研究ノート
競争的成長径路と最適成長径路
←一 宇沢モデルについて− −
阿 部 文 雄
このノニー・トでとりあげるデー・マは,分権的市場経済制度の下で,競争的に決定される資 源配分が,ある特定の厚生規準を満足するものであるか否かの研究方向と一致している。
従来,競争均衡の厚生経済学的評価が問題とされる場合の理論的フレ−ムワ−クは静学的 であったが,最適成長理論の登場により,これを動学的見地から検討しようとする試みが
(l)
なされるようになった0
ここでとりあげる宇沢モデル(Uzawa..H..〔5−j,二6」,〔7〕)では,まず,家討と二企 業により構成される経済についての競争的成長径路と,社会的見地からの最適成長径路が 定式化され,次に,両者の畢離が論じられている。そこで,このノ−トの目的は,この事 沢モデルについて,その主要な骨子を述
る。
Ⅰ.競争的成長径路
◎ 家計の合理的行動
まず,家討についてk「代表的家計」を想定し,この家計の有する将来の市場条件に関 する期待は.stationaIyであると仮定される。このとき,家計の最適消費計画は,次の問 題を解くことによって得られる。
(2) 甘問題4》
Maxiご〝(c£)♂ ̄′孟∂〔〟f珂沖d≠
Subject to
(1)例えば,Arr・oW&KuIZ二:=,Cass&Yaa;i〔3〕,Uzawa〔6〕〔8二なと。
(2)Uzawa〔5r:【〔6一〕で定式イヒされている。
競争的成長径路と最適成長径路
77 ー 77 −
仇=り叩ナ†紺一C占 即(0)=〃。(given)
ここで,
C :t時点での一\人当り消費
〟(c占):効用関数。甜′(c)>0,α′′(cっく二0。
(3)
∂〔 (c〜)〕:時間選好関数。∂〔〝(cう〕>0,∂′(〝)>0,∂′′:>・0,∂−∂′α>0 ぴf:t時点での−㌧人当り資産保有量
紗:(コンスタント)賃金率 P:(コンスタント)席場利子率
(4)
である。この問題を解くために,次の様な新しl、変数を導入する。
4仁=J三∂〔〝(ムて)れ』ひ=0
この変数を使えぼ,問題月は次の様な問題A′へ変換される。
《問題A′カ
Max仁叢計擁
Sub.ject to
む(拒一意(析紺−C) 0 頂析
む(〃)=〃0(given)
そこで,この間題A′を解くために,次の様なラグランジュ.関数を定義する。
エ∴=.J;(諸㌫十入(莞蒜L彿瓶
(1)
(4)
この時,問題A′で表わされた,条件(2)(3)の下で(1)を最大にするという条件付変
(5)
分間題は,(4)を,C,〝,入に・関して条件なしで最大化する問題に帰着される。従って,
この問題に対する最適解が存在するとすれば,満たすべき必要条件は周知のオ■イラー・ラ グランジュ方程式から次の様に示される。
(3)時間選好関数∂£は,より一・般的には,∂ =∂(c∠,C()と表わされているが(〔8〕),
ここ∴では消費水準C のみの関数とされている。
く4)変数』↓ほ.,必要条件のオイラ−・ラグランジ,ユ.方程式を計算する際の便宜上の目 的で導入されている。
(5)ここで,入は条件式(2)に対応する補助変数である。
弟47巻 第1号 78 ー 7β −
く必要条件>
(i)一
ノ\/\ 意意(詰)=0(乞は被紛部分を示す)
/\
(ii)普ニ0
/\
(iii)=0
(iv)豊入g■d= 0(横断条件)
(5),(6),(7)をそれぞれ計算すれほ以下の如くなる0
(5)
(6)
(7)
(8)
0
九._鋸や(c)〕一戸
(i二)
(ii)α′一入一笠〝=0
(但し,ガ=〝(c)+入(Pむ+乙〃一C))
(iii)〝=(Pぴ+ぴ−C) 0
頂了 (2)
従って,(2),(8),(9),(10)で示される体系が家封の最適消蟄計画である0このと き,消費に関する最適径路をexpiicitに表blすためには,(10)を時間tで微分し,入を 消去することにより得られる。即ち,
β一∂−8′〝′(Pが十び一C)
(11)
〝+α′(Pぴ+甜−C)〕_α′′
8−∂′〝 α′
そこで次に,(2),(8),(11)で示される最適解の性糞を調べるために,(2)を,・γニ βぴ+ぴを使.って変数変換する。このとき,(2)は次式になる0
γ£=Pぐγ‡一C )
(12)
かくして得られた動学体系(11),(12)には,均衡点Qがユニ−・クに存在することを示
そう。
(イ).γ=0のとき.γ=C
(ロ)占=0のとき一γ=什1妄一(β一∂)
(13)式で表わされる関数の形は
(13)
− 7.9 −
競争的成長径路と最適成長径路
イ79
れコ。=−諾(若一意)
の符号関係から
c室c*字⇒β=∂〔〟(c*)〕錮)1≠⇒忽
言ヒ。
(14)
(15)
となり,典型的にほく儲1図>から明らかな ように,均衡点Qがコ∴ニ−クに・存在する。吏 に,この均衡点QがSaddlePointであるこ とも以下の様にして分る。即ち,(11),(.12)
の連立微分方程式の係数行列の特性方程式を
■作ると,
費 1 図
β ._ ヲ(、
∂.γ
一−β
(16)
=0
である。ここで,*印は均衡点で評価することを示す0このとき,
0, 軋= ̄軋れ=P
∂。−_ ∂′〟′
、−.・fヤ●● ′′: 郡〟/∂// 〟/′
P−∂′〟 〝′
であるから(16)式を満足する特性根♂は・,
ヰイ言二姦)′/2
P−8/〟 〝′
(17)
となり,符号の相異なる2実根をもつ0故に均衡点Qは,・その近傍でSaddlePointであ
る。
結局,問題AないしA′の最適解として得られる家計の最適消費計画は,<第1図>に
第A7巻 第1号 80
− βク ー
示される様に,均衡点Qへ収威する二本の径路であることが分る。又,このとき,効用随 数及び時間選好関数が与えられるとすれほ,家計の最適消腰径路を決定するもの昧,期待 市場利子率と実賀所得.γ(あるいは資産保有量)であることも容易に知られる。即ら,
C=C(p,.γ) (18)
である。
@ 企業の最適投資行動
(6)
字沢モデルでは,企業行動を考える際に,生産要素を固定的なものと可変的なものとに 区分している。そして,可変的な生産要素に.関しては各時点での限界条件によって最適投
入盈を決定しようとし,固定的生産要素に関してほ,異時点間の考慮がなされるとする。
又,貯蓄あるいは投資が,ただちに.資本蓄積へまわると考える新古典派と異なり,投資と
(7)
資本蓄杭との間に,『投資効果関数』(又は,『ぺソローズ関数4)を定義している。このモデル でSpeCifyされたぺソローズ関数の,モデル内での役割は後で明らかにする様紅最適投 資率を,ユニークに決定させることである。又,ここでも,代表的企業を想定し,将来の苗 場条件に関する期待はStationaryであるとされる。そこで,企業は次の問題を解く こと によって最適投資率を決定しようとする。
(8) 《問題β》
MaxJ;〈柑↓,エ トルエ£−動〉β−酋が
subject to
g£/∬ =Z;
g(0)=垢(given)
(9)
動/片ム=?(gJ)
ここで,
∬£:才時点での企業資本 ん:f時点での労働雇用蛍 紺:(コンスタント)賃金率
(6)手沢・稲田〔10〕p251,宇沢(その他)〔9〕p39参岨。
(7)宇沢(その他)し9〕p三氾
(8)Uzawa〔6〕で定式化されている。
(9)甲(z)は,甲(0)=0,甲′(0)=1,〆(z)>0,甲′′(Z)>0が仮定されている。
競争的成長径路と最適成長径路 ー &ヱ ーー
81
p:(コンスタント)割引率(期待頂場利子率)
◎J:f時点での計画投資盈
すでに述べた様に,企業は可変的生産要素である労働雇用竜に・ついては,各時点での労 働の限界生産力が賃金率に等しくなるように決定する。このとき,生産関数が新古典派的 諸条件を満すとすれほ,
∂ダ(茸£,エr)
=ノ (鳥‡)一点 ノ′(烏£)
∂エ亡
である。このとき,ぴが鵬・定であるから巌もuniqueに決って,かつ,時間から独立で,
constantとなる。言いかえれば,労働に対する限界条件だけでは,資本一労働比丘占が決 るだけで,資本及び労働の水準を決めることはできない0しかし,√このとき,γ=ノ′(烏)に よって予想利潤率を知ることができるので,問題βは次の問題β′としで表わすことがで きる。
《問題β′》
MaxJ:とタ一柚)〕仔 β ̄叫離 Sub.iect′to
私=ヱ(∬丁
度(0)=j‰(given)
(19)
これは,(20),(21)の制約の下で,(19)を満足するような,れ卜垢の径路を見い出す
(10)
という問題である。そこで,次のようなラグランジュ関数を定数する。
エ=Jご(〔r一紬)〕穐+九(須片「一わ〉e ̄酋離
従って問題A′のケ−スと同様に必要条件は次のように示される0
/\ (i)意=0(⊥蛸紛部分) /\
/へ./ヽ
(ii)意一意(藷)=0
/\
(iii)一=0
(22)
(10)Uzawa〔6〕r7〕でほ,これとは多少興った方法で企業の最適投資政策がもとめ られている。
−β.2−一 第47巻 寛1弓 82
(iv)豊入 β ̄βと=0(横断条件)
(i),(ii),(iii)をそれぞれ計算し,整理すると,
(.i) 入 =甲′(g£)
(ii)i上=(P一之£)入£−〔7−甲(gf)〕
(iii)え£=g£斤↓
ここで,ZLの時間後路をexplicitに表わすために,(27)を(28)に代入すれば,
;£=ずを㌻〈(P−1釣)甲′(z′ト〔グー甲(・gエ)〕〉
(29)
となる。結局,問題β′の最適解ほ,(20),(26),(29)によって表わされる。そこで,こ の連立微分方程式のPhase Diagramを書くことにしよう。まずKはnohnegativeとす れば,
∬毒0 く≒ニ〉z喜萱0 又,(29)より,;=0のとき,
ダ(g*)=ヱ語㌢(峠g*)
である。このとき,gキg*の場合のgの符号を調べるために,
¢(g)= ((P肌Z)〆(gト(7・一戸)〉
(30)
(31)
(32)
とおいて,この¢(g)を・,g==Z* でTayloI■展開し,2次以上を無視する。すると,
¢(z)=(g【一之*ト
である。このとき,β>g*であると仮定すれば,
g室g*字⇒¢(z)萎0く=⇒g≧0 となり,<:発2図>のように表わすことがで きる。この場合,与えられた∬0に対して,ぞ*
以外のZの値をとれほ,いずれ′も実現不可能 となる。結局,g£の最適径路ほ,竃線AA′に dominate される。即ち,ZEは,時間から独 立にZ*をとりつづけること紅なる。
従って,企業の最適投資政策は,一(31)式か
三亡
競争的成長径路と最適成長径路 一▲ 占J一・
83
ら明らかなよう紅,′とPによって決定される。このとき,
>0・く0
であることも容易に知られる。
⑨ 苗場均衡
前節までに展開された個別経済主体の合理的行動は,主体均衡を表わすものであった。
(11)
そこでこの節でほ,以上の主体均衡条件をもとにして苗場均厨の諸条件を考えてみる。
まず,資本,労働,生産物などほす・ぺて同質的な量であると仮定される。又,資産保有 ほ,株式だけであるとされる。このとき,市場は.,労働苗場,財・サーヴィス苗場(生産 物市場),金融市場(株式市場)の三ってある0順次とりあげていく0
く労働市場>
完全雇用均衡が成立するとすれば,
ぴ =′(烏£)一点げ′(ゑ£)
7(=./′(烏エ)
である。ここで,γ£はf時点での資本の限界生産力である。又,労働人口ほ,簡単化のた めに−・定であると仮定される。
く生産物市場二>
まず,社会全体の生産物Q↓は,
Q(=W¢+仇+足n (36)
の様に配分される。ここで,Ⅳ↓は賃金所得,∂上は配当所得,創㌔ほ,企業の留保利潤
(retained profit)である。−L方,国民所得Ytは
y =Ⅳc+∂↓+G㌔ (37)
で定義される。宇沢モデルでほ,各時点の国民所得に含まれるキャピタルゲイン(capital gai王l)ほ,常紅留保利潤をfef−ユectするという仮定を・おくことによって,国展所得と産出
鼻ほ常に等しいとされる。即ち,−\人当り表示で示すと
γ(=ノくゑ )≡留£
である。このとき,生産物市場の均衡条件ほC乙+動=Q£ より 甲(Pェ,r )=J蜘 ゑ
J
(38)
(39)
(11)Uzawa〔6〕p8,〔7〕p644参照。
葦47巻籍1号 84
−β4−
で表わされる。(39)を満足する均衡利子率ほ
く第3図>のように二uniqueに存在する。 It く株式市場>
株式市場での均衡ほ,企業が投資費用を調 βt 達するために発行する新株式(供給)と,家言†
の株式需要が等しくなるように決定される0 句 このとき,新株式発行点上ざは,
¢′=βJ}J十汀Jβごヾ
で示される。−−・方,株式の新規需要β£dは,
籍 3 図
(40)
∵.J巨.ヽ・.(J ・‖ぃ
で示されろ。ここで,勘は一億当りの株式価格である0従って二,株式市場での均衡条件は
β d=β S (42)
である。ところで,(36),(37)を使えば,(41)ほ次の様に示すことができる0
方↓戚d=(吼−C −◎£)+(◎ェ一足汽)
(43)
即ち,紬3)から明らかなように,生産物市場が均衡しているとき,細)の第⊥項はゼ ロであるから,直ちに株式市場の均衡が成立するこ・とになり,逆に株式市場が均衡してお れは,生産物苗場も均衡するという,ワルラス法則が成立することが分る0
又,′時点での総株式発行数をβ とすれほ,株式の平均収益率は,
β乙=旦±旦ヱ
〝fβ
(44)
と表わされ,資産が株式だけの場合,このP′が市場利子率となる。・そこでこのとき,労働 市場,生産物市場が均衡しているとき,株式の苗場均衡価格が如何なる永準紅決定される かを示すと,(44)から,
l ′−廿■′_ r 鳥J
/)′β PJ占J
(45)
方い=
となる。ここで∂J=β√/エ£′である。
(12)
④ 長期定常均衡の存在と安定性
(12)Uzawa〔6〕p9参照。
←− ざ5・−・
競争的成長径路と最適成長径路
85
く第3図>から明らかなように,資本の限界生産力デ が代表的家討の時間選好率∂乙を 上回わるとき,そしてそのときに限り,均衡
利子率P が存在して,資本蕃横率もで正あ る。従って,この状態が続く限り,各時点で の短期均衡を維持しながら,経済成長が行な われる。そこで,このとき,長期定常均衡が どの様な条件の下で成立するかが問題とな る。く第4図さのように,㌢斤/ソ(鬼£)は,ゐ 軋ついて減少関数である。一方,時間選好関
第 4 図 数∂£は,
・7・>0 釜=8′・鋸′・意
となり,烏について増加関数である。従って,長期定常均衡ほ・,
/′(鳥*)=∂〔〟(c*)〕宇⇒=0
で示される。又,このとき,
ゐ≦ゐ*⇒ゐ≧0
セあるから,点*は安定点である。
〈参 競争的成長径路
競争的成長径路とほ,与えられた初期資本−労働比‰から出発し,各時点での市場均衡
(短期均衡)■を維持しながら,長期定常均衡点烏*へ収束していく径路のことである0 そ
の体系を牽とめて牟くと次の様になるo i) .γ↓=∽£+pγJ
ii).γい=./(烏 ) iii) 紺仁=./■(鳥乙)−ゐげ′(ゐJ)
iv) γ・ェ=ノ′(々 )
ノ(々ム)−C(仇,.γ )
Ⅴ) 甲(β ,7∫)
Vi) 机=汀J∂
第47巻 寛1号 86
− β6 −
㌢(点乙 Vii) 汀壬=h一一一
戸£∂£
viii)=Z(仇,7・£)
但し,ここではすでに述べたように労働人口ほ−・定とされている。未知数は,.γ£,々 , 即f,7と,紺 ,β ,汀£,みとの8個である。
経済がこのような成長径路に沿って成長するとき,家封及び企業はとのように行動して いるであろうか。家言†と企業ほノそれぞれ,出発時点での市場条件が将来にわたって一足で あると予想して討画をたてる。ところが,実際には資本蓄積が行なわれるから市場条件ほ 変化するはずである。そこ∴で,家討と企業ほ市場条件が変化する各時点で封画を立て直す
ことになる。競争的成長径路は,このモデルの場合,家計と企業が絶えず各々の消費及び 投資計画を各時点での ̄市場条件に調整していくこと紅よって得られる径路であるといえよ
う。この点がこのモデルの特徴であるのと同時に一?の問題点といえるかもしれない0何 故なら,家計及び企業の立てる計画は,このモデルの場合,十分に長いTime Hor■izonを もっているにもかかわらず,絶えずその計画を庖て適さねはならないからで,しかも,そ の調整が,計画径路と実際のものとの誤差紅もとづいて行われるというより,全面的な計 画の立て直しになると考えられるからである。予想形成及び封画との誤差調整についての 吏紅立ち入った分析が必要であると思われる。
ⅠⅠい 最適成長径路
芋沢モデルでは,社会的な観点から見た最適成長径路を考えるに際して,時間選好関係 は,個人のもつそれがそのまま社会的な次元で妥当すると仮定される。即ち次の間題の最 適解として得られる径路がそれである。
(13)
《問題C》
Max.†ミ〟(c )β−′;∂〔〝(Cg)1d df
Subject to
: こ
(13)Uzawa〔6〕pllで定式化されている。
競争的成島径路と最適成長径路 ー β7 −
87
C;+甲(z↓)ゐ =ノ(々J)
点(0)=点0(given)
但し,このとき前節と同じく労働人口は一・定と仮定される。〜勘=凋(c£)は,一人当り消 費に対する効用関数である。そこで,この問題を解く場合にも,
4仁=Jこ∂〔〟(CT)1dT
を使って,変数変換すれほ,次の問題C′へ変形される。
《問題C′))
MaxJ −ddd subject to
(46)
鳥=
∂〔〝(c)〕
C+甲(z)烏=ノ■(斤)
烏(0)=鳥0(given)
ここで,点ほ社会全体の資本労働比である。このとき,次の様なラグラン汐ユ関数を定
(14)
義する。
エ=Jミ〈孟㌫+入1(品一屋)+入2〔ノ(ゐト甲(z)点−C車 ̄dd』
このとき,前節の場合と同じ手続きで必要条件が導かれる。
<必要条件>
i)=0
\ (王城積分部分)へ/ヽ.
ii)意一意(意)=0 iii)=0 /\
/\
iv)=0
く14)Uzawa〔6r〕は,(48)に対応する補助変数入2を明示していないが,心安条件の
(52)を導出するのに必襲である。
88ニ
籍47巻 第1号
ー・ざd −l
/\
Ⅴ)=0
1im九1β−』=0
∠・・・・+00
Vi)
入2β ̄d=0
,ii)
以上のうち(i),(ii),(iii)を討許すると,
i)九2=一「九1
ii);1−(1−・言ト+(クノ・−甲(g))九2=0
これに(50)を代入し,更にこの場合にも,ぺソロ−ズ制約
(50)
′・−甲(g) (51)
甲′(z)=
P ̄ヱ
(15)
が満たされるとして使えば,次式をうる0
O
/\
ゝl_㌻−Pl 入1 8
/\ ここで,Pほ討画割引率であるとする。
i汀)甲′α′一入1−」些塑Lガ=0 ∂
(52)
(53)
ここで,ガ=〝(c)+入1g烏である0以上から,最適径路ほ,元の時脚表示に戻して示せ は,
鳥=gゐ (54)
丈1=(∂岬;)入. (55)
となる。このとき,消費の最適径路をイクスプリンットに示せは,(4鈷(53)より
p−8−∂′桝烏+(′・一甲)g /\
(56)
、∴′∫{●ごご::−こ′− √ニ ∴… ∂−∂′従 ・
(15)ここでぺソロ−ズ制約が満たされると仮定することは,最適径路の近似解をもとめ
ることを意味している。字沢〔 11〕p22参照。
競争的成長径路と最適成長径路 ・− β9−
89
(ll)
となる。
ⅠⅠⅠ世 親争的成長径路と最適成長径路の比較
両径路を比較するに当って−,一Uzawa〔6〕でほ,市場利子率β は,資本一労働比点 に関 してぬ少関数であると仮定して論じている。勿論これは,モデルから演繹できることでは なく経験的仮説である。このとき,鳥が丘0からがへ変化するにつれて,γ千/ソ(烏),β,お
よび∂(■捉(c)〕は,く第5図>のように変化していくであろう。すると,競争的成長径路 ほ,典型的にほ<第6図、>のように左方ヘンプ卜していく。
C
と0
k■
第 5 図 籍 6 図
この左側の径路は,時間の経過とともに下降する市場利子率に対して,家計及び企栄が
討画の立て直しを行うことによ.って得られる径路である。−・方,右側の径路ほ,家計が,
初期時点での市場利子率が将来にわたって不変であると仮定する時得られる径路である。
〈 次に,社会的な観点からの最適成長径路を考える場合,計画割引率βの設定が問題とな
(1了)〈 るであろう。即ち,βを高くすれば投資率を底め,逆に低くすれば投資率が高まるからで
〈 ある。そこで,ここでほ雨後路を比較する目的の為にPは市場経済で到達する長期均衡利 子率β*に等しく設定されるとしよう。このとき,最適径路は,競争的成長径路と同じ収 束点をもつ最も社会的効用の高い径路となり,典型的にほく貨7図>のように示すことが
(16)(56)を導出するとき,(48)から
_ Ⅰ一甲(Z)_ C
 ̄ ̄
ず百「 ダ′(z沖 を使う。
〈 (17)Uzawa〔6〕ほ,このPについて何も説明していない。が,(洪),(55)のStationaI■y
/\
state烏*が,r*=∂し〝(.γ*)〕のとき達成されるとしていることから,Pほこの場合 親争的径路の場合のP*に等しいとしていることになると思われる。
第47巻 第1号 90
ーーづり −
できよう。従って,市場経済が競争的メカニ
e
ズムに従って達成する成長バク−・ソほ,最適 成長径路に比べて過剰蓄積となる。
以上が,かなり限定された条件のもとでの 同径路の比較に閲す−る宇沢モデルのねらいで
あると思われる。このテーマに関する吏た進 んだ分析は今後の課題である。
第 7 図 く参 考 文 献>
〔1〕AIⅠ■OW,Ⅹ.J&ⅩuIZ.M
『Publicinvestment,The Rate of Return,And OptimalFiscalPolicyJ(1970)
〔2〕Cass..D
郎OptimalGrowthin An Aggregative Modelof CapitalAccumulation
(Reuiew of Economic Studies.1965)
〔3〕Cass.D.&Yaa工・i,M.戎
パIndividualSaving,Aggregate Capital Accumulation,and Efficient Growth (inEssayson the Theoryof OptimalEconomic Growth:Shell.K・
Ed.1967)
〔4〕Uzawa.H.
OptimalGrowthinatwo−SeCtOr Modelof CapitalAccumulation (R.E.S.
1964)
〔5〕Uzawa.H.
Ona Neo一℃1assical Modelof Economic Growth (The Economic Studies
Qlユa工■teI■1y1966)
(6〕Uzawa.H
郎The Penrose Effect and ODtimalGrowth,,(TheEconomicStudies Quarterly 1968)
〔7〕Uzawa.H.
Time Preference and PenIose Effectin a two−Class Modelof Economic GrowthH(Journalof PoliticalEconomy1969)
〔.8〕宇沢弘文
最適経済成長理論の再検討一解説− (季刊理論経済学1969)
〔9二〕宇沢・今井・小宮・根岸・村上
『価格理論ⅡJ(岩波書店1971)
競争的成長径路と最適成長径路 − 9ユ ー
91
〔10〕手沢・稲田
『経済発展と変動』(岩波書店1972)
(二11■〕手沢弘文
山社会共通資本の理論的分析 (東京大学出版会1972)