学位研 究 第 5 号 平成 8 年 9月 ( 論文)
〔 学位授与機構研 究紀要 〕
ア メ リカにおけ る工学系 の上 級学位
Hi ghe rDe gr e esConf e r r edbyt heFi el dofEngi ne e r i ng i nt heUni t edSt at es .
寮 藤 安 俊
Yas ut os hiSAI TO
Re s e ar c hi n Ac ade mi cDe gr e e s , No. 5 ( Se pt e mbe r , 1 996) l t hear t i c l e)
TheJ our nalofNat i onalI ns t i t ut i onf orAcade mi cDe gr e e s
ア メ リカにおけ る工学系の上 級学位
寮 藤 安 俊*
1 .緒
二i̲‑̲わが国では,平成 3 年 7 月に大学 を中心 に行 われた高等教育制度の改革 に よ り, それまで学 位 ではな く称号 とされていた学士が学位 として位置づ け られ,「 学士」,「 修士」,お よび 「 博士」
が学位 として大学 お よび学位授与機構か ら授与 され るこ とになった。 さ らに,短期大学お よび 高等専 門学校 の卒業者は,学位 ではないが 「 準学士」 と称す るこ とが で きるよ うになった。 ま た,制度改革前は,学位 の種類 として,博士 は文学博士 な ど1 9 種類,修士 は文学修士 な ど2 8 種 類が学位規則に よって定め られてお り,学士 は大学設置基準に よ り 「その履修 した専攻に応 じ た学士 を称せ しめ るこ とが で きる。 」として29 種類が指定 されていた O これに対 して,平成 3 年
7月に改正 された学位規則では, 「 大学及び学位授与機構 は,学位 を授与す るに当たっては,過 切 な専攻分野の名称 を付記す るもの とす る。 」とな り, ○○ 博士の ように専攻分野の名称 を冠 し て列挙す る学位 の種頬は廃止 された。その結果,吉野 1 ) に よれば,平成 6 年度現在,専攻分野の 名称の種類 は学士が2 51 ,修士が1 81 ,博士 が1 2 6 に及んでいる。これは各大学 に問い合 わせ た結 果 であ り, 回答率 は学士 と修士が各95%強,博士が92%弱であったが, その後は さらに種類の 数か増加 してしす る もの と思われ る.
一方,ア メ ] )カ合衆 国におけ る学位 は,一般的には, As s oci at e に始 ま り, Bac hel or , Mas t er , お よび Doc t or と 4 段 階に分類 され るか ら, As s oci at e をわが国では学位 に位置づ け られていな い準学士 として,以下, それ ぞれ学士,修士,お よび博士 に相 当す るもの と見な されているo 舘 2) が指摘 しているよ うに,わが国の改革がア メ リカの学位制度 を念頭にお いて行 われた とす る
と, レベ ル設定の面 では類似性が高 いこ とになるが,学位 と専攻分野 との関連づけにつ いては, 日米間の隔た りは大 きい。 したが って,具体 的には, わが国の学位 を英文表記す る場合, ある いはア メ リカの学位 をわが国の専攻分野 で評価す る ときな ど, この隔た りが国際交流の障害や 誤解の原因にな るおそれが あ る。例 を理学 系に とる と, わが国の以前 の制度 に よる理学士,哩 学修士,あるいは新 しい制度 に よる学士 ( 理学 ) ,修士 ( 理学 )は,それぞれ Bachel orofSci e nce , Mas t e rofSci ence と英文表記 され るこ とが 多い。しか しなが ら,ア メ リカでは数学や物理学 な どを専攻 した者に対 して も大学 に よっては Bac hel orofAr t s や Mas t e rofAr t s を授与 して お り, これ らを日本語流に訳せ ば,文学士,文学修士,あ るいは学士 ( 文学 ) ,修士 ( 文学 )と
*学位授与機構審査研究部教授
な る。さらに,ア メ リカでは前記 4 段 階に分類 され る学位 のほかに, " Ot he rDe gr ee s" 3) ある いは " I nt e r medi at eGr aduat eDe gr ee s" 4) と呼ばれ,中間的に位置す る学位 をも授与 してい る0 ‑万, ア メ リカの学位 は学問学位 ( Acade mi cDe gr e es) と専 門職学位 ( Pr of es s i onal De gr e e s) とに分類 され,前者 は一般 には学力の水準 を示すだけであ るが,後者 はそれぞれ該 当 の専 門職 につ くための基礎 資格 として機能す る と言 われてお り5 ) ,どちらか といえば前者のみ と
も考 え られ るわが国の学位制度 とは異な る面がある。
わが国の 多 くの大学 では,新 旧いずれの学位 (旧称号 を含めて ) も 「 バチェラー,マス ター, あるいは ドクター ・オブ ・専攻分野 ( 学部 ) 」 の形に英訳 してい るよ うであ る。 しか しなが ら, とくに経営学,教育学,法学, 医学,薬学,工学,音楽 な どを専攻分野 とす る英米の上級学位 において,「ドクター ・オブ ・専攻分野 」. の よ うな英文 で表記 され る学位 は専 門職学位 であ り, 特定の専 門職 資格 と関連 したそれ ぞれの分野 で授与 され るこ とが 多い と思 われ る。修士 レベ ル
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で も同様の形 で,しば しば専 門職 と関連 して授与 されている。これに対 して, 「ドクター ・オブ
・フィロソフィー ( Ph. D. ) ・オブ ・あるいはイン ・専攻分野」は学問学位 または研究学位 ( Re s ear c h De gr e e s) として授与 され,専 門職学位 とは授与 の要件や実質的な内容,水準が異な り,基本的 には1 9 世紀におけ る Ph. D. の誕生に さかのぼ る問題である。 館 2) 5) に よれば,欧米 におけ る 「ドク ター ・オブ ・フ ィロソフ ィー」のフ ィロソフ ィー と 「 バチ ェラー ・オブ ・アーツ ( B. S. ) 」 のア ー ツは,歴史的には まった く同 じもので, Ph. D. は中世 の 自由学芸 ( アー ツ)学部や哲学部が成 長 して出す ようになった学位 であ り,アーツに数 え られ る人文学,社会科学, 自然科学の分野 の専攻者の博士 として授与 され るようになった とい う。また,「 バチ ェラー ・オブ ・サ イエ ンス ( B. S. ) 」 の起源 は, フランスの総合 技術大学 ( ェ コル ・ポ リ ・テ クニ ク)にあ り,学問 を生か
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し,社会へ応用 で きる人物 の育成 を目的 として, その証 明 として 自然科学, あるいは純粋科学 に限ることな く授け られたO
和 田6 ) は ,教育制度や組織の よ うに国や大学 で内容,水準な どが異な り,社会 あ るいは学 問の あ り方 と深 く結び付 き,長 い歴史 をもっているもの を外国語 で表記す るこ とは難 しい としなが らも,学位 の英文表記 を高等教育 の国際化 の進行 に ともなって克服すべ き課題 の 1つ に取 り上 げている。著者の専攻分野 であ る工学 においては,学位 に付記す る専攻分野が細分化 された と いって も,授与 され る学位 は学士 ( 工学 ) ,修士 ( 工学 )な らびに博士 ( 工学 )が 多 く,改定以 前の工学士,工学修士,工学博士 とともに,大部分 の大学 ではそれ ぞれ 「 バチ ェラー,マ スタ ー, あるいは ドクター ・オブ ・エ ンジニア リング 」 と英訳 されてい るもの と思 われ る。 しか し なが ら,アメ リカにおいて, 「ドクター ・オブ ・エ ンジニア リング」は専 門職学位 として取 り扱 われ る例が多 く 7) 8) , また 「 マス ター ・オブ ・エ ンジニア リング」は ビデオ教材や衛星通信 を利 用 した放送教育 な どに よって履修 し, 多 くの場合 は非実験系の工学分野 で研究論文 を提 出す る こ とな く,学外学位 ( of f ‑ campusde gr ee s) として授与 されている。さ らに大学 院課程 を基礎 とす る博士お よび修士の レベ ルで内容や水準 を日米 で比較す ると, わが国の博士 お よび修士は アメ リカの学問学位 に対応 してお り,「ドクター ・オブ ・フ ィロソフ ィー ( Ph. D. ) ・オブ ・あ るいはイン ・専攻分野」や 「 マ スター ・オブ ・サ イエ ンス ( M. S. ) ・イン ・専攻分 野」に近 い
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もの と考 え られ る。したが って,ほ とん どの大学が訳 しているように,工学修士 または修士 ( 工 学 )を Mas t e rofEngi nee r i ng とす るこ とは,と くに発展途上 国か らの留学生の場合,誤解や 不満 を生ず るこ とが懸念 され るC
これに対 して, わが国の学位 の英文表記はわが国独 自の もので,すべ てア メ リカ式に追従す る必要 はない とい う意見 もあ るか もしれないが,国際社会 に積極 的に貢献す るとい う立場か ら ち,学位 の英文表記は検討すべ き重要課題 の 1 つ であ ると著者 は考 えてい るoそこで,本稿 で はアメ リカにおけ る工学系の上級学位 に注 目し,学位 の名称,授与要件 な どを,主 として著者 が直接 に訪 問 して調査 したい くつかの大学 を中心に説明す る。ア メ リカには大学数 が極めて 多 いので,僅かを実例 のみ でア メ リカ全体 につ いて論 じるこ とには問題 もあ るが,比較 的規模 の 大 きい州立大学 を対象に してい るこ とか ら, わが既の対応す る学位 との比較や英訳に対 して何
らかの示唆 を与 えるもの と期待 してい る。
2 .アメ リカにおけ る工学系の学位 2. 1 工学系学位の誕生
本稿 の 目的はア メ リカにおけ る学位, あ るいはその制度全般 の変遷 を述べ るこ とではないが, 現行の工学系上級学位 につ いて ま とめ るにあた り,工学系におけ る学位 ( de gr ee) の誕生 をい
くつかの資料 3) 4) 9) か ら引用 して説明す る。
ニュー ヨー ク州 のウエス トポイン トに 1 8 0 2 年 に創立 されたア メ リカ合衆国士官学校 は,英語 圏諸国の中の最初 の科学 技術系の学校 と言われてい るが,法律 に よって Bac hel orofSc i e nc e の学位授与権 が与 えられたのは 1 9 3 3 年 で, それまでは学位 を授与 していない。最初 の 「 工学の 学位」 を授与 したのは,現在の レンセ ラー理工科大学 ( Rens s el ae rPol yt e chni cI ns t i t ut e) の前身であ るレンセ ラー学校 ( Re ns s el aerSc hool ) であ る。 1 8 2 4 年 に創立 された同校 は, 1 8 2 6 午,最初 の卒業者に Bac hel orofAr t si nRe ns s el ae rSc hool [ A. B.( r . S . ) ] お よ びMas t er ofAr t si nRe ns s el ae rSchool [ M. A.( r . S . ) ] とい う独特 な学位 を授与 し, 1 8 3 2 年 に現在の 大学名に変 わって も, 1 9 3 4 年 までは慣例 として続け られた。 1 8 3 5 年 には, Bachel orofAr t s
に代 えて, 大学の理科系 カ リキュラムに とっては よ り適切 な Bachel or of Nat ur alSci e nce ( B̲N̲S. ) を取 り入れているOこの 1 83 5 年 に,同校 は さ らに Ci vi lEngi nee r( C.E. , 土木工 学専攻 )とい う学位 を制定 し,同年,4 名 の青年 男子 に この学位 を授与 したOその後, Engi neer
と呼ばれ る学位 としては, Topogr aphi calEngi nee r( T. E. , 地形測量工学専攻 )が 1 8 6 0 年 に, Mi ni ngEngi ne er( M且 , 鉱 山工学専攻 )が 1 8 6 8 年 に,それぞれ初めて授与 されたが,前者 は数年 で中止 されたO
ピッツバーグ大学 ( Uni ver s i t yofPi t t s bur gh) は , 1 7 8 7 年 2 月 2 8 日に設立が許可された Pi t t s bur gh Academy に始 まる 。 この高等教育校 は 1 81 9 年 には第 2 の勅許状 によって, We s t e r nUni ve r s i t y ofPenns yl vani a と名称 を変更することが許され 1 9 0 8 年には現 在のキャンぺ 久地に移って Uni ve r s i t y ofPi t t s bur gh として知 られ るよ うになった。 1 8 0 0 年代 の初期 に,ピッツバー グ地 区に多 くの産
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業が発展す る とともに, We s t er nUni ver s i t yofPe nns yl vani a の科学技術 に対す る寄与が さ
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らに増大す るこ とが望 まれ, 工学系 コース設立の機運が高 まった 。 1 8 4 3 年 には LemuelSt ephe ns が最初 の工学教授 として l )クルー トされ, 1 8 4 6 年,最初 の " Engi nee r' ' 学位 が授与 されたOピ
ッツバー グ大学におけ る工学の創始者 ともいえる St e phe ns は,専 門化 した工学の学位課程 の必 要性 を評議員 に強 く印象づ け, 1 8 5 6 年 には工学部 ( Sc hoolofEngi nee r i ng) の分離独立が許 可 された 。 工学部は " Engi neer l '学位 を 1 8 6 8 年 まで授与 して きたが,この年 には土木 ・機械工 学の B. S. 学位 が始 まった。その後, 1 8 6 9 年 には鉱 山工学, 1 8 9 0 年 には電気工学 の B. S. 学位 がス ター トした。
Engi ne e r の学位 では,イェ‑ル大学 ( Yal eUni ve r s i t y) が Ci vi lEngi nee r( C. E. ) を 1 8 6 0 年 に,また Me chani calEngi nee r( B. E. ,機械工学専攻 )を 1 8 7 3 年 にそれぞれ用 いてい る0‑
万,コ‑ネル大学 ( Cor nel lUni ve r s i t y) は ,1 8 71 年 に Bac hel orofCi vi lEngi ne e r i ng( B. C. E. ) を, また 1 8 7 3 年 に Bac hel orofMe c hani calEngi ne er i ng ( B. M且 ) をそれぞれ導入 してい るo
Mas t e r と呼ばれ る学位 は,先述の とお り, 1 8 2 6 年 に レンセ ラー理工科大学が最初 の卒 業者に 授与 してい るO しか しなが ら,ア メ リカの大学 は 4 年制の カレッジが中心 で, 当時は独立の大 学 院制度はほ とん ど存在せ ず, 1 8 8 0 年代 以前か ら一部 で使 われてい‑ た修士号 とい う名称 は,覗 行 の ように研究 を通 じて取得す る学位 ではなか ったこ と 10 ) な どか ら,おそ ら く学士 レベ ルの学 位 であると思 われ るO現在の よ うに上級学位 に通 じる大学 院課程 が開設 されたのは よ り後 のこ とで,例 えば ピッツバー グ大学の大学院開設は 1 9 0 4 年 で,工学の大学 院課程 はその約 1 0 年後に 始 まった。 アメ リカにおけ る現行の修士 レベ ルの工学系学位 としては , 1 91 4 年, Mas t e rofSci e nce i nAe r onaut i calEngi nee r i ng ( 航 空工学専攻 )の学位 がマサチ ューセ ッツ工科大学 ( MI T) で制定 された。
2. 2 現行の工学系上級学位の概要
ア メ リカの学位 の種類 と名称 は極 め て 多様 で, 1 9 9 2 年 現在,大学 院 レベ ルだけ で も名称 は 1, 0 0 0 種類近 くに及ぶ とい う 10) O種類数 の大小 は, もちろん専攻分 野に よって も差違 はあ るが, 1 9 6 0 年 の資料 4) に よれば,工学系の学位 の種類 は,準学士や名誉学位, さらに偽 の ( s pur i ous) 学位 を含めて 3 4 8 に達 してい る。しか しなが ら,これ らの中には, Bachel or や Mas t er な どの学 位 に続 く専 門分野の名称 とその付記の仕 方の相違 も含 まれてい るほか,広 い意味での工学系分 野にわたってい る。本稿 の 目的は, それ らを分類 した り,解析す るのではな く,工学系の学位 の種類 と名称が大学 院課程や授与の要件 に どの ように係 わ り合 っているか をで きるだけ明 らか にす ることであ るo しか しなが ら, わが国の学位 には学位規則, そ して大綱化 された といって も大学等の設置基準 による裏付 けがあ るのに対 して,ア メ リカでは連邦全体 の規則や基準は存 在せ ず,州や地域, さ らに大学 に よって制度が異な るので,統一的に取 り扱 うこ とは困難 であ る。そのほか学位授与の関係す る部局 として,アメ リカの大学 では,カレッジ ( col l e ge) また はス クール ( s chool ) がわが国の学部 に相 当 し,それ らを構成 してい る学科 ( de par t ment ) が
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大学 院学位 を含む学位授与 に係 わ る。それに対 して, わが国の大学 院は 「 研究科 」 お よび 「 専 攻」 とい うそれ ぞれ学部お よび学科 とは別 の組織 になっているが,本稿 ではア メ リカの学位 に つ いて述べ るので,学部 ・学科 で説明す る。
アメリカにおける学士レベル以上の学位は, 学部学位 ( Unde r gr aduat eDe gr ee s , Baccal aur eat e De gr ee s) と大学院学位 ( Gr aduat eDe gr ee s , Pos t ‑ Bac cal aur eat eDe gr ee s) とに大別 さ れ るとともに,前述の とお り学 問学位 と専 門職学位 の 2 種類 に分類 され るO大学 に よっては, 大学 院学位 の うち博士 レベ ルの もの を上級大学院学位 ( Advanc edGr aduat eDe gr ee s) とし て独立 させ た り,専 門職学位 を学部,大学 院に続 く第 3 の学位 として分類 してい る。多 くの大 学 では, B. S. や M. S. とい う学位 に続けて付記す る専攻分野の名称 を要覧 な どに明記 しているが, アメ リカの学位記には必ず しも記載 されていないようであ る 11) 。なお,本節 のほか, 第 3 章以 降において,学士 お よび修士両 レベ ルの学位 では主専攻,す なわち学位授与 の対象 とな る専 門 分野 を略号 で表す こ とが 多いが, それ らは著者がい くつかの大学 の例 を参考 に して,本稿用の みに作成 した ものである。略号 と使用例 を末尾に Tabl e lで示す。
ここで,工学系の学位 を分類 して, それ ぞれの概略 を示す。
( 1 ) 学部学位
学士 レベ ルの学位 では, Bac hel orofAr t s( B. A. ) お よび Bac hel orofSci ence( B. S. ) を基本的な もの として,工学系 では Bac hel oro fSci encei n‑( B. S. ‑ )として専攻分野 ( ‑ ) を表示す る大学が圧倒 的に多い。そのほか Bac hel orof‑( B. ‑ ) や Bac hel orofEngi nee r i ng ( B. E. ) もあ るが, これ らは B. S. 一 に比べ ると学問学位 よ りも専 門職学位 の色彩が強い。
( 2 ) 大学 院学位 ( 修士 レベ ル)
大学院修士 レベ ルの学位 では, Mas t e rofAr t s( M. A. ) お よび Mas t erofSci e nce( M. S. ) を基本的な もの として, 工学系では これ まで専攻分野 ( ‑ )を表示 した Mas t e rofSci e ncei n‑
( M. S. ‑) が標準的な学位 として考 え られて きた。しか しなが ら,大学 院に入学す る学生の学歴 ( 学部学位 の種類 な ど)や適性 の多様化,そ して学際領域‑ の専攻分野の展 開な どが進む ととも に, M. S. 一 以外のい くつかの学位が 多 くの大学で比較的共通性 をもって授与 され るよ うになっ て きたO具体例 は第 3 章 で述べ るこ とに して,以下,代表的, あ るいは共通 的 とも言 える工学 系の学位 を分類 して示す。
① Mas t e rofSci e ncei naDes i gnat edEngi nee r i ngFi el d ( M. S. ‑)
この学位 は, もっ とも一般 的で, 多 くの大学 で授与 されてい る。各学科が提供す る大学院授
業科 目を主 とした履修要件 を満 た し,学位論文 ( t hes i s) を提 出 して審査 に合格 した者 に授与 さ
れ る。例 えば,化学工学 を主専攻 とした者 は Mas t erofSci e ncei nChemi calEngi nee r i ng
( M. S. ChE. ) とな る。近年 は, この よ うな課程 を論文課程 ( The s i sPr ogr am) として,論文
を提 出しない非論文課程 ( Non‑ t hes i sPr ogr am) を区別 した り,大学 院の主専攻 と同一の分
野の Bac hel or の学位 の保持者に限って授与す る大学 もあ る。
② Mas t erofDe s i gnat edDi s ci pl i ne( M. ‑)
近年,工学系の学位 として授与す る大学が 多 くな って きた よ うに思 われ るO主専攻 を化学工 学 とした者に例 をとると, Mas t erofChemi calEngi nee r i ng( M. ChE. ) とな る。① の M. S. ‑ の学位授与 を論文課程修 了者に限 り,非論文課程 を終 えた者 に この M. ‑の学位 を授与す る例が 見 られ る。また,大学 院の主専攻 と異なる工学 の分野 で Bachel or の学位 の保持者 に授与す る大 学 もあるが, その よ うな学生 は主専攻の学部 カ リキュラムで認定 された条件 を満 た していない ので,大学 院で特定の学部科 目を履修す るこ とが義務づ け られ,必然的に時間の関係 で非論文 課程 に該 当す るこ とが あるO
③ Ma s t e rofSci encei nEngi ne er i ngSci e nce( M. S. ES. )
ア メ リカにはエ ンジニア リング ・サ イエ ンス を 1つ の専 門分野 として,工学部の担 当で学位 を授与す る大学があ る。 この分野の定義や範噂 を的確 に説明す るこ とは容易 ではないが,工学 原理 を応用 した科学 の種 々の分野 と工学 との間の境 界の学 問領域 を指す もの と解 され る。学際 領域 であるので工学部の特定学科が他 の学科か 自然科学系の他学部 と共 同 して,学位授与に係 わ ること が 多い。
④ Mas t e rofSci e nc ei nEngi nee r i ng ( M. S. E. )
この学位 は,大学 院の主専攻 と異なる工学 の分野の Bachel or の学位 の保持者,工学以外の課 程 で受 けた Bachel or の学位 の保持者,あ るいは ABET の認定 を受 けた Bac hel or の学位 を保持
しない者な どを対象にす るようであるが,大学 によって要件 が異な るO
なお, 著者が昭和6 0 年にフィラデルフィア ( Phi l adel phi a) 市のペ ンシノ レべニア大学 ( Uni ve r s i t y ofPenns yl vani a) を訪 問 した際,同大学の工学 ・応用科学部 ( SchoolofEngi neer i ngand Appl i e dSci e nce) では,生物工学,化学 ・生化学工学,土木工学, コンピュー ター ・情報科 学.電気工学 ・科学,機械工学 ・応用力学,材料工学, な らびに システム工学の 8 つの グルー プが この Mas t e rofSci enceEngi nee r i ng( M. S. E. ) の学位 を授与 してい るこ とを知 ったO上 記の グルー プは専攻の区分 に相 当す るもの と思われ るが, その専 門分野 を表示す るこ とな く, まとめて 1 つの工学の M. S. 学位 を授与 している点は興味深 く,わが国の工学修士 または修士( 工 学 )の英訳にあた り,参考 にす る価値が あ るもの と考 えてい る。
⑤ Mas t erofEngi nee r i ng ( M. E. )
わが国の工学修士や修士 ( 工学 )の英訳 を連想 しが ちであ るが, ア メ リカでは専 門職学位 に 分類 された り,専 門職指 向で技術的 ・経済的側 面 を強調 した課程 の修 了者に授与 され るこ とが 多いO学外学位 として授与す る大学が 多 く,科 目単位取得 が主 な要件 で, プロジェ ク ト・レポ ー トは課せ られて も,研究論文 を要求 しない。
( 3 ) 大学 院学位 ( 博士 レベ ル)
大学院博士 レベ ルの学位 では,文系 ・理系 を問わず, Doct orofPhi l os ophy( Ph. D. ) が標 準的な学問学位 であ り, M. A. お よび M. S. よ りもさらに専 門化 し,研究色が強いo Ph. D. で ら専 攻分野 を表示 して Doc t orofPhi l os ophyi n ‑ とす る場合 もあ るが,要 覧な どでは Mas t e r は
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ど詳 し く記載 していない大学が 多い。 この レベ ルの工学系の学位 は, しば しば専 門職学位 に分 類 され る学位 を含め ると次の よ うにな る。
① Doct orofPhi l os ophyi naDe s i gnat e dEngi nee r i ngFi el dDe gr ee
この学位 は,工学分野の 1 つの課程 を達成 しようと努め る学生 に授与 され る。 この学位 を取 得す る学生は,指示 された分野 で十分 な基礎 を実証 しなければな らない。
② Doct orofPhi l os ophyi nEngi ne er i ngSci e nceDe gr ee
この学位 は, とくに独立 して分類 され る とは限 らないが,工学 に密接 に関連 した学際的専 門 領域 で博士 を目指 した研究に従事 し,科学 の 1 領域 と工学 の 1 領域 とい う2 つ の学 問分野での 熟練が求め られ る。
③ Doc t orofEngi nee r i ng ( D. Eng. )
わが国の 「 工学博士」や 「 博士 ( 工学 ) 」の学位 は この よ うに英訳 されてい るが,取得要件 な どの内容 は必ず しも同等 ではない。ア メ リカでこの学位 を授与す る大学 は少 ない。 カ リフォル ニア大学バー クレイ校 の D. Eng. の課程 は,近代的な多領域 の問題 を解決 し得 る技術者 に対す る 社会 的要求 に応 えるこ とを目的 として確立 された もので,研究 よ りも設計, 開発,経営 な どに 焦点 を合 わせ てい るとい う 12) 。学位取得 の要件 として,設計や 開発のプ ロジェク ト 2 年 間の う ち,1 2‑1 5 ケ月は企業 または政府機 関におけ る実地研修 ( I nt e r ns hi p) に当て られ る。専 門職 学位 として分類す るほ うが妥 当か もしれない。
( 4) 専 門職学位
経営学,教育学,神学,法学,医学,歯学 な どを専攻分野 とす る修士 お よび博士 レベ ルの学 位 は, Mas t erof‑ お よび Doc t orof ‑の ように表 され, Mas t erofBus i ne s sAdmi ni s t r at i on ( M. B. A. ) , Doc t orofEducat i on( Ed. D. ) , Doct orofMedi ci ne( M. D. ) な どがその例 で ある。 館 7) に よれば,カ リフォルニア大学バー クレイ校工学部 では,工学 と応用科学 に重 きを置 いた学習に対 しては学問学位 である M. S. と Ph. D. を授与 し,高度 な専 門職 的な学習に対 しては専 門職学位 である M. E. と D. Eng. を授与す るとしてい るoそのほか,中間的学位 として分類 され る Educat i onSpe ci al i s t ( Ed. S. ) な どを含めて,これ らは学問学位 の M. S. や Ph. D. とは取得 の 目的 や要件 を異にす る専 門職学位 であ る。博士 レベ ルの専 門職学位 につ いては,近年,伝統的なア カデ ミックなプログラム と専 門職 プ ログラム との境 界が必ず しも明確 でな くなって きている 10)
とか,専攻分野に よっては, Ph. D. 学位 も専 門職学位 も内容 はほ とん ど同 じで論文 の題名がやや 違 う程度 では, それぞれの評価 を高め るこ とは難 しい 13) とい う意見 も出 されている。
工学系の専 門職学位 は,学 問学位 と重複す るもの を含めて次の よ うにな る。
① Mas t e rofEngi nee r i ng ( M. E. )
大学院学位 で修士 レベ ルの Mas t e rofEngi nee r i ng は,専 門職学位 の範噂 に入 るもの と思 わ
れ る。1 96 8 年 1 月,ア メ リカ工業教育協会 ( Ame r i canSoci e t yf orEngi nee r i ngEduca t i on)
は E. A. Wal ke r を委月長 とす る工学教育 の 目標委具 合( Commi t t eeonGoal sofEngi ne e r i ng
Educat i on) の最終報告 を発表 し,専 門職学位 を改訂 しよ うとす る大 きな努 力 を示 して, Mas t e r
ofEngi nee r i ng の学位 を重視 した。
② Doc t orofEngi nee r i ng ( D. Eng. )
館 7) も指摘 しているよ うに, Spur r 3) は 「 工学は Ph. D. が高い威信 をもつ 自由学芸 と科学 ( a r t s ands c i e nce s) に関連 した専 門職 の好例 であ る。 Doc t orofEngi nee r i ng を授与 してい るの は,ほんの少数 であ るo 」と説明 している。 1 9 6 8 年のア メ リカ工業教育協会 目標委員会の最終報 告 は, D. Eng. の学位課程 の利点は,実務 的,かつ象徴 的な面にあ り,総合大学 では Ph. D. の よう
な全学的な管轄か ら離れ ることにあるこ とを示唆 しているO さ らに, カ リフォルニア大学バー クレイ校 では, Ph. D. と D. Eng. とい う選択可能 な 2 種 の博士 レベ ルの学位 を授与 しているが,約 1 0%だけが D. Eng. の学位 を選 んでいるに過 ぎないこ とを指摘 してい る。しか しなが ら,同報告 書 は, Ph. D. の学位 は純粋 を学 問領域 におけ る最高の権威 であ り,その権威 は 1 世紀以上 にわた って学術界に よっで 慎重 に擁護 されて きたが,工学の ような応用領域の学界にはほ とん ど関係 が な く,工学 は この借 り物 の権威 を切 り離す ことに よ り,失 うもの よ り得 るもののほ うがはる かに大 きい として, D. Eng. に期待 を寄せ ている。
③ Engi nee r
わが国にはこれに相 当す る学位 は無いが, 「技師」 と訳 されている 2) 。ノースカロライナ州立 大学の Engi ne e r ,ユ タ大学 の El ec t r i calEngi ne e r な どであ るが,詳細は第 3 章 のそれぞれの 大学の項で述べ る。
ア メ リカ工業教育協会 目標委貞合 は 1 96 8 年 の最終報告 8) において, 修士お よび博士各 レベ ルの 中間に位す る学位 として Engi nee r の学位 を挙 げている。それに よる と, まず,過去 において, この種 の名称 をつ けた学位が あ り, 5 年程度の経験 を有 し, 自身の仕事 に関す る論文 を提 出 し た実務 技術者 に授与 されていたこ とがあ るが, これは在学 を要件 としない学位 で,大学 院にお け る学習は含 まれていない。 この学位 は,専 門職界 と学術界の双方か らの勧告 に よって, 当時 すでに実質的に解消 していた とい う。そこで,当委貞会 は,専 門職学位 の改訂 に大 きな努力 を 払 い,工学の分野 では,第 1 専 門職学位 が学士 レベ ルか ら修士 レベ ルに移動す る傾 向にあ るこ
とを指摘 して, Engi nee r とい う大学 院 レベ ルの中間学位 を十分 に活用す るこ とを推奨 している。
この Engi nee r 学位 の課程 は,修士 お よび博士 レベルの学 問学位 と同 じ課程 に沿 っているこ とも あ り,一方 では,別個の学位課程 として Ph. D. の学位 にはつ なが らないこ ともある。
Spur r 3) に よれば,ミシガン大学におけ る Engi nee r の学位 の評価 では,各学科 ごとの基準にか な りの差異があ り,い くつかの学科 は Ph. D. の取得 に失敗 した学生に この学位 を残念賞 として授 与 しているのに対 して,大部分 の学科 は この学位 を設計 を指 向 した ま ともな 6 年 間学位 として 取 り扱 っている。 さらに, 1 つの学科 は, Engi ne e r の学位 を事実上 は Ph. D. と同様に時間 と努 力 を要求す るもの として学生 を落胆 させ てい るとい う。 この学位 につ いては, 同一の学科 を基 礎 に置 きなが ら,大学 院か ら Ph. D. を,そ して専 門職学位 を授与す るプ ロフェ ッシ ョナル ・ス ク ールか ら Engi ne e r を, B. S. と Ph. D. の中間において与 えるだけでは, これ ら 2 つの学位 は序列 になって しまい,学術的学位 と専 門職学位 との特色 をそれぞれ発揮す るには至 っていないので はないか とい うこ とが懸念 されている 13) 0
‑ 1 0‑
Tabl el 学位 に付記 す る主専攻 ( 専攻分野) と略号 主専攻 ( 専攻分野)
Ae r E AgE AE BE BAE BME B M E‑ e mph Ce r E ChE CE ConE ConMg Con‑ opt CpE CpS EE E E Ch‑ opt EMg EMe c EO EPhy ESci EnRe s EnvE Fue E FMf Mg‑ opt Ge n‑ Opt GeoE I E I nMf SyE Mf SyE MSE Met E Met ME Mi nE
Ae r os paceEngl neer l ng Agr l ● Cul t ur alEngl nee r i ng Ar c hi t ect ur alEngi ne er i ng Bi oe ngl nee r l ng
Bi ol ogi calandAgr i c ul t ur alEngl neer l ■ ng Bi ome di calEngi ne er i ng
wi t hanemphas i sonBi omedi calEngi neer i ng Cer ami cEngi nee r i ng
Chemi calEngi neer i ng Ci vi lEngi nee r i ng
Cons t r uc t i onEngi nee r i ng Cons t r uct i onManageme nt Cons t r uct i onOpt i on Comput erEngi ne er i ng Comput e rSci ence El e c t r i calEngl ● neer l ng Engl ne er l ng
Engi ne er i ngChemi s t r yOpt i on Engl ne er l ngManage ment
● ●
Engl nee r l ngMe chani c s Engi nee r i ngOpe r at i ons Engl nee r l ngPhys I CS Engi nee r i ngSci ence Ene r gyRes our c es
Envi r onment alEngl ● neer i ng FuelEngl ne er i ng
Fur ni t ur eManuf act ur i ngandManagementOpt i on Ge ner alOpt i on
Geol ogi calEngi nee r i ng I ndus t r i alEngl nee r i ng
I nt egr at edManuf act ur i ngSys t emsEngl ■ neer i ng Manuf ac t ur i ngSys t e msEngi neer i ng
Mat er i al sSci enc eandEngi neer i ng Met al l ur gi calEngi ne er l ng
Met al l ur gy
Me chani calEngl neer i ng
Mi ni ngEngi ne er i ng
主専攻 ( 専攻分 野 ) NucE
Oc e E OR Pe t E PW TE
Nuc l earEngi ne e r i ng Oc eanEngi ne e r i ng Ope r at i onsRe s ear c h Pe t r ol e um Engi ne er i ng Publ i cWor ks
Te xt i l eEngi ne e r l ng 例 示
M. S. ChE∴Mas t e rofSci enc ei nChe mi calEngi ne er i ng
M. S. MSE. :Mas t e rofSci e nc ei nMat e r i al sSc i e nceandEngi ne e r i ng M. MSE. :Mas t e ro fMat e r i al sSci e nc ea ndEngi ne e r i ng
M . I E. :Mas t e rofI ndus t r i alEngi ne e r i ng M. E∴Mas t e ro fEngi ne e r i ng
M. S. ES.:Mas t e rofSci e ncei nEngi nee r i ngSci e nce
M. Phi l . , Ph. D. , その他 Doc t or につ いては.専 門分野 を付 記 しないC
3 .諸大学 におけ る工学系学位 の事例
本章 では,著者が訪 問 したい くつかの大学 を主な対象 として,工学系学位 の種類 を専攻分野 と授与す る学科 な どで分類 して表示 し,共通性 を整理 した り, 当該大学 に とって特有の事例 を 挙 げて説明 を加 える 。 と くに, わが国におけ る大学 院重点化 お よび国際化 の趨勢 を考慮 して, 学位 の種類 の 多い修士 レベ ル を中心 とした上級学位 を取 り扱 うこ とにす る。学部学位 と博士 レ ベ ルの学位 につ いては,特記すべ き事項 を除 き,詳細 は省略す る。
3. 1 南 フロ リダ大学
南 フロ リダ大学 ( Uni ver s i t y ofSout hFl or i da) は 1 95 6 年 に創立 されたフ ロ リダ州立の大 学 で,設立 当初 は単一 キャンパスで学部教育 のみ を行 っていたが,現在 では 5 つの キャンパス に,l o挙部,3 5, 00 0 名の学生 を擁す るフロ リダ州立第 2 の総合大学 であ る 。 主 キャンパスはタ ンパ ( Tampa) 市のダウンタウンの北東約 1 0 マ イルの所 にあ り,広大 な面積 を占めている。
南 フロ リダ大学 には,基礎 お よび応用の両面に対応 して種 々の学位課程 があ り,現在,学士 レベ ルで 7 7 ,修士 レベ ルで 8 7 ,そ して Doct orofMedi ci ne( M . D. ) を含む博士 レベ ルで 2 2 種 類 に も及ぶ学位 を授与 している。授与す る学位 は次の 4 種,す なわち( i ) 学部学位, (i i) 大学 院学位, ( i i i ) 上級大学 院学位,お よび ( i v) 専 門職学位 に分類 されてい る。工学系 では,工学 部 ( Col l egeofEngi neer i ng) に属す る,化学工学 ( Chemi calEngi neer i ng) ,土木工学 ・力学 ( Ci vi lEngi neer i ngandMechani cs) ,コンピュー ター科学 ・工学 ( Comput erSci enceand Engi neer i ng) ,電気工学 ( El ect r i calEngi nee r i ng) ,工業 ・経営 システム工学 ( I ndus t r i al andManagementSys t em Engi neer i ng) ,お よび機械工学 ( Mechani calEngi neer i ng) の
6 学科が Tabl e2 に示す学位 を授与 している 14 ) 15) a
‑ 1 2‑
Tabl e2 南フロリダ大学が授与する工学系の学位
主専攻 学位 を授与す る学科等 学位の種類
化学工学( 生物工学コースを含む) 化学工学科 B. S. ChE. , M. S. Ch E. , M. ChE. , Ph. D.
土木工学 土木工学 .力学科 B. S. CE. .M. S. CE. , M. CE. .M. E. .Ph. D.
コンピューター工学 コンピューター科学 .工学科 B. S. Cp E. , M. S. Cp E. , M. E. , Ph. D.
コンピューター科学 コンピューター科学 . 工学科 B. S. CpS. , M. S. CpS. , M. E. .Ph. D.
電気工学 電気工学科 B. S. EE. , M. S. EE. , M. EE. , M. E. , Ph. D.
工学 各学科 B. S. E. , M. S. E.
工業経営学 工業 .経営システム工学科 M. S. EMg.
エンジニアリング.サイエンス 各学科 B. S. ES. , M. S. ES. , Ph. D.
生産工学 工業 .経営システム工学科 B. S. I E. .M. S. I E. , M . I E. , M. E. , Ph. D,
南 フ ロ リダ大学工学部 は, 工学 と応用科学 の分野 で大学院課程 を提供 してお り,とくに Mas t e r の学位 の種類 は他 の大学 に比 して 多い と思 われ る。 また, エ ンジニア リング ・サ イエ ンスにか な り重点 を置 いてい るよ うで, Mas t e r も Ph. D. も ともに この主専攻 を指定 した学位 を 1 つの種 類 として分類 して い る。 い くつか の特徴 を以下 に述べ る。
( 1) Mas t er の学位 の種 類
Ma s t e r の学位 は専 門の 1分野で学士 の学位以上の高度 な研究 を行 った者に授与 される。 Mas t e r の学位 を 目標 にす る課程 は工学指 向 ( Engi ne er i ng‑ or i e nt ed) 型 とエ ンジニ ア リング ・サ イエ ンス ( Engi nee r i ngSci ence) 型 に分 け られ,各学科 は学生 の学歴 と学 習 した特 定 の課程 に よ
り,授与す る学位 を決定す るo
① Mas t e rofSci e ncei nDes i gnat edEngi ne er i ngFi el d
この学位 は,工学指 向型 の学位 の 1つ で,一般 に,指示 された工学 の分 野 で Bac he l or の学位 を保持 し,論文課程 を履修 した Mas t e r コー スの修 了者 に授与 され る。 Mas t erofSci e nc ei n Chemi calEngi ne er i ng ( M. S. ChE. ) な どであ る。
② Mas t e rofSci e nc ei nEngi ne er i ngSci e nce( M. S. ES. )
この学位 は,文字 どお りエ ンジニア リング ・サ イエ ンス型 であ り,工学 とその他 の学 問領域 の間の境 界,す なわち学際的分 野 におけ る研 究成果 に結 びつ くもの であ る。 この学位 課程 には, 工学 原理 とそれ を物理科学,生命科学,社会科学,環境科学,応用数学, お よび生物工学の よ
うな種 々の分 野に応用 した もの とを組 み合 わせ た ものが含 まれ,厳密 な科 学 的お よび工学的な
原理 と実 際の面 で,基礎 をしっか りと身につ け るこ とが期待 され る。工学部 の い くつ かの学科
や他 の学部 との協 力 で授与 され,一般 に,論文課程 の修 了に対 して授与 され る。工学部 の各学
科 は,学生のニー ズに個 々に合 わせ て,この M. S. ES. の学位 を授与す る権 限が認め られてい る 。
③ Mas t e rofSci e nc ei nEngi nee r i ng ( M. S. E. )
この学位 は,工学指 向型の学位 の 1 つ で,一般 に,工学の分野で学部学位 を保持す るか, あ るいは工学以外の課程 で受 けた Bac hel or の学位 を保持 し,規定 された一連の学部工学 コース を 終 えた Mas t e r コースの修 了者 に授与 され る。論文課程 である。この M. S. E. の学位 につ いて も, 学生のニー ズに個 々に合 わせ て,授与す る権 限が工学部の各学科 に認め られている。関係学科 の この学位へ の対応 は次の とお りであ る。
(i) 土木工学 ・力学科 では, ABET ( Ac c r edi t at i on Boar d f or Engi nee r i ng and Tec hnol ogy) が認定 した土木工学 の学士 の学位 を保持 しない学生 に授与す るが,詳細は後に述 べ る
(i i) 機械工学科では, 地元産業のフルタイムの従業月 で ; 主 として FEEDS( Fl or i daEngi nee r i ng Educat i onDel i ve r ySys t em) ネ ッ トワー クを通 して授業科 目を履修 した者に授与す る。 FEEDS
につ いては第 4 章 で述べ る。
( i i i ) 化学工学科, コンピュー ター科学 ・工学科,電気工学科,機械工学科,工業 ・経営 シ ステム工学科 では,共通必修 (コア)1 8 単位,選択1 8 単位 で M. S.i n Engi ne e r i ng wi t h a Manuf act ur i ngSys t e m Opt i on を授与 している。この学位 の管理 は工業 ・経営 システム工学 科が行 ってお り, ロボ ッ ト工学, オー トメー シ ョン, CAD , CI M ( Comput e r l nt e gr at ed Manuf ac t ur i ng) ,制御 システム,ソフ トウエア ・システム,‑‑ ドウエア ・システム,および 製造 システムに重 点 を置 いた分 野 におけ る真 の意味 での学 際的学位 であ る。共通必修 (コア ) 授業科 目を履修 した学生 は,上記の うちの 1 つの学科 で選択授業科 目を選 び, その学習に専念 す ることがで きる。あるいはい くつかの学科か ら選択科 目を選ぶ こ とに よ り,上記の重点分野 の 1 つで徹底的な知識 を習得す るように選択す るこ とが で きるO
④ Mas t e rofDes i gnat edDi s ci pl i ne
この学位 は,一般 に,主専攻分野 で学部学位 を保持 し,全教科学習課程 を履修 した者に授与 され る。 Mas t e rofChe mi calEngi ne er i ng( M. ChE. ) な ど, コンピュー ター科学 ・工学科 以外の学科 で授与 している 。
⑤ Mas t erofEngi ne e r i ng ( M. E. )
この学位 は,一般 に,工学の分野の学部学位 を保持す るか, あ るいは規定 された一連の学部 工学 コー ス を終 えてお り,全教科学習課程 を終 えた Mas t e r コースの修 了者に授与 され る。土木 工学 ・力学科 におけ る具体例 を次項に述べ るo
( 2 ) 同一学科が授与す る種 々の Mas t e r の学位 間の相違
南 フロ リダ大学工学部 には,前述 の とお り 5 種類 の修士 レベ ルの学位 があ る。学部 内のすべ ての学科が複数 の学位 に係 わ り,課程,学生の学歴,修得単位 な どに よ り,要件 に従 った学位 を授与 している。そこで,土木工学 ・力学科 が授与 を担 当す る学位 を例 に,取得要件 の違 い を 説明す る。
‑ 1 4‑
① M. S. CE. お よび M. S. E.
土木工学 ・力学科 では Mas t e ro fSc i e nc ei nCi vi lEngi ne e r i ng( M. S. CE. ) お よび Ma s t e r o fSc i e nc ei nEngi ne e r i ng( M. S. E. ) . を研究指向の学位 に位 置づ けてお り,この課程 の修 了 要件は次の とお りであ るO
(i) 最低
24単位 の授業科 目履修 と
6単位 の学位論文, あるいは最低
27単位 の授業科 目履修 と 3 単位 の工学 プロジェ ク トが必要 である。
(i i) ABET が認定 した課程か ら土木工学の学士の学位 を受 けた学生 は M. S. CE. を取得 で き るO
( i i i ) ABET が認定 した土木工学の学士の学位 を保持 しない学生は M. S. E. の学位 を取得す るo M. S. CE. お よび M. S. E. 両学位課程 におけ る論文研究 またはプロジェ ク トの 目的は,工学に関 係 し,工学専 門職 に とって興味 ある課題の研究分野につ いて,学生が問題点 を明 らか に し,忠 入 りに調査 し,評価 し, そ して報告書 を作成す る能力 を学生に教授す るこ とにあ る。
@ M. CE.
土木工学 ・力学科が授与す る Ma s t e ro fCi vi lEngi ne e r i ng( M. CE. ) の学位 は,土木工学 の専 門職実務指 向の学位 で,希望す る学生が 自由に選択 で きる。 M. CE. はデザ インや工学実務 の非技術的観点の両方 を強調す るもので, M. S. CE. お よび M. S. E. との要件 の違 いは次の とお り である。
(i) デザ イン科 目で最低 1 8 単位 の履修が必要 であ る。
(i i) 経営学,管理学,公共政策,科学技術 コ ミュニケー シ ョン, お よび環境学の ような専 門職実務 に関連す る非工学分野におけ る学習が必要 である。
( i i i ) プロフェ ッシ ョナル ・エ ンジニア ( P. E. ) 登録 のための第 1段 階 としての FE 試験に関 与す る ( 第 4 章参照 ) 0
( i v) M. CE. の学位 を受 け る前に最低 6 か 月の就業経験 または研修期 間が必要 であ る 。 就業 経験の要件 を満 たす ために,土木工学 ・力学科 はア メ リカ土木学会 のフロ リダ支部 との協力で, 適 当な職 を指定 して学生 を援助す るこ ともある。 この職業研修 の要件 を満 たすのは,学 内の要 件 を終了す る前で も途 中で も, あ るいはその後で も良い。
@ M. E.
Ma s t e rofEngi ne e r i ng( M. E. ) の学位 は,学生が授業科 目履修 のみに よって取得 で きる上 級学位 であ る。最低 の科 E l 履修 の要件 は 3 3 単位であるo この学位 は,学位 の要件が達成 され る 前に少な くとも2 年 の土木工学 関連の就業経験 をもつ学生のために企図 された ものであ るC就 業経験には工学的報告書 の準備 を含む。 この学位 は,就業義務 のためにプ ロジェク トや学位論 文研究 を行 うこ とが困難 と思 われ るパー トタイムの学生 に勧め られ る。土木工学 ・力学科 の大 学 院授業科 目のすべ ては,週 日の夜 間に開講 され るので,パー トタイムや FEEDS の学生が大学
院学位 を取得す るこ とを可能 に してい る。
( 3) Doc t or の学位 の種類
Doc t orofPhi l os ophy( Ph. D. ) の学位 は,独創 的,かつ重要 な研 究 を行 い,報告す る適性 と能 力 を学術 的に実証 した こ とを認め た場合 に授与 され るO学士や修士 レベ ルの学位 とは異な り, Ph. D. の学位 は大学 院在学期 間にわた るコー ス単位 の累積 だけに よっては取得 す るこ とが で きない。適性 を得 るため の適切 な基礎 とな る準備 の後,学生 は選択 した工学 の分 野にお いて信 頼 で きる研 究 を達 成 し,著作論文 を完結 して,研 究能 力 を実証 しなければな らないb学位論文 は,学生 が論理 的 に判 断す る能 力,重要 で独創 的な研 究 に従事 す る素 質, そ して専 門家 として のや り方 で結論 をま とめて発表す る能 力 をもつ こ とを立証 しなければな らない。 この よ うな条 件 は南 フ ロ リダ大学 に限 る ものではない。
先述の とお り,エ ンジニア リング ・サ イエ ンス重視 は同大学 の特徴 の 1 つ と思 われ, Ph. D. の 学位 は次の よ うに分類 され る。
① Doc t orofPhi l os ophyi nDe s i gnat e dEngi nee r i ngFi el dDe gr e e
この学位 は,化学工学,土木工学, コンピュー ター科学 ・工学,電気工学,生産工学, な ら びに機械工学 とい う工学分 野 の 1 つ で課程 を学修 して い る学生 に授 与 され る D この学位 を取得 す る学生 は,指示 された分 野 で十分 な基礎 を実証 しなければな らない。
② Doc t orofPhi l os ophyi nEngi nee r i ngSci e nc eDegr ee
この学位課程 は,工学 に密接 に関連 した学 際的専 門領域 で博士 レベ ルの学修 を 目指 した研究 に従事 しよ うとす る学生 のニー ズに応 えて企 図 された もの であ る。一般 に, この課程 の学生は 科学 の 1 領域 と工学 の 1 領域 とい う 2 つ の学 問分野 で熟達 す るこ とが期待 され るo Lたが って,
この課程 は 2 つ の学科 が共 同 して運営 し,学生 の学 習,試験, な らびに学位論文研 究 を協 力 し て監督す る。
3.2 マイア ミ大学
マ イア ミ大学 ( Uni ver s i t yofMi ami ) は 1 9 2 5 年 に創 立 された私 立大学 であ る。フ ロ リダ州 南端 の コラル ・ゲ‑ ブル ( Cor alGabl es) 市 に所在す る。大学 院,建築学部,学芸 ・科学学部, 経営学部, コ ミュニ ケー シ ョン学部,継続教育学部,教育 ・同系専 門職学部,工学部,大学 院 冨際研究科 , 医学部,海洋 ・大気 圏学部,音楽学部,看護学部, お よび法学部 の 1 4 の学部 か ら 構 成 されてい る。
マ イア ミ大学 が授与す る工学系 の学位 を Tabl e 3 に示す 16 ) 17) 0 Tabl e3 マイア ミ大学が授与する工学系の学位
主専攻
学位 を授与す る学科等 学位の種類
生物工学 生物工学科 M. S. BE. , Ph. D.
土木工学 土木 .建築工学科 B. S. CE り M. S. CE. , Ph. D. , D. A.
建築工学 土木 .建築工学科 B. S. AE. , M. S. AE. , Ph. D.
ー 1 6‑
主専攻
学 位 を授 与 す る学科 等 学 位 の種 類電気工学(コンピュー ター工学課程 ) 電気 .コンピューター工学科
B. S. Cp E.
,M. S. Cp E.
,Ph. D. ( ECp E)
エ ンジニア リングサ イエ ンス(一般 ) 工学部,学芸 .科学学部
B. S. ES. ( Ge n‑ o p t )
エンジニア1レ グサ イエンス(工業化学 ) 工学部,学芸 .科学学部
B. S. ES. ( ECho p t )
エンジニアリング.サイエンス(生物工学 ) 工学部,医学部
B. S. ES. ( BME‑ e mp h) +M. D.
生産工学 生産工学科
B. S. Ⅰ E.
,M. S. Ⅰ E.
,Ph. D. ( Er go no mi c s )
機械工学 機械工学科
B. S. ME.
,M. S. ME.
,Ph. D.
,D. A.
マ イア ミ大学の工学部 ( Col l e geofEngi ne e r i ng) は1 947 年 に設立 され,亜熱帯地域 におけ る活力あ る都市成長 とい う特徴 を活か した課程 を工学部 内に展 開 して きている。工学部 には, 土木 ・建築工学 ( Ci vi landAr c hi t ec t ur alEngi nee r i ng) ,電気 ・コンピュー ター工学,生産 工学 ( Ⅰ ndus t r i alEngi neer i ng) ,機械工学 ( Mechani calEngi ne er i ng) ,海洋工学 ( Ocean Engi nee r i ng) の 5 学科 があ り,建築工学,土木工学,電気工学,エ ンジニア リング ・サ イエ ン
ス,生産工学,お よび機械工学の分野において,学位取得 に至 るカ リキュラム を単独 で提供 し ている。学生が学際分 野,学科 内の専 門化 した分 野, そ して全 く異な る 2 分野で学修す るこ と は,選択課程や 同時 2 学位課程 に よって可能 である。 コンピュー ター工学課程 は電気 ・コンピ ュー ター工学科 が, また, コンピュー ター支援製造課程 ( Comput erAi de dManuf act ur i ng pr ogr am) は生産工学科が それぞれ提供 している。生物工学 と海洋工学 の課程 は,他学部 との 共 同で担 当 してい る。なお,建築工学,土木工学,電気工学,生産工学,お よび機械工学の各 課程 は, ABET の認定 を受 けてい る。
大学 院課程 は,伝統的分 野 と学 際分野の両方 を学修 して学位 を取得 で きるよ うになっている。
M. S. の学位課程 には,生物工学,土木工学, コ ミュニケー シ ョン ・宣伝,電気 ・コンピュー タ ー工学,工業経営学,環境工学,生産工学,機械工学,海洋工学,構造工学,輸送工学,な ら びに熟 ・流体科学 の専 門化 した各分野が含 まれている。
Ph. D. の学位 は,生物工学,土木工学,電気 ・コンピュー ター工学,お よび機械工学 で授与 し てお り,これ らの分野に興味のあ る学生は,海洋工学 で副重点分野 をとるこ とがで きる。 Ph. D.
課程 には,学科 間に またが る大学 院学修 が可能 であ り,十分 に資格 のある学生が,学際間 を横 断 した特権的 で個性 を活か した課程 で学ぶ こ とを認めてい る。
マ イア ミ大学の工学系学位 に関 して,特徴 のあ る問題点 を以下 に述べ るO
( 1 ) エ ンジニア リング ・サ イエ ンス専攻
ア メ リカには純粋科学 と応用科学の間の ギャップ を埋め るため,エ ンジニア リング ・サイエ ンスの上級学位 を授与す る大学が 多いが,マ イア ミ大学 では学部学位課程 に この専攻 を設けて
‑ 1 7‑
いる上,化学系の選択があ り,また別 に述べ る B. SノM. D. 6 年課程 に参画 してい るとい う特色が ある。
学部のカ リキュラムは,数学,物理学,お よび化学 において十分 な基礎学力 とオ能 に よって 支 え られ るエ ンジニア リング ・サ イエ ンスにおいて,学生が しっか りとした基盤 を築 くように 展 開 されている。加 えて,各学生は,建築,土木,生物,電気,生産, あ るいは機械 の各工学 分野の少 な くとも 1 つ, あるいは数学,物理学, または化学 におけ る専 門化 した 1 領域 を選ぶ こ とがで きる。基礎科学 と応用科学 の両方 で十分に基礎 を身につけ るこ とに よ り,学生 は,辛 業 に際 して,学生が専 門化 した分野におけ る責任 を負い, また,大学 院学修 を通 して学生の職 業上 の展開 を続け るこ とに十分備 えるもの と考 え られ る。
B. S. ES. の学位 を取得す るための カ リキュラムは,次の 2 選択 に分 け られ る。
(i) 一般選択 :数学,物理学,お よび化学,な らびにそれ らの周辺 として材料工学,流体 力学,電気 回路,電磁放射 な どの授業科 目を履修す る。
(i i) 工業化学選択 :ア メ リカ化学会 の承 認 を受 けた専 門職化学課程 であ り,主 として工業 化学系の授業科 目を履修す る。学芸 ・科学学部 で も選択が可能 である0
そのほか,エ ンジニア リング ・サ イエ ンス課程 の授業科 目系列 に,指定 された生物学の 2 科 目を加 える と,基本的な医学部進学 ( pr e me di c a l ) の要件 が満 た され る。さ らに遺伝学 とか生 化学 のような特定 の科 目は, い くつかの医学部 で入学 に必要 にな るこ ともある。
( 2 ) 生物工学専攻
生物工学 ( Bi o me di c a lEngi ne e r i n g) は,工学 を生命科学 と生態系に応用 した分野 として, 人工器官 ・肢,生物 医学計測,医学研究 ・診断におけ るコンピュー ターの使用,臨床工学,心 臓血管,流動系, な らびに呼吸系研究 な ど,広 い専 門領域 を包含 している。
学部段 階において,生物工学 は土木工学科,電気 ・コンピュー ター工学科,お よび機械工学 科 で選択 で きる。この よ うな選択 は,学生が ( a) 生物工学 におけ る専 門職業務,
(b)医学部への入 学, な らびに ( C ) 大学 院生物工学専攻へ の入学 な どの準備 に役立て るこ とがで きる。 この課程 は, 工学系学生 を医学分野に結びつけて,学生が生命科学者お よび臨床 医 と通 じ合 った り, その人 達 の問題 を理解 で きるよ うに,独特 な形に構成 された統一医科学授業科 目を提供 してい る。
本課程 の学生は, さらに,都市構造,都市計画,輸送,事故 防止,大気 ・水汚染,海洋生物 学, な らびに水中船 お よび宇宙船 の生命維持 システムな どの生命工学 的観点において雇用の機 会 に関心 をもち,挑戦す るこ とがで きる。 したが って,学修 中で も,工学部 と医学部におけ る 学際的研究プ ロジェク トでパー トタイム就労 の機会があ る。
工学部は生物工学 で 2 つの主専攻 を提供 している。 この 2 主専攻 を達成す るためには,学生 は,並行 して,基礎工学課程 の 1 つ におけ る主専攻,生物工学の専 門科 目として指定 された 8 科 目の中か ら,必修科 目履修 1 2 単位 と選択科 目履修 1 2 単位 を含めて, プラス科 目 2 4 単位 を修得
しなければな らない。なお, この全2 4 単位 の うち,少な くとも1 2 単位 は学部 4 年 またはそれ以 上の レベ ルの授業科 目でなければな らない。
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生物工学 コースは, それぞれ所属す る学科の承認にあた り,数学,物理学,および化学 の素 養 をもつ学生 に開かれている。
大学 院におけ る生物工学課程 も医学部 と協力 して, ( a) 生物 医学機器計装 と人工器官,
(b)診 断 問題お よび病 院情報 システムへ の コンピュー ターの応用, ( C) 病 人看護 と健康保健交付におけ る 問題に応用 した生理学的 システム解析 に応用 され る工学原理,
(d)臨床工学, な らびに ( e ) 自動化 した細胞学 と細胞分析 とい う 5 つの基礎 的分野 を取 り扱 っている。この分野では M. S. と Ph. D. の 学位が授与 され るが, Ph. D. を取得す るに当たっては,少な くとも 1 5 単位 は生物医学的な もので はな く,工学部の学科 におけ る大学院履修 でなければな らない。
( 3) 海洋工学専攻
海洋工学 ( OceanEngi nee r i ng) の学位 を授与す るのは,マ イア ミ大学 の位置か らいって当 然のことではあるが, 1 つの大 きな特色 である。 すべ て工学部が海洋 ・大気圏科学部 ( Ros e ns t i el Sc hoolofMar i neandAt mos phe r i cSci e nce) と協 力 している。生物工学専攻 と類似点が
多い。海洋工学 で 2 つ の主専攻 を得 るには,学生は生物工学 と同様 な科 目履修 が求め られてい る。そのほか,学部における海洋工学選択が土木 ・建築工学科,電気 ・コンピュー ター工学科, お よび機械工学科 で提供 されてお り,産業 界で働 くために海洋環境 を十分 に理解 し, あるいは 大学院で海洋工学課程 を学習 しようとす る学生が選択 で きるように計画 されている。大学院で は,海洋工学 におけ る M. S. 学位 のため には,大学 院 レベ ルの学修 で平均成績 ' ' B' ' またはそれ以 上 で最低 3 0 単位が必要 である。 この 3 0 単位 は, 2 4 単位 の授業科 目履修 と 6 単位の論文研究に分 け られ る。 要求 され る単位 の うち少な くとも 9 単位 は 6 0 0 番台の大学 院授業科 目でなければな ら ない。
( 4 ) Mas t e r の学位 の取得要件
マ イア ミ大学の大学 院学生は,主専攻分野 または重点分野 で大学 院 レベ ル ( 5 0 0 番 台 またはそ れ以上 )の授業科 目履修が必要 であ る。 しか しなが ら,主専攻の学科 または主重点課程が承認 し, 5 0 0 番台以下の科 目につ いては, ( a) 全大学院授業科 目が 2 4‑3 0 単位 な らば最大 3 単位 まで, お よび ( b) 全大学院授業科 目位が31 単位以上 な らば 6 単位 まで, とい う限度が守 られ るな らば, 学生は どの ような レベ ルの科 目で も,主専攻の必修 ではな く選択単位 として修得 で きる。マ イ ア ミ大学 におけ る修士 レベ ルの工学系学位 は,例 えば南 フロ リダ大学 の よ うに種 々の タイプの Mas t er の学位が用意 されているのではな く,各主専攻の Mas t e rofSc i e nce のみである。しか
しなが ら,学位論文の有無に よって取得要件 が次の ように異な る。
① 論文選択の場合
(i) 平均成績評価 " B" またはそれ以上 で,承認 された統合 プ ログラムで " C" 以下が無い 最低 3 0 単位 が必要 である 。
(i i) 少な くとも 9 単位は大学 院授業科 目の 6 0 0 番台でなければな らない0 ( i i i) 必要 な 3 0 単位 の うち 6 単位 は論文作成で修得 しなければな らない。
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( i v) 論文防衛 ( de f e ns e) におけ る口頭試問。
② 非論文選択 の場合
(i) 平均成績評価 " B" またはそれ以上 で,承認 された統合 プ ログラムで " C" 以下が無い 最低3 6 単位が必要 である。 M. S.i nEngi nee r i ngManage me nt の場合 は,少な くとも1 8 単位 は主専攻 と重点関連工学分野 で修得 しなければな らない。また,少 な くとも1 2 単位 は経営学で 承認 された科 目の中か ら修得 しなければな らない。
(i i) 少な くとも1 2 教科単位 は600 番台でなければな らない。
( i i i ) 大学 院学修 の最低1 8 単位修得後, 口頭試問 または筆記総合試験, あ るいは両方に合格 す るこ とが必要 である。
( 5 ) Doc t or の学位 の取得要件
マ イア ミ大学の工学部が授与す る博士 レベ ルの学位 には 2 種類 あ るので, それぞれの取得要 件 を述べ る。
① Doc t orofPhi l os ophy ( Ph. D. )
36 科 目単位 が最低 の要件 であ り,全単位 の半数以上 は大学 院学生 のため に開講 された科 目で なければな らない。少な くとも 24 単位 は,マ イア ミ大学 に在学 して修得す る必要があ る 。
授業科 目とセ ミナーか ら少な くとも 24 単位 は, M. S. 学位 の要件以後に取得 しなければな らな い。適切 な外国語の読解力, あるいは余分の " 研究手段 ( r e s ear c ht ool ) " 科 目履修 3 単位取 得が必要 であ る。 Ph. D. 学位取得候補者 は,総合 資格試験の準備 で,学修 の適切 な統合 プログラ ム を終 えるこ とが期待 され る。その よ うな準備 は,ふつ う,学士 の学位取得後 2 学年 が必要 で ある。資格 試験の後 2 , 3 年 は,ふつ う,受理可能 な論文 の完成のために必要 であろ う。その後, 最終 口頭試問が許 され る。
② Doc t orofAr t s( D. A. )
Doc t orofAr t s の学位課程 は, Ph. D. の学位課程 と同 じ力量の学生のために企 図された もの であ る。 しか しなが ら,高等研究におけ るよ りもカレッジ教職 に よ り興 味のあ る学生 に向けた ものである。学士 レベ ルの学位取得後, 78 単位が必要 で, その うち少 な くとも 48 単位 は主専攻 または同系列分野,1 2 単位 は高等教育, そ して 9 単位 は研修お よびプ ロジェ ク トでなければな
らない。 ●
( 6) 工学部が授与す る D. A. の学位
マ イア ミ大学 では,博士 レベルの学位 として Ph. D. のほかに,工学部 であ りなが ら 2 つの学科 が次の ように Doc t orofAr t s( D. A. ) の学位 を授与 している。この こ とは,わが国の学位 につ いての感覚か らはやや 異様 であ る。
( ∋ 土木 ・建築工学科 の D. A. 課程
この課程 は,高等研究 を必要 としない教職 に従事 しよ うとす る学生のために設け られた もの で,学士の学位取得後, 78 単位が必要 である。 この うち 48 単位 は主専攻か 同系統,1 2 単位 は高
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等教育, そ して 9 単位 は研修 とプ ロジェ ク トの各分 野 でなければな らないO ( 診 機械工学科 の D. A. 課程
この課程 は 2 年制 または 4 年制 の カレッジ,大学 な どで学部 の工学教員職 を目指す学生のた めに設け られた ものである。 D. A. 課程 は,組織に違 いが あ り,広範囲にわた る内容 の分野にお け る教職能力 を育成 を指 向 とす るこ とを重要視 しなか らも, Ph. D. 課程 と並行 している。学習課 程 は, ( a ) Ph. D. と同 じレベ ルで重点分野の学習,
(b)専 門職教育 に関連す る分野の学習,
(C)専 門的 研 究, ( d) 学部教職研修,お よび ( e ) 試験 よ り構成 されているO
3.3 アイオ ワ州立大学
アイオワ州立大学 ( i owaSt at eUni ve r s i t y) は,ア イオワ州 の州都 デモイン ( DesMoi ne s) の北, 約3 0 マ イルの′ トさを町エイムズ ( Ames) に所在す る0 1 85 8 年に I owaAgr i c ul t ur alCol l e ge andModelFar m として設立 され,1 86 4 年 には合衆 国最初 の無償 払 い下 げ用地 カレッジとなっ た0第 1 回の学位記授与式は1 872 年 に行 われ,2 6 名が卒業 した。大学 院教育 もほ とん ど同時に 始 ま り,最初 の大学 院学位 は1 877 年 に授与 されたが,大学 院が公式に組織化 されたのは1 91 3 年 で,1 91 6 年 に Ph. D. の学位 を初めて授与 した。教育 ・研究の分 野は,農学か ら,獣 医学,家政学, 理工学‑ と広が り ,1 898 年 には I owaSt at eCol l e geofAgr i c ul t ur eandMe chani cAr t s と 改称 し,さらに, 1 959 年 には現在の I owaSt at eUni ver s i t yofSci e nc eandTe c hnol ogy と なったDなお,世 界最初の電子計算機 は,発明者が ジ ョン ・ Ⅴ・ ア タナ ソフ ( John Vi nc ent At anas of f ) 博士 であるこ とが1 973 年 になって裁判 で認め られたが,これは同博士がアイオワ州 立大学物理学教室在任 中,1 937 年か ら1 941 年 の間に製作 したのであ る。
第 2 次世 界大戦 中,アイオワ州立大学 はマ ン‑ ッタン計画に参画 し,エ イム ズ研究所 ( Ame s Labor at or y) を中心 に,純 ウラン金属製造法 を開発 した。1 942 年 1 2 月 2日,シカゴ大学 スタ ッ
グフ ィール ドでエ ン 1 )コ ・フェル ミ ( Enr i coFe r mi ) の指導 で行 われた世 界で初めての連鎖反 応実験 において,使用 されたウランの大部分 はエ イム ズ研究所 で製造 された ものである 。 以後 約3 0 年の間, エイムズ研究所はアメ リカ合衆国原子力委員会 ( U. S. At omi cEner gyCommi s s i on) か ら指名 された主要研究施 設の 1 つ として, ウランに続 く トリウムな ど核燃料, さらに希土類 元素の製造や諸性質の研究 を活発 に行 ったO現在 では,エネル ギー省 ( DOE) の委託 を受けて, アイオワ州立大学が運営 している国立研究所 の 1 つになってい るD
アイオワ州立大学 は,農学,家政学,お よび理工学の分野 で大 き く発展 した大学 で,現在 で は毎年約 4, 500 名 に各種学位 を授与 してい る。工学部 ( Col l egeofEngi ne er i ng) は,航空亭 宙工学 ( Aer os paceEngi nee r i ng) , 農業 ・バイオシステム工学 ( Agr i cul t ur alandBi os ys t e m Engi nee r i ng) ,化学工学,土木 ・建 設工学 ( Ci vi landCons t r uct i onEngi nee r i ng) ,電気 ・ コンピュー ター工学 ( El ec t r i c and Comput er Engi nee r i ng) , 工業 ・製造 システム工学 ( I ndus t r i aland Manuf act ur i ng Sys t em Engi ne er i ng) ,材料工学 ( Mat e r i al sSci ence andEngi ne er i ng) ,お よび機械工学の 8 学科,な らびに工学基礎 ・多領域総合 デザ イン教室か
ら成 っているO 工学部 を中心に してアイオワ州立大学が授与す る学位の種類は Tabl e 4 に示す と
お りで あ る 18) 19) 0
Tabl e4 アイオワ州立大学が授与 す る工学系の学位
主専攻