ア ン コ ー ル 遺 跡 群 の 調 査
奈 良 国 立 文 化 財 研 究 所 は 、 文 化 庁 が 平 成 5 年 度 よ り 開 始した「アンコール文化遺産保護共同研究事業」におい て、カンボジアで、の現地調査と、1.1本における研究の実 際を担当している。
事業を開始した当初の3年間は、予備調査の期間と位 置づけて、現地調査では、諸外国を含む各調査隊がおこ なっている現状の研究と実績を点検し、従来取り組まれ て い な い 課 題 、 あ る い は 研 究 と し て 希 薄 な 点 を 洗 い だ し 、 独 自 に 貢 献 で き る 項 目 の 選 定 に 努 め て き た 。
そ の 結 果 、 わ れ わ れ の 取 り 組 む 事 業 と し て は 、 当 分 の 間、1) 基準点測量や写真測量を含む測並調査、2) 遺跡探
査、3) 柱穴など詳細な土壌判別が要求される精密発掘調
査などに目標をおき、事業を推進することにしている。
遺跡探査では、乾期と雨期と季節を違えて実験測定を 実施して、探査の実際における問題点をあきらかにしな がら、探査成果も得ている。
ここで今までに採用した探査の方法は電気探査、磁気 探査、地中レーダー探査である。
電気探査イギリスG eo s can 社製のRM15型装置を用い た測定で、2極法を基本に検討した。乾期には地表而と 上照5 0 〜6 0 c m程度までが極度に乾燥しているために、電 極と地而との十分なコンタクトがとれず、有効な測定は できない。しかし、雨期であれば目的通りの測定が可能
なことが判明した。
磁気探査これもイギリスG e os c a n社製の装満である F M1 8 型のフラックスゲー│ 、 G ra d i o me t e rを採用した。 磁気傾斜を求める本装置による測定では、遺跡が低緯度
に位謡するために、磁気異常の変化が小さく観測される ことにまず気がついた。
改めて考えれば当然のことながら、測定には細心の注 意が要求され、熟練した測定者で葱いと、信頼できる観 測値が得られない点が注目される。
また、現地は雨期、乾期をとわず常時気温が商いので、
その熱によりフラックスゲートのセンサーとアンプ° は影 響を受けることも注意される。そのために、測定値はド
リ フ ト し て 、 短 時 間 の 測 定 で も 変 化 す る 。
40 奈 文 研 年 報 / 1997‑ 1
そして、このドリフトはどうやら直線状の変化ではな く、不規則であることも確認した。したがって、通常お こなう補正の方法は有効ではなく、独自の手法を用いる 必要があった。
地中レーダー探査アメリカGS. S、1 . 社製S I R ‑ 2 型装 侭で、3 0 0 MH z アンテナを用いて検討した。
この方法では、乾期のみの測定であるが、深さ約2m 程度までであれば、有効な測定ができることを認めた。
また、乾期であっても石造の構造物が明瞭に捉えられる ことが確認できている。
測定の一例がスラ・スラン泳池の西側における測定で ある(口絵参照) 。ここでは、小規模な火葬墓を探ること を 目 的 と し て 実 験 的 に 探 査 し た も の で あ る が 、 結 果 に は 南北方向に連なる、反射の大きな構造物のあることを認 め た 。 探 査 位 置 の 北 方 で 、 先 年 、 発 掘 調 査 を し た フ ラ ン ス隊の結果を参考にすると、この構造物は石組みの溝で あ る こ と は 、 ほ ぼ 間 違 い な い と い え る 。
ア ン コ ー ル 遺 跡 に お い て 、 は じ め て 探 査 の 方 法 で 確 実 な遺構をあきらかにできたのである。
(西村康/埋蔵文化財センター、杉山洋/飛鳥査料館)
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ス ラ ・ ス ラ ン 沫 池 西 側 で の 探 査 結 宗
(地中レーダー平面図2 0 ‑3 0 n s)