【通夜】
通夜は「夜とぎ」とも言い、亡くなった方の近親者・知人が集まって、葬儀まで夜を徹して
その遺骸を見守るのが本旨です。故人の成仏を願う儀式ではなく、また簡略化のために「半通
夜」を勤めるわけではありません。通夜という場を、大切な教えを聞く場とするために儀式を
行います。
日本では古代より人の死を「死穢」とし、死や死者を不浄なるものとして捉えてきた歴史を
もっています。しかし、仏教では生と死は表裏一体であるという道理を明らかにし、決して死
は穢れという忌むべき事柄としてあるのではなく、死の事実に身を据えて人生を引き受けてい
く道を教えられました。そういう意味で、通夜は人生でもっとも悲しい別離である「死」とい
う現実に対し、仏法を通して直面する大切な仏事です。亡き人を偲びつつ、その死を決して他
人ごととせずに、自分自身の事実として受け取っていくことが大切なのです。
【葬儀】
(浄土真宗にとって葬儀は、)永遠の別れを告げる儀式ではありません。たしかに呼んでも応
えず、触れても動かない亡き人の姿は、生きている者にとって全く思いの届かない世界への旅
立ちであるかのようです。しかし、仏教では、「生」と「死」は決して対立にあるものではな
く、
「生
しょう死
じ」という一つの事柄であるのだと教えられます。「生」を離れての「死」はなく、
「死」
を離れての「生」はありません。この亡き人の姿は身を呈してこの道理を私たちに教えてくだ
さっていると言えるでしょう。言い換えれば、亡き人の姿は私たちに大事なことを伝えようと
する姿であり、その葬儀は、人間が生きることの尊さにめざめて行く大事な法縁の場でありま
す。
※この通夜と葬儀に関する文章は、
『おおいたの冠婚葬祭』
(大分合同新聞社 刊)より抜粋。
日豊教区大分市組が執筆し、大分市中央仏教連合会が監修したものです。
目次
葬 儀 式 ・・・・・・・・・2
通 夜、 枕 勤 め ・・・・・・・・・4
中 陰 ・・・・・・・・・5
そ の 他 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6
①ご本尊
ご本尊は基本的に本山(東本願寺)より授与されたものを用いる。 ただし、六字名号については各々の葬祭社が用意したものでも構わない。 ご本尊の大きさについては葬儀壇の規模に準じたものとする。②お仏
ぶ供
く(仏飯)
お仏供は盛も っ糟そ うを使用して仏器に盛り、本尊の前にお備えする。③法名軸
白木の位牌を使用せず、法名軸を使用する。 その大きさについては、各家庭のお内仏(仏壇)に準ずる。④遺影
荘厳の中心はあくまで本尊であり、葬儀壇には本来、写真を飾る必 要はない。 (写真を飾る場合は右図を参照)①三
みつ具
ぐ足
そく・五
ご具
ぐ足
そく 真宗大谷派における三具足とは、燭台(鶴亀)・花か瓶ひ ん(丸型又は角型)・香炉(基本的には金香炉 を用いる。青磁でも可)である。三具足とは葬儀式の際に必ず荘厳されるものであり、大きさは 野卓に準ずる。また、五具足の場合は、燭台一対・花瓶一対・香炉をもって五具足とする。②紙
し花
か(四華)
葬儀式の際、花瓶には必ず紙花を挿す。三具足の場合は銀(白でも可)一色の四本、五具足の場 合は金銀それぞれ二本ずつを一つの花瓶に挿すものとする。③香炉
焼香用の香炉は三具足(五具足)の前に並べ、数の多い場合は野卓の横に用意した焼しょう香こ う卓じょくに置い てもよい。葬儀壇、野卓には必要なもの以外は置かない。故人縁のものなどについては別途台を 設ける。三具足の場合
五具足の場合
2 野
の卓
じ ょ く1 葬 儀 壇
ご本尊 お仏共 法名軸 遺影 焼香用 焼香用 焼香用 焼香用 焼香用 焼香用 焼香用 焼香用 花瓶 花瓶 焼香卓 焼香卓 野卓 焼香卓 野卓 焼香卓 鶴亀 鶴亀 鶴亀 香炉 香炉 香 こう 盒 ごう 香 こう 盒 ごう 花瓶棺
棺
①アナウンス
アナウンスは勤行の妨げにならぬよう、目立たない位置で必要最低限の言葉で行う。注意事項な どは式前に済ませておく。 式前・式中・式後の扱いについて 式中とは導師入場から導師退場(寺院よっては「願以此功徳」の回向文)までとし、 それ以前・以後を式前・式後とする。②音楽・照明
式中の音楽、照明などの演出は行わない。 弔辞の際の BGM は必要ない。③弔詞・弔辞・弔電、その他
弔辞の際、遺族の起立は必要ない。 式中に行うものは弔詞・弔辞のみであり、弔電披露、親族のお別れの言葉、弔吟、弔奏などは式 中に行わない。④焼香
焼香の作法(回数など)は参列者各々の宗派の作法で行うものであり、葬祭社が指示・制限を設 けるものではない。 ・基本的に焼香のアナウンスは必要ないが、アナウンスする場合は「喪主」、「一般参列」の案内程度 ・参列者の紹介をする場合は、式前、または式後に別途機会を設ける。 ・焼香の案内は、アナウンスではなく、係員によって参列者を誘導する。 ・参列者焼香の際、遺族の起立は必要ない。 ※ 式中に参列者の私語などが目立つ場合は、係員が速やかに注意し、必要な場合は退席を促す。 【真宗大谷派 葬儀式中の焼香作法
】 1、尊前に進み出るときに調ちょう声しょう人にん(導師)に対して頭礼をする 2、本尊に頭礼をして仰ぎみる 3、焼香を 2 回する。(おしいただかない) 4、指先で香こう盒ごうの香を整える 5、合掌をする 6、合掌を解いた後、頭礼をする 7、席に戻る時、再び調ちょう声しょう人にん(導師)に頭礼をする に止め、個人名や役職などは読み上げない。3 葬 儀 の 進 行
荘厳は葬儀式に準ずる。 御文はご本尊に向かって拝読するものではない。 御文を拝読する場合は、右図の様に別途台を用 意する。 ※寺院によっては拝読しない場合もあるので、 式前に必ず打ち合わせをする。 お内仏の荘厳は平常時(三具足)のものとし、打うちしき敷や供く げ笥などの荘厳はしない。また、お仏ぶ く供(仏飯) は茶碗などではなく仏器を使用し、お内仏にお備えする。お内仏の巻障子は必ず開けておく。 ※ お内仏がない場合は各寺院に指示を仰ぐ。 焼香卓を用意し、右図の配置を基本として枕勤 めを行う。但しスペースなどの制約がある場合 は寺院の指示を仰ぐ。 焼香卓には香炉と香こうごう盒のみを置く。 香炉はあくまで仏具であるため、葬祭社の名前 が印字されたものはふさわしくない。 忌中札は使用しない。神隠しは、神棚がないにもかかわらず、床の間などに張る必要はない。 真宗大谷派では通夜の時、以下のように勤行次第が定められています。 正信偈・・草四句目下 念仏讃・・淘三 和讃 ・・六首引 回向 ・・願以此功徳 (または、同朋奉讃式第二、いずれも同朋唱和) 法話 真宗大谷派『葬儀・中陰勤行集』より
1 荘 厳
2 御 文
1 お 内 仏
2 焼 香 卓
3 忌 中 札 ・ 神 隠 し
拝読者 御文野卓
こちら向きに拝読するお内仏
ご遺体 経卓 調声人 (導師) 香炉 香盒 焼香卓 ご遺体 ← or →お内仏正面を空けておくため、中陰壇はお内仏の脇に設置する。 また中陰壇は初七日から七七日(四十九日)までの期間のみ使用し、それ以降に使用することはない。 中陰壇は家庭にある台などを使用しても構わない。 中陰壇に必要なものは、三具足・法名軸・お骨である。(下図を参照)
中陰壇の荘厳
中陰壇の形式を取らない場合
※中陰壇はお内仏の脇(左右どちらでも可)に 設置し、上段には法名軸とお骨(法名軸はお内 仏側に安置する)、下段には三具足を荘厳する。 ※中陰壇の形式を取らない場合は、法名軸とお 骨が乗る程度の台を用意し、お内仏の直前に設 置する。その台の上に向かって右側に法名軸、 左側にお骨を安置する。1 中 陰 壇 の 設 置
2 中 陰 壇 の 荘 厳
真宗大谷派日豊教区大分市組は葬儀当日の繰上 げ初七日を行わない。 「友引に葬儀を行わない。」、「四十九日が三月に わたるとよくない。」などは迷信であり、葬祭 社がこれらについて言及しない。また友引人形 などは必要ない。 お布施について葬祭社が遺族に言及しない。 ※尋ねられた場合は、寺院に直接聞くように伝 える。 清め塩や手洗い桶などは使用しない。 通夜ぶるまい、葬儀当日のお斎、初七日から 七七日までは本来精進料理である。