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−諸説の再検討−

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(1)

195  

− 55 −一  

研究ノート  

販売費・一般管理費のピリオド・コスト性に.ついて  

−諸説の再検討−  

田  中  嘉  穂  

Ⅰ序一一展開の意義  

遥接原価計静の計静結果をそのまま財務諸表に.導入できるかどうかの議論の中で,製造  

風定賀のピリオド・コスト牲の是非が論ぜられてからすで紀久しい。しかし今日において  

も,・それが完全に.論議しつくされたとは思われない。そこで,製造固定費のピリガ・ド・コ   スト性をもう一度検討したいが,その手掛りとしで営業贋がビリガード・コストとして処理  

(い されてきた板拠を探究するという進め方が従来とられてきた。われわれも営業費のピリ  

オド・コスト陸に.関する検討の中に,その手掛りがあるよう紅思われるので,ここではそ  れに関する諸説の再検討を試みたい。従来多くの論者によって試女られたことではあった  

が,ともすると羅列的な議論紅終っている感があるので,このような検討も全く意義な   しとしないであ争う0それを通じて従来営業費がピリオド・コストとされた基準がより一  層明瞭檻なり,同時紅残された課題の性格も明らか紅なるであろう。   

通常,販売費・一・般管理費がピリオド・コストであることの根拠を説明するものとし  

(2)  

て,次のような考え方がある。   

1.内部給付の仮説  

2.identification説  

3.費用効果説  

(1)黒沢清・他,座談会「ピリオド・コストの理論」『産業経理』第16巻第9号(1956年9    月),98−113ぺ−ジ;港口一機「製造上の固定費ほプロダクト・コ大トかピリオド・コス  

トか」『一企業会計.』第12巻貨4号(1960年4月),92−93ぺ−ジなどに,その接近法が兵ら   

れる。  

(2)溝口一風前緒論文,92ぺ−ジ。諸説の内容に.ついては,黒沢酒・他の前掲論文に.詳   

しい議論が行なわれている。   

(2)

籍44巻 籍2弓  

l一一 56 一  

196  

4会封処理の便宜説   5.早期回収説   6.固定費説  

7期間計算の優位性説   

これらの各項目ほ必ずしも全く独立して.るわけではないし,理論的な解釈と歴史的な事   実の経緯が並記され,また一見才眉する部分もあると思われるから,これらを−・層体系的  

紅整理する必要がある。そのためには,まず各項目の意味内容を個別に明らか紅すること  

が必要であろう。  

ⅠⅠ内部給付の仮説  

工業経営が十分に発達すや以前には,期間損益計静は専ら商業経営把おいて行なわれて   いた。商品の売買を通じで営業される商業経営では,主要な費用項目としては,商屈原   価,販売艶一・般管理費なと■があり,そのうち収益に.対応される商品原価は,当期に版売  

された商品に.ついての原価であり,当期の仕入商品の原価全体ではない。他方,販売費お   よび−・般管理費のはうほその期間の発生額がそのまま収益に.対応された。しかしエ業経営   が盛んになるにつれで,期間損益討穿は商業経営にのみ行なわれるのではなく,工業経営   に.も導入・美施されることとなった。工業経営では,商業経営と異なった経営過程である  

製造過程があり,そこでは当初,今・日のような原価計算制度が実施されず,そのため製品   の鹿価の計算結果は今日より不正確であったとはいえ,、期間損益を計算するために.製品の   原価を界定すること自体は避けられなかった。ところで当時,工企業で期間損益の計静凌   実施するに.あたって,その唯一・のモデルは商業経営であったから,エ企業の計算組織は商   企業の期間損益計算償ならってユ夫されることになった。その際,商業経営とエ業経営と   を比較して,前者の商品に.該営するものとしてほ後者の製品があると考えられた。したがっ   て売上原価の計算紅おいて,両企業で売上商品の原価が,仕入原価を個別に.確認して商品   の売上高分と湖東在高分とに.配分することによって−算定されていたの紅ならって,工企業   でも売上製品の原価が,製造原価の配分手続によって算定される紅いたった。こゐように   して,売上製品の原価は,その牲得のため紅必要であった製造原価に.よって評価され,した   がって全部原価で封上されるという製造原価のコスト・コングヱ.ンレヨンが確立したので   ある。それに対し,他の−・般管理費・販売費は工業経営においても事情は変らないから,  

従来通りピリオド的対応が適用された。その後原価計算制度の盤備紅ともなって,より正   

(3)

197   販売改・一・艇管理幾のピリオド・コスト性に.ついて  

−−57− 

確な売上原価の算定が可能になったが,売上原価に.全部原価を含めるという考え方は変ら   ず,製造原価がプロダクト・コストとして処理される方法はより明瞭に.なったのである。  

当時は,プロダクト・コストとして処理されるべき原価とビリカ・ド・コストとして処理さ   れるぺき原価との性格上の相違は,あまり意識的でなかったと思われるが,上述のような   経緯から,製造原価のみが個々の生産物紅帰属計算され,収益に対してプロダクト的対応  

が行なわれるようになったと説明される。   

かくして内部給付の仮説は,ノ製造原価が内部給付たる製品に対して個別的に.帰属される   にいたった歴史的な経緯を語るものであり,したがって麿接的には製造原価把閲するコス  

ト・コンヴェンションを説明するものであるが,同時にこの仮説は,それ以外の原価,す   なわら販売費・−・般管理費に.は従来通りビリカ■ド・コスト的対応が適用されたことにも間   接的紅言及するものである。いずれにしても歴史的な経緯を述べるものであって,プロダ   クト・コスト性やピリオド・コスト性の会計理論上の理由付けに膚かに.触れるものでほ   ない。つまり,製造原価としてのコスト・コンヴェンションが確立したある時期の事実的   な説明をするのに点献するが,なお理論的な説明が充分でない。  

ⅠⅠIidentification説   

identification説に.よると,従来販売費・−・般管理費がビリカド・コストとして扱われ   たのは,原価計野上その大部分が間接費であって,しかもなお個別の製品に原価を跡づけ  

うるだけの客観的な配戚基準が得られなかったためであると説明される。少くとも今日に  

いたるまで,販売費・−・般管理費は製造原価と比べて客観性のとばしい任意的な配賦計辞  

しか行なえないため,プロダクト的対応を回避することによって,そ・のような計算の慈恵  

性を防止することができると考えられた。   

一・般に.,そのような慈恵性を生む原因であるidentificationの困難性に∵ついていう時,  

二つのことが意味されるも ーつは各製品へ客観的に原価を配賦する基準を見出すのが困  

難であるということであり,もう一つはたとえ客観的な配戚基準があっても,その基準  

豊紅もとづいて配賦を行なうと単に営業塩が変化するだけで製品単位当りの原価がいちじ  

るしく不規則に変化するため,そのような配應は琴意的であると考えられる場合である。  

通常それらは滞然と理解されて,その言葉が不正確酷使用されることがあるが,ここでは  

主として前者の志昧に理解するものとする。後者の滋味で客観的なidentificatior)が困難と  

なる啓惜軋 販売費・一般管理蟄のみに.限らず、全く同じことが製造原価に.ついてもいえ   

(4)

鴇44巻 韓2葛  

− ∂β−  

198  

ると思われるからである。かくしてidentification説では,客観的な配成基準が得られる費   目とそうでない費目とを別に.扱うこととし,前者は得られた配戚基準によって個別のプロ  

ダクト・コストを算定し,後者は適切な配威基準量が得られないので,盗志的な配威計界   を回避して,より客観的なピリオ■ド的対応にとどまると説明する。   

しかしそのような費用区分と,製造原価および販売費・−・般管理蟄の区分とは必ずしも  

−・致するわけではない。確かに販売費・一・般管理費には,売上製品との個別的な関連を跡   づけうることが困難な費目が多く,むしろ短期的に.は製品との規則的な関連は全くないと   思われる費目が多い。しかしidentification説を政柄すると,販売直接繋がかなりの覇庭.な  

る場合や営業費計静の発達や販売・管理滴動の組織的な整備など紅もとづいて客観的な計  

算の困難性が次第に排除される場合があり,逆に贋造原価のなかにも個別製品への客観的   な帰属計算が困難と思われる費目(例えば,補助材料費,修繕漁,保険料など)もある。  

このように遡造原価と販売費・一・般管理費のそれぞれは必ずしも性格の同じものを含んで  

いるわけでほない。つまり,identification説の原則的な考えは客観的にidentifyできるも   のほidentifyし,残ったものをビリカド・コストとするという考え方であり,具体的な費   目の分類は,情況の変化とともに変わるといえる。   

しかし製造原価がidentifyの容易な原価であり,販売費・一般管理費がidentifyの困難   な原価である,という事情が大きく変化しない限り,前者をプロダクト・コストとし,後   者をビリカ■ド・コストとすることができよう。に.もかかわらず営業費の増大化傾向ととも   に.,その取扱いをめぐって「管理会計上の問題を生じている今日,本社貿といえども補助部   門費を用役提供先の各部門の最大消賀盈に.もとづいて配賦するのと同じように,.各工場の   規模(規模と原価との関係が客観的に観測される場合に.限るが)に.従って配脱し,客観的   紅.扱えるようになれば,販売費・−・般管理費が依然としてピリオド・コストであるとはい  

(3)  

いきれなくなるのではないか。したがって,「アイデソティフィケイジョン説は.きらに周定   費説と結びつく必要がある。個々のプロダク=町村するアイヂソティフィケイジョンが不   明確であるということは,それらの費用要素が本来固定的性質を強く有しているという事  

(4)  

実に.よるものであるといってよい。」とする,固定費の存在とidentificationの不明確性とを   ストレートに.結びつける考え方には必ずしも同意しがたい。そのような理論的展開の余地  

を残しながら,identirication説は今日まで販売費・−・般管理費をピリオド・コストした一 

つの理由であると思われる。  

(3)佐藤精一イ会計機能の端緒的認識と固定費のビリカード・コスト性」『企業会計』算12巻   

寛4号(1960年4月),98ぺ一−ジ;小林健吾「直接原価計界と財務会言†一真実の原価と    利益の測定−」『会計』貨86巻第3号(1964年9月),100−01ぺ−ジ。  

(4)■港口一・雄,前掲論文,93ぺ一汐。   

(5)

販売盛・一般管理資のピリオド・コスト性について   −β9−  

199  

ⅠⅤ 費用効果説  

この考え方に.よると当期発生した費用は,期間損益計算上,無条件にその期間の費用と   しておとすのではなくて,製品を通じてその生産的効果を次期以降に.持越す部分ほ当期費  

用とすべきでほないと説明される。そのために各原価項目の生産的効果に関する性格の逢  

いに.より,ある項目はプロダクト・コストとし,次期に繰越す原価部分を算定しなければ  

ならないのである。しかし,その必要のない当期発生の販売費・−・般管理費は,正当に・当  

期の費用であると理由づけられる。   

すなわち販売費は,販売活動に.伴って発生する蟄用であり,製品の製造偏動が完了する  

までは生産物に寄与しないから,当然売上製品にのみその効果がおよぶと考えられる。そ   のような費用は.,製品への個別的な生産的効果を追求しなくても,生産的効果にもとづく  

正しい費用の対応を実現することができる。本来,期間損益引算は,収益・費用の期間的   対応を意図しているから,それが正しく行なわれるのであれほ,それ以上に個別的対応関   係のいかんは問われない。しかし実際湛は注文拉得費の一部(例えば,入札・受注に伴う   販売事務費など)は,すでに生産活動以前に発生している販売費であり,そのような費用  

(8)  

の効果は棚卸資産にもおよぶから,プロダクト・コストとすべきものと考えられる。しか   し重要性の原則から,そのような費目が少額庭とどまる限り,・それを事実上無視しても差  

支えないと考えられよう。   

他方,−・般密理喪に.ついてはどうかというと,−・般管理沼動の効果が具体的に.どの製品   紅どのように.寄与するかは把挺しにくいけれど,−・般的に.考えて.,−・般管理活動は販売活   動に.も製造活動紅も貢献していて,製造酒動に.関連する部分は売上品に・も棚卸資産にも効   果がおよぶと考えるのは自然であろう。生産的効果を次期以降に.持越す部分を客観的に・計   算するのは困難であると予想できるが,旗用効果説の考え方をつらぬくためには生産的効   果を次期以降に.持越す一・般管理費部分を算定しなければならないことに.なる。あるいは,  

そうでなくて−・般管理曹が理論的にピリオド・コストであるというのなら,その生産的効   果が当期売上製品のみに.およぶ理由を明らかにする必要がある。しかし登用効果説紅たつ   限りその理由は見出し難いように.思われる。  

したがって,登用効果説で販売費のピリオド・コスト性を説明することはできるが,一般  

し5I番場嘉一・郎「コスト・プリンレプルと原価計算」『産業経理』貨16巻儲9弓(1956年9   

月),42ぺ一ジ。   

(6)

ー ♂∂−  

努44巻 籍2号   200  

管理費のピリオド・コスト性を「偏しで説明するのは困難であると思われる。費用効果説  

ではこの点をどう理解するか不明であるが,当初は一般管理費が相対的紅少額であったこ   とに照して,正確な計算はあまり重要でなかったのではないか。重要性の原則庭照してそ   れはそれで一つの会計上の扱い方であるが,叫般管理費の比盈が増加している今日でもそ   れが翼当するかどうかは靡わしい。   

それは.ともかくとして−,費用効果説は期間損益の決定上適用される概念で,生産的効果の  

立場から当期収益紅応ずべき費用を確定するものである。正しい期間的対応を実現する紅  

は,製造原価ほプロダクト的対応の計簸手続を必要とするが,販売費・−・般管理費紅/ついて  

はその必要がないので直接紅期間的対応が行なわれるのである。個別製品への費用効果の  

追究は;あくまで期間的対応を正しく行なうの紅必要な限りに.とどまると考えられる。  

Ⅴ 会計処理の使者説  

これは,本来,原価はプロダクトコストとして扱われるぺきであるが,販売費・−・般   管理賀は,個別的な計算処理よりはピリオド的に処理する方が計静の労働が軽減され,迅   速な計静処理が可能であるから,ピリオド・コス†として扱うとの考えにもとづいてい    る。したがってこれほ会計理論というよりは実務上蛮要な観点である。しかし,単に・計静   の経済性や迅速さだけから,ピリオド・コス†とすべき根拠がなりたつなら,販売費・− 

般管理費のみがピリオド・コストとなる理由はない。それでもなお販売費・一般管理蛍が  

ピリオド・コストとして−処理される根拠に.会計処理の便宜説が主張ノされるのは,これとは   別の理論的な根拠が前提とされて:いるからである。便宜説の考え方のみを,論理的な考察  

に優先させることは危険である。   

したがってこの考えが適切紅用いられるのは次の場合に限られる。すなわち,ある原   価をプロダクトコストとしても,ピリオド・コストとしても,期間損益計算寵果紅影響  

がない場合,あるいは期間損益に多少の影響があっても重要性の原則に.照してはとんど無   視しても差支え.ないほど影響が少い場合である。いずれ忙しても正しい期間引算からの帝  

離が遷要でない場合に限られるのである。その他の場合は,理論的な根拠紅もとづいてプ   ロダクト・コストとするかピリオド・コストとするかを決定すべきであると思われる。   

結局,会計処理の便宜説だけで単独に販売費・一般管理費がピリオド・コストであるべ   き論拠を解くことはできない。正しい期間計算が前提とされるぺきである。   

(7)

販売費・−・般管理票のピリオド・コスト性について  

・−−6J−−  

201  

ⅤⅠ早期回収説  

個別の製品へ客観的に帰属計静することが全く不可能な原価,あるいほ生産的効果に従   って客観的紅当期費用を算定することができない原価ほ,敢えてプロダクト・コストを引  

算しようとすれば主観的な計算結果とならざるをえない。早期回収説ではそのような原価  

は,保守主義の原則にもとづいて,できるだけ早期に収益に.より回収されるべきであると  

考えられている。会計上あいまいな処理しか行な.えない原価は,他に方法がないので,経営   上の危険を防止する観点からより早い時期紅回収するという,安全な会討処理が適用され  

るのである。販売費・一・般管理費はそのような観点からピリオド・コストとして処理され  

ているという。しかし亭・の場合もビリカード・コスト紅・できる原価は,会封上の処理が凱、  

まいに.しか実施できない原価に.限定されることに.注意すべきである。   

つまり,適切な処理原則を設定することができなかったり,処理原則ほあっても事実上   適用不可能であるような場合にのみ,早期回収説は意味がある。   

第Ⅲ節で触れたように.,事情の変化によっては,販売費・一・般管理費は全く適切な処理   ができないというわけではないが,早期回収説は,そ・のような処理が不可能であってやむ  

なく導入された最終的観点であると理解すべきであろう。   

ともかく会計処理の便宜説と同じく,ビリカード・コス†の根拠としては消極的である。  

ⅤⅠⅠ固定費説  

一・般に販売費・−・般管理費ほ,′毎期くり返し反復的に丁産額発生する費目が大部分であ   るから,たとえプロダクト別の原価計算せ行なっても,収益に対応する原価額は,当該期   間紅発生した総額とはば等しいものと考えられる。もしそうなら,プロダクト・コストと  

してもピリオド・コストとしても期間損益計算償・は実質的な影響がないからより簡単なピ   リオド的対応が適用される。   

工業簿記の開始された当初よりは,飛曜的に.競争が激化し,かつ経営規模も大規模化し   ている今日に.おいても,なお販売賢・一般管理費が毎会計期間総じて固定的に・発生するか  

どうかの問題は別乾して.も,上記の解説が正当であるのに.は,一定の条件が必要である。  

たとえ毎期の総敬が固定的に発生するとしても,販売費・−・般管理費をプロダクト・コス  

トとして扱えば,生産・販売活動,なかでも販売活動が期間どとにかなり変動する場合に  

は,完成した製品のうちの売上品に帰属すべき発生原価部分は,販売竜の不規則な変動と   

(8)

− す2 −−  

第44巻 第2弓  

202  

ともに侮期不規則紅いちじるしく変動する。かくて当期収益に対応すべき販売費・−・般管   理費は,当期発生額のみならず,製品の期末在高さらには期首在高の影響,換言すれば当  

期と前期おのおのの販売員の影響を複雑にうけることになる。しかも生産愚が変化すれ  

ば,製品単位当りの営業費も変化し(歴史的原価計算の場合),売上原価ほより複雑紅変   化する。このよう紅販売費・一般管理費が毎期固定して小ても,営業墓の毎期の変化にと  

もなって変化する売上原価部分ほ眉純紅ほ説明できない。したがって−,販売費・一般管理   費をピリオド・コストとすれほ,当期発生額がそのまま収益に対応されるので,当然,販  

売貸・一般管理費をプロダクト・コストとするかビリカ・ド。コストとするかで損益計昇給   異姓相違する。そのうえに販売費・一般管理費の発生額が毎期変動すれほ,その違いは一 

屑複雑に.なる。   

したがって−,固定費醜は,−・般に.鎮座活動・販売活動が比較的安定している社会的事情   のある時や産米紅おいてのみ,販売費・一般管理費のビリオ・ド・コスト性を説明するもの   である。  

ⅤⅠⅠⅠ期間計算の優位性説  

そ・もそも期間損益を決定するに腰,収益と費用とを期間的に対応させるこ.とが必要であ  

るのは言うまでもない。つまり会計公準の一つである期間設定に基礎をおいている費用収  

益対応の概念は,一定期間中における企業を全体的観点からみて適切な損益を測定把握す   るの紅必要な概念である。期間損益の算定のためには,個別的対応は必要不可欠の原則で   ほなく,まず収益・費用を期間的紅.限定把握することが必要なのである。つまり期間損益  

引算の本性からすれば,収益・費用の把握ほ,期間に対する配分で充分であり,さらに磯   品単位につき分割回収する,あるいは特定成果との個別的対応関係で費用の費消部分がど   うであるか,といった個別の蛍用効果測定を行なうことは基本的要請ではない。したがっ   て,−・定期間に溜められた収益と同じ期間に溜められた費用をどのように.期間限定するか   明らかに.しなければならないのである。   

かくして,期間計算の優位性顎は,期間損益計界に・は収益・費用の期間限定の方法がま   ず問題であることを明らかに・する。今日では,期間損益計算のため紅収益は実現主義,曹  

用は発生主義で認識され箪,期間的な努力と成果との効果比較が行なわれている。これほ  

どのような対応関係を保証するものであろうか。   

ところで,収益と常用とが全く無関係乾期間に帰属されるというのならば,何らそれら   

(9)

203 

販売費・一・般管理費のビリカ・ド・コスト性に.ついて  

−63一−   

の対応関係というものほ.問題紅ならないはずであるが,期間的な観点紅おいて損益計静が   費用の収益紅対する効果比較なり,あるいは収益に.よる費用回収度合を知るべきものであ   るという限り,−′定期間紅実施された全く同じ営業活動に.ついての収益と費用とを見るの   でなければならない。と.れほ対応概念濫ついての一・つの解釈であるが,ある費用が正しい   対応かどうかを問題紅する限り,何らかの対応の基準を明らかにすることなし紅ほ論ぜら    れない。  

そのように解するなら,収益ほ当期の実現収益のみを計上すると,その実現収益を挙げ  

るのに貢献する活動紅伴う費用のみが当期収益紅対応されるべきである。いうまでもなく  

当期発生費用ほ期末棚卸資産の産出把も貢献しており,その部分ほ.当期収益にほ対応しな  

も、のである。したがって少なくとも製造原価紅ついてほ,棚卸資産と売上製品と匿発生額  

を区分することが必要であり,そのための原価の配分計算が必要なのである。つまりプロ  

ダクト・コスト謝計算しなくても期間費用を正しく算定することができる費目は製品単位  

への帰属計鈴闇必要でなく,逆紅製品の単位当り原価を知ることなしに期間費用を正確に   界定できない原価は,単位原価の引算を実施することが要請される。結局,正しく収益・  

費用対応の原則を適用するのに必要な限り,原価を個別製品に帰属させるのであって,そ  れ自体が期間対応の直接の要件ではない。「少くとも個別的客体的対応以外の費用収益の  

(8)  

期間対応を承認しないという見解は適当でない」という主張も,軍艦客体計静を経ずに期   間収益に直接に対応されることが正当化されるのではなくて1正しい期間対応を達成する   限りにおいて,ピリオド・コストが肯定されるものであるというように理解すべきであろ  

う。   

と.のようなわけで,製造原価ほ個別の製品原価の罫定によって得られた売上原価を収益   に対応させている。そのような対応を通常個別的対応というが,期間損益計静に・おける対   応は,原理的にほもともと期間的対応しか存しないのであって,個別の収益と費用とを対  

応させるのは計界手続上の問題であることに注意すべきである。   

ところがそれでは販売費・−・般管理費は,期間中の発生額凡てが収益に対応されている   が,それを期間計界の優位性に.よって説明することができるであろうか。商企業におげる  

主要な業務内容は販売活動であるのほいうまでもないが,期間中の販売活動は疲じて同一 

期間の収益を実現するのに.寄与し,また管渾活動はそれを補佐していると考えられる。、こ  

(6)帝口一機,前掲論文,93ぺ一汐。   

(10)

・− 64 −  

第44巻 第2号  

204  

のように・考え.る限り,販売費・血般管理費は,収益に対応させる原価を界定するの紅,撃   位当りの製品原価を計算する必要はない。なぜなら,その期に発生した総額が,同じ期間   の収益紅照応する活動紅対して照応関係にあるからである。   

しかし,工企業の損益計算でほ,それと若干事措が異なる。すなわち,工企業の業務活   動紅は販売活動のはかに,製造活動があると通常考えられるからである。販売費が従来通  

りそのまま収益紅対応されるのは上記と同じ理由で説明される。しかし,一般管理費は,  

それが販売活動にも製造活動にも寄与するものであると考えれば,当然製造酒動に関連す   る部分のうち,製品原価の計静を通じて期末棚卸資産に服される原価が当期収益紅対応さ  

れないこととなる。したがって期間計静の優位性説をもってしても,エ企業紅おける一般  

管理費のピリオド・コスト性を十分紅説明することは困難であると思われる。単に商企業   の一般管理費の処理の仕方が形式的に踏襲されたとしても,一層した論拠で説明すること   ができないのである。したがって,−・般管理費のピリオド・コスト件の根拠は別にもとめ  

ざるをえないのではないか。  

ⅠⅩ まとめ・岬ピリオド・コス=牲の本質と課題   

以上われわれは,販売費・−・般管理費のピリオド・コス=弘,ひいては製造原価のプロ   ダクトコスト性の論拠紅関する諸説を検討してきた。ピリオド・コス†とプロダクト・  

コストが対概念として理解されるのなら,ピリオド・コスト睦もプロダクト・コスト性も  

むしろ−いつの考え方から派生的紅説明されるものとして考えられよう。しかし単紅諸説を  

羅列したこと紅より,そのようなピリオド・コストないしはプロダクト・コストの本質が   明らかになるわけではない。そこで各説の意味あるところを汲魂,以下では,諸説の関係   の位置づけに重点をおきながら,その本質と今後の課題を明らかにしたい。   

まず内部給付の仮説では,工業の発達につれて,商企業から期間損益計算の形態が工企   業へ引継がれた事措が解説される。そこでは商品と製品とのアナロ汐−が内部給付の原価   紅適用■されたと説明されるのである。それは歴史的経緯を説明するものとして意味がある   が,会計理論上の解釈ないしは理論的な吟味を経ていない。それは会計実務がどのよう紅  

変遷したかを説明するのであるが,われわれはそのような事実を会計理論上どのよう紅秩   序づけるかがむしろここでの関心事である。  

そ・のようなピリオド●コスト性の会計理論上の根拠に蒔かに・触れるもの匿,期間封弊の僚   

(11)

205  

販売費・一般管理費のビリカド・コスト性把ぃついて   −−65一   

位性説と費用効果説がある。期間言1胡の俊伐性説では,期間封算が個別の費用またほ収益   の効果測定を行なうことが基本的要請でほなくで,期間設定の公準にもとづいて収益と費   用との一億期間中の仝俸的な効果比較が本来的要請であると説く。既述のように,そのた   めには正しい対応を保証する「対応」の原理がなければならない。つまり期間計算の優位   性説ほある一足の対応概念を前提とし,それが明らかでないと期間損益結果は慈恵的に・な  

らざるをえないのである。そこで当期の実現収益に照応する活動の費用を,・その収益に対   応させるのか正しい対応であるとすると,それは結局費用効果説の考え方と同じものであ  

る。つまり期間引算の優位性説と費用効果説とほ.密接な関係に.あり,たとえば,費用効果   説紅いわれるような対応の考え方なしに.期間対応の正しさほ保証しえず,また期間計算の  

優位を前提とせず紅費用効果説と期間計算との正確な関係を知ることはできない0このよ  

う紅して,期間損益討界紅おける対応は,正しい期間的対応関係いかんが問題であり,そ   のような対応を保証する限り,原価はビリカ・ド的対応で充分である。したがって.損益計界   においてある原価をビリオ・ド・コストとするのは,当期発生総額が費用の効果にもとづい   てこ正しく収益と対応するからであり,またある原価がプロダクト・コストとされるのは,  

個別的製品原価の資料にもとづかないと収益と対応する原価部分を正確に算定することが   できないからである。個別的対応自体が期間計算の目的なのではない。したがって,ピリ   オド・コストといいプロダクト。コストというのは,正しい期間対応な実現するための原   価の計算手続上の速いを反映したものであるに.すぎない。「対応」というのは,期間的対応   のことであり,ピリオド・コストないしほプロダクト・コストは対応の概念の追いを述べ  

/. たものではない。その意味でビリカ・ド的対応,プロダクー的対応という用語法はまぎらわ  

しいから注意すべきである。   

これによりピリオド・コスト牲とプロダクト・コスト牲の基本的な側面が明らかである   と思われるが,実質的には,「正しい対応」といわれる概念の中味をどう規定するかに・よっ   て,どリオド・コストおよびプロダクト・コ.ストの原価の範囲は違ってくる。ここでは一  応費用効果にもとづく期間的対応を「正しい対応」としたのであるが,それが唯一・のもの  

かどうかはなお検討の余地がある。   

それほさておき,上記のような趣旨紅そって,すべての原価がピリオド・コストとプロ   ダクトコストに分類・処理されていれば問題ないが,実際にはすべてがそのように処理   されているわけではない。一般管理費や販売費の一部について,一層して上記の考え方に   ょりピリオド・コスト陣を説明するのほ困難である。なかでも,一顧管理費ほ上の考え方叱   

(12)

寛44巻 葦2号  

206  

− 66 一−  

よればむしろプロダクト・コストとして扱われるぺきものであるに・もかかわらず,どリオ  

ド・コストとするのが一腰の実務である。原則からはずれるこれらのことを会計上どのよ  

うに説明するのであろうか。identificatior)説,固定費説,会計処理の便宜説,早期回収説   がその説明紀貢献すると思われる。   

まずidentification説でほ,個別的原価として扱えるものは極力そのようにI処理し,それ   でもなお客観的配賦基準の得られないものはやむを得ず,計算の窓恵性を避けるため当期   発生額全額を当期費用とするのである。その意味でidentification説は,可能な限り原価は  個別的対応とナペしとの考えによるのであるが,それほ期間討罫の基本的要請と†致しな   いから,正しい期間的対応を達成するの紅個別的対応が要請される原価紅限ってidentifi・  

cationが必要であるというように解釈すべきと思われる。もっともそのよう紅解しても,  

このidentification説は,identificationの困難性という消極的な理由でのみピリオド・コ   スト陸を根拠づけているが,多少とも積極的な根拠づけをつけくわえるなら,同時に会計  

処理の便宜説および早期回収説と結びつけて理解する方がいい。つまり重要性の原則や費  

用の早期回収という,期間損益計算そのものとほ異なる観点からidentificationの困難性  

を支えようとするのである。   

また販売費・−・般管理費のビリカ・ド・コス巨隆の別の理由として,固定費説がある。こ   れは販売費・一般管理費が毎期安定して−いて,しかも経済事情の比較的安定した時期また   は産業に.おいてのみ当てはまるのであるが,その場合ピリオド・コストとしてもプロダク   ト・コストとしても損益計算結果は同じであるから,言†界の経済性よりピリオド・コスト  

とするのがよりのぞましいとするのである。したがってこの固定費説も会計処理の便宜説  

と密接に・関連してい芦。それにしても固定費説は,ある特殊な場合にのみあて−はまるの  

で,一般的なピリ・カ・ド・コスト性の袈付けとしては根拠が軌、。   

当初は.,一般管理費の割合は相対的紅低く,したがって頭要性の原則に照して,また早   期回収の観点からもピリオド・コス、トとして処理しても差支えないと考え.られでいたのか  

もしれない。その場合は会計処理の便宜説,早期回収説と結びついてビリカード・コスト性   が正当化されている。なお会計処理の便宜説および早期回収説は,既述のよう紅,期間計   界の優位性説や費用効果説のような会計の原則的な考え方を前提として,その原則を実際  

上貫徹することができないかまたは貫徹してもあまり意味のない場合紅のみ適用される考  

え方であるのはいうまでもない。   

以上の諸説の関係を綺括的匿国表でしめすと,右図のように示される9結局,販売現・   

(13)

207  

販売費・−・般管理費のピリオド・コスト牲について   −6■7−  

∬般管理費のピリオド・コスト性ほ,  

期間詔算の優位性説と費用効果説の   基本的な考え方によって説明される  

が,それでもなお充分説明されない   部分はidentification説,固定費説,会   封処理の便宜説,早期回収説が相互   にからみあって:,補足的に説明され  

うるのではないか。いずれにして  

も,諸説のうらのある一・つの考.え方   でピリオド・コスト性を充分に.解説  

することほできないものと思われ   

L岬 ̄ ̄一…− ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄−■… ̄ ̄ ̄一叩■ ̄ ̄… ̄ ̄…… ̄一 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄… ̄ ̄J 

る。   

以上のように販売費・一・般管理費のピリオド・コスト性を理解するとしても,これのみ  

がピリオド・コストあるいはプロダクト・コストの唯一・の考え方であると断定できるとも   思われない。「対応を主張する者の中に.は,その意味・適用の方法・会計理論に占める位置  

(7)  

に.関してかなりの不一・致がある。」とも言われている。究極的紅は期間損益計算に.おける正   しい「対応」の概念をどう設定するかに.かかっており,その考え誘いかんによってピリオ   ド・コストあるいはプロダクト・コストの内容はどのように.も変容しうる。われわれほそ   の可能性に.一層慎重な検討廃つづける必要があり,ピリオド・コスト性,プロダクト・コ   スト陸の弾力的な可能性を追究する必要があると思う。  

(7)Floyd Alan Beams A CriticalExaminatioz)Of the Matching Conceptir)Acc−  

OuntanCy 1968,p.1,   

参照

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