九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
ガス絶縁機器の絶縁信頼性向上と小形化に関する研 究
八島, 政史
https://doi.org/10.11501/3108125
出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第5章 ハイブリッドガス絶縁送電線路の基本検討
5. 1 まえが.き
電力需要の増大と都市部への集中化傾向は今後も一層強まると予想され、遠隔地の発電所からの長距離 送電、あるいは都市部での基幹電力系統に一層の高信頼化と大容量化が要求される。 一方、用地面、環境 面の制約はさらに厳しくなると考えられ、架空送電線に代わって電力ケープルや管路気中送電線(G1 L) のように密閉型で、さらに大容量の送電線路の実現に期待が持たれる。 密閉型送電線路は電気環境問題や 雷、汚損、雨、風、雪など自然環境に起因する問題をほぼ除去できるほか、密閉化による高信頼化、保守 点検の省力化なども期待できる。
電力ケープルには主絶縁を油と紙で行うOFケープルと架橋ポリエチレン(XLPE)によるcvケープル があるが、近年はcvケープルの開発・利用が進展し、従来OFケープルの独壇場であった500kVクラスま で開発が進んでいる。 cvケープルは固体絶縁の高い絶縁耐力を生かして、す法を小さくできることが特 長である(500kV級でシース外径160----180mm)。 しかし、静電容量や誘電体損失が大きいこと、放熱効果が 低いため電流容量を大きくできないなどの問題があり、送電距離は交流線路で数10km、電流容量は敷設方 式にもよるがケープル1本あたり1000----2500A程度である。
一方、G1 L は1963年から1968年にかけて、電力中央研究所送電機能研究委員会を中心に実施された短 距離モデルによる基礎実験(1)が端緒となり、以来各種の実用化研究と何件かの実運用が進められた。 わが 国では1979年に154kV変電所の構内連絡線として初適用され、現在ではいずれの適用例も数100mの短距離 線路ではあるが、500kV-8000A級GILが運転されるに至っている(2)。 海外でも1970年代を中心にアメリ カ、イギリス、 ドイツなどで、管路を多数接続するリジッドタイプはもとより、ドラム巻き可能なフレキ シブルGILについても開発研究が進められ、145kVから800kVクラスまでの短距離送電線路への採用が検 討された(3)。 なお、海外のGILは定格電流が2000----3000Aと、わが国に比べてかなり低めに設定されて いる。
GIL はS F 6を主絶縁媒体とするため、通常の電力ケープルと比べて静電容量や誘電体損失が小さく、
架空送電線に匹敵する電流容量(6000----10000A)を有する。 しかし、現状ではフレキシプル化が困難であ り、12""'18m程度の同軸円筒型管路を現地で多数接続する必要があるため、多くの場合、技術的、 コスト 的に不利であることから長距離送電線路として活用されるに至っていない。 しかしながら、わが国での用 地面、環境面の厳しい制約から、今後は架空送電線に代わってG1 Lのような密閉型送電線路の適用が広 がることが予想され、既に大都市近郊の275kV-6300A級送電線路として、世界最大規模となるこう長約 3.3kmのGILを洞道内に設置する計画が進んでいる(4)。
今後GILを有効に活用するための方策として、以下の2つの方向性が考えられる。 ひとつは内部電界 をできるだけ高くしてコンパクト化を図り、フレキシプル化を目指すことである。 もうひとつは逆に内部 電界を低く設定し、あるいはガス中の電界分布の一様化を図るなどして、コンパクト化よりも高信頼化を 目指すことである。 これまでのGILの最大の問題は、コンパクト化のために内部電界を高くすると、導
体の表面粗さや金属異物 (パーテイクル)などによって局所的な電界集中が生じた場合、 絶縁性能が著しく 損なわれて十分な信頼性が得られないことである。 G1 Lの内部電界を低く設定して高い信頼性を目指す ものとして、 Takuma氏ら(5)によるコンパートメントG1 L (C-G 1 L)の提案がある。 これは大気圧程度の
S F 6 あるいはSF 6を主成分とする混合ガスを主絶縁媒体に使用し、 一辺が2m程度の角形洞道(コンパー
トメント)内に500kVの送電線1回線を格納するものである。 また、 ガス絶縁に固体絶縁を併用してガス中 電界の一様化を図ることで、 ガスの絶縁特性の十分な活用を目指すものとして、 同じく宅間氏ら(6)による ハイプリッドG1 L (H-G 1 L)の提案がある。
C-G 1 Lについては既に基礎的な絶縁設計とモデル実験による絶縁特性の検討が行われている(5)が、 H
GILについてはごく基本的な構造に対して内部電界の解析が行われている程度である(6)0 G 1 Lの実運 用は現状では同軸円筒型のものに限られているが、 線路構造や絶縁構成に関して新たな発想、が望まれると
ころであり、 上記の提案は注目に値する。
本章ではCVケープルとGILの中間的な構造を有し、 双方の長所を生かした信頼性の高い長距離送電 線路を目指すハイプリッドガス絶縁送電線路(H-G1 L)の基本構造を検討し、 内部電界解析、 所要寸法の 試算、 電流容量の評価などを基に実用可能性の評価を行う。
5.2ハイブリッドガス絶縁送電線路の基本構造と特長
cvケープルとGILの中間的な構造により、 内部の電界分布にどのよつな改善が図れるかを図5.1の同 軸円筒構造モデルで考えてみる。 同図(a)はモデルの断面図で、 中心導体の半径をRl、 外被(シース) の半 径をR3とし、 中心導体の周囲には半径R2の国体絶縁物の被覆がある。 固体絶縁物の材料はポリエチレン (以下 PE)を想定する。 内部の電界分布を同図(b)に示す。 ここで、 ガス空間とPEの比誘電率はそれぞれ
E sl = 1、 εs2=2.3とした。 破線はPEがない場合、 あるいはPEで内部を充填した場合の電界分布であ
ふこれ附し、 PE的
す。 どちらも破線の特性と比較して、 一様な電界分布に近づき、 ガス中の最大電界を低下できる。 すなわ ち、 電界分布の一様化が図れる。
ここで問題となるのは中心導体を支持する方法である。 PE表面を直接スペーサで支持する構造では、
ガス空間との誘電率の違いにより両者の接触点付近で電界上昇を生じやすい。 さらに、 PE表面は電界が 高いので、 スペーサとの接触点が完全に固着されていないと、 ガスギャップが形成され、 これに電界が集 中して部分放電が生じる可能性がある。
そこで、 図5.2のような多導体構造を考える。 ここでは、 図5.1の中心導体を3本に分割し、 Y形のスペー サで支持する。 すなわち、 図5.2は単相分である。 3本の導体は外部シースを除去したCVケープルのよう にフレキシプルなものとして軸方向に振れば、 破線で示すY形スペーサを適当な間隔で挿入することによ り、 これだけで導体支持が可能となる。 さらに、 Y形スペーサと導体の接触点は後述するように電界が低 いので、 絶縁上の弱点になる可能性は小さい。 通常のGILやガス絶縁関閉装置(G1 S)でも、 スペーサ
ー154-
ε一位1一ε
、\R
O R1 1.0
ムコ
ミ忠明尽 +咽下J
長0.5
め山怨G隊側明
中心からの距離 R3
(b)電界分布 同軸円筒モデルとその電界分布
(a)同軸円筒モデル 図5.1
多導体構造(単相分) 図5.2
のガス中沿面と金属導体との境界面はトリプルジヤンクションと呼ばれる電界特異点(7)となるため、 これ が絶縁上の弱点にならないよう、 スペーサやシールド電極の形状に特別の配慮が必要であるo 図5.2の構造 は導体自身をスペーサとの接触部の電界緩和に活用する合理的な構造といえる。 なお、 図中の併およびO はそれぞれ導体表面、 シース内面上の電界分布を表示するための座標で、 後述の図5.4----図5.9で用いる。
通常のGILの基本構造である同軸円筒構造において、 中心導体を2----4本に分割してそれぞれI形、 Y
形、 十字形のスペーサで支持する構造は既にHampton氏ら(8)が提案している。 同氏らはさらに各導体に絶縁 物の被覆を付加することにより、 導電性異物の混入に対して絶縁上有利であることを概念的に指摘してい るが、 電界解析を含めた定量的な評価は行われておらず、 このような構造に対して基本設計まで進めた例 は見あたらない。
なお、 主絶縁にS F 6と高分子材料を併用する送電線路の提案例として、 プラスチックテープ巻きS F 6 含浸ケープル(9) があるが、 耐電圧性能の問題やcvケープルの急速な進展などにより、 実用には至ってい ない。 また、 超大サイズXLPE絶縁・S F 6ガス充填パイプ型ケープル(10)、 コア分割型S F 6ガス充填ケープ jレ(10) の提案例では主絶縁物はXLPEであり、 S F 6は充填材としての役目しかない。
5 . 3絶縁設計と所要寸法の試算
5 . 3. 1 内部電界分布の解析
図5.3にシースも含めたH-G 1 Lの基本構造を示す。本構造において、 シースの内径を与えると導体直 径、 導体の位置、 PE層の外径、 シース肉厚が決定すべき寸法パラメータとなる。本検討ではこれらのパ ラメータについて、 表5.1の6種類のケースを対象とした。 ここで、 導体直径とPE層の外径はシース内径 (d)の倍数で表示した。また、 導体の位置は3導体の中心が直径0.4dの円周上にあり、 正三角形の頂点を 形成する配置に固定した。 シース肉厚(t )は10mmを標準とし、 Type-2のケースのみt =15, 20mmも検討し た。
d
導体
図5.3 H-G 1 Lの基本構造(単相分)
表5.1 検討対象とした6ケース シース内径 導体直径 PE層外径
導体中心の位置
( a) (b)
TY}貯1 0.15 d 0.3 d Ty戸-2 0.15 d 0.25 d
TY}ゎ3 d 0.15 d 0.2 d 正三角形の頂点(0.4 dの円周上) Ty戸-4 0.2 d 0.3 d に配置
TYI=貯5 0.2 d 0.25 d
TY}貯6 0.25 d 0.3 d
- 156-
シース各表面上の電界分布の解析結果を図5.4----図5.9に示す。 電
シース面上の 界分布の計算は複合誘電体を含む二次元場の電荷重畳法を適用した。 すなわち、 図5.2に示したY形スペー サは考慮していない。 導体およびPE表面上の電界分布は図5.2の併により表示した。 また、
電界分布は図5.2のOにより表示したO電界の強さは導体への印加電圧をVとして、
PE、
Type-l ----Type-6について、 導体、
V/dで規格化して表 PE層で導体を被覆することの効果を明確にするために、 導体表面の電界分布についてはPE層 がない場合の特性を破線で併記して比較した。
示したo
_
PE層がない場合"'..., の導体表面
\\イ
PE表面\\
\
\ \
\ \ 10
8 7 9
6 5
3 2 4
(刀\〉)\凶 た恕(厄昨脚
240 270 180 210
中,e [度]
角度
0 120 90
H
-
G 1 L (Type-l)の電界分布 図5.4_
"'...‘ PE層がない場合の導体表面\\ど
P巨費面\
\ \
\ \
\ \
\ 10
9 8
6
2 5 4 3 7
(刀\〉)\ω 初怨G隊岬明
270 240
。I e [度]
角度
0 120 90
H
-
G 1 L (Type-2)の電界分布 図5.5H-G 1 Lの絶縁設計に必要となる電界値を抜粋して表5.2に示す。 同表には各 電界分布の解析結果から、
これらの結果を以下にまとめる。
ケースでPE層がない場合の最大電界も併記した。
(1)通常のGILに使用される同軸円筒構造での規格化した最大電界は、 最大電界を低く抑える上で最も合 したがって、 規 理的な配置(シース内径と中心導体外径の比がeの場合)において、 2e =5.44となる。
格化した最大電界が最も小さいType-lに対しても、 単純な同軸円筒構造と比べて同一寸法で最大電界は ガス中の許容電界を絶縁設計の基準とした場合、 通常のGILよりも 20%程度大きくなる。 すなわち、
\ \
合
\ 場
\
、
\ れ面\ \や
表
\ \ \刊の 日導/F\ \配体 \、
10 9 8
6 5 7
(刀\〉)\ω
4 3 2
柏市恕G隊脚
240 270
。, e [度]
角度
0 120 90
H -G 1 L (Type-3)の電界分布 図5.6
PE層がない場合
~、 の導体表面
\\\/
\ \
\ \
\ \
\
10 9 8 7 6
4 3 2 5
(℃\〉)\ω
初相MG駄MW
270 180 210 240
$, e [度]
150
角度
0 120 90
H -G 1 L (Type-4)の電界分布
- 158 - 図5.7
シース内径:が大きくなる。
(2) P E層で導体を被覆することにより、 導体表面の電界は大幅に低下する。 Type-lでは最大電界が26%低 電界分布の一様化が�られ ている。
下している。 すなわち、
(3)いずれの場合も、 最大電界はPE表面上においてシースとの距離が最短(千=900 )の点で生じる。 規 格化した最大電界の値はType-lが辰も小さく(6.49)、 Type-6が最も大きい(8.25)。
Y形スペーサとの接触 (4) P E表面上の電界は併が900から大きくなっても小さくなっても急激に減少し、
Aロ 場 \、 れ 面 \ \ 戸
表
汁 ト体 \ \ 、
導/
\ 円 の \ \ \ \ \
10 9
7
3 2 8
6 5 4
(刀\〉)\ω 物相mQ隊脚
270 210 240
1度]
150 180
角度中,8
120 0
90
H -G 1 L (Type-5)の電界分布 図5.8
270 150 180 210 240
角度中,8 [度]
120 10
9
7
2 6 5 4 3
(刀\〉)\ω
8刊捌mG昨岬・
H -G 1 L (Type-6)の電界分布 図5.9
を想定している併=2400付近では、 最大電界の1/6(Type-3) � 1/68 (Type-6)になる。
(5)シース而上の電界は導体との距離が最短となる点(0 =900、 2100 )で最大となり、 PE表面上の最大 電界の42%(Type-3) �59% (Type-l) の値である。
表5.2 電界の強さに関する代表値(いずれもV/dで規格化) PE表而 導体表面の シース表面の
PE層がない場合の
最大値 � =2400 最大値 最大値 最大電界
(併=900) での値 (併=900) (併=90ペ2100)
Type-1 6.49 0.4 5.20 3.84 8.76
Type-2 6.89 0.7 4.79 3.50 8.76
Type-3 7.57 1.1 4.34 3.18 8.76
TYI=貯4 7.34 0.2 4.64 4.28 8.49
Type-5 7.76 0.5 4.19 3.87 8.49
Ty戸-6 8.25 0.1 4.28 4.75 8.66
5. 3 . 2所要寸法の試算
G ILの寸法を決定する要因は主として、 絶縁設計(所要絶縁レベルに対する 最大電界を絶縁媒体の許容 電界以下に抑える)と熱設計(所要通電電流に対する温度上昇を許容温度以下に抑える)である。 ここでは、
まず絶縁設計で決定されるH-G 1 Lの所要寸法を試算する。
表5.2の結果から、 H-G 1 L内部の最大電界はPE表面上のガス中で生じることが判る。 SF 6に対する 許容電界はガスj主力に依存するが、 最近のG 1 Lの開発例(2)では約0.6MPa(abs.)のS F 6に対し、 雷インパ ルスで約20kV/mmの電界を許容している。そこでこの値を基準とし、 さらに小形化の追求のため、 S F 6の 絶縁破壊電界値(O.6MPaで40kV/mm程度)に近い30kV/mmの許容電界も想定した。 同様にO.4MPaのガス圧 力に対しては、 16.7kV/mmと20kV/mmの許容電界を設定した。
一方、 所要絶縁レベルに相当する雷インパルス耐電圧試験電圧値(LIWV)は、 最新の試験電圧標準規格 JEC-OI02-1994 í試験電圧標準」に基づき、 今後は500kV系統で1425kV、 275kV系統で950kVが標準的に使 用されると考えられる。 地中や洞道内に敷設する密閉型送電線路に対しては、 雷サージの侵入を考慮する 必要がないケースもあるが、 ここでは上記のLIWVを使用する。 以上の設定に基づくH-G 1 Lの所要寸法 (シース内径のを500kV級、 275kV級のそれぞれについて表5.3に整理する。 以下、 これらの寸法を基準に電
流容量の評価を行う。
- 160-
表5.3 雷インパルス絶縁レベルで決まる所要寸法 (a) 500kV級(LIWV : 1425kV)
5.4電流容量の評価 5 . 4 . 1電流容量計算手法 (1)計算手法の概要
Type-1 Type-2 T)1:貯3 Ty戸-4 Type-5 Tη:>e-6
Type-l Type-2 Type-3 Type-4 Type-5 Type-6
ガス圧力: O.4MPa
I
ガス圧力: O.6MPa ガス中許容電界:1 6.7kV/mm 20kV/mm 30kV/mm d =556π町1 d =463mm d =309mm
590 492 328
650 542 361
626 523 349
662 553 369
704 588 392
(b) 275kV級(LIWV : 950kV)
ガス刷:O.4MPa
I
ガス圧力: 0.6MPa ガス'11許容電界:16.7kV/mm 20kV/mm 30kV/mm d = 369mm d =309mm d =206πun
392 328 219
431 361 241
41 8 349 232
441 369 246
469 392 261
H-G 1 L各部の通電時の定常温度は発熱と放熱のバランスで定まり、 各部許容温度の条件により電流容 聞が決定される。 H-G 1 Lにおける発熱源は日射などの外的要因によるものを除くと、 導体損失(オーム 損)、 シース損失(オーム損あるいは渦電流損)、 PEの誘電体損失が大部分である。
シース損失はシースの接続条件や接地条件に依存する。 すなわち、 シース接続部を適当な間隔で絶縁 し、 その区間で一点接地方式とすれば、 シース電流は導体電流からの電磁誘導によって生じる比較的小さ い渦電流だけである。 一方、 シース両端一括接地方式(ソリッドボンド方式あるいは多点接地方式)とすれ ば、 シースには全導体電流と同程度の電流が導体電流と逆方向に流れ、 シース回路損失(オーム損)が支配 的となる。 両者の方式にはそれぞれ一長一短があるが、 シースにアルミなどの高導電率材料を使用する場 合は、 外部漏洩磁界の低減を意図して両端一括接地方式を採用するのが一般的である。 そこで、 本計算で はシース接続方式として両端一括接地方式を想定し、 シースには誘導電流として等価的に導体3本分の電 流が流れると仮定した。
一方、 放熱の経路および形態は、 PEの熱抵抗に基づく熱伝導、 SF 6中および大気中の輯射対流に基づ
く熱放散が主体となる。 これらのうち、 導体損失、 PEの誘電体損失、 PE ri'の熱伝導については、 日本 電線工業会規格の電力ケーブルに対ーする許容電流の計算手法JCS第168号D(ll)をほぼ適用できる。 一方、
シース損失、 S F 6中および大気中の熱放散については、 通常のGILで用いられる考え方(12)を準用するo H-G 1 Lの構造や敷設方式などについて、 本検討で設定した各種条件を表5.4に整理する。 以下に各種損 失、 ガス中および大気l-þの熱放散、 PE中の熱伝導の計算手順の概略を示す。
導 体
ン
ス
体国 純縁 物 敷 設 条1*
(2)損失の計算
表5.4 H-G 1 Lの構造や敷設方式などについて設定した主な条件
導体構造
導体抵抗 導体許容温度
印jJU電圧
印加電圧の周波数 シース構造 シース抵抗
表面放射係数
シース接続条件 材料
表而放射係数 固有熱抵抗 基底温度:
シース敷設間隔
.CVケープルの導体構造を想定
- 硬銅 よ り 線 (素級絶縁はしない) . 6分割導体とする
- 表皮効果を考慮
- シース内の他の導体による近接効呆を考慮
. T c =90"Cを標準とする(一部のケースで100 "cおよび110"C)
・275kV級: v = ー27ゾτ53k「V ×一1.一15
c J1, 1.1
. 500kV級: v =一5一0 V0戸
3k=V一 × 一1一1一5
c J 1, 1.1
f =50Hz
- アルミ(A6063)ノてイプ
※
- 肉厚t = 10mmを標準(一部のケースで15mmおよび20mm) -表皮効果を考慮
- 導体や他のシースによる近接効果は考慮しない - 内而: y 2 =0.1 (アルミ地金)
-外而:γ3=0.8 (マンセルN7塗装)
- 両端一括接地方式(導体3本分の電流がシースに流れる) - ポリエチレン(比誘電率és2=2.3, tanδ=0.001) -γ1 =0.1 (アルミ地金と同等)
. P 1 =450 ["C・cm/W]
. T 0 =40"C (洞道内設置を想定)
-シース寸法によらずLin=400mm (隣合うシースの内側距離)
※印加電圧設定の第2項は電力ケープルの絶縁設計などに用いられる 系統の最高回路電圧を考慮したものである。
導体損失Wc(導体l本あたり)は導体抵抗 rcによるオーム損が支配的で、 次式で表される。
W c = r oc x k lc x k 2c x 1
�
[W /cm] (5.1)ここで、 I C:導体i本あたりの電流lA]、 r仇:20'Cにおける直流最大導体抵抗[O/cm]、
k Ic :導体許容温度Tcにおける導体抵抗と20'Cにおける導体抵抗の比、
- 162 -
k 2c : :表皮効果と近接効果を考慮した交流抵抗と直流低抗の比
rOc、 k 1c、 k 2cの計算手法はJCS第168号D(1J) に準拠した。
また、シース損失WSはシース抵抗rsによるオーム損が支配的で、次式で表される。
ws=r os×k Is ×K2s×I
:
[W/m] (5.2)、P 、... �円�
I..- I..- I.._ 、I S:シース電流(=3×I C)[A]、r Os : 20"Cにおける直流最大シース抵抗[f1/cm]、
k 15 :シース温度T s (変数)におけるシース抵抗と200Cにおけるシース抵抗の比、
k 25 :表皮効果を考慮した交流抵抗と直流抵抗の比
r Os、 k 15、 k 25の計算手法は通常のG 1 Lに対する考え方(12)を準用したO なお、厳密にはシース電流 は導体電流によるシースへの誘導起電力によって決まり、その大きさはシース接地回路の条件にもよる が、一般に導体電流の90%前後の値となる。 ここでは、通常のG 1 Lでのシース損失の扱い(12)にならい、
シース電流は全導体電流(3×I C)と同ーとした。
次に、誘電体損失はその定義より、次式で表わされる。
(5.3) ここで、E:誘電体内部の電界、 é ε'-j é"
H-G 1 LのPE中の電界分布は一様でないので、上式の体積積分が必要となる。 この体積積分は必ずし も容易ではないが、後述するように誘電体損失は導体損失やシース損失に比べて小さい (1%以下)ことか ら、以下の簡易手法を適用する。
H-G 1 Lのそれぞれの導体に対して、図5.l0に示すような導体中心と同軸でシース内面と接する仮想的 同軸円筒配置を考える。 図5.10の破線を接地電位と仮定すれば、導体表面とPE表面はそれぞれ等電位面と なり、両者の電位差とPEの静電容量を用いて(5.3)式は次式で表される。
W d = 2 7r f tan ð C陀u
:
[W/州 (5.4)ここで、 f :印加電圧の周波数、 CpE:図5.10の仮想的同軸円筒配置を仮定した場合 のPEの単位長あたりの静電容量[F/cm]、
UC:図5.10の仮想的同軸円筒配置を仮定した場合のPE内部の電位差[V]
PE内部の実際の電位差Ur(併)はシースとの距離が最短となる方向(図5.10で併=900)が最大で、他の 導体と向き合う方向は3本の導体が同電位のため小さくなる。 したがって、(5.4)式はPEの誘電体損失を 過剰に評価する。 そこで、Ur2(併)の分布を平均化し、PE全体の何%の領域が実質的に誘電体損失に寄 与するかを考える。 Type-1に対し、各導体に1 kVの電位を与えた場合のUr2(併)の分布を図5.11に示す。
O.6d
図5.10 誘電体損失の評価のための仮想的同軸円筒配置
れ』
〉 0.08
三0.06
$i お0.04 脚 Q
� -K 0.02
はJ止
0 o 60 ' 120 180 240 300 360
。[度]
図5.11 P E内部の電位差の2乗(U行併))の分布(導体電位: 1kV)
U汽併)の併=0----3600にわたる積分値は11.66であり、最大値(7.728X 10-2) X 150.90が同じ値を与える。
したがって、PE全体のうち41.9%(150.9/360)の領域の静電容量に対して、U汽併)の最大値が印加され ていると考えれば、ほほ妥当な誘電体損失を与えることができるo Type-2 ----Type-6 �こ対しても同様に38.6%
---44.0%の値が得られ、各Typeで大きな差がないことから、誘電体損失への寄与分として一律に42%の値 を使用する。
U r(併)の最大値と図5.10の仮想的同軸円筒配置を仮定したときのUcとの差は4----8%と小さいので、UC をそのまま使用して差し支えない。したがって、誘電体損失の計算式は次式となる。
wd=2πf tan ô (0.42 C陀)U
�
[W/州 (5.5)(3)熱放散の計算
GILの熱放散については相分離型と三相一括型のそれぞれに対して、輯射対流に基づいた計算式が提 案されている(12)0 H- G 1 Lは構造的には三相一括型GILと同じであるので、シース内部のガス空間と外
ー164-
部の大気中の熱放散に対して、これをそのまま適用する。図5.12に熱放散の概念図を示す。
シースと大気間の熱放散は次式で表される。
s =5.677rπ
d九o
U Y川引
rイ l
33[ [
( 27北( 27( 27幻73?)y円川4仁1守一イ-(�217ηて3:L1ふLT
OサrJm W
5一4
nU T
T
3-40 AU 司LD +
(5.6) ここで、WC:導体損失[W/m]、ws:シース損失[W/m]、do :シース外径[m]、
u :放射低減率(下式)、γ3 .シース外面の放射係数(0.8)、TS:シース温度[OCJ、
To:基底温度CC](40oC)、D2 :シース~大気間対流定数(2.75)
I L \
u = 1
- expl
\ー ァ|
� 0 I ここで、L:シース中心間距離[m](L=LiJdo) ガス空間(P E表面とシース間)の熱放散は次式で表される。×
β斗T一
+一引
司3一勺I一ウ企-
AU寸eT一
+一引
司、d-守f-今,L-
'hu 司、】
π 勺ffo ζJ 一一AU W 司、J+ c w 司3
l
i-L-li
+Dl PO日)4(Te-Ts)4附] (5.7)y 1 d
\
Y 2ここで、Wd:誘電体損失[W/m]、b : P E外径[m]、d:シース内径[m]、
Te :P E表面温度["C ]、γ1:P E表面の放射係数(0.1)、
L し
図5.12 熱放散の概念図
γ2 シース内面の放射係数(0.1)、 D}: P E表面~シース間対流定数(4.4)、
p :ガス圧力[kg/cm2-abs]
(5.6), (5.7)式は実測に基づく実験式で、 長さに関する数値の単位は[m]、 ガス圧力の単位は[kg/cm2-abs]
(1.0MPa= 10. 1972kg/cm2 )で計算される。
(4)絶縁物中の熱伝導の計算
H-G 1 Lの各導体に着目すると、 導体損失と誘電体損失に基づく発熱はPE中を放射状に伝導し、 PE
表面から放散される。 このPE中の熱伝導は導体とPEを同軸円筒構造とする二次元場で扱うことができ る。 熱伝導の計算式は付録5.Uこ示される導出によって次式のように表される。
( W + - 1 i
1 4川上) = T - T {℃]
c
2I
2π \ a (5.8)ここで、 WC:導体損失[W/cmJ、 Wd:誘電体損失[W/cm]、
Pl: P Eの固有熱抵抗(450)[OC・cm/W]、 a :導体直径[cm]、 b : P E外径[cm]、
Tc
:導体許容温度[OC J、 Te :P E表面温度['C]�
-1- <=1 J-l--I
UT -L W d\ 申 ム P
1 ln(
b\
上式は図5.13に示すようL、 損失
I \ Wc c + 一一I
2 I �::よる発熱が凱抵札R.… 山= 一一・加2π \ a I|
一一I
['C・cm/W]を通して伝導し、 j昆度差(Tc-T巴)を生じることを表している。 誘電体損失(Wd)に係数(1/2)が付くのは、
PEの各部分で誘電体損失は一様に生じるが、 PEの表面付近ほど、 発生した熱の表面までの伝導におけ る熱抵抗が小さく、 結果として半分の熱抵抗を考慮すれば良いことによる。
なお、 PEの表面 放散熱抵抗の扱いには注意が必要である。 すなわち、 cvケープルに対する熱抵抗の 計算では、 PEの固有熱抵抗に加えて表面放散熱抵抗とケープル外装の熱抵抗を考慮する必要があるが、
ス 、 ン 川町十/』
} C + 同 nu
I c
nu -ー一一---
T c Rth T e
図5.13 P E中の熱伝導の概念図
H-G 1 LではPEの外装は装着されないこと、またPE表面からの熱放散は(5.6)式で考慮されていること から、両者とも考慮する必要がない。
(5)計算フロー
H-G 1 Lの寸法とガス圧力に関するパラメー夕、PEに接する導体の許容温度、大気温度(基底温度)を
設定すると、求めるべき未知数はPE表面温度Te、 シース温度TS、 導体電流入の3つの数値となる。 電 流容量の計算はこれらを(5.6)---(5.8)式の3 式を満たすように求める問題となる。 そのため、いずれかひと つの未知数に適当な値を設定し、残りの2つの未知数についてまず収束計算を行い、はじめの未知数を変 化させながら最終的に3つの未知数が3 式を満足するように収束計算を行う。
図5.14に計算フローチャートを示す。 ここ ではまずTeに適当な値を設定し、(5.6), (5.7)式の熱放散計算 式を使用し、3×IC=I Sを満たすようにTSを変化させながら収束計算を行う。 求められたにと(5.8)式に より、TEを計算して最初に設定したTeとを比較する 。 両者 の差がなくなる までTEを変化させながら上 記の手順を繰り返す。 こ れにより、(5.6)---(5.8)式を満たすTe, Ts' Icの組合せが求められる。
+一一JCSの考え方を適用
4一一一GILの鰻射対流の 考え方を適用
※JCS :日本電線工業会規格
図5.14 電流容量計算の計算フローチャート
計算結果の一例として、 Type-lに対してシース内径d =400mm、 ガス圧力p =0.6MPa、 電圧階級500kV と設定して計算した結果を表5.5に示す。 この結果から、 導体、 シース、 誘電体の各損失を比較すると、 導 体損失(3本分)が最も大きく、 これを1とするとシース損失は約80%、 誘電体損失は約0.5%の大きさであ る。 PEの厚みが小さいType-2---Type-6では誘電体損失の割合はさらに小さくなる。
導 体
ン
ス
悶 体 純 縁 物
..-由、、
E P
、、ー"
表5.5 計算結果の一例(Type-l, d =400mm, 500kV級, p =0.6MPa)
-導体直径 a=60 lmm]
;草体許容j品度: T c=90 [t:l
.20'Cにおけーる導体最大直流抵抗 rOc=6.80X 10-8 [D/cm]※1
�存体許容j品皮における導体抵抗と20'Cにおける導体低抗の比 klc = 1.28 -表皮効果と近感効果を考慮した交流抵抗と直流低抗のよじ k2c = 1.35 -導体許容混皮における導体抵抗 rc=1.17XlO-7 [D/cm]※l
- 導体電流 1c= 1823[AJ※1 (5470 [八]※2) -導体損失: W c =0.390 IW/cm]※1 (l.17阿川1]※2)
- シース内千壬: d =400 [mm]
-シース肉!享 t= 10 [mm]
- シース温度 : Ts=61.0[t:J
.20'Cにおけるシース最大直流抵抗 rOs =2.69 X 10-8 [D/cm]※2
- シース温度におけるシース抵抗と20'Cにおけるシース抵抗の比 kIs=1.16 -表皮効果を考慮した交流抵抗と直流抵抗の比 k2s=I.03
- シース温度にお けるシ ー ス 抵抗 r_=s 3.14XIO・8[D/cm]※2 - シース電流 1 s =5470 [A]※2
- シース煩失: Ws =0.939 [Wたm]※2
.PE外径 b =120 [mm](P E層の厚み: 30[mmJ) .PE静電容量: CpE=1.84XIO-12[F/cmJ※l .PE内電位差: U c =91.5 [kV]
-誘電体煩失: W d=2.03 x 10・3 [W/cml※1 (6.10 X 10-3 [W/cm]※2)
. P E表而温度 : T e =70.6 ['C]
※1導体l木あたり
※2各相あたり
5 . 4 . 2電流容量評価結果
電流容量の評価はまずType-l---Type-3 (導体直径: 0.15d)について、 表5.3の寸法を基準として行った。 ま た、 Type-l---Type-3で寸A法を同ーとした場合(500kV級としてd =400mm、 275kV級としてd=267mm)につ いても検討を行った。 Type-4---Type-6(導体直径:0.2Od ---0.25d)は導体直径が電流容量に及ぼす効果を検討 するためのもので、 寸法はすべてd =400mmとした。
まず、 Type-l---Type-6のd =400mm、 500kV級、 p =0.6MPa について、 導体許容温度を900Cとした場合 の電流容量、 導体電流密度、 温度分布(P Eおよびシース表面)の計算結果を表5.6に示す。 電流容量は導体
- 168 -
表5.6 各タイプに対する電流容量と温度分布の計算結果 ( d =400mm, 500kV級, p =0.6MPa)
電流容量 導体電流密度 導体許容温度 PE表面温度 シースj昆度
1 c [A] [A/mm2] T c ['C] T e ['CJ T s ['C]
Type-l 5470 0.645 70.6 61.0
Typc-2 5690 0.671 74.6 62.6
Type-3 6100 0.719 90.0 80.0 65.6
Tn氾4 6510 0.432 76.8 66.2
Type-5 6840 0.453 82.0 68.5
Type-6 7210 0.306 83.2 70.5
直径が同一であれば、 PEが薄いほど大きくなる。 また、 導体直径を大きくすると電流容量も増加する。
結果として、 Type-l �Type-6の)11買に電流容量が増加する。 しかし、 電流密度は導体直径を大きくすると低 下し、 電流容量は導体断面積に比例するほどは増加しない。 これは表皮効果のためである。
電流密度は通常のcvケープルの場合、 電圧階級や敷設方式により相当に相違するが、 導体断面積が 2000�2500mm2の大容量ケープルでは平均的に0.6�0.8A/mm2程度(12)である。 一方、 通常のGILでは0.7
�0.85A/mm2 程度(12) (ただし、 導体材料はアルミが多い) である。 H-G1 Lの電流密度をこれらと比較す ると同程度かもしくは低く、 特に導体直径が大きい場合は大幅に低くなる。 GILとの比較で電流密度が 下回るのは、 PEを設けることにより誘電体損失の増加と熱放散抵抗の増大が生じるのでやむを得ないと しても、 cvケープルの電流密度を凌げない点は今後検討を要する。 ひとつの問題点として、 cvケープ ルの場合はシースの外側がすぐに大気温度であるのに対し、 H-G1 LではPE外部のSF 6の温度が高い (60�80"C程度)ことが挙げられる。 したがって、 電流密度をさらに高めるためには、 導体損失の軽減(表皮
効果の軽減など)や強制冷却などを検討する必要がある。
PE表面の温度は導体表面温度より7�20"C程度低くなり、 導体直径が同じであればPEの厚みが小さい ほど、 またPEの厚みが同じであれば導体直径が大きいほど、 導体温度に近いことが判る。 シース温度は 61 �70"C程度で、 これについても上記と同様のことがいえる。
次に、 シース内径で整理した電流容量の計算結果を図5.15に示す。 同図には比較のためPEを設けない場 合(PEの厚みを零とする)、 ならびにcvケーブルと同じように導体とシース聞をPEで充填した場合の 結果も示す。 H-G1 Lの電流容量はこれらの中間の値となる。 同図より下記のことが判る。
(1)電流容量はシース内径に対してほほ直線的に増加するが、 シース内径の増加につれて飽和する傾向があ る。 これは表皮効果により通電領域の深さ(商用周波の場合、 導体表面から15mm程度)があまり変化し ないためである。
(2)500kV級でも275kV級でも、 同一のシース内径に対して電流容量はほとんど変わらない。 275kV級の方が 誘電体損失が小さい分、 電流容量は大きくなるがわずか0.2�1 %程度である。
(3) Type-l �Type-3を比較すると、 PE層の厚みが小さくなるほど、 電流容量が増加する。
(4)Type-l---Type-3とも、 ガス圧力を0.4MPaから0.6MPaに上げると、 電流容量は1---2%増加するだけで、 ガ ス圧力の効果は小さい。
酬偽記肘脚
275kV,O.6MPa
dL1
ス A斗 ∞内 又土xl h m 0m FO nU nu0
qu nU守 、ン 700
図5.15 電流容量の計算結果(Type-l---Type-3 )
図5.16は電流容量に対するシース肉厚(t )の効果を示す。 検討対象としたのはType-2の500kV級(d = 400mm)および275kV級(d =267mm) で、 ガス圧力は0.6MPaとした。 シース肉厚を大きくすることにより、
電流容量も増加する。 しかし、 増加割合はt = 10mmからt = 15mmへの増加で3---4%程度、 15mmから 20mmへの増加で2---3%と小さいので、 電流容量を増加させる ためにシース肉厚を大きくする意味は小さ し、。
図5.17は導体許容温度が電流容量に及ぼす効果を検討したものであるo ただし、 現状のPEの連続使用温 度の上限は一般に90"C程度であるが、 これを新素材の適用などにより100'C、 および110"Cに上昇できたと 想定した。検討対象としたのはType-lとType-3の500kV級で、 ガス圧力はO.6MPaとした。同図より、導体許
容温度の上昇が電流容量の増加に寄与する効果は大きいことが判る。 電流容量の増加割合は900Cから1000C への上昇により9---10%、 100'Cから110'Cへの上昇により7---8%である。
- 170-
7000
酬偽梶山MW
� 5000
275kV, d=267mm -ーーーー 一+-一一一一一一一一・
dLA
、 ン ス市 肉 厚 m m 11』nJL nu 25 図5.16 シース肉厚と電流容量の関係(Type-2、 p =O.6MPa)dL1
90 100 110導体許容温度rC]
120
図5.17 導体許容温度と電流容量の関係(Type-1およびType-3、 500kV級、 p=O.6MPa)
図5.18は導体直径と電流容量の関係を示す。 シース内径はすべてd =400mmとした。 電圧階級は500kV 級、 ガス圧力はO.6MPaとした。 シース内径に対して導体直径を相対的に大きくすることにより、 電流容量 も増加する。 しかし、 増加割合はO.15dからO.2d(断面積で1.78倍)の増加により12---15 %程度、 O.2dから O.25d (同1.56併)の増加により5---6%であり、 断面積には比例しない。 これは先に触れたように、 電流が 実際に流れる領域が表皮効果により断面積に比例しないためである。 このため、 表皮効果の軽減のため に、 導体に素線絶縁したより線を使用することや撚架(電力ケープルではシース損失低減のために用いられ る)も有効と考えられる。 Type-6は最大電界が大きい上、 電流容量もさほど増加しないので、 実用性は低 いといえる。
9000
...
__--- Type-6 Type-5 ..---
�
導体許容温度:110.C 8000
Type-4・
c nu
円。
Qd
e
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\ γ 川 \
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nu nu
nu
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7
6
5
一三 酬偽記市制
2000 4000
3000
dト
0.15d 0.2d 0.25d導体直径
0.3d
図5.18 導体直径と電流容量の関係(d =400mm、 500kV級、 p =O.6MPa)
5.4. 3考 察
H-G 1 Lの電流容量を現行のコンパクト型500kV級G1 L (2)、 計画中の27SkV級長距離G1 L(4)、 現行の 500kVC Vケープルと比較して図5.19に整理する。 同図のようにシース内径で電流容量を整理すると、 H
GIL、 GIL、 cvケーブルの3者はほぼ1本の線上に位置し、 シース内径あたりの電力輸送密度はほ ぼ同等であることが判る。 これらの中ではコンパクト型 SOOkV級G1 L (導体許容温度: 10St、 ガス圧
- 172-
力:約0.6MPa)の電力輸送密度が優れているが、 H-G1 Lでも導体許容温度を110"C程度まで高められれば
これを凌駕する。 ただし、 そのためにはPEに代わる耐熱性の高い固体絶縁物材料を使用する必要があ る。
(〈} nu nu nU FhJ
酬偽記m脚
4000
3000
F
/ ' / /
500kV, O.4MPa
500kV, 0.6MPa
導体許容温度:
900C 275kV,0.6MPa
図5.19 H-G 1 Lの電流容量( Type-l --- Type-3 )
前節での結果に基づき、 シース内径を現行のG1 Lと同程度の500mmとした場合、 およびひと回り小さ い400mmとした場合のH-G1 Lの電流容量評価結果を、LIWV= 1425kVにおけるガス中最大電界とともに 表5.7に整理する。 導体許容温度は90"Cおよび1100Cとした。 d =500mmでLIWVにおけるガス中最大許容電 界を20kVjmm程度、 導体許容温度を90tとすると、 Type-l ...Type-4により6400...7500Aの電流容量が見込
める。 導体許容温度を110"Cまで増加できれば7600...9000Aの電流容量が見込め、 現状のGILと同等もし くはそれ以上となる。 d =400mm程度とするには、LIWVにおけるガス中最大電界を25kV/mm程度まで許容 するとして、Type-l,Type-2 により5400---5700A程度の電流容量が見込める。 同様に導体許容温度を110"C まで増加できれば、 6500...6800Aの電流容量が見込める。
表5.7 電流容量の評価結果(500kV級, p =O.6MPa)
d =400mm d =500mm
LlWV※に対する 電流容量[A] LI\νv※に対する 電流容量[A]
最大電界 導体許容器uJt : 最大�ü.界 導体許容視度:
[kV/mm] 90"C 1 1 0"C [kV/mm] 90"C 110"C
Type-l 23.1 5470 6480 18.5 6400 7600
Type-2 24.5 5690 6810 19.6 6750 8040
Type-3 27.0 6100 7280 21.6 7260 8690
Type-4 27.2 6510 7750 20.9 7560 9030
Type-5 27.7 6840 8210 22.1 8090 9700
�-2 29.4 7210 8710 23.5 8600 10300
※LI\νv= 1425kV
H-G 1 Lでは一般に絶縁上の弱点となりやすい導体とスペーサの接触部が導体自身でシールドされてお
り、 導体表面の高電界部分がPEで覆われ、 ガス中の電界が全体として一様化されている。 H-G 1 Lの絶 縁設計は基本的にガス1ドの最大許容電界に基づいているが、 この条件ではPE内部の電界はガス中ほど大 きくなく、 通常のcvケープルの内部電界と比べて1/3以下である。 したがって、 PEが内部電界ストレ スによって絶縁劣化を生じる可能性はcvケープルと比較してもさらに低いと考えられる。 また、 ガス中 の最大電界領域はPE表面のシースに対向する部分のみで、 3導体が相互に対向する領域の電界は小さ い。 すなわち、 ガス中最大電界が生じる領域が通常のG 1 L (導体表面全体)と比べて格段に小さいので、
パーテイクルがPE表面に付着しても、 シースに対向する高電界領域でなければ絶縁上過酷な条件とはな りにくい。 万一、 PE表面のシースに対向する領域にパーテイクルが付着した場合でも、 金属導体がむき
出しの場合に比べて絶縁性能の向上が期待できる。
これについては、 G 1 Sのパーティクルに対する絶縁性能の向上を目的として、 中心導体表面にエポキ シや門下Eをコーテイングした場合の絶縁特性を検討した例がある(13)-(15)。 これらによれば、 絶縁物層の介 在によってパーテイクル付着時のフラッシオーバ電圧が上昇することが報告されており、 その要因として パーテイクルへの電荷供給の抑制、 パーティクル先端の電界の緩和などが挙げられている(15)。 これらのこ とから、 H-G 1 Lはパーテイクルの影響を考えても絶縁面での信頼性向上が期待できる。 一方、 シース表 面電界は通常のG 1 Lよりも高くなるので、 パーテイクルの起立や浮上が生じやすいなどの注意が必要で あるが、 これについても表面電界が高い領域は導体に対向する部分に限定される。
H-G 1 Lの構造面では、 導体にcvケーブルのシースを除去したものをそのまま使用できる可能性があ り、 導体に関してはフレキシプルな構造が可能となる。 そのため、 H-G 1 Lのシースとして従来型のリ
ジツドな管路を使用するとしても、 現地での接続作業の手間やコストはかなり軽減される。 以上により、
H-G 1 Lは信頼性の高い長距離ガス絶縁送電線路として実用の可能性があると評価できる。
H-G 1 Lの電流容量は下記の方策によってさらに向上できる可能性があり、 今後の検討課題としたい0
・導体の素線絶縁:表皮効果の低減により、 導体損失の低減が図れる。
.PE表面およびシース内・外国の放射係数の増大:黒色アルマイトのコーテイングなど、 放射係数の増
- 174-
大により、 電流容量が数%程度増加する可能性がある。
-撚梨:シース電位の低減により、 シース煩失の低減が図れる。
・強制冷却] :各部渦度上昇の抑制により、 電流容量の一層の増加、 およびコンパクト化が図れる可能性が ある。
5 . 5結 論
電力需要の増大と都市部への集中という情勢の中で、 信頼性が高く、 かつ大容量の密閉型長距離送電線 路に対する期待は大きいo H-G 1 L はS F 6絶縁方式にPEによる国体絶縁を併用し、 両者の特性を生か しながら絶縁上の弱点ができるだけ小さくなるような構造を具体化したもので、 従来のGILと比較して 固体絶縁物の存在により絶縁信頼性の向上が期待でき、 cvケープルと比較して静電容量の減少と電流容 量の相当な向上が期待できる。 本章ではH-G1 Lの絶縁設計、 熱設計に関する基本検討を行い、 H-G1 L の寸法と電流容量について十分に実用の可能性がある目安が得られた。 主要な結果を以下に整理する。
(1)内部電界解析に基づき、 ガス絶縁と国体絶縁の併用によりガス中の電界分布の一様化が図れ、 さらに中 心導体を3本の導体に分割してY形のスペーサで支持することにより、 絶縁上の弱点の少ない構造を構 成できるととを示した。
(2) H-G 1 Lの各導体直径をシース内径の0.15---0.25倍に選んだ場合、 雷インパルス耐電圧試験電圧値 (LIWV)に対するガス中最大電界を20kV/mmとすると、 絶縁設計で決まるシース内径の最小寸法は、
500kV級(LIWV= 1425k V)で463mm、 275kV級(同950kV)で309mmとなる。
(3) H-G 1 Lの電流容量はシース内径の増加に対してほぼ直線的に増加するが、 シース内径が大きくなる につれて飽和する傾向がある。 ガス圧力や印加電圧、 シース肉厚の影響は小さいが、 導体許容温度を高 めることで電流容量を上昇できる。
(4) 500kV級H-G1 Lの電流容量はシース内径を現行のGILと同程度の500mmと設定すると、 導体許容温 度90tに対して6400---7500A、 110tに対して7600---9000Aと見込める。 すなわち、 H-G1 Lの電力輸 送密度は現行のG1 Lとほぼ同等と評価できる。
(5) H -G 1 Lは架空送電線の建設が困難な都市部での基幹電力系統などに、 信頼性の高い密閉型大容量長
距離送電線路として適用できる可能性がある。
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(13)遠藤,石川,山極. "絶縁コーテイングによるSF 6ガスの絶縁耐力の向上H,昭和59年電気学会全国大会 1150 (1984)
(14) F. Endo, T. Yamagiwa, T. Ishikawa & M. Hosokawa: "Particle-initiated breakdown characteristics and reliability improvement in SF6 gas insulation", IEEE Trans. on Power Delivery, Vol.PWRD-l, No.l, pp.58-64 (1986) (15) 山崎,小林,井波,宮田,笹森,山本: "G 1 S内金属異物存在時の絶縁特性(コーティング効果)",平成4年
電気学会電力・エネルギ一部門大会,284 (1992)
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付録5 • 1 絶縁物中熱伝導の計算式
付図5.1のように二次元の同軸円筒構造にて導体と絶縁物の熱伝導を考える。 導体損失をWC、 誘電体煩 失をWd、絶縁物の固有熱抵抗をpとし、絶縁物中に仮定した半径rの同軸円筒より内側で発生した熱が外 側へ伝導すると考えると次式が得られる。
十
c+(
π[2ーπ[î )
πrp
ri l (付5.1)
ここで、 r1= a/2 (導体半径)、r2=b/2 (PE表面の半径)
wd
ただし、上式では誘電体損失を場所に依存せず一定、 すなわち単位体積あたり πr 2-πr 2 2 と仮定1 している。 実際には誘電体損失は(電界)2に比例するのでr2に反比例する。 したがって、 半径rより内側 の領域の誘電体損失は次式となる。
全体の誘電体損失はWd=W([2) であるので、
ln ([/r.\ W( [)=W A. -ー
叫
-r2/rt' リ)
したがって、(付5.1)式は、
W�+W A ・ h
(
[ / [1L I
xρx�ー=dT� � ln
(
r2/rt) I
2πr国体絶縁物(PE) 中心導体
a b
付図5.1 同軸円筒構造の導体と絶縁物に対する熱伝導
(付5.2)
I
ln r ..J ー (lnr)2ここで、 | 一一一 drー を考慮すると、 上式は以下のようになる。
I r 2
w-wd
叫
rt)
×ー乙-ln(
r司/r .) +2π \ L 1 I
向しV
T
PU
T -一
ムb
× Au w qL
rム
n
「L司LrA h
2
刈
r2/rt)
これより、 次式が得られる。
( Wc +刊すln( :� ) = Tc- Te
したがって、 次式が得られる。
( W Wch c + :
L i
d )
I l . :rr .4.叫b ト Tc - T e
2π' .1n (
\ + a )
[t]
I (付5.3)
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