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沖縄県名護市屋部方言の自由会話

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(1)

沖縄県名護市屋部方言の自由会話

著者 加治工 真市

出版者 法政大学沖縄文化研究所

雑誌名 琉球の方言

巻 43

ページ 1‑25

発行年 2019‑03‑31

URL http://doi.org/10.15002/00022994

(2)

沖縄県名護市屋部方言の自由会話

加治工 真 市

話者: 比嘉 ウサ氏(女)。明治17年生。92歳。生育。屋部。略号U。

    比嘉 信三氏(男)。大正3年生。62歳。生育。屋部。比嘉 ウサ氏次男。略号S。

    宜保 榮治郎氏(男)。昭和8年生。43歳。生育。屋部。略号G。

1.産育の話。

G1 [ʔanu: haʃigiti: sunu: pusu:nu muka:ʃi ʔurubo: ʔubi: ʃimitt’a:ŋ  ʔuba:sã:](あのう 妊娠している時の、昔は、その 帯を 締めさせましたか、

おばあさん)

U2 [jii:](いや)

G3 [muka:ʃe: ʔubi: ʃimirantaŋ](昔は 帯<を>しめなかった)

U4 [ʔubi: ʃimirantaŋ](帯をしめなかった)

G5 [ʔaŋʃe: k’aʃʃe: su:taru:](それではどのようにしていましたか)

U6 [ʔimanu ma:je:](今の、そのまんまさ)

G7 [ʔunu ma: kwaŋkwaŋ ʃitʃi namaja wu:bi ʃimirubo](そのまま ぶらぶ らして? 今は 帯をしめていますよ)

U8 [namma wu:bi ʃimittʃe: gokkagetʃu:naru:wa:ru wu:bi ʃimiruba:]

(今は、帯締めるのは、五カ月になったら<ぞ>帯を締めるわけよ)

G9 [mutu:ja](もとは?)

U10 [mutu:ja nu:ŋ nanimoʃinai](もとは何もしない)

G11 [na: jamatugutʃi ʃikainso:raŋke: na:ja](貴方は大和口<標準語>をお使いな さらないでください。貴方は)

S12 笑い

G13 [jamatugutʃi ʃikainso:raŋke:](大和口<標準語>をお使いなさらないでください)

U14 [ʔitʃa:turu ʔantʃiga: ʔi i:ti tʃaŋ](話したら、あんなに出てきてしまったよ)

G15 [ʔõ:: wane: ʔuŋ kura:ku kikijo:hammunu](いいえ、私はそれを上手に聞 き取ることができませんのに)

U16 [j

ɛ

˜:](笑い)

G17 [ʔaiʃʃi ʔara:ŋ ʔunu naʃi iki naikaŋ](それではない。その 産み月にな るまでそのままですか)

U18 [ʔŋ: ʔunumama: nnamanugutu: p’antʃu: nensuga:](うん、そのまま、今の

(3)

ように。 パンツは無いですが)

G19 [me:tʃa:](女の褌)。

U [sana:gi hakiti](サナーギ<女の褌>を穿ハいて)

G20 [ʔaraŋ ʔantʃi: wata: me:daki: ʃitʃi ʔantʃi ʔattʃakuta, jurujuru ʃimiti]

(いや、そしておなか<腹>を前にかかえ<前抱き>して、こんなにして歩いてい たの? ゆるゆる 帯をしないで ユルユル させて)

G21 [ʔitʃigururaga ʔantʃi ʔunu: wata:ni ʔu:bi suŋgutu nata:](それで、いつ 頃から 今のように その お腹に帯を するように なりましたか)

U22 [ʔure: ʃeŋgo: nati:ge:raru ʃe:ru](それは、戦後になってから<ぞ>したの だよ)

S23 [ʔa: ʃen enraʔaitaɲjo:](いや、戦前からあったよ)

U24 [ʃen enra ʔaitaŋ](戦前からあったの?)

S25 [ʔŋ: ʃen enra ʔai](ええ、戦前からあり…)

G26 [ʔja:nde: kana:ʔobasaɲja: ka u:kude:](言わば、カナおばさんは、信一君

<昭和13年生>など)

U [ʔe: ʔatta kata:ra ʃitʃe:sa ʔantʃa:](ああ、あれらの時からやっていたさ、そ ういえば)

G [natʃamute: kitʃe: ʔakuta](産んだ時は着ていましたか)

S27 [ʔaŋʃukutu:ʃen enra ʔaitamba:](ʃen enra…)(だから 戦前からあったわけ よ。腹帯は。戦前から)

G28 [daruda:tʃi ka u:da: ma:jinu](誰たち、 信一たちの年頃の)、([ka u:da: 

ma:runu basuja:])(信一たちの年代<年頃>の時は)。nu basuja kutuja  ʔaŋʃe: ʔuri: ʔanu: ʔu:bi su:nu p’i:](その事をさせる時は、腹帯をさせる日は、

何の日などど言って、決まっていましたか)

U29 [ʔiŋ ʔinnup’i:ni](戌、戌の日に)

G30 [ʔa ʔinnup’i:ni nu:ditʃiga ʔinnup’i:ni suŋgaja:](戌の日に、どうして戌の 日に <腹帯を>するのかねえ)

U31 [ʔimbara:ditʃijo: ʔinnu k’wa: naɸundigara](犬腹と言ってね、犬が容易に 子を産むということからさ)

G32 [haʔa:](なるほど)

S33 [hara: jassanditʃe: ʔitʃa:ru ʔimi:](腹<お産>が安い<軽い>といって、そう いった意味だよ)

U [hara: jassanditʃi ʔinnu p’ini:](腹が、お産がやすい、軽いといって、戌の 日に…)笑い。[ʔubi: ʃimi:ta](帯を締めた)

(4)

G34 [ʔunu: ʔu:bija nu: ʔanu: ʔu:binu: ʔanu: nu:nuja nu:tʃiga: tʃ’aŋgutu:]

(その帯は何の、あの帯の布は何で、どのように)

U [ʃirutʃi ʃirununu:ni](白サラシで、白布に…)

G [ʔuri: jawu:tiru ʃiko:taŋ mata da:](白布…? それは破いて作った の? また、どこで手に入れた)

S [ã: hõ:tiru ku:taru:]<いや、買ってきたよ>)。

U [ho:ti](買って)

G35 [ʔaŋʃe: ʔunu: ʔuriga mata ʔe:tt’u: ʔunu haʃigit’anditʃi:nu ʔanu: 

nu:gara ʔi:je:nde: santaŋ](それでは、それが また、えーっと、妊娠した という、あのう 何かいう言でもしなかったですか)

G36 [ʔŋ:: jije: ne:ŋ](いや、いう言はない)

G37 [tada: haʃigit’andidu: ʔuigwande:ne:do: haʃigit’andittʃi tada: ʔuppi:]

(ただ 妊娠したと<ですよ>、初子であったらですよ、妊娠したと言って、ただ、

それだけ?)

U38 [ʔŋ](うん)

G39 [ʔantʃe: ʔowa:san je: ʔanu: haʃigisuga: de: k’wa: naɸummundo:ti  ʃini:ja ʔanu: ʔunu: k’wa: naɸu:nu basunu: kunu: kunu: wina:gunu  nu:gara pusu: tʃ’ina: ai、mata ʔuŋgutuna: mununu: ʔunu: ʔurija: 

┌ u┐mbi┌ja:┐ tage: su:tara:](それでは おばあさんよ、あの 妊娠しますけれ ども、そこで、子は産むものだ、とすれば、子を産む時の、女が何か へそを つ ないだり、また そのようなものの そのう それは、準備は、誰がしたでしょうか)

U40 [ʔu:nin wa:ga su:taru]。[wata: ja:nde:ja hana:ja hara:jassate:tujo:]

(その時も私がしたよ。私の家では。カナはお産が軽かったのでねえ)

G41 [nu:nugattʃ’i  umbi su:ta:ru ba:saŋ](何々がといって、準備をしましたか、

ばあさん)

U42 [nu:nu  umbin ne:raŋ](何の準備もないよ)

G43 [nu:nu  umbin ne:ntaʃina: je:ja](何の準備も無かったとですか。そうですか)

U44 [ʔu: ʔu:bi je:](お、帯さ)

G45 [ʔu:bi ʔaraŋ: ʔunu: ʔu:bi ʔaraŋkuni: naɸu:nu me: naɸu:nu me:do:  pusu: tʃ’ina: ai ʔuʃimeŋgadi nu:ndi](帯オビではない。その帯ではなくて、

産む前、産む前ですよ。へそ<臍>をつないだり、おしめ<おむつ>には何と)

U46 [ʔuʃime: nama: tʃo:du](おしめ<おむつ>は、今は 丁度)

G47 [ʔaraŋ ʔoʃime:ndi ʔirantando: muka:ʃija](いや、おしめとは言わなかっ たよ、昔は)

(5)

U48 [hawo:dije:](ハヲー<襤褸>と言うさ)

G49 [hawo:ja nu:tʃiga tʃiko:jitaru](おむつ<おしめ>は何でもって作りましたか)

S50 [p’uru:ginuje: muka:ʃe: muru: p’uruginu:ntʃijo: ʔanu: ʔuri: ʔara:ti  ʃiko:tijo: p’ukut’aja k’ja:raraŋ k’inu:jo: ʔuri ʔatʃimijejini ʔuri:  ʔara:je:ini jo::  umbi su:tanuba:](古着さ、昔はみんな古着と言ってねえ、

あのう、それを洗って準備して、ボロ<襤褸>は着られない着物さ。それを集めて、

それを洗ってからね、準備したわけさ)

G51 [ʔure: ʔaiʃi namme: bake:](それは、そして何枚ばかり<ぐらい>)

S52 [namme:tʃi ʔainna: ʔure: ʔatʃimira:jinu buije:10 ʔajin ʔunine: ne:nsa:]

(何枚とあるものですか。それは、集められるだけのぶんさ。あるもんですか、あ の時にはないよ)

U […ʔuine: ne:nsuga: p’ukuta:madi k’i:ju:su:tu](あの時は無かったが、ボロ まで着たものだから)

S [namma:ja ʔoʃime:di ʔju:suga:jo: muka:ʃe: hawo:tiru ʔju:te:tujo:](今 はオシメと言ったけれどね。昔はハヲー<カコー[kako:]<「かかふ」「襤褸。ぼ ろぎれ」万葉集⑸の転訛>と言ったからねえ)

S [ʔunu hawo:di su:ja: p’uruginuru ʔatʃimiti muru ʔara:je:ni: 

nu: no:jinsanro:](そのハヲーと言うのは古着を集めて全部洗って、何も縫いも しないよ)

U [no:ransa ʔunumama:](縫わないさ。そのまま)

S [no:jin saŋ ʔunuma:ma: sugu: ʃika:tʃi ʔantʃi ʔantʃi su:taru  muka:ʃija](縫いもしないで、そのまま すぐ<尻に>当てて、そのようにしたも のだよ、昔は)

G53 [ʔunu naga:sara haba:kudi pawa:uti11 kima:ti ʔurantaŋ](その長さか ら幅など、 幅などは 決まっていませんでしたか)

S54 [wu:wuwu:](いや)

U [ʔŋ:ʔŋ: ʔaŋʃi nage:kuna ʔarando:](いや、そんなに長くではないよ)

S [ʔje: nu:ŋ kima:raŋ: ʔure:jo: sugu: puruginu p’ikkijei:ni je: 

dutʃ’i maʃe:nugutu ʃika:ʃe:jassanu gutu: no:jinsan sã:n nu:n saŋ]

(もう、何も決まらない。それはねえ、すぐ古着を引き破って 自分で いいように 

<尻に>当てやすいように、縫いもしない。何もしない)

U [nu:n santaŋ no:jinde: ʃu:ji](何もしなかった。縫いなどするものですか)

S tada: ti:tʃijo: he:jaini jaije:iniro: ʔaŋʃʃi ʃika:ʃe:sanugut’u: ʔaŋʃi12  mama:ruta:ru muka:ʃinu](ただ一つね、引き破って、破ってですよ。そして、

(6)

<尻に>当てやすいように<敷きやすいように>、そのままであったよ。昔の…)

G55 [ʔantʃi: nnamanugutu: maru:ʃi maruta:](そのようにして、今のように生ま れるの)

S [ʔa:::: ʔantʃi: ʔuni:ni nu:n sanro:](いやいや、あの時は何もしないよ)

G [mataja: hawo:  umbi su:suga:](また、ボロを準備するわけだが)、[mata  ʔurira:](またそれは)

U56 ……

G57 [pusu: tʃina:gu k’wa: ʔuiginu:nditʃe: ʔait’aŋ](臍ヘソをつなぐ。子供は産着ウブ ギといって、ありましたか)

U58 [jije:](ええ?)

G59 [ʔui ʔanu:](産<着>)あの…

U60 [ʔuiginu:ditʃe: jo: tʃintu na:kariʃido:13 no:jitamba:jo: ʔujiginu: 

na:ʃikipinitʃi:ʃi na:ʃiki:nuba: bike: kju:tu hawo:ʃiru hara:mitʃi14 ʔuta:ru  na:ʃiki…](産着というのはね、ちょうど半尋だよ。縫ったわけだよ。産着は名づ け日<命名の日>に、名付けの時だけに着るので、ボロで巻き付けて居たよ。命名 する日も…)

G61 [ʔanu: k’inu: ne:nt’aŋ waraŋkja:nu ʔunu:](あのう、着物は無かった? 子 供たちの)

S62 [ʔune: nu:ŋ kiʃi:rando:](それまでは何も着せないよ)

G63 [ʔakaŋgwa:nu k’inu:15 ne:ŋ](赤子の着物は 無いの)

S64 [p’uk’uta:tʃi hara:kuje:jini…](ボロ<襤褸>で くるんで…笑い)

U65 [hara:k’utu:tijo: ʔara:ti ha imitu:ti hara:kuje:nne: ʔanu: ʔuri:ru  ʃu:taru](くるんでおいてねえ、洗って 保管しておいて、くるんだようにして。

それをやったよ)

G66 [ʔantʃi mansaŋkude:jini16 kju:nu kinu:ja](そして満産などに着る着物は?)

U [mansanni ʔŋ: k’ju:nu k’inu: ʔunu: ʔuri: je:](満産の時に、ええ、着る  着物、その それさ)

G [nu:diga ʔunu: na:ʃikiginu: ʔn::](何と言うの、そのう、名付け着物の名前は)

U67 [na: ʃiki:nu ba:nu k’inu:te:](名前を付ける<命名の>時の着物さ)

G68 [ʔantʃi ʔunu: ma:ri: suga: ʔantʃi pusu: tʃ’ina:tʃai su:sukude:ja ʔi:tʃu:  kude:ja ʔantʃi nu: ʔitʃu:ga ʃike:turo:ta ba:saŋ](そうやって、その、生まれ ますが、そして、へそ<臍>をつないだりするようなものなどは、糸などは、そし て何糸<どんな糸を>使っておられた? ばあさん)

U69 [mumente:](木綿さ)

(7)

G [momeŋ17](木綿…)

G70 [ʔurija ʔanu: duttʃ’i ʔina:gunu ʔunu: haʃigi:tun ʔina:gudu k’iru:sunu:  ʔina:gunu ʔuja:ndu su: mata daruga mata:](それは、あのう、自分で、

女が、そのう妊娠している女が準備するの、その女の親がするの。また、誰がするの。

また)

U71 [ʔara:ŋ ʔure: kattinu18 wuta:ʃiga muka:ʃija namma: te:ge:  ʔuritʃige:ra mu: wa:ga su:taŋ( embu:)](いや、違う。それは 経験者

<取り上げ婆>が居たが、昔は。今は大概それなどは私がした。全部)

G72 [m: ba:sannu katti:ru jate:saja: ʔaŋʃe:](ええ、おばあさんも勝手<取り 上げ婆さん>であったんですね、それでは)

U73 [wane: samba:je:](私は 産婆さ)。

S [ʔaõ: de: ina katte:](ああ、大変な勝手。取り上げ婆の経験者だ)

G74 [ʔã: samba:](ああ、産婆)

U75 [samba jaru:](産婆だよ)

S [ʔuri:nu basu:nu sambaja jaru:](その頃<その当時の>の 産婆だよ)

G76 [na:ja19 ʔuri:ja t’aruraga nara:jinso:taru:](貴方は、それは誰からお習いな されましたか)

U77 [t’aru:ran nara:ranuwaŋ](誰からも習わないよ)

G78 mi:nare: kikinare: ʃi:](見習い 聞き習いして)

U79 [tadajo: me: duttʃi kantʃi ʃigute:nt’e:](ただね、自分で、勘で繋いだわ けさ)

G80 [ʔantʃi: ʔanu: to: ʔurine: ʔaŋʃe: katt’i:di suja: taruniŋgaru ku:ŋ  ʔunu jina:guga haʃigi:tunu basu: na: ʔanu mendo: mitʃi turaʃi:ditʃi:]

(そうして、あのう、それでは勝手<経験者>と言うのは、頼みに<ぞ>来るの? 

その、女が、妊娠している時には、貴方がその面倒をみて下さい、と言って)

S81 [ʔa:ji: junaka:jajo: nandukiran çitʃa:bara jami:ne jo:: sugu:  tʃo:baja:nu20 ʔoba:jo:ʃʃi  o:ra ʔabija:tʃ’i watt’a:madi nimbarantaŋ  ʔuku:hatt’i:](いや、夜中はねえ、何時からも下っ腹が痛むとねえ、すぐチョーバー 屋のおばあさんよ、と言って、門から大声を出して、私たちまで眠れなかった、起 こされて)

U [ʔŋ: k’jassaga k’wa: nasa:t’aga juma:jinna:21 juma:rando:](まあ、ど れくらい子を産ませたのか、数えられるものか、数えられないよ)

S82 [so: uɲja:22 embu ʔoba:garu pusu: tʃ’i e: nuŋkui sunro:](昇順は全部 おばあが<ぞ>臍ヘソをつないだだりすることは、何もかもするよ)

(8)

G83 [ʔa: ʔanu: ʔamaŋga](ああ、あのう、あそこで)

S84 [so:ga k’wa:nujo: ʔanu: nannaŋga t’a:ruja: ʔanu: nan o:ga t’a:ra  waka:ransuga: na: so: uɲja nu: k’wa:garu:di ʔitʃa:gutujo:](正順の子が ねえ、あのう 何男であったのかねえ、あのう何女であったか、分からないが、も う昇順は、<息子、娘の>何子かねえと言ったからよ)

k’wa: natʃe:suga: pusu: tugu:nu23 tʃ’o: ʔuranto: ʔoba: haku ka:nde: 

haku: ka:nde: sumba:: nu: k’wa:garu: so:dzundi: ʔitʃa:gutujo::  so: uɲja ʃik’a:mukka:nu24 mo:ça:25 sumba:](子を産んであるが、臍をつなぐ 人が居ないので、おばあさん、早く来ないと、早く来ないとと急セかすわけ。何の 子か<男女の何れか>昇順と尋ねたのでねえ、昇順は、ごちゃごちゃと混乱して、

しくじったものになってしまったと言うわけ)

[na: ʔina:gute:nte: ʔina:gu natʃe:t’ujo: ʔiki:ga: naɸu:nu tʃimuje:nu  ʔina:gu natʃe:t’u kusa:mitʃi ʃik’a:mukka:nu mo:ja:di ʔitʃa:tu ʔaŋʃe:  ʔobba: jara:hansa: ʃik’a:mukk’a: nattu: jara:ɸuŋ ʔantʃi:di tʃ’a:tujo:  so:ja mat’ando:ruwa:t’i  笑 い。 ʔju:mba::  笑 い。 ʔansut’u:  matando:ruwa:di ʔaŋʃe: wak’a:ruwa: ʃimusa: to: ʔaŋʃe: ʔobba:  jara:ɸusa:tʃ’i jara:tʃam basu:n ? ajimba:jo:](それはもう、女児であったわ けさ。女児を産んだのでねえ、男の子を産むつもりが女児を産んだので、怒って、「し くじり失敗作のモーヤーだよ」と言ったので、<私は>そんならおばあさんは遣ら ないよ、しくじって訳のわからないものになっていると言うなら、遣れるものです か。そう言ったのでねえ、昇順は、「またもだよ<笑い>」と言うわけさ<笑い>。

それで、またもだよって。それなら わかるからいいよ。さあ、それなら おばあ さんを遣るさといって、遣った時もあるわけよ)

G85 [ʔantʃi mata ʔanu: pusu: tʃigu:suga: ʔuri:nu ʃi:gu kittʃ’ai su:pusu:ra  pa i: suga: ʔuri:ja: k’jaŋgutu:nu ʔuri:ga ʃikeitaru:](そして、また、あのう  臍ヘソを継ぎますが、 それ用の 小刀。切ったり する時などがあったはずですが、

それは どのような<如何なる>もの<小刀>を使いましたか)

U86 [junu: ɸutʃu:nu ʃi:guje:26](同じ、普通の小刀さ)

G87 [so:doku ʃitʃ’e:ji nu:n santaŋ](消毒したり、何もしなかった?)

U88 [waka:rantaruwaŋ ʔure:](わからなかったよ。それは)

G89 [na: nu: santo: sugu ɸuma:ni ʃike: sugu sutt’am pusu:ra ʔanu  nu:ŋkui ji:sa:ni bjo:kinnum baikinnuŋ…](貴方は何もしないで すぐ 小刀 をここに使い、すぐ ここに使い、すぐしましたか。臍ヘソから あのう 何もかも  入るでしょう。病菌もどんなばいきん<黴菌>バイキンも…)

(9)

U90 [baikinnuŋ ʔutitige:raru jaru: ʔurija baikiɲ ji:ʃija ʔutitige:rajo: 

ʔunikirara: ʔuritu kuŋʃimi:tu nu:m baikiɲja: ʔiriraŋʃigajo: pusu:nu  ʔutitige:ra ʔanu: jana: mi ina: ʔamiʃitai ʃi:ne:jo: ʔurira baikin  ʔiji:tandi](黴菌も<へそが>落ちてからである。それは、 黴菌が入るのは、<臍 が>落ちてからよ。その時から、それと 強く締めるので、何も 黴菌バイキンは  入らないけれどね、臍ヘソが落ちてから、あのう 悪い水に 浴びせたりするとねえ、

それから黴菌バイキンは入ったってよ)

G91 [nu:ndija ʔju:ru ʔunu ba:saŋ ʔunu: ma: pusu:27 dakundiga ji:tara  nu:ndiga ji:taraja makkuru:k’u nat’ai ʃitʃigajo: ʃini:sa:ni: ʔoba: ʔunu  waraŋkja:ja](何と言いましたか、その おばあさん。その、まあ、臍ヘソをだくと か言ったのか、何と言ったかねえ。真っ黒くなったりしてからねえ、死ぬでしょう。

おばあさん、その子供たちは)

U92 [wane: ʔure: ʔata:ti mja:nuwaŋ…ʔari:ga k’wa:bike:jo: ʔanu: ʔikusana:  ʔatto: mut’e:jo: ʔanu: ○○○nu: △△△ga k’wa:di ju: basu: △△△ga  k’wa: …na: ʔi ikanti ʃitʃa:gutujo: ʔuja: tabu:jimi:28 k’wa: tabu:jimi:di  ʃitʃ’a:tu na: ʔuja: tabu:jimiri ʔjusa ɸuriba: suŋku i:ri29 ʃitʃaŋ](私は、

それは当たった<経験した>こと無いよ。あれの子だけね。あの戦の後になってね。

あの○○○の△△△の子という時、△△△の子は、もう 出かねていたので、親を 助けるか、子を助けるか、と言ったので、もう、親を助けてくれと言うさ。それを、

しくじってしまったよ)

G93 [ʔa: ʔanu: ʔuri: unu: namande: ʔi:ne: ʃipp’ai ʃitʃa:ʃe: ʔikirahaite:saja:  ba:saɲja: tʃ’u:ibake:ŋ](ああ、あのう、それ、その、今で 言えば 失敗したのは、

少なかったわけですね、おばあさんは、一人だけで)

U94 [waneŋ juk’u: ʃupp’aija: ʔata:ti mja:ntaŋ](私は あまり 失敗は当たって みなかった)

S95 [ʃippai zjen en santaŋ](失敗は全然しなかった)

G [hõ: ʔantʃiru](ホー、それで)

S [ʔantʃijo: sambak’aŋ samban witaŋjo: wuni: ʃu:ʃeŋgo:ndine: je: 

ʃen ennu je: sambaŋ wi:ʃiga k’wa: nasa:ʃimit’i kara:ru samba  jubutaru ʔobam pusu: tʃiga:tʃ’ikararu sambak’an naʃijassantʃ’ijo: 

ʔoba:tuja](それでね、産婆よりも、産婆も居たよ。その時に、終戦後と言うとねえ、

戦前のさ、産婆も居るが、子を産ませてから<ぞ>産婆を呼んだよ。おばーに臍ヘソ をつがしてから。産婆よりも産みやすいと言ってね。おばあとは)

U [ʔaŋʃi namanu ʔanu: ʔarija: samba:](それで、今の あのう、あれは、

(10)

産婆は…)

S [mata: saka:ʃimago: ʔunnamunu: muru: waka:ti no:ɸumba:jo: 

ʔoba:ja ʔantu: sambaja: nammanu sambak’aŋga  o: ite:sa30](また、逆 児、そんなものも みんなわかって 直すわけさ、おばあは。それで産婆は、今の 産婆よりもずっと上手であったよ)

U96 [ʔiɸa:jajo: ʔiɸa:ja  embu: ʔanu: jamp’a:nu nammanu samban so:ti  ku:ta sugajo: ʔoba: nasa:tukijo:: wane: ju:ɸuruŋga ʔamiʃiŋga  ku:kutu:di ʔi:kutu wanniŋga pa ime:ja ʔitʃunasa:tuja: ʔami:ʃiʃuga:  k’wa:ja ʔanniʃitʃuga ʔuri:nu ʔato:ja wanni:ga ʔm:bu: ʔantʃi nasa:tʃi  pusu:kuntʃi:garu ʔure: ku:tu tima:ja wa:ga tuti: na:ja ʔanu: 

naŋgibike: ʃimiti:ja: ʔoba:tʃ’i k’inu:n ne:ru: wuti kiʃi:ti jita:munnu  namanu sambaga:](伊波さんはね、宮城ゆきさんは、全部、あのう山入端の、

今の産婆も連れて来たけれどね、「お婆さん、産ませておいてね、私は お湯を浴 びせにくるから」と言うので、私が、初めのうちは、忙しいのでねえ、浴びせるけ れども子は、そんなにしていたが、それのあとは 私が多くは、あのようにして産 ませて、臍ヘソをくくってから、あれ<あの人>は来るので、「謝礼<手間賃>は私 が取って、貴方は難儀ばかりさせてねえ、おばあさん」といって、着物もネルを織っ て<私に>着せていたよ、今の産婆が…)

G97 [sakaŋgwa: nat’u:ʃe: kjattʃ’iga waka:jitaru ba:saŋ](逆児になっているの は どのようにして わかりましたか、ばあさん)

U98 [sakaŋgwa:ja t’a:ma:ra31 kantʃi kisa…ʃiko:jitu:](逆児は ちゃんとわかっ ている。このように…準備されているので)

G99 [wata: sawa:jine: waka:jimi](腹をさわったらわかりますか)

U100 [ʔara:ŋ ʔn iti kuwaru waka:jiru](いや、 出てくれば<ぞ>わかる。<出 てきたらわかる>)

G101 [ʔure: ʔaitʃi: tuino:ʃinsuŋ](それはそうして、とりなおしもしますか)

U102 [tujino:hando: ʔunumama ʔn a:suŋ](とりなおさないよ。そのまま出す)

G103 [ʔanti ʔumatt’ijo: ʔunu: nama:ja na: ʔanu: k’wa: naɸu:nu basu:m  pana:ʃijasuŋga ʔuri:ra jina:guga ʔantʃi haʃi:git’u:nu basu:do: ʔanu: 

ʔuŋgutu:nu kutu: ʃitʃe: narantuka: mu:tunu32 kutu: ʃitʃe: naran  tuka: te:ge: ʔaite:sa:ni ʔanu: ki: ʃiki:nu kutu:](そして、そこでねえ、その  今は…あのう、子を産む時の話であるが、それから、女がそうやって、妊娠してい る時ですよ。あのう、そのようなことを してはいけないとか、こんなことをして はいけないとか、たいがい ありましたでしょう。あの 気をつけるところのことが)

(11)

U104 [ʔuri: nundi ʔunu tamununu matabaja: kude: waraŋki:jo: suga]

(それは何と言ったっけ、その薪の「股になっているものなどは割るなよ」と言う けれど)

G105 [tamununu matabaja: waraŋ](薪の股になったものは割らない)

U [waraŋki:di ʔju:taɲjo:](割るなと言ったよ)

G [mata](また)

U106 [matabaja: waine: ʃiba:gwa: naɸu:ndittʃ’ijo:](股のあるものを割ると、みつ くち<兎唇。シーバー>になすと言ってねえ)

G [ʔahã: ʃiba:gwa: naɸu:ndittʃ’i ja:](あはー、兎唇<みつくち>の子を産む と言ってねえ)

S107 [ʔure: meiʃinte:](それは迷信さ)。

U [meiʃiɲjo:](迷信だよ)

G108 [mata na:p’e: ʔaite:sani](また、もっと あったでしよう)

U109 [na:pe:ja…ʔure: k’waŋke: ne:ŋ](もっと…それは関係ないよ)

G110 [ʔara::: ʔanu: nu:gara: nu:gata:ru: ʔunu ʔe:to …ja:nu ʔari: 

kude:ŋ](違うよ。あのう、何だったか。その えーっと…家の)

S111 [ʔã: jessa: gainu:](ああ、そうだ。 蟹の)

U [je:je:](ええ、そうそう)

S [hawo:33](腹部の甲羅)

U112 [gainujo: ʔure:](蟹のねえ、それは)

S [pisa: wandate:34 ʃi:ne: mata: pugi:ntoka:](足を切り裂いたりして調理する と、股が折れるとか)

U gainu pisa: wuta:tujo: jampa:mana:35 wuisuga: wuje: gainu pisa:  wuti guma: wi: ʃitʃi:](蟹の足を折ったのでねえ、山入端に居るけどさ、蟹の 足を折って、小さく折ったり)

S [munugire: ʔitʃ’aɲjo:](もの忌み、もの嫌いと言ったよ)

U [ʃitʃa:tu ʔanu: ʔi e: ʃitʃen:te: ʔi e: ʃitʃente: ʔi e: ʃitʃiru ʔunu  gainu pisa: wutandiga:ra mu:ru ʔantu: jampa: ti:gwa:36 natu:ŋʃe: 

ʔari:](したので、あのう、漁りをしたわけよ。漁りをして、その蟹の足を折ったか らとか? それでその人は、 山入端の小さな手<片手は掌の無い手>になっている よさ)

G113 [munugire: ʃitʃi narandisu: nu:ku: ʔaisa:ni:](物忌みは、やってはいけないと いう、あれこれが あるでしょう)

S114 [õ: na gandu:ndo:](ああ、それはもう、沢山あるよ)

参照

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