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Q 平 成 25 年 金 商 法 改 正 ( 平 成 26 年 4 月 施 行 )で どうして 情 報 伝 達 者 に 対 するインサイ ダー 取 引 規 制 が 設 けられたのでしょうか? A 情 報 伝 達 行 為 まで 処 罰 することは 一 般 人 を 秘 密 漏 えい 罪 で 処 罰 する

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弁護士法人

三宅法律事務所

Miyake & Partners

Miyake newsletter No.11

改正インサイダー取引規制Q&A

本ニュースレターに関するご質問・ご相談などありましたら、下記にご連絡くださ い。 弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉 雅之 TEL 03-5288-1021 FAX 03-5288-1025 Email [email protected]

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2 Q 平成 25 年金商法改正(平成 26 年4月施行)で、どうして情報伝達者に対するインサイ ダー取引規制が設けられたのでしょうか? A 情報伝達行為まで処罰することは、一般人を秘密漏えい罪で処罰することになりかねず、 また、悪質な事例は、情報受領者のインサイダー取引違反の教唆犯・幇助犯で処罰すれば よいとの考え方に基づきます。 【解説】 1.情報伝達行為が処罰の対象とされてこなかった理由 平成 25 年金商法改正(平成 26 年4月施行)により、情報伝達行為・取引推奨行為が処 罰の対象となりましたが、それ以前は情報伝達行為を直接処罰する規定は金商法にはあり ませんでした。 これは、①公務員、弁護士、公認会計士等の特に他人の秘密に関与する特別の職にある 者について、秘密漏示罪が設けられていますが、上場会社の役職員のような特別の職にあ るわけではない一般の人々について、同様の秘密漏示罪を設けることは適当ではない、② 実際に重要事実を知った者が取引を行うことが証券市場の公正性および健全性に対する投 資家の信頼を害するのであるので、それ以前の、単なる重要事実の伝達行為について処罰 する必要性に乏しい、 との考え方によります(横畠裕介「逐条解説インサイダー取引規制 と罰則」(商事法務研究会・平成元年) 127 頁)。 また、情報伝達行為をすべて不処罰とする趣旨ではなく、当該重要事実の伝達を行った 者がその教唆犯または幇助犯として処罰されることがあり得るので、不合理な結果は生じ ないと考えられていました(前掲横畠 127 頁)。 たとえば、①会社関係者がその友人に対して重要事実を教示して上場株券等の売買等を 行うことを勧め、その結果、友人がインサイダー取引をすることを決意して実際に取引を した場合には、その会社関係者はその友人のインサイダー取引違反(金商法 166 条3項、 197 条の2第 13 号)の教唆犯(刑法 61 条1項)として処罰されることとなり、②すでに他 からの情報により、会社の未公表の重要事実を知り、上場株式の売買を行おうとしている 知人から、当該重要事実の確認を求められた当該会社の会社関係者がこれに応じ、その知 人が、インサイダー取引を行うことを知りながら、重要事実を教示、確認して、その犯意 を強めさせ、あるいはその犯行を容易ならしめ、その者が実際に取引をした場合には、そ の会社関係者はその知人のインサイダー取引違反(金商法 166 条3項、197 条の2第 13 号) の罪の幇助犯として処罰されることになります。 2.教唆犯として処罰された事例 上記1のとおり、情報受領者のインサイダー取引違反の教唆犯・幇助犯として処罰され る可能性は理論上ありますが、刑事罰の謙抑性の見地から、実際にこれらの共犯として処 罰された例はほとんどありません(教唆犯について平成 11 年(トーアスチール事件)、平

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3 成 25 年(下記事案参照)の計2例のみ)。 この点、横浜地裁において、平成 25 年9月 30 日に、大手証券会社の執行役員(X被告) が、実際に株取引をした知人の会社役員(情報受領者のインサイダー取引違反で有罪確定) に対して、取引先企業の公開買付け(TOB)に関する未公開情報を伝達したとして、教 唆犯として処罰されたことが注目されます(懲役2年6月、執行猶予4年、罰金150万 円(求刑・懲役3年、罰金 300 万円)。控訴中)。 X被告は、平成 22 年∼23 年、同証券会社と取引のある物流会社など3社のTOB情報を 会社役員に提供してインサイダー取引を唆し、会社役員は当該情報を基に3社の株を計約 6400 万円で買い付け、公表直後に売り抜け約 3600 万円の利益を得た。 同判決では、①会社役員がX被告からの情報伝達を認めていること、②X被告が社内で インサイダー情報を知った直後に会社役員に電話していること、などから、X被告が情報 提供していたと認定し、教唆犯の成立を認めました。 なお、検察は当初、X被告がインサイダー取引を主導していたとして、共謀共同正犯と してインサイダー取引の共謀共同正犯として起訴しましたが、会社役員の判決において共 謀性が否定されたため、訴因を変更して、教唆犯としての起訴に変更しました。 本件は、平成 25 年改正に基づく情報伝達者のインサイダー取引規制の施行後に行われた 事案であれば、①X被告には会社役員に「取引を行わせる目的」があったこと、②インサ イダー取引が実際に行わせたことから、処罰の対象になり得たと考えられます。 3 金融商品取引業者の情報管理に対する行為規制 金融商品取引業者等(金融商品取引業者および銀行等の登録金融機関)は、その取り扱 う法人関係情報に関する管理又は顧客の有価証券の売買等に関する管理について、「法人関 係情報」に係る不公正な取引の防止を図るために、 必要かつ適切な措置を講じなければな りません(金商法 40 条2号・業府令 123 条1項5号)。 「法人関係情報」(業府令2条4項 14 号)とは、①上場会社等の運営・業務又は財産に 関する公表されていない重要な情報であって顧客の投資判断に影響を 及ぼすと認められ るもの ②公開買付け又はこれに準ずる株券等の買集めの実施又は中止の決定に係る公表 されていない情報であり、インサイダー取引の重要事実に近似したものです(重要事実よ りも広いと考えられています。)。 したがって、金融商品取引業者などの役職員が第三者にインサイダー情報を伝達した場 合は、法人関係情報の管理違反として行政処分の対象となり得ます。 4 上場会社の役職員がインサイダー情報を伝達した場合 上場会社の役職員がインサイダー情報を第三者に伝達した場合には、上記1、2のとお り、情報受領者のインサイダー取引違反の教唆犯・幇助犯となることはあり得ましたが、 それ以外の場合は、刑事罰の対象となることはありませんでした。 もっとも、情報伝達行為については、上場会社のインサイダー取引管理規程において禁 じられているのが通常でこれに違反し、懲戒処分の対象となることはあり得ます。

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4 Q 平成 25 年金商法改正(平成 26 年4月施行)で、どうして情報伝達行為・取引推奨行為 に対するインサイダー取引規制が設けられたのでしょうか? A 情報受領者に対するインサイダー取引違反の課徴金事案が増加してきたことや、公募増 資に関連したインサイダー取引行為が相次いだこと等によります。また、他の先進国にお いては情報伝達行為や取引推奨行為も規制の対象としていることも参考にしております。 【解説】 1 情報受領行為・取引推奨行為のインサイダー取引規制が設けられた経緯 平成 25 年金商法改正(平成 26 年4月施行)により、情報受領行為および取引推奨行為 に対するインサイダー取引規制が設けられた背景には、近時、情報受領者に対するインサ イダー取引違反の課徴金事案が増加してきたことや、公募増資に関連したインサイダー取 引行為が相次いだこと等があります。 また、他の欧米の先進国においては情報伝達行為や取引推奨行為も規制の対象としてい ることも参考にしております。 平成 24 年7月 31 日に、金融審議会にインサイダー取引規制に関するワーキング・グル ープが設けられ、同年 12 月 25 日までに合計7回の審議が行われました。同年 12 月 25 日 に、かかる審議を受けて、金融審議会は「インサイダー取引規制に関するワーキング・グ ループ」報告書を公表しました1 2 情報受領者によるインサイダー取引違反の課徴金事案 下記のとおり、インサイダー取引違反については、課徴金事案、犯則事案のいずれにお いても、情報受領者が違反行為者の事案が増加しております。これを受けて、会社関係者 や公開買付者等関係者による情報伝達行為や取引推奨行為を規制する必要性が高まってき ました。 1 http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20121225-1.html

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5 ○インサイダー取引規制違反の課徴金事案・犯則事件件数 年度 (平成) 課徴金事案 犯則事案 うち、情報受領者が 違反行為者の事案 うち、情報受領者が 違反行為者の事案 17 年度 4 0 4 1 18 年度 11 3 8 5 19 年度 16 7 4 1 20 年度 17 21 6 4 21 年度 38 12 7 3 22 年度 20 12 4 3 23 年度 15 12 6 4 合計 121 58 39 21 (金融庁公表資料参照) 3 公募増資に関連したインサイダー取引違反 平成 25 年金商法改正(平成 26 年4月施行)により、情報受領行為および取引推奨行為 に対するインサイダー取引規制が設けられた契機は、下記のとおり、平成 24 年から平成 25 年にかけて、大手証券会社がファンドに対して、上場会社の公募増資に関する情報を公表 前に伝達して、ファンドが情報受領者のインサイダー取引違反として課徴金納付命令を受 けた事案が相次いだことによります。 特に、ファンドは、「他人の計算」により運用をしますが、課徴金額よりも利得額がはる かに多く、インサイダー取引をした方が「やり得」で課徴金に抑止力がないことが問題と なりました。

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6 ○公募増資に関連したインサイダー取引違反の事例 上場会社 公 募 増 資 発表日 違反行為者 情報伝達者 課 徴 金 勧 告日 課徴金納付 命令日 課徴金額 フ ァ ン ド の利得額 ① 国 際 石 油 開発帝石 平成 22 年 7月8日 C 信託銀行 N 証券会社 平成 24 年 3月 21 日 平成 24 年 6月 27 日 5万円 1455 万円 ② 日 本 板 硝 子 平成 22 年 8月 24 日 A アセット マネジメン ト J 証券会社 平成 24 年 5月 29 日 平成 24 年 6月 26 日 13 万円 6051 万円 ③ み ず ほ フ ィ ナ ン シ ャ ル グ ル ープ 平成 22 年 6月 25 日 C 信託銀行 N 証券会社 平成 24 年 5月 29 日 平成 24 年 6月 27 日 8万円 2023 万円 ④ 東京電力 平成 22 年 9月 29 日 ・F 証券会社 ・個人 N 証券会社 平成 24 年 6月8日 審判手続手 続終了 ・1468 万 円 ・6万円 − ⑤ 日 本 板 硝 子 平成 22 年 8月 24 日 J合同会社 D 証券会社 平成 24 年 6月 29 日 平成 25 年 4 月 16 日 37 万円 1624 万円 ⑥ エ ル ピ ー ダ メ モ リ ー 平成 23 年 7 月 11 日 J合同会社 D 証券会社 平成 24 年 11 月 2 日 平成 25 年 4月 19 日 12 万円 564 万円 (金融庁公表資料参照) 4 諸外国におけるインサイダー取引規制 平成25 年金商法改正では、諸外国におけるインサイダー取引規制も参考にして、改正が なされています。 下記のとおり、欧米の先進諸国を見ると、日本を除き、情報伝達行為や取引推奨行為違反 について、規制が設けられています。また、他人の計算のインサイダー取引違反についての 課徴金については、米国では「取引自体の利得の3倍」、英国では「報酬額+制裁金」とい うように、ファンドによるインサイダー取引の「やり得」を防ぐ手立てが設けられています。

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7 ○諸外国におけるインサイダー取引規制の比較(金融庁公表資料参照) 日本 米国 英国 フランス ドイツ 規制対象 イ ン サ イ ダー取引 ○ ○ ○ ○ ○ 情 報 伝 達 行為 × ○(注1) *情報伝達者が 取引を行った場 合に限る ○(注2) ○(注2) ※ 情 報 受 領 者 が 取 引 を 行 っ た 場 合 に 限 り 執 行 例あり ○(注3) ※情報受領者 が取引を行っ た場合に限り 執行例あり 取 引 推 奨 行為 × △(注4) ○ ○ ○ 課徴金等 ○ ○ ○ ○ △(注5) 「他人の 計算」の 場合の課 徴金額 報酬額 取引自体の利得 の最大3倍 報酬額+制裁 1 億 ユ ー ロ or 報酬額の10 倍以下 課徴金等なし 刑事罰 ○ (5年以下の 懲役等) ○ (20 年以下の 自由刑等) ○ (7年以下の 自由刑等) ○ ( 2 年 以 下 の 自 由 刑 等) ○ (5年以下の 自由刑等) (注1)発行体若しくは株主に対する信任義務又は情報源等に対する信任義務に違反して他 の者に情報伝達した場合に限る。 (注2)雇用関係、役職、専門的職務上の役割の適切な遂行等として行う場合を除く。 (注3)権限なく行う場合に限る。 (注4)法令上明確には規制対象とされていないが、被推奨者による取引が行われた場合に は、法令違反になり得る。 (注5)情報伝達・取引推奨を行った者に対する行政上の措置(過料(20 万ユーロ以下の み))

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8 Q 情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制はどのような規制でしょう か。 A ①未公表の重要事実を知っている会社関係者(上場会社や主幹事証券会社の役職員等) が、他人に対し、②「公表前に取引をさせることにより利益を得させる目的」をもって、③ 情報伝達・取引推奨を行うことを禁止しています。ただし、刑事罰・課徴金納付命令の対象 となるのは、公表前にインサイダー取引が行われた場合に限られます。 【解説】 ○情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制のイメージ 1 規制の概要 金商法 167 条の2に、「未公表の重要事実の伝達等の禁止」という規定が新たに設けられ ます。 同条1項では、会社関係者が①未公表の重要事実を知っている会社関係者(上場会社や主 幹事証券会社の役職員等)が、他人に対し、②「公表前に取引をさせることにより利益を得 させる目的」をもって、③情報伝達・取引推奨を行うことを禁止しています。 もっとも、刑事罰・課徴金納付命令の対象となるのは、重要事実の公表前にインサイダー 取引が行われた場合に限られます(金商法 175 条の2第1項、197 条の2第 14 号、15 号、 207 条)。 これは、情報受領者によるインサイダー取引を防止するためには、情報伝達者についても 一定の規制をすることが必要となりますが、他方、企業の通常の業務・活動に支障が生じな いよう配慮しつつ、取引に結びつく不正な情報漏えいを規制しようとするものです。 金融庁は、平成25 年9月 12 日に、金商法 167 条の2の解釈指針として、「情報伝達・取 引推奨規制に関する Q&A」2を公表しています。 2 http://www.fsa.go.jp/news/25/syouken/20130912-1/01.pdf 重要事実を知っ ている会社関係 者(伝達・推奨者) 取引行為者 (第一次情報受領者) 証券市場 伝達・推奨 株取引 取引を行わせる目 的等 インサイダー 取引が行われ たこと 【金融庁資料参照】

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9 2 会社関係者の未公表の重要事実の伝達等の禁止 会社関係者の未公表の重要事実の伝達等の禁止は、以下のとおり構成要件が定められてい ます(金商法 167 条の2第1項)。 ①主体 「会社関係者」であって、当該上場会社等に係る同項に規定する業務 等に関する重要事実を同項各号に定めるところにより知ったもの ②時期 当該業務等に関する重要事実について同項の公表がされたことになる 前 ③実行行為 「他人」に対し、当該業務等に関する「重要事実を伝達すること」、ま たは、「当該売買等をすることを勧めること」 ④主観的要件 当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をさせることにより、 「当該他人に利益を得させる目的」又は「他人の損失の発生を回避さ せる目的」を有すること(前提として、③の実行行為をすることにつ いての認識は当然必要。) また、公開買付者等関係者についても、以下のとおり同様の規制が設けられています(金 商法 167 条の2第2項)。 ①主体 公開買付者等関係者であって、当該公開買付者等の公開買付け等事実 を同項各号に定めるところにより知ったもの ②時期 当該公開買付等事実について同項の公表がされたこととなる前 ③実行行為 「他人」に対し、「公開買付け等事実を伝達すること」または「当該買 付け等若しくは当該売付け等をすることを勧めること」 ④ 主観的要件 「公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあっては当該公開買 付け等に係る株券等に係る買付け等をさせること」、または、「公開買 付け等の中止に関する事実に係る場合にあっては当該公開買付け等に 係る株券等に係る売付け等をさせること」により、「当該他人に利益を 得させる目的」または「当該他人の損失の発生を回避させる目的」を 有すること(前提として、③の実行行為をすることについての認識は 当然必要。) 3 会社内での伝達行為(情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A 問1) 情報伝達の相手方となる「他人」(上記2③参照)については、特に限定はなく、会社関 係者が会社内の役職員を含む他人に対して重要事実を伝達することが規制の対象となりま す。 会社関係者の所属する上場会社等の他の役職員も会社関係者であり、金商法166 条 1 項

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10 1 号の「職務に関し」は広く解釈されるため、会社内で会社関係者から重要事実の伝達を 受けた他の役職員が、他人に対して重要事実を伝達することも規制の対象となり得ます。 一方、目的要件を満たさない情報伝達は規制の対象ではなく、業務上必要な社内外での情 報交換や情報共有は、通常の場合、「重要事実の公表前に売買等をさせることにより他人に 利益を得させる」等の目的をもって行うものではないと考えられるため、基本的に規制対象 とはならないものと考えられます。 4 家族・知人への伝達(情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A 問2) 「重要事実の公表前に売買等をさせることにより他人に利益を得させる」等の主観的目的 (上記2④)を有していなければ、日常会話の中で重要事実を話したとしても、規制対象と はなりません。 ただし、上場会社等の未公表の重要事実を、業務とは関係のない他人に話すことは、イン サイダー取引が行われるおそれを高めるものであり、また、上場会社等の社内規則に違反す るおそれもあるため、情報管理に留意する必要があると考えられます。 また、日常会話の中で重要事実を聞いた家族や知人が重要事実の公表前に取引を行えば、 第一次情報受領者として、当該家族や知人はインサイダー取引規制の違反(金商法 166 条 3項)となることにも留意する必要があります。 5 IR 活動(情報伝達・取引推奨規制に関する Q&A 問3) 上場会社等では、IR活動として、投資家等との間で自社の経営状況や財務内容等に関す る広報活動が一般的に行われています。こうした活動の一環として行う自社への投資を促す ような一般的な推奨については、通常の場合、他人に対し、特に重要事実の公表前の売買等 を行わせ、それに起因した利益を得させるためのものではなく、「重要事実の公表前に売買 等をさせることにより他人に利益を得させる」等の主観的な目的(上記2④)を欠くと考え られるため、基本的に規制対象とはならないものと考えられます。 6 インサイダー取引が行われなかった場合(情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A 問 6) 情報伝達・取引推奨規制に違反した者が処罰や課徴金の対象となるのは、当該違反により 情報伝達・取引推奨を受けた者が、重要事実の公表前に売買等をした場合に限ることとされ ています。なお、重要事実の公表前にした売買等がインサイダー取引規制の適用除外に当た る場合についても、処罰や課徴金の対象から除外されています(金融商品取引法第 175 条 の2、第 197 条の2第 14 号・15 号)。 しかしながら、他人に対し「重要事実の公表前に売買等をさせることにより他人に利益を 得させる」等の目的をもって情報伝達・取引推奨を行うことは、インサイダー取引等を引き 起こすおそれの強い不正な行為であり、結果的に重要事実の公表前の売買等が行われなかっ

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11 たとしても、(処罰や課徴金の対象にならないものの、)規制違反に該当することとなります。 このため、金融商品取引業者等がこのような行為を行った場合には、行政処分の対象とな り得るほか、上場会社等の役職員がこのような行為を行った場合には、上場会社等の社内規 則に違反することとなり得ます。 7 証券会社の営業部員の取引推奨行為(情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A 問5・ 6) 証券会社等において、一部の役職員が上場会社等の未公表の重要事実を知っていたとして も、チャイニーズ・ウォールにより営業部門の役職員がそれを知らない場合には、当該取引 推奨行為は基本的に規制違反とはならないものと考えられます。 他方、上場会社等の未公表の重要事実を知っている証券会社の営業部門の役職員が、顧客 から当該上場会社等の評価を求められた場合、明示的に取引推奨を行わなければ取引推奨規 制の違反とならないか問題となり得ます。 もっとも、一般に証券会社等については、上場会社等の法人関係情報を提供して勧誘する 行為が禁じられており(金融商品取引業等に関する内閣府令第 117 条第 1 項第 14 号)、証 券会社等においては、上場会社等の内部情報が、本来知る必要のない営業部門の役職員に伝 わることのないよう適切に情報管理することが求められるので、情報管理態勢が適切に確立 されていれば、証券会社の営業部門の役職員について、ご指摘のような場面が生じるおそれ は低いものと考えられます。 しかしながら、証券会社等の営業部門の役職員が上場会社等の未公表の重要事実を職務等 に関し知っている場合でも、一般論としていえば、投資判断を示すものではない一般的な会 社の評価に触れることは差し支えありません。しかしながら、取引推奨規制の違反に該当す るのは明示的に取引推奨を行う場合だけに限られるものではなく、規制違反に該当するか否 かは行為者の言動等によって実質的に判断されることに留意が必要です。したがって、仮に 明示的に取引推奨を行わなかったとしても、顧客に対して早期の、又は一定期間内の売買を 促すような言動等を行った場合には、規制違反となるおそれがあると考えられます。 8 知る者同士の取引(クロクロ取引)の適用除外との関係(情報伝達・取引推奨規制に 関するQ&A 問7) インサイダー情報を知る者同士の金融商品取引所外での相対の取引(クロクロ取引)は、 インサイダー取引の適用除外とされています(金商法 166 条6項7号)。 これに対して、情報伝達・取引推奨規制は、「重要事実の公表前に売買等をさせることに より他人に利益を得させる」等の目的があることが要件(目的要件)として必要であるとさ れています。 したがって、会社関係者が、資金調達を目的として未公表の重要事実を伝達した上で保有 株式を売却するような場合において、情報伝達に当たり、単に、情報の受領者が当該売却に

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12 起因した利益を得る可能性があることを認識していたというだけでは、通常の場合、「他人 に利益を得させる」という目的要件を満たさないと考えられるため、基本的に規制違反とは ならないものと考えられます。 これに対して、クロクロ取引が市場価格よりも割り引いた価格で行われるような場合には、 取引の相手方は取得価格と市場価格との差額の利益を得ることができる可能性があります。 しかしながら、情報伝達・取引推奨規制の目的要件を満たすか否かについては、単に市場価 格よりも割り引いたという事実があったか否かによってではなく、他人に対し、特に「重要 事実の公表前に」売買等を行わせ、「それに起因した」利益を得させる目的があったか否か によって判断されることとなります。 9 主観的要件の認定の方法 「公表前に取引をさせることにより利益を得させる目的」といった主観的要件は、内心の 問題であり、捜査をする警察や起訴をする検察側においても立証に一定のハードルがありま す。 実際には、客観的な事実(①情報受領者が会社関係者からの情報伝達を認めていること、 ②情報受領者が社内でインサイダー情報を知った直後に関係者に電話していること、等とい った事実)があることにより認定していくことになると考えられます。 会社関係者が他人に対して、重要情報の伝達や取引推奨を繰り返し行っていた場合には、 「公表前に取引をさせることにより利益を得させる目的」があると立証し易くなると考えら れます。

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13 Q 情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制違反にはどのような刑事 罰・課徴金が科せられますか。 A 情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制に違反した者は、さらに、 第一次情報受領者が公表前にインサイダー取引を行った場合には、刑事罰・課徴金が課せら れます。 刑事罰は5年以下の懲役もしくは 500 万円以下の罰金またはこれらが併科されます。法人 の代表者や従業員等が、その法人の業務・財産に関して違反行為をした場合は、当該法人は 5億円以下の罰金刑に科せられます。 課徴金は、証券会社等が「仲介関連業務」に関して違反した場合は、「取引を行った者か らの仲介手数料の3月分に相当する額」の課徴金が課せられます。また、証券会社等が「募 集等関連業務」に関して違反した場合は「取引を行った者からの仲介手数料の3月分に相 当する額」に「募集等関連業務の対価に相当する額の1/2」を加えた課徴金が課せられ ます。 それ以外の違反の場合は、「取引を行った者の「利得相当額」の1/2に相当する額」の 課徴金が課せられます。 ○情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制違反の刑事罰・課徴金 刑事罰 課徴金 証 券 会 社 等 の 違 反 の 場 合 ・5年以下の懲役 ・500 万円以下の罰金 ・上記の併科 ・法人重課5億円 【仲介関連業務の場合】 取引を行った者からの仲介手数料の3月分 【募集等関連業務の違反の場合】 「取引を行った者からの仲介手数料の3月分」+「募 集等関連業務の対価に相当する額の1/2」 上 記 以 外 の 違反の場合 情報受領者等の「利得相当額」の1/2 (金融庁公表資料参照) 【解説】 1 刑事罰(金商法 197 条の2第 14 号・15 号、207 条) 情報伝達・取引推奨行為の違反(金商法 167 条の2)により情報受領者等が公表前にイン サイダー取引をした場合、違反者を5年以下の懲役若しくは 500 万円以下の罰金に処し、 又はこれを併科されます(金商法 197 条の2第 14 号、15 号)。 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項 において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法 人又は人の業務又は財産に関し、情報伝達・取引推奨行為の違反(金商法 167 条の2)をし たときは、法人に対して5億円以下の罰金刑が科せられます(同法 207 条)。

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14 2 会社関係者等の情報伝達・取引推奨行為の違反による課徴金(金商法 175 条の2第1 項) 会社関係者等の情報伝達・取引推奨行為の違反(金商法 167 条の2第1項)により情報 受領者等が公表前に取引をした場合、違反者に対して次の計算方法により課徴金が課され ます。 (1) 仲介関連業務に関し違反行為をした場合(金商法 175 条の2第1項1号) 「仲介関連業務」とは、特定有価証券等に係る金商法2条8項2号(売買の媒介・取次 ぎ・代理)又は3号(金融商品市場における取引の委託の媒介・取次ぎ・代理)に掲げる行 為又は同項4号に掲げる行為(店頭デリバティブ取引の媒介・取次ぎ・代理)、同項 10 号に 掲げる行為(PTS 業務)その他これらに類する政令で定める行為に係る業務(金商法 35 条 1項8号に掲げる行為(有価証券に関連する情報の提供又は助言)を行う業務を含む。)を いいます(金商法 175 条の2第1項1号、課徴金府令1条の 24)。 この場合の課徴金額は、「取引を行った者からの仲介手数料の3月分」ですが、正確には 以下のとおりです。 「仲介関連業務」に関し違反行為をした場合の課徴金額は、当該情報受領者等から当該 違反者に対して支払われる当該違反行為が行われた日の属する月(当該月が2以上ある場 合には、これらの月のうち最後の月)について、情報受領者等から当該違反行為をした者 に対し、仲介関連業務の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産(「仲 介関連業務報酬」)の価額(仲介関連業務報酬の算定の基礎となる期間(「算定期間」)が1 月を超える場合には、当該仲介関連業務報酬を当該算定期間を月数で除する方法その他の合 理的な方法により算定した額)の総額に3を乗じて得た額です(課徴金府令1条の 25 第1 項)。 月数は、歴に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします(課 徴金府令1条の25 第5項)。 (2) 募集等業務に関し違反行為をした場合(金商法 175 条の2第1項2号) 「募集等業務」とは、特定有価証券等に係る金商法2条8項9号(募集若しくは売出し の取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い)に掲げる行為に係る業 務をいいます)(金商法 175 条の2第1項2号)。いわゆる「増資による売り捌き業務」 です。 この場合の課徴金額は、「顧客からの仲介手数料(3月分)」(下記①)に「募集等関 連業務の対価に相当する額(下記②)の1/2」を加えた額です。 ① 顧客からの仲介手数料の3月分(金商法 175 条の2第1項2号イ、課徴金府令1条の 25 第1項) 当該情報受領者等から当該違反者に対して支払われる当該違反行為が行われた日の属 する月(当該月が2以上ある場合には、これらの月のうち最後の月)について、情報受

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15 領者等から当該違反行為をした者に対し仲介関連業務報酬の価額(算定期間が1月を超 える場合には、当該仲介関連業務報酬を当該算定期間を月数で除する方法その他の合理 的な方法により算定した額)の総額に3を乗じて得た額 ② 募集等関連業務の対価に相当する額(金商法 175 条の2第1項2号ロ、課徴金府令1条 の 25 第2項) 以下の(i)から(ii)を控除した金額がこれに該当します。 (i) 特定有価証券等の発行者から違反行為をした者に対し、募集等業務及び当該募集 等業務に併せて行われる金商法2条8項6号に掲げる行為に係る業務(有価証券の引 受業務)の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産の価額の総額 (ii) 違反行為をした者が募集等業務に関して他の者に金商法2条8項6号に掲げる 行為に係る業務(有価証券の引受業務)をさせた場合において、当該違反行為をした 者から当該他の者に対して、当該業務の対価として、支払われ、又は支払われるべき 金銭その他の財産の価額の総額 (3) (1)(2)以外の場合(金商法175 条の2第1項3号) 上記(1)又は(2)以外の場合の課徴金額は、違反行為により情報受領者等が行った取 引によって得た「利得相当額」に2分の1を乗じて得た額です。 「利得相当額」(金商法 175 条の2第3項)は、以下の①・②の区分に応じ、以下の金額 をいいます。 ① 情報受領者等が「特定有価証券等の売付け等」3をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額が「利得相当額」となります。 イ 当該「特定有価証券等の売付け等」について「当該特定有価証券等の売付け等」を した価格にその数量を乗じて得た額 ロ 「当該特定有価証券等の売付け等」について「重要事実の公表がされた後2週間に おける最も低い価格」4に「当該特定有価証券等の売付け等」の数量を乗じて得た額 3 「特定有価証券等の売付け等」とは、特定有価証券の売付け、金商法2条 21 項2号に掲 げる取引(現実数値が約定数値を上回った場合に金銭を支払う立場の当事者となるものに 限る。)、同項3号に掲げる取引(オプションを付与する立場の当事者となるものに限る。) その他の政令で定める取引をいう(金商法 175 条の2第5項)。「政令で定める取引」とし ては、「特定有価証券等の売付けその他の有償の譲渡」、「合併又は分割により特定有価証券 等を承継させること」などが列挙されている(金商法施行令 38 条の 18 各号)。 4 「重要事実の公表がされた後2週間におけるもっとも低い価格」とは、重要事実の公表が された時から2週間を経過するまでの間の各日における金商法 67 条の 19 又は同法 130 条 に規定する最低価格のうち最も低い価格をいいます(金商法 175 条の2第6項)。なお、当 該価格がない場合には、これに相当するものが課徴金府令1条の 26 第1項、2項において 定められております。たとえば、特定有価証券の売付け等が上場有価証券等の売付けその 他の有償の譲渡、合併若しくは分割による承継又は市場デリバティブ取引である場合には、 金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会が公表した気配相場の価格のうち最も低い価 格とされています(同条1項1号)。

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16 ② 情報受領者等が「特定有価証券等の買付け等」5をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額が「利得相当額」となります。 イ 「当該特定有価証券等の買付け等」について「重要事実の公表がされた後2週間に おける最も高い価格」6に「当該特定有価証券等の買付け等」の数量を乗じて得た額 ロ 「当該特定有価証券等の買付け等」について「当該特定有価証券等の買付け等」を した価格にその数量を乗じて得た額 3 公開買付等関係者の情報伝達・取引推奨行為の違反による課徴金(金商法175 条の2 第2項) 公開買付等関係者の情報伝達・取引推奨行為の違反(金商法 167 条の2第2項)によ り情報受領者等が公表前に取引をした場合に関しても、上記2の会社関係者等の違反と同 様に課徴金が課せられます。 5 「特定有価証券等の買付け等」とは、特定有価証券等の買付け、金商法2条 21 項2号に 掲げる取引(現実数値が約定数値を上回った場合に金銭を受領する立場の当事者となるも のに限る。)、同項3号に掲げる取引(オプションを取得する立場の当事者となるものに限 る。)その他の政令で定める取引をいう(金商法175 条の2第7項)。「政令で定める取引」 としては、「特定有価証券等の買付けその他の有償の譲受け」、「合併又は分割により特定有 価証券等を承継すること」などが列挙されている(金商法施行令38 条の 19 各号)。 6 「重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格」とは、重要事実の公表がされ た時から2週間を経過するまでの間の各日における金商法67 条の 19 又は同法 130 条に規 定する最高の価格のうち最も高い価格をいいます(金商法175 条の2第8項)。なお、当該 価格がない場合には、これに相当するものが課徴金府令1条の26 第3項、4項において定 められております。たとえば、特定有価証券の買付け等が上場有価証券等の買付けその他 の有償の譲受け、合併若しくは分割による承継又は市場デリバティブ取引である場合には、 金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会が公表した気配相場の価格のうち最も高い価 格とされています(同条3項1号)。

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17 Q 上場会社は、情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制が設けられる ことによりどのような対応が必要となりますか。 A 上場会社は、取引推奨行為に関して内部規程の見直しをする必要があります。また、上 場会社は、役職員に対して、情報伝達行為や取引推奨行為が内部規程違反だけでなく、法令 違反にもなり得ることについて改めて周知をする必要があると考えられます。 【解説】 1 内部規程の見直し 上場会社の内部規程(内部者取引管理規程)には、自社の重要事実についての伝達行為に ついては、既に以下のような規定が置かれているのが通常です。 (伝達規制) 第 〇 条 役職員は、当社の内部情報を職務の遂行上必要と認める者以外の者に伝達して はならない。 平成 25 年改正により、情報伝達行為だけでなく、取引推奨行為も禁じられるので、以下 のように規定を見直す必要があります。 (情報伝達・取引推奨) 第 〇 条 役職員は、当社の内部情報を職務の遂行上必要と認める者以外の者に伝達して はならない。また、役職員は、内部情報に基づき、他者に当社株式の取引を推奨してはな らない。 2 役職員への周知の徹底 上場会社としては、情報伝達行為や取引推奨行為が、内部規程違反として、会社の懲戒 事由となり得ることについて改めて周知をする必要があると考えられます。また、場合によ っては、法令違反となり得ることにも周知をする必要があると考えられます。 金融機関の場合は、実際にインサイダー取引が行われなくても、法令違反として行政処分 になり得ることも周知する必要があります。 3 IR 活動 上場会社では、IR活動として、投資家等との間で自社の経営状況や財務内容等に関する 広報活動が一般的に行われています。「情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A」(問3)で は、こうした活動の一環として行う自社への投資を促すような一般的な推奨については、通 常の場合、他人に対し、特に重要事実の公表前の売買等を行わせ、それに起因した利益を得 させるためのものではなく、「重要事実の公表前に売買等をさせることにより他人に利益を

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得させる」等の主観的な目的を欠くと考えられるため、基本的に規制対象とはならないとさ れています。

したがって、情報伝達行為・取引推奨行為に対するインサイダー取引規制が設けられるこ とにより特段の対応は必要ないと考えられます。

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19 Q 平成 25 年改正により、資産運用業者などの「他人の計算」による違反行為に対する課 徴金額はどのようになりますか。 A 資産運用業者による他人の計算による違反行為については、改正前は、「違反行為が行 われた月の報酬額」に「運用財産の総額に対する対象銘柄の割合」を乗じた金額が課徴金額 でしたが、改正後は、「運用報酬3月分」が課徴金額となります。 改正前 改正後 課徴金 課徴金 資産運用業者 運用報酬(1月分)×(運用財産の総 額に対する対象銘柄の割合) 運用報酬(3月分) 上記以外の者 違反行為の対価 違反行為の対価 【解説】 1 「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」報告書 不公正取引に対する課徴金制度は、平成 16 年の旧証券取引法(現金商法)改正において、 違反行為の抑止を図り、規制の実効性を確保する目的で導入されました。そして、平成 20 年 の金商法改正により、それまでの「自己の計算」による不公正取引に加え、「他人の計算」 による不公正取引についても課徴金の対象とされました。 平成 25 年金商法による改正前は、「他人の計算」でインサイダー取引が行われた場合、当 該取引に係る「手数料、報酬その他の対価の額(として内閣府令で定める額)」の課徴金を 課すこととなっています(金商法 175 条1項3号)。内閣府令(課徴金府令)では、①資産 運用として違反行為を行った場合には、「違反行為が行われた月の報酬額」に「運用財産の 総額に対する対象銘柄の割合」を乗じた金額(同府令1条の 21 第1項1号)、②①以外によ り違反行為を行った場合には、「違反行為の対価」の額を課徴金額とすることが定められて いました(同項2号)。 課徴金制度は、違反行為の抑止という観点から、違反行為者に対して金銭的負担を課す行 政上の措置であり、課徴金額の水準は、違反抑止を図り、規制の実効性を確保するために十 分なものである必要があります。しかしながら、公募増資に関連したインサイダー取引違反 の事案(Q○)で見たとおり、課徴金額に比べて資産運用業者の運用するファンドの利得が 大きく、現行の「他人の計算」による違反行為に係る課徴金額の計算方法は、違反行為に対 する抑止効果が十分に期待できないものとなっているため、金融庁金融審議会が平成 24 年 12 月 25 日に公表した「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」報告書では、 違反行為者が一般的に得られる利得を適切に捉えた計算方法になるよう見直しを行うこと

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20 が適当であるとされました。 「他人の計算」により違反行為を行う可能性がある者としては、①運用委託契約等に基づ き資産運用業務を行う者(資産運用業者)、及び、②その他業者以外の者も含め主に単発の 取引を行う者が類型的に考えられます。 ①については、資産運用業者は、違反行為によって将来にわたり継続的に運用報酬を維 持・増加させることが可能であり、その利得は違反行為に係る対象銘柄に対応する部分だけ でなく、顧客からの運用報酬全体に及んでいるものと考えられます。 このため、「インサイ ダー取引規制に関するワーキング・グループ」報告書では、現行の課徴金額の計算方法は、 資産運用業者が一般的に享受する利得を十分に捉えたものとなっていない。資産運用の委託 は継続的な契約であり、投資家と資産運用業者の間で運用委託契約が締結されれば、相当の 期間、運用報酬を継続的に得ることが可能であることを踏まえ、課徴金額については、一定 期間(例えば3ヶ月)の運用報酬額を基準とする計算方法に見直していくことが適当である とされました。 他方、同報告書では、②については、違反行為に基づく直接的な報酬等が違反行為者の得 る一般的な利得と考えられるため、違反行為の対価を課徴金額とする現行の計算方法が基本 的に適当であるとされました。 なお、同報告書では、違反行為者が、例えば複数のグループ会社が組成・関与する海外フ ァンドの運用を行うような場合には、違反事案の調査において、課徴金額の計算のために必 要となるファンドの詳細な内容や違反行為者の得る利得の細部が必ずしも明確とならない ケースも生じ得るところ、こうした場合に、違反行為を行った事実は明らかであっても、課 徴金額の計算ができず、課徴金を課すことができないこととなれば、違反行為の抑止を十分 に図ることができず、また、課徴金調査を逃れるための潜脱的なスキーム作りが行われるお それがあるとされています。 このため、違反事実が認められたにもかかわらず、課徴金額 の計算のための計数が直接に把握できないような場合について、適切に課徴額を計算するこ とができるような計算方法を検討することが適当であるとされています。 2 平成 25 年改正による課徴金額 (1) 他人の計算によるインサイダー取引のうち、資産運用業者に該当する場合 平成 25 年改正により、「他人の計算」によるインサイダー取引のうち、運用対象財産の運 用として当該売買等を行った者(資産運用業者)による場合は、「当該売買等をした日の属 する月(当該売買等が2以上の月にわたって行われたものである場合には、これらの月のう ち最後の月)における当該運用対象財産のうち「内閣府令で定めるもの」の運用の対価に 相当する額として「内閣府令で定める額」に3を乗じて得た額」が課徴金とされました(金 商法 175 条1項3号イ)。 「内閣府令で定めるもの」は、以下の投資運用業(金商法 28 条4項)に該当する行為の 区分に応じて次のとおり定められている(課徴金府令1条の 21 第1項)。 ① 登録投資法人との資産運用契約に係るもの(投資運用業(金商法 28 条4項1号に掲げ

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21 る行為)のうち、同法2条8項 12 号イに掲げる契約に係るもの) 当該契約の相手方である登録投資法人から違反者が当該契約に基づき委託を受けて運 用を行う金銭その他の財産のうち、当該売買等(「算定対象取引」)に係る利益又は損 失が帰属するもの。 ② 投資一任契約に係るもの(金商法 28 条4項1号に掲げる行為のうち、同法2条8項 12 号ロに掲げる契約に係るもの) 投資一任契約の相手方から違反者が当該投資一任契約に基づき委託を受けて運用を行 う金銭その他の財産のうち、「算定対象取引」に係る利益又は損失が帰属するもの ③ 投資信託委託業(金商法 28 条4項2号(同法2条8項 14 号に掲げる行為)) 投資証券若しくは投資法人債券又は外国投資証券(金商法2条1項 11 号)に掲げる有 価証券に表示される権利を有する者から違反者が拠出を受けて運用を行う金銭その他 の財産のうち、「算定対象取引」に係る利益又は損失が帰属するもの ④ 自己運用業(金商法 28 条4項3号(同法2条8項 15 号)に掲げる行為) 信託受益権(法2条2項1号・2号)や集団投資スキーム持分(法2条2項5号・6 号)などの権利者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産のうち、算定対象取引 に係る利益又は損益が帰属するもの。 「内閣府令で定める額」は、「算定対象取引」が行われた日の属する月について違反者に 上記の投資運用業の区分に応じて財産の運用の対価として支払われ、又は支払われるべき金 銭その他の財産(「運用報酬」)の価額の総額です(課徴金府令1条の 21 第2項)。 投資信託委託業(上記③)の場合は、当該受益証券の募集の取扱い又は私募の取扱いの対 価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産は除かれます。 「運用報酬」は、(i)運用報酬の算定の基礎となる期間(「運用報酬算定期間」)が1月を 超える場合は当該運用報酬を当該運用報酬算定期間の月数で除す方法、(ii)運用報酬算定期 間に係る運用実績に基づいて運用報酬が算定されるときには当該算定対象取引が行われた 日の属する月の運用実績に基づいて算出する方法その他の合理的な方法により算出した額 となります。 なお、運用報酬の総額が算出できない場合は、当該「算定対象取引」をした価格にその数 量を乗じた額を 10 で除した額とします。 (2) 他人の計算によるインサイダー取引のうち、資産運用業者に該当しない場合 これに対して、「他人の計算」によるインサイダー取引のうち、資産運用業者以外のもの による場合(②)は、改正前と同様に、「当該売買等に係る手数料、報酬その他の対価の額 として内閣府令で定める額」とされました(金商法 175 条1項3号ロ)。 「内閣府令で定める額」は、「算定対象取引」について金融商品取引行為の対価として違 反者に支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産の価額(当該価額が「算定対象取引」 ごとに計算される場合以外の場合は、当該価額に基づき、当該価額の算定の基礎となる期間

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における算定対象取引に係る金融商品取引契約に基づく取引総額に占める算定対象取引の 総額の割合に応じて按分する方法その他の当該金融商品取引契約に係る取引の状況に応じ た合理的な方法により算出した額)の総額です(課徴金府令1条の 21 第3項)。

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23 Q 平成 25 年改正により、違反行為を行った者の氏名等の公表されることになりますが、 どのような場合に公表されますか。 A 「情報伝達・取引推奨行為に関わった役職員(補助的役割を担った者を除く)」、「違反行 為を反復して行った者」、「取引上の立場を利用して重要事実を要求するなどにより、違反行 為を行った者」などについてインターネット等で公表されることになります。 【解説】 1 違反者の氏名等の公表 平成 25 年改正により、内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当である と認めるときは、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為(「法令違反行為」)を 行った者の氏名その他法令違反行為による被害の発生若しくは拡大を防止し、又は取引の公 正を確保するために必要な事項をインターネットの利用その他適当な方法により公表する ことができことになります(金商法 192 条の2、金融商品取引法令に違反する行為を行った 者の氏名等の公表に関する内閣府令)。 2 違反行為の具体例 金融庁の金融審議会が平成 24 年 12 月 25 日に公表した「インサイダー取引規制に関する ワーキング・グループ」報告書によれば、「法令違反行為」としては、以下の行為が該当す るとされています。 ○情報伝達・取引推奨行為に関わった役職員(補助的役割を担った者を除く) ○違反行為を反復して行った者(相場操縦等の違反行為も同様) ○取引上の立場を利用して重要事実を要求するなどにより、違反行為を行った者 3 法令違反行為が認められた場合以外の氏名等の公表措置 行政機関による氏名等の公表は、基本的に行政処分には該当しないため、本来、法令上の 根拠がなくてもできるものと考えられます。 もっとも、法令違反行為を行った者の氏名等の公表は、対象者の社会的信用等に影響を与 えるものであり、特に課徴金事案に係る違反行為者は、必ずしも法令上の参入規制に服して いる資格者ではないこと等から、金商法 192 条の2において特別に法令上の根拠を設けるこ ととしたものです。したがって、金商法 192 条の2は、法令違反行為が認められた場合以外 における氏名等の公表措置を禁止するものではないと考えられます。(内閣府令パブコメ回 答 20 頁 69 番) 従前から、適格機関投資家等特例業務届出者においては、法令違反事実に該当しない資金 流用等の事実が認められた場合にも、証券取引等監視委員会および金融庁において当該届出 者の氏名等の公表を行っています。

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24 Q 平成 25 年改正法により、インサイダー取引に関する課徴金調査を実行あらしめるため にどのような制度が設けられましたか。 A 課徴金調査として物件提出を求めることが可能となると共に、官公署への照会規定が整 備されました。また、情報伝達・取引推奨行為を調査するため必要があるときにも犯則調査 が可能となりました。 【解説】 1 課徴金調査 平成 25 年改正法の施行前(平成 26 年4月1日より前)は、課徴金調査として、①事件関 係人若しくは参考人に出頭を求め、質問をし、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴す ること、及び、②事件関係人の営業所その他必要な場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件 を検査することが認められていました(金商法 177 条)。 平成 25 年改正法の施行後(平成 26 年4月1日以降)は、これらに加えて、「事件関係人 に対し帳簿書類その他の物件の提出を明示、提出物件を留めて置くこと」が認められました (同条1項2号)。これにより、取引の記録、情報伝達の裏付け証拠を確保することが可能 となります。 また、内閣総理大臣は、課徴金調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事 項の報告を求めることができることになりました(同条2項)。これにより、違反行為者の 所在等を確認することが可能となります。 2 犯則調査 平成 25 年改正法の施行により、証券取引等監視委員会の職員は、犯則事件として、情報 伝達・取引推奨行為を調査するため必要があるときは、犯則嫌疑者若しくは参考人に対して 出頭を求め、犯則嫌疑者等に対して質問し、犯則嫌疑者等が所持し若しくは置き去った物件 を検査し、又は犯則嫌疑者等が任意に提出し若しくは置き去った物件を領置することができ ることになりました(金商法 210 条1項、同法施行令 45 条2号)。

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25 Q 平成 25 年改正法により、上場投資法人に対するインサイダー取引規制が設けられた背 景について教えてください。 A 上場投資法人(J リート)の実際の価格動向を見ると、例えばスポンサー企業の変更等 によっても相当程度変動しており、こうした情報が公になる前に知り得る立場の人が当該情 報を知って取引を行えば、証券市場の公正性・健全性に対する投資家の信頼を害するおそれ があることや、海外先進国での規制を参考に、平成 25 年改正法において上場投資法人に対 するインサイダー取引規制が設けられることになりました。 【解説】 1 上場投資法人がインサイダー取引規制の対象外とされてきた背景 平成 25 年改正法が施行前(平成 26 年4月1日より前)は、投資法人(投信法2条 12 項) の投資証券(同条 15 項)は、原則として、インサイダー取引規制の対象とされる「特定有 価証券等」(金商法 166 条 1 項、163 条 1 項、金商法施行令 27 条の 3、27 条の 4)には該当 しませんでした。 インサイダー取引規制の対象外とされていた背景は、投資口について運用資産の純資産価 額に基づく価格形成が行われ、インサイダー取引の余地が比較的小さいと考えられます。す なわち、投資法人は、株式会社である一般の上場会社等とは異なり、簡素な仕組みを旨とし ており、構成する資産から算出される純資産価格(NAV)が投資口価格を根拠づけます。 また、金商法 157 条の不正行為の禁止に関する規定は投資証券にも適用あることから、不 公正取引については、同条の規定により対処すればよいと考えられていました。 2 金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」最終 報告 上記1の理由により、金商法(平成 19 年9月 30 日より前は証券取引法)では、上場投資 法人がインサイダー取引の対象外とされてきました。 しかしながら、上場投資法人(J リート)の実際の価格動向を見ると、例えばスポンサー 企業の変更等によっても相当程度変動(ボラティリティ)しており、こうした情報が公にな る前に知り得る立場の人が当該情報を知って取引を行えば、不公正取引で利益を得る可能性 が存在し、証券市場の公正性・健全性に対する投資家の信頼を害するおそれがあります。 また、諸外国では、一般に、上場投資法人(REIT)に係る投資証券に相当するものはイン サイダー取引規制の対象とされています。さらに、我が国の多数の上場投資法人は、投資証 券がインサイダー取引規制の対象外であることをリスクとして投資家に説明しています。 これらの事情を踏まえ、金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキン グ・グループ」最終報告(平成 24 年 12 月7日)7においては、「これらの事情を踏まえ、投 7 http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20121212-1.html

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資法人特有の事情を考慮しつつ、上場投資法人に係る投資証券の取引をインサイダー取引規 制の対象とすることが適当である。」とされました。

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27 Q どのような上場投資法人等においては、どのような者が「会社関係者等のインサイダー 取引」(金商法 166 条)の「会社関係者」に該当しますか。 A 不動産等への投資が資産の 50%を超える「上場投資法人等」に該当しますが、①上場投 資法人等、②上場投資法人等の資産運用会社、③上場投資法人等の「特定関係法人」、の「役 員等」や「契約締結・交渉者」などが「会社関係者」に該当します。 【解説】 1 「上場投資法人等」 新たに「上場会社等」に該当する投資法人(投信法2条 12 項、「上場投資法人等」)は、 投信法上の投資証券又は投資法人債券で、金融商品取引所に上場されており、又は店頭売買 有価証券8若しくは取扱有価証券9に該当するものの発行者のうち、以下の資産要件に該当す るものです(金商法 163 条1項)。 資産要件(金商法施行令 27 条2号イ・ロ) イ その資産の総額の 50%を超える額を「不動産等資産」(不動産、不動産の賃借権、地 上権及びこれらの資産のみを信託する信託の受益権をいいます。)10(取引規制府令 27 条2項、投信法施行規則 105 条1号へ)に対する投資として運用することを規約 に定めた投資法人 ロ 最近営業期間(投信法 129 条2項)の決算において投資法人の資産の総額のうちに 占めるイに規定する資産の価額の合計額の割合が 50%を超える投資法人(取引規制 府令 27 条3項) いわゆる J リートと呼ばれる証券取引所に上場されている上場投資法人が対象となりま す。 2 「上場投資法人等」における「上場会社等」 「会社関係者等インサイダー取引規制」(金商法 166 条)においては、「上場投資法人等」 8 「店頭売買有価証券」とは、金商法 67 条の 11 第1項の規定により店頭売買有価証券登録 原簿への登録を受けた有価証券をいいます(金商法2条8項 10 号ハ)。JASDAQ は現在のよ うな大阪証券取引所が運営する証券取引所になる以前は、日本証券業協会が運営する店頭 売買有価証券市場(金商法 67 条2項)でしたが、現在はこれに該当するものはありません。 9 「取扱有価証券」とは、当該認可協会がその規則において、売買その他の取引の勧誘を行 うことを禁じていない株券、新株予約権付社債券その他内閣府令で定める有価証券(金融 商品取引所に上場されている有価証券及び店頭売買有価証券を除く。)をいいます(金商法 67 条の 18 第4号)。日本証券業協会は、「グリーンシート銘柄及びフェニックス銘柄に関す る規則」において、取扱有価証券について定めています。 10

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28 のほか、「上場投資法人等の資産運用会社」及び「上場投資法人等の特定関係法人」が「上 場会社等」に該当します(金商法 166 条1項1号)。 「上場投資法人等」における「上場会社等」(金商法 166 条) ①上場投資法人等 ②上場投資法人等の資産運用会社 ③ 上場投資法人等の「特定関係法人」 「上場投資法人等の資産運用会社」(②)を「上場会社等」に含めるのは、投資法人では、 主として業務委託先である資産運用会社で取得物件に関する重要情報の取得・保有・管理が 行われており、規制対象とする取引主体の範囲を定めるにあたり、資産運用会社を「投資法 人の契約締結先」との位置付けではなく、投資法人自体と同様に取り扱うことが適当である との考え方に基づくものです(金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワー キング・グループ」最終報告)。 また、「上場投資法人等の特定関係法人」(③)を「上場会社等」に含めるのは、スポンサ ー企業については、上記のような価格の変動が見られることに加え、人員・ノウハウや投資 対象物件の提供等の面で大きな役割を果たしていることも踏まえ、規制の対象とすべきであ る。これにより、投資法人及び資産運用会社に加え、スポンサー企業の関係者がその職務等 に関し、重要事実を知った場合及びこれら関係者からの情報受領者を規制対象とすることが 適当であるとの考え方に基づくものです(金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに 関するワーキング・グループ」最終報告)。「特定関係法人」の定義については、下記3をご 覧ください。 3 「特定利害関係人」 上記2のとおり、「上場投資法人等」の「特定関係法人」も、「会社関係者等インサイダー 取引規制」(金商法 166 条)における、「上場会社等」に該当します。 「特定関係法人」(金商法 166 条5項)には、以下のものが該当します。上場投資法人等 の資産運用会社のスポンサー(下記①)や上場投資法人等の運用の対象となる特定資産の価 値に重大な影響を及ぼす取引を行う利害関係法人等(下記②)が該当します。 ①上場投資法人等の資産運用会社を支配する会社(金商法 166 条5項1号、金商法施行令 29 条の3第2項) 上場投資法人等が提出した、(i)有価証券届出書、(ii)有価証券報告書、(iii)四半期報告 書若しくは半期報告書で公衆の縦覧に供されたもの、(iv)特定証券情報、(v)発行者情報、 のうち、直近のものにおいて上場投資法人等の資産運用会社の親会社として記載され、又 は記録された会社

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29 ②上場投資法人等の資産運用会社の利害関係人等のうち、当該資産運用会社が当該上場投 資法人等の委託を受けて行う運用の対象となる特定資産の価値に重大な影響を及ぼす取引 を行い、又は行った法人(金商法 166 条5項2号、金商法施行令 29 条の3第3項) 上場投資法人等が提出した、(i)有価証券届出書、(ii)有価証券報告書、(iii)四半期報 告書若しくは半期報告書で公衆の縦覧に供されたもの、(iv)特定証券情報、(v)発行者情報、 のうち、直近のものにおいて、資産運用会社の「利害関係人等」(投信法 201 条1項)のう ち、下記の「当該資産運用会社が当該上場投資法人等の委託を受けて行う運用の対象とな る特定資産の価値に重大な影響を及ぼす取引」(右欄の「重要性の基準」を満たすものに限 る)を行い、又は行った法人として記載され、又は記録された法人 ○「利害関係人等」(投信法 201 条1項、投信法施行令 123 条、投信法施行規則 244 条の3) ・当該資産運用会社の親法人等(資産運用会社の親会社(間接親会社を含む)及びその 子会社・関連会社) ・当該資産運用会社の子法人等(資産運用会社の子会社・関連会社) ・当該資産運用会社の特定個人株主(資産運用会社の総株主等の議決権の 50%を超え る議決権を保有する個人) ・当該資産運用会社の主要株主(資産運用会社の総株主の議決権の 20%以上を保有す る者等) ○当該資産運用会社が当該上場投資法人等の委託を受けて行う運用の対象となる特定資産 の価値に重大な影響を及ぼす取引 取引の種類(金商法施行令 29 条の3第3項) 重要性の基準(取引規制府令 55 条の8) ア 不動産等の取得又は譲渡の取引 「前営業期間の末日から過去3年間にお いて当該上場投資法人等が当該利害関係 人等との間でア及びイに掲げる取引の対 価として支払い、又は受領した金額の合 計額」が「前営業期間の末日から過去3 年間において当該上場投資法人等がア及 びイに掲げる取引の対価として支払い、 又は受領した金額の合計額」の20%以 上であること ※例えば、平成 27 年1月1日から同年6 月 30 日を計算期間とする投資法人が、平 成 24 年1月1日から平成 26 年 12 月 31 日までに、不動産の取得の取引の対価と イ 不動産等を信託する信託の受益権の取 得又は譲渡の取引

参照

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