• 検索結果がありません。

Medical Tribune 2008年7月10日号特別企画

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Medical Tribune 2008年7月10日号特別企画"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Medical Tribune 2008年 7 月10日号特別企画より転載

シリーズ構成

第 1 回:抜歯,歯周手術時(08年3月6日号)

第 2 回:消化器内視鏡治療時

第 3 回:眼科手術時

第 4 回:整形外科・泌尿器科手術時

天理よろづ相談所病院消化器内科

岡野明浩

弘前大学医学部附属病院輸血部副部長

玉井佳子

国立病院機構九州医療センター脳血管内科科長

矢坂正弘

出席者 (発言順) 司 会

(2)

 消化器内視鏡術には出血リスクがほぼゼロの通常検査から,出血頻度の

高い内視鏡的粘膜下層剝離術までさまざまな手技があり,そうした場合

の抗血栓療法をどう行うかが現場での大きな問題になっている。そこで,

シリーズ「抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える−それは本当に必要か」

第2回では,この問題をテーマに取り上げて座談会を行った。

 討論のなか,日本と米国のガイドラインには大きな相違があること,

日本では2005年に消化器内視鏡学会の指針が発表されて以降,生検時の

休薬が増えたことなどの実情が明らかになった。対策としては,抗血栓療

法例ではまず観察のみ行い必要があれば休薬して生検や観血的手技を行う

こと,血栓・塞栓症リスクの高い症例ではヘパリンによる代替療法を考える

こと,消化器内視鏡医と抗血栓療法担当医の連携が不可欠であることなどが

示された。

内視鏡後の脳梗塞発症率 0.02%が

ワルファリン休薬・減量例で 1.06%……… 3

日本消化器内視鏡学会の指針の

発表以降,生検時休薬例が増加……… 3

米国消化器内視鏡学会指針

;生検時の休薬は行わない……… 4

抗血小板薬と抗凝固薬では

出血の傾向がかなり異なる……… 5

抗血栓療法例ではまず通常検査

必要ならば休薬後に生検を行う……… 6

(3)

内視鏡後の脳梗塞発症率0.02%が

ワルファリン休薬・減量例で1.06%

矢坂 近年,日本では脳梗塞や心筋梗

塞が急増しています。その予防におけ

る抗血栓療法の有用性は明らかで,抗

血小板薬は脳梗塞やTIA*の再発を22

%,急性期の再発を11%減らします。

ワルファリンは非弁膜症性心房細動

(NVAF)例の脳梗塞発症率を7割近く

下げます。こうした効果から抗血栓療法を受ける患者も増

えており,日本では100万人がワルファリンを,300万人以

上がアスピリンを服用しています。

*transient ischemic attack

 一方,消化器内視鏡治療はさまざまな手技が盛んに行

われています。このため抗血栓療法中に内視鏡手技を受

ける例も目立ち,その際の休薬の必要性や期間が問題とな

ります。私は,脳卒中専門医の立場から休薬のリスクを説

明したいと思います。

 Blackerらは内視鏡施行16万5千例を調査し,30日以内

の脳梗塞発症率は全体では0.02%,ワルファリン継続438

例では発症がなく,休薬・減量した987例では1.06%と報

告しました。すなわち,ワルファリンを休薬・減量すると

脳梗塞リスクが著明に上昇するということです。岡野先生

も,こうした例を経験されたとうかがいました。

岡野 私は消化器臨床をしていますが,ある症例を経験

したことで休薬問題を考えるようになりました。

 患者は70歳代男性,十数年前から高血圧と糖尿病,

NVAFがあります。10年前に右閉塞性動脈硬化症でステ

ント留置術を受け,

2年前に脳梗塞を生じました。ワルファ

リン,ジピリダモールと降圧薬を服用中です。

 この方が貧血を指摘され,精査目的で

上部消化管内視鏡検査を受けることにな

りました。抗血栓薬は継続して検査だけ

を行ったところ,胃前庭部前壁に早期胃

癌を疑う病変が見つかりました。この方

の抗血栓療法担当科である心臓外科に相

談し,米国消化器内視鏡学会指針に基づ

き血栓・塞栓症低リスクと評価。3日前

にワルファリン,前日にジピリダモールを

中止し内視鏡の再検,生検を行いました。

ワルファリンは翌日から再開しましたが,

4日後に「ふらついて呂律が回らない」

と来院。頭部MRIで

右小脳半球上部に急性期梗塞病変を指摘されたのです。

この方は保存的治療で軽快し,元気に退院されました。

矢坂 画像からはご指摘の通り,ワルファリン休薬で血栓

ができたための脳梗塞発症と思われますね。

岡野 脳梗塞の既往と背景の動脈硬化症を考慮して対処

すべきだったと反省しました。これを契機に,当院の指針

を作成することにしました。

日本消化器内視鏡学会の指針の

発表以降,生検時休薬例が増加

矢坂 玉井先生は,抗血小板療法の実態調査をなさって

おられます。

玉井 私たちは2004年に,教室と関連施設でアンケートを

行いました。対象は,内視鏡経験3年以上,年間施行数20

件超の内科医81名です。観血的内視鏡手技施行前の抗血

小板薬休薬の有無を尋ねると,ポリペクトミーやEMR

*1

EST

*2

という出血の多い手技では,95%以上が「休薬する」

でした。ERCP

*3

や生検などの出血が比較的少ない手技で

も「休薬する」がほぼ半数を占めました

(表1)。

* 1

endoscopic mucosal resection

* 2

endoscopic sphincterotomy

* 3

endoscopic retrograde cholangiopancreatography

 休薬期間については,

4分の3以上が「7日以上休む」と

答えました。出血の偶発症は7例,いずれもポリペクトミ

ーなどの高リスク手技で生じましたが,クリッピングや輸

血で改善しました。血栓塞栓症の発症も7例に見られまし

た。全例がアスピリン休薬の4日目以降に発症しており,

片麻痺,死亡,救急搬送後不明が各1例でした。

矢坂 生検時は,継続と休薬が半々だったのですね。実

矢坂

表 1. 観血的内視鏡手技施行時の抗血小板療法の実態(弘前大学関連病院)

(石澤知子ら:Gastroentel Endosc 48:1102‒1108, 2006) ERCP 生検 拡張術・ステント挿入術 ポリペクトミー・EMR EST 10 39 52 78 72 (12.3) (48.1) (74.3) (96.3) (97.3) 71 42 18 3 2 (87.7) (51.9) (25.7) (3.7) (2.7) 10 39 52 79 73 (12.3) (48.1) (74.3) (97.5) (98.6) 71 42 18 2 1 (87.7) (51.9) (25.7) (2.5) (1.4) 回収率:84.4%(81人/ 96人) 休薬する 人数(%) 休薬しない人数(%) アスピリン 休薬する 人数(%) 休薬しない人数(%) チクロピジン

(4)

は私も2007年に同様の調査をしています。国立病院機構

の医師と,J-MUSIC

という脳梗塞の登録研究を行った脳

卒中専門医にアンケート用紙を送りました。

Japan Multicenter Stroke Investigators' Collaboration

 まず,生検時の抗血栓療法について尋ねると,NVAF

のある心原性脳塞栓症既往例におけるワルファリン服用

は,

「中止」が65%でした。機械弁を入れた脳塞栓症既往

例では,継続とヘパリン置換が増えます。頸動脈狭窄例

の抗血小板薬は,半分以上が「中止」と回答(図)。国立病

院機構の消化器医に問うと,生検時は95%,ポリープ切除

時は92%がワルファリンを休薬。抗血小板薬も生検時は84

%,ポリープ切除時は91%が休薬するとのことです。

 再開について聞くと,生検後のワルファリンは3日以内

が多く,抗血小板薬も同様です。ポリープ切除術になると,

1週間後が目立ちます。

 玉井先生の成績とこの結果を比べると,特に生検時の

休薬率が上昇しています。2005年に日本消化器内視鏡学

会の指針が出て,生検を含む低リスク手技でも抗凝固薬,

抗血小板薬とも休薬が推奨されています。その影響が大

きいのかもしれません。

米国消化器内視鏡学会指針

;生検時の休薬は行わない

矢坂 内視鏡下で観血的手技を行う場合,多くの施設で

抗血栓療法を中断している現状が分か

りました。そうなると,個々の例で血

栓・塞栓症リスクを評価し,代替療法

の必要性を考えることが大切になりま

すね。

岡野 まず内視鏡手技のリスク評価に

ついて,米国消化器内視鏡学会の指針

(2002)

と,日本消化器内視鏡学会の指

針(2005)を示します(表2)。米国版で

は,スコープを挿入し造影するだけの

通常検査は低リスクに分類されます

が,日本版では無リスクです。生検は

両者とも低リスクです。高リスクはよ

く似ていますが,日本版には早期の胃

癌,食道癌,大腸癌に行われるEMR,

ESD

が挙げられています。

endoscopic submucosal dissection

 

 当院のデータで出血頻度を見ると,

EMRの後出血率は5%,ESDは4%,

ポリペクトミー,ESTは2%程度です。

一方,生検で出血するのは0.05%前後

です。つまり,後出血率が数%の手技

が高リスク,0.1%以下のものが低リス

クと分類されていると言えます。

 そして米国版では,手技リスクにかかわらずアスピリン

は継続。チクロピジンやワルファリンも低リスク手技では

継続することが推奨されています。

矢坂 米国では生検時もワルファリンやアスピリンを続け

るのですね。

岡野 その通りです。対照的に日本版では,手技リスクに

かかわらずワルファリンやアスピリンを3日は休むとされ

ています(表3)。

矢坂 それは大きな相違ですね。次に,抗血栓療法の原

疾患リスクについて説明していただけますか。

玉井 米国版指針では原疾患リスクを高と低に分類。心

臓弁膜症を伴う心房細動,血栓塞栓症既往例での機械弁

などを高リスク原疾患例としています(表4)。こうした例

で高リスク手技を行う場合,ワルファリンは3〜5日前に

休薬し,ヘパリン置換を考慮します。これに対して低リス

ク原疾患例では,抗凝固療法を4〜7日間中止しても血栓

塞栓症の絶対リスクは1,000例当たり1〜2件として,原疾

患分類の根拠としています。なお,日本版での原疾患分

岡野

図. 内視鏡下生検施行時の抗血栓療法の実態(J-MUSIC参加施設,国立病院機構)

(矢坂正弘ら:脳と神経 58:871‒876, 2007, 医学のあゆみ 225:178‒179, 2008) NVAF+脳梗塞 ワルファリン療法中 頸動脈狭窄 抗血小板薬療法中 機械弁+脳梗塞 ワルファリン療法中 J-MUSIC, 103例 脳卒中診療医師(専門医多数) 国立病院機構,26例 脳卒中診療医師 中止 継続 ヘパリン その他 回答なし 0% 66% 7% 24% 3% 30% 17% 5% 1% 47% 57% 17% 17% 0% 9% 65% 8% 15% 4% 8% 23% 19% 38% 12% 8% 53% 27% 8% 4% 8%

(5)

類も米国版によく似ています。

 しかし,ご存じのように血栓塞栓症は一度発症すると重

篤になり,それは原疾患が低リスクでも高リスクでも変わ

りません。私は,一次予防か,既往のある二次予防かとい

う点も重要だと考えます。

抗血小板薬と抗凝固薬では

出血の傾向がかなり異なる

矢坂 続いて出血の実態をうかがいます。やはり,抗血栓

薬を中止しないと出血で難渋されるのですか。

岡野 当院では,日本版指針が出る前からワルファリンも

抗血小板薬も中止して処置を行っていますから,休薬なし

で止血に困った経験はありません。休薬せずESDを行い

止血に困った他院の例は,聞いたことがあります。粘膜下

層を剝離,血管を露出させる手技ですから,相当の出血が

予測されます。

玉井 抗血小板療法と抗凝固療法では出血傾向がかなり

異なります。抗凝固療法のワルファリン例では,止血した

かに見えて再出血するといった止血困難を生じます。一

方,抗血小板療法のアスピリンでは少量の出血が持続しま

す。私たちは,抗血小板療法時の出血パターンについて

分析を行いました。

 出血量と出血時間を定量化する機械を開発。分析を行

うと,出血パターンが4種に分類できました。出血量が減

らないまま持続するパターンでは,臨

床的にも出血傾向が強く,しばしば輸

血を要します。これに対して抗血小板

薬内服者は,微量出血が続き出血時間

は延びますが,総出血量は軽度増加に

留まります。直腸粘膜を傷つけ出血時

間を見た検討からは,アスピリンは出

血時間を延ばすが,皮膚出血より延長は短いことが分かり

ました。

矢坂 岡野先生,抗凝固療法の休薬期間についてはいか

がでしょうか。

岡野 私たちは,日米の内視鏡学会の指針に加え,自治

医科大学版などを参考に当院の指針を作りました。手技3

日前にワルファリンを中止,処置終了6時間後に再開し,

原疾患高リスク例はヘパリンを用います。原疾患のリスク

分類では,血栓塞栓症の既往が高リスクである点を加味

表 2. 米国と日本の指針における内視鏡手技のリスク分類

(日本消化器内視鏡学会:Gastroentel Endosc 47:2691‒2695, 2005) (米国消化器内視鏡学会:Gastrointestinal Endosc 55:775‒779, 2002) ●超音波ガイド下穿刺 ●消化管ブジー拡張 ●レーザー治療 ●ポリペクトミー ●EST ●PEG ●胃食道静脈瘤治療 米国学会 高リスク手技 ●上下部消化管検査,生検 ●ERCP検査 ●超音波内視鏡 ●小腸鏡 ●膵,胆道ステント 低リスク手技 ●超音波ガイド下穿刺 ●消化管ブジー拡張 ●粘膜切除法(EMR,ESD) ●ポリペクトミー ●EST ●PEG ●胃食道静脈瘤治療 ●生検 ●粘膜凝固 ●マーキング ●クリッピング ●消化管,膵,胆道ステント 本邦学会

表 3. 日本版指針におけるワルファリンと抗血小板薬の扱い

(日本消化器内視鏡学会:Gastroentel Endosc 47:2691‒2695, 2005) ワルファリン ワルファリンを3∼4日前に中止,INR1.5以下を確認して手技 血栓・塞栓症リスクの高い症例ではヘパリン置換考慮 (弁膜症+心房細動,僧帽弁機械弁置換,機械弁+塞栓歴) 抗血小板薬 生検:アスピリンは3日,チクロピジンは5日,併用は7日中止 手術:アスピリンは7日,チクロピジンは10∼14日中止 高リスク疾患では,脱水の回避とヘパリン投与考慮

表 4. 米国版指針における抗血栓療法の原疾患リスク分類

(米国消化器内視鏡学会:Gastrointestinal Endosc 55:775‒779. 2002) 高リスク原疾患: ●心臓弁膜症を伴う心房細動 ●僧帽弁部位の機械弁 ●血栓塞栓症イベントの既往を有する患者における機械弁 低リスク原疾患: ●深部静脈血栓症 ●心臓弁膜症を伴わない単純性/一過性心房細動 ●生体弁 ●大動脈弁部位の機械弁

玉井

(6)

し,米国分類より厳しくしました

(表5)。

矢坂 簡明かつ具体的ですね。抗血小板薬についてはい

かがですか。 

玉井 先の検討から私たちは,抗血小板薬で出血時間は

延びるが総出血量増加は少ないため,休薬は不要ではな

いかとの仮説を立て検討を行いました。

 健康な男性11名にアスピリン,チクロピジン,両薬併用

を1週間続け,出血の量,時間,パターンを見ました。す

ると,どの薬でも総出血量は内服前の4〜7倍に増え,中

等度出血の続くパターンが多かったため,

「日本人では一

定期間の休薬が必要」と結論しました。内服前と有意差が

消失し,出血傾向がなくなるのはアスピリンで休薬3日後,

チクロピジン5日後,併用時は7日後でした。

矢坂 これが日本版指針の休薬期間の根拠となったわけ

ですね。

抗血栓療法例ではまず通常検査

必要ならば休薬後に生検を行う

矢坂 最後に,本日のポイントをまとめます。内視鏡では

通常検査と生検を同時に行うことがありますが,抗血栓療

法例ではどうされますか。

岡野 まずリスクのない通常検査だけを行い,必要があ

れば休薬後に改めて生検を行うことを原則としています。

矢坂 抗凝固療法では血栓症リスクをきちんと評価し,高

リスクならヘパリン置換を行うということでした。

 一方,抗血小板療法は対象の幅が広く一律に扱えない。

一次予防か二次予防かが,リスク評価のポイントとなりそ

うです。このとき,抗血小板薬をヘパリンで代替する方法

がありますが,どう評価されますか。

玉井 両者の作用機序はまったく違います。ただ,血小

板が単独で作る血栓(一次血栓)は脆く,これを強固な血

栓(二次血栓)

にするのが“凝固”です。そう考えると,理に

適っていると言えますね。

矢坂 頸動脈高度狭窄病変では赤色血栓も観察されます

から,抗血小板薬のヘパリン置換は有効かもしれません。

次に,休薬に関する患者説明はどの科の医師が行っていま

すか。

岡野 当院では,内視鏡を必要と判断し検査を依頼した

消化器医に,説明の義務があるとしています。

玉井 消化器医は出血リスクは十分に説明できますが,血

栓症リスクの説明には自信がありません。診療科の間での

連携が重要だと思います。

岡野 私たちは,必ず抗血栓療法担当科に対診を出し,

返事をカルテに残しています。抗血栓薬を出しているのが

他院の先生なら,一度受診して照会状に返事をもらいま

す。「受診した」,

「双方で説明した」という形を取っておく

べきだと思います。

玉井 大事な点ですね。ときどき,電話でやりとりしてし

まい,記録が何もないという問題が生じます。

矢坂 最後にガイドラインについてですが,今日のような

テーマでは,学会間の連携が必須になりますね。

岡野 循環器学会ガイドライン(2004)では,内視鏡手技

は生検も含めすべて高リスクとなっています。他科から見

て実態に即していない点はあります。

矢坂 開かれた討論,外部評価委員の導入などが求めら

れますね。

岡野 学会が作るガイドラインは考え方を提示するもので

あって,詳細な内容には触れていません。エビデンスがな

いことは書けませんし,訴訟の際に問題となる可能性も影

響しているのでしょう。細かな事項については,各施設で

独自に対応せざるを得ません。

矢坂 詳しいガイドラインが必要ですが,それが独り歩き

する危険性も大きい。これも難しい問題ですね。

 今日は,消化器内科の先生方と抗血栓療法時の休薬と

再開について話し合うなか,現時点での考え方と課題が明

らかになりました。いろいろな場で,今日のような討論が

行われることが大事だと感じています。

表 5. 抗凝固薬の中止再開指針(天理よろづ相談所病院)

(岡野明浩ら:消化器内視鏡 19:1195‒1200, 2007) 高リスク原疾患※のとき ●3日前からワルファリンを中止し,  ヘパリン1万∼1万5千単位/日を持続 ●ヘパリンは処置開始4時間前に中止 ●高リスク手技時はINRが1.5以下を確認のうえ,処置を行う ●処置終了6時間後からワルファリンを再開,同時にヘパリンを再開 ●3日後ヘパリンのみ中止(or INRが2.0以上になったら中止) 低リスク原疾患※※のとき ●3日前からワルファリンを中止 ●高リスク手技時はINRが1.5以下を確認のうえ,処置を行う ●処置終了6時間後からワルファリンを再開 ※高リスク原疾患 ●血栓塞栓の既往のある心房細動 ●血栓塞栓の既往のある弁膜症 ●血栓塞栓の既往のある心筋症 ●弁膜症のある心房細動 ●機械弁による弁置換術後 ●再発性深部静脈血栓症/肺塞栓症 ●冠動脈疾患 (薬剤溶出性ステント留置後半永久的(特に3か月以内),  ベアメタルステント留置後1か月以内) ※※低リスク原疾患 ●深部静脈血栓症/肺塞栓症 ●合併症のない心房細動 ●生体弁による弁置換術後 ●冠動脈疾患(CABG後) ●慢性動脈閉塞症 ●末梢人工血管術後

(7)

錠0.5mg:1錠中にワルファリンカリウム0.5mgを含有する淡黄色の割線入り素錠である。添加物と して黄色三二酸化鉄、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、低置換度ヒドロキシプロピル セルロース、乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。 識別コード[ 255]直径7.6mm・質量144mg・厚さ2.8mm 錠1mg:1錠中にワルファリンカリウム1mgを含有する白色の割線入り素錠である。添加物として結晶 セルロース、ステアリン酸マグネシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖水和物、 ヒドロキシプロピルセルロースを含有する。 識別コード[ 256]直径8.1mm・質量190mg・厚さ3.1mm 錠5mg:1錠中にワルファリンカリウム5mgを含有するわずかに赤味をおびた橙色の割線入り素錠で ある。添加物として黄色5号アルミニウムレーキ、ステアリン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、 乳糖水和物、ポビドンを含有する。 識別コード[ 257]直径9.1mm・質量250mg・厚さ3.0mm 日本標準商品分類番号 873332 〔貯  法〕 室温保存 バラ包装は、開栓後は光を遮り保存すること (光により変色及び含量の低下を認めることがある)。 〔使用期限〕 外箱又はラベルに表示の使用期限内に使用すること。 日本薬局方ワルファリンカリウム錠 処方せん医薬品:注意―医師等の処方せんにより使用すること 【警  告】 本剤とカペシタビンとの併用により、本剤の作用が増強し、出血が発現し死亡に至ったとの 報告がある。併用する場合には血液凝固能検査を定期的に行い、必要に応じ適切な処置を行う こと。〔「相互作用」の項参照〕 組成・性状 効能・効果 血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防 用法・用量 投与量や投与回数のコントロールに用いられるのは、Quick1段法によるプロトロンビン時間の測定や トロンボテストである。 治療域は前者では正常値に対する比が2倍前後、活性に換算して15∼30%とするものが多く、後者で は10%前後とするものが多い。 投与法は、ワルファリンカリウムとして、成人初回20∼40mgを経口投与し、1両日休薬して凝固能が 治療域に入ったのを確認して1∼5mg程度の維持量を毎日1回経口投与する方法と、初めから5∼6 mgを毎日1回経口投与し、数日間をかけて治療域に入れ、以後維持量を経口投与する方法とがある。 ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるので、プロトロン ビン時間測定、トロンボテストなどを特に治療初期には頻回行い、治療域を逸脱しないよう努力する。 抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリンを併用することがある。 使用上の注意 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)肝炎、下痢、脂肪の吸収不全、慢性アルコール中毒、うっ血性心不全、敗血症、遷延性低血圧症の ある患者及び新生児のビタミンK欠乏時等〔本剤の作用が増強されることがある。〕 (2)ビタミンK摂取時等〔本剤の作用が減弱されることがある。〕 (3)悪性腫瘍の患者〔病態から凝血能の亢進状態になることがある。〕 (4)産褥婦〔出血しやすく、出血量が多くなることがある。〕 (5)甲状腺機能亢進症、又は甲状腺機能低下症の患者〔甲状腺機能異常の患者では、病態の変化又は 治療過程で甲状腺機能が正常化し、凝血能が変化することがある。その結果として本剤の作用が 見かけ上減弱、又は増強するおそれがある。〕 2.重要な基本的注意 (1)血液凝固能検査等出血管理を十分に行いつつ使用すること。 (2)初回量及び維持量は血液凝固能検査等の結果に基づき慎重に決定すること。 (3)併用注意の薬剤との併用により、本剤の作用が増強し、重篤な出血に至ったとの報告がある。 本剤の作用増強が進展あるいは持続しないように十分注意し、適切な治療域へ用量調節する こと。一方、本剤の作用減弱の場合も同様に作用減弱が進展あるいは持続しないように十分 注意すること。 (4)急に投与を中止した場合、血栓を生じるおそれがあるので徐々に減量すること。 (5)出血等の副作用のため本剤の抗凝血作用を急速に減少する必要がある場合には投与を中止すると ともに、ビタミンK製剤の投与を要することがある。なお、脳出血等の重篤な出血を発現した場合 には、必要に応じて、新鮮凍結血漿の輸注等の適切な処置も考慮すること。これらの場合にも血栓 再発に対し十分注意すること。 (6)ビタミンK製剤を投与中の患者には本剤の効果が発現しないので、本剤の治療を要する場合は、 止血目的以外のビタミンK製剤(グラケー等)を投与しないこと。 (7)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、妊娠する可能性のある婦人 に投与する場合には、事前に本剤による催奇形性、胎児の出血傾向に伴う死亡、分娩時の母体の 異常出血の危険性について十分説明すること。〔「妊婦、産婦、授乳婦への投与」の項参照〕 ワーファリン錠0.5mg………100錠(PTP・バラ)・500錠(バラ)・1,000錠(PTP) ワーファリン錠1mg………100錠(PTP・バラ)・500錠(バラ)・1,000錠(PTP) ワーファリン錠5mg………100錠(バラ) (2)フェニトイン、スルホニル尿素系糖尿病用剤(トルブタミド、クロルプロパミド等)〔相互に作用 が増強されることがあるので、併用する場合には凝血能の変動及び併用薬剤の作用増強に十分 注意しながら投与すること。〕 (3)抗甲状腺製剤〔抗甲状腺製剤は低プロトロンビン血症の報告があり、本剤の作用が増強するおそ れがある。また、甲状腺機能亢進症の患者に抗甲状腺製剤を投与することにより凝血能が変化し、 本剤の作用が見かけ上減弱、又は増強するおそれがある。〕 (4)オーラノフィン〔動物実験でオーラノフィンの急性毒性が増強されたとの報告がある。〕 4.副 作 用(頻度不明) (1)重大な副作用 1)出血 脳出血等の臓器内出血、粘膜出血、皮下出血等を生じることがある。このような場合 には、本剤の減量又は休薬、あるいはビタミンK製剤投与、新鮮凍結血漿の輸注等の適切な 処置を行うこと。また、同時に血液凝固能検査(トロンボテスト等)を行うことが望ましい。 2)皮膚壊死 本剤投与開始による早期にプロテインC活性の急速な低下が原因で、一過性の過 凝固状態となることがある。その結果、微小血栓を生じ皮膚壊死に至る可能性がある。投与 前にプロテインC活性を確認することが望ましい。 3)肝機能障害、黄疸 AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があら われることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を減量又は 休薬するなど、適切な処置を行うこと。 (2)その他の副作用 販 売 開 始 年 月 承   認   番   号 薬 価 基 準 収 載 年 月 2004年5月 2004年2月 包  装 **2008年5月改訂 *2008年1月改訂 〔薬価基準収載〕 1962年5月 1978年2月 1976年12月   21600AMZ00224000 57AM-805 57AM-806

錠0.5mg 錠1mg 錠5mg 5.高齢者への投与 本剤は、血漿アルブミンとの結合率が高く、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多い ため、遊離の薬物の血中濃度が高くなるおそれがある。用量に留意し慎重に投与すること。 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔本剤は胎盤を通過し、点状軟骨 異栄養症等の軟骨形成不全、神経系の異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告がある。また、 分娩時に母体の異常出血があらわれることがある。〕 (2)本剤投与中の授乳婦には授乳を避けさせること。 〔ヒト母乳中に移行し、新生児に予期しない出血があらわれることがある。〕 7.小児等への投与 小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。 8.過量投与 本剤過量投与による出血には、ビタミンK製剤の静脈内投与が奏効し、一般的には数時間以内で 回復する。 9.適用上の注意 薬剤交付時 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシート の誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症 を併発することが報告されている) WF・0806・J 3.相互作用 他の薬剤との相互作用は、可能な全ての組合せについて検討されているわけではない。抗凝血薬療 法施行中に、新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、凝血能の変動に注意すること。なお、 本剤(光学異性体のS体)は、主として肝薬物代謝酵素CYP2C9によって代謝される。 併用注意(併用に注意すること) (1)次の医薬品等との併用により、本剤の作用が増強又は減弱することがあるので、併用する場合に は凝血能の変動に十分注意しながら投与すること。また、併用薬剤の治療で患者の病態が変化 し、本剤の作用に影響することもある。 本剤の作用が増強することがある:抱水クロラール、トリクロホスナトリウム/バルプロ酸ナトリウム、 ヒダントイン系製剤(フェニトイン等)/アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、*塩酸 トラマドール、インドメタシン、ケトプロフェン、サリチル酸類、スリンダク、*セレコキシブ、ピロキシ カム、フェノプロフェン、ブコローム、フルルビプロフェン、メフェナム酸等/塩酸メチルフェニデート、 三環系抗うつ剤、パロキセチン、マレイン酸フルボキサミン、モノアミン酸化酵素阻害剤/アミオダ ロン、塩酸プロパフェノン、硫酸キニジン/エタクリン酸/シンバスタチン、デキストラン硫酸ナト リウム、フィブラート系製剤(クリノフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブ ラート等)、フルバスタチンナトリウム、ロスバスタチンカルシウム/オメプラゾール、シメチジン/ 抗甲状腺製剤、甲状腺製剤、ダナゾール、蛋白同化ステロイド/トリベノシド/血液凝固阻止剤 (ヘパリン、低分子量ヘパリン、*アルガトロバン、*フォンダパリヌクスナトリウム等)、血小板凝集 抑制作用を有する薬剤(イコサペント酸エチル、塩酸サルポグレラート、塩酸チクロピジン、オザグ レルナトリウム、シロスタゾール、ベラプロストナトリウム、リマプロストアルファデクス、硫酸クロ ピドグレル等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)、乾燥濃縮人活性化プロテインC、バトロキ ソビン/アロプリノール、プロベネシド、ベンズブロマロン/プロナーゼ、ブロメライン/スルホ ニル尿素系糖尿病用剤(クロルプロパミド、トルブタミド等)/アザチオプリン、クエン酸タモキシ フェン、クエン酸トレミフェン、ゲフィチニブ、フルオロウラシル系製剤(カペシタビン、テガフール、 フルオロウラシル等)及びその配合剤、フルタミド、メシル酸イマチニブ、メルカプトプリン/アミノ グリコシド系、クロラムフェニコール系、セフェム系、テトラサイクリン系、ペニシリン系、マクロラ イド系/アミノサリチル酸類、イソニアジド、キノロン系(塩酸シプロフロキサシン、オフロキサシン、 ナリジクス酸、ノルフロキサシン、レボフロキサシン等)、サルファ剤/アゾール系抗真菌剤(イトラ コナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール等)/抗HIV薬(アンプレナビル、サキ ナビル、メシル酸サキナビル、メシル酸デラビルジン、リトナビル等)/キニーネ、メトロニダゾー ル/イプリフラボン、インターフェロン、塩酸オザグレル、グルカゴン、ザフィルルカスト、ジスル フィラム、トラニラスト、レフルノミド/アルコール 本剤の作用が減弱することがある:バルビツール酸誘導体/カルバマゼピン、プリミドン/塩酸トラ ゾドン/コレスチラミン/副腎皮質ホルモン/アザチオプリン、メルカプトプリン/グリセオフルビ ン、リファンピシン/ビタミンK含有製剤、ボセンタン水和物/アルコール、セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、ビタミンK含有食品(納豆、クロレラ食品、 青汁等) * ** 【禁  忌】(次の患者には投与しないこと) 1.出血している患者(血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の血液凝固 障害、月経期間中、手術時、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を 伴う妊産褥婦、頭蓋内出血の疑いのある患者等)〔本剤を投与するとその作用機序より出血を 助長することがあり、ときには致命的になることもある。〕 2.出血する可能性のある患者(内臓腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、 重症高血圧症、重症糖尿病の患者等)〔出血している患者同様に血管や内臓等の障害箇所に 出血が起こることがある。〕 3.重篤な肝障害・腎障害のある患者〔ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これ が抑制され出血することがある。また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある。〕 4.中枢神経系の手術又は外傷後日の浅い患者〔出血を助長することがあり、ときには致命的に なることもある。〕 5.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔「重要な基本的注意」及び「妊婦、産婦、授乳婦等 への投与」の項参照〕 過敏症注) 肝 臓 消化器 頻度不明 発疹、紅斑、蕁麻疹、皮膚炎、発熱 AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等 悪心・嘔吐、下痢 その他 頻度不明 脱毛 抗甲状腺作用 注)このような場合には投与を中止すること。 皮 膚 ** ** **

詳細は添付文書等をご参照ください。また、警告、禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意ください。

商品情報お問い合わせ先: 製造販売元

参照

関連したドキュメント

''、29/kgである。図中の実線が還気側加湿操作有

2022 年9月 30 日(金)~10 月 31 日(月)の期間で東京・下北沢で開催される「下北沢カレーフェステ ィバル 2022」とのコラボ企画「MANKAI

〈下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症 抑制〉

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

3:80%以上 2:50%以上 1:50%未満 0:実施無し 3:毎月実施 2:四半期に1回以上 1:年1回以上

3:80%以上 2:50%以上 1:50%未満 0:実施無し 3:毎月実施 2:四半期に1回以上 1:年1回以上

上であることの確認書 1式 必須 ○ 中小企業等の所有が二分の一以上であることを確認 する様式です。. 所有等割合計算書

3:80%以上 2:50%以上 1:50%未満 0:実施無し 3:毎月実施. 2:四半期に1回以上 1:年1回以上