynaldo Bo Parungaoの レポー トがある。
(4)桑原靖夫「アジアにおける国際労働力移動の一断面一フィリピン経済 と海外出稼 ぎ 労働」『日本労働研究雑誌』第 373号 、1990年12月、39ペ ージ。
(5)実際に日本政府が各国ごとの研修生枠 を決定するに当たつては、政治的判断は別 と して、本論で述べた条件 を各国が どれだけクリアーしているか という基準に加え、現在 までの研修生受け入れの実績がプラス要因 として、逆に各国ごとの「不法滞在者」がマ イナス要因 としてカロ味 されることになろう。
お わ りに
ここまで専門技術者と研修生とを章をわけて論じてきたが、実は前者の送り出しを 進めることは「技能実習制度」が具体化されることを念頭においたものである。研修
生 を受 け入れ る側 は現時点では十分なノウハウを持 つていない。受 け入れが始 まれば 経営・ 管理者の側 にも、研修生の側 にもさまざまな問題が生 じよう。それを回避する 上で大 きな力になるのが既 に日本で就労 し、 日本の管理 システムに慣れたフィリピン 出身の専門技術者達である。研修生の送 り出し側 にとって も、また受 け入れ企業 にとつ て も、 フイリピンか らのエ ンジニアが既に就労 していることは有利な条件 となるので ある。
技能実習制度が どの様 に具体化 されるのかは推移 を見守 るしかない。 日本での就労 を希望 してア ドホック・ コミティに応募 してきた人々の分析は もとより、専門技術者 として日本 に入国したフィリピン人達が どの様な条件で現在働いているのか、働 き続 けることがで きるのか、彼 らは何 を希望 しているのか、また、受 け入れ中小企業に とつ て人材不足解決の手段 になっているのかなど、今後 も調査 を続 けたい。
名称や細かな規定 は ともか く日本政府が新たな研修生の撃 け入れシステムを具体化 し、報道 されているように10万人規模での受 け入れを開始 し、実習に重点をおいた研 修 を行 い、資格 を取得 させ、一定期間の就労 も認 め、2年間で必ず帰国させ るという
システムを稼働 させるなら、 日本はアジアの中の`研修大国″となる。その一方でフィ リピンは日本へ短期間の就労者 を次々 に送 り出 し、 日本で資格 を高めた者 をさらに第 二国へ送 り出す労働力輸出国 としての役割 を果たし続 けるのだろうか。 また、 このシ ステムが稼働すれば、 日本国内の外国人労働者の間で棲みわけが進むことになろう。
「不法滞在者」の国外への追い出しは厳 しく行われるであろうし、 日系人の秘労にも 影響 を与 えるに違いない。今後国際的な連関をふ まえた分析視角を鮮明 にしつつ、実 態の解明 と理論的検討 を続 けたい。
(198) θ
法経研究41巻 (1992年)
く参考文献〉
石山永一郎 『 フィリピン出稼 ぎ労働者一夢 を追い日本 に生 きて一』
柘植書房 1989年6月
小池和男・ 猪本武徳編 ,『人材形成の国際比較一東南アジアと日本一』
東洋経済新報社 1987年11月 小池和男 『仕事の経済学』東洋経済新報社 1991年6月
今野浩一郎・ 佐藤博樹 『外国人研修生』 東洋経済新報社 1991年10月 島田晴雄 『 日本経済矛盾 と再生』1筑摩書房 1991年4月
鶴見良行 『 アジアはなぜ貧 しいのか』 朝 日新聞社 1982年8月
手塚・ 駒井・ 小野・ 尾形編 『外1国人労働者の就労実態』 明石書店 1992年3月
手塚・ 宮島・ 冷・ 伊藤編 『外国人労働者 と自治体』 明石書店 1992年4月
中西徹 『スラム│の経済学―フィリピンにおける都市インフォマール部門』
東京大学1出版会 1991年7月
百瀬宏 。小倉充夫編 『現代国家 と移民労働者』 有信堂 、1992年 3月 労働大臣官房国1際労働課編著 『平成4年版 海外労働 自書』
日本労働研究機構 1992年3月
菊池京子 「 フィリピンか らの1国際労働力移動」 早稲田大学社会科学研究所 ‐
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