1.はじめに
JR新宿駅では,新南口駅舎跡地に「新宿駅新南口 ビル(仮称)」が建設中である.本工事では,新南口ビ ルの連壁基礎杭の施工を行った.
本稿では連壁基礎杭工事のうち,JRおよび地下鉄 営業線近接で行った大壁厚による掘削と構真柱の建方 精度管理方法について報告する.
2.工事概要
図-1 に現場平面図を,図-2 に断面配置図を示す.
本工事では,埼京線に近接する 7.5 通りに 8 エレメ ント,地下鉄新宿線に並行したA及びC通りに 21 エレ メント,計 29 エレメントの連壁基礎杭を施工した.
これらのうち,JR施設に最も近い箇所で 0.6m,地 下鉄シールドからで 1.1m の離隔であった.
また埼京線脇の 7.5 通りでは低空頭型(BMX-120), AおよびC通りでは一般型(EMX-240)の連壁掘削機を 使用し,鉄筋篭および構真柱の建込みにクローラクレ ーン(200t,100t 吊)を使用した.
3.連壁掘削機による大壁厚掘削
連壁基礎杭の平断面形状は,一般型機で最大 3.4×
3.8m,低空頭機で 2.4×5.0m の大壁厚の掘削に対応す るため, 4 ガット掘削を実施した.これは 1 つのエレ メントを壁長方向,壁厚方向に2回ずつ,計4回に分 けて掘削する方法で,拡幅掘削の際は,反力材を使用 した.図-3 に一般型機による掘削手順を示す.
なお図-4 に示すように,支持層までの間に東京層砂 質土(Tos 層:GL-4.5m~GL-15.6m),東京礫層(Tog 層:GL-19.1m~GL-23.6m)が存在したため,逸泥およ び溝壁崩壊防止を目的とした薬液注入による溝壁防護 を行った.
4.傾斜計による構真柱建方管理
本工事では,表-1 に示す管理値を満たすため,傾斜 計を用いた構真柱の建方精度管理を採用した.以下に 建方管理方法を示す.
① 1G目掘削 ② 2G目掘削
③ 3G目掘削 ④ 4G目掘削
掘削機
地 山
反力材
鉄道営業線近接における連壁基礎杭の施工と構真柱建方管理
東日本旅客鉄道(株) 正会員 霞 誠司
(株)大林組 正会員 ○小松 雄一
東日本旅客鉄道(株) 正会員 久島 敏靖(株)大林組 正会員 大木 望年
東日本旅客鉄道(株) 正会員 西村 嘉章(株)大林組 正会員 原田 満
図-1 現場平面図
キーワード 連壁基礎杭,構真柱,大壁厚,地中連続壁
連絡先 〒
108-8502
東京都港区港南2-15-2
品川インターシティB
棟 株式会社 大林組TEL03-5769-1238
図-3 4ガット掘削手順 図-2 断面配置図(A-A 断面)A
都営地下鉄シールド
都営地下鉄シールド
(池袋方)
新宿駅南口 国道20号/甲州街道
新宿高島屋
(大崎方)
連壁基礎杭 21 エレメント
(一般型掘削機)
連壁基礎杭 8 エレメント
(低空頭型掘削機)
基盤整備
7.5通り
A通り
C通り
A
地下鉄 地下鉄
構真柱
低空頭型機施工 一般型機施工
A通り C通り
7.5通り
溝壁防護
(薬液注入)
1.1m
土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)
‑1101‑
Ⅵ‑551
最初に鉄筋篭を建込み後,構真柱架台を設置し,構 真柱を溝壁内に建て込んだ.その際,トランシットに より構真柱の鉛直性を確認し,取付けた傾斜計の値を 0(ゼロ)に設定した.水中ではパンタジャッキにて傾 斜計の値を再度 0 に調整し,固定した.コンクリート 打設中は,傾斜計の値を確認しながらパンタジャッキ にて修正を行った.トレミー管は構真柱に対して4方 向に配置し,ジャッキ容量を超えるような傾きが出た 場合は,各トレミー管の打設量を調整することで修正 を行った.図-4 に調整冶具の配置を示す.
また図-5 のように構真柱の位置が杭中心に対し偏 心する場合は,反力用コラム支柱と油圧ジャッキを用 い構真柱の位置を保持した.構真柱下端には,コンク リート打設による構真柱の移動および浮上がりを防ぐ ため,精度保持用鋼材(H-300,L=1.5m)を取付けた.
コンクリート打設後の構真柱の傾きを図-6 に,流動 化処理土による埋戻し後の構真柱天端(柱頭)水平ズ レを図-7 に示す.
計測の結果,柱の傾きは最大でも 1/1670 以下とな り,管理基準値 1/1000 に対して十分な精度が確保でき た.また柱頭水平ズレも最大で 9mm に収まった.
5.変状計測
連壁施工時の周辺構造物への影響を継続的に計測,
監視するため,埼京線支持柱に
12
箇所,地下鉄構内 に30
箇所の水盛式沈下計を設置した.地山解放期間は,連壁掘削から上部埋戻しまで最大
10
日間に及んだが,計測結果は埼京線側で最大2 mm,
地下鉄側でも最大
2mm
で収まり,営業線の運行に支 障なく工事を進められた.これは,溝壁防護の効果が 十分発揮されたことと地下水位が施工基盤から約5m
下だったことから安定液と地下水の水頭差による安定 液圧の効果も要因の一つと考える.6.おわりに
本工事にあたっては,近接する埼京線の安全を考慮 し,防護柱および防護柵を施し,また重機毎に誘導員 を配置し,接触事故等の無いよう細心の注意を払い工 事を進めた.最後に本工事の施工にあたりご指導,ご 協力を頂いたJR東日本東京工事事務所の皆様に深く 御礼申し上げます.
6 31
15
1 3
1 1 0 0 0 0
0 5 10 15 20 25 30 35
0 1/10000 1/5000 1/3330 1/2500 1/2000 1/1670 1/1400 1/1250 1/1100 1/1000
計測箇所
傾斜量 柱の傾き (コンクリート打設後)
計測箇所(58か所) =29EL×2方向 (東西・南北)
計測箇所(58か所) =29EL×2方向 (東西・南北)
計測箇所(58か所) =29EL×2方向 (東西・南北)
最大値
管理基準値
図-6 コンクリート打設後の柱の傾き
図-7 埋戻後の柱頭水平ズレ
管理基準値 限界管理値 柱の傾き
1/1000 1/700
柱頭水平ズレ ±10mm ±15mm表-1 構真柱建方精度管理値
6 9
14
5 7
4 7
2 2 2
0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
計測箇所
変位量(mm) 柱頭水平ズレ(埋戻し後)
計測箇所(58か所) =29EL×2方向 (東西・南北)
管理基準値 最大値
図-4 構真柱の調整冶具配置図(断面)
図-5 構真柱の調整冶具配置図(平面)
トレミー管
(Φ200)
コラム支柱
(□-600×600)
溝 壁
鉄筋篭 反力プレート
油圧ジャッキ 構真柱
(□-800×800)
パンタジャッキ
データロガー
▽TP+2.60 連壁基礎杭先端 27600 構真柱長さ14950~181508000 ~10200
トランシット レベル 1番線
(埼京線)
埼京線下 高架橋
パンタジャッキ 柱頭部
(構真柱天端)
反力プレート ヤットコ
▽TP+28.75 構真柱上端
溝壁防護
(薬液注入)
鉄筋篭 構真柱
溝壁防護
(薬液注入)
1番線防護柵
コンクリート 精度保持用鋼材
▽TP+12.80, 10.60 構真柱下端
構真柱架台
傾斜計
▽TP+30.20
土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)