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Academic year: 2021

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有本真紀 / 阪井恵 / 津田正之 編著

『新版 教員養成課程 小学校音楽科 教育法』

教育芸術社 2019 年 224 頁 1,800 円 ( 税抜 )

老本桃子(立教大学)

 本書は小学校学習指導要領(平成29年告示)

の改訂を受け、前作である『2011年改訂版教員養 成課程小学校音楽科教育法』(教育芸術社 2011年)

に加筆修正を施したものである。本書の内容を紹介 する前に、まず新学習指導要領の改訂のポイントに ついて触れておきたい。

 新学習指導要領における新たなキーワードの一つ として、「見方・考え方」を挙げることができる。この 言葉は全ての教科等の目標に組み込まれており、各 教科等の資質・能力を育成するために必要なもので あるとされている。音楽科おいて育成を目指す資質・

能力は「生活や社会の中の音や音楽と豊かにかかわ る資質・能力」であり、そのためには「音楽的な見方・

考え方」を働かせる必要があることが示されている。

 従来の学習指導要領と比較すると、今次の改訂で は目指すべき目標や指導すべき内容がより一層明確 になっていると言えよう。しかしながら「音楽的な見方・

考え方」の説明にある「音楽に対する感性」とは何か、

また目標にある資質・能力を育成するためには歌唱に ついて具体的にどのように指導すべきか等は明示さ れていない。本書にはこのような疑問点を含め、新 学習指導要領に関する解説や指導の際の留意点等 が、包括的かつ具体的に示されている。以下より、

その内容と特色について述べていく。

 本書は「教育法研究」(第一部)と「教材研究」(第 二部)からなる二部構成となっており、巻末には付録 として日本の音楽教育の歴史や基本的な楽典、そし て学習指導要領等が掲載されている。はじめに第一 部について取りあげる。

 第一部の冒頭部分では「そもそも何故、学校教育 において音楽を学ぶ必要があるのか」という問いが 掲げられている。学校における音楽科の存在が当た

り前になった今日では、このような問いについて考え たことがないという人も多くいるのではないだろうか。

第一部は教育法研究の出発点として、この問いに対 して様々な視点から考察するところから始まる(Ⅰ

学校音楽科の意義)。

 第一部の前半部分では、新学習指導要領におい て新たに定められた目標に向かうための指導方法が、

実践事例と共に具体的に示されている(Ⅱ小学校音 楽科の目標と内容)。ここでは教師と児童とのやりとり の例やそこでの予想される児童の反応等がイラスト によってまとめられており、状況を想定しやすいよう に配慮された構成となっている。後半部分では、前 半で示されていたような授業を計画的に行うための

「学びの地図」として、学習指導案が取りあげられて いる(Ⅲ学習指導計画の作成)。一般的な指導書で 目にするような学習指導案の作成例だけでなく、学習 指導案に組み込むべき基本的な項目とその注意点が リストとしてまとめられており、教師を目指す学生はも ちろんのこと、既に教師として音楽科の授業を担当し ている人にとっても有用であると言えよう。

 作成した学習指導案をもとに授業を行う前に、もう 一つ考えなければならないことがある。それは「小学 校において音楽の授業を行うにあたって、最も必要 な力とは何か」という問いであり、その答えこそが第 二部の教材研究である。本書は教材研究の重要性 について、以下のように述べている。「限られた音楽 科の授業の中で、どんな音楽を、どのように児童に出 会わせることができるかは、全て教材選択と、教材 研究にかかっている」(本書 p.98)。音楽科はその性 質上、他の教科等と比べて教材研究が難しいと言わ れている。本書はそうした教師の悩みに応え、音楽 科における教材研究の方法について、基礎から丁寧 に例示している。歌唱教材は楽譜だけでなく、詩とし てとらえやすいように縦書きの歌詞も添えられている。

また器楽教材や鑑賞教材も収録されており、教材選 択のヒントとなる情報が数多く提示されている。

 本書は、学習指導要領の改訂や音楽科の性質等 によって教師が抱える悩みに丁寧に寄り添いつつ、

小学校の音楽科について、理論と実践の両方の内 容が豊富に盛り込まれている一冊であると言える。

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