<追悼記>雄山先生の思い出
著者 八木 昭宏
雑誌名 関西学院大学心理科学研究
巻 48
ページ 79‑79
発行年 2022‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10236/00030149
追悼記
雄山先生の思い出
総合心理科学科 名誉教授 八木 昭宏
私が大学院の学生のときに,関西学院大学の理学部に 初めてコンピュータが入りました。修士論文の統計処理 をしたのが,コンピュータとの最初の付き合いでした。
その当時は,雄山先生のことは,あまり存じませんでし た。博士課程の一年目に通産省工業技術院の研究所に就 職し,そこでは,専用のミニコン(DEC)で脳波のデー タ解析をしていました。
1983年に,関西学院大学の心理学科に,戻ってきま した。その時には,大学には,学部の共用施設として,
情報メディアセンター(情セン)が開設されていまし た。理学部だけでなく,経済学部,商学部,社会学部な どの先生の中にも,数理処理をするために,情センのコ ンピュータを使っている教員や学生が,数多くおられま した。その後,各学部にパソコンが導入され,法学部と 文学部のパソコン教室では,Macが,他の学部では,
Windowsが使われていました。
1997年に,今田寛先生が学長に選ばれました。今田
学長から,情センのセンター長に就任するよう頼まれま した。そのときから,雄山先生と,お話する機会が増え ました。その後,センターの改組があり,センター所属 の雄山先生と岡田先生は,それぞれ学部所属になること が決まりました。雄山先生は,御自身の希望で,心理学 科の教員に移動されました。岡田先生は,理工学部に移 動されました。
雄山先生は,東北大学の理学部量子力学専攻を卒業さ れました。その後,コロンビア大学コンピューターサイ センス客員研究員や,大阪大学基礎工学部の招聘教授な どを経験され,豊橋科学技術大学で,博士学位を取得さ れています。また,2009年には,アメリカのIEEEよ り,Taylor Memorial賞を受賞されています。
雄山先生は,心理学科に来られてからは,心理学にお ける新しいデータ分析の一つとして,心理活動に伴う血 流の解析にカオス解析という手法を導入され,ご自分の 研究と学生達の指導に使ってこられました。カオスとい う用語は,ギリシャ時代から,哲学などの分野などで混 沌を表す用語として用いられてきました。しかし,情報 科学の分野では,予測が難しい現象の表現に,カオス解 析が使われ始めていました。心理学の分野でも,カオス 解析やファジーシステムなど,新たな解析法が,次第に 関心が持たれてきた時期です。先生のゼミで,大学院を 修了した人の中には,企業の研究部門や開発部門で活躍 している人達がいます。
先生は,大学を定年で退職された後も,お知り合いの 人達と株式会社カオテック研究所を立ち上げ,御自分の カオス解析法を様々な分野に応用する活動をしてこられ ました。ご逝去されたあと,2018年に,有志の方々の お世話で京都駅上のホテルグランビアのホールで,雄山 先生を偲ぶ会が開催されました。本学の教員や学生以外 にも,学会や企業の方々が,大勢ご参加されました。先 生のお若いときからの写真や,研究の紹介などがスライ ドで紹介されました。しかし,まだまだ御活躍されると 思っていましたが,御逝去されたことは,非常に残念で す。改めて,心よりご冥福をお祈り申し上げます。
2018年10月19日逝去
関西学院大学心理科学研究 Vol. 48 2022. 3 79