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細野: 東 京付近 における不 圧地下水 の環境地理学的研究 147

東 京 付 近 にお け る不 圧 地 下 水 の環境 地 理 学 的研 究

土 地 分 類 図へ の新 た な情 報 の付 加 に よ る利 活 用 の 試 み

純*

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昭 和26年以 来 、 国土 調査 法 に 基 づ き実 施して き た土 地 分 類 諸 調 査 の うち 、 縮 尺5万 分 の1土 地 分 類 基 本 調 査 は 、 国 土 地 理 院発 行 の 地 形 図 を基 図 と した 地 形 分 類 図 、 表 層 地 質 図 、 土 壌 図 、 土 地 利 用 現 況 図 、 傾 斜 区分 図等 の 図 面 とそ の 解 説 書 を作 成して お り、 そ の 縮 尺 や 内容 か ら他 の 土 地 分 類 諸 調 査 の基 準と し

て機 能 す る と と も に、 広 域 的 な土 地 利 用 計 画 ・防 災 計 画 等 を 図 る うえ で の 基礎 資 料 と して活 用 さ れ る こ とを期 待され る もの と して 位 置 づ け ら れ て きた もの で あ る。 一 方 、 昭和26年 か ら今 日 まで の 間 に お い て 社 会 環 境 は 変化し続 け 、 そ の 多 様 化した社 会 の 要 請 に応 え るべき、新しい 情 報 の 付 加 と、 高 度 化した 手

法 の導 入 等 が 図 られ る こ とが 必 要 で あ る。

5万 分 の1土 地 分 類 調 査( 都 道 府 県 分) の 東 京 都 関 係 分( 島 喚 分 を 除く) で あ る 「川 越 ・青 梅 」 ・ 「東 京 西 南 部 」 ・「東 京 西 北 部 」 ・「東 京 東 北 部」 ・「東 京 東 南 部 」 の各 図 幅 の 地 形 分 類 図 お よ び 表層 地 質 図 の作 成作 業 の 一 部 に筆 者 は係 わ っ て きた が1) - 4) 、 この 過 程 で 地 形 分 類 図 中 に地 下 水 に 関す る情 報 と して 地 下水 面 の 高 度 を線 情 報 に よ り、 ま た 湧水につ い て は湧 出点 の位 置 を図 中 に点 情 報 で示 す こ と と した。 別 に表 層 地 質 図 中 に は 地表 を覆うロ0ム 層 の厚さの分 布を等層 厚 線 の 形 で 加 え る こ と に した 。

こ れ ら新 規 な 情 報 を加 え る た め の試 み と して 実 施 し た基 礎 的作 業 の 手順と、 これ ら の情 報 の意 義 とそ の利 活 用 に望 ま れ る事 項 に つ い て述 べ る 。

1. 序

こ こで い う「地 下水 」とは、 地 下 深 部 の地 層 中 に存 在し、 事 業 用 の 深 井 戸 等 に よっ て取 水され る 「被 圧 地 下 水 」で は な く、 一 般 の民 家 等 に あ る在 来 型 の い わ ゆ る浅 井 戸 に よ っ て取 水され る 「不 圧 地 下水( 自由地 下 水) 」 を対 象と した もの で あ る 。

不 圧 地 下 水 は 一 般 に地 表 付 近 の 浅 層 に位 置 す る地 下 水 体 で 、 水 文 循 環 の 過 程 に お い て 、 直 接 、 降 雨 な ど 自然 現 象 の 影 響 を受 け る ば か りで なく、 土 地 利 用 や 各 種 工 事 の影 響 な ど、 人 間 活動との つ ながりの 深 い 一 面 を も って い る。

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層 状 況 、傾 斜 、不 圧 地 下 水 を支 え る基 盤 の 形 態 等 に も、 賦 存 の性 質 が 支 配され る筈 で あ る。 一 方

、 不 圧 地 下 水 は、 そ の賦 存 す る位 置 が 浅層 で あ るが た め に、 古くか ら、生 活 の た め の水と して利 用 され て きた もの で あり、 地 域 に よ っ て は現 在もなお 日常 不 可 欠 な もの で あ る。

水 文 循 環 の 過 程 にお け る、 不 圧 地 下 水 の 移動 の 実 態 は 、 自然 現 象と して の一 面と、 人 間活 動と の か か わ りの 深 い 一一面とを有し、人 間 と地 下水 の 関係 の 仕 方 に よ っ て、自然 条 件と して の 固有 な 属 性 の 上 に展 開 され る様 々 な変 化 の様 式 は注 目す べ き課 題 で あ る とい え る 。

と くに、東 京 とそ の 周 辺 各 市 の よ う に、近 年 、急 激 な都 市 化 の 展 開 さ れ て い る地 域 で は水 利 用 、 環 境 保 全 、 土 木 工事 等 の 問 題 に関 連 して 、 複 雑 で 高 度 な課 題 が 提 起 さ れ て い る のが 現 状 で あ る。

この 論 文 で は、 従 来 か ら上 記 の よ うな多くの 課 題 が あ る に も係 わ らず 、 こ れ ま で地 下 水 に 関 し て は、 比 較 的 無 関 心 で 、 本 質 的 ・恒 久 的 な地 域 情 報 が 不 足し、 開 発 に伴う保 全 計 画 、環 境 汚 染 の 発 生 と浄 化 、 紛 争 に伴 う工 事 差し止 め請 求 、 な ど、 しば しば 対 立 の 場 に到 っ て 、地 下 水 の賦 存 機 構 の 科 学 的 解 釈 の 議 論 が 表 面 に 出 て くる とい う例 が 多 か った 。 この こ とは、 地 下 水 が 目 に見え な い存 在 で 、 一 般 に は分 かり難 い こ とか ら、 そ の場 に な っで 争 い の 根 拠と して利 用( 注 目) さ れ る とい った感を持 つ 。 こ こで は、 従 来 、と もす れ ば 多く見 られ た 単 な る既 存 資 料 の収 集 に よる 寄 せ 集 め と、 そ の 場 限りの 解 釈 で は な く、 地 域 の水 環 境 に 関 して 総 合 的 な調 査 活 動 の と りま とめ を行

ない 、 あ らか じめ情 報と して提 示 す る 手 法 を試 み た もの で あ る。

皿. 武 蔵 野 台 地 の地 形 ・地 質 と地 下 水 の賦 存 に つ い て

東 京 の 地形 は 「山 の手 」と 「下 町」に分 け られ る こ と は良く知 られ てい る。

「山 の手 」 はJ R山 の 手 線 で 認 識され る よ う に都 心 の 台 地 部と して 狭 義 に解さ れ易 い 面もあ る が 、武 蔵 野 台地 の東 端 の一 部 に位 置 す る もの で あ る 。

武 蔵 野 台 地 は 東 京 の 西 郊 に ひ ろがり、 北 は荒 川 の低 地 、南 は 多 摩 川 の 谷 底 低 地 、 東 は東 京 の下 町低 地 に接 す る 面 積 約500km2に 及 ぶ 洪 積 台 地 で あ る。 地 形 の 等 高 線 を描 い て み る と、 青 梅 付 近 を扇 頂 部とす る扇 状 地 性 の地 形 が認 め られ 、 多摩 川 が 造 った 大 扇 状 地 で あ る とい え る( 図 一1) 。

台 地 の東 部 は 開析 台 地 と化してい る。 こ の よ うな地 形を造った 主 な小 河 川 の 谷 頭 部 に は古くか ら知られ た湧 水 起 源 の 井 の 頭 池 、 善福 寺 池, 三 宝 寺 池 な どが分 布し、 杓 子 状 窪 地と と もに、 すぐ れ た景 観を残して い る が 、 現 在 で は湧 水 は洞 渇して久し く、代 わりに深 井 戸 か らの 補 給 注 水 に よ っ て水 量 が 維 持され て い る。

さ らに 、武 蔵 野 台 地 には いくつ か の 崖 線 が あ っ て地 形 面 が 階段 状に区 切 られ て い る。 こ れ らの 崖 線 は扇 状 地 地形 の傾 斜 方 向 に沿 っ て放 射 状 に分 布し、古 多 摩 川 に よる 侵 食 の 結 果と考 え られ て い る。 こ の意 味 か ら武 蔵 野 台 地 は河 岸 段 丘 の集 合 で あ る と言 う こ と もで き る。

武 蔵 野 台 地 の崖 線 の 中 で 、 立 川市 北 部 か ら東 南 方 に延 々20km余 に及 ぶ 国 分 寺 崖 線 は も っ と も 顕 著 な もの で あ る 。 この崖 線 を境 と して、 高 位 の面 が 武 蔵 野 面 、低 位 の 面 が 立 川 面 と呼 ばれ る段 丘 面 で あ る。

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細野: 東 京付 近 におけ る不圧地下水の環境地理学 的研究 149

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図 一1武 蔵 野 台地 周 辺 の 地 形 等 高 線 図

東京都首都整備局発行 、1/ 3000地形図 中に描 かれた等高線 か ら編輯( 細野原図)

の礫 層 の 部 分 か らは 地 下 水 が 湧き出し、 湧 水 池 を形 成して い る個 所もあ って 、 古 くか ら 「は け」 の水と して 親 し まれ て きた 。

武 蔵 野 面 よ り一 段 低 い 立 川 面 の段 丘 構 成 層 は 立 川 礫 層 で 、 多 摩 川 沖積 地 との 境 にあ る府 中崖 線 の 部 分 で 直 接 観 察 す る こ とが で きる。 府 中崖 線 の 部 分 から も国分 寺 崖 線と同様に地 下 水 の 湧 出が 確 認 され て い る部 分 も存 在 す る。

これ らの 段 丘 構 成 層 は、 上 述した よ うな段 丘 前 面 崖 の崖 線 か らの観 察 に よ るほ か 、 そ れ ぞ れ の 段 丘 面 下 にお い て、 工 事 の た め に地 下 を掘 削 した と き な どに露 出 す る こ とが あり、 この よ う な機 会 に工 事 現 場 で 詳 細 に観 察 す る こ とが できる。

関 東 ロ ー ム層 は、火 山 噴 出物 で あ る 火 山灰を起 原 とす る もの で 、そ の堆 積した 時期 の 違 い か ら、 立 川 面 上 に は立 川 ロ ー ム層 が 、 武 蔵 野 面 上 に は武 蔵 野 ロ ー ム層と立 川 ロー ム 層 が 分 布 す る。さ ら

に、 そ の上 位 面 に相 当 す る 下 末 吉 面 に は下 末 吉 ロ ー ム層 が加 わ る こ と に な る。 立 川 面 よ り下 位 の 青 柳 面 に は、 立 川 ロ ー ム の最 上 部 の一 部 に相 当 す る青 柳ロー ム が 分 布 す る。

以 上 の よ うに 、武 蔵 野 台 地 は 、 開析 谷 や 河 谷 の沖 積 地 、低 位 の 段 丘 面 な どの 部 分 を 除 け ば 、地 表 部 分 は ロ ー ム層に よ って 覆 わ れ て おり、 地 表 か ら垂 直浸 透 す る水 は、 まず ロ ー ム層 中 に土 壌 水 分と して供 給され る こ とに な る 。

武 蔵 野 台 地 に お い て 、 も っ と も有 力 な帯 水 層と看 倣 さ れ る もの は、 段 丘構 成 砂 礫 層 で あ るが 、 これ らは上 記 の ロ ー ム層 に よ って 覆 わ れ て い て 、 直 接 、 雨 水 等 に接 す る こ とは な い 。

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既 存 の ボ ー リ ング資 料 の ほ か 、電 気 探 査 の 実 施 、 工 事 現 場 や 露 頭 で の観 察 結 果 な ど を基礎 に し て、 ロ ー ム層 の 厚 さ を示 す 図 を作 成した( 図 一2) 5) 。

当然 の こ とな が ら、 高 位 面 ほ どロ ー ム層 は厚くな るが 、 各 所 で ロ ー ム層 の 堆 積 中 な い しは堆 積 後 にお い て古 水 流 が 存 在した と思 わ れ る 、層 厚 の 薄くな った 流 路 状 の部 分 を窺 い知 る こ とが で き る。 ま た、 台 地 の 東 半 部 に あ っ て は ロ. _ . _ ム層 の 下部に粘 土層 が 分 布 す る地 域 が あ っ て、 層 相 か ら ロー ム が 変 質して 粘 土 化した もの と解 さ れ る部 分と、古 水 流 に よ る二 次 堆 積 に よ っ て形 成 さ れ た と考え られ る部 分とが あ る( 図 一3) 6) 7) 。

武 蔵 野 台 地 の不 圧 地 下水 の賦 存 に関 係 す る こ れ らの地 質状 況 、 す なわ ち、 ロ ー ム層 、 ロ ー ム層 下位 の粘 土 層 、段 丘構成 層 、 基 盤 岩 層 等 の そ れぞ れ の部 分 内 に あ って も、 水 理 的伝 導 性 の 異 な る 部 分もあ る な ど、 この 地域 の 地 下水は、 これらの 水 文 地 質 構 造 に支 配 され て 滞 留し、 ま た は移 動 す る、 い わ ば多 層 構 造 に あ る とい うこ とが で きる。

皿. 武 蔵 野 台 地 の帯 水 層 と地 下 水 面

地 下 水 面 等 高 線 と は、い わ ゆ る測 水 調 査とい わ れ る手 法 に よっ て得られ る もの で 、具 体 的 に は、 あ らかじめ 定 め た多 数 の観 測 の た め の井 戸( 多 くは 民 家 の 個 人 所 有 の 井 戸) に つ い て 、原 則と し て 同時 期 に 、 井 戸 内 の水 面 の 高さ を実 測し、TP( 東 京 湾 平 均 海 面) に 換 算して、 す べ て の結 果

を地 図 上 に描き写 し、等 高 線 と して 表 現 した もの で あ る 。

これ まで に、 過 去16回の 測 水 調 査と、 継 続した 自記 記 録 の結 果 を併 用し、 地 域 の 地 下 水 の変 動 特 性を把 握して きた もの で あ る 。

武蔵 野 台 地 に お け る 地 下水 面 は、 冬 季 に降 水 が 少 な い とい う地域 の気 候 特 性 を反 映して、 冬 ∼ 春 に か け て 地 下水 面 は 下 降 し、 夏 ∼ 秋 にか け て上 昇 す る とい う一 般 性を有して い る。 こ こで 、 地 下 水 面 の上 昇した 時期とは 、 降 雨 の 影 響 の ない 条 件 のも とで、もっ と も水 位 が 高く安 定してい る 時 期 を い う もの で あ り、過 去30年余 の 実 測記 録 か らみ る と、 お お むね8月10日 前 後 に相 当し、 そ の前1週 間程 度 、 地 下水 位に影 響 を及 ぼ す 降 雨 が ない こ とが 前 提とな る。この よ う な条 件 にか な っ た例 と して、1968年 、1972年 、1974年 をあ げ る こ とが できる。

こ こで は、 地 下 水 面 の 上 昇した時 期 の代 表と して 、1974年8月 の実 測 値 に基 づき作 成した もの と、 また 、 逆 に地 下 水 面 の も っ と も下 降した時 期 の もの と して1968年2∼3月 の実 測 値 に基 づ き 作 成した もの を図 一4( 上 ・下) に 示 す8) 。

一 般 的 に言 え ば

、 自 由地 下 水 体 は地 表 の地 形 に依 存 す る部 分 が 多く、 巨 視 的 に は、 地 下 水 面 の 等 高 線 は 地 形 の 等 高 線 に類 似した もの とな るが 、 地 表 の 凹 凸 に比 べ 、 は るか に平 滑 で あ る。 さ ら に、 地 下水 面 は 降 雨 に よる酒 養と地 下 水 体 か らの流 出 に よっ て 絶 え ず 変動して い る。

地 下水 面 が 上 昇 した と きの水 位と、 下 降した と きの水 位 の差 、 す な わ ち 変 動 の 大 き さ は、 場 所 に よ っ て大き く相 異 す る。 こ の こ とは 、 水 文 地 質 構 造と地 層 の透 水 性 等 に よ る もの と考 え られ る。

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細野: 東 京付近 にお ける不圧地下水 の環境 地理学的研 究 151

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図 一2関 東 ロ ー ムの 厚さを示 す 図( 細 野 原 図)

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図 一4武 蔵 野 台地 に お け る地 下 水 面 の等 高線 図( 細 野 原 図) 上: 地 下水 面の上昇 した時期 の例1974年8月

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細野: 東 京付 近 におけ る不圧地下水の環境地理学 的研究 153

る 。換 言 す れ ば 、 天気 図 の 等 圧 線 にみられ る よ うな気 圧 の谷 等 が 横 方 向 へ 順 次 移 動して いく≧ い った波 動 状 の 動 態 は認 め られ ず 、 地 点 ご とに異 な っ た 変 動 量 の 範 囲 で 、 上 昇 、下 降 とい っ た 同 じ 傾 向 の も と に上 下 変 動 を繰り返して い る と言う こ とが で き る。 さ ら に、 地 下 水 面 の変 動 の特 徴と して 、全 体 的 に み る と、地 下水 面 が 下 降 す る時 期 に は、地 下 水 面 の 凹 凸 が 強 調 さ れ る傾 向 に あ る。 す なわ ち、 地 下 水 谷 は一 層 そ の深 さ を増し、 地 下水 面 の 尾 根 あ る い は嶺 に あ た る部 分 で は 変 動 の 幅 は相 対 的 に小さい もの と して残され る。こ の結 果 、地 域 の 地 下 水 面 が 大き く下 降す る時 期 に は、 局 部 的 な宙水 域 が 出 現 す る こ とが あ る。

N. 武 蔵 野 台 地 の 不 圧 地 下 水 の水 理 特 性

測 水 調 査とあ わせ 、 個 々 の地 点 に お け る 地層 の 透 水 性 の分 布 を知 る 目的 で 、個 別 井 戸 につ い て の 揚 水 実 験 を実 施した 。 結 果 は透 水 量 係 数[ L・/ T] の 形 で与 え られ る。 そ の結 果 、 透水 量 係 数 の 分 布 に は3桁 の 差 が あ る こ とが 判 明 した21) 。と く に、 前 記 の 地 下 水 面 等 高 線 図 にお い て 、 地 下 水 面 の谷 に相 当す る部 分 で は 、地 下水 面 が 下 降 す る季 節 に は谷 の形 状 は よ り強 調 され る傾 向 に あ る こ と。 ま た透 水 量 係 数 の大きい値を示 す 部 分 は、 こ の よ うな谷 の部 分と一 致して い る こ とで あ る( 図 一5) 。 こ の こ とは 、 基 盤 の形 状 等 の 地 質 構 造と、 そ の 場 に お け る堆 積 物 の粒 径 等 に関 連 して、 地 下 にお け る地 下 水 の流 動 速 度 の差 を示して い る と解され る。

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ζ の よ う な関係 が 、 と くに顕 著 で あ る と認 め られ る もの は 、地 下 水 面 が 降 下した と きに現 れ る、 立 川 面 下 の福 生 か ら羽 村 にか け て の大 規 模 な谷 状 の 部分 で 、 この 凹 み が 大きい が ゆ え に 、武 蔵 野 台 地 にお い て 地 下 水 位 の 最 深 の部 分 が こ の地 域 に存 在し、 そ の 深 さ は24∼26mに 達して い る( 羽 村 市 羽 地 域) 。 矢 嶋 仁 吉( 1935) 9) は これ を第 二 帯 水 層と記 載して い る 。

一 方

、 青 柳 面 以 下 の 低 位 面 の 部 分 で の地 下 水 の主 体 は 、 そ れ ぞ れ の 段 丘 構 成 礫 層 中 に賦 存 す る もの と認 め られ 、水 位 は 数 メ ートル程 度 以 浅 で あ る 。

立 川 面 と低 位 段 丘 面 との 間 の 地 下 水 面 の 関係 に つ い て み る と、 前 述 の よ う に、 立 川 面 側 の あ る 部 分 で は 、水 位 が広 範 囲 にわ た って 谷 状 に落 ち込 み 、地 下 水 は段 丘構 成 礫 層 中 に は賦 存 せ ず 、 下 位 の砂 礫 層( い わ ゆ る 青梅 砂 礫 層) 中 に賦 存 す る もの と認 め られ る 。 そ の 結 果 、 こ の地 域 に あ っ て は 、 低 位 面 下 に賦 存 す る地 下 水 の 地 下 水 面 は 、 高位 面 下 に賦 存 す る地 下 水 の 地 下 水 面よ り も

、 は る か に高 い位 置 に存 在 す る とい う特 異 な現 象 を示して い る。この た め 、 両 者 の 境 界 部 は連 続 せ ず 、地 中 に お い て漫 布 線を形 成 して い るか 、 ま た は不 連 続 の 関係 に あ る もの と考 え られ る。 羽 村 付 近 の青 柳 面 以 下 の低 位 面 に み られ る地 下 水 面 につ い てみ る と、 北 側 の 一部 は 立 川 面 に向 か っ て 傾 斜し、 地 下 水 の流 動 は 、上 位 面 で あ る立 川 面 下 の 地 下 水 を酒 養 す る状 況 に あ る もの と認 め られ る。 著 名 な羽 村 市 五 の神 の 「まい まい ず 井戸 」 は 拝 島 面 上 に位 置し、 そ の水 位 は 地 表 面 か らの 深 さ と して み れ ば8∼9メ ートル 程 度 の もの で 、 拝 島 面 の 井 戸と して は深 い もの で あ る。 こ れ は 、 立 川 面 に 向 か う地 下 水 面 の傾 斜 部 分 に位 置 す るた め で 、 この 地 点 から、 わ ず か500メ ートル程 度 北 東 に離 れ た 場 所 の 水位は、 す で に25メートル を超 え る深 い部 分とな っ て い る 。

ま た、 武 蔵 野 台 地 の東 部 に あ っ て は 、 地 下水 面 等 高 線 は、 地 形 、 地 質 の条 件を反 映 して 、 台 地 にか か る部 分 と多 摩 川 お よ び下 町 の各 低 地 に か か る 部 分 と に分 け る こ とが で き、 そ の 間 の 地 下水 面 は崖 線 に よ って仕 切 られ不 連 続 の状 態 と な って い る。

この あ たりにみ られ る地 下 水 面 等 高 線 の形 状 を み る と低 位 の 立 川 面 の 単 調 な 曲線 群( 等 高 線) に 対し、 高位 の 下 末 吉 、 武蔵 野各 面 にみ られ る複雑に入り込 んだ 形 状 は対 照 的 で あ る。

地 形 からみ る と東 側 の 低 地 か ら、 古 川( 渋 谷 川) 、 目黒 川 、 立 会 川 、 呑 川 等 の 開析 谷 が 樹 枝 状 に入り込 み 、発 達 した 河 谷 は、 起 伏 に富 む複 雑 な地 形 を造 り出 して い るが 、 そ の 結 果 、 台 地 面 は 細 分 化され て い る 。 この よ う な地 形 条 件 を反 映して、 地 下 水 面 に あ って も浸 透 域と解 さ れ る大 規 模 な連 続した部 分に乏 し く、 また 、 流 動 系 に 関係 す る と思 わ れ る顕 著 な 地 下 水 谷もな く、 流 動 系 の視 点 か らみ て も、 小 規 模 に細 分 化され た浅 井 帯 が連 な っ て い る もの とみ る こ とが で き る。

この よ うな浅 井 帯 の 地 下水 は 、 ロー ム層 中 に帯 水 す る もの で 、地 下水 位 が 浅く、 か つ 停 滞 性 の 強 い、 独 立した地 下 水 域 を形 成 す る もの と認 め られ る。

V. 不 圧 地 下 水 の 動 態 と渦 養 条 件 な らび に浅 井 帯 と地 下 水 域

台 地 の 不 圧 地 下 水( 自 由地 下 水) は 、大き く分 け て 、段 丘 構 成 層 中 に帯 水 す る もの と、 ロ ー ム 層 中 に帯水 す る もの と に区 分 され る。

" 段 丘 構 成 層 中 に帯 水 す る地 下 水" に

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細 野: 東京付 近 におけ る不圧地下水の環境地理学 的研究 155

る ほ か 、 雨 水 の浸 透 が 、 ロ ー ム層を通 過して の ち 帯 水 層 に到 達 す る とい う酒 養 条 件 に あ るた め、 そ の 時 々 の ロ ー ム層 が保 有して い る土 湿 不 足( 雨 水 を吸 収 す る こ とが できる能 力 の余 力 分) の 状 況 に応じて 、地 下水 面 の 上 昇 に関 与 す る水 量 関係 が 決 定され る こ と と な る ので 、 個 々 の 降 雨 に対 す る応 答 は顕 著 に は現 わ れ な い。

一 方

、" ロー ム 層 中 に帯 水 す る地 下 水" の 場 合 に は 、 雨 水 が 他 の 地層を経 由 す る こ と な く、 直 接 帯 水 層 の酒 養 に係 わ る 関係にあ る こ と と、 地 下 水 の 下 降浸 透 を抑 制 す る粘 土 質 層 が 存 在 す る こ とに よっ て 、 降 雨 に対して は 鋭敏に反 応し、 基 底とな る水 位もほ ぼ 一 定 の レベ ル を維 持し続 け る 傾 向が あ る。 両 者 の差 は顕 著 で あ る。

上 述 の よ うに 、 ロ ー ム層 中 に帯水 す る地 下 水とは 、 ロ ー ム層 下 部 に分 布 す る粘 土 質 層 の存 在 に よ っ て、 そ の上 部 に帯 水した もので あ っ て、 ロ ー ム層 内 に 浅く帯水 層を な し、浅 井 帯 を形 成 す る。 したが っ て 、利 用 の面 か らみ る と、 量 的 に は ロ ー ム層 の透 水 性に支 配 され 、 単 位 時 間 当 た り多 量 の取 水 は 出来 な い が 、 地表 近くに地 下 水 体 が 存 在し、浅 井 戸 に よ って 生 活 用 水 が 確 保 さ れ る好 条 件 を備 え て い た こ とか ら、 古くから集 落 の 発 達 を み た と こ ろ で もあ っ た。 現 在 でも" 下 高 井 戸" な ど とい っ た地 名 が残され て い るが 、 周 辺 に も、 上 高 井 戸 ・高 井戸 ・井 草・井 荻 ・天 沼 な ど とい っ た浅 井 帯 を意 味 す る 、 良く知 られ た 地 名 が 残 さ れ て い る 。 これ らの 地 域 で は、 地 表 か ら地 下 水 面 ま で の深さ、 す な わ ち水 位 は2∼3m程 度 の も のが 多く、水 質 も良 好 な もの で あ っ た。 水 量 は 手 押しポ ン プ に よ る取 水 程 度 な らば生 活 に支 障 は無 か っ た と考え られ る。

こ の よ うな浅く帯 水した 地 下水 の側 方 へ の 連 続 性 は局 限 され る もの で は な く、 下 高 井 戸 を 中心 と して神 田川 両 岸 の長 さ2㎞ 、 幅1. 5㎞ の 範 囲 にお い て 実 施した悉 皆 調 査 の結 果 で は 、台 地 の上 面 か ら神 田川 の河 谷 底 、 さ ら に対 岸 の 永福 町 一 帯 に至 る ま で 、 地 下水 面 は見 事 に連 続し、 不 連 続 を疑 わ させ る状 態 に は な く、 した が って 、 連 続した 「地 下 水 域 」を形 成 して い る と言 う に適した も の で あ っ た 。 この 地 域 に 関 して 、 か つ て吉 村 信 吉( 1940‐ a) 10) は 「上 高 井 戸 ・淀 橋 地 下 水 爆 布 線 」と称したが 、 こ れ は現 在 の神 田川 の河 谷 壁 に相 当 す る部 分 で あ る。

こ の部 分 は武 蔵 野 台 地 にお い て地 下 水 面 の落 差 の もっ と も大 きい 部分 の 一 つ で あ る。こ こで は、 台 地 上 に は ロ ー ム層 下 部 に粘 土 層 が分 布 し、 神 田川 の河 谷 に は この 粘 土層は連 続してい な い。 ま

た谷 壁 に こ の粘 土 層 が露 出 したり、 湧水 が 生じた りす る な どの例もな い 。 これ らの 諸 事 実 か ら水 文 地 質 構造の上 からは地 下 水 面 は連 続して い る もの と解した の で あ る。

ほ か に、 吉 村 信 吉( 1940- b) 11) は 、 千 歳 祖 師 谷 地 下 水 漫 布 線 の 呼 称を与 え た部 分 が あ る が 、 現 在 で は明らか で は な い。

こ の よ う な浅 井 帯 は 、 「東 京 西 南 部 」図 幅 中で は杉 並 区 下 高 井 戸 、 上 高 井 戸 、松 原 、 赤 堤 一帯 、 世 田谷 区 弦 巻 、 用 賀 、 瀬 田付 近 の 高 台 上 に指 摘 す る こ とが で きる0

「東 京 西 北 部 」図幅 の 南 端 部 に位 置 す る 、 三 鷹 市 中 原 地 区 で は径1km程 の 範 囲 に わ た っ て、 ロ ー ム層 の厚さが9mを 超 え る武 蔵 野 面 上 で あ る に か か わ らず

(10)

層 中 に径12mmの 小 礫 の 混 在 が確 認され た 。 こ の こ とか ら、 ロ ー ム の変 質( 粘 土 化) で は な く二 次 堆 積と判 断 した 。

この ほか 、 武 蔵 野 面 の 中心 部 に は、 地 下 水 面 の盛 り上 が った 部 分と して保 谷 市 谷 戸 町付 近 、練 馬 区 大 泉 学 園 町 、 東 久 留 米 市 氷 川 台( 新 座 市 八 軒に連 な る部 分) 、に同 様 な形 態 を示 す 部 分 が存 在 す る こ とが 確 認 で き る。 吉 村 信 吉 は、 こ れ らの う ち の あ る もの に、 上 宿 地 下 水 堆( 保 谷) 、長

久保 地 下水 堆( 練 馬) の 呼称を与 えた が13) 14) 15) 、成 因 に つ い て は 明 らか に して い ない 。

そ の他 の 浅 井 帯 と して 水 位1∼2m程 度 に帯 水 す る部 分 は 、 白子 川 谷 頭 部 、 田柄 川 河谷 、 三鷹 市 牟礼 の小 丘 と延 長 部 、 井 荻 ・天 沼 地 下 水 堆と言 わ れ た 部 分 な ど をあ げ る こ とが で きる 。 この う ち 、井 荻 ・天 沼 地 下水 堆 につ い て は、 広 域 に及 ぶ もの で 、 地 形 ・地 質 的 に は淀 橋 台 に続くもの で あ ろ う。

地 下水 面 図 で 注 目 され る部 分 の 一 つ で、 練 馬 区西 大 泉 町付 近 に見 られ る、 著しい段 差 状 の部 分 が あ る 。 さ ら にそ の 延 長 が 直 線 状 で あ る こ と と、地 表 の 地 形 と無 関 係 で あ る こ とか ら、 そ の存 在 を地 下 水 面 図 か ら も容 易に確 認 できる 。 吉 村 信 吉16) 17) は大 泉 地 下 水 漫 布 線 の 呼 称を与 え た が 、 そ の成 因 に つ い て は 明 らか で は な い 。

V[ . 下 町低 地 の 地 下 水 面 の表 現 法 につ い て

東 京 東 北 部 図幅 の大 部 分 を 占 め る 下 町 低 地 の地 下水は、 広 範 囲 に わ た り地 表 面 近くに帯 水し、 地 下 水 面 の傾 斜も極 め て緩 く、 帯 水 層 を なす 地 質も細 粒 な もの を主 とす る こ と、 さ らに地 表 面と

の高 度 差 が ほ とん ど無 い こ と な どか ら、 地 下 水 面も平 坦 で 、停 滞 性 の 強 い ものとな っ て い る 。 台 地 の部 分との境 界 は 、 明 瞭 に区 分 され る。 両 者 の境 界 は 、例 え ば 上 野 か ら北 方 へ 、 山手 線 の西 側 に沿 っ て連 続 す る 、比 高15m余 りを有 す る顕 著 な一 連 の崖 線に よ って 仕 切 られ る。 台 地 上 の地 下 水 面とは、 不 連 続 の 関係とな っ て い る。

台 地 は 開析 が 進 み 、 台 地 面 の=連続 性 に乏し く、 地 下 水 の帯 水 層 は 上 野 台 の よ う に集 水 範 囲が 限 られ る結 果 、 側 方 か らの 酒 養 は 限 定 され る等 、 流 動 系 は局 所 的 な もの で あ る とみ な しう る。しか しな が ら、 この あ た りの 井 戸 の利 用 は 古く、 台 地を樹 枝 状 に刻 む小 規 模 な谷 底 部 分 に は 、 「一 葉 の井 戸 」 な どを始 め、 谷 中や 本 郷 周 辺 の寺 院等 に は 、往 時 の井 戸 が 多く残 され て い る。

下 町低 地 の地 下 水 面 に 関 して は 、傾 斜 も緩 い こ とか ら、この よ うな低 地 の 地 域 に あ っ て は、 地 下 水 面 等 高 線に よ る表 示 法 は 、 後 述 す る よ う に 、 実 用 的 に は必 ずし も適 切 な もの と は言 い 得 な いo

下 町低 地に関して の 「東 京 東 北 部 」図 幅 中 の地 下水 面 高 度 は 、実 測 値 からTP=2mを 超え る部 分 は、 千 代 田区 神 田司 町 ・港 区芝4丁 目・足 立 区 西 新 井4丁 目 に散 見し得る程 度 で 、 他 は それ 以 下 の 低 い高 度に位 置 す る。 一 方 、 地 下 水 面 の低 い部 分 で は、TP=- 3mに 達 す る部 分 は 、 台 東 区 根 岸3丁 目 に所 在 す る程 度 で 、 多くは、TP=2m∼- 2mの 範 囲 に あ る 。 した が って 、 台 地 と 同様 な 手 法 で地 下 水 面 等 高 線 を描く とす る と、 比 較 的 広 域 な 地域 で あ る に拘 わ らず 、TP=Omの1本 を 引くこ とが で き る程 度 に過 ぎ ない 。

(11)

細野: 東 京付 近における不 圧地下水の環境地理学 的研究 157

られ ず 、 常 に水 位 は上 記 の 範 囲 に帯 水し、 降 雨に は敏 感 に反 応 す るが 、 降 雨 が 終 了 す る と直 ち に逓 減 す る。 こ の 形 状 は河 川 の 流 出 曲線( ハ イドロ グ

ラ フ) とi 類似した もの とな っ て い る 。

この こ とか ら、 下 町低 地 に あ っ て は 、 地 下 水 面 が異 常 に 降 下 し、 ま た は 洞 渇 す る とい っ た 事 態 は 考 え られ な い と言 っ て 良 い 。

水 質 に つ い て は停 滞 性 の 強 い 帯 水 層 の 性 状 か ら 流 動 が 不 活 発 で あ り、 古くか ら飲 用 等に適 す る も の で は な く、 井 戸 水 の利 用も雑 用 の 目的 に 限 られ て使 用 さ れ て い た もの で あ る こ と は 、 古 文 書 か ら も知 る こ とが 出 来 る( 江 戸 時代 から、 上 水 「ウ ワ ミズ 」と称され て い た 部 分 で利 用 に適さず 、この 下 に 中水 「チ ュ ウ ミズ 」 が 存 在 す る と され 、さ ら に そ の 下 に 、 良 質 な本 水 「ホ ン ミズ 」 の 存 在 が 知 られ て い た) 。

こ こ で本 水と は 、 東 京 礫 層 の 地 下 水を指 すもの と考 え られ 、 現 在 で も、 上 質 な水 質を持 つ 優 良 な0. 5m

未満 帯 水 層 を な して い る 。 東 京 礫 層 の 深 度 は 場 所に よ 図

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東京 ・江 東 地 域に おけ る 地 下 水 位 の 分 布を 示 す 図( 細 野 原 図) 18)

る 主 要 な帯 水 層 の 一部と して 、 そ の存 在 は広く知 られ て い る。

この よ う に浅く帯 水し、 傾 斜 の緩 い地 下 水 面を有 す る地 域 の 、 地 下 水 の表 示 方 法 と して 、 実 用 的 な見 地 か ら作 成 した 、 地 表 か ら地 下 水 面 ま で の落 差を示 した 例 と して図 一6を 掲 げ る。 この 図 の 範 囲 は 、 隅 田川 と荒 川( 放 水 路) に 挟 ま れ た 範 囲 で 、 墨 田区 ・江 東 区 の全 域と、 江戸 川 区 の 一 部 を含 ん で い る 。 土 木・建 設 ・防 災 等 の 面 か ら有 用と考 え られ る 。

V」1. 地 下 水 面 の 長 期 的 変 動に つ い て

地 下 水 面 図 を作 成 す る た め の作 業と して行う同 時 期 の 一 斉 測 水 調 査とは 別 に、 特 定 の 井 戸 に対 して 長 期 間 に亘 っ て地 下 水 面 の変 化 を記 録 す る作 業 も、 地 域 の地 下 水 の変 動 特 性を得 る手 段と し て 重 要 で あ る。 筆 者 は1966年以 降 、 当該 調 査 地 域 にお い て総 数48個所 の の 民 家所 有 の 井 戸 を借 用

(12)

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武蔵 野礫 層 に み られ る地 下 水 位 の 変 動 記 録 小 平 市仲 町( 1968∼2002) ( 細 野 原 図)

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武 蔵 野 台 地 の 浅 層 地 下 水 に み られ る水 位 の変 動 の 特徴は、 春3∼4月 頃 に水 位は最も下 降 し、 夏 から秋 に か け て上 昇 す る 。 この こ とは冬に雨 が 少 ないとい う 当地 域 の気 候 特 性に依 存 す る もの で 、 若 干 の時 間差 を もっ て地 下水 位 に 反 映 され て い る ものと言 え よ う。 夏 か ら秋にか け て の水 位 の 上 昇 は梅 雨 以 後 の雨 の 降 り方 に影 響を受 け る 部 分 が 大 きいと解 さ れ る。 ま た 、 関 東 ロー ム に厚 く被 覆 され た段 丘 構成礫 層 中 の地 下水 位 は 、個 々 の 降 雨 に対 す る応 答 は鋭 敏 で なく、 むしろ関 東 ロ ー ムが 下 位 の 地 下 水 の水 位 変 動 を平 滑 化 す る働き を有して い る とみ る こ とが で き よ う

。 一一方 、 段 丘構成 礫 層 の 上 限 は 前 述 の よ う に ほぼ7. 1m程 度 のもの と推 定され る か ら、井 戸 内 に現 れ る水 面

の位 置 が7. 1mよ りも上 昇してくる な ら ば、 段 丘 構 成 礫 層 で あ る武 蔵 野 礫 層 は飽 和 状 態 の もの とな り、 と き には 、 一 時 的 に被 圧 化 さ れ る状 況 が 出現 す る もの と考 え られ よ う。 こ の よ うな場 合 、圧 力 が 開放され る の も比 較 的早く、井 戸 内水 面 は急 上 昇 した あ とは 急 降 下 す る特 性 を示して い る。 1991年( 平 成3年) 秋 に は 、東 京 周 辺 に お い て 地 下水に関係 す るいくつ か の 特 異 な現 象 が 発 生 した 。 この 年 に は 日本 の は るか 南 東 の海 上( 北 緯30度 、 東 経160度 付 近) に 太 平 洋 高 気 圧 が1ヶ 月以 上 にわ た っ て強 く居 座 っ た こ とに よ り、 こ の高 気 圧 の 周 縁 を 回 って" 雨 台風" や" 風 台風" が 次 々 と来 週し、 そ れ が なぜ か 週 末 に 重 な る こ と となり、" 週末 台 風" と か" ウ ィ ー ク エ ンド台 風" な ど と呼 ば れ る こ と とな った 。 この よ う にあ る一 定 の 間隔 を置 い て 、相 当 量 の 降 雨 が この 地 域 に継 続 的 に もた ら され た結 果 、水 文 環境 の 上 か ら は、 湿 潤 な状 態 が持 続され 、 地 下水 の 酒 養 に

は都 合 の 良 い 状 態 が 維 持 され 続 け た と言 う こ とが できる。

(13)

細野: 東 京付 近におけ る不圧地下水の環境地理学 的研究 15. 9

現 象 が確 認 され た。 図 一7に お い ても帯 水 層と して の武 蔵 野 礫 層 が 一一時 的 に被 圧 帯 水 層と化し、 井 戸とい っ た 吐 け 口 を通 して水 頭 の 急 激 な上 昇 が認 め られ た 。 こ の観 測 井と新 小 平 駅 の被 災 現 場

との距 離 は お よそ数 百 メ ートル程 度 の もの で あ った 。

珊1. タ ン ク モ デ ル シミ ュ レ ー ショ ン と 確 率 水 文に つ い て

タ ンク モ デ ル は 降水 量 か ら河 川 流 量 を求 め る た め に作られ た模 式 的 な モ デ ル で あ る が 、 地 下 水 位 の解 析 に お い て も しば しば用 い られ る 。モ デ ル は複 数 の タ ン ク を直 列 に並 べ て構 成され て お り、

タ ンク の諸 係 数 値 は実 測 値 か ら試 行 錯 誤して 求 め られ る。

図 一7に は、日降 水 量 の記 録 を描き入 れ る余 地 は ない が 、 当然 、雨 量 の観 測 デ ー タは 別 に用 意 され て い る。

まず 、 図 一7に 示した 当 該 期 間 の 地 下 水 位 の 実 測 記 録 を基 礎に雨 量 デ ー タ( 府 中) の 日雨 量 を入 力と して 、 タ ン クモ デ ル の 形 状を決 定し( 図 一8) 22) 、 つ い で 府 中 の観 測 期 間( 41年 間) の デ ー タ と大 手 町( 中 央 気 象 台) の デ ー タ を比 較し、 両 デ ー タの 整 合 性 の確 認 を 行 っ た後 、 大 手 町 の 観 測 期 間 で あ る115年間 につ い て 、 タ ン クモ デ ル ( 図 一8) に よ る水 位 計 算を行 い( 図 一9) 、 こ の結 果 から再 現 確 率 計 算 を行 っ た。 そ の結 果を表 一1に 示 す 。

この結 果 か ら、 平 成3年 の異 常 な水 頭 の 上 昇( 図 一7で, 10/ 13, 。. 。5 2. 48m) は 再 現 確 率 に お い て は 、 ほぼ75年程 度 の もの と な る こ とが 判 っ た 。 ま た 、 土 地 分 類 図 に描き入 れ る地 下 水 等 高 線 面 は1974年 の 実 績 で あ る こ とか ら、 再 現 確 率 は6. 2年( 6∼7年 に1回 は 出 現 が 期 待 で き る とい った 程 度 の 水 位) と 計 算され た。 実 用 的 な情 報と して は 適 切 な水 準 で は な い か と考 え る 。

V. 土 地 分 類 図 上 に 新 種 な情 報 を付 加 す る こ と の 意 義 と その

利 活 用 に つ い て

都 市 化 の進 展 に伴 っ て 地 下 水を取り巻く水 文 環 境 は 大き く変 化 す る 。 と りわ け 、 水 利 用 の 変 化 や 河 川 の 改 修 、 道 路 の 舗 装 、 上 下 水 道 の 導 入 な ど、 社 会 的 要 因 の 変 化は、 一 方 で は 、 地 盤 沈 下 の 発 生 や 水 辺 環 境 の喪 失 、 地 下 水 位 の 低 下 や 湧 水 の 洞 渇 な ど、 生 活 環 境にから む水 循 環 に 関して 、深 刻 な 問題を提 起 す る。 都 市 は これ ら の 多 様 で 困難 な 問題を総 合 的 に解 決しな け れ ば な ら ない 。

この 場 合 、 最 初 に必 要とな る も の は 、 各 地 点 の 地 下 水 体 の位 置 の ポ テ ンシ ャル を示 す地 下水 面 等 高線 図 で あ る。

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(15)

細 野: 東京付 近 におけ る不圧地下水 の環境地理学 的研究 161

表 一1年 最高地下水位発生確率

順位 年 月 日 地 下 水 位( c m)

ヘ ーズンプロット 超 過確 率( %)

岩井 法 超 過確 率( %)

岩井法 再現期 間( 年)

1 大 正10年( 1921年) 10 15 72. 83 0. 43 0. 79 125. 9

2 昭和13年( 1938年) 7 8 72. 78 1. 30 0. 84 118. 9

3 昭和16年( 1941年) 8 19 72. 69 2. 17 0. 93 107. 3

4 平 成3年( 1991年) 10 21 72. 36 3. 04 1. 34 74. 5

5 明治44年( 1911年) 8 15 71. 81 3. 91 2. 38 41. 9

6 大 正9年( 1920年) 10 26 71. 29 4. 78 3. 94 25. 4

7 大 正14年( 1925年) 10 14 71. 02 5. 65 5. 04 19. 9

8 昭 和33年( 1958年) 11 1 70. 81 6. 52 6. 05 16. 5

9 昭 和41年( 1966年) 7 7 70. 42 7. 39 i ・ 12. 0

10 昭 和25年( 1950年) 8 10 70. 18 i ・ 10. 09 9. 9

11 大 正5年( 1916年) 11 24 70. 15 9. 13 10. 33 9. 7

12 平 成1年( 1989年) 9 2 70. 15 10. 00 10. 33 9. 7

13 昭 和4年( 1929年) 11 16 70. 13 10. 87 10. 49 9. 5

14 明 治43年( 1910年) 10 26 69. 83 11. 74 13. 08 7. 6

15 昭 和49年( 1974年) 9 14 69. 52 12. 61 16. 21 6. 2

16 昭 和57年( 1982年) 10 15 69. 47 13. 48 16. 76 6. 0

17 昭 和40年( 1965年) 9 22 69. 40 14. 35 17. 55 5. 7

18 昭 和23年( 1948年) 9 22 69. 38 15. 22 17. 78 5. 6

19 明 治11年( 1878年) 9 26 69. 36 16. 09 18. 01 5. 6

20 大 正4年( 1915年) 10 31 69. 27 16. 96 19. 08 5. 2

( 1) 河 川と地 下 水 自然界にあ って は、 河 川 水と地 下 水とは 、 そ の 位 置 関 係 に応じて相 互に交 流 が あ る もの と され て い る 。 河 川 の 流 れ が 降 雨 の有 無 に拘 わ らず 、 尽きる こ との な い不 断河 川 と し て維 持 さ れ て い る の も、地 下水 か ら河 川 水 へ の 継 続 的 な酒 養 が続 け られ て い る か らで あり、ま た、 一 方 で は河 川水 が伏 流 す る等

、 地 域 の 地 下 水 を酒 養 す る役 割 もあ る な ど、 水 文 循 環 の 過程にあ っ て く河 川水と地 下 水 の交 流 は 、 地表 付 近 の水 の 移 動 に、 重 要 な位 置 づ け を持 っ もの で あ る 。

東 京 の都 市 河 川 にあ って は、 これ まで 、 内水 氾濫に対 処 す る た め、 排 水 能力を高 め る断 面 形 の 変 更 や 直線 化 等 が 進 め られ 、 この 際 、 コ ンク リート等 の 不 透 水 性 材 料 に よる 三面 張り等 の 施 工 が 行 わ れ 、周 辺 の 地 下水と河 川水とが 人 工 的 に絶 た れ た状 態とな っ た例 が 多 い 。

地 下水 面 等 高 線 図 は、 地 点とな る各 部 分 の 地 下水 面 の 高 さ を表して い る もの で あ るか ら、 こ の 値と、 河 川 の 河 床 高 を照 合 す る こ とに よっ て 、 地 下 水 と河 川 水 の位 置 関係を知 る こ とが で き る。 東 京 西 郊 の 武 蔵 野 台 地 で の例を示 せ ば 、ご く限 られ た僅 か の 区 間 を除 き、地 下 水 面 は河 床 高 よ り、 は るか に低 い 位 置 にあ る こ とか ら、地 下 水 か ら河 川 水 へ 流 入 す る こ とは 、 起 こ り得 ない 状 態とな

って い る。

こ こで 、 ご く限られ た僅 か の 区 間 とは 、 残堀 川 で は、 中流 以 下 の 部分 で は地 下 水 面と断 絶 さ れ た 関係にあ るが 、上 流 部 分 の一 部 で は 、地 下 水 に よ っ て酒 養され て い る と考え られ る部 分 が あ る。

こ こで は、 左 岸 から地 下 水 が 河 川 に流 入し、 右 岸 からは河 川水 が 地 下水を酒 養して い る状 態 に あ る。

(16)

善 福 寺 川 は 原 寺 分 橋 から下 流 の2kn程 度 の 区 間 で 河 床 高よ り も地 下 水 面 が 高 い 位 置にあ る 。 これ は、 前 述した淀 橋 台 へ 続く井 荻 ・天 沼 地 下水 堆 の 西 端 部 に相 当 す る 部分 で あ る。 こ こで は三 面 張りが 施 工 され てい るが 、 珍しい こ と に、原 寺 分橋 下 の 河 床 付 近 の コ ン ク リートの 割 れ 目か ら 地 下 水 が 湧 出して い るの を認 め る こ とが で きる 。 ほ か に、 柳 瀬 川 の上 流 新 秋 津 橋 付 近 で 、 地 下 水 面 が 河 床 高 を上 回 る 区 間 が 、1km程 度 、僅 か な が ら存 在 す る 。 これ 以 外 の 、 そ の 他 の 地 域 で は、 い ず れ も、 河床 高 が 地 下水 面 よ りも高 い位 置 にあ る。

以上 が河 川水と地 下水との 交 流 関係 の 実 態 で あ る。

( 2) 湧 水と地 下 水 地 下 水 面 が 地形 面 と交 わ る 部 分 で は 湧 水 が 生じる。

湧 水も ま た、 環 境 保 全 の 立 場 か ら積 極 的 な保 護 が 望 ま れ る もの で あ り、 地 域 住 民 に と って も、 最も関心 の深 い もの の一 つ で あ る 。

環 境 庁 が選 出 した 「日本 名水 百 選 」 の う ち、 東 京 都 の もの に関して は、 国 分 寺 崖 線 の崖 下 か ら 湧 出す る 「お鷹 の道 ・真 姿 の 池 湧 水 群 」 が あ る。 こ れ は武 蔵 野 台 地 の段 丘 構成層 が 、 崖 線 沿 い に 露 出 した部 分 か ら湧 出 す る もの で 、 この あ たりの 情 景 に つ い て は 、小 説 「武 蔵 野 夫 人 」 に見 事 に 描 写 され てい る。

東 京 西 郊 の湧 水 につ い て は 、 か つ て は 、 井 の 頭 池 、 善 福 寺 池 、 三宝 寺 池 な ど、 扇 状 地 性 の 地 形 を反 映した湧 水 群 が 存 在した が 、現 在 で は 、 い ず れも澗 渇し、 深 井 戸 か らの揚 水に よ っ て、 水 量 を保 っ てい る に過ぎな い。 崖 線 に 沿 う湧水につ い て は、 多 摩 川 に沿う低 地 の段 丘 崖 に

、 湧 水 が 存 在し、 羽 村 市 の 羽 村 橋 わ き、 昭 島市 の 竜津 寺 、 日吉 神 社 、 諏 訪 神 社 、立 川市 の 矢 川 緑 地 、 国 立 市

の マ マ 下 湧 水 、谷 保 天 満 宮 な どで あり、上 位 の 国 分 寺 崖 線 沿 い に は 、 国 分 寺 市 の 武 蔵 国 分 寺 裏 、 真 姿 の 池 、 日立 中央研 究 所 構 内、 殿 ヶ谷 戸 公 園 、小 金 井 市 の 東 京 経 済 大 学 構 内 、 貫 井神 社 な どが 挙 げ られ る。 国分 寺 崖 線 の延 長 部 に相 当す る調 布 市 深 大 寺 わ きの 都 立 農 業 高 校 神 代 農 場 内 湧 水 、 世 田谷 区 の み つ 池 湧 水 、 世 田谷 区大 蔵 の公 社 大 蔵 団 地 内 湧 水 、 等 々 力 渓 谷( 谷 沢 川) の 等 々 力 不 動 尊 、 世 田谷 区 の 喜 多 見 不 動 、 な どを始 め 、 ほ か に も若 干 の もの をあ げ る こ とが で きる が 、 これ らの うち の あ る もの につ い て は、 段 丘 構i 成礫 層 内部まで横 ボ ー リ ン グ等 を実 施し圧 力 差を得 て い る もの もあ る の で 、この よ う な場 合 、湧 出点 が真 の 地 下水 面 の 高 さ を意 味しな い こ とに な る ので

、 調 査 の 内容 に よっ て は注 意 が 必 要 で あ る 。

東 京 西 北 部 図幅 か らは、 黒目川 沿 い 、 白子 川 沿 い の 一部には 湧水 の 残 され てい る部 分 が あ る。 こ れ らの湧 水 に つ い て は 、 地 域住 民 の 関 心も高く、 環 境 行 政 の 上 か ら も

、 各 年 の 湧 水 調 査 を実 施 す る等 、そ の 保 全 が 図られ て い る とこ ろ で あ り、土 地 分 類 図 に お い て も、主 要 な湧水につ い て 、 現 在 にお け る湧 出 状 況 を考 慮して、 そ の位 置 を湧 水 記 号を もっ て正 確に表 示 した 。

「お 鷹 の 道・真 姿 の池 湧 水 群 」 の今 後 の保 全 に関して は、 崖 線 の湧 水 が段 丘 構 成 層 に帯 水した 不 圧 地 下 水 で あり、 崖 線 を 開 口部と した 定常 流 と して 湧 出 して い る もの で あ る か ら、 影 響 圏 に相 当 す る後 背 地 の 部 分 の 自然 酒 養 が 図 られ れ ば 、 湧水は保 全し得 る もの と考 え 、保 全に必 要 な範 囲 は ・ 大 き く見 積もっ て も湧 出 地 点 か ら1000m程 度 の範 囲 と考 え られ て い る19)

(17)

細野: 東 京付近 にお ける不圧 地下水 の環境 地理学的研究 163

( 3) 上 下水 道 と地 下 水 上 下 水 道 の普 及 は都 市 の 河 川 環 境 を含 む水 収 支 に関して決 定 的 な変 化を もた ら して い る 。

す な わ ち 、水 道 の 普 及 は そ れが 地 域 外 か らの水 の 導 入 で あ る 限 り、 降水と同様に地 域 に新 た な 水 の付 加を もた らす こ と を意 味 す る。 一方 、 下水 道 の 普 及 は雨 水 を も含 め て 地 域 の 水 を短 時 間 に

地域 外に排 除 す る こ と を意 味 して い る。

土 地分 類 図 にお け る、東 京 西 北 ・東 京 西 南 ・東 京 東 北 ・東 京 東 南 および青 梅 図 幅 の 一 部 の範 囲 に相 当 す る部 分 は、 高 度 に都 市 化 の進 展した 地 域 で あり、 上 下 水 道 は 、 ほ ぼ 完全に整 備 さ れ た地 域に該 当 す る もの で あ る と言 え る。

この うち 、 北 多 摩 地 域 に あ っ て は 、流 域 下水 道 方 式 に よ っ て下 水 流 集 が行なわ れ ており、 処 理 水 の多くは多 摩 川 に放 流 され て い る。

野 川処 理 区 で は武 蔵 野 、 三 鷹 、 小 金 井 各 市 の 一 部 か ら流 集した下 水を含 め 、 多 摩 川 幹 線 を経 由 して森ヶ崎処 理 セ ン ターへ 導 び か れ 、 そ こで 処 理 さ れ た水 は東 京 湾 へ 放 流され て い る。

荒 川流 域につ い て は 、 荒 川 右 岸 流 域 下 水 道 が 整 備 さ れ て い る 。

以 上 の こ とか ら、 東 京 西 郊 地域 で の 、 地 表付 近 の水 の 収 支 関係 は 人 為 に よ り大き く改 変され 、 また は 、 さ ら に改 変 され つ つ あ る もの と言 え よ う。 個 別 問 題 に対 す る対 応 は今 後 の 重 要 な課 題と な る で あ ろ う。

( 4) 災 害 時 非 常 用 井 戸 と地 下 水 か つ て多 摩 川 の 河 谷 の 沖 積 地 で あ る府 中 、 調布 付 近 で は不 圧 地 下水 の 良 帯 水 層 が 存 在し、 透 水 性も良 い こ とから、 「消 防 井 戸 」( 毎分1m3の 取 水 を連 続 して40 分 間 可 能 で あ り、取 水 時 の水 位 降 下 が 地 表 面 か ら4. 5m以 内) に 適 合し指 定 さ れ て い た 時 期もあ っ

た20) 。現 在 で は地 下 水 面 が 低 下した こ とか ら指 定 か ら外され てい る。 一 方

、 現 在 、 市 区 町 村 の事 業と して 、災 害 時 の 消 火 活 動 用 ま た は飲 料 水 供 給 用 と して、 民 有ま た は公 設 の 井 戸 を指 定し、 必 要 な整 備また は補 助 を行 う な ど して 、維 持に努 め 、 災 害 時 に備 え て い る 自治体 が あ る。 井戸 数 お よび 施 策 そ の 他 の 細 部 に 関 して は 自治体 に よっ て まち ま ちで あ る。

以 上 の 経 緯 に よっ て 作 成した土 地 分 類 図 「1/ 50, 000川越・青 梅 図 幅 」 の 地 形 分 類 図( 地 下 水 面 等 高 線 図 を加 え た もの) お よ び表 層 地 質 図( 関 東 ロ ー ム の等 層 厚 線 図) の 作 成例( 部 分) を 図 一 10に 添 え る。

引用文献

1) 東 京 都( 1996) : 土 地 分類 基 本 調査 「川 越 ・青 梅 」5万 分 の1国 土 調 査, 地 形 分 類 図( 角 田清 美 、 細 野 義 純 、 羽 島 謙 三) p. 19∼34, 表 層 地 質 図( 羽 島 謙 三 、 角 田 清 美 、 武 井 現 朔 、 細 野 義 純) p. 35∼53

2) 東 京 都( 1997) : 土 地 分 類 基 本 調 査 「東 京 西 南 部 」5万 分 の1国 土 調 査, 地 形 分 類 図( 角 田清 美 、 細 野 義 純 、 羽 島謙 三 、 久 保 純 子) p. 19∼35, 表 層 地 質 図( 羽 島謙 三 、 細 野 義 純 、 久 保 純 子 、角 田 清 美 、 高 野 繁 日召) p. 36∼56

(18)

野 義 純 、 久 保 純 子 、 羽 島謙 三) p. 23∼39, 表 層 地 質 図( 羽 島 謙 三 、 細 野 義 純 、 久 保 純 子 、 隼 田清 美 、加 藤 定 男) p. 40∼59

4) 東 京都( 1999) : 土 地 分 類 基 本 調 査 「東 京 東 北 部 ・東 京 東 南 部 」5万 分 の1国 土 調 査, 地 形 分 類 図 ( 角 田清 美 、細 野義 純 、 久保 純 子 、 羽 島謙 三) p. 25∼43, 表 層 地 質 図( 羽 島 謙 三 、 久 保 純 子 、角 田清 美 、細 野 義 純 、 加 藤 定 男) p. 44∼63

5) 細 野 義 純( 1978) ; 武 蔵 野 台 地 の 不 圧 地 下 水, 「 日本 の水 収 支 」, 山本 荘 毅 教 授 退 官 記 念 論 文 集, p. 174-188, 古 今 書 院

6) 細 野 義 純( 1984) ; 関 東 ロ0ム の堆 積 環 境 仙 川 地 下 水 堆 にみられ る 一 事 例. 日 本 地 質 学 会 第91 年 学 術 大 会 講 演 要 旨

7) 細 野 義 純( 1984) ; い わ ゆ る仙 川 地 下 水 堆 につ い て. 日 本 地 理 学 会 予 稿 集, 25.

8) Y. HOSONO( 1993) ; Thewat er t abl ei nt heTokyoDi s t r i c t , Envi r onment al Geol ogy, 21( 1- 2) , p . 22-36.

9) 矢 嶋仁 吉( 1935) ; 武 蔵 野 台 地 の 地 下水( 武 蔵 野 研 究 そ の1) , 陸 水 学雑 誌, Vol . 5, p. 125- 136

10) 吉 村 信 吉( 1940- a) ; 東 京 市 西 部 上 高 井 戸 一 淀 橋 地 下 水 漫 布 線 と景 観 発 達 武 蔵 野 台 地 の地 下水, 第10報, 地 理 学 評 論, 16, ( 8) , p. 513∼527

11) 吉 村 信 吉( 1940- b) ; 武 蔵 野 台 地 の 地 下 水, 特 に宙 水 ・地 下 水 漫 布 線 ・地 下水 堆 と集 落発 達 と の 関係 ( 2) . 地 理 教 育, 32, ( 3) , p. 271∼282

12) 吉 村 信 吉( 1939) ; 東 京 市 西 郊 仙 川 本 村 附 近 の地 下 水と集 落 武 蔵 野 台 地 の 地 下 水, 第4報. 地 理, 2, ( 4) , p. 525- 527

13) 吉 村 信 吉( 1940- a) ; 東 京 市 西 郊 保 谷 村 上宿 附 近 の 地 下 水 堆 と集 落, 浅 い窪 地 武 蔵 野 台 地 の地 下 水 , 第5報. 地 理, 3, ( 1) , p. 82∼95

14) 吉 村 信 吉( 1940‐ b) ; 東 京市 西 郊 保谷 村 上 宿 及 亦 六 地 下 水 堆 の地 下 水 位 及 び 地 下水 堆 域 の 変 化 武 蔵 野 台 地 の 地 下 水, 第11報. 海 と空, 20, ( 12) , p. 303∼310

15) 吉 村 信 吉( 1942) ; 東 京 市 西 郊 大 泉 学 園 町 の 長 久 保 地 下 水 堆 武 蔵 野 台 地 の 地 下水, 第15報. 地 理 学 評 論, 18, ( 4) , p. 348∼350

16) 吉 村 信 吉( 1939- a) ; 東 京 市 西 郊 大 泉 町 の地 下水 爆 布 線と景 観 発 達 と の 関係 武 蔵 野 台 地 の 地 下 水 , 第2報, 地 理 学 評 論, 15, ( 7) , p. 493∼508

17) 吉 村 信 吉( 1940- c ) ; 武 蔵 野 台 地 の 地 下水に対 す る 大 泉 地 下 水 漫 布 線 の 意 義, 武 蔵 野 台 地 の地 下 水 , 第12報, 地 理 学 評 論, 16, ( 10) , p. 673∼680

18) 細 野 義 純( 1974) ; 震 害 分 布 の 地 域 的 特 性 に つ い て, と くに家 屋 倒 壊 率 を め ぐっ て( 完)

, 火 災, 24( 1) , p. 44∼51

19) 細 野 義 純( 1990) 名 水 を訪 ね て( 11) お 鷹 の 道 ・真 姿 の池 湧 水 群 、 地 下水 学 会誌 、32( 3) 、183∼190 20) 細 野 義 純( 1969) 消 防水 利 と して の 不 圧 水 井 戸 の水 文 学 的研 究, 消 防研 究 所 報 告, 30, p . 63- 74 21) 細 野 義 純( 1969) 自 由地 下 水 に お け る帯 水 層 の水 理 定 数 と地 下 水 面 の 関係, 日 本 地 質学 会 第76年学 術

大 会 講演 要 旨

参照

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